特許第6244898号(P6244898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244898タッチ式情報入力画像表示装置及び情報機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244898
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】タッチ式情報入力画像表示装置及び情報機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   G06F3/041 450
   G06F3/041 400
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-268928(P2013-268928)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125562(P2015-125562A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】辻 真樹
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/114754(WO,A1)
【文献】 特開2004−151961(JP,A)
【文献】 特開2008−181366(JP,A)
【文献】 特開2012−173955(JP,A)
【文献】 特開2013−182200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの上面に、タッチパネルセンサーとそれを覆うサイズのカバーガラスとが一体化されたタッチパネルが配置され、かつ、これらが、上面にタッチパネルを露出する窓枠を有する筐体により被覆されたタッチ式情報入力画像表示装置であって、
前記タッチパネルのタッチパネルセンサー側が、第一の支持体を介して、前記液晶パネル用筐体上部に固定され、
前記タッチパネルが前記液晶パネル用筐体上部に固定される部位よりも外周側で前記タッチパネルのカバーガラスが、第二の支持体を介して前記筐体に固定されていることを特徴とするタッチ式情報入力画像表示装置。
【請求項2】
前記タッチパネルのカバーガラスと前記筐体と前記カバーガラス上面と前記窓枠の内面部とが水平になるように固定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式情報入力画像表示装置。
【請求項3】
前記タッチパネルのカバーガラスと前記筐体と、カバーガラス周端部と前記窓枠の周端部とが、斜めに重なり合う形状で固定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式情報入力画像表示装置。
【請求項4】
前記第二の支持体が、前記タッチパネルを覆う前記カバーガラスの余白領域の下側に配置され、下側に張力がかかった状態で前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式情報入力画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のタッチ式情報入力画像表示装置を備える情報機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力最上面にカバーガラスを備えた静電容量式タッチパネルを有するタッチ式情報入力画像表示装置及び情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンや、タブレット等の携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、様々な電子機器の操作部にタッチ式情報入力画像表示装置(以下、入力装置と記す)が採用されている。入力装置は、液晶表示装置、有機EL装置等の表示用パネルの表示面上に、指先やペン先の接触位置を検出する入力装置として貼り合わせて使用されるものである。入力方式としては、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式に大別されるが、それぞれメリット、デメリットがあるため用途に応じて使い分けられている。
【0003】
その中でも静電容量式の入力装置は、一枚の透明基材上にマトリックス状の透光性導電膜を形成し、電極間部分に指等が接触することによって誘起される静電容量の変化を、微弱な電流変化として検出することでタッチパネル上の被接触位置を特定するものである。静電容量式には、さらに、表面型と投影型とがある。投影型静電容量式入力装置は、X方向およびY方向にグリッド上に配列された複数の電極を備え、マルチタッチが可能であり、現在急速に普及しつつある。
【0004】
投影型静電容量式のタッチパネルセンサには、ガラスタイプとフィルムタイプがある。前者は、透過率がフィルムに比べて高いことや、ガラス上に形成された配線パターンの位置精度がフィルムに比べて優れるため、配線を覆う額縁部を小さくできる。さらに、表面の平滑性に優れるので、フィルムタイプより見栄えが良いという利点がある。一般に、高精細で低消費電力が要求されるスマートフォン等、携帯端末等の小型品では、ガラスタイプが採用されている。
【0005】
後者は、軽量・割れにくい、製造コストが安い、柔軟性があるので他の表示装置やカバーガラスと貼り合せる際に気泡を除去し易く貼り合せ易いという利点がある。一般には、安価で貼り合せ易い等の生産性が要求されるタブレットコンピュータやテレビ等の中型、大型品にはフィルムタイプが多く使用されている。
【0006】
入力装置の最上面、すなわち入力部は上記のようなタッチパネルセンサを保護するためにカバーで覆われている。一般にはガラス基材または樹脂基材が公知であり、多くは図3(a)に示すような構造でガラス基材がカバーガラス1として用いられている(特許文献1)。
【0007】
しかしながら、ガラス基材はその厚みや重量に起因して、入力装置の設計や製造工程に制約が生じ、また、使用時の押し圧でタッチパネルに図3(b)に示すような撓みが生じ、
タッチパネルと液晶パネル10とのクリアランスが小さくなり、液晶パネルのノイズの影響を受け易くなる為、誤動作を起こし易いという問題がある。
【0008】
上記の問題に対して、例えば、図3(c)に示すように、予めタッチパネルと液晶パネル10とのクリアランスを広げて配置して、液晶ノイズの影響による誤動作を防止する方法や、単にガラス基材を厚くして押し圧による撓みを防ぐ方法などが考えられる。しかしながら、これらの方法はいずれも製品厚さが大きくなり、タッチする部分と表示部の視差が大きくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−226688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、タッチパネル操作時にもタッチパネルと液晶パネル間のクリアランスを一定に保つことができ、液晶層の影響による誤動作のないタッチ式情報入力画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するための請求項1に係る発明は、液晶パネルの上面に、タッチパネルセンサーとそれを覆うサイズのカバーガラスとが一体化されたタッチパネルが配置され、かつ、これらが、上面にタッチパネルを露出する窓枠を有する筐体により被覆されたタッチ式情報入力画像表示装置であって、タッチパネルのタッチパネルセンサー側が、第一の支持体を介して、液晶パネル用筐体上部に固定され、タッチパネルが液晶パネル用筐体上部に固定される部位よりも外周側で、タッチパネルのカバーガラスが、第二の支持体を介して前記筐体に固定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記固定部よりも外周側で前記タッチパネルのカバーガラスと前記筐体との固定が、第二の支持体を介して、カバーガラス上面と前記窓枠の内面部とが、水平に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式情報入力画像表示装置である。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記タッチパネルのカバーガラスと前記筐体との固定が、第二の支持体を介して、カバーガラス周端部と前記窓枠の周端部とが、斜めに重なり合う形状で固定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式情報入力画像表示装置である。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記第二の支持体が、前記タッチパネルを覆う前記カバーガラスの余白領域の下側に配置され、下側に張力がかかった状態で前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式情報入力画像表示装置である。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のタッチ式情報入力画像表示装置を備える情報機器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1の発明によれば、液晶パネルの上面に、タッチパネルセンサーとそれを覆うサイズのカバーガラスが一体化されたタッチパネルの、タッチパネルセンサー側が前記液晶パネル用筐体の上部に、カバーガラスが前記タッチ式情報入力画像表示装置の筐体に、それぞれ第一支持体と第二の支持体とを介して、タッチパネルの表裏で固定されることにより、タッチパネル操作時にテコの原理が働き押し圧を吸収することができる。その結果、撓みが抑制することができるため、カバーガラスの厚みを薄くすることができタッチパネルの軽量化がはかれる。また、タッチパネルと液晶パネルとのクリアランスを狭めることができるため、感度の良いセンサー機能を得ることができる。
【0017】
また、請求項2によれば、第二の支持体を介して、前記カバーガラス上面と前記筐体の窓枠の内面部とを固定することで、支持体との接触面積を広くすることができ、より安定
してテコの原理を有効に働かせることができる。
【0018】
また、請求項3によれば、第二の支持体を介して、カバーガラス周端部と前記窓枠の周端部とを斜めに重なり合う形状で固定することにより、前記窓枠と前記ガラスカバーとが同一面(平坦)となり、タッチパネル操作領域がし易く、また製品厚さも薄くすることができる。
【0019】
また、請求項4によれば、前記第二の支持体2を前記カバーガラスの余白領域(タッチパネルセンサーをカバーしてさらに余った領域)の下側に配置し、斜め下側に張力をかけた状態で前記筐体に固定することで、タッチパネルの操作時にかかる押し圧を吸収緩和することができる。また、前記窓枠と前記ガラスカバーとが同一面(平坦)となり、タッチパネルの操作がし易く、さらには、従来の段差部に溜まり易かった粉塵による損傷を防ぐことができる。
【0020】
上記で説明したように、本発明によれば、タッチパネルの押圧による液晶層への影響を防ぐことができるタッチ式情報入力画像表示装置とそれを具備した情報機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るタッチパネル及び液晶パネル筐体との接合を示す断面概略図。
図2図1における操作時に働く応力の方向を示す断面概略図。
図3】従来のガラスカバー式の入力装置の断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0023】
図1(a)に示すように、本発明のタッチ式情報入力画像表示装置(以下、入力装置と記す)は、液晶パネル10の外周を被覆する液晶パネル用筐体20の上面に、タッチパネルセンサー2とそれを覆うサイズのカバーガラス1が一体化されたタッチパネルが配置された入力装置であって、上部にタッチパネルを露出する為の窓枠を有する筐体30で被覆され、前記タッチパネルのタッチパネルセンサー2側が、第一の支持体3aを介して、前記液晶パネル用筐体20に固定され、前記タッチパネルのカバーガラス1が、第二の支持体3bを介して、前記筐体30に固定されていることを特徴とする入力装置である。
【0024】
本発明は、タッチパネルの一方を第一の支持体3aを介して液晶パネル用筐体20に固定し、他方を第二の支持体3bを介して入力装置の筐体30に固定することで、テコの原理によりタッチパネルの操作時にかかる押し圧40を緩和することを特徴とする。
【0025】
例えば、一実施形態である図1(a)に示す入力装置の場合、タッチパネルの操作時にかかる押し圧40は、図2(a)に示すように、矢印で示すような方向に応力が働らいて緩和され、タッチパネルの撓みの発生を防ぐことができる。このような効果が得られるために、タッチパネルと液晶パネル10とのクリアランスを狭めることができ、高感度のセンサー機能を得ることができる。
【0026】
また、例えば、図1(b)に示すような構造にすることもできる。すなわち、第二の支持体3bを介して、カバーガラス周端部4と前記窓枠の周端部とを斜めに重なり合う形状で固定することで、前記窓枠と前記カバーガラス1とを同一面(平坦)にすることができる。
【0027】
このような形態をとることにより、図2(b)に示すように、テコの原理による押し圧
40の吸収緩和ができ、また、前記窓枠と前記カバーガラス1とを同一面(平坦)にすることで、タッチパネルの操作をし易くすることができる。
【0028】
また、例えば、図1(c)に示すような構造にすることもできる。すなわち、前記第二の支持体2を前記カバーガラス1の余白領域(タッチパネルセンサー2をカバーしてさらに余った領域)の下側に配置し、下側に張力をかけた状態で前記入力装置の筐体30に固定することができる。
【0029】
この場合のタッチパネルの操作時にかかる押し圧40に対しては、図2(c)に示すように、第一の支持体3aを介して液晶パネル用筐体20に固定された箇所で、下側から押し上げる力が働く一方で、前記カラーガラス1の余白領域に配置された第二の支持体5を介して、前記支持体5の方向に沿って下側に力が働くことで、テコの原理により前記押し圧40を吸収緩和し、タッチパネルの撓みを防止することができる。また、前記入力装置の筐体30の窓枠と同一面にすることができ、タッチパネルの操作性を向上することができる。
【0030】
本発明に係るカバーガラス1としては、一般的なフロートガラスや液晶パネルなどの平面型表示装置の基板用ガラスと同等の透明性の良好な材質のガラスを使用できるが、特にタッチパネルとしての接触使用を考慮して、高い表面圧縮応力を有する強化ガラスの使用が望ましい。
【0031】
また、図2(c)に示すような支持体5としては、上下端部で固定でき、特に限定する物ではない。この場合、カバーガラスと前記継ぎ手との固定方法としては、粘着剤を用いることができる。また、一方、前記入力装置の筐体30との固定方法としては、同様に粘着剤を用いてもよいし、ビス止めなどの方法でもよい。
【0032】
上記で説明したように、本発明はタッチパネルの一方を前記液晶パネル用筐体20に固定し、他方を前記入力装置の筐体に固定することで、テコの原理により、タッチパネルの操作時にかかる押し圧40を吸収緩和するこができる。その結果、タッチパネルの撓みを抑制し、タッチパネルと液晶パネル10とのクリアランスを一定に保つことができ、液晶層による影響を受けず、誤動作のないタッチ式情報入力画像表示装置及び情報機器を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る入力装置は、スマートフォンや、タブレット等の携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、様々な形態の入力装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・カバーガラス
2・・・タッチパネルセンサー
3a・・第一の支持体
3b・・第二の支持体
4・・・カバーガラス短部側面
5・・・第二の支持体(下方に張力がかかる支持体)
10・・液晶パネル
20・・液晶パネル用筐体
30・・タッチ式情報入力画像表示装置の筐体
40・・タッチパネル操作時の押し圧方向
図1
図2
図3