(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学系を構成する各面の原点を基準として、面形状の表現式を原点から接線方向に延びる直交座標x及びyに関して多項式展開したものとするときに、第k面を表す多項式の項xm・ynの係数をAkm,nとして、下記(1)から(3)までの条件を満足する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の虚像表示装置。
−10−1 < A10,2 + A12,0 < 10−2 及び
−10−1 < A30,2 + A32,0 < 10−2 … (1)
|A12,0−A10,2| < 10−1 及び
|A32,0−A30,2| < 10−1 … (2)
|A12,0−A32,0| < 10−2 及び
|A10,2−A30,2| < 10−2 … (3)
前記投射レンズの前記非軸対称非球面の原点を基準として、面形状の表現式を原点から接線方向に延びる直交座標x及びyに関して多項式展開したものとするときに、前記非軸対称非球面を表す多項式の項xm・ynの係数をAm,nとしたとき、A2,0とA0,2とが異符号であり、下記の条件を満足する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の虚像表示装置。
10−2 <|A2,0−A0,2| … (4)
前記第2面にハーフミラーを形成し、映像光を観察者に提示するとともに、前記第2面の外側に光透過部材を一体的に配置し、外界光に対する視度を略0にして、外界光と映像光とを重ねて観察者に提示する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の虚像表示装置。
前記映像素子は、画像に対応して変調された信号光を射出する信号光形成部と、前記信号光形成部から入射した信号光を走査させることにより走査光として射出させる走査光学系と、を有する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の虚像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、
図1等を参照しつつ、本発明に係る虚像表示装置の一実施形態について詳細に説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の虚像表示装置100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この虚像表示装置100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる。虚像表示装置100は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2光学部材101a,101bと、両光学部材101a,101bを支持する枠部102と、枠部102の左右両端から後方のつる部分(テンプル)104にかけての部分に付加された第1及び第2像形成本体部105a,105bとを備える。ここで、図面上で左側の第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとを組み合わせた第1表示装置100Aは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとを組み合わせた第2表示装置100Bは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。
【0035】
図1及び
図2に示すように、虚像表示装置100に設けた枠部102は、上側に配置されるフレーム107と下側に配置されるプロテクター108とを備える。枠部102のうち、上側のフレーム107は、XZ面内でU字状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、左右の横方向(X方向)に延びる正面部107aと、前後の奥行き方向(Z方向)に延びる一対の側面部107b,107cとを備える。フレーム107、すなわち正面部107aと側面部107b,107cとは、アルミダイカストその他の各種金属材料で形成された金属製の一体部品である。正面部107aの奥行き方向(Z方向)の幅は、第1及び第2光学部材101a,101bに対応する導光装置20の厚み又は幅よりも十分に厚いものとなっている。フレーム107の左側方、具体的には正面部107aにおける向かって左端部から側面部107bにかけての部分には、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとがアライメントされ例えばネジ止めによって直接固定されることにより、支持されている。また、フレーム107の右側方、具体的には正面部107aにおける向かって右端部から側面部107cにかけての部分には、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとがアライメントされ例えばネジ止めにより直接固定されることによって、支持されている。なお、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとは、嵌合によって互いにアライメントされ、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとは、嵌合によって互いにアライメントされる。枠部102のうち下側に配置されるプロテクター108は、アンダーリム状の部材であり、フレーム107の下方に配置されて固定されている。プロテクター108は、2段のクランク状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、金属材料又は樹脂材料から一体的に形成されている。
【0036】
フレーム107は、第1及び第2像形成本体部105a,105bを支持するだけでなく、これらを覆うカバー状の外装部材105dと協働して第1及び第2像形成本体部105a,105bの内部を保護する役割を有する。なお、フレーム107及びプロテクター108は、第1及び第2像形成本体部105a,105bに連結される根元側を除いた導光装置20の長円状の周囲部分と離間するか又は緩く接している。このため、中央の導光装置20と、フレーム107及びプロテクター108を含む枠部102との間に熱膨張率の差があっても、枠部102内での導光装置20の膨張が許容され、導光装置20に歪み、変形、破損が生じることを防止できる。
【0037】
フレーム107に付随して、鼻受部40が設けられている。鼻受部40は、観察者の鼻に当接することによって枠部102を支持する役割を有する。つまり、枠部102は、鼻に支持される鼻受部40と耳に支持される一対のテンプル部104とによって、観察者の顔前に配置されることになる。鼻受部40は、枠部102を構成する一方のフレーム107の正面部107aにおいて、枠部102を構成する他方のプロテクター108の中央部に挟まれるようにして、ねじ止めによって固定されている。なお、以上のように
図1を参照して示す外観は、一例であり、例えばねじ止めによって固定される機構等に関して、光学的機構として直接関与しない箇所等については、適宜設計を変更することが可能である。
【0038】
図2及び
図3に示すように、第1表示装置100Aは、投影用の光学系である投射透視装置70と、映像光を形成する画像表示装置80とを備えると見ることができる。なお、
図3は、虚像表示装置100における光学系の光軸AXを含む基準面SR(
図2参照)についての断面を示すものとなっている。投射透視装置70は、第1像形成本体部105aによって形成された画像を虚像として観察者の眼に投射する役割を有する。投射透視装置70は、導光及び透視用の導光部材10と、透視用の光透過部材50と、結像用の投射レンズ30とを備える。つまり、第1光学部材101a又は導光装置20は、導光部材10と光透過部材50とで構成され、第1像形成本体部105aは、画像表示装置80と投射レンズ30とで構成される。
【0039】
以下、
図3を参照して、第1像形成本体部105aを構成する画像表示装置80と投射レンズ30とについて説明する。
【0040】
画像表示装置80は、照明光を射出する照明装置81と、透過型の空間光変調装置である映像表示素子82と、照明装置81及び映像表示素子82の動作を制御する駆動制御部84とを有する。
【0041】
画像表示装置80の照明装置81は、赤、緑、及び青の3色を含む光を発生する光源81aと、この光源からの光を拡散させて矩形断面の光束にするバックライト導光部81bとを有する。映像表示素子(映像素子)82は、例えば液晶表示デバイスで形成され、複数の画素で構成されており、照明装置81からの照明光を空間的に変調して動画像等の表示対象となるべき画像光を形成する。駆動制御部84は、光源駆動回路84aと、液晶駆動回路84bとを備える。光源駆動回路84aは、照明装置81に電力を供給して安定した輝度の照明光を射出させる。液晶駆動回路84bは、映像表示素子(映像素子)82に対して画像信号又は駆動信号を出力することにより、透過率パターンとして動画や静止画の元になるカラーの映像光又は画像光を形成する。なお、液晶駆動回路84bに画像処理機能を持たせることができるが、外付けの制御回路に画像処理機能を持たせることもできる。
【0042】
投射レンズ30は、構成要素として、入射側光軸AXIに沿って3つの光学素子(レンズ)31〜33を備える投射光学系であり、これらの光学素子31〜33を収納して支持する鏡筒(図示省略)を含む。光学素子31〜33は、例えば非軸対称な非球面(非軸対称非球面)と軸対称な非球面(軸対称非球面)との双方を含む非球面レンズであり、導光部材10の一部と協働して導光部材10の内部に映像表示素子82の表示像に対応する中間像を形成する。第1レンズ31は、導光部材10側に配置されるレンズであり、導光部材10のうち光の入射面に対向する光の射出面であるレンズ面31aと光の入射面であるレンズ面31bとを有する。第2レンズ32は、光の光路上において第1レンズ31の上段側に配置され、光の射出面であるレンズ面32aと光の入射面であるレンズ面32bとを有する。第3レンズ33は、光の光路上において第2レンズ32の上段側に配置され、光の射出面であるレンズ面33aと光の入射面であるレンズ面33bとを有する。第3レンズ33のレンズ面33bは、映像表示素子82に対向する入射面となっている。ここでは、特に、3つの光学素子のうちの1つである第1レンズ31が、非軸対称非球面であるレンズ面31aを有するものとなっている。非軸対称非球面については、非軸対称すなわち回転対称な形状ではなく、かつ、球面でない面を意味するが、代表的には、対称性の無い自由曲面等があげられる。また、非軸対称非球面として、例えばアナモフィック非球面のように回転対称ではないが2つの対称断面を有するような形状であってもよいものとする。なお、投射レンズ30のうちレンズ面31a以外の5つのレンズ面31b,32a,32b,33a,33bについては、軸対称非球面となっている。つまり、投射レンズ30は、非軸対称非球面以外の面として、2面以上の軸対称非球面を含んでいることになる。投射レンズ30が非軸対称非球面よりも多くの軸対称非球面を含むものとすることで、投射レンズ30の作製や他の部材への組付け困難なものとなることを極力回避できる。
【0043】
以下、
図3を参照して、投射透視装置70等の機能、動作等の詳細について説明する。投射透視装置70のうち、プリズム型の導光装置20の一部である導光部材10は、平面視において耳に近い(鼻から離れた)周辺側の部分が顔面に沿うように例えば湾曲した円弧状となっており、鼻に近い中央側(眼前側)の部分が直線状となっている部材である。導光部材10のうち、第1導光部分11は、鼻に近い中央側つまり光射出側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第1面S11と、第2面S12と、第3面S13とを有し、第2導光部分12は、鼻から離れた周辺側つまり光入射側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第4面S14と、第5面S15とを有する。このうち、第1面S11と第4面S14とが連続的に隣接し、第3面S13と第5面S15とが連続的に隣接する。また、第1面S11と第3面S13との間に第2面S12が配置され、第4面S14と第5面S15とは大きな角度を成して隣接している。さらに、ここでは、対向した配置となっている第1面S11と第3面S13とが互いに略平行な平面形状となっている。一方、光学的な機能を有する他の面、すなわち第2面S12、第4面S14及び第5面S15は、非軸対称な曲面(自由曲面)となっている。
【0044】
以下、導光部材10を構成する各面について詳しく説明する。導光部材10において、第1面S11は、Z軸に平行な射出側光軸AXOをローカルz軸とする平面であり、第2面S12は、XZ面に平行な基準面(図示の断面)に含まれZ軸に対して傾斜した光軸AX1をローカルz軸とする自由曲面であり、第3面S13は、射出側光軸AXOをローカルz軸とする平面である。第4面S14は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX3,AX4の2等分線に平行な光軸をローカルz軸とする自由曲面であり、第5面S15は、XZ面に平行な上記基準面に含まれるとともにZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX4,AX5の2等分線に平行な光軸をローカルz軸とする自由曲面である。光軸AX5の第5面S15側の延長上には、入射側光軸AXIが配置されている。なお、以上の第1〜第5面S11〜S15は、水平(又は横)に延びXZ面に平行で光軸AX1〜AX5等が通る基準面(図示の断面)を挟んで、鉛直(又は縦)のY軸方向に関して対称な形状を有している。
【0045】
なお、導光部材10を構成する複数の面のうち、第1面S11から第3面S13までの面以外の面S14,S15のうち、少なくとも1つの自由曲面について、方向によって曲率の符号が異なっている点を少なくとも1つ含むものとなっている。これにより、映像光の導光を精密に制御しつつ、導光部材10の小型化を可能にしている。
【0046】
導光部材10のうち本体10sは、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されており、例えば金型内に熱可塑性樹脂を注入・固化させることにより成形する。なお、本体10sの材料としては、例えばシクロオレフィンポリマー等を用いることができる。本体10sは、一体形成品とされているが、導光部材10は、既に説明したように機能的に第1導光部分11と第2導光部分12とに分けて考えることができる。第1導光部分11は、映像光GLの導波及び射出を可能にするとともに、外界光HLの透視を可能にする。第2導光部分12は、映像光GLの入射及び導波を可能にする。
【0047】
第1導光部分11において、第1面S11は、映像光GLを第1導光部分11外に射出させる屈折面として機能するとともに、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第1面S11は、眼EYの正面に配されるものであり、既述のように、平面形状を成している。なお、第1面S11は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0048】
第2面S12は、本体10sの表面であり、当該表面にハーフミラー層15が付随している。このハーフミラー層15は、光透過性を有する反射膜(すなわち半透過反射膜)である。ハーフミラー層(半透過反射膜)15は、第2面S12の全体ではなく、第2面S12を主にY軸に沿った鉛直方向に関して狭めた部分領域PA上に形成されている(
図2参照)。ハーフミラー層15は、本体10sの下地面のうち部分領域PA上に、金属反射膜や誘電体多層膜を成膜することにより形成される。ハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光HLの観察を容易にする観点で、想定される映像光GLの入射角範囲において10%以上50%以下とする。具体的な実施例のハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、例えば20%に設定され、映像光GLに対する透過率は、例えば80%に設定される。
【0049】
第3面S13は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第3面S13は、眼EYの正面に配されるものであり、第1面S11と同様に、平面形状を成しており、かつ、第1面S11と第3面S13とが互いに平行な面であることにより、第1面S11と第3面S13とを通過させて外界光HLを見たときに、視度が0になっており、特に、変倍も生じさせないものとなっている。なお、第3面S13は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0050】
第2導光部分12において、第4面S14は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第4面S14は、映像光GLを第2導光部分12内に入射させる屈折面としても機能する。すなわち、第4面S14は、外部から導光部材10に映像光GLを入射させる光入射面と、導光部材10の内部において映像光GLを伝搬させる反射面としての機能を兼用している。なお、第4面S14は、本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0051】
第2導光部分12において、第5面S15は、本体10sの表面上に無機材料で形成される光反射膜RMを成膜することで形成され、反射面として機能する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、導光部材10の内部において、映像表示素子82からの映像光を、少なくとも2回の全反射を含む第1面S11から第5面S15までにおける5回の反射によって導光している。これにより、映像光GLの表示と外界光HLの視認させるシースルーとを両立させ、かつ、映像光GLの収差の補正を行うことが可能になる。
【0053】
また、上記のような構成において、投射レンズ30における投射レンズ光軸である入射側光軸AXIと、観察者の視線として想定される視線軸に相当する射出側光軸AXOとは、0°より大きく30°以下の角度をなしている。これにより、本実施形態のように、例えば映像表示素子82を観察者の眼EYの上方に置かないで顔の横に配置する構成とする場合に、観察者の装着感を向上させ、かつ、見た目のフォルムを良い状態に維持する形状とするにあたって、光学系の配置が障害とならないようにすることができる。
【0054】
光透過部材50は、既述のように導光部材10と一体的に固定され1つの導光装置20となっている。光透過部材50は、導光部材10の透視機能を補助する部材(補助光学ブロック)であり、光学的な機能を有する側面として、第1透過面S51と、第2透過面S52と、第3透過面S53とを有する。ここで、第1透過面S51と第3透過面S53との間に第2透過面S52が配置されている。第1透過面S51は、導光部材10の第1面S11を延長した面上にあり、第2透過面S52は、当該第2面S12に対して接着層CCによって接合され一体化されている曲面であり、第3透過面S53は、導光部材10の第3面S13を延長した面上にある。このうち第2透過面S52と導光部材10の第2面S12とは、薄い接着層CCを介しての接合によって一体化されるため、略同じ曲率の形状を有する。
【0055】
光透過部材(補助光学ブロック)50は、可視域で高い光透過性を示し、光透過部材50の本体部分は、導光部材10の本体10sと略同一の屈折率を有する熱可塑性樹脂材料で形成されている。なお、光透過部材50は、本体部分を導光部材10の本体10sに接合した後、接合された状態で本体10sとともにハードコートによる成膜がなされて形成されるものである。つまり、光透過部材50は、導光部材10と同様、本体部分の表面にハードコート層27が施されたものとなっている。第1透過面S51と第3透過面S53とは、本体部分の表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0056】
以下、虚像表示装置100における映像光GL等の光路について説明する。映像表示素子(映像素子)82から射出された映像光GLは、投射レンズ30を構成する各レンズ31〜33を通過することによって、収束されつつ、所期の非点収差が与えられ導光部材10に設けた正の屈折力を有する第4面S14に入射する。なお、この非点収差は、導光部材10の各面を経る間に相殺されるものとなっており、最終的に初期の状態で観察者の眼に向けて映像光が射出される。
【0057】
導光部材10の第4面S14に入射してこれを通過した映像光GLは、収束しつつ進み、第2導光部分12を経由する際に、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15で反射され、第4面S14に内側から再度入射して反射される。
【0058】
第2導光部分12の第4面S14で反射された映像光GLは、第1導光部分11において、実質的に屈折力を有しない第3面S13に入射して全反射され、実質的に屈折力を有しない第1面S11に入射して全反射される。
【0059】
ここで、映像光GLは、第3面S13を通過する前後において、導光部材10中に中間像を形成する。この中間像の像面IIは、映像表示素子82の像面OIに対応するものである。なお、図示の中間像の像面IIは、第3面S13から第4面S14までにかけての映像光の光路上において形成されるが、これ以外の位置に形成される場合もあり、本実施形態では、第3面S13から第5面S15までにかけての映像光の光路上において形成されるものとする。
【0060】
第1面S11で全反射された映像光GLは、第2面S12に入射するが、特にハーフミラー層15に入射した映像光GLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されて第1面S11に再度入射して通過する。なお、ハーフミラー層15は、ここで反射される映像光GLに対して比較的強い正の屈折力を有するものとして作用する。また、第1面S11は、これを通過する映像光GLに対して屈折力を有しないものとして作用する。
【0061】
第1面S11を通過した映像光GLは、観察者の眼EYの瞳又はその等価位置に略平行光束として入射する。つまり、観察者は、虚像としての映像光GLにより、映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像を観察することになる。
【0062】
一方、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12よりも+X側に入射するものは、第1導光部分11の第3面S13と第1面S11とを通過するが、この際、第3面S13と第1面S11とが互いに略平行な平面となっていることで、収差等をほとんど生じない。つまり、観察者は、導光部材10越しに歪みのない外界像を観察することになる。同様に、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12よりも−X側に入射するもの、つまり、光透過部材50に入射したものは、これに設けた第3透過面S53と第1透過面S51とを通過する際に、第3透過面S53と第1透過面S51とが互いに略平行な平面となっていることで、収差等を生じない。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みのない外界像を観察することになる。さらに、外界光HLのうち、導光部材10の第2面S12に対応する光透過部材50に入射するものは、第3透過面S53と第1面S11とを通過する際に、第3透過面S53と第1面S11とが互いに略平行な平面となっていることで、収差等をほとんど生じない。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。なお、導光部材10の第2面S12と光透過部材50の第2透過面S52とは、略同一の曲面形状をともに有し、略同一の屈折率をともに有し、両者の隙間が略同一の屈折率の接着層CCで充填されている。つまり、導光部材10の第2面S12や光透過部材50の第2透過面S52は、外界光HLに対して屈折面として作用しない。
【0063】
ただし、ハーフミラー層15に入射した外界光HLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されるので、ハーフミラー層15に対応する方向からの外界光HLは、ハーフミラー層15の透過率に弱められる。その一方で、ハーフミラー層15に対応する方向からは、映像光GLが入射するので、観察者は、ハーフミラー層15の方向に映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像とともに外界像を観察することになる。
【0064】
導光部材10内で伝搬されて第2面S12に入射した映像光GLのうち、ハーフミラー層15で反射されなかったものは、光透過部材50内に入射するが、光透過部材50に設けた不図示の反射防止部によって導光部材10に戻ることが防止される。つまり、第2面S12を通過した映像光GLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。また、光透過部材50側から入射してハーフミラー層15で反射された外界光HLは、光透過部材50に戻されるが、光透過部材50に設けた上述の不図示の反射防止部によって導光部材10に射出されることが防止される。つまり、ハーフミラー層15で反射された外界光HLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。
【0065】
図4は、導光部材10中の光軸AX1〜AX5やローカル座標を説明する図である。以下の説明では、光学系の評価や表現の便宜を考慮して、観察者の眼EYから画像表示装置80の映像表示素子82に向けて逆進方向に関して、光学面や光路を規定する。実際の光学系では、映像表示素子82から発した光は、投射レンズ30と導光部材10と順次通り、眼EYに至るのであるが、その状態では光学系の評価がやり難い。そのため、眼EYの位置にある絞りを通して無限遠の光源からの光が、導光部材10に入り、投射レンズ30を通って映像表示素子82に結像するものとして、評価・設計を行なっており、以下に詳述する光学系のデータもその順で表示している。なお、導光部材10に接合されて一体として使用される光透過部材50については、導光部材10の形状を延長したものであり、説明を省略している。
【0066】
図示の導光部材10において、第1面S11の光軸は、射出側光軸AXOと一致しており、第1面S11のローカル座標(x,y,z)は、全体座標(X,Y,Z)と並進関係にあって、第1面S11上に原点を有する。つまり、ローカル座標のz方向は、射出側光軸AXO上にあって進行方向(光線の逆進方向)となっており、ローカル座標のy方向は、全体座標のY方向と平行になっている。以後の各面においても、ローカル座標のy方向は、全体座標のY方向と平行になっている。
【0067】
第2面S12の光軸は、射出側光軸AXOに対して適宜傾けられたものとなっており、第2面S12のローカル座標は、全体座標に対してY軸の周りに適宜回転するとともに並進したものとなっており、第2面S12上に原点を有する。第2面S12のローカル座標のz方向は、射出側光軸AXOと、第2面S12から第1面S11に向けての光束中心の光軸AX1との中間方向になっている。
【0068】
第3面S13の光軸は、射出側光軸AXOと一致しており、第3面S13のローカル座標は、全体座標と並進関係にあって、第3面S13の延長面すなわち第3透過面S53上に原点を有する。
【0069】
以上により、第2面S12から第1面S11に向けての光束中心の光軸AX1と、第1面S11から第3面S13に向けての光束中心の光軸AX2との中間方向は、第1面S11上の光束中心(光軸AX1,AX2の交点)における第1面S11の法線方向と一致している。また、第1面S11から第3面S13に向けての光束中心の光軸AX2と、第3面S13から第4面S14に向けての光束中心の光軸AX3との中間方向は、第3面S13上の光束中心(光軸AX2,AX3の交点)における第3面S13の法線方向と一致している。
【0070】
第3面S13から次の第4面S14に向かう光路において、そのローカル座標は、進行方向(光線の逆進方向)に対応するものとなっている。つまり、第3面S13から第4面S14にかけてのローカル座標のz方向は、光束中心の光軸AX3と一致しており、このローカル座標のy方向は、全体座標のY方向と平行になっている。
【0071】
第4面S14のローカル座標の原点は、この第4面S14上にある。また、第4面S14のローカル座標のz方向、すなわち第4面S14の光軸は、第3面S13から第4面S14に向けての光束中心の光軸AX3と、第4面S14から第5面S15に向けての光束中心の光軸AX4との2等分線となっている。
【0072】
第5面S15のローカル座標の原点は、この第5面S15上にある。また、第5面S15のローカル座標のz方向、すなわち第5面S15の光軸は、第4面S14から第5面S15に向けての光束中心の光軸AX4と、第5面S15から第4面S14に向けての光束中心の光軸AX5との2等分線となっている。
【0073】
導光部材10の第1面S11の形状は、第1面S11のローカル座標(x,y,z)を利用して
z=Σ{A1
m,n・(x
m・y
n)} … (5)
ここで、A1
m,nは、多項式展開した第m・n項の係数
m,nは、0以上の整数
で表される。ただし、
図3及び
図4に示す例では、第1面S11は、平面形状であり、各係数A1
m,nは、0となる。
【0074】
導光部材10の第2面S12の形状は、第2面S12のローカル座標(x,y,z)を利用して
z=Σ{A2
m,n・(x
m・y
n)} … (6)
ここで、A2
m,nは、多項式展開した第m・n項の係数
で表される。
【0075】
導光部材10の第3面S13の形状は、第3面S13のローカル座標(x,y,z)を利用して
z=Σ{A3
m,n・(x
m・y
n)} … (7)
ここで、A3
m,nは、多項式展開した第m・n項の係数
で表される。ただし、
図3及び
図4に示す例では、第3面S13は、平面形状であり、各係数A1
m,nは、0となる。
【0076】
本実施形態において、導光部材10の第1〜第3面S11〜S13は、
−10
−1 < A1
0,2 + A1
2,0 < 10
−2 及び
−10
−1 < A3
0,2 + A3
2,0 < 10
−2 … (1)
|A1
2,0−A1
0,2| < 10
−1 及び
|A3
2,0−A3
0,2| < 10
−1 … (2)
|A1
2,0−A3
2,0| < 10
−2 及び
|A1
0,2−A3
0,2| < 10
−2 … (3)
の3条件を満足している。これらの3条件を満たすように第1〜第3面S11〜S13の形状を設定することによって、外界光HLと映像光GLとの双方の収差の補正が良好に行われ、優れた画質をもたらすことができる。
【0077】
導光部材10の第1面S11と第3面S13との間隔は5mm以上15mm以下となっている。また、第1面S11に対する第2面S12の傾斜角が20°以上40°以下となっている。
【0078】
また、導光部材10の第4面S14又は第5面S15は、光路の調整や収差のより精密な補正のために設けられたものである。
【0079】
導光部材10の第4面S14の形状は、第4面S14のローカル座標(x,y,z)を利用して
z=Σ{A4
m,n・(x
m・y
n)} … (8)
ここで、A4
m,nは、多項式展開した第m・n項の係数
で表される。
【0080】
導光部材10の第5面S15の形状は、第5面S15のローカル座標(x,y,z)を利用して
z=Σ{A5
m,n・(x
m・y
n)} … (9)
ここで、A5
m,nは、多項式展開した第m・n項の係数
で表される。
【0081】
なお、本実施形態では、上式(8)及び(9)で表される第4面S14や第5面S15の曲面形状が、方向によって曲率の符号が異なる曲率異符号点を少なくとも1つ含む曲率異符号面となっている。
【0082】
さらに、本実施形態では、上記のように、導光部材10が第2面S12等の自由曲面を有するのみならず、投射レンズ30においても自由曲面である非軸対称な非球面を有することで、収差の補正を図っている。
【0083】
以下、投射レンズ30に含まれる非軸対称非球面(自由曲面)について説明する。投射レンズ30を構成する3つのレンズ31〜33のうち導光部材10に対向する第1レンズ31が、非軸対称非球面(自由曲面)であるレンズ面31aを有するものとなっている。レンズ面31aについても上記と同様に、ローカル座標に基づいて形状が規定されている。具体的には、レンズ面31aのローカル座標の原点は、このレンズ面31a上にある。また、レンズ面31aのローカル座標のz方向、すなわちレンズ面31aの光軸は、光軸AX5と第4面S14との交点(通過点)につながる入射側光軸AXIと一致しており、このローカル座標のy方向は、全体座標のY方向と平行になっている。
【0084】
第1レンズ31のレンズ面31aの形状は、レンズ面31aのローカル座標(x,y,z)を利用して
z=Σ{A
m,n・(x
m・y
n)} … (10)
ここで、A
m,nは、多項式展開した第m・n項の係数
で表される。
【0085】
本実施形態において、投射レンズ30のレンズ面31aは、上式(10)において、係数A
2,0とA
0,2とが異符号であり、かつ、
10
−2 <|A
2,0−A
0,2| … (4)
を満足している。この場合、上述のように、投射レンズ30が有する非軸対称非球面であるレンズ面31aにより、導光部材10の反射面で生じる非点収差等の収差を補正し、優れた画質をもたらすことができるものとなる。
【0086】
以上のように、本実施形態では、導光部材10が2面以上の非軸対称な曲面(図示の場合、第2面S12、第4面S14及び第5面S15の3面が該当し、これらは、いずれも映像光GLの反射等を行い、映像光GLの導光に寄与する曲面である。)を含むだけでなく、さらに、投射レンズ30が非軸対称非球面としてレンズ面31aを含むものとなっている。これにより、導光部材10側において、例えば導光に寄与する面である第1面S11や第3面S13が平面であるといった形状的に制約があり、非対称な収差に対する補正について制限があるような場合であっても、投射レンズ30を含めた光学系全体として、十分な収差の補正を行うことが可能になる。これにより、虚像表示装置100は、広画角・高性能であり、かつ、小型軽量なものとすることができる。また、上述の虚像表示装置100では、導光部材10において、第1面S11と第3面S13とが互いに略平行な平面とすることによって、外界光について視度誤差を略ゼロとすることができ、特に、見かけの倍率誤差を略ゼロとし、裸眼状態と異ならない状態にすることができる。ここで、倍率誤差は、導光部材のような光透過性の部材を通して外界像を見ると、実際の外界像の大きさよりも拡大又は縮小されて見えてしまうときの誤差を言う。光透過性の部材を通過して観察される外界光は、当該部材が有限の曲率の曲面を有することや、厚さ、屈折率等の影響により、完全な平面である場合を除いて、多かれ少なかれ倍率誤差が生じるものとなる。上記の場合、第1面S11及び第3面S13が平面であることで、見かけの倍率誤差をゼロとすることができるものとなっている。
【0087】
また、本実施形態の虚像表示装置100では、投射レンズ30等によって導光部材10の内部に中間像が形成されるとともに、第3面S13、第1面S11、及び第2面S12の順に2面以上で全反射された映像光GLが、第1面S11を透過して観察者の眼EYに到達するので、例えば横方向に偏って延びる導光部材10を薄型にして光学系全体を小型で軽量なものにしつつ、広画角で明るい高性能の表示を実現することができる。また、外界光HLについては、例えば第1面S11と第3面S13とを通過させて観察することができ、その際の視度を略0とするので、シースルーで外界光HLを観察する際の外界光HLのデフォーカスや歪みを低減できる。また、導光部材10の形状を、観察者の顔に沿う形とでき、重心も顔に近く、デザインにも優れたものとできる。特に、第1面S11及び第3面S13以外の面である第4面S14等が、面に沿った方向によって曲率が異なっている点が存在する曲面となっていることにより、導光部材10を小型のものとし、延いては虚像表示装置100全体の小型化、軽量化を図ることができるものとなっている。
【0088】
また、以上では、導光部材10において、第1面S11や第3面S13が平面であるものとしているが、後述する実施例(実施例2〜5)において示すように、第1面S11や第3面S13を含めた各面が非軸対称な曲面となっているものとしてもよい。この場合、第1面S11や第3面S13の曲面形状は、例えば上式(5)及び(7)で表される係数に基づいて規定されるものとなる。
【0089】
〔実施例〕
以下、本発明に係る虚像表示装置に組み込まれる投射透視装置の実施例について説明する。各実施例で使用する記号を以下にまとめた。
SPH :瞳
FFSk :自由曲面(導光部材又は投射光学系中のk=面番号、ただし、一部に平面が含まれる場合もあるものとする。)
ASPk :軸対称非球面(投射光学系中のk=面番号)
SPH :球面又は平面(保護ガラス表面)
R :曲率半径
T :軸上面間隔
Nd :光学材料のd線に対する屈折率
Vd :光学材料のd線に関するアッベ数
TLY :特定面の横断面(XZ断面)における光軸の傾斜角度(°)
(TLYについては、特定面の前後で変化する場合がある)
DCX :特定面の横断面(XZ断面)におけるX軸方向の光軸のズレ量
【0090】
(実施例1)
実施例1の投射透視装置のうち導光部材及び投射レンズ(投射光学系)を構成する光学面のデータを以下の表1に示す。ここでは、眼の位置から映像光の進行に対して逆行させた光線を追跡して、測定を行っている。なお、例えばFFS1は、第1面S11を意味し、FFS2は、第2面S12を意味し、FFS3は、第3面S13を意味する。ただし、FFS6は、投射レンズの第1レンズの射出面であるレンズ面31aを意味する。また、ASP1は、投射レンズの第1レンズの射出面ではなく入射面を意味し、ASP2は、第2レンズの射出面を意味する。
〔表1〕
No Type R T Nd Vd
1 SPH ∞ 20.00
2 FFS1 - 5.80 1.525 55.95
3 FFS2 - -5.80 1.525 55.95
4 FFS1 - 10.46 1.525 55.95
5 FFS3 - -22.70 1.525 55.95
6 FFS4 - 11.90 1.525 55.95
7 FFS5 - -11.90 1.525 55.95
8 FFS4 - -4.00
9 FFS6 - -6.00 1.525 55.95
10 ASP1 12.481 -1.50
11 ASP2 4.805 -1.50 1.585 29.90
12 ASP3 11.556 -7.86
13 ASP4 -21.429 -5.50 1.525 55.95
14 ASP5 14.518 -7.17
15 SPH ∞ -1.44 1.458 67.82
16 像面 ∞
【0091】
実施例1を構成する導光部材中の光学面について、その横断面における光軸傾斜角度(ティルト)TLYと光軸ズレ量(ディセンター)DCXとを以下の表2に示す。なお、第4面S14に関しては、2度目の通過における角度の傾斜を考慮している。
〔表2〕
No Type TLY(面前) DCX(面後) TLY(面後)
2 FFS1 6.00 0.0 -6.00
3 FFS2 -23.80 0.0 23.80
4 FFS1 6.00 0.0 -6.00
5 FFS3 0.00 21.017 -49.13
6 FFS4 57.00 0.0 57.00
7 FFS5 -33.14 0.0 33.14
8 FFS4 -57.00 11.1 -10.54
【0092】
実施例1を構成する導光部材中の各光学面について、自由曲面(平面を含む)の多項式展開した係数Ak
m,nと、投射レンズ中の各光学面のうち、非軸対称非球面について多項式展開した係数A
m,nとを以下の表3に示す。なお、表3において、記号m,nは、係数Ak
m,n及び係数A
m,n中の変数又は次数を意味する。また、記号FFSk(k=1〜5)は、自由曲面である第1〜第5面S11〜S15のうち第k面を意味する。また、記号FFSk(k=6)は、非軸対称非球面であるレンズ面31aを意味する。なお、係数Ak
m,nは、対象とする第k面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。また、係数A
m,nは、対象とする非軸対称非球面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。なお、各面のローカル座標については、
図4に示すものに相当するため図示等を省略する。
〔表3〕
m n FFS1 FFS2 FFS3 FFS4 FFS5 FFS6
2 0 0.000E+00 -1.022E-02 0.000E+00 4.123E-03 -8.095E-03 4.988E-02
0 2 0.000E+00 -6.893E-03 0.000E+00 -2.202E-02 -1.460E-02 -6.964E-02
3 0 0.000E+00 7.391E-05 0.000E+00 5.313E-05 8.235E-05 8.078E-03
1 2 0.000E+00 -4.499E-05 0.000E+00 -4.275E-04 -3.510E-04 1.797E-03
4 0 0.000E+00 3.103E-06 0.000E+00 7.092E-07 7.476E-06 -2.521E-06
2 2 0.000E+00 1.392E-06 0.000E+00 4.810E-06 4.087E-06 -9.609E-05
0 4 0.000E+00 -2.613E-06 0.000E+00 2.576E-05 -4.143E-06 -1.309E-05
5 0 0.000E+00 -2.486E-07 0.000E+00 7.194E-10 1.820E-07 -4.563E-05
3 2 0.000E+00 3.186E-08 0.000E+00 4.702E-07 3.550E-07 -1.970E-05
1 4 0.000E+00 7.163E-09 0.000E+00 8.729E-06 2.656E-06 8.421E-07
6 0 0.000E+00 2.178E-10 0.000E+00 7.446E-09 5.327E-08 -2.740E-06
4 2 0.000E+00 -1.078E-08 0.000E+00 -5.639E-08 9.558E-08 -8.605E-06
2 4 0.000E+00 -2.276E-08 0.000E+00 2.788E-08 6.075E-08 -5.448E-06
0 6 0.000E+00 3.809E-08 0.000E+00 3.443E-07 4.320E-08 -2.304E-06
以上の表3及び以下の表において、数値のE以後は10進数の指数部を意味し、例えば「−1.022E−02」とは、−1.022×10
−02を意味する。
【0093】
実施例1の投射透視装置のうち投射レンズを構成する光学面(上記非軸対称非球面であるレンズ面31a以外の面である軸対称非球面)の非球面の係数を以下の表4に示す。
〔表4〕
ASP1 ASP2 ASP3 ASP4 ASP5
K -1 -1 -1 -1 -1
B4 8.020E-05 -1.715E-03 -1.436E-03 6.904E-05 8.135E-06
B6 -1.419E-05 1.991E-05 2.417E-05 5.163E-06 5.766E-06
B8 2.289E-07 -7.623E-08 -3.857E-07 -1.057E-07 -9.395E-08
以上の表4において、記号K、Biは、投射レンズ30を構成する3つのレンズ31,32,33のうちレンズ面31a以外のレンズ面である記号APS1〜APS5の非球面を特定するための係数を示している。非球面は、以下の多項式(非球面式)によって特定される。
ここで、Rは各面の曲率半径であり、hは光軸からの高さであり、Kは対象レンズ面の円錐係数であり、Bi(i=4,6,8,…)は対象レンズ面の高次非球面係数である。
【0094】
図5は、実施例1の投射透視装置70の断面図である。ただし、光束については、基準面SR上だけでなく、基準面SRからY方向に外れたものも示している。投射透視装置70のうち導光部材10は、実質的に屈折力を有しない第1面S11と、比較的強い正の屈折力を有する第2面S12と、実質的に屈折力を有しない第3面S13と、比較的強い正の屈折力を有する第4面S14と、比較的弱い負の屈折力を有する第5面S15とを有する。ここで、第4面S14は、反射面及び屈折面として機能している。具体的には、第4面S14は、第3面S13から逆行する光束(実際には第5面S15からの光)に対して全反射面となっており、第5面S15から逆行する光束(実際には投射レンズ30からの光)に対して透過面となっている。つまり、第4面S14は、光路の折り曲げの機能と、光束の収束に関する機能を兼ね備えている。投射レンズ30は、正の屈折力を有する第1レンズ31と、負の屈折力を有する第2レンズ32と、正の屈折力を有する第3レンズ33とを有している。実施例3の光学系の具体的な仕様について説明すると、水平画角が20.1°で、垂直画角が11.4°で、映像表示素子の表示領域の大きさが9.22×5.18mmで、瞳径が5mmで、焦点距離が約26mmである。
【0095】
図6(A)〜6(F)及び
図7(A)〜7(F)は、実施例1の収差を示す。各収差図において、横軸は瞳における位置を示し、縦軸は収差量をミクロン単位で示す。具体的には、
図6(A)及び6(B)は、X方向に10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図6(C)及び6(D)は、X方向に0.0°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図6(E)及び6(F)は、X方向に−10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。
図7(A)及び7(B)は、X方向に10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図7(C)及び7(D)は、X方向に0.0°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図7(E)及び7(F)は、X方向に−10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。なお、図示の収差量は、便宜上光線を逆行させた場合の映像表示素子の像面における収差量となっている。
【0096】
(実施例2)
実施例2の投射透視装置のうち導光部材及び投射レンズを構成する光学面のデータを以下の表5に示す。
実施例2の投射透視装置のうち導光部材及び投射レンズ(投射光学系)を構成する光学面のデータを以下の表5に示す。なお、FFS7は、投射レンズの第1レンズの射出面であるレンズ面31aを意味する。また、ASP1は、投射レンズの第1レンズの射出面ではなく入射面を意味し、ASP2は、第2レンズの射出面を意味する。
〔表5〕
No Type R T Nd Vd
1 SPH ∞ 20.00
2 FFS1 - 4.80 1.525 55.95
3 FFS2 - -4.80 1.525 55.95
4 FFS1 - 8.00 1.525 55.95
5 FFS3 - -14.20 1.525 55.95
6 FFS4 - 8.70 1.525 55.95
7 FFS5 - -7.00 1.525 55.95
8 FFS6 - -2.00
9 FFS7 - -3.00 1.525 55.95
10 ASP1 3.231 -1.50
11 ASP2 2.180 -1.50 1.585 29.90
12 ASP3 4.010 -7.18
13 ASP4 -6.744 -5.00 1.525 55.95
14 ASP5 -13.372 -3.00
15 SPH ∞ -1.44 1.458 67.82
16 像面 ∞
【0097】
実施例2を構成する導光部材中の光学面について、その横断面における光軸傾斜角度(ティルト)TLYと光軸ズレ量(ディセンター)DCXとを以下の表6に示す。
〔表6〕
No Type TLY(面前) DCX(面後) TLY(面後)
2 FFS1 0.00 0.0 0.00
3 FFS2 -23.00 0.0 23.00
4 FFS1 0.00 0.0 0.00
5 FFS3 0.00 16.335 1.08
6 FFS4 38.00 0.0 38.00
7 FFS5 -39.00 0.0 -39.00
8 FFS6 0.00 0.0 0.00
【0098】
実施例2を構成する導光部材中の各光学面について、自由曲面(平面を含む)の多項式展開した係数Ak
m,nと、投射レンズ中の各光学面のうち、非軸対称非球面について多項式展開した係数A
m,nとを以下の表7に示す。なお、表7において、記号m,nは、係数Ak
m,n及び係数A
m,n中の変数又は次数を意味する。また、記号FFSk(k=1〜6)は、自由曲面である第1〜第6面S11〜S16のうち第k面を意味する。また、記号FFSk(k=7)は、非軸対称非球面であるレンズ面31aを意味する。なお、係数Ak
m,nは、対象とする第k面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。また、係数A
m,nは、対象とする非軸対称非球面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。
図8に示すように、本実施例では、導光部材10が第4面S14に隣接する第6面S16を有しているものとする。なお、図示のように、第6面S16は、光入射面であり、光束の収束に関する機能を有する。一方、第4面S14は、光路の折り曲げの機能を担っている。つまり、実施例1の第4面S14において兼ねられていた機能が、実施例2では、第4面S14と第6面S16とに分離されていることになる。
〔表7〕
m n FFS1 FFS2 FFS3 FFS4
2 0 -2.087E-02 -2.217E-02 -1.889E-02 -5.271E-04
0 2 -2.253E-02 -1.413E-02 -1.983E-02 -5.660E-03
3 0 -3.128E-05 1.325E-04 -3.066E-05 6.522E-04
1 2 2.416E-05 -3.101E-04 2.368E-05 1.073E-03
4 0 -1.463E-05 -2.795E-05 -1.404E-05 -1.259E-05
2 2 -8.004E-05 -2.797E-06 -7.684E-05 6.765E-05
0 4 -5.960E-05 -1.418E-05 -5.721E-05 6.021E-05
5 0 7.707E-07 4.902E-07 7.399E-07 2.369E-06
3 2 6.434E-06 -6.086E-07 6.177E-06 -7.006E-06
1 4 6.430E-06 1.301E-06 6.173E-06 -3.895E-07
6 0 -2.246E-08 -4.173E-10 -2.156E-08 -1.508E-07
4 2 -1.775E-07 -6.941E-08 -1.704E-07 -7.278E-07
2 4 -3.077E-07 -1.334E-07 -2.210E-07 -8.045E-07
0 6 2.556E-08 2.134E-08 2.454E-08 -1.071E-07
m n FFS5 FFS6 FFS7
2 0 -9.898E-03 8.920E-02 1.131E-01
0 2 -2.488E-03 1.033E-01 -6.695E-03
3 0 7.191E-04 -2.279E-03 -4.954E-03
1 2 8.687E-04 -2.271E-03 -8.529E-03
4 0 1.248E-04 4.906E-04 1.521E-03
2 2 1.784E-04 -5.204E-03 -7.179E-03
0 4 -1.267E-04 -2.717E-03 -2.333E-03
5 0 1.525E-05 6.674E-05 -2.139E-04
3 2 1.351E-05 1.156E-04 4.242E-04
1 4 7.544E-05 2.352E-04 4.229E-04
6 0 2.467E-06 -5.455E-06 -1.641E-04
4 2 4.101E-06 2.470E-05 1.539E-04
2 4 -7.037E-07 1.143E-04 2.931E-04
0 6 1.333E-06 5.102E-05 8.227E-05
【0099】
実施例2の投射透視装置のうち投射レンズを構成する光学面(上記非軸対称非球面であるレンズ面31a以外の面である軸対称非球面)の非球面の係数を以下の表8に示す。
〔表8〕
ASP1 ASP2 ASP3 ASP4 ASP5
K -1 -1 -1 -1 -1
B4 -3.695E-03 -1.468E-02 -5.329E-03 4.441E-04 5.162E-04
B6 6.588E-05 4.317E-04 -3.605E-05 -9.791E-06 -2.708E-07
B8 4.147E-08 -3.867E-06 4.261E-06 -5.194E-08 -4.521E-07
以上の表8において、記号K、Biは、投射レンズ30を構成する3つのレンズ31,32,33のうちレンズ面31a以外のレンズ面である記号APS1〜APS5の非球面を特定するための係数を示している。
【0100】
図8は、実施例2の投射透視装置70の断面図である。また、
図9は、導光部材中のローカル座標を示す図である。投射透視装置70のうち導光部材10は、弱い負の屈折力を有する第1面S11と、比較的強い正の屈折力を有する第2面S12と、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13と、比較的弱い負の屈折力を有する第4面S14と、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15と、比較的強い正の屈折力を有する第6面S16とを有する。投射レンズ30は、正の屈折力を有する第1レンズ31と、負の屈折力を有する第2レンズ32と、正の屈折力を有する第3レンズ33とを有している。実施例2の光学系の具体的な仕様について説明すると、水平画角が20.1°で、垂直画角が11.4°で、映像表示素子の表示領域の大きさが9.22×5.18mmで、瞳径が5mmで、焦点距離が約26mmである。
【0101】
図10(A)〜10(F)及び
図11(A)〜11(F)は、実施例2の収差を示す。各収差図において、横軸は瞳における位置を示し、縦軸は収差量をミクロン単位で示す。具体的には、
図10(A)及び10(B)は、X方向に10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図10(C)及び10(D)は、X方向に0.0°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図10(E)及び10(F)は、X方向に−10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。
図11(A)及び11(B)は、X方向に10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図11(C)及び11(D)は、X方向に0.0°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図11(E)及び11(F)は、X方向に−10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。なお、図示の収差量は、便宜上光線を逆行させた場合の映像表示素子の像面における収差量となっている。
【0102】
(実施例3)
実施例3の投射透視装置のうち導光部材及び投射レンズ(投射光学系)を構成する光学面のデータを以下の表9に示す。なお、
図12に示すように、実施例3では、投射レンズ30のうち第1レンズ31ではなく第2レンズ32の入射面であるレンズ面32bが非軸対称非球面となっており、FFS6は、レンズ面32bを意味する。また、例えばASP1は、投射レンズの第1レンズの入射面を意味し、ASP2は、第1レンズの入射面を意味するが、ASP4は、第2レンズの入射面ではなく、第3レンズの射出面を意味する。
〔表9〕
No Type R T Nd Vd
1 SPH ∞ 20.00
2 FFS1 - 5.50 1.525 55.95
3 FFS2 - -5.50 1.525 55.95
4 FFS1 - 9.00 1.525 55.95
5 FFS3 - -14.50 1.525 55.95
6 FFS4 - 9.50 1.525 55.95
7 FFS5 - -9.50 1.525 55.95
8 FFS4 - -2.00
9 ASP1 -7.938 -5.00 1.525 55.95
10 ASP2 6.561 -1.00
11 ASP3 4.480 -1.50 1.585 29.90
12 FFS6 - -6.10
13 ASP4 -9.941 -6.00 1.525 55.95
14 ASP5 29.300 -5.00
15 SPH ∞ -1.44 1.458 67.82
16 像面 ∞
【0103】
実施例3を構成する導光部材中の光学面について、その横断面における光軸傾斜角度(ティルト)TLYと光軸ズレ量(ディセンター)DCXとを以下の表10に示す。
〔表10〕
No Type TLY(面前) DCX(面後) TLY(面後)
2 FFS1 0.00 0.0 0.00
3 FFS2 -25.00 0.0 25.00
4 FFS1 0.00 0.0 0.00
5 FFS3 0.00 17.062 -38.15
6 FFS4 43.00 0.0 43.00
7 FFS5 -27.00 0.0 27.00
8 FFS6 -43.00 7.8 -11.16
【0104】
実施例3を構成する導光部材中の各光学面について、自由曲面(平面を含む)の多項式展開した係数Ak
m,nと、投射レンズ中の各光学面のうち、非軸対称非球面について多項式展開した係数A
m,nとを以下の表11に示す。なお、表11において、記号m,nは、係数Ak
m,n及び係数A
m,n中の変数又は次数を意味する。また、記号FFSk(k=1〜5)は、自由曲面である第1〜第5面S11〜S15のうち第k面を意味する。また、記号FFSk(k=6)は、非軸対称非球面であるレンズ面32bを意味する。なお、係数Ak
m,nは、対象とする第k面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。また、係数A
m,nは、対象とする非軸対称非球面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。
図12に示すように、本実施例では、実施例1の第4面S14と同様に、光路の折り曲げの機能と、光束の収束に関する機能を兼ね備えている。
〔表11〕
m n FFS1 FFS2 FFS3 FFS4 FFS5 FFS6
2 0 -2.432E-03 -1.211E-02 -2.396E-03 9.362E-03 -4.205E-04 9.362E-03
0 2 -1.191E-02 -1.352E-02 -1.107E-02 -3.922E-02 -2.189E-02 -3.922E-02
3 0 -4.162E-05 -5.153E-05 -4.079E-05 7.027E-05 8.198E-04 7.027E-05
1 2 -3.236E-04 -1.411E-04 -3.171E-04 7.812E-04 1.073E-04 7.812E-04
4 0 -2.430E-06 -8.555E-06 -3.527E-06 -9.925E-06 6.847E-05 -9.925E-06
2 2 1.154E-05 2.515E-06 1.593E-05 2.977E-05 -8.528E-06 2.977E-05
0 4 -1.674E-06 -2.515E-06 -1.040E-06 5.632E-05 9.899E-06 5.632E-05
5 0 3.302E-07 2.078E-07 2.238E-07 -2.036E-07 3.776E-06 -2.036E-07
3 2 -5.857E-07 -8.864E-07 -3.808E-08 -2.456E-06 8.910E-08 -2.456E-06
1 4 9.253E-07 2.819E-07 9.277E-07 -7.538E-06 2.080E-06 -7.538E-06
6 0 -1.940E-08 5.557E-08 -4.744E-09 3.281E-07 -1.468E-06 3.281E-07
4 2 -2.251E-08 3.002E-08 -7.243E-09 4.453E-07 8.741E-07 4.453E-07
2 4 2.381E-08 -3.144E-08 1.715E-08 1.547E-06 8.344E-07 1.547E-06
0 6 6.807E-08 4.935E-09 5.801E-08 -1.205E-06 -1.213E-07 -1.205E-06
【0105】
実施例3の投射透視装置のうち投射レンズを構成する光学面(上記非軸対称非球面であるレンズ面32b以外の面である軸対称非球面)の非球面の係数を以下の表12に示す。
〔表12〕
ASP1 ASP2 ASP3 ASP4 ASP5
K -1 -1 -1 -1 -1
B4 -3.442E-05 -7.013E-04 -3.033E-03 2.725E-04 1.527E-04
B6 4.303E-06 4.776E-06 4.783E-05 -4.820E-06 -1.326E-06
B8 1.304E-07 5.366E-08 -5.817E-07 7.555E-08 4.036E-08
以上の表12において、記号K、Biは、投射レンズ30を構成する3つのレンズ31,32,33のうちレンズ面32b以外のレンズ面である記号APS1〜APS5の非球面を特定するための係数を示している。
【0106】
図12は、実施例3の投射透視装置70の断面図である。また、
図13は、導光部材中のローカル座標を示す図である。投射透視装置70のうち導光部材10は、弱い負の屈折力を有する第1面S11と、比較的強い正の屈折力を有する第2面S12と、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13と、比較的弱い負の屈折力を有する第4面S14と、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15と、比較的強い正の屈折力を有する第6面S16とを有する。投射レンズ30は、正の屈折力を有する第1レンズ31と、負の屈折力を有する第2レンズ32と、正の屈折力を有する第3レンズ33とを有している。実施例4の光学系の具体的な仕様について説明すると、水平画角が20.1°で、垂直画角が11.4°で、映像表示素子の表示領域の大きさが9.22×5.18mmで、瞳径が5mmで、焦点距離が約26mmである。
【0107】
図14(A)〜14(F)及び
図15(A)〜15(F)は、実施例3の収差を示す。各収差図において、横軸は瞳における位置を示し、縦軸は収差量をミクロン単位で示す。具体的には、
図14(A)及び14(B)は、X方向に10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図14(C)及び14(D)は、X方向に0.0°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図14(E)及び14(F)は、X方向に−10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。
図15(A)及び15(B)は、X方向に10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図15(C)及び15(D)は、X方向に0.0°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図15(E)及び15(F)は、X方向に−10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。なお、図示の収差量は、便宜上光線を逆行させた場合の映像表示素子の像面における収差量となっている。
【0108】
(実施例4)
実施例4の投射透視装置のうち導光部材及び投射レンズ(投射光学系)を構成する光学面のデータを以下の表13に示す。なお、
図16に示すように、実施例4では、投射レンズ30のうち第1レンズ31ではなく第2レンズ32の入射面であるレンズ面32bが非軸対称非球面となっており、FFS7は、レンズ面32bを意味する。また、例えばASP1は、投射レンズの第1レンズの入射面を意味し、ASP2は、第1レンズの入射面を意味するが、ASP4は、第2レンズの入射面ではなく、第3レンズの射出面を意味する。
〔表13〕
No Type R T Nd Vd
1 SPH ∞ 20.00
2 FFS1 - 5.00 1.525 55.95
3 FFS2 - -5.00 1.525 55.95
4 FFS1 - 8.50 1.525 55.95
5 FFS3 - -12.00 1.525 55.95
6 FFS4 - 10.00 1.525 55.95
7 FFS5 - -5.00 1.525 55.95
8 FFS6 - -2.00
9 ASP1 -13.257 -5.00 1.525 55.95
10 ASP2 11.003 -1.50
11 ASP3 9.685 -1.50 1.585 29.90
12 FFS7 - -3.74
13 ASP4 -23.893 -4.50 1.525 55.95
14 ASP5 37.465 -2.00
15 SPH ∞ -1.44 1.458 67.82
16 像面 ∞
【0109】
実施例4を構成する導光部材中の光学面について、その横断面における光軸傾斜角度(ティルト)TLYと光軸ズレ量(ディセンター)DCXとを以下の表14に示す。
〔表14〕
No Type TLY(面前) DCX(面後) TLY(面後)
2 FFS1 0.00 0.0 0.00
3 FFS2 -24.00 0.0 24.00
4 FFS1 0.00 0.0 0.00
5 FFS3 0.00 14.621 -21.30
6 FFS4 40.00 0.0 40.00
7 FFS5 -35.00 0.0 -35.00
8 FFS6 0.00 0.0 0.00
【0110】
実施例4を構成する導光部材中の各光学面について、自由曲面(平面を含む)の多項式展開した係数Ak
m,nと、投射レンズ中の各光学面のうち、非軸対称非球面について多項式展開した係数A
m,nとを以下の表15に示す。なお、表15において、記号m,nは、係数Ak
m,n及び係数A
m,n中の変数又は次数を意味する。また、記号FFSk(k=1〜6)は、自由曲面である第1〜第6面S11〜S16のうち第k面を意味する。また、記号FFSk(k=7)は、非軸対称非球面であるレンズ面32bを意味する。なお、係数Ak
m,nは、対象とする第k面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。また、係数A
m,nは、対象とする非軸対称非球面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。
図16に示すように、本実施例では、導光部材10が第4面S14に連続的に隣接する第6面S16を有しているものとする。なお、図示のように、第6面S16は、光入射面であり、光束の収束に関する機能を有する。一方、第4面S14は、光路の折り曲げの機能を担っている。つまり、実施例1の第4面S14において兼ねられていた機能が、実施例4では、第4面S14と第6面S16とに分離されていることになる。
〔表15〕
m n FFS1 FFS2 FFS3 FFS4
2 0 -5.276E-03 -1.333E-02 -4.960E-03 8.629E-03
0 2 -3.830E-02 -1.893E-02 -3.102E-02 -2.954E-02
3 0 -3.115E-05 1.010E-04 -3.052E-05 -1.682E-04
1 2 3.637E-04 -1.366E-04 3.564E-04 -3.434E-04
4 0 1.040E-05 -1.271E-05 -1.497E-05 -1.918E-05
2 2 -5.747E-05 -2.548E-05 1.496E-05 -9.404E-05
0 4 -9.378E-05 -2.224E-05 -7.281E-06 5.598E-04
5 0 -3.207E-07 2.231E-07 2.947E-07 3.555E-06
3 2 -6.124E-06 5.624E-07 -2.746E-06 -8.319E-06
1 4 -9.769E-07 2.705E-07 -6.839E-07 6.520E-05
6 0 1.971E-08 -5.666E-08 1.948E-09 -7.231E-07
4 2 3.069E-07 -9.514E-08 4.186E-08 -2.306E-06
2 4 -4.676E-07 -2.040E-08 2.419E-09 5.960E-06
0 6 -1.539E-07 -2.841E-08 2.856E-08 4.341E-07
m n FFS5 FFS6 FFS7
2 0 -1.305E-02 -6.999E-03 -1.424E-02
0 2 -9.870E-03 1.195E-01 1.006E-01
3 0 2.667E-04 -1.243E-03 1.515E-04
1 2 9.797E-04 5.209E-03 1.854E-03
4 0 1.680E-05 -7.118E-04 -6.702E-04
2 2 -8.006E-06 -9.784E-04 -5.917E-04
0 4 -1.386E-04 -5.956E-04 1.617E-04
5 0 1.766E-06 3.291E-05 2.290E-05
3 2 -1.365E-05 -8.577E-05 -2.469E-05
1 4 3.113E-05 1.002E-04 4.318E-05
6 0 2.047E-07 1.330E-05 -2.366E-05
4 2 -7.232E-07 2.387E-05 -1.064E-04
2 4 2.287E-06 2.140E-05 -7.976E-05
0 6 2.204E-05 6.819E-05 -2.417E-04
【0111】
実施例4の投射透視装置のうち投射レンズを構成する光学面(上記非軸対称非球面であるレンズ面32b以外の面である軸対称非球面)の非球面の係数を以下の表16に示す。
〔表16〕
ASP1 ASP2 ASP3 ASP4 ASP5
K -1 -1 -1 -1 -1
B4 -8.633E-04 -7.665E-04 -5.112E-04 4.730E-04 7.382E-04
B6 9.916E-06 1.262E-05 9.679E-06 -1.612E-05 -1.427E-05
B8 -8.725E-08 -1.747E-07 -2.486E-07 3.137E-07 2.753E-07
以上の表16において、記号K、Biは、投射レンズ30を構成する3つのレンズ31,32,33のうちレンズ面32b以外のレンズ面である記号APS1〜APS5の非球面を特定するための係数を示している。
【0112】
図16は、実施例4の投射透視装置70の断面図である。また、
図17は、導光部材中のローカル座標を示す図である。投射透視装置70のうち導光部材10は、弱い負の屈折力を有する第1面S11と、比較的強い正の屈折力を有する第2面S12と、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13と、比較的弱い負の屈折力を有する第4面S14と、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15と、比較的強い正の屈折力を有する第6面S16とを有する。投射レンズ30は、正の屈折力を有する第1レンズ31と、負の屈折力を有する第2レンズ32と、正の屈折力を有する第3レンズ33とを有している。実施例4の光学系の具体的な仕様について説明すると、水平画角が20.1°で、垂直画角が11.4°で、映像表示素子の表示領域の大きさが9.22×5.18mmで、瞳径が5mmで、焦点距離が約26mmである。
【0113】
図18(A)〜18(F)及び
図19(A)〜19(F)は、実施例4の収差を示す。各収差図において、横軸は瞳における位置を示し、縦軸は収差量をミクロン単位で示す。具体的には、
図18(A)及び18(B)は、X方向に10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図18(C)及び18(D)は、X方向に0.0°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図18(E)及び18(F)は、X方向に−10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。
図19(A)及び19(B)は、X方向に10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図19(C)及び19(D)は、X方向に0.0°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図19(E)及び19(F)は、X方向に−10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。なお、図示の収差量は、便宜上光線を逆行させた場合の映像表示素子の像面における収差量となっている。
【0114】
(実施例5)
実施例5の投射透視装置のうち導光部材及び投射レンズ(投射光学系)を構成する光学面のデータを以下の表17に示す。なお、FFS7は、投射レンズの第1レンズの射出面であるレンズ面31bを意味する。また、ASP1は、投射レンズの第1レンズの射出面ではなく入射面を意味し、ASP2は、第2レンズの射出面を意味する。
図20に示すように、実施例5では、投射レンズ30が2つのレンズ31,32によって構成されている。
〔表17〕
No Type R T Nd Vd
1 SPH ∞ 20.00
2 FFS1 - 5.00 1.525 55.95
3 FFS2 - -5.00 1.525 55.95
4 FFS1 - 8.50 1.525 55.95
5 FFS3 - -12.00 1.525 55.95
6 FFS4 - 9.00 1.525 55.95
7 FFS5 - -6.20 1.525 55.95
8 FFS6 - -2.00
9 ASP1 -46.932 -1.50 1.585 29.90
10 FFS7 - -3.23
11 ASP2 -6.165 -4.00 1.525 55.95
12 ASP3 -19.763 -3.00
13 SPH ∞ -1.44 1.458 67.82
14 像面 ∞
【0115】
実施例5を構成する導光部材中の光学面について、その横断面における光軸傾斜角度(ティルト)TLYと光軸ズレ量(ディセンター)DCXとを以下の表18に示す。
〔表18〕
No Type TLY(面前) DCX(面後) TLY(面後)
2 FFS1 0.00 0.0 0.00
3 FFS2 -24.00 0.0 24.00
4 FFS1 0.00 0.0 0.00
5 FFS3 0.00 15.361 -5.87
6 FFS4 35.00 0.0 35.00
7 FFS5 -37.00 0.0 -37.00
8 FFS6 0.00 0.0 0.00
【0116】
実施例5を構成する導光部材中の各光学面について、自由曲面(平面を含む)の多項式展開した係数Ak
m,nと、投射レンズ中の各光学面のうち、非軸対称非球面について多項式展開した係数A
m,nとを以下の表19に示す。なお、表19において、記号m,nは、係数Ak
m,n及び係数A
m,n中の変数又は次数を意味する。また、記号FFSk(k=1〜6)は、自由曲面である第1〜第6面S11〜S16のうち第k面を意味する。また、記号FFSk(k=7)は、非軸対称非球面であるレンズ面31bを意味する。なお、係数Ak
m,nは、対象とする第k面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。また、係数A
m,nは、対象とする非軸対称非球面を表す多項式を構成する各項x
m・y
nの係数を意味する。
図20に示すように、本実施例では、導光部材10が第4面S14に連続的に隣接する第6面S16を有しているものとする。なお、図示のように、第6面S16は、光入射面であり、光束の収束に関する機能を有する。一方、第4面S14は、光路の折り曲げの機能を担っている。つまり、実施例1の第4面S14において兼ねられていた機能が、実施例5では、第4面S14と第6面S16とに分離されていることになる。
〔表19〕
m n FFS1 FFS2 FFS3 FFS4
2 0 -9.590E-03 -1.493E-02 -9.015E-03 1.106E-02
0 2 -3.895E-02 -1.718E-02 -3.174E-02 -4.225E-02
3 0 -3.944E-05 1.514E-04 -3.155E-05 -1.006E-03
1 2 7.919E-05 -5.479E-04 6.335E-05 -1.529E-03
4 0 1.802E-05 -9.117E-06 -1.873E-05 6.325E-05
2 2 -1.154E-04 -1.375E-06 2.347E-05 -1.241E-04
0 4 2.027E-06 -8.306E-06 -3.121E-05 3.387E-04
5 0 -1.163E-06 6.691E-07 1.423E-07 1.841E-05
3 2 3.615E-07 -9.426E-07 -3.074E-06 7.113E-06
1 4 -8.107E-06 -3.125E-07 2.872E-06 8.646E-05
6 0 5.687E-08 -1.366E-08 6.812E-09 -5.296E-06
4 2 -8.370E-08 2.463E-08 1.030E-08 -1.413E-07
2 4 -5.216E-07 -2.612E-08 -2.164E-07 1.999E-05
0 6 4.183E-08 -6.074E-08 -4.753E-08 -3.325E-06
m n FFS5 FFS6 FFS7
2 0 -2.012E-02 4.113E-03 -4.696E-02
0 2 -2.602E-02 1.450E-01 8.928E-02
3 0 1.762E-04 -6.809E-03 1.596E-03
1 2 3.957E-04 4.988E-03 5.628E-03
4 0 4.907E-07 -2.072E-04 -1.046E-04
2 2 1.606E-05 7.518E-04 -2.569E-04
0 4 1.968E-04 -4.126E-03 4.836E-03
5 0 6.181E-07 2.409E-05 5.063E-05
3 2 -2.044E-06 -2.596E-05 -2.063E-04
1 4 5.215E-06 2.987E-04 -3.074E-04
6 0 8.272E-08 -1.343E-05 -2.780E-05
4 2 -2.522E-06 -3.140E-05 -1.312E-04
2 4 2.747E-05 5.979E-05 -4.072E-04
0 6 -9.104E-05 4.539E-04 -1.536E-03
【0117】
実施例5の投射透視装置のうち投射レンズを構成する光学面(上記非軸対称非球面であるレンズ面31b以外の面である軸対称非球面)の非球面の係数を以下の表20に示す。
〔表20〕
ASP1 ASP2 ASP3
K -1 -1 -1
B4 1.730E-05 3.985E-04 3.628E-04
B6 -4.292E-05 -1.324E-05 -2.023E-05
B8 4.667E-07 1.089E-07 3.764E-07
以上の表20において、記号K、Biは、投射レンズ30を構成する2つのレンズ31,32のうちレンズ面31b以外のレンズ面である記号APS1〜APS3の非球面を特定するための係数を示している。
【0118】
図20は、実施例5の投射透視装置70の断面図である。また、
図21は、導光部材中のローカル座標を示す図である。投射透視装置70のうち導光部材10は、弱い負の屈折力を有する第1面S11と、比較的強い正の屈折力を有する第2面S12と、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13と、比較的弱い負の屈折力を有する第4面S14と、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15と、比較的強い正の屈折力を有する第6面S16とを有する。投射レンズ30は、負の屈折力を有する第1レンズ31と、正の屈折力を有する第2レンズ32とを有している。実施例5の光学系の具体的な仕様について説明すると、水平画角が20.1°で、垂直画角が11.4°で、映像表示素子の表示領域の大きさが9.22×5.18mmで、瞳径が5mmで、焦点距離が約26mmである。
【0119】
図22(A)〜22(F)及び
図23(A)〜23(F)は、実施例5の収差を示す。各収差図において、横軸は瞳における位置を示し、縦軸は収差量をミクロン単位で示す。具体的には、
図22(A)及び22(B)は、X方向に10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図22(C)及び22(D)は、X方向に0.0°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図22(E)及び22(F)は、X方向に−10°でY方向に5.7°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。
図23(A)及び23(B)は、X方向に10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図23(C)及び23(D)は、X方向に0.0°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示し、
図23(E)及び23(F)は、X方向に−10°でY方向に0.0°の方位におけるY及びX方向の収差を示す。なお、図示の収差量は、便宜上光線を逆行させた場合の映像表示素子の像面における収差量となっている。
【0120】
以下の表21に、各実施例1〜5について、条件式(1)〜(3)に関する数値データをまとめた。
〔表21〕
【0121】
また、以下の表22に、各実施例1〜5について、第1面S11と第3面S13との間隔及び視線軸(射出側光軸AXO)と第2面S12のz軸の角度に関する数値データをまとめた。
〔表22〕
【0122】
また、条件式(3)は、外光に対する導光部材の視度に影響を与えており、導光部材の光軸上のx軸方向の視度Dx及びy軸方向の視度Dyは、導光部材の厚さをT、屈折率をNとすると、
Dx=2000(N−1)(A1
2,0−A3
2,0+(2T(N−1)/N)×A1
2,0×A3
2,0)
Dy=2000(N−1)(A1
0,2−A3
0,2+(2T(N−1)/N)×A1
0,2×A3
0,2)
で与えられる。上式に基づいて、以下の表23に、各実施例1〜5についての視度に関する数値データをまとめた。
〔表23〕
【0123】
また、非軸対称非球面に関する係数A
2,0とA
0,2とが異符号であり、かつ、下記の条件式(4)
10
−2 <|A
2,0−A
0,2| … (4)
を満足することは、投射レンズが有する非軸対称非球面により、導光部材の反射面で生じる非点収差等の収差を補正し、優れた画質をもたらすことができるための指標を示す値である。以下の表24に、各実施例1〜5についての上記要件をまとめた。いずれの実施例においても、上記要件が満たされるものとなっている。
〔表24〕
【0124】
また、以下の表25に、各実施例1〜5についての投射レンズ30の入射側光軸AXI(投射レンズ光軸)と射出側光軸AXO(視線軸)とのなす角度をまとめた。いずれの実施例においても、当該角度が0°より大きく30°以下となっている。
〔表25〕
【0125】
〔その他〕
以上各実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0126】
上記の説明では、投射レンズが有する非軸対称非球面を1面としているが、投射レンズが2面以上の非軸対称非球面を有するものとすることも可能である。
【0127】
上記の説明では、ハーフミラー層(半透過反射膜)15が横長の矩形領域に形成されるとしたが、ハーフミラー層15の輪郭は用途その他の仕様に応じて適宜変更することができる。また、ハーフミラー層15の透過率や反射率も用途その他に応じて変更することができる。
【0128】
上記の説明では、映像表示素子82における表示輝度の分布を特に調整していないが、位置によって輝度差が生じる場合等においては、表示輝度の分布を不均等に調整することができる。
【0129】
上記の説明では、画像表示装置80として、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82を用いているが、画像表示装置80としては、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶表示デバイスを用いた構成も可能であり、液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、画像表示装置80として、LEDアレイやOLED(有機EL)などに代表される自発光型素子を用いることもできる。
【0130】
上記実施形態では、透過型の液晶表示デバイス等からなる画像表示装置80を用いているが、これに代えて走査型の画像表示装置を用いることもできる。
【0131】
具体的には
図24に示すように、虚像表示装置としての第1表示装置100Aは、導光装置20と画像表示装置380とを備える。導光装置20は、導光部材10と光透過部材50とを接合したものに相当するため、ここでは説明を省略する。画像表示装置380は、強度変調された信号光を形成するとともに当該信号光を走査光TLとして射出する装置であり、信号光形成部381と走査光学系382とを有する。
【0132】
信号光形成部381は、光源を備えており、不図示の制御回路からの制御信号に基づいて変調して形成した信号光LLを射出する。走査光学系382は、信号光形成部381を経た信号光LLを走査しつつ射出させる。ここで、走査光学系382は、MEMSミラー等で構成され、信号光形成部381による信号光LLの変調に同期させて姿勢を変化させて信号光LLの光路を調整することで光線(走査光TL)の射出角度を縦横に変化させる2次元走査を行う。以上により、画像表示装置380は、映像光GLとなるべき走査光TLを導光装置20に入射させるとともに第2面S12のうちハーフミラー層15が形成される部分領域の全体に対してスキャンさせる。
【0133】
図示の第1表示装置100Aの動作について説明すると、画像表示装置380は、上述のようにして、信号光LLを走査光TLとして、非軸対称非球面のレンズ面31aを含むレンズ31と他のレンズ32,33で構成される投射レンズ30を介して導光装置20の光入射面としての第4面S14に向けて射出する。導光装置20は、第4面S14を通過した走査光TLを全反射等により内部で導光させ、ハーフミラー層15に到達させる。この際、ハーフミラー層15の面上において走査光TLが走査されることで、走査光TLの軌跡としての映像光GLによって虚像が形成され、この虚像を装着者が眼EYで捉えることで、画像が認識される。
【0134】
また、上記実施形態では、導光部材10と補助光学ブロックである光透過部材50とが装着者の眼EYの前全体を覆うような構成となっているが、これに限らず、例えば
図25(A)及び25(B)に示すように、ハーフミラー層15を有する曲面形状である第2面S12を含んだ部分が眼EYの一部のみを覆っている、すなわち眼前の一部を覆い、覆わない部分も存在する小型の構成としてもよい。また、この場合、導光部材10及び光透過部材50を十分小さくすることで、シースルーとせず、ハーフミラー層15に代えて全反射をするミラーを配置させた構成としても、装着者が導光部材10及び光透過部材50の周囲から外界を観察できる。なお、図示の場合、第2面S12の全体又は略全体にハーフミラー層15が形成されているが、第2面S12の一部にのみハーフミラー層15が形成されていてもよい。また、
図25(B)の例では、眼EYの略正面にハーフミラー層15が配置されるものとなっているが、ハーフミラー層15を正面よりずらして配置し、視線を動かすことで映像を視認可能にするものとしてもよい。例えば、眼EYの位置をやや下げる(導光部材10及び光透過部材50の位置をやや上げる)ものとしてもよい。この場合、例えば眼EYの下半分が導光部材10及び光透過部材50の下から見える状態となる。
【0135】
上記の説明では、一対の表示装置100A,100Bを備える虚像表示装置100について説明しているが、単一の表示装置とできる。つまり、右眼及び左眼の双方に対応して、一組ずつ投射透視装置70及び画像表示装置80を設けるのではなく、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ投射透視装置70及び画像表示装置80を設け、画像を片眼視する構成にしてもよい。
【0136】
上記の説明では、一対の表示装置100A,100BのX方向の間隔について説明していないが、両表示装置100A,100Bの間隔は固定に限らず、機械機構等によって間隔の調整が可能である。つまり、両表示装置100A,100BのX方向の間隔は、着用者の眼幅等に応じて調整することができる。
【0137】
上記の説明では、ハーフミラー層15が単なる半透過性の膜(例えば金属反射膜や誘電体多層膜)であるとしたが、ハーフミラー層15は、平面又は曲面のホログラム素子に置き換えることができる。
【0138】
上記の説明では、導光部材10の第1面S11及び第3面S13において、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により映像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明の虚像表示装置100における全反射については、第1面S11又は第3面S13上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、画像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、上記第1面S11又は第3面S13の全体又は一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての画像光を反射する場合も含まれる。また、十分な明るさの画像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって第1面S11又は第3面S13の全体又は一部がコートされていてもよい。
【0139】
上記の説明では、導光部材10等が眼EYの並ぶ横方向に延びているが、導光部材10を縦方向に延びるように配置することもできる。この場合、導光部材10は、直列的ではなく並列的に平行配置された構造を有することになる。なお、映像光(画像光)を導光させる方向に応じて、上述の説明の場合と比較して縦方向及び横方向に関する構成を適宜入れ替えるものとすることができる。