特許第6244890号(P6244890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244890
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20171204BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20171204BHJP
   H01Q 15/18 20060101ALI20171204BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20171204BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G06K7/10 132
   G06K7/10 224
   H01Q19/10
   H01Q15/18
   H01Q1/12 Z
   H04B5/02
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-264854(P2013-264854)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121911(P2015-121911A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年8月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】森部 繁治
(72)【発明者】
【氏名】岡山 陽介
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−077246(JP,A)
【文献】 特開2011−061621(JP,A)
【文献】 特開2006−115330(JP,A)
【文献】 特開2006−240784(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0314284(US,A1)
【文献】 特開2005−184213(JP,A)
【文献】 特開2006−39991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H01Q 1/12
H01Q 15/18
H01Q 19/10
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信媒体に記録される情報を無線通信により読み取る情報読取装置であって、
前記無線通信媒体との間で電波を送受信するアンテナと、
上ケースと下表面に複数の突起部が設けられる下ケースとにより前記アンテナを収容するケースと、
前記アンテナと別体に構成されて当該アンテナを保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記アンテナの背面に対して前記複数の突起部の高さに応じて所定の距離だけ離れて対向する対向部が前記電波を反射するための反射器として構成され、前記複数の突起部にて前記対向部に接触するように前記アンテナが前記対向部上に載置されることで当該アンテナを保持することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記所定の距離は、前記電波の波長の1/4以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記無線通信媒体がかざされる壁部の裏面に前記アンテナの送受信面が対向するように、前記壁部に対して取り付け可能に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記保持部材は
前記ケースを前記壁部に対して取り付け可能に形成される取付部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記対向部は、前記取付部材に設けられることを特徴とする請求項4に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記対向部は、前記アンテナに対向する対向面内に当該対向面に対して垂直に投影される前記アンテナの背面の投影面が位置するように形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記対向部は、前記アンテナに対向する対向面の形状が前記アンテナの背面の投影面と同じ形状となるように形成されることを特徴とする請求項に記載の情報読取装置。
【請求項8】
前記保持部材は、前記対向部に加えて、前記アンテナの側面を覆う側壁の少なくとも一部が前記電波を反射する反射器として構成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項9】
前記反射器は、金属材料により構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項10】
前記反射器は、電波の伝播を阻害する材料を含むように構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信媒体に記録される情報を無線通信により読み取る情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグ等の無線通信媒体に記録される情報を無線通信により読み取る情報読取装置では、出力電波の周波数帯や送受信電力の変更だけでなくアンテナの形状や構成等によってその読み取り距離を変更することができる。しかしながら、遠方まで読み取り可能な設定にするために読み取り可能な範囲を単に広くすると、隣接する他の情報読取装置が読み取るべき無線通信媒体まで読み取ってしまい、意図しない読み取りが発生するという問題がある。
【0003】
この問題を解決するための技術として、下記特許文献1に開示されるRFIDタグ通信装置が知られている。このRFIDタグ通信装置では、希望する通信範囲の境界位置に予め配置された3つのRFIDタグに対してそれぞれ応答確認がなされ、その通信の成功率が規定値以上となっている場合にその送信出力レベルを低下させることで最小送信出力レベルが設定される。そして、通信範囲内に読取対象のRFIDタグが付された物品が移動してくることで境界位置のRFIDタグとの通信の成功率が低下すると、送信出力レベルを上げる制御がなされる。これにより、読取対象が通信範囲内にない場合には、RFIDタグ通信装置の送信出力レベルが低いレベルに維持されるので、複数のRFIDタグ通信装置同士の相互干渉が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−301004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような構成では、希望する通信範囲の境界位置に複数のRFIDタグ等の無線通信媒体を予め配置し、かつ、読取対象の無線通信媒体だけでなく常に上記境界位置の各無線通信媒体と通信する必要がある。このため、情報読取装置における無線通信に関する処理が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無線通信に関し煩雑な処理を行うことなく他の情報読取装置との相互干渉を抑制し得る情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、無線通信媒体に記録される情報を無線通信により読み取る情報読取装置(20)であって、前記無線通信媒体との間で電波を送受信するアンテナ(31)と、上ケースと下表面に複数の突起部が設けられる下ケースとにより前記アンテナを収容するケースと、前記アンテナと別体に構成されて当該アンテナを保持する保持部材(40,51)と、を備え、前記保持部材は、前記アンテナの背面(31b)に対して前記複数の突起部の高さに応じて所定の距離(X)だけ離れて対向する対向部(41,53a)が前記電波を反射するための反射器(R)として構成され、前記複数の突起部にて前記対向部に接触するように前記アンテナが前記対向部上に載置されることで当該アンテナを保持する。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、アンテナを保持する保持部材は、アンテナの背面に対して所定の距離だけ離れて対向する対向部が電波を反射するための反射器として構成されている。これにより、アンテナの背面からの電波が保持部材の対向部にて反射することで、アンテナの送受信面から直交するように放射される方向(以下、読取方向ともいう)への電波の指向性が向上し、これに伴い当該読取方向と異なる方向への電波の放射が抑制される。したがって、無線通信に関し煩雑な処理を行うことなく他の情報読取装置との相互干渉を抑制することができる。
【0009】
特に、請求項2の発明のように、所定の距離を電波の波長の1/4以下に設定することで、上記読取方向への電波の指向性がより向上するため、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0010】
請求項3の発明では、保持部材は、無線通信媒体がかざされる壁部の裏面にアンテナの送受信面が対向するように、壁部に対して取り付け可能に形成される。これにより、アンテナを上記壁部に対して容易に取り付けることができるだけでなく、上記壁部に対するアンテナの取り付け位置に関する精度を高めやすくすることができる。
【0011】
請求項4の発明では、保持部材は、アンテナが収容されるケースとこのケースを上記壁部に対して取り付け可能に形成される取付部材とを備えているため、アンテナを上記壁部に対して容易に取り付けることができる保持部材を簡素な構成にて実現することができる。
【0012】
特に、請求項4の発明のような構成では、対向部を、請求項5の発明のように取付部材に設けることもできる。
【0013】
請求項の発明では、対向部は、アンテナに対向する対向面内に当該対向面に対して垂直に投影されるアンテナの背面の投影面が位置するように形成されるため、アンテナの背面からの電波を保持部材の対向部にて確実に反射することができる。このため、上記読取方向への電波の指向性がより向上し、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0014】
特に、請求項の発明のように、対向部のアンテナに対向する対向面の形状がアンテナの背面の投影面と同じ形状となるように形成されることで、アンテナの背面からの電波を保持部材の対向部にて確実に反射しつつ、その対向面の表面積を小さくすることができる。これにより、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させつつ、情報読取装置の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項の発明では、保持部材は、対向部に加えて、アンテナの側面を覆う側壁の少なくとも一部が電波を反射する反射器として構成されるため、上記読取方向と異なる方向への電波の放射がさらに抑制される。これにより、上記読取方向への電波の指向性がより向上し、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0016】
請求項の発明では、反射器は、金属材料により構成されるため、電波を反射する反射器としての機能を、対向部に容易に付加することができる。
【0017】
請求項1の発明では、反射器は、電波の伝播を阻害する材料を含むように構成されるため、電波を反射する反射器としての機能を、対向部に容易に付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る情報読取装置の概略構成を示す説明図である。
図2】アンテナ部がステイを用いてテーブルに固定された状態を示す断面図である。
図3】シミュレーション時におけるアンテナと反射器との配置関係を説明する説明図である。
図4】反射器距離を変数する合成利得、半値角およびFB比と電波の周波数との関係を示す図表である。
図5】反射器距離と合成利得との関係を示すグラフである。
図6】反射器距離と半値角との関係を示すグラフである。
図7】反射器距離とFB比との関係を示すグラフである。
図8】ステイにより保持されたアンテナ部による放射パターンを示す図である。
図9】アンテナ部のみでの放射パターンを示す図である。
図10】第2実施形態に係る情報読取装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、第1実施形態に係る情報読取装置20の概略構成を示す説明図である。図2は、アンテナ部30がステイ40を用いてテーブル11に固定された状態を示す断面図である。
【0020】
図1に示す情報読取装置20は、図2に示すように、商品を販売するPOSレジシタ10の近傍に配置されて、商品に付されたRFIDタグなどの無線通信媒体がサッカ台等のテーブル11の天面11aにかざされるときに、この無線通信媒体に記録される商品情報等(販売額や商品名等)を無線通信により読み取ってPOSレジシタ10等に出力する読取装置として構成されている。なお、テーブル11は、「壁部」の一例に相当し得る。
【0021】
情報読取装置20は、制御部21と、アンテナ部30と、ステイ40と、を備えている。制御部21は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、発振器、変調器、増幅器、復調器などを備えており、ケーブル22を介してアンテナ部30に接続されている。この制御部21は、例えば発振器で生成された発振信号を変調器によって変調し、その変調波をアンテナ部30を介して送信電波として出力し、無線通信媒体からの電波をアンテナ部30を介して受信すると復調器にて復調等することで上記商品情報等を取得するように構成されている。
【0022】
アンテナ部30は、無線通信媒体と無線通信するためのアンテナ基板31と、このアンテナ基板31を収容する合成樹脂製のケース32とを備えている。アンテナ基板31は、略略矩形状に形成されており、その表面(以下、送受信面31aともいう)には、アンテナパターンが配置されている。ケース32は、上ケース33および下ケース34を備えており、両ケース33,34を組み付けることでアンテナ基板31を収容する収容空間が形成される。また、下ケース34には、その下表面の四隅に所定の高さの突起部34aが設けられている。
【0023】
図2に示すように、アンテナ基板31は、その送受信面31aにて上ケース33の底面に対向し、その背面31bにて下ケース34の底面に対向するように、ケース32に支持されてその収容空間内に収容されている。
【0024】
ステイ40は、保持したアンテナ部30をテーブル11の裏面11bに取り付けるための取付部材として機能するものである。このステイ40は、金属材料により構成されるプレートを屈曲させることで、矩形状の底板41と、この底板41の四辺に連結する4つの側板42〜45と、2つの取付片46,47とを有するように一体に形成されている。底板41は、下ケース34の下表面とほぼ同じ矩形状に形成されている。側板42には、アンテナ部30に接続されるケーブル22を避けるための切欠き42aが形成されている。取付片46は、底板41と平行であって外方へ延出するように側板43の上端に連結されている。取付片47は、底板41と平行であって外方へ延出するように側板44の上端に連結されている。なお、各側板42〜45は、「側壁」の一例に相当し得る。
【0025】
上述のように構成されるアンテナ部30は、各突起部34aにて底板41に接触し各側板42〜45にて周囲を囲まれた状態でステイ40に保持され、このステイ40が両取付片46,47にてテーブル11の裏面11bに取り付けられることで、テーブル11に対して所定の位置に固定される(図2参照)。
【0026】
このとき、アンテナ基板31の背面31bと底板41との距離(以下、反射器距離Xともいう)が電波の波長λの1/4以下となるように、突起部34aの高さが設定されている。
【0027】
このように反射器距離Xを設定する理由について、図3図7を用いて詳細に説明する。なお、図3は、シミュレーション時におけるアンテナAと反射器Rとの配置関係を説明する説明図である。図4は、反射器距離Xを変数する合成利得、半値角およびFB比と電波の周波数との関係を示す図表である。図5は、反射器距離Xと合成利得との関係を示すグラフである。図6は、反射器距離Xと半値角との関係を示すグラフである。図7は、反射器距離XとFB比との関係を示すグラフである。
【0028】
図3に示すように、アンテナAの背面側に反射器距離Xにて電波を反射する機能を有する反射器Rを配置し、この反射器距離Xを段階的に変化させて、合成利得、半値角およびFB比(前方対後方比)とそのときの電波の周波数とをシミュレーションにより計算し、このシミュレーション結果を図4の図表および図5図7のグラフにまとめた。なお、アンテナAは、一辺が180mmの正方形状であり、反射器Rは、一辺が200mmの正方形状に設定されている。また、合成利得は、水平偏波および垂直偏波の双方を合成した利得である。
【0029】
図4および図5に示すように、合成利得は、反射器距離Xが10mm〜50mmで最も良くなり、5mmまたは100mmでは僅かに低下していることがわかる。そして、合成利得は、反射器距離Xが反射器距離Xが0mmに近づくか100mmを超えるとさらに低下していることがわかる。
【0030】
また、図4および図6に示すように、半値角は、反射器距離Xが5mm〜20mmで最も小さくなり、20mmを超えて50mm程度までは僅かに大きくなっていることがわかる。そして、半値角は、反射器距離Xが0mmに近づくか50mmを超えるとさらに大きくなっていることがわかる。
【0031】
また、図4および図7に示すように、FB比は、反射器距離Xが50mm〜100mmで最も良くなり、50mm未満では0mmに近づくほど低下し、100mを超えても低下していることがわかる。
【0032】
上述したシミュレーション結果からわかるように、反射器距離Xに応じて半値角等が変化する。そこで、アンテナの送受信面から直交するように放射される方向(読取方向α)への電波の指向性を向上させるため、アンテナAに対して半値角をできるだけ小さくするような反射器距離Xに相当する位置に反射器Rを配置する。半値角を小さくすることで、読取方向αへの電波の指向性が向上し、当該読取方向αと異なる方向への電波の放射が抑制されるからである。これにより、同じテーブルの裏面に2つのアンテナ部が設けられる場合でも、これらのアンテナ部をその読取方向αが上記テーブルの裏面に直交するようにそれぞれ配置することで、他方のアンテナ部との相互干渉を抑制することができる。
【0033】
また、上述したシミュレーション結果では、電波の周波数が918.5MHz〜913.4MHzであり、その電波の波長λの1/4が80mm程度となる。また、反射器距離Xが0mmよりも大きく80mm以下となる範囲では、半値角が小さくなり、合成利得およびFB比も良好な値となっている。
【0034】
そこで、本実施形態では、反射器Rとして機能するステイ40の底板41を、反射器距離Xが0mmを超えて電波の波長λの1/4以下となるように、アンテナ基板31の背面側に配置する。この反射器距離Xは、下ケース34に形成される各突起部34aの高さにより調整することができる。なお、底板41は、「対向部」の一例に相当し、反射器距離Xは、「所定の距離」の一例に相当し得る。
【0035】
また、底板41は、アンテナ基板31に対向する対向面(底板41の上面)41a内に当該対向面41aに対して垂直に投影されるアンテナ基板31の背面31bの投影面が位置するように形成される。すなわち、底板41の対向面41aは、アンテナ基板31の背面31bよりも広くなるように形成されて、その背面31bと平行となるように配置される。
【0036】
次に、上述のように構成されるアンテナ部30がステイ40により保持される場合と保持されない場合とについて半値角等を計算した結果を、図8および図9を用いて説明する。図8は、ステイ40により保持されたアンテナ部30による放射パターンを示す図である。図9は、アンテナ部30のみでの放射パターンを示す図である。
【0037】
なお、図8および図9に対応するシミュレーションでは、アンテナ基板31におけるアンテナは、一辺が180mmの正方形状に設定されている。また、図8に対応するシミュレーションでは、反射器距離Xは、20mmに設定され、底板41に相当する反射器Rは、一辺が200mmの正方形状に設定されている。
【0038】
図8および図9からわかるように、アンテナ部30がステイ40により保持された状態では、アンテナ部30のみの状態と比較して、半値角θが小さくなっている。なお、図8では、半値角θは、78.8°であり、水平利得は2.3dBi、FB比は−16.1dBである。また、図9では、半値角θは、90.6°であり、水平利得は0.8dBi、FB比は−16.6dBである。
【0039】
このことから、ステイ40の底板41が、読取方向αへの電波の指向性を向上させるための反射器Rとして機能していることがわかる。また、アンテナ部30の側面を覆う側板42〜45も反射器として機能させることができ、これにより半値角等をより向上させることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置20では、アンテナ部30のアンテナ基板31を保持するステイ40は、アンテナ基板31の背面31bに対して反射器距離Xだけ離れて対向する底板41が電波を反射するための反射器Rとして構成されている。
【0041】
これにより、アンテナ基板31の背面31bからの電波が底板41にて反射することで、送受信面31aから直交するように放射される読取方向αへの電波の指向性が向上し、これに伴い当該読取方向αと異なる方向への電波の放射が抑制される。したがって、無線通信に関し煩雑な処理を行うことなく他の情報読取装置との相互干渉を抑制することができる。
【0042】
特に、反射器距離Xを、0mmを超えて電波の波長の1/4以下となるように設定することで、上記読取方向αへの電波の指向性がより向上するため、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0043】
また、ステイ40は、無線通信媒体がかざされるテーブル11の裏面11bにアンテナ基板31の送受信面31aが対向するように、テーブル11に対して取り付け可能に形成される。これにより、アンテナ部30をテーブル11に対して容易に取り付けることができるだけでなく、テーブル11に対するアンテナ部30の取り付け位置に関する精度を高めやすくすることができる。
【0044】
また、アンテナ部材30は、アンテナ基板31が収容されるケース32を備えており、ステイ40は、ケース32をテーブル11に対して取り付け可能に形成されている。このため、アンテナ基板31をテーブル11の所定の位置に対して容易に取り付けることができる保持部材を、ケース32およびステイ40により簡素な構成にて実現することができる。特に、このような構成では、反射器Rとして機能する底板41を、ステイ40に容易に設けることができる。
【0045】
また、底板41は、アンテナ基板31に対向する対向面41a内にアンテナ基板31の背面31bの投影面が位置するように形成されるため、対向面41aがアンテナ基板31よりも広くなり、アンテナ基板31の背面31bからの電波を底板41にて確実に反射することができる。このため、上記読取方向αへの電波の指向性がより向上し、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0046】
また、ステイ40は、底板41に加えて、アンテナ部30の側面を覆う側板42〜45が電波を反射する反射器Rとして構成されるため、上記読取方向αと異なる方向への電波の放射がさらに抑制される。これにより、上記読取方向αへの電波の指向性がより向上し、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0047】
なお、ステイ40は、各側板42〜45にてアンテナ部30の四方の側面を覆うように形成されることに限らず、一部の側板(側壁)にて、アンテナ部30の側面の一部を覆うように形成されてもよい。この場合、上記一部の側板が電波を反射する反射器Rとして構成されることでも、上記効果を奏する。
【0048】
特に、底板41および側板42〜45は、金属材料により構成されるため、電波を反射する反射器Rとしての機能を、底板41や側板42〜45に容易に付加することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に係る情報読取装置について、図10を参照して説明する。図10は、第2実施形態に係る情報読取装置の要部を示す断面図である。
本第2実施形態では、ステイ40を廃止しアンテナ部30に代えてアンテナ部50を採用する点が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
アンテナ部50は、上述したアンテナ基板31と、このアンテナ基板31を収容する合成樹脂製のケース51とを備えており、ケース51は、上ケース52および下ケース53から構成されている。上ケース52は、上述した上ケース33に対して、上面の外縁から複数の取付片52aが外方へ延出するように形成されている。これら各取付片52aは、アンテナ部50をテーブル11の裏面11bに取り付けるための取付部材として機能するものである。
【0051】
下ケース53の底壁53aのうちアンテナ基板31に対向する対向面53bには、電波の伝播を阻害する材料、例えば金属物性を有する粉末を含む膜がコーティングされている。これにより、対向面53bは、アンテナ基板31からの電波を反射する反射器Rとして機能する。なお、底壁53aは、「対向部」の一例に相当し得る。
【0052】
また、下ケース53の底壁53aとアンテナ基板31の背面31bとの間には、反射器距離Xを調整するための所定の厚さのスペーサ54が配置されている。
【0053】
このように、本実施形態に係るアンテナ部50では、アンテナ基板31を保持するケース51は、アンテナ基板31の背面31bに対して反射器距離Xだけ離れて対向する対向面53bが電波を反射するための反射器Rとして構成されている。
【0054】
これにより、アンテナ基板31の背面31bからの電波が対向面53bにて反射することで、送受信面31aから直交するように放射される読取方向αへの電波の指向性が向上し、これに伴い当該読取方向αと異なる方向への電波の放射が抑制される。したがって、無線通信に関し煩雑な処理を行うことなく他の情報読取装置との相互干渉を抑制することができる。
【0055】
特に、対向面53bは、電波の伝播を阻害する材料を含む膜がコーティングされることで構成されるため、電波を反射する反射器Rとしての機能を、対向面53bに容易に付加することができる。
【0056】
なお、下ケース53は、底壁53aの対向面53bに上述のような膜がコーティングされることで反射器Rとしての機能を有することに限らず、少なくとも底壁53aを形成する形成材料に電波の伝播を阻害する金属物性等の材料を含ませることで、反射器Rとしての機能を有してもよい。
【0057】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)アンテナ基板31に対して反射器Rとしての機能する対向部は、その対向面がステイ40の底板41の対向面41aや下ケース53の底壁53aの対向面53bのように、その対向面内にアンテナ基板31の背面31bの投影面が位置するように形成されることに限らず、その対向面の形状がアンテナ基板31の背面31bと同じ形状となるように形成されてもよい。すなわち、対向部の対向面を、アンテナ基板31の背面31bと同じ形状に形成してもよい。
【0058】
このような構成では、アンテナ基板31の背面31bからの電波を上記対向部にて確実に反射しつつ、その対向面の表面積を小さくすることができる。これにより、他の情報読取装置に対する相互干渉の抑制効果をさらに向上させつつ、情報読取装置の小型化を図ることができる。
【0059】
(2)上記第1実施形態において、反射器距離Xは、下ケース34の下表面に設けられる各突起部34aの高さに応じて設定されることに限らず、例えば、各突起部34aを廃止した下ケース34のその厚さに応じて設定されてもよいし、下ケース34とステイ40の底板41との間に介在するスペーサ等の高さに応じて設定されてもよい。
【0060】
(3)本発明に係る情報読取装置20は、テーブル11の裏面11bに取り付けられて使用されることに限らず、読取対象となる無線通信媒体がかざされる壁部の裏面に取り付けられて使用されてもよい。また、本発明に係る情報読取装置20は、テーブル11等の壁部上に載置されて、読取対象となる無線通信媒体が直接かざされるように使用されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
11…テーブル(壁部)
20…情報読取装置
21…制御部
30,50…アンテナ部
31…アンテナ基板
32…ケース
40…ステイ(取付部材,保持部材)
41…底板(対向部)
51…ケース(保持部材)
52a…取付片(取付部材)
53a…底壁(対向部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10