(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、画像形成に用いられる用紙の坪量が第1の所定値以下である場合に前記第1の用紙反転部を選択し、坪量が第2の所定値以上である場合に前記第2の用紙反転部を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
前記第1の用紙反転部は、前記第1の画像形成部及び前記第1の定着部を備える画像形成装置内に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成システム1を示す図である。
図1に示す画像形成システム1は、用紙搬送方向上流側から順に、給紙装置1A、第1の画像形成装置1B、用紙反転装置1C、第2の画像形成装置1D、及び後処理装置1Eを備える。すなわち、画像形成システム1は、2機の画像形成装置1B,1Dを直列に接続したタンデム型の画像形成システムである。ここでは、第1の画像形成装置1Bが、画像形成システム1における各種処理を統括して制御するものとする。
【0013】
給紙装置1Aは、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)を予め設定された種類ごとに収容し、第1の画像形成装置1Bからの指示に従って給紙する。
【0014】
第1の画像形成装置1Bは、給紙された用紙の第1面(表面)に画像を形成し、用紙反転装置1Cに送出する。第1の画像形成装置1Bは、後述するように、画像が形成された用紙を反転可能な反転経路を有する。
【0015】
用紙反転装置1Cは、両面画像形成の場合に、第1面に画像が形成された用紙を必要に応じて反転させ、第2の画像形成装置1Dに送出する。第2の画像形成装置1Dでは、第2面が画像形成面となる。片面画像形成の場合には、用紙反転装置1Cは、用紙を反転させることなくそのまま第2の画像形成装置1Dに用紙を送出する。または、用紙反転装置1Cが備える排紙トレイ(図示略)に用紙を排紙するようにしてもよい。
【0016】
第2の画像形成装置1Dは、両面画像形成の場合に、用紙の第2面(裏面)に画像を形成し、後処理装置1Eに送出する。片面画像形成の場合には、第2の画像形成装置1Dは、画像を形成することなくそのまま後処理装置1Eに用紙を送出する。
【0017】
後処理装置1Eは、必要に応じて用紙にステイプル処理、パンチ処理、折り処理を施し、排紙トレイOTに排紙する。
【0018】
図2は、第1の画像形成装置1Bの全体構成を示す図である。
図3は、第1の画像形成装置1Bの制御系の主要部を示す図である。
図2、3に示す画像形成装置1Bは、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1Bには、YMCKの4色に対応する感光ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向(鉛直方向)に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させる縦型タンデム方式が採用されている。
すなわち、画像形成装置1Bは、感光ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。
【0019】
図2、3に示すように、画像形成装置1Bは、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30B、画像形成部40B、用紙搬送部50B、定着部60B、及び制御部100Bを備える。
【0020】
制御部100Bは、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102又は記憶部72Bから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1Bの各ブロックの動作、並びに給紙装置1A、用紙反転装置1C、第2の画像形成装置1D、及び後処理装置1Eの動作を集中制御する。
【0021】
通信部71Bは、例えばNIC(Network Interface Card)、MODEM(MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを有する。
記憶部72Bは、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。記憶部72Bには、例えば各ブロックの動作を制御する際に参照されるルックアップテーブルLUTが格納される。
【0022】
制御部100Bは、通信部71Bを介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。制御部100Bは、例えば、外部の装置から送信されたページ記述言語(PDL:Page Description Language)による画像データ(入力画像データ)を受信し、これに基づいて用紙に画像を形成させる。また、制御部100Bは、通信部71Bを介して、給紙装置1A、用紙反転装置1C、第2の画像形成装置1D、及び後処理装置1Eとの間で各種データの送受信を行う。
【0023】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備える。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像(両面を含む)を連続して読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30Bにおいて所定の画像処理が施される。
【0024】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100Bから入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100Bに出力する。
ユーザーは、操作表示部20を操作して、原稿設定、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定、片面/両面設定、用紙設定、及び揺動量調整などの画像形成に関する設定を行うことができる。
【0025】
画像処理部30Bは、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30Bは、制御部100Bの制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う(画像濃度制御)。また、画像処理部30Bは、入力画像データに対して、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40Bが制御される。
【0026】
画像形成部40Bは、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41及び中間転写ユニット42等を備える。
【0027】
画像形成ユニット41は、Y成分用、M成分用、C成分用、K成分用の4つの画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kで構成される。画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有するので、図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図2では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素についての符号は省略されている。
【0028】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0029】
感光ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光を受けて一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネート樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0030】
帯電装置414は、例えばスコロトロン帯電装置やコロトロン帯電装置等のコロナ放電発生器で構成される。帯電装置414は、コロナ放電によって感光ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0031】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成される。露光装置411は、感光ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光ドラム413の電荷発生層で発生した正電荷が電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光ドラム413の露光領域における表面電荷(負電荷)が中和される。これにより、感光ドラム413の表面には、露光部(低電位部)と非露光部(高電位部)との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0032】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えばトナーと磁性キャリアーとからなる二成分現像剤)を収容しており、感光ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。具体的には、現像剤担持体(現像ローラー)に現像バイアス電圧が印加され、感光ドラム413の表面と現像剤担持体との電位差によって現像剤担持体上の帯電トナーが感光ドラム413の表面の露光部に移動し、付着する。
【0033】
ドラムクリーニング装置415は、感光ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0034】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0035】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置される支持ローラー423が駆動ローラーであることが好ましい。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0036】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光ドラム413に圧接されることにより、感光ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0037】
二次転写ローラー424は、複数の支持ローラー423のうちの一つに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間点シャベルと421に対向して配置される支持ローラー423はバックアップローラーと呼ばれる。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラーに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙へトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0038】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0039】
その後、用紙が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙に静電的に転写される。トナー像が転写された用紙は定着部60に向けて搬送される。
【0040】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0041】
なお、中間転写ユニット42において、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
【0042】
定着部60Bは、用紙の定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部61、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部62、及び定着面側部材を加熱する加熱源63等を備える。
【0043】
上側定着部61がベルト加熱方式である場合(
図2参照)は定着ベルトが定着面側部材となり、ローラー加熱方式である場合は定着ローラーが定着面側部材となる。また、下側定着部62がローラー加圧方式である場合(
図2参照)は加圧ローラーが裏面側支持部材となり、ベルト加圧方式である場合は加圧ベルトが裏面側支持部材となる。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙を狭持して搬送する定着ニップが形成される。トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙は、定着ニップを通過する際に加熱、加圧される。これにより、用紙にトナー像が定着する。また、定着部60Bは、定着面側部材又は裏面側支持部材に対して送風を行い、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙を分離する分離エアー送風部を備えていてもよい。
【0044】
用紙搬送部50Bは、給紙部51、排紙部52、第1の搬送部53〜第4の搬送部56、及び搬送経路切替部57等を備える。
給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット511〜513には、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された紙種ごとに収容される。
【0045】
第1の搬送部53は、中間搬送ローラー部、ループローラー部、及びレジストローラー部を含む複数の搬送ローラー部を備える。第1の搬送部53は、給紙部51、又は給紙装置1Aから給紙された用紙を画像形成部40B(二次転写部)に搬送する。
【0046】
第2の搬送部54は、画像形成部40において第1面に画像が形成された用紙を第3の搬送部55に搬送する。また、第2の搬送部54は、第3の搬送部55から送出された用紙を排紙部52に搬送する。
【0047】
第3の搬送部55は、第2の搬送部54から送出された用紙を一旦停止させ、搬送方向を逆転させる(スイッチバック)。第3の搬送部55は、スイッチバックさせた用紙を第2の搬送部54又は第4の搬送部56に搬送する。
【0048】
第4の搬送部56は、第3の搬送部55から送出された用紙を第1の搬送部53(ループローラー部の上流)に搬送する循環経路である。第1の搬送部53には、第2面(裏面)が上面となった用紙が通紙されることになる。
【0049】
搬送経路切替部57は、定着部60Bから送出された用紙をそのままの状態で排紙するか、反転させて排紙するかによって搬送経路を切り替える。具体的には、制御部100Bが、画像形成処理の処理内容(片面/両面印刷、紙種等)に基づいて、搬送経路切替部57の動作を制御する。
【0050】
給紙部51又は給紙装置1Aから給紙された用紙は、第1の搬送部53によって画像形成部40に搬送される。そして、用紙が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙の第1面(定着面)に一括して二次転写され、定着部60において定着処理が施される。画像が形成された用紙は、排紙ローラー等を備えた排紙部52により用紙反転装置1Cに向けて排紙される。このとき、第2の画像形成装置1Dにおいて用紙の第2面に画像を形成する場合は、第2の搬送部54及び第3の搬送部55からなる反転経路が必要に応じて搬送経路として選択される。
なお、第1面に画像が形成された用紙を第2の搬送部54〜第4の搬送部56によって循環搬送することにより、第1の画像形成装置1Bにおいて用紙の第2面に画像を形成することもできる。
【0051】
図4は、第2の画像形成装置1Dの制御系の主要部を示す図である。第2の画像形成装置1Dの構成は第1の画像形成装置1Bとほぼ同様である。第1の画像形成装置1Bの構成要素と対応する構成要素については、参照符号の末尾を“D”に置き換えて示す。以下において、第1の画像形成装置1Bと第2の画像形成装置1Dに共通する構成要素については、それぞれ「第1の・・・(例えば第1の定着部60B)」、「第2の・・・(例えば第2の定着部60D)」として記載する。
【0052】
第2の制御部100Dは、第2の通信部71Dを介して、第1の画像形成装置1B等との間で各種データの送受信を行う。第2の制御部100Dが、第1の制御部100Bからの指示に基づいて、第2の画像処理部30D、第2の画像形成部40D、第2の用紙搬送部50D、及び第2の定着部60D等の動作を制御することにより、用紙の第2面に画像が形成される。
【0053】
このように、画像形成システム1は、用紙の第1面に第1のトナー像を形成する第1の画像形成部40Bと、第1のトナー像を用紙に定着させる第1の定着部60Bと、用紙の第2面に第2のトナー像を形成する第2の画像形成部40Dと、第2のトナー像を用紙に定着させる第2の定着部60Dと、を備える。
【0054】
図5は、用紙反転装置1Cの構成を示す図である。
図6は、用紙反転装置1Cの制御系の主要部を示す図である。
図5,6に示すように、用紙反転装置1Cは、搬送経路切替部81、反転経路82、通信部71C、及び制御部100C等を備える。
制御部100Cは、通信部71Cを介して、第1の画像形成装置1B等との間で各種データの送受信を行う。第2の画像形成装置1Dにおいて用紙の第2面に画像を形成する場合は、制御部100Cが、第1の画像形成装置1Bの制御部100Bからの指示に基づいて、搬送経路切替部81の動作を制御することにより、反転経路82が必要に応じて搬送経路として選択される。
【0055】
以下において、第1の画像形成装置1Bにおける反転経路(第2の搬送部54、第3の搬送部55)を「第1の用紙反転部R1」、用紙反転装置1Cにおける反転経路82を「第2の用紙反転部R2」と称する。
【0056】
上述したように、画像形成システム1は、第1の用紙反転部R1及び第2の用紙反転部R2を備える。
第1の用紙反転部R1は、第2の用紙反転部R2の用紙搬送方向上流側、すなわち第1の定着部60Bの近くに配置される。第1の用紙反転部R1は、第1の定着部60Bで生じうる用紙のカール形状(下に凸状)とは反対側に屈曲して形成される屈曲部R11,R12を有する。第1の用紙反転部R1に通紙される用紙は、屈曲部R11,R12の形状によって、カールが矯正される方向に力を受けることになる。
第1の用紙反転部R1を通過する際の用紙の温度は、第2の用紙反転部R2を通過する際の用紙の温度よりも高いので、第1の用紙反転部R1に通紙される用紙のカール形状は屈曲部R11、R12の形状によって容易に矯正される。
【0057】
屈曲部R11は、用紙が高温であるうち(例えば用紙が定着部60Bを抜け出てから1sec以内)に通過できる位置に設けられるのが好ましい。「高温」とは、高いカール矯正効果を得られる温度であり、例えば80〜120℃である。これにより、定着処理によって用紙に生じるカールを確実に矯正することができる。
【0058】
また、屈曲部R11の曲率半径は、15〜35mmであることが好ましい。曲率半径が15mmよりも小さい場合は用紙の搬送自体が困難となり、35mmよりも大きい場合は十分なカール矯正効果が得られなくなる。すなわち、屈曲部R11の曲率半径を15〜35mmとすることにより、用紙が損傷しない範囲で用紙に大きな矯正力を付与することができるので、定着処理によって用紙に生じるカールをより効率よく矯正することができる。
【0059】
なお、第1の用紙反転部R1の排紙側の搬送経路は屈曲部R11,R12とは反対側に屈曲しているため、用紙はカール矯正方向(屈曲部R11,R12の屈曲方向)とは反対側の力を受けるが、この部分を用紙が通過する時には用紙の温度は低下しているので、屈曲部R11,R12で矯正されたカールが元に戻ることはない。
【0060】
本実施の形態では、画像形成に用いられる用紙の紙種に基づいて、第1の用紙反転部R1又は第2の用紙反転部R2の何れか一方が搬送経路として選択される。
具体的には、剛度の低い用紙(例えば坪量40〜54gsmの薄紙)が画像形成に用いられる場合、第1の制御部100Bは、第1の用紙反転部R1を含む搬送経路(
図7A参照)を設定し、第1の用紙反転部R1によって用紙を反転させる。これにより、定着直後で用紙温度が高くカールを矯正しやすいうちに、比較的曲率の大きい屈曲部R11、R12に用紙が通紙されるので、用紙に生じているカールは搬送過程で矯正される。
【0061】
一方、坪量55〜300gsmの用紙が画像形成に用いられる場合、第1の制御部100Bは、第2の用紙反転部R2を含む搬送経路(
図7B参照)を設定し、第2の用紙反転部R2によって用紙を反転させる。この坪量の用紙の場合、定着処理によって用紙に下に凸状のカールが生じても、第2の定着部60Dにおける不具合(例えば巻き付きジャム)は生じにくいためである。この坪量の用紙は、通常は第2の用紙反転部R2によって反転されるが、必要に応じて第1の用紙反転部R1で反転されるようにしてもよい。
【0062】
また、剛度の高い用紙(例えば坪量301gsm以上の厚紙)の場合は、曲率の大きい屈曲部R11、R12を通紙させると、用紙が損傷する可能性がある。そのため、第1の用紙反転部R1を用いることなく、第2の用紙反転部R2によって用紙を反転させる。
【0063】
つまり、用紙の坪量が第1の所定値以下である場合(ここでは54gsm以下)、第1の用紙反転部R1を含む搬送経路が設定され、用紙の坪量が第2の所定値以上である場合(ここでは301gsm以上)、第2の用紙反転部R2を含む搬送経路が設定される。また、用紙の坪量が第1の所定値より大きく第2の所定値より小さい場合(ここでは54gsm超301gsm未満)は、第1の用紙反転部R1を含む搬送経路と第2の用紙反転部R2を含む搬送経路の何れか一方が必要に応じて設定される。
【0064】
なお、第1の用紙反転部R1で用紙が反転される場合、用紙は搬送ローラーによってニップされることとなるが、ここで受ける圧力は用紙じわが生じる程大きくはない。また、搬送経路を設定するための閾値となる第1の所定値及び第2の所定値を同じ値とし、用紙の紙種に応じて第1の用紙反転部R1を含む搬送経路と第2の用紙反転部R2を含む搬送経路の何れか一方が選択的に設定されるようにしてもよい。
【0065】
このように、本実施の形態に係る画像形成システムは、第1の定着部60Bの用紙搬送方向下流側に配置され、第1の定着部60Bにおいて生じうる用紙のカール形状と反対側に屈曲する屈曲部R11,R12を有し、第1の定着部60Bから送出された用紙を反転させる第1の用紙反転部R1と、第1の用紙反転部R1の用紙搬送方向下流側に配置され、第1の定着部60Bから送出された用紙を反転させる第2の用紙反転部R2と、画像形成に用いられる用紙の紙種に基づいて、第1の用紙反転部R1又は第2の用紙反転部R2の何れか一方を搬送経路として選択する制御部100Bと、を備える。
【0066】
画像形成システム1によれば、通紙するだけで用紙のカールを矯正できる第1の用紙反転部R1を備え、紙種に応じて第1の用紙反転部R1が搬送経路として選択されるので、第1の定着部60Bで用紙に生じるカールを用紙じわが生じることなく矯正でき、第2の定着部60Dでカールに起因して巻き付きジャム等の不具合が生じるのを防止することができる。また、厚紙等が通紙される場合には第2の用紙反転部R2が搬送経路として選択されるので、用紙が曲率の大きい屈曲部R11,R12に通紙されることにより損傷することもない。
【0067】
また、第1の画像形成装置1Bが元々備えている第1の用紙反転部R1を利用することができるので、デカーラ等のカール矯正用ユニットを設ける場合に比較して、画像形成システム1の製造コストを低減することができるとともに、搬送機構を簡略化することができる。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0069】
例えば、第1の画像形成装置1Bと用紙反転装置1Cとの間にさらに用紙反転装置を配置し、これを第1の用紙反転部として適用してもよい。
また例えば、用紙は、用紙温度が高温であるうちに屈曲部R11を通過すればよく、屈曲部R12を用紙が通過するときには用紙温度が低下していてもよい。
また、第1の用紙反転部R1を通紙されることで、用紙に逆のカール(第2の画像形成装置1Dにおいて下に凸状となるカール)が生じるようにしてもよい。第2の定着部60Dにおける巻き付きジャムを防止する観点からはむしろ好都合である。
さらに、実施の形態では、用紙の坪量に基づいて第1の用紙反転部R1を含む搬送経路と第2の用紙反転部R2を含む搬送経路の何れかが設定されるが、用紙の紙質に応じて搬送経路を切り替えるようにしてもよい。例えば、熱に弱くカールしやすい用紙の場合は、第1の用紙反転部R1を含む搬送経路が設定される。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。