特許第6244920号(P6244920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244920セメント含有成型物の昇温・乾燥方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244920
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】セメント含有成型物の昇温・乾燥方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/243 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   C22B1/243
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-2691(P2014-2691)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-131981(P2015-131981A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100113918
【弁理士】
【氏名又は名称】亀松 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100140121
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 朝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一
(72)【発明者】
【氏名】上田 晴久
(72)【発明者】
【氏名】堤 武司
(72)【発明者】
【氏名】兼松 利翔
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−082493(JP,A)
【文献】 特公昭46−001687(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00− 1/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して、成型機で成型したセメント含有成形物を、乾燥機で昇温・乾燥し、その後の養生を経て高炉装入物とする方法において、
(i)成型機の直後にバンド乾燥機を配置し、バンド乾燥機に、温度100〜180℃、露点45〜80℃の熱風を送り込んで、水分量が11質量%を超える成型直後のセメント含有成型物を昇温・乾燥し、
(ii)バンド乾燥機の出側で、セメント含有成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を3質量%以下とすることで、その後の1日以内の1次養生完了時のセメント含有成型物の圧潰強度を3N/mm2以上とする
ことを特徴とするセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項2】
前記(i)工程において、バンド乾燥機に、温度120〜150℃、露点45〜80℃の熱風を送り込むことを特徴とする請求項1に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項3】
前記(ii)工程において、セメント含有成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を2質量%以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項4】
前記成型機が押出し成型機であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項5】
前記押出し成型機で押し出すセメント含有成型物の層厚を調整し、前記水分量の差を確保することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項6】
前記セメント含有成型物の層厚が50mm以上、100mm以下であることを特徴とする請求項5に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項7】
前記熱風を、風速1.0〜2.5m/secでバンド乾燥機に送り込み、1〜5分、昇温・乾燥を行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【請求項8】
微粉鉱石、副原料、及び、セメントを混練して、成型機で成型したセメント含有成型物を、乾燥機で昇温・乾燥し、その後の養生を経て高炉装入物とする装置において、成型機の直後に、熱風の送風条件を、温度100〜180℃、露点45〜80℃、風速1.0〜2.5m/secの各範囲内の所定条件で制御可能な、成型直後のセメント含有成型物を昇温・乾燥するバンド乾燥機を配置したことを特徴とするセメント含有成型物の昇温・乾燥装置。
【請求項9】
前記成型機が押出し成形機であることを特徴とする請求項8に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して成型し、塊成化する際、成型物の強度の早期発現を図るセメント含有成型物の昇温・乾燥方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、微粉鉱石を焼成や焼結によって塊成化する方法が知られている。一方、セメントと、微粉鉱石及びその他原料を混練して成型し、塊成化する方法が提案されている(例えば、非特許文献1、参照)。
【0003】
微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して成型し、塊成化する方法は、焼成や焼結によって塊成化する方法に比べて、省エネルギーの点で優れ、かつ、排ガス問題がないので環境上好ましい方法である。しかし、成型直後の成型物は強度が低く、ハンドリング可能な強度(圧潰強度で3N/mm2以上)まで通常3日以上かけて1次養生を行ない、その後、2次養生を行なう方法が一般的に採用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2、参照)。
【0004】
そのため、成型設備に隣接して1次養生ヤードを設ける必要があるが、1次養生ヤードのスペース制約のため、処理量が制限される。そのため、1次養生時間を短縮することが望まれている。
【0005】
また、1次養生が完了するまでの間に成型物が雨に濡れると、成型物中のセメント成分が流出して成型物が崩壊するので、屋根付きの1次養生ヤードを建設する必要があり、設備費が高くなる。そのためにも、1次養生時間を短縮する必要がある。
【0006】
本発明者らは、成型物の温度を70〜80℃、水分量を6〜11%とすると、1次養生を1日以内で行えることを別途確認した。しかし、生産性の高い押出機で成型する場合、押出機内での押出抵抗を小さくするために、成型物の水分量を11%超(通常、12〜13%程度)と高くせざるを得ない。それ故、1次養生時間の短縮は難しいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭51−025402号公報
【特許文献2】特開2005−200719号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】高橋愛和,高橋礼二郎:鉄と鋼,70(1984),p37
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の現状を踏まえ、微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して成型したセメント含有成型物(以下、単に「成型物」ということがある。)において、成型直後の、水分量を多く含む、例えば、11%超を超えて含む成型物の強度を、ハンドリング可能な強度(例えば、圧潰強度で3N/mm2以上)まで、早期(1日以内)に高めることを課題とし、該課題を解決する成型物の昇温・乾燥方法と装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、成型機の直後にバンド乾燥機を配置して、成型直後の成型物を昇温・乾燥し、成型物の上層と下層の水分量の差を所定値以下にすれば、成型物の強度を、ハンドリング可能な強度(例えば、圧潰強度で3N/mm2以上)まで高める1次養生を1日以内で完了できることを見いだした。
【0011】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は次のとおりである。
【0012】
(1)微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して、成型機で成型したセメント含有成形物を、乾燥機で昇温・乾燥し、その後の養生を経て高炉装入物とする方法において、
(i)成型機の直後にバンド乾燥機を配置し、バンド乾燥機に、温度100〜180℃、露点45〜80℃の熱風を送り込んで、水分量が11質量%を超える成型直後のセメント含有成型物を昇温・乾燥し、
(ii)バンド乾燥機の出側で、セメント含有成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を3質量%以下とすることで、その後の1日以内の1次養生完了時のセメント含有成型物の圧潰強度を3N/mm2以上とする
ことを特徴とするセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0013】
(2)前記(i)工程において、バンド乾燥機に、温度120〜150℃、露点45〜80℃の熱風を送り込むことを特徴とする前記(1)に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0014】
(3)前記(ii)工程において、セメント含有成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を2質量%以下とすることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0015】
(4)前記成型機が押出し成型機であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0016】
(5)前記押出し成型機で押し出すセメント含有成型物の層厚を調整し、前記水分量の差を確保することを特徴とする前記(1)〜(4)に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0017】
(6)前記セメント含有成型物の層厚が50mm以上、100mm以下であることを特徴とする前記(5)に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0018】
(7)前記熱風を、風速1.0〜2.5m/secでバンド乾燥機に送り込み、1〜5分、昇温・乾燥を行なうことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法。
【0019】
(8)微粉鉱石、副原料、及び、セメントを混練して、成型機で成型したセメント含有成型物を、乾燥機で昇温・乾燥し、その後の養生を経て高炉装入物とする装置において、成型機の直後に、熱風の送風条件を、温度100〜180℃、露点45〜80℃、風速1.0〜2.5m/secの各範囲内の所定条件で制御可能な、成型直後のセメント含有成型物を昇温・乾燥するバンド乾燥機を配置したことを特徴とするセメント含有成型物の昇温・乾燥装置。
【0020】
(9)前記成型機が押出し成形機であることを特徴とする前記(8)に記載のセメント含有成型物の昇温・乾燥装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して成形した成型物の強度をハンドリング可能な強度(例えば、圧潰強度で3N/mm2以上)まで高める1次養生を、従来は3日を要していたが、1日以内に行なうことができる。その結果、(a)1次養生ヤードを狭くできる、(b)従来と同じ1次養生ヤード面積で微粉鉱石の処理量を3倍に増加することができる、(c)屋根付き1次養生ヤードを小さくでき、設備費を安くできる等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】セメント含有成型物の昇温・乾燥特性を調査するための試験方法と装置の概略を示す図である。
図2】セメント含有成型物の層厚と、該成型物の各層(上層、中層、下層)の乾燥速度との関係を示す図である。
図3】セメント含有成型物の層厚と、該成型物の各層(上層、中層、下層)の乾燥速度との別の関係を示す図である。
図4】露点15℃及び露点45℃の熱風の場合における熱風温度と昇温速度の関係を示す図である。
図5】本発明の装置の一態様を示す図である。
図6図5に示すバンド乾燥機による昇温・乾燥の物質収支の一例を示す図である。
図7】バンド乾燥機出側における成型物の上層水分量と下層水分量の差(%)と、1次養生後の成型物の水分量のバラツキの関係を示す図である。
図8】バンド乾燥機出側における成型物の上層水分量と下層水分量の差(%)と、1次養生後の成型物の圧潰強度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のセメント含有成型物の昇温・乾燥方法(以下「本発明方法」ということがある。)は、微粉鉱石、その他原料、及び、セメントを混練して、成型機で成型したセメント含有成形物を、乾燥機で昇温・乾燥し、その後の養生を経て高炉装入物とする方法において、
(i)成型機の直後にバンド乾燥機を配置し、バンド乾燥機に、温度100〜180℃、露点45〜80℃の熱風を送り込んで、水分量が11質量%を超える成型直後のセメント含有成型物を昇温・乾燥し、
(ii)バンド乾燥機の出側で、セメント含有成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を3質量%以下とすることで、その後の1日以内の1次養生完了時のセメント含有成型物の圧潰強度を3N/mm2以上とする
ことを特徴とする。
【0024】
前記(i)工程において、バンド乾燥機に送り込む熱風は、温度120〜150℃、露点45〜80℃の熱風が好ましい。
【0025】
前記(ii)工程において、セメント含有成型物の上層の水分量と下層の水分量の差は2質量%以下が好ましい。
【0026】
以下、本発明方法について説明する。
【0027】
本発明者らは、成型直後の高水分量(例えば、11質量%以上)のセメント含有成型物を昇温・乾燥して、温度70〜80℃、水分量6〜11質量%の成形体にするため、バンド乾燥機を適用することを発想した。
【0028】
通常、バンド乾燥機は、乾燥が目的の乾燥機であるので、成型物を乾燥する場合、成型物の形状を維持できる範囲内で乾燥速度が最大になるように設計される。本発明方法の場合、昇温・乾燥後の成型物は、適正温度(70〜80℃)と適正水分量(6〜11質量%)に維持する必要があるので、バンド乾燥機は、昇温速度と乾燥速度を個別に制御できるように設計する必要がある。
【0029】
本発明者らは、図1に示す試験方法と装置で、セメント含有成型物の昇温・乾燥特性を調査した。図1に示すように、φ390mmの円筒体2の内部に、5〜20kgで、厚さ5〜20cmの成型物1を保持し、40kWの熱風発生装置3で発生した熱風4を、成型物1の下部空間に送り込んで、成型物1を昇温・乾燥した。
【0030】
その際、成型物1の層厚を変更し、また、熱風4の温度と露点を変更して、成型物1の昇温速度と乾燥速度を測定した。測定結果を、図2図4に示す。
【0031】
図2に、温度120℃、露点15℃の熱風で成型物を昇温・乾燥したときの、成型物の層厚と、成型物の各層(上層、中層、下層)の乾燥速度との関係を示す。
【0032】
昇温・乾燥は、図1に示すように、熱風4を、成型物1の下部空間に送り込み、成型物1を通過させて行っているので、成型物1の上部と下部で乾燥速度は異なる。本発明者らは、成型物を上層、中層、及び、下層の3層に区分し、各層の乾燥速度を測定した。
【0033】
なお、成型物における上層、中層、及び、下層の区分は、特定の層区分に限定されないが、層厚方向の乾燥速度、昇温速度を調べるために、上層、中層、及び、下層の3層に区分して調査した。
【0034】
図2から、成型物の層厚(上層+中層+下層)が厚くなると、下層の乾燥速度(図2中「□」、参照)と上層の乾燥速度(図2中「○」、参照)の差が大きくなることが解る。即ち、下層では過乾燥となり、上層では水分凝縮が起きて、成型物の全層にわたる均一な乾燥が得られない。また、図2から、成型物の平均乾燥速度は、成型物の層厚によらず、略一定であることが解る。
【0035】
図3に、温度120℃、露点45℃の熱風で成型物を昇温・乾燥したときの、成型物の層厚と、成型物の各層(上層、中層、下層)の乾燥速度との関係を示す。
【0036】
図2に示す関係と同様に、成型物の層厚が厚くなると、下層の乾燥速度(図3中「□」、参照)と上層の乾燥速度(図2中「○」、参照)の差が大きくなることが解る。即ち、下層では過乾燥となり、上層では乾燥不足となり、成型物の全層にわたる均一な乾燥が得られない。また、成型物の平均乾燥速度は、図2に示す関係と同様に、成型物の層厚によらず、略一定であることが解る。
【0037】
ただし、上層の乾燥速度と下層の乾燥速度の差は、図2に示す露点15℃のときの差に比べ、小さくなっている。
【0038】
図4に、露点15℃及び露点45℃の熱風の場合における熱風温度と昇温速度の関係を示す。熱風温度が高いほど、昇温速度が速くなる。また、熱風温度が同じでも、露点が異なると昇温速度が異なる。昇温速度は、露点45℃の熱風の方が、露点15℃の熱風より速い。
【0039】
熱風温度が180℃を超えると成型物の下層の乾燥速度が速くなり、成型物が形状を維持できない爆裂現象が起き、通風できなくなった。このことから、熱風温度は180℃以下とする。好ましくは150℃以下である。
【0040】
図2図4に示す測定結果に基づいて、バンド乾燥機を設計し、搬送時の乗継ぎ、落下による成型物の粉化を防止するため、成型機の直後に配置した。
【0041】
即ち、本発明方法を実施するセメント含有成型物の昇温・乾燥装置(以下「本発明装置」ということがある。)は、微粉鉱石、副原料、及び、セメントを混練して、成型機で成型したセメント含有成型物を、乾燥機で昇温・乾燥し、その後の養生を経て高炉装入物とする装置において、成型機の直後に、熱風の送風条件を、温度100〜180℃、露点45〜80℃、風速1.0〜2.5m/secの各範囲内の所定条件で制御可能な、成型直後のセメント含有成型物を昇温・乾燥するバンド乾燥機を配置したことを特徴とする。
【0042】
図5に、本発明方法を実施する本発明装置の一態様を示す。微粉鉱石ホッパー1a、副原料ホッパー2a、及び、セメントホッパー3aのそれぞれから、微粉鉱石、副原料、及び、セメントを所定割合で切り出し、混練用添加水4aを加えながら、混練・解砕機5で混練・解砕する。
【0043】
次いで、混練・解砕した成型物用原料に、成型用添加水4bを加えながら混練機6で混練し、次いで、成型機7で押し出して成型物を成型する。
【0044】
成型機は、微粉鉱石、その他原料、及び、セメントの混練物を成型できるものであればよく、特定の成型機に限定されないが、生産性の観点からは、押出し成形機が好ましい。
【0045】
押出し成型機における押出抵抗を小さくして生産性を上げるため、微粉鉱石、その他原料、及び、セメントの混練物の水分量を、通常、11質量%以上とする。本発明方法においても同様で、成型直後の成型物の水分量は11質量%を超え、12〜13質量%以上である場合が多い。
【0046】
水分量が多い、例えば、11質量%を超える成型直後の成型物は、成型機7の直後に配置されたバンド乾燥機8に直ちに送り込まれ、温度と露点を調整した熱風で昇温・乾燥される。この昇温・乾燥で、成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を、バンド乾燥機の出側で3質量%以下とする。上記水分量の差が3質量%を超えると、12時間後の1次養生後の成型物の圧潰強度が、ハンドリング可能な強度まで上昇しない。好ましくは2質量%以下である。
【0047】
成型物の層厚は、バンド乾燥機の出側で、成型物の形状を維持しつつ、成型物の上層の水分量と下層の水分量の差が3質量%以下になり得る層厚であればよいが、バンドの搬送速度を上げ過ぎないため、50mm以上が好ましく、上記水分量の差を確保する点で、100mm以下が好ましい。
【0048】
熱風は、温度100〜180℃、好ましくは120〜150℃、露点45〜80℃の熱風とする。
【0049】
熱風で成型物を乾燥するので、熱風温度は100℃以上とする。好ましくは120℃以上である。熱風温度が180℃を超えると、前述したように、成型物の下層の乾燥速度が速くなり、成型物が形状を維持できない爆裂現象が起きて通風ができなくなる(図4、参照)ので、熱風温度は180℃以下とする。好ましくは150℃以下である。
【0050】
熱風は、循環して用いるのが好ましい。熱風の一部は、バグフィルター9を経て系外へ排出される。熱風の循環量を調整することで、熱風の露点を調整することができる。循環しない場合は、熱風の露点調整のために、蒸気吹込み手段が必要となる。
【0051】
熱風の露点が45℃未満であると、熱風の顕熱が蒸発潜熱に奪われ昇温しないので、熱風の露点は45℃以上とする。熱風の露点が80℃を超えると、成型物表面で水分凝縮が起こり、乾燥出来ないので、熱風の露点は80℃以下とする。
【0052】
造粒直後の成型物の温度、水分量により、昇温・乾燥後の成型物の温度が70〜80℃、水分量が6〜11%となるように、上記範囲内で熱風温度、露点を調整する。
【0053】
バンド乾燥機に送り込む熱風の風速及び昇温・乾燥時間は、成型物の水分量、及び、熱風の温度及び露点等を考慮して、適宜、設定すればよいが、バンド乾燥機に送り込む熱風の風速は、1.0〜2.5m/secが好ましく、昇温・乾燥時間は1〜5分が好ましい。
【0054】
ここで、図6に、図5に示すバンド乾燥機による昇温・乾燥の物質収支の一例を示す。この例は、冬場において、成型物の温度が低い時の昇温速度の上昇に重点を置いた時の物質収支である。過乾燥を防止するため、露点を上げている。このため、排気を極力少なくし、排気量を、発生分の水分発生量と熱風を発生させる燃焼ガス量程度にしている。
【0055】
夏場では、成型物の温度が高いので、温度上昇は少しでよく、乾燥に重点を置いて昇温・乾燥を行う。このため排気量を多くし、露点を下げて、乾燥速度を高める。
【0056】
バンド乾燥機8で昇温・乾燥された成型物(上層の水分量と下層の水分量の差:3%以下、好ましくは2%以下)は落下衝撃に弱いので、落下距離を極力小さくし、成型物に落下衝撃を与えないように設計した積付け機10で、1次養生ヤード11に積み付ける。養生作業の効率を高める点で、1次養生ヤードは3面で構成するのが好ましい。
【0057】
成型物の強度を、1次養生で、ハンドリング可能な強度(圧潰強度で3N/mm2以上)まで、できるだけ早期(1日以内)に高めるため、本発明者らは、図5に示すバンド乾燥機による昇温・乾燥のための熱風条件を変えて、バンド乾燥機出側での成型物の上層の水分量と下層の水分量の差(%)と、1次養生ヤードへの積み付け後12時間経過した成型物の水分量のバラツキの関係を調査した。
【0058】
この時、熱風の温度は100〜180℃、露点は45〜80℃とし、成型物の層厚を変えて、水分量のバラツキを測定した。
【0059】
図7に測定結果を示す。図7から、バンド乾燥機出側での成型物の上層の水分量と下層の水分量の差が大きいと、12時間の1次養生後の成型物の水分量のバラツキは大きく、1次養生後の成型物の圧潰強度が低くなる懸念がある。
【0060】
このため、本発明者らは、さらに、バンド乾燥機出側での成型物の上層の水分量と下層の水分量の差(質量%)と、1次養生ヤードへの積み付け後12時間経過した成型物の圧潰強度の関係を調査した。図8に調査結果を示す。
【0061】
図8から、バンド乾燥機出側での成型物の上層の水分量と下層の水分量の差が大きいと、1次養生後の成型物の圧潰強度は低下することが解る。これは、成型物において、水分量の少ない層では、セメントの水和反応が起こらず、水分量の多い層では、水和反応が遅いため、圧潰強度に不均一が生じ、成型物全体としての圧潰強度が上昇しないことによると推測される。
【0062】
また、図8から、12時間の1次養生後に、成型物のハンドリングに必要な強度3N/mm2以上を達成するには、バンド乾燥機出側において、成型物の上層の水分量と下層の水分量の差を3%以下とすればよいことが解る。さらに、上記水分量の差を2%以下にすれば、圧潰強度は3N/mm2を超え、さらに好ましいことが解る。この時の熱風の温度は100〜180℃、露点は45〜80℃であった。
【0063】
したがって、1次養生ヤードの1面では、積付け8時間、養生12時間、払出し4時間の作業で、1次養生を1日で完了することができる。1次養生ヤードを3面で構成すると、1次養生を作業効率よく行うことができる。
【0064】
1次養生後の圧潰強度3N/mm2以上の成型物は、篩12で、アンダーサイズ分とオーバーサイズ分が除去されて、2次養生ヤード13に積み付けられる。成型物は、2次養生ヤード13で2次養生して、強度が、高炉操業で必要な強度まで上昇した後、高炉装入物として使用される。
【0065】
なお、篩12で除去されたアンダーサイズ分とオーバーサイズ分は、混練用原料として、混練・解砕機5へ送給される。
【実施例】
【0066】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0067】
(実施例)
微粉鉱石90%、副原料(塩基度調整用の微粉の石灰石)5%、及び、セメント5%を、混練用添加水を添加しつつ、混練・解砕機で混練・解砕した後、成型用添加水を添加して混練機で混練し、次いで、成型機で成型した。成型直後の成型物の水分量は13%であった。
【0068】
成型機90wet−t/hr1基に対し、成型機出口にバンド乾燥機1基を設置し、成型物を昇温・乾燥した。
【0069】
有効バンド面積は45m2で、成型物の13%の水分量を11%未満まで乾燥させるために、図6に示す循環風量で、冬場は、40℃で成型機から排出された成型物を、温度120℃、露点60℃の熱風で、2分、昇温・乾燥した。その結果、昇温・乾燥後の成型物は、温度70℃、平均水分量9%となった。成型物の層厚は50mmで、バンド乾燥機出側の上層の水分量と下層の水分量の差は1.1%であった。
【0070】
この成型物を、積付け時間8時間、1次養生時間12時間で養生し、その後、圧潰強度を測定した。圧潰強度は3.3N/mm2であった。
【0071】
同様に、夏場は、70℃で成型機から排出された成型物を、温度120℃、露点45℃の熱風で、2分、昇温・乾燥した。その結果、昇温・乾燥後の成型物は、温度78℃、平均水分量8%となった。成型物の層厚は50mmで、バンド乾燥機出側の上層の水分量と下層の水分量の差は1.8%であった。
【0072】
この成型物を、積付け時間8時間、1次養生時間12時間で養生し、その後、圧潰強度を測定した。圧潰強度は3.8N/mm2であった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
前述したように、本発明によれば、従来3日を要していた1次養生を1日以内で行なうことができるので、(a)1次養生ヤードを狭くできる、(b)従来と同じヤード面積で微粉鉱石の処理量を3倍に増加することができる、(c)屋根付き1次養生ヤードを小さくでき、設備費を安くできる等の効果を得ることができる。よって、本発明は、鉄鋼産業において利用可能性が高いものである。
【符号の説明】
【0074】
1 成型物
2 円筒体
3 熱風発生装置
4 熱風
1a 微粉鉱石ホッパー
2a 副原料ホッパー
3a セメントホッパー
4a 混練用添加水
4b 成型用添加水
5 混練・解砕機
6 混練機
7 成型機
8 バンド乾燥機
9 バグフィルター
10 積付け機
11 1次養生ヤード
12 篩
13 2次養生ヤード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8