(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路(21、23、24)は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先(12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22)に供給されるバイアス電源電圧を加算した電圧に応じた電圧値を出力し、
前記周波数−強度特性取得手段(130)は、前記電圧取得期間において、前記回路から出力された前記電圧値の周波数−強度特性を取得し、
前記判定手段(140、150)は、前記周波数−強度特性取得手段が取得した前記周波数−強度特性が所定の発振条件を満たしているか否かに基づいて、前記電源バイアス回路に発振があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のFMCWレーダ装置。
前記回路(21、25)は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先(12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22)に供給されるバイアス電源電圧を、1つずつ切り替えて出力し、
前記周波数−強度特性取得手段(135)は、前記電圧取得期間(44)内の複数のサブ期間(44a〜44h)において、それぞれ、前記複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧のうち異なる1つの周波数−強度特性を取得し、
前記判定手段(145、155)は、前記複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧の周波数−強度特性のうち1つ以上が前記所定の発振条件を満たしていることに基づいて、前記電源バイアス回路に発振があると判定することを特徴とする請求項1または2に記載のFMCWレーダ装置。
前記判定手段は、前記周波数−強度特性における強度のピーク値のうち、所定の強度閾値(T1)を超えるものが有ることに基づいて、前記電源バイアス回路に発振が有ると判定し、前記強度閾値を超えるものが無いことに基づいて、前記電源バイアス回路に発振が無いと判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記回路は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先へのバイアス電源電圧の電源バイアス出力点と、前記回路の入力端子は、互いに交流結合されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記回路(21、23、24)は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先(12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22)に供給されるバイアス電源電圧を加算した電圧に応じた電圧値を出力し、
前記周波数−強度特性取得手段(130)は、前記電圧取得期間において、前記回路から出力された前記電圧値の周波数−強度特性を取得し、
前記判定手段(140、150)は、前記周波数−強度特性取得手段が取得した前記周波数−強度特性が所定の発振条件を満たしているか否かに基づいて、前記電源バイアス回路に発振があるか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載のFMCWレーダ装置。
前記回路(21、25)は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先(12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22)に供給されるバイアス電源電圧を、その供給先毎に、1つずつ切り替えて出力し、
前記周波数−強度特性取得手段(135)は、前記電圧取得期間(54、56、57、58)内の複数のサブ期間において、それぞれ、前記複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧のうち異なる1つの周波数−強度特性を取得し、
前記判定手段(145、155)は、前記複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧の周波数−強度特性のうち1つ以上が前記所定の発振条件を満たしていることに基づいて、前記電源バイアス回路に発振があると判定することを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記判定手段は、前記周波数−強度特性における強度のピーク値のうち、所定の強度閾値(T1)を超えるものが有ることに基づいて、前記電源バイアス回路に発振が有ると判定し、前記強度閾値を超えるものが無いことに基づいて、前記電源バイアス回路に発振が無いと判定することを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記回路は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先へのバイアス電源電圧の電源バイアス出力点と、前記回路の入力端子は、互いに交流結合されていることを特徴とする請求項8ないし14のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記回路(21、25)は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先(12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22)に供給されるバイアス電源電圧を、その供給先毎に、1つずつ切り替えて出力し、
前記周波数−強度特性取得手段(135)は、前記電圧取得期間(61、63)内の複数のサブ期間において、それぞれ、前記複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧のうち異なる1つの周波数−強度特性を取得し、
前記判定手段(145、155)は、前記複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧の周波数−強度特性のうち1つ以上が前記所定の発振条件を満たしていることに基づいて、前記電源バイアス回路に発振があると判定することを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記判定手段は、前記周波数−強度特性における強度のピーク値のうち、所定の強度閾値(T1)を超えるものが有ることに基づいて、前記電源バイアス回路に発振が有ると判定し、前記強度閾値を超えるものが無いことに基づいて、前記電源バイアス回路に発振が無いと判定することを特徴とする請求項16ないし21のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
前記回路は、当該FMCWレーダ装置の複数のバイアス電源電圧供給先へのバイアス電源電圧の電源バイアス出力点と、前記回路の入力端子は、互いに交流結合されていることを特徴とする請求項16ないし22のいずれか1つに記載のFMCWレーダ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態のFMCWレーダ装置1は、車両に搭載され、自車両の進行方向、例えば前方に向けてミリ波帯の電波を出射する。そして、先行車両、障害物などの物標によって反射した電波を到来波として受信することで、自機から物標までの距離および自機に対する物標の相対速度を求めるものである。
【0013】
この車両用のFMCWレーダ装置1は、
図1に示す通り、車両に搭載され、送信部として、DAC11、VCO12、BA(バッファアンプ)13、分配器14、PA(パワーアンプ)15、送信アンテナ16を備えている。更にFMCWレーダ装置1は、受信部として、ローカルアンプ(LA)17複数個の受信アンテナ18a、18b、18c〜18x、および、受信アンテナ18a、18b、18c〜18xと1対1に対応する複数個のミキサ19a、19b、19c〜19x、BBAMP(ベースバンドアンプ)20、および、ADC21を備えている。更にFMCWレーダ装置1は、制御部22、第1加算回路23、および第2加算回路24を備えている。
【0014】
また、車両には、車内LANとしてのCAN2、および、FMCWレーダ装置1、CAN2に電源電圧を供給する電源バイアス回路10が備えられている。電源バイアス回路10は、車両のIG線およびGND線が入力されており、IGオン時に、所定の直流電源電圧をFMCWレーダ装置1の各部11、12、13、15、17、19、20、22、22、23、24およびCAN2等に供給する。
【0015】
DAC11は、制御部22から入力される所定長さの三角波状のデジタル信号を、VCO12の調整レベルに変換して、所定周期の三角波状のアナログ変調信号として出力するDAコンバータである。
【0016】
VCO12は、DAC11から入力された三角波状のアナログ変調信号で周波数変調された信号(正規の信号に相当する)を出力し、BA13は、この信号を増幅して出力する。VCO12から出力される信号は、ミリ波帯の信号(例えば、中心周波数76.5GHz、周波数変動幅300MHzの信号)である。より詳しくは、入力された三角波状のアナログ変調信号に同期して周波数が直線的に順次上昇する上昇部および上昇部の直後に周波数が直線的に順次下降する下降部とを有する信号である。
【0017】
分配器14は、BA13から出力された信号を2方に電力分配してローカル信号と送信信号を生成するものである。この分配器14からの送信信号はPA15に入力されて増幅され、ローカル信号はLA17で増幅されて複数個のミキサ19a〜19xに入力されるようになっている。
【0018】
PA15によって増幅された送信信号はアンテナ16に入力される。これにより、アンテナ16からは、周波数が直線的に順次上昇する上昇部および上昇部の直後に周波数が直線的に順次下降する下降部を有するミリ波の送信信号が送信される。
【0019】
複数個の受信アンテナ18a〜18xは、水平方向に並んで配置され、全体で1つのアレーアンテナを構成する。これら複数個の受信アンテナ18a〜18xのそれぞれは、送信アンテナ16から送信されて対象物で反射された結果の受信信号を受信する。
【0020】
複数個のミキサ19a〜19xのそれぞれは、対応する受信アンテナが受信した受信信号と、分配器14から伝えられるローカル信号とを混合して周知のビート信号を生成して出力する。このとき生成されるビート信号の周波数がビート周波数と呼ばれるもので、送信信号の周波数が増加する上昇部のビート周波数を上り変調時のビート周波数、送信信号の周波数が減少する下降部のビート周波数を下り変調時のビート周波数と呼び、FMCW方式による対象物の距離および相対速度の演算に用いられる。
【0021】
BBAMP20は、複数個のミキサ19a〜19xの各々が出力したビート信号を増幅してADC21に入力する。ADC21は、BBAMP20入力されたビート信号をデジタル信号に変換して制御部22に入力するADコンバータである。
【0022】
制御部22は、定期的に繰り返し訪れる所定のサンプリングタイミングにおいて上述のようにDAC11に対して所定周期の三角波状のデジタル信号を入力すると共に、ADC21から入力された各ビート信号を取得して後述する処理を行うことで、自機から物標までの距離、自機から見た物標の方位、および自機に対する物標の相対速度を検出し、CAN2を介してプリクラッシュ制御ECU等の車内装置に、当該距離、方位および相対速度を送信する。
【0023】
第1加算回路23には、電源バイアス回路10からVCO12、BA13、PA15、LA17に供給されるバイアス電源電圧のそれぞれが印加される。第1加算回路23は、これら印加されたバイアス電源電圧を加算し、加算結果の電圧をADC21の1つの入力ポートに入力する。
【0024】
なお、これらVCO12、BA13、PA15、LA17へのバイアス電源電圧の電源バイアス出力点(
図1の黒丸の点)と、第1加算回路23の入力端子は、コンデンサを介して互いに交流結合されている。したがって、第1加算回路23に印加されるのは、上記バイアス電源電圧の交流成分のみである。交流結合することで、バイアス電源電圧の供給先毎に電圧が異なる直流成分を、除去することができる。
【0025】
第2加算回路24には、電源バイアス回路10からミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22に供給されるバイアス電源電圧のそれぞれが印加される。第2加算回路24は、これら印加されたバイアス電源電圧を加算し、加算結果の電圧をADC21の1つの入力ポート(上記第1加算回路23からの電圧の入力ポートとは異なる入力ポート)に入力する。
【0026】
なお、これらミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22へのバイアス電源電圧の電源バイアス出力点(黒丸の点)と、第2加算回路24の入力端子は、コンデンサを介して互いに交流結合されている。したがって、第2加算回路24に印加されるのは、上記バイアス電源電圧の交流成分のみである。交流結合することで、バイアス電源電圧の供給先毎に電圧が異なる直流成分を、除去することができる。
【0027】
以下、上記のような構成のFMCWレーダ装置1の作動について説明する。制御部22は、定期的に繰り返し訪れる所定のサンプリングタイミングの各々において、上述の通り、DAC11に対して所定周期の三角波状のデジタル信号を入力すると同時に、
図2に示す処理を実行する。
【0028】
図2の処理においては、まずステップ110で、ADC21から入力された各チャンネルのビート信号の取得を、開始する。ここで、チャンネルは、アレーアンテナを構成する上記複数の受信アンテナに1対1に対応する概念である。例えば、受信アンテナ18aのチャンネルのビート信号は、受信アンテナ18aが受信した受信信号から生成されたビート信号である。
【0029】
なお、取得する各ビート信号は、1掃引分のビート信号である。1掃引は、
図3に示すように、上記送信波(変調信号)TSの上昇部41および当該上昇部41の直後の下降部42の1対から成る期間43である。
【0030】
続いてステップ120では、第1加算回路23および第2加算回路24で加算されたバイアス電源電圧のデジタルデータを、ADC21から取得する。取得期間は、
図3に示すように、1掃引の期間43の範囲内で、期間43の開始時点から第1のマージン期間が経過した時点で始まり、期間43の終了時点よりも第2のマージン期間だけ遡る時点で終了する電圧取得期間44である。
【0031】
この電圧取得期間44に、VCO12、BA13、PA15、LA17へのバイアス電源電圧が第1加算回路23に印加されると、第1加算回路23でそれら電源電圧の交流成分が加算される。そして、加算結果の電圧(アナログ信号)が、第1加算回路23からADC21の1つの入力ポートに入力される。するとADC21は、当該入力ポートに入力された電圧を所定のサンプリングレートで取得して順次デジタル電圧値に変換し、制御部22に入力する。
【0032】
また、この電圧取得期間44に、ミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22へのバイアス電源電圧が第2加算回路24に印加されると、第2加算回路24でそれら電源電圧の交流成分が加算される。そして、加算結果の電圧(アナログ信号)が、第2加算回路24からADC21の他の1つの入力ポートに入力される。するとADC21は、当該入力ポートに入力された電圧を上記と同じ所定のサンプリングレートで取得して順次デジタル電圧値に変換し、制御部22に入力する。
【0033】
制御部22は、このようにして第1加算回路23から出力されてADC21でデジタル化された第1デジタル電圧値を取得すると共に、第2加算回路24から出力されてADC21でデジタル化された第2デジタル電圧値を取得する。そして、これら第1デジタル電圧値に第2デジタル電圧値を加算して合成デジタル電圧値を得る。
【0034】
この合成デジタル電圧値は、電源バイアス回路10からVCO12、BA13、PA15、LA17、ミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22へのバイアス電源電圧の交流成分の総和に相当する。後述するように、電圧取得期間44内におけるこの合成デジタル電圧値の変化に基づいて、電源バイアス回路10の発振の有無を判定できる。なお、ステップ110で開始されたビート信号の取得は、電圧取得期間44の間も継続する。
【0035】
あらかじめ設定された電圧取得期間44が終了すると、ステップ120におけるバイアス電源電圧のデジタルデータの取得が終了し、続いて、合成デジタル電圧値の処理期間45が始まる。
【0036】
この期間45では、まずステップ130で、ステップ120で取得した合成デジタル電圧値の電圧取得期間44内の時間−電圧波形を高速フーリエ変換(離散フーリエ変換の一例に相当する)する。これにより、電圧取得期間44内における合成デジタル電圧値の周波数−強度特性(周波数毎の信号強度を示すデータ)を取得することができる。
【0037】
続いてステップ140では、発振判定を行う。この発振判定では、直前のステップ130で得た合成デジタル電圧値の周波数−強度特性に基づいて、電源バイアス回路10の発振に由来して、電源バイアス回路10から供給されるバイアス電源電圧に発振ノイズが重畳されたか否かを判定する。
【0038】
この発振判定では、
図4に示すように、まずステップ210で、合成デジタル電圧値の周波数−強度特性に基づいて、強度のピーク値(極大値)のうち、所定の強度閾値T1を超えるものがあるか否か判定する。超えるものが有る場合は、ステップ230に進み、発振フラグをオンにし、発振判定処理を終了する。超えるものが無い場合は、ステップ220に進む。
【0039】
電源バイアス回路10が発振し、それに起因して、VCO12、BA13、PA15、LA17、ミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22に供給されるバイアス電源電圧の少なくとも1つに定常的な発振ノイズが重畳されたとする。その場合、合成デジタル電圧値の周波数−強度特性では、発振ノイズの周波数に相当する部分に、強度の高いピークが表れるはずである。したがって、上記のように、強度のピーク値のうち強度閾値T1を超えるものがあれば発振フラグをオンにすることで、電源バイアス回路10の発振を検出できる。
【0040】
ステップ220では、合成デジタル電圧値のフロアノイズレベルを算出する。具体的には、合成デジタル電圧値の周波数−強度特性に基づいて、強度を周波数積分する。そして、その結果得られた積分値を、FFTによって得られた周波数−強度特性の周波数範囲で除算する。この除算の結果得られた値は、周波数−強度特性における強度の平均値であるが、この平均値を、フロアノイズレベルとする。そして、このフロアノイズと、所定のフロアノイズ閾値T1とを比較し、フロアノイズの方が大きいか否かを判定する。なお、フロアノイズレベルとしては、周波数−強度特性における強度の平均値のみならず、当該平均値に係数を乗算した値、当該平均値の自乗等の、当該平均値に相当する量であれば、どのような量であってもよい。
【0041】
フロアノイズの方が大きい場合は、ステップ230に進み、発振フラグをオンにし、発振判定処理を終了する。フロアノイズの方が大きい場合は、ステップ240に進み、発信フラグをオフにし、発振判定処理を終了する。
【0042】
フロアノイズとフロアノイズ閾値T1との比較に基づいて発振フラグのオン、オフを決定する意義は、次の通りである。
【0043】
第1加算回路23および第2加算回路24から入力される電圧に対するADC21のサンプリングレートが、発振ノイズの周波数よりも十分大きい場合(具体的には、発振ノイズの周波数の2倍以上の場合)は、
図5に例示するように、発振ノイズが、合成デジタル電圧値の周波数−強度特性31において、発振の周波数(およびその整数倍の周波数)におけるピーク31a、31bとして表れる。例えば、発振ノイズの周波数が50kHzで、サンプリングレートが1MHzの場合は、合成デジタル電圧値の周波数−強度特性において、発振ノイズがピークとして表れる。
【0044】
しかし、第1加算回路23および第2加算回路24から入力される電圧に対するADC21のサンプリングレートが、発振ノイズの周波数よりも十分大きくない場合は、発振ノイズが、必ずしも合成デジタル電圧値の周波数−強度特性中のピークとして表れない。この場合、発振ノイズは、
図6に例示するように、広い周波数に渡って分散してサンプリングされてしまい、周波数−強度特性32の強度は、広い周波数に渡って増加する。例えば、発振ノイズの周波数が数十MHz付近で、サンプリングレートが1MHzの場合は、合成デジタル電圧値の周波数−強度特性において、発振ノイズがピークとして表れない。
【0045】
したがって、フロアノイズの方が大きい場合は、ステップ230に進み、発振フラグをオンにすることで、ADC21のサンプリング周期ではピークとして検出できない周波数の発信ノイズも、検出可能となる。
【0046】
ステップ140の発振判定に続いては、ステップ150に進み、発振判定の結果に基づいて、電源バイアス回路10に発振が有るか否か判定する。具体的には、発振フラグがオフならば電源バイアス回路10に発振が無いと判定してステップ160に進み、発振フラグがオンならば電源バイアス回路10に発振が有ると判定してステップ170に進む。
【0047】
ステップ160では、周知のレーダ測距処理を行う。すなわち、上記期間43に取得した各チャンネルのビート信号に基づいて、周知のFFT処理、受信方位推定処理、ペアマッチ処理、物標化処理等を行うことで、FMCWレーダ装置1から物標(他車両等の物体)までの距離、および、FMCWレーダ装置1から見た物標の相対速度を検出する。各チャンネルのビート信号に基づいて、物標の距離および相対速度を検出する方法は周知なので、ここでは説明を省略する。
【0048】
更にステップ160では、検出した物標の距離および相対速度の情報、すなわち、物標データを、CAN2を介して、プリクラッシュ制御ECUに送信する。プリクラッシュ制御ECUは、この物標データを受信すると、周知のプリクラッシュ制御を行う。例えば、FMCWレーダ装置1から所定の距離以内に所定の相対速度以上で近づいてくる物標があるか否か判定し、ある場合にのみ、当該物標との衝突に備えて、自動ブレーキの作動、プリテンショナの作動、警告音出力等を行う。ステップ160の後は、次のサンプリングタイミングまで待った上でステップ110に戻る。
【0049】
ステップ170では、CAN2を介して、電源バイアス回路10に発振があったことを示す信号を、プリクラッシュ制御ECU等に出力する。プリクラッシュ制御ECUは、この信号を受信すると、車両の乗員に異常を報知してもよい。ステップ170の後は、電源バイアス回路10に異常があって誤検出を行う可能性が高いので、測距処理を終了する。すなわち、ステップ160の処理をこれ以上繰り返さない。
【0050】
以上説明したとおり、制御部22は、送信部が送信信号を送信し、かつ、受信部がビート信号を出力している期間43内の電圧取得期間44において、各部へのバイアス電源電圧に応じた電圧値の周波数−強度特性を取得する。そして、周波数−強度特性が所定の発振条件(ステッ210と220の判定結果のうち少なくとも一方が肯定判定となるという条件)を満たしているか否かに基づいて、電源バイアス回路10に発振があるか否かを判定する。また、期間43外の各部へのバイアス電源電圧は、電源バイアス回路10の発振の有無の判定に使用しない。
【0051】
このようになっていることで、従来に無い方法で従来に無い方法で電源バイアス回路の発振に起因する発振ノイズを検出することができる。また、発振の有無を判定するために用いる周波数−強度特性は、送信部が送信信号を送信し、かつ、受信部がビート信号を出力している期間内の電圧取得期間のものなので、FMCWレーダ装置1の実際の測距作動時(つまり、期間43内)における電源バイアス回路10の発振を、直接的に検出することができる。
【0052】
また、周波数−強度特性を取得する電圧値は、複数のバイアス電源電圧供給先へのバイアス電源電圧の総和の電圧値である。このような量を用いることで、周波数−強度特性を1種類算出するだけで、複数の複数のバイアス電源電圧供給先のいずれかへのバイアス電源電圧に発振ノイズが印加されたか否かを判定することができる。
【0053】
また、第1加算回路23、第2加算回路24からは、複数のバイアス電源電圧供給先へのバイアス電源電圧が加算された電圧をADC21に印加する。このようになっていることで、ADC21において、複数のバイアス電源電圧供給先の全部から電圧の入力を受ける必要がなくなるので、必要な入力ポートの数を低減することができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、第1加算回路23、第2加算回路24、および、ADC21のうち第1加算回路23および第2加算回路24から入力された電圧をサンプリングしてデジタル電圧値として出力する機能部分が、電源バイアス回路から送信部、受信部、および制御部のいずれかに供給されるバイアス電源電圧が入力され、入力されたバイアス電源電圧に応じた信号を出力する回路の一例に相当する。また、制御部22が、
図2のステップ130を実行することで周波数−強度特性取得手段の一例として機能し、ステップ140、150を実行することで周波数−強度特性取得手段の一例として機能する。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、電源バイアス回路10からVCO12、BA13、PA15、LA17、ミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22へのバイアス電源電圧の交流成分の総和に基づいて、電源バイアス回路10の発振の有無を判定していた。これに対し、本実施形態では、これら各部12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22に供給されるバイアス電源電圧について、個々に周波数−強度特性を取得することで、電源バイアス回路10の発振の有無を判定する。
【0056】
図7に、本実施形態に係るFMCWレーダ装置1の構成を示す。なお、
図1と
図7において同一の符号が付された構成要素は、互いに同一の機能を有するものであり、ここではそれらの詳細についての説明は省略する。
【0057】
本実施形態のFMCWレーダ装置1が第1実施形態と異なるのは、本実施形態では第1加算回路23および第2加算回路24が廃されていること、および、新たにスイッチ回路25を有するようになったことである。
【0058】
スイッチ回路25には、電源バイアス回路10からVCO12、BA13、PA15、LA17、ミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22に供給されるバイアス電源電圧のそれぞれが印加される。スイッチ回路25は、制御部22の制御に従って、これら、バイアス電源電圧のうち1つのみを選択してADC21の1つの入力ポートに入力する。
【0059】
なお、これらVCO12、BA13、PA15、LA17、ミキサ19a〜19x、BBAMP20、ADC21、制御部22へのバイアス電源電圧の電源バイアス出力点(黒丸の点)と、スイッチ回路25の入力端子は、コンデンサを介して互いに交流結合されている。したがって、スイッチ回路25に印加されるのは、上記バイアス電源電圧の交流成分のみである。交流結合することで、バイアス電源電圧の供給先毎に電圧が異なる直流成分を、除去することができる。
【0060】
以下、本実施形態のFMCWレーダ装置1の作動について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。制御部22は、サンプリングタイミングの各々において、DAC11に対して所定周期の三角波状のデジタル信号を入力すると同時に、
図2の処理に代えて、
図8に示す処理を実行する。
【0061】
図8の処理においては、まずステップ110で、
図2のステップ110と同じ方法で、ADC21から入力された各チャンネルのビート信号の取得を、開始する。
【0062】
なお、取得する各ビート信号は、1掃引分のビート信号である。1掃引は、
図9に示すように、上記送信波(変調信号)TSの上昇部41および当該上昇部41の直後の下降部42の1対から成る期間43である。
【0063】
続いてステップ125では、上記のようにスイッチ回路25からADC21に入力されるバイアス電源電圧のデジタルデータを、ADC21から取得する。取得期間は、
図9に示すように、1掃引の期間43の範囲内で、期間43の開始時点から第1のマージン期間が経過した時点で始まり、期間43の終了時点よりも第2のマージン期間だけ遡る時点で終了する電圧取得期間44である。
【0064】
ただし、電圧取得期間44内において、スイッチ回路25が選択してADC21に入力するバイアス電源電圧を、VCO12への供給電圧、BA13への供給電圧、PA15への供給電圧、LA17への供給電圧、ミキサ19a〜19xへの供給電圧、BBAMP20への供給電圧、ADC21への供給電圧、制御部22への供給電圧の順に、順次切り替える。
【0065】
具体的には、スイッチ回路25を制御して、電圧取得期間44内の、第1サブ期間44aでは、VCO12に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第2サブ期間44bでは、BA13に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第3サブ期間44cでは、PA15に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第4サブ期間44dでは、LA17に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第5サブ期間44eでは、ミキサ19a〜19xに供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第6サブ期間44fでは、BBAMP20に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第7サブ期間44gでは、ADC21に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。また、第8サブ期間44hでは、制御部22に供給されるバイアス電源電圧がADC21に入力されるよう切り替える。
【0066】
これにより、ADC21は、第1〜第8サブ期間44a〜44hの各々で、それぞれ異なる部分12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22に供給されるバイアス電源電圧を所定のサンプリングレートで取得して順次デジタル電圧値に変換し、制御部22に入力する。
【0067】
したがって、制御部22は、第1〜第8サブ期間44a〜44hの各々で、それぞれ異なる部分12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22に供給されるバイアス電源電圧のデジタル電圧値を取得する。なお、第1〜第8サブ期間44a〜44hの長さは、あらかじめ定められている。
【0068】
あらかじめ設定された電圧取得期間44が終了すると、ステップ125におけるバイアス電源電圧のデジタルデータの取得が終了し、続いて、各デジタル電圧値の処理期間45が始まる。
【0069】
この期間45では、まずステップ135で、ステップ125で取得したデジタル電圧値を用いて、各サブ期間44a〜44hで取得したデジタル電圧値毎に、当該サブ期間内の時間−電圧波形を、高速フーリエ変換する。これにより、サブ期間44a〜44h内におけるデジタル電圧値の周波数−強度特性を取得することができる。
【0070】
続いてステップ145では、発振判定を行う。この発振判定では、直前のステップ135で得た合成デジタル電圧値の周波数−強度特性に基づいて、電源バイアス回路10の発振に由来して、電源バイアス回路10から供給されるバイアス電源電圧に発振ノイズが重畳されたか否かを判定する。
【0071】
具体的には、第1〜第8サブ期間44a〜44hの各々について、当該サブ期間で取得したデジタル電圧信号に基づく周波数−強度特性を用いて第1実施形態で
図4に示した処理を実行する。ただし、発振フラグは、第1〜第8サブ期間44a〜44h毎に別々に設ける。具体的には、第1〜第8サブ発振フラグを、それじ、第1〜第8サブ期間44a〜44用の発振フラグとして用いる。これにより、第1〜第8サブ期間44a〜44h毎に、当該サブ期間の周波数−強度特性に基づいて、対応するサブ発振フラグのオン、オフが決まる。
【0072】
ステップ145の発振判定に続いては、ステップ155に進み、発振判定の結果に基づいて、電源バイアス回路10に発振が有るか否か判定する。具体的には、第1〜第8サブ発振フラグのすべてがオフならば電源バイアス回路10に発振が無いと判定してステップ160に進む。一方、第1〜第8サブ発振フラグのうち1つ以上がオンならば電源バイアス回路10に発振があると判定してステップ170に進む。
【0073】
ステップ160の処理内容およびそれに対応するプリクラッシュ制御ECUの作動内容は、第1実施形態と同じである。
【0074】
ステップ170では、CAN2を介して、電源バイアス回路10に発振があったことを示す信号を、プリクラッシュ制御ECU等に出力する。このとき、オンになっているサブ発振フラグに対応するバイアス電源電圧供給先(例えば、第1サブ発振フラグならVCO12)の情報も、プリクラッシュ制御ECU等に出力してもよい。
【0075】
プリクラッシュ制御ECUは、この信号を受信すると、車両の乗員に異常を報知してもよい。この際、オンになっているサブ発振フラグに対応するバイアス電源電圧供給先の情報を受信している場合、その情報も車両の乗員に報知してもよい。ステップ170の後は、電源バイアス回路10に異常があって誤検出を行う可能性が高いので、測距処理を終了する。すなわち、ステップ160の処理をこれ以上繰り返さない。
【0076】
このようになっていることで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、スイッチ回路25およびADC21は、複数のバイアス電源電圧供給先12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22に供給されるバイアス電源電圧を、1つずつ切り替えて出力する。そして、制御部22は、電圧取得期間44内の複数のサブ期間44a〜44hにおいて、それぞれ、複数のバイアス電源電圧供給先12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22に供給されるバイアス電源電圧のうち異なる1つの周波数−強度特性を取得する。また、制御部22は、複数のバイアス電源電圧供給先に供給されるバイアス電源電圧の周波数−強度特性のうち1つ以上が所定の発振条件(ステッ210と220の判定結果のうち少なくとも一方が肯定判定となるという条件)を満たしていることに基づいて、電源バイアス回路10に発振があると判定する。
【0077】
このようになっていることで、電源バイアス回路10からのバイアス電源電圧の複数の供給先のうち、どの供給先へのバイアス電源電圧にノイズが重畳されたかを検出することができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、スイッチ回路25、および、ADC21のうち第1加算回路23および第2加算回路24から入力された電圧をサンプリングしてデジタル電圧値として出力する機能部分が、電源バイアス回路から送信部、受信部、および制御部のいずれかに供給されるバイアス電源電圧が入力され、入力されたバイアス電源電圧に応じた信号を出力する回路の一例に相当する。
【0079】
また、制御部22が、
図8のステップ135を実行することで周波数−強度特性取得手段の一例として機能し、ステップ145、155を実行することで周波数−強度特性取得手段の一例として機能する。
【0080】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0081】
(変形例1)
例えば、上記第1、第2実施形態では、或る1つのサンプリングタイミングにおいて発振フラグ(第1実施形態では1つ以上のサブ発振フラグ。以下同じ。)がオンになれば、それよりも前のサンプリングタイミングにおいて発振フラグがオンになっていなくても、
図2のステップ150、155で電源バイアス回路10に発振が発生したと判定し、発振があったことを示す信号をプリクラッシュ制御ECUに送信している。
【0082】
しかし、必ずしもこれらのようになっておらずともよい。例えば、発振フラグがオンになるサンプリングタイミングが所定の複数回以上になるまでは、
図2のステップ155で電源バイアス回路10に発振が発生したと判定せず、当該発振フラグがオンになるサンプリングタイミングが当該所定の複数回以上になったときに初めて、電源バイアス回路10に発振が発生したと判定し、発振があったことを示す信号をプリクラッシュ制御ECUに送信するようになっていてもよい。このようにすることで、更に精度の高い発振判定を実現することができる。
【0083】
(変形例2)
また、上記第1、第2実施形態では、電圧取得期間44は、1掃引の期間43内にあり、かつ、1掃引の期間43よりも短かった。しかし、電圧取得期間44は、1掃引の期間43と一致していてもよい。
【0084】
(変形例3)
また、上記第1、第2実施形態では、バイアス電源電圧の電源バイアス出力点(
図1、
図7の黒丸の点)と、第1加算回路23、第2加算回路24、スイッチ回路25の入力端子は、コンデンサを介して互いに交流結合されている。しかし、バイアス電源電圧の供給先毎に電圧が異なる直流成分を除去するという効果が必要ないなら、交流結合ではなく、コンデンサを介さない直接結合を採用してもよい。
【0085】
(変形例4)
また、上記第1、第2実施形態では、FMCWレーダ装置1内において電源バイアス回路10からバイアス電源電圧の供給を受けるすべての部材のうち、一部12、13、15、17、19a〜19x、20、21、22へのバイアス電源電圧に基づいて、バイアス回路10の発振を判定している。しかしながら、一部ではなく全部(DAC、第1加算回路23、第2加算回路24を含む)へのバイアス電源電圧に基づいて、バイアス回路10の発振を判定するようになっていてもよい。
【0086】
(変形例5)
なお、上記第1、第2実施形態において、ステップ210の判定を省略してもよいし、ステップ220の判定を省略してもよい。前者の場合は、ステップ220から発振判定処理を実行すればよい。後者の場合は、ステップ210でピーク強度が強度閾値T1を超えていない場合にステップ240に進むようになっていればよい。
【0087】
(変形例6)
上記第1、第2実施形態では、送信部11〜16が送信する送信信号TSは、周波数が順次上昇する上昇部41および周波数が順次下降する下降部42のみを有している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよく、
図10に示すように、送信信号TSは、上記上昇部41および下降部42に加え、周波数が一定値を保持する一定部51、52、53を含んでいてもよい。一定部51は、上昇部41の直前にあり、一定部52は、上昇部41の直後かつ下降部42の直前にあり、一定部53は、下降部42の直後にある。
【0088】
そして、制御部22は、第1、第2実施形態のステップ120、125(
図2、
図8参照)で行っていたバイアス電源電圧のデジタルデータの取得を、上昇部41、下降部42、一定部51〜53を含む1掃引の期間54内の電圧取得期間において、実行する。
【0089】
この電圧取得期間は、一定部51、52、53のそれぞれから前後のマージン期間を除外した期間56、57、58の全部であってもよいし、任意に選んだ一部であってもよい。この場合は、電圧取得期間56、57、58の全部が一定部51、52、53に含まれることになる。
【0090】
あるいは、この電圧取得期間は、1掃引の期間54の全体(あるいは期間54から前後のマージン期間を除外した期間)であってもよい。この場合、電圧取得期間56、57、58の一部のみが一定部51、52、53に含まれることになる。
【0091】
これら電圧取得期間54、56、57、58にて取得されたバイアス電源電圧のデジタルデータを用いた処理内容は、第1、第2実施形態のステップ120、125で取得されたバイアス電源電圧のデジタルデータと同じである。
【0092】
この際、第1、第2実施形態の処理期間45(
図2のステップ130以降、
図8のステップ135以降の処理期間)は、
図10に示すように、一定部53の直後の期間59に変更してもよいし、その他の期間に変更してもよい。例えば、電圧取得期間が一定部53を含まず一定部51、52を含むなら、一定部52の直後の期間としてもよい。
【0093】
このように、測距に用いない一定部を設けることで、測距に影響を与えることなくバイアス回路10の発振の判定を行うことができる。
【0094】
なお、本変形例は更に、送信部11〜16が送信信号TSを送信する1掃引の期間54が、一定部51、52、53のうちいずれか1つを含まないように変形してもよいし、任意に選んだ2つを含まないように変形してもよい。
【0095】
また、
図10において、上昇部41と下降部42の期間を入れ替えてもよい。その場合、1掃引の期間54において、一定部51、下降部54、一定部52、上昇部41、一定部53がこの順序で訪れるようになっていてもよい。ただしその場合、一定部51、53における送信信号TSの周波数は、
図10中の上限周波数であり、一定部52における送信信号TSの周波数は、
図10中の下限周波数である。
【0096】
(変形例7)
上記第1、第2実施形態において、電源バイアス回路10の故障による発振は1掃引の期間43に留まらず常時発生することが既知の場合がある。そのような場合は、制御部22は、第1、第2実施形態のステップ120、125(
図2、
図8参照)で行っていたバイアス電源電圧のデジタルデータの取得を、
図11に示すように、繰り返し訪れる1掃引の期間43以外の電圧取得期間61の全体において、実行するようになっていてもよい。この電圧取得期間61では、送信部11〜16が送信信号TSを送信することもなければ、受信部17、18a〜18x、19a〜19x、20、21がビート信号を出力することもない。期間61を電圧取得期間とした場合は、電圧取得期間61の全部が、1掃引の期間43以外の期間となっている。あるいは、期間61の代わりに期間63を電圧取得期間としてもよい。この場合、電圧取得期間63の一部が、1掃引の期間43以外の期間となっている。
【0097】
これら電圧取得期間61、63にて取得されたバイアス電源電圧のデジタルデータを用いたステップ130、140、135、140の処理内容は、第1、第2実施形態のステップ120、125で取得されたバイアス電源電圧のデジタルデータと同じである。
【0098】
この際、ステップ130、140、135、140の処理と同じ処理を行う期間は、
図11に示すように、期間61、63の直後かつ、送信信号TSの送信もビート信号の出力もない期間62に変更してもよい。
【0099】
このように電圧取得期間61、63の少なくとも一部を測距に用いない期間にすることで、測距に影響を与えることなくバイアス回路10の発振の判定を行うことができる。また、発振判定を行う信号処理を、レーダの測距処理付加の少ない時間に行うことができるので、演算量とメモリ使用量のピークを低減することができる。
【0100】
そして、ステップ130、140、135、140の処理と同じ処理の結果が反映された発振フラグは、期間62よりも後に訪れる(例えば、期間62の後に最初に訪れる)1掃引の期間43において、制御部22が、ステップ150、155、160、170と同様に用いる。