特許第6244878号(P6244878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6244878ディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置及び検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244878
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   F02D45/00 368D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-261387(P2013-261387)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-117622(P2015-117622A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】西山 康宏
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−057531(JP,A)
【文献】 特開昭62−095441(JP,A)
【文献】 特開2010−216264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00−45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンのシリンダーブロックに取り付けられたノックセンサと、前記ノックセンサの測定結果を処理する処理手段とを備えたディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置において、
前記処理手段は、
前記ノックセンサにより前記シリンダーブロックの振動加速度を前記ディーゼルエンジンのサイクル毎に測定する第1のステップと、
最初のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、予め設定された通過帯域のバンドパスフィルタでフィルタリングする第2のステップと、
次のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、前ステップの通過帯域とは異なる予め設定された通過帯域のバンドパスフィルタでフィルタリングする第3のステップと、
前記第3のステップを予め設定された回数繰り返す第4のステップと、
前記第2〜第4のステップでそれぞれフィルタリングされた振動加速度を加算する第5のステップと、
前記加算された振動加速度に基づいて前記ディーゼルエンジンの燃焼状態を判定する第6のステップと、を行い、
前記ディーゼルエンジンのエンジン回転速度及び燃料噴射量に応じて、前記サイクル毎の予め設定されたフィルタの通過帯域が設定されていることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
ディーゼルエンジンの燃焼状態を検出する検出方法であって、
前記ディーゼルエンジンの燃焼室での燃焼に伴い発生する振動加速度を、ノックセンサを用いて該ディーゼルエンジンのサイクル毎に測定する第1のステップと、
最初のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、予め設定されたフィルタの通過帯域でフィルタリングする第2のステップと、
次のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、前ステップのフィルタの通過帯域とは異なる予め設定されたフィルタの通過帯域でフィルタリングする第3のステップと、
前記第3のステップを予め設定された回数繰り返す第4のステップと、
前記第2〜第4のステップでそれぞれフィルタリングされた振動加速度を加算する第5のステップと、
前記加算された振動加速度に基づいて前記ディーゼルエンジンの燃焼状態を判定する第
6のステップと、を含み、
前記ディーゼルエンジンのエンジン回転速度及び燃料噴射量に応じて、前記サイクル毎の予め設定されたフィルタの通過帯域が設定されていることを特徴とする検出方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置及び検出方法に関し、更に詳しくは、ディーゼルエンジンの燃焼状態を低コストで検出することができる検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ディーゼルエンジンにおいては、エンジン本体内に形成される燃焼室へ供給する燃料の噴射条件を変えることで、騒音の低下や排ガスの低減を図ることが行われている。そのため、ディーゼルエンジンの燃焼状態を正確に把握することが求められている。
【0003】
このような問題を解決するために、ガソリンエンジンのノッキングを検出するノックセンサを用いてディーゼルエンジン本体の振動加速度を測定し、その測定結果を所定の周波数範囲でフィルタリングすることで燃焼状態を検出することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このノックセンサの測定データをフィルタリングする専用集積回路(ASIC)は、ガソリンエンジンの機種毎に調整されている。そのため、ノッキング時に発生する特徴的な周波数を観測するガソリンエンジンのノッキング検出とは異なり、複数の周波数帯域が観測されるディーゼルエンジンの燃焼状態の検出においてノックセンサを利用するには、ASICを複数用意する必要がある。
【0005】
しかしながら、そのようにASICを複数用意すると、燃焼状態の検出に係るコストが増加してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−216264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ディーゼルエンジンの燃焼状態を低コストで検出することができる検出装置及び検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明のディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置は、ディーゼルエンジンのシリンダーブロックに取り付けられたノックセンサと、前記ノックセンサの測定結果を処理する処理手段とを備えたディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置において、前記処理手段は、前記ノックセンサにより前記シリンダーブロックの振動加速度を前記ディーゼルエンジンのサイクル毎に測定する第1のステップと、最初のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、予め設定された通過帯域のバンドパスフィルタでフィルタリングする第2のステップと、次のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、前ステップの通過帯域とは異なる予め設定された通過帯域のバンドパスフィルタでフィルタリングする第3のステップと、前記第3のステップを予め設定された回数繰り返す第4のステップと、前記第2〜第4のステップでそれぞれフィルタリングされた振動加速度を加算する第5のステップと、前記加算された振動加速度に基づいて前記ディーゼルエンジンの燃焼状態を判定する第6のステップとを行い、前記ディーゼルエンジンのエンジン回転速度及び燃料噴射量に応じて、前記サイクル毎の予め設定されたフィルタの通過帯域が設定されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の目的を達成する本発明のディーゼルエンジンの燃焼状態の検出方法は、ディーゼルエンジンの燃焼状態を検出する検出方法であって、前記ディーゼルエンジンの燃焼室での燃焼に伴い発生する振動加速度を、ノックセンサを用いて該ディーゼルエンジンのサイクル毎に測定する第1のステップと、最初のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、予め設定されたフィルタの通過帯域でフィルタリングする第2のステップと、次のサイクルにおいて測定された前記振動加速度を、前ステップのフィルタの通過帯域とは異なる予め設定されたフィルタの通過帯域でフィルタリングする第3のステップと、前記第3のステップを予め設定された回数繰り返す第4のステップと、前記第2〜第4のステップでそれぞれフィルタリングされた振動加速度を加算する第5のステップと、前記加算された振動加速度に基づいて前記ディーゼルエンジンの燃焼状態を判定する第6のステップと、を含み、前記ディーゼルエンジンのエンジン回転速度及び燃料噴射量に応じて、前記サイクル毎の予め設定されたフィルタの通過帯域が設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置及び検出方法によれば、市販品であるノックセンサをそのまま用いて燃焼状態を検出するようにしたので、ディーゼルエンジンの燃焼状態を低コストで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態からなるディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置の構成図である。
図2】本発明の実施形態からなるディーゼルエンジンの燃焼状態の検出方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態からなるディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置を示す。
【0013】
このディーゼルエンジンの燃焼状態の検出装置(以下、単に「検出装置」という。)は、ディーゼルエンジン1のシリンダーブロック2の外壁に取り付けられたノックセンサ3と、そのノックセンサ3と信号線4で接続された処理手段であるECU5とから構成されている。
【0014】
シリンダーブロック2内には、シリンダー6と、そのシリンダー6内を往復動するピストン7の頂面と、シリンダーブロック2に上方から結合するシリンダーヘッド8の下面とにより、燃焼室9が区画されている。
【0015】
ノックセンサ3は、ガソリンエンジンのノッキングの検出に用いられる市販品であり、振動を圧電素子により電気信号に変換する機能を有している。このノックセンサ3は、複数のシリンダー6毎に取り付けられている。
【0016】
ディーゼルエンジン1の運転時においては、吸気管10の吸気弁11を開放して燃焼室9に空気を導入する吸気行程と、吸入した空気を燃焼室9で圧縮する圧縮行程と、燃料を噴射ノズル12により燃焼室9の圧縮空気中に噴射して燃焼・膨張させる膨張行程と、排気管13の排気弁14を開放して燃焼室の排ガスを排出する排気行程とからなるサイクルが繰り返される。このサイクルの膨張行程において、燃料の燃焼圧力が燃焼室9からシリンダーブロック2やシリンダーヘッド8等に伝わり、その結果として発生した振動加速度をノックセンサ3を通じてECU5が電気信号として測定する。
【0017】
このような検出装置を用いたディーゼルエンジン1の燃焼状態の検出方法(以下、単に「検出方法」という。)を、図2に基づいて以下に説明する。
【0018】
ECU5は、制御変数n(整数)を初期化した後に(S10)、ディーゼルエンジン1の1回のサイクル中にシリンダーブロック2等に発生する振動加速度An(1サイクル分の時系列データ)をノックセンサ3により測定する(S20)。そして、その測定結果Anを予め設定された通過帯域Fnのバンドパスフィルタでフィルタリングしてフィルタリング結果Hnを求める(S30)。
【0019】
この通過帯域Fnは、予め作成されたマップ等により設定され、例えば5kHz〜20kHzの範囲の特定の周波数帯域が選択される。また、フィルタリング処理は、ECU5に組み込まれたFPGAなどの専用ICによるものや、ECU5のCPUに格納されたソフトウェアにより行うことができる。
【0020】
次に、制御変数nが、予め設定されたサイクル回数xになったかを判定し(S40)、x未満であるときには、制御変数nを増分して(S50)、制御変数nがサイクル回数xになるまでステップ20〜50を繰り返す。なお、フィルタリングの通過帯域Fn+1は、前回の通過帯域Fnとは異なるようにするとともに、前回の通過帯域Fnに対して連続的又は断続的に選択される。
【0021】
制御変数nがサイクル回数xになったときには、それまでに求められたフィルタリング結果H1〜Hxを加算してSを算出する(S60)。この加算結果Sを、予め実験又は計算により設定された燃焼状態との関係を示すマップ等と照合することにより、ディーゼルエンジン1の燃焼状態を判定する(S70)。
【0022】
このように、市販品であるノックセンサ3を検出装置及び検出方法にそのまま用いることより、ASICを複数用意する必要がなくなるため、ディーゼルエンジン1の燃焼状態を低コストで検出することができるのである。
【0023】
上記の検出方法は、ディーゼルエンジン1のエンジン回転速度及び燃料噴射量が一定である時期に行うことが望ましい。それらの運転条件により、シリンダーブロック2等に発生する振動加速度の周波数帯域が変化するためである。
【0024】
なお、運転条件が変化する場合には、予め実験により求められたエンジン回転速度及び燃料噴射量に対応して適用される周波数帯域が記録されたデータテーブルなどのマップに基づいて、通過帯域Fnを設定することが望ましい。そのようにすることで、ノックセンサ3が余計な振動加速度を測定することがなくなるので、燃焼状態を精度良く検知することが可能になる。
【符号の説明】
【0025】
1 ディーゼルエンジン
2 シリンダーブロック
3 ノックセンサ
5 ECU
9 燃焼室
図1
図2