(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
60℃に設定された環境試験室内で672時間エージングした後、製品ロールを速度200m/minで巻き出した時の静電気が5kV以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【背景技術】
【0002】
近年、PETボトルやガラス容器等の外観向上、内容物の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装等の用途に、熱収縮性ポリエステル系フィルムが広汎に利用されるようになってきた。かかる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、通常、幅方向に大きく収縮するものが多く、主として横方向のみに延伸されて製造されることが多い(特許文献1参照)。
【0003】
最近、乾電池の外装用途に、感熱性の接着剤を積層した熱収縮性ポリエステル系フィルムが使用されるようになってきている。そのように感熱性接着剤を積層した熱収縮性ポリエステル系フィルムを乾電池の外側に装着させる際には、70℃〜110℃程度に加熱されたドラムを利用してフィルムを乾電池の外側に捲回させ(胴巻き)、積層し合った部分において感熱性接着剤を溶融させる(ヒートシールする)ことによって、フィルムを乾電池の外側に緩く巻き付けた後、当該乾電池を140℃程度に加熱してフィルムを熱収縮させることによって、フィルムを乾電池の外側に密着させる、という加工方法が採用される。しかしながら、特許文献1の如き横方向にのみ延伸を施したフィルムは、60℃〜80℃程度の低温領域における収縮率や熱収縮応力が高すぎるため、加熱されたドラムを利用して乾電池の周囲に捲回させる際にフィルムが収縮してしまうので、最終的に熱収縮させた際の収縮仕上り性が良くない。
【0004】
また、乾電池のような円柱状体にラベルを装着する際には、環状にして円柱状体に装着した後に周方向に熱収縮させなければならないため、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムをラベルとして用いる場合には、フィルムの幅方向が周方向となるように環状体を形成した上で、その環状体を所定の長さ毎に切断して円柱状体に装着しなければならない。したがって、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムからなるラベルを高速で円柱状体に装着するのは困難である。それゆえ、最近では、フィルムロールから直接円柱状体の周囲に装着すること(所謂、胴巻き)が可能な長手方向に熱収縮するフィルムが求められているが、特許文献1に記載されるが如き横方向にのみ延伸を施したフィルムは、このようなニーズに対応できるものではない。
【0005】
加えて、特許文献1に記載されるが如き横方向にのみ延伸を施したフィルムは、長手方向の機械的強度が低いため、加工時に破断し易い、という不具合もある。
【0006】
特許文献1に記載されるフィルムが有する問題点を解消し、長手方向が主収縮方向であり、低温領域(約60℃〜80℃)では長手方向に収縮しないにも拘わらず、高温領域(約130℃〜150℃)では高い収縮特性を示す上、主収縮方向および幅方向における機械的強度がきわめて高く、加工時に破断しにくく、特に、乾電池外装ラベル形成用のフィルムおよびその類似用途に好適に用いることが可能な熱収縮性ポリエステル系フィルムも示されている(特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2に記載されるフィルムは特許文献1に記載されたフィルムの問題点を改善したフィルムである。しかし、特許文献2に記載されるフィルムは、エチレンテレフタレートを主たる構成成分としており、グリコール成分中に1モル%以上12モル%以下の非晶成分となりうる1種以上のモノマー成分を含有してなるポリエステル系樹脂(以下非晶PET原料と記す)によって形成されている。
【0008】
特許文献2に記載されるフィルムは非晶PET原料を用いているので、例えば夏場の倉庫等での保管を考慮した例えば60℃・672時間といった高温長時間のエージングをされると、主収縮方向と直交する方向である幅方向の引張破断伸度が低下して25%未満となる場合があり、伸度低下が大きいため好ましくない。また同様に夏場の倉庫等での保管を考慮した60℃・672時間でエージングをされると、フィルム同士がブロッキングし、フィルム製品ロールから印刷加工する時に剥離帯電して静電気が生じる。印刷工程では溶剤を使用することが多いので、静電気を生じることは埃やゴミが付きやすくなり、好ましくない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記第1〜第6のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを連続的に製造するため好ましい製造方法として、以下の製造方法を挙げることができる。即ち、未延伸フィルムを、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態でTg+5℃以上Tg+40℃以下の温度で横方向に3.5倍以上6.0倍以下の倍率で延伸した後、速度差がある加熱されたロールを用いてTg+5℃以上Tg+40℃以下の温度で長手方向に1.5倍以上2.5倍以下の倍率で延伸し、しかる後、フィルム両端をクリップで把持した状態で、Tg+35℃以上Tg+70℃以下の温度で熱処理をしながら、横方向に0%以上15%以下の弛緩をするものである。
【0016】
本発明のフィルムは、ポリエチレンテレフタレートよりなることが好ましい。ここで、ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分として含有するエチレンテレフタレートユニットから主に構成されるポリマーである。ポリチレンテレフタレートを用いることにより、保護フィルムとして優れた機械的強度と透明性を得ることができる。
【0017】
このようなポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETという)には、エチレンテレフタレートユニットのみからなるポリエステルであることも好ましいが、積極的に共重合するわけではなく、副生成物として1モル%未満含まれるテレフタル酸とジエチレングリコールによる構成ユニットがエチレンエレフタレートユニット中に存在することは差し支えない。
【0018】
本発明において、用いられることは普通ない非晶PET原料を構成するような非晶質成分となり得るモノマーとしては、代表例は上記のジエチレングリコールであるが、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることもでき、全ジカルボン酸成分中又は全ジオール成分中で1モル%未満に抑制されていることが好ましい。
【0019】
ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、0.60から0.75の範囲が好ましい。固有粘度が0.60よりも低いと、耐引き裂き性向上効果が低下し、0.75より大きいと濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が困難となり、好ましくない。
【0020】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の熱風中で無荷重状態で5分間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、下式1により算出したフィルムの長手方向の熱収縮率(すなわち、90℃熱収縮率)が、−1%以上5%以下であることが好ましい。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・式1
【0021】
90℃における長手方向の熱収縮率が−1%未満であると、感熱接着剤を活性化させるための加熱されたドラム上でラベルが弛んでしまうため、乾電池に綺麗に巻きつけづらくなり、最終的に熱収縮させた後の収縮仕上り性の点で好ましくなく、反対に、90℃における長手方向の湯温熱収縮率が5%を超えると、感熱接着剤を活性化させるための加熱されたドラム上で収縮してしまい、乾電池の周囲に綺麗に巻き付けづらくなるので好ましくない。なお、90℃における長手方向の熱収縮率の上限値は、4%以下であると好ましく、3%以下であるとより好ましい。
【0022】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、140℃の熱風中で無荷重状態で5分間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、上式1により算出したフィルムの長手方向の熱収縮率(すなわち、140℃熱収縮率)が、15%以上40%以下であることが好ましい。
【0023】
140℃における長手方向の熱収縮率が15%未満であると、収縮量が小さいために、熱収縮させた後のラベルにシワやタルミが生じ易くなるので好ましくなく、反対に、140℃における長手方向の熱収縮率が40%を上回ると、ラベルとして用いて場合に熱収縮時に歪み(収縮歪み)が生じ易くなるので好ましくない。なお、140℃における長手方向の熱収縮率の下限値は、17%以上であると好ましく、19%以上であるとより好ましく、21%以上であると特に好ましい。また、140℃における長手方向の熱収縮率の上限値は、38%以下であると好ましく、36%以下であるとより好ましく、34%以下であると特に好ましい。
【0024】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、140℃の熱風中で無荷重状態で5分間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、上式1により算出したフィルムの幅方向(長手方向と直交する方向)の熱収縮率(すなわち、幅方向の140℃熱収縮率)が、−5%以上5%以下であることが好ましい。
【0025】
140℃における幅方向の熱収縮率が−5%未満(例えば、−10%)であると、乾電池のラベルとして使用する際に良好な収縮外観を得づらくなるので好ましくなく、反対に、140℃における幅方向のグリセリン浸漬熱収縮率が5%を上回ると、ラベルとして用いた場合に熱収縮時に歪み(収縮歪み)が生じ易くなるので好ましくない。なお、140℃における幅方向の熱収縮率の下限値は、−4%以上であると好ましく、−3%以上であるとより好ましく、−2%以上であると特に好ましい。また、140℃における幅方向の熱収縮率の上限値は、4%以下であると好ましく、3%以下であるとより好ましく、2%以下であると特に好ましい。
【0026】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、60℃65%RHの雰囲気下で672時間に亘ってエージングした後のフィルム幅方向の引張破断伸度は25%以上80%以下であると好ましい。エーシング後のフィルム幅方向の引張破断伸度が25%より小さいと、夏場等に倉庫で保管した後のフィルムを乾電池のラベルとして使用した際に、クラックが生じやすくなり好ましくない。なお、60℃・672時間におけるエージング後の幅方向の引張破断伸度の下限値は27%以上であると好ましく、29%以上であるとより好ましく、31%以上であると特に好ましい。また、60℃・672時間におけるエージング後の幅方向の引張破断伸度の上限値は、高い方が好ましく80%より高くても問題は無いが、現状では調節可能な上限は80%程度であると考えている。
【0027】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム幅方向の引張破断強度が200MPa以上400MPa以下であると好ましい。幅方向は主収縮方向と直交する方向であり、幅方向の引張破断強度が200MPaより低いと 所謂腰感が小さくなり、乾電池のラベルとして使用する際にシワ等が生じやすくなり好ましくない。なお幅方向の引張破断強度の下限値は220MPa以上であると好ましく、240MPa以上であるとより好ましく、260MPa以上であると特に好ましい。また幅方向の引張破断強度の上限値は、高い方が好ましく400MPaより高くても問題は無いが、現状では調節可能な上限は400MPa程度であると考えている。
【0028】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム幅方向の屈折率が1.62以上1.66以下であると好ましい。屈折率が1.62未満であると幅方向の収縮率は高くなり、また幅方向の機械的強度が低くなり好ましくない。フィルム幅方向の屈折率の下限値は1.625以上であると好ましく、1.63以上であるとより好ましい。また幅方向の屈折率が1.66より高いと 幅方向の機械的強度は高くなり、収縮率も低くなり好ましいが、現状で調節可能な上限は1.66程度である。
【0029】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム長手方向の屈折率が1.59以上1.64以下であると好ましい。屈折率が1.59未満であると90℃での長手方向の収縮率が高くなり好ましくない。フィルム長手方向の屈折率の下限値は1.595以上であると好ましく、1.6以上であるとより好ましい。また長手方向の屈折率が1.64より高いと140℃の収縮率が低くなり好ましくない。フィルム長手方向の屈折率の上限値は1.635以下であると好ましく、1.63以下であるとより好ましい。
【0030】
加えて、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向の厚み斑が15%以下であることが好ましい。長手方向の厚み斑が15%を超える値であると、ラベル作成の際の印刷時に印刷斑が発生し易くなったり、熱収縮後の収縮斑が発生し易くなったりするので好ましくない。なお、長手方向の厚み斑は、13%以下であるとより好ましく、11%以下であるとより好ましい。長手方向の厚み斑は0%に近づくほど良いが、下限は2%であって実用上構わない。
【0031】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、ラベル用熱収縮性フィルムとして10〜100μmが好ましく、15〜95μmがより好ましい。
【0032】
また本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムは 140℃の熱風で10%収縮させた後に、以下の方法で単位厚み当りの幅方向の直角引裂強度を求めたときに、その幅方向の直角引裂き強度が100N/mm以上300N/mm以下であると好ましい。
【0033】
[直角引裂強度の測定方法]
140℃に調整された熱風オーブン中でフィルムを長手方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて所定の大きさの試験片としてサンプリングする。しかる後に、万能引張試験機で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムが長手方向に完全に引き裂かれたときの最大荷重を測定した。この最大荷重をフィルムの厚みで除して、単位厚み当たりの直角引裂強度を算出した。
【0034】
140℃の熱風中で長手方向に10%収縮させた後の直角引裂強度が100N/mm未満であると、ラベルとして使用した場合に運搬中の落下等の衝撃によって簡単に破れてしまう恐れがあるので好ましくなく、反対に、直角引裂強度が300N/mmを上回ると、ラベルを引き裂く際の初期段階におけるカット性(引き裂き易さ)が不十分になり易い点で好ましくない。なお、直角引裂強度の下限値は、125N/mm以上であると好ましく、150N/mm以上であるとより好ましく、175N/mm以上であると特に好ましい。また、直角引裂強度の上限値は、275N/mm以下であると好ましく、250N/mm以下であるとより好ましく、225N/mm以下であると特に好ましい。
【0035】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ヘイズが2%以上12%以下であると好ましい。フィルムのヘイズは低い方が好ましいが、摩擦係数を低くするために滑剤を添加する場合があり、実質上2%が下限値である。一方、ヘイズが12%を超えると、透明性が損なわれるので好ましくない。ヘイズの上限値は11%以下であると好ましく、10%以下であるとより好ましく、9%以下であると特に好ましい。
【0036】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、一方の面とその裏面である他方の面との動摩擦係数が0.1以上0.7以下であると好ましい。フィルムの動摩擦係数は低い方が剥離帯電し難くて好ましいが、0.1未満であると加工時に巻き取る際に巻きズレが生じ易くなり好ましくない。動摩擦係数の下限値は0.11以上であると好ましく、0.12以上であるとより好ましく、0.13以上であると特に好ましい。一方、動摩擦係数が0.7を超えると、ブロッキングを生じやすくなり、好ましくない。動摩擦係数の上限値は0.68以下であると好ましく、0.66以下であるとより好ましく、0.64以下であると特に好ましい。
【0037】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、60℃に設定された環境試験室内で672時間エージングした後、製品ロールを速度200m/minで巻き出した時の静電気が5kV以下であると好ましい。印刷工程では有機溶剤を使用し、また静電気が高いとゴミやほこりがフィルムに付着するので、静電気は低い方が好ましい。静電気の上限値は4.5kV以下であると好ましく、4.0kV以下であるとより好ましく、3.5kV以下であると特に好ましい。静電気は小さいほど好ましいが、本質的にポリエステルは静電気を生じ易く、下限値は0.5kV程度であり、1.0kV程度以上でも構わない。
【0038】
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その製造方法によって限定されるものではないが、例えば、上記したポリエステル原料(PET)を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す方法により、二軸延伸して熱処理することによって得ることができる。
【0039】
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
【0040】
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金より回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
【0041】
さらに、得られた未延伸フィルムを、後述するように、所定の条件で横方向に延伸した後に、一旦、熱処理し(前記熱処理はしてもしなくてもよい)、しかる後に所定の条件で長手方向に延伸し、弛緩熱処理することによって、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることができる。以下、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得るための好ましい二軸延伸・熱処理方法について、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの二軸延伸・熱処理方法との差異を考慮しつつ詳細に説明する。
【0042】
[好ましい逐次二軸延伸方法]
通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、収縮させたい方向に未延伸フィルムを延伸することによって製造される。従来から長手方向に収縮する熱収縮性ポリエステル系フィルムについての要求は高かったものの、未延伸フィルムを単純に長手方向に延伸するだけでは、幅の広いフィルムが製造できないため生産性が悪い。また、特開平1−127317号公報には、長手方向には収縮するフィルムが開示されているが、横方向に延伸されていないので幅方向の機械的強度が低く、かつ直角引裂き強度は高く、乾電池外装用ラベルとして使用するには不十分である。また長手方向の厚み斑も大きかった。
【0043】
[延伸倍率と収縮率との関係]
本発明者らは、60℃での672時間エージング後のフィルムの非収縮方向の破断伸度が25%以上となるよう研究した結果、非晶PET原料を使用しないフィルムにすれば良いことを発見した。しかし これまで熱収縮フィルムは 非晶PET原料を用いて、収縮させたい方向に高い倍率で延伸を実施し、分子鎖を配向させて収縮させるというのが常識であった。しかし発明者らは研究の結果、非晶性の原料を使用せず、実質的なホモPETだけを使用する場合でも、延伸倍率2倍前後にすることにより、熱収縮させることが可能であることを発見した。この結晶性ホモPETだけを使用する場合には、延伸倍率を3倍程度より高くすると 延伸方向の収縮率は低下していくことがわかった。
【0044】
[横方向の延伸倍率]
上記の研究結果より、二軸に延伸して長手方向を主収縮方向として収縮させるには、最初の横延伸時にTg+5℃以上Tg+40℃以下の温度で、3.5倍以上6倍以下の延伸倍率で延伸することが好ましい。3.5倍より低いと幅方向の収縮率を低下させるには必ずしも十分で無いので好ましくない。また、横延伸倍率の上限は特に限定されるものでもないが、6倍より高いと、長手方向に延伸しにくくなる(破断を生じやすくなる)ので好ましくない。より好ましくは3.7倍以上5.8倍以下であり、更に好ましくは 3.9倍以上5.6倍以下である。このように非晶PET原料を使用しないフィルムの横延伸倍率と幅方向の収縮率の関係は上記のようになるので、上記特許文献2で示されているような横方向延伸後の熱処理は、実施してもしなくても、どちらでも構わない。
【0045】
また横方向の延伸温度がTg+5℃未満であると、延伸時に破断が生じやすくなり、好ましくない。またTg+40℃より高いと、幅方向の引張破断強度が低くなる場合があり、あまり好ましくない。より好ましくはTg+8℃以上Tg+37℃以下であり、更に好ましくはTg+11℃以上Tg+34℃以下である。
【0046】
[長手方向の延伸倍率]
横延伸後の縦延伸時には、Tg+5℃以上Tg+40℃以下の温度で、1.5倍以上2.5倍以下の延伸倍率で延伸することが好ましい。1.5倍未満では収縮率が不足し、2.5倍を超えると、幅方向の収縮率が高くなってくるので 長手方向への一軸収縮フィルムとして好ましくない。より好ましくは1.6倍以上2.4倍以下であり、更に好ましくは1.8倍以上2.3倍以下である。
【0047】
また縦方向の延伸温度がTg+5℃未満であると、延伸時に破断が生じやすくなり、好ましくない。またTg+40℃より高いと、フィルムの熱結晶化が進んで収縮率が低下するので好ましくない。より好ましくはTg+8℃以上Tg+37℃以下であり、更に好ましくはTg+11℃以上Tg+34℃以下である。
【0048】
[熱処理と横方向への弛緩]
縦延伸後、フィルム両端をクリップで把持した状態で、Tg+35℃以上Tg+100℃以下の温度で熱処理をしながら、横方向に0%以上15%以下の弛緩をすることが好ましい。熱処理温度がTg+35℃未満であると、長手方向の90℃熱収縮率が高くなり好ましくない。またTg+100℃より高いと、フィルムの熱結晶化が進んで長手方向の140℃収縮率が低下するので好ましくない。より好ましくはTg+38℃以上Tg+97℃以下であり、更に好ましくはTg+41℃以上Tg+94℃以下である。また横方向の弛緩率は0%より低いと、実質的に横方向に延伸することとなりとして好ましくない。また弛緩率は15%より高くても構わないが、弛緩率が高いと最終的に製品となるフィルム幅が狭くなるので好ましくない。より好ましくは1%以上14%以下であり、更に好ましくは2%以上13%以下である。
【0049】
上記のように、本発明における好ましい延伸方法としては、縦方向の延伸倍率を横方向の延伸倍率より小さくすることが例示される。従来の多くの非晶PET原料を使用する熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、縦方向、横方向で、高い延伸倍率を採用して屈折率が高くなっている方向が主収縮方向になる場合が多かったが、本発明は必ずしもそのようにならない。これは、本発明においては非晶質成分となり得るモノマー成分を多くは含まない結晶性のPETの性質が関係しているものと考えられる。即ち、結晶性のPETについては、例えば横方向に3.5倍以上といった高い延伸倍率で延伸されると、分子鎖が配向すると共に分子鎖の結晶化が進み、これが幅方向の熱収縮率を低くする要因として働いているものと推察される。この点、縦方向の1.5倍〜2.5倍程度の延伸倍率は、長手方向にある程度分子鎖が配向しても、結晶化があまり進まない領域であるので、相対的に高い熱収縮率が得られるものと推定している。本発明においては、分子鎖の配向性と結晶化度の関係を簡単に表すことが困難であるので、それを長手方向及び幅方向の熱収縮率、屈折率とその大小関係により分子鎖の構造の代用メジャーとして表現しているものである。もちろん、横方向への弛緩熱処理も幅方向の熱収縮率を低下させる上で一定の寄与をしていると考えている。
【実施例】
【0050】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。実施例、比較例で使用した原料の性状、組成、実施例、比較例におけるフィルムの製造条件(延伸・熱処理条件等)を、それぞれ表1、表2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
フィルムの評価方法は下記の通りである。
【0054】
[熱収縮率]
90±0.5℃、140±0.5℃の所定の温度の熱風オーブンを用いて、JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠し、長手方向、幅方向の寸法変化率(%)を測定し、上式1より求めた。
【0055】
[固有粘度 (IV)]
ポリエステル0.2gをフェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒50ml中に溶解し、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。単位はdl/g。
【0056】
[屈折率]
アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に測定した。
【0057】
[直角引裂強度]
140℃に調整された熱風オーブン中にてフィルムを主収縮方向に10%収縮させた後に、JIS−K−7128に準じて、
図1に示す形状にサンプリングすることによって試験片を作製した(なお、サンプリングにおいては、試験片の長手方向をフィルムの主収縮方向とした)。しかる後に、万能引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ(登録商標))で試験片の両端を掴み、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、フィルムが長手方向に完全に引き裂かれたときの最大荷重を測定した。この最大荷重をフィルムの厚みで除して、単位厚み当たりの直角引裂強度を算出した。
【0058】
[引張破壊強度、引張破断伸度の測定方法]
JIS−K−7127に準じて、主収縮方向と直交する方向(フィルム幅方向)の長さ50mm×主収縮方向(フィルム長手方向)の長さ20mmの長方形状にサンプリングして試験片とし、万能引張試験機((株)島津製作所製 オートグラフ(登録商標))を利用して、試験片の両端(長尺方向の両端)を掴み、引張速度200mm/分の条件にて引張試験を行い、破断時の応力値を引張破壊強度として算出した。また破断時の伸びを破断伸度とした。
【0059】
[エージング処理(1):幅方向の破断伸度を測定する前の恒温恒湿機による処理]
恒温恒湿機<メーカー ヤマト科学株式会社,型式 IG43M>の内を 温度60℃、湿度65%の環境にし、その環境下でA4サイズにサンプリングされたフィルムを672時間、静置でエージング処理した。
[エージング処理(2):静電気を測定する前の環境試験室での処理]
環境試験室の内を 温度60℃、湿度65%の環境にし、その環境下で巻長1000mの製品ロールを672時間 静置でエージング処理した。
【0060】
[ヘイズ]
JIS−K−7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
【0061】
[動摩擦係数]
JIS K−7125に準拠し、引張試験機(ORIENTEC社製テンシロン)を用
い、23℃・65%RH環境下で、フィルムの表面と裏面とを接合させた場合の動摩擦係数μdを求めた。なお、上側のフィルムを巻き付けたスレッド(錘)の重量は、1.5kgであり、スレッドの底面積の大きさは、縦63mm×横63mmであった。また、摩擦測定の際の引張速度は、200mm/min.であった。
【0062】
[静電気]
上記エージング処理された製品ロールを 片岡機器製作所製2次SL(型式 KE70)に設置し、巻き取り速度200m/minで巻き取りを行いながら、春日電機(株)製デジタル静電電位測定器(型式 KSD-1000)で測定した。
【0063】
[Tg(ガラス転移点)]
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgを、−40℃から120℃まで、昇温速度10℃/分で昇温し、得られた吸熱曲線より求めた。吸熱曲線の変曲点の前後に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
【0064】
[長手方向の厚み斑]
フィルム長手方向を長さ30m×幅40mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、5(m/分)の速度で測定した。なお、上記したロール状のフィルム試料のサンプリングにおいては、フィルム試料の長さ方向をフィルムの主収縮方向とした。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式2からフィルムの長手方向の厚み斑を算出した。
厚み斑={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式2
【0065】
[収縮仕上り性]
得られた熱収縮性フィルムを、長手方向が縦になるように、縦105mm×横40mmのサイズで切り出した。そして、単一乾電池の上端際の外周に両面テープを張り付け、その両面テープの外側に、切り出したフィルムを、
図1の如く、当該フィルムの長辺の一方が乾電池の端部より3mmだけはみ出るようにフィルムを巻き付けた。そして、そのようにフィルムを巻き付けた乾電池に、200℃(風速10m/秒)の熱風を10秒間当て続けてフィルムを熱収縮させた。しかる後に、収縮後の仕上り性を目視により下記の2段階で評価した。
○:収縮不足、収縮斑がほとんどない
×:収縮不足、又は 収縮斑のどちらかが生じた
【0066】
[ミシン目開封性]
予め主収縮方向とは直向する方向にミシン目を入れておいたラベルを、上記した収縮仕上り性の測定条件と同一の条件で乾電池に装着した。ただし、ミシン目は、長さ1mmの孔を1mm間隔で入れることによって形成し、フィルムの幅方向に幅22mmで2本設けた。その後、ラベルのミシン目を指先で引裂き、幅方向にミシン目に沿って綺麗に裂け、ラベルを乾電池から外すことができた本数を数え、全サンプル50本に対する割合(%)を算出した。不良率10%以下を合格とした。
【0067】
[非晶成分構成ユニットの含有率(モル%)]
各試料を、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数32回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR測定では、所定のプロトンのピーク強度を算出して、多価アルコール成分100モル%中のジエチレングリコールやネオペンチルグリコールなどの非晶成分となりうるモノマー量、又はジカルボン酸成分100モル%中のイソフタル酸などのような非晶成分となりうるモノマー量を測定することで、全構成ユニット100モル%中の非晶成分構成ユニットの含有率(モル%)を測定した。
【0068】
また、実施例および比較例に用いたポリエステルは以下の通りである。
【0069】
ポリエステル1:ポリエチレンテレフタレート(IV 0.75dl/g)
ポリエステル2:上記ポリエステル
1の製造の際に、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して8,000ppmの割合で添加したポリエチレンテレフタレート(IV 0.75dl/g)
ポリエステル3:エチレングリコール70モル%,ネオペンチルグリコール30モル%
とテレフタル酸とからなるポリエステル(IV 0.72dl/g)
【0070】
[実施例1]
上記したポリエステル1〜3の各々は、主構成ユニットがテレフタル酸とエチレングリコールからなる構成ユニットであるが、副生成物として、テレフタル酸とジエチレングリコールからなる構成ユニットも全構成ユニットに対し0.4モル%程度含有されている。ポリエステル1とポリエステル2とを重量比93:7で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが240μmの未延伸フィルムを得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約20m/min.であった。また、未延伸フィルムのTgは75℃であった。しかる後、その未延伸フィルムを、横延伸ゾーン、中間ゾーン、中間熱処理ゾーンを連続的に設けたテンター(第1テンター)に導いた。
【0071】
そして、テンターに導かれた未延伸フィルムを、フィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後、横延伸ゾーンで横方向に85℃で4倍に延伸し、70℃で熱処理し(この熱処理はしなくてもよい)、厚み60μmの横延伸フィルムを得た。
【0072】
得られた横延伸フィルムを複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が80℃になるまで予備加熱した後に、表面温度95℃に設定された延伸ロール間で2.0倍に延伸した。しかる後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。なお、冷却前のフィルムの表面温度は約85℃であり、冷却後のフィルムの表面温度は約25℃であった。また、70℃から25℃に冷却するまでに要した時間は約1.0秒であり、フィルムの冷却速度は、45℃/秒であった。
【0073】
そして、冷却後のフィルムをテンター(第2テンター)へ導き、当該第2テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で140℃の雰囲気下で5.0秒間に亘って熱処理した。この時の弛緩率は0%であった。その後に冷却し、両縁部を裁断除去することによって、約30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さに亘って連続的に製膜して熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールを得た。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。収縮仕上り性、ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度についてバランスが取れた優れたフィルムであった。
【0074】
[実施例2]
第1テンターでの横延伸倍率を4.1倍、第2テンターでの弛緩率を2.5%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。収縮仕上り性、ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度についてバランスがとれた優れたフィルムであった。
【0075】
[実施例3]
未延伸フィルムの厚みを285μm、縦延伸倍率を2.5倍、第2テンターでの弛緩率を5%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。収縮仕上り性、ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度についてバランスがとれた優れたフィルムであった。
【0076】
[実施例4]
未延伸フィルムの厚みを203μm、縦延伸倍率を1.5倍に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。収縮仕上り性、ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度についてバランスがとれた優れたフィルムであった。
【0077】
[実施例5]
第2テンターでの温度を160℃に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。収縮仕上り性、ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度についてバランスがとれた優れたフィルムであった。
【0078】
[実施例6]
未延伸フィルムの厚みを189μm、第1テンターでの横延伸倍率を3.5倍、第2テンターでの弛緩率を10%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。収縮仕上り性、ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度についてバランスがとれた優れたフィルムであった。
【0079】
[比較例1]
未延伸フィルムの厚みを60μm、第1テンター工程をとばし、縦延伸温度を85℃に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。ミシン目開封率、エージング後の幅方向破断伸度が実施例1より劣るフィルムであった。
【0080】
[比較例2]
第2テンターの温度を110℃とした以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。90℃の長手方向の収縮率が高く、実施例1より収縮仕上り性が劣るフィルムであった。
【0081】
[比較例3]
原料比率をポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3を重量比68:7:25に変更した以外は実施例1と同様の方法によって、約30μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。エージング後のフィルム幅方向の引張破断伸度が劣り、実施例1より経時後の劣化が懸念されるフィルムであった。また、巻き出し時の静電気も高く発生した。
【0082】
[比較例4]
押出機に投入するポリエステル1とポリエステル2とポリエステル3の混合割合を重量比86:7:7に変更した。また未延伸フィルムの厚みを198μmとして、第一テンターでの横延伸倍率を3.3倍に変更した。次いで縦延伸機での表面温度105℃に変更して2倍延伸した。また第2テンターでの温度を125℃に変更した他は実施例1と同様にして約30μmの二軸延伸フィルムを得た。そして、得られたフィルムの特性を上記の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。実施例1に対し、高温経時後の劣化に課題が残るフィルムであった。また巻き出し時の静電気も高く発生した。
【0083】
【表3】