(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.紙幣束処理装置の構成>
図1及び
図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る現金処理装置の一例である紙幣束処理装置10の構成の一例について説明する。
図1は、一実施形態に係る紙幣束処理装置10の内部構成の一例を示す概略図である。
図2は、一実施形態に係る紙幣束を示す模式図である。
【0022】
紙幣束処理装置10は、例えば金融機関の営業店に設置された現金(紙幣や硬貨)に関する入金や出金等の各種処理を行う出納システムの一部を成す。ここで、出納システムは、紙幣(バラ紙幣)を1枚単位で入出金する紙幣入出金機と、金種別の紙幣を所定枚数(例えば100枚)毎に結束して紙幣束にした状態で収納し、また紙幣束を出金する紙幣束支払機である紙幣束処理装置10と、を有する。
【0023】
紙幣束処理装置10は、紙幣入出金機から送られた紙幣を集積し、集積した紙幣を所定枚数毎に結束して紙幣束にして収納する機能を有する。
図1に示すように、紙幣束処理装置10は、装置間搬送部20と、集積部24と、ハンド部28と、結束部32と、エレベータ部36と、搬送路40と、ハンドプッシャ部44と、収納庫48A〜48Dと、オーバーフロー庫52と、制御ユニット60と、を有する。
【0024】
装置間搬送部20は、紙幣束処理装置10の上部に設けられている。装置間搬送部20は、紙幣入出金機と連結されており、紙幣入出金機との間で紙幣の搬送を行う。また、装置間搬送部20は、紙幣入出金機から送られた紙幣を1枚ずつ集積部24に搬送する搬送路を有する。
【0025】
集積部24は、装置間搬送部20から順次搬送されてきた紙幣を集積する。集積部24は、結束される所定枚数毎に紙幣を集積する。また、集積部24は、例えば金種毎に紙幣を集積する。
【0026】
ハンド部28は、集積部24に集積された所定枚数毎の紙幣を受け取り、集積部24の下方に位置する結束部32へ渡す。ハンド部28は、昇降可能に構成されており、集積部24から受け取った紙幣を保持したまま下降する。
【0027】
結束部32は、ハンド部28から受け取った所定枚数の紙幣を纏めて帯で結束する。この結果、バラ紙幣から
図2に示す紙幣束Tが作られることになる。なお、
図2に示すように、帯Sは、紙幣の金額等の金種を判別できる部分以外に対して結束される。これにより、後に説明するように、紙幣束の金種を判別できる。結束部32は、紙幣束をエレベータ部36に渡す。
【0028】
エレベータ部36は、紙幣束処理装置10の前端に上下方向に形成された昇降路37内を上下方向に移動する。エレベータ部36は、紙幣束を保持可能なステージ38を有する。例えば、エレベータ部36は、結束部32から渡された紙幣束を保持したまま、搬送路40に対向する位置まで下降する。なお、エレベータ部36の上方には、紙幣束を出金する出金口が設けられている。
【0029】
搬送路40は、紙幣束が搬送される通路である。搬送路40は、エレベータ部36、収納庫48A〜48D、及びオーバーフロー庫52と繋がっており、これらの間で搬送路40を介して紙幣束の受け渡しが行なわれる。例えば、後述する精査処理の際には、収納庫48A〜48Dから出された紙幣束が、エレベータ部36へ搬送された後に、収納庫48A〜48Dへ戻される。
【0030】
ハンドプッシャ部44は、搬送路40に移動可能に設けられている。例えば、ハンドプッシャ部44は、収納庫48A〜48Dやオーバーフロー庫52から出された紙幣束を搬送する機能を有する。また、ハンドプッシャ部44は、収納庫48A〜48Dやオーバーフロー庫52へ紙幣束を押し込む機能も有する。なお、ハンドプッシャ部44の詳細構成については、後述する。
【0031】
収納庫48A〜48Dは、複数枚の紙幣を帯で結束した紙幣束を金種別に収納する。本実施形態では、収納庫48A〜48Dは、着脱部(
図8の着脱部180)に着脱可能に装着されたカセットである。例えば、収納庫48A〜48Dに収納された紙幣束を回収する場合や、収納庫48A〜48Dに紙幣束を補充する場合に、収納庫48A〜48Dから取り外される。なお、収納庫48A〜48Dの詳細構成については、後述する。
【0032】
オーバーフロー庫52は、収納庫48A〜48Dに収納されない紙幣束を収納する。例えば、収納庫48A〜48Dのうちの収納対象の収納庫が満杯になった際に、紙幣束がオーバーフロー庫52に収納される。
【0033】
制御ユニット60は、紙幣束処理装置10の動作全体を制御する。制御ユニット60は、上述した各構成要素の動作を制御する制御部(例えば、
図8の制御部216)と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部(
図8の記憶部214)と、を有する。
【0034】
なお、上記では、収納庫48A〜48Dを着脱部180から取り出して紙幣束の補充等が行わることとしたが、これに限定されない。例えば、収納庫48A〜48Dが装着された状態で、使用者が収納庫48A〜48Dに紙幣束を補充等しても良い。
【0035】
<2.収納庫、及びハンドプッシャ部の詳細構成>
まず、
図3及び
図4を参照しながら、一実施形態に係る収納庫48A〜48D、及びハンドプッシャ部44の詳細構成の一例について説明する。4つの収納庫48A〜48Dの構成は、同様である。そこで、以下では、収納庫48A(単に、収納庫48と呼ぶ)を例に挙げて説明する。
【0036】
(収納庫48の詳細構成)
図3は、一実施形態に係る収納庫48の外観構成の一例を示す概略斜視図である。収納庫48は、所定の金種の紙幣束を収納する。
図3に示すように、収納庫48は、筐体110と、開閉部材の一例であるシャッタ112と、ストッパ114と、を有する。
【0037】
筐体110は、内部に紙幣束を集積するように長方体形状に形成されている。筐体110の上部には、搬送路40(
図1)との間で紙幣束の出し入れをするための開口が形成されている。
【0038】
シャッタ112は、筐体110の上部の開口に開閉可能に設けられている。具体的には、シャッタ112は、開口を塞ぐ閉位置と、開口を開放する開位置との間で開閉する。シャッタ112が開位置に位置する際に、収納庫48と搬送路40の間で紙幣束の受け渡しが行なわれる。なお、シャッタ112は、通常、収納庫48が着脱部から取り出される際には閉じているが、使用者が収納庫48から紙幣束を取出したり補充する場合には、着脱部から取り出される際にシャッタ112が開いている。
【0039】
ストッパ114は、筐体110の上部に回動可能に設けられている。ストッパ114は、紙幣束が飛び出ないように静止させる静止位置(
図3に示す位置)と、筐体110内に対して紙幣束を出し入れできる解除位置(
図4に示す位置)との間で回動する。
図3では、ストッパ114が4箇所設けられている。
【0040】
図4は、一実施形態に係る収納庫48A〜48D、及びハンドプッシャ部44の構成の一例を示す概略図である。
図4に示すように、収納庫48は、収納部120と、ステージ122と、スプリング124と、計数センサ126と、空検知センサ128と、を有する。
【0041】
収納部120には、
図4に示すように上下方向(
図4のZ方向)に沿って紙幣束Tが集積されている。なお、
図4に示すX方向が紙幣束Tの短手方向である。収納部120には、同一金種の紙幣束が収納されるように設定されている。
【0042】
ステージ122は、紙幣束Tを支持する。ステージ122は、スプリング124により上下方向の上方へ付勢されている。このため、ストッパ114が解除位置に位置する際には、
図4に示すように紙幣束Tが収納部120外に出る。一方で、ストッパ114が静止位置(
図3)に位置する場合には、紙幣束Tが収納部120外に出ない(
図5参照)。
【0043】
計数センサ126は、収納部120の内部に設けられており、収納部120に集積された紙幣束を計数する。計数センサ126は、紙幣束の帯に対応する位置に、集積方向である上下方向に移動可能に設けられている。計数センサ126は、移動しながら集積された紙幣束の帯を検出することで、紙幣束の数を判別する。計数センサ126は、例えば反射センサであり、紙幣束の帯の部分での反射率と、帯以外の部分での反射率との違いを利用して、紙幣束の数を判別する。計数センサ126は、後述するように庫内精査処理の際に紙幣束を計数する。
【0044】
空検知センサ128は、収納部120の上部に固定されている。空検知センサ128は、収納部120に紙幣束が収納されていない空状態を検知する。例えば、空検知センサ128が紙幣束の帯を検知しない場合に、空状態であると判定される。
【0045】
(ハンドプッシャ部44の詳細構成)
図4を参照しながら、ハンドプッシャ部44の詳細構成の一例について説明する。
図4に示すように、ハンドプッシャ部44は、ハンド部140と、プッシャ部150と、を有する。ハンド部140とプッシャ部150は、独立して搬送路40(
図1)を移動可能に構成されている。
【0046】
ハンド部140は、紙幣束を保持した状態で搬送する機能する。また、ハンド部140は、収納庫48A〜48Dやオーバーフロー庫52から搬送路40へ紙幣束を排出させる排出部として機能する。ハンド部140は、保持部142(
図7参照)と、ピックアップ部145と、を有する。
【0047】
保持部142は、例えば紙幣束の長手方向の両端部を保持する爪状の部材である。保持部142が紙幣束を一束保持した状態でハンド部140が移動することで、紙幣束が一束ずつ搬送路40内を搬送される。
【0048】
ピックアップ部145は、収納部120から出た紙幣束を一束ずつずらす機能を有する。ハンド部140が移動する際にピックアップ部145が紙幣束を一束ずつずらすことで、保持部142が一束ずつ保持することになる。
【0049】
プッシャ部150は、収納部120上に位置した際に収納部120へ向けて下降して、紙幣束を押し込み可能である。これにより、プッシャ部150は、搬送路40から収納庫48A〜48Dへ紙幣束を挿入させる挿入部としての機能を有する。
【0050】
プッシャ部150には、金種判別センサ155が設けられている。金種判別センサ155は、収納庫48A〜48Dの外部に設けられ、収納庫48A〜48Dから出された紙幣束の金種を判別する判別部材である。金種判別センサ155は、対面する紙幣束の画像を取得して金種を判別する。金種判別センサ155は、後述するように庫外精査処理の際に、紙幣束の金種を判別する。金種判別センサ155を通過した紙幣束の数をカウントすることにより、紙幣束の計数が可能となる。
【0051】
なお、上記では、金種判別センサ155がプッシャ部150の下面に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、金種判別センサは、搬送路40やエレベータ部36に設けられても良い。また、上記では、収納庫48にシャッタ112が設けられていることとしたが、これに限定されず、収納庫48にシャッタが設けられていなくても良い。
【0052】
<3.精査処理について>
紙幣束処理装置10においては、収納庫48A〜48Dに紙幣束が適切に収納されているかを確認するために、紙幣束の精査処理が行なわれる。本実施形態では、紙幣束処理装置10の利用状況に応じて紙幣束の精査処理を適切に行うために、精査処理として、庫内精査処理と庫外精査処理のいずれかが行なわれる。
【0053】
庫内精査処理は、収納庫48A〜48D内に紙幣束を収納させた状態で行う精査処理であり、庫外精査処理は、収納庫48A〜48Dの紙幣束を収納庫外へ移動させながら行う精査処理である。以下では、庫内精査処理を説明した後に、庫外精査処理について説明する。
【0054】
(庫内精査処理)
図5を参照しながら、庫内精査処理について説明する。
図5は、一実施形態に係る庫内精査処理の流れを説明するための模式図である。庫内精査処理は、4つの収納庫48A〜48Dに対して行われるが、以下では収納庫48A(単に、収納庫48と呼ぶ)を例に挙げて説明する。
【0055】
ここでは、庫内精査処理の開始前に、
図5の状態801に示すように、計数センサ126が収納部120の下方の待機位置に位置しているものとする。庫内精査処理が開始されると、計数センサ126は、状態802に示すように収納部120の上方の計数位置まで移動する。
【0056】
計数センサ126は、紙幣束Tの帯に対応する位置に設けられた光学式の反射センサである。ここで、反射センサの出力は、光の反射率に応じて変化する。例えば、帯が巻かれている部分の光の反射率が高く、紙幣束と紙幣束の間の帯が巻かれていない部分の光の反射率が低い。このため、計数センサ126は、待機位置から計数位置へ移動する際に光の反射率が低い部分をカウントすることで、収納部120内の紙幣束Tの数を判定できる。
【0057】
紙幣束の計数が終了すると、計数センサ126は、状態803に示すように待機位置まで移動する。これにより、庫内精査処理が完了する。庫内精査処理の場合には、計数センサ126が収納部120内を上下動するだけで済むので、精査処理に要する時間を短くできる。
【0058】
(庫外精査処理)
図6A、
図6B、及び
図7を参照しながら、庫外精査処理について説明する。
図6A及び
図6Bは、一実施形態に係る庫外精査処理における紙幣束の移動の流れを説明するための模式図である。
【0059】
ここでは、庫外精査処理の前に、
図6Aの状態811に示すように、収納庫48A〜48Dにそれぞれ紙幣束が収納されているものとする。一例として、収納庫48A及び収納庫48Bには万円札の紙幣束が収納され、収納庫48C及び収納庫48Dには千円札の紙幣束が収納されている。
【0060】
庫外精査処理が開始されると、まず、収納庫48Aの万円札の紙幣束が出され、ハンドプッシャ部44のハンド部140によって一束ずつエレベータ部36へ搬送される。そして、収納庫48A内の紙幣束が全て搬送されることで、状態812に示すようにエレベータ部36に紙幣束が集積され、収納庫48Aが空になる。本実施形態では、紙幣束が収納庫48Aから出されてエレベータ部36へ搬送される際に、プッシャ部150に設けられた金種判別センサ155が、紙幣束の金種判別及び計数を行う。
【0061】
図7は、庫外精査処理を行う際のハンドプッシャ部44の動作の一例を示す模式図である。まず、ストッパ114が静止位置から解除位置へ可動して、
図7に示す状態821に示すように、収納部120に収納された紙幣束が飛び出してハンドプッシャ部44に接触するものとする。この際、金種判別センサ155が、集積された紙幣束Tのうち最上部に位置する紙幣束の画像を取得することで、当該紙幣束の金種を判別する。
【0062】
次に、ハンド部140がエレベータ部36へ向けて(矢印Aで示す方向)移動を開始すると、状態822に示すようにピックアップ部145によって最上位の紙幣束がずれる。その後、保持部142が、状態823に示すように、ずれた紙幣束の長手方向の両端を保持する。その状態でハンド部140が更に移動すると、状態824に示すように収納部120の収納された次の紙幣束がハンドプッシャ部44に接触する。その後も、同様にして紙幣束を搬送させる。なお、紙幣束を搬送しない場合には、状態825に示すように、プッシャ部150が下降して紙幣束を収納部120内に収納させる。
【0063】
図6Aの状態812に示すように収納庫48Aが空になった後、収納庫48Bの万円札の紙幣束が、ハンドプッシャ部44によって収納庫48Aへ搬送されて収納される。そして、収納庫48B内の紙幣束が全て収納庫48Aへ収納されることで、
図6Bの状態813に示すように収納庫48Bが空になる。この際、金種判別センサ155は、収納庫48Bから出される紙幣束についても、
図7で説明した金種判別及び計数を行う。
【0064】
状態813に示すように収納庫48Bが空になった後、エレベータ部36に集積された万円札が、ハンドプッシャ部44によって収納庫48Bへ搬送されて収納される。これにより、紙幣束を3回移動させることで、2つの収納庫48A、48Bに収納された紙幣束の金種判別及び計数が行なわれ、庫外精査処理に要する時間を短縮できる。なお、上述した紙幣束の移動が行われることで、収納庫48A、48Bにおいて、精査前後で紙幣束の集積順番が入れ替わる。すなわち、精査前の集積方向の最上位に位置していた紙幣束が、精査後に集積方向の最下位に位置する。
【0065】
その後、収納庫48C及び収納庫48Dに収納された紙幣束についても、同様に精査処理が行なわれる。すなわち、収納庫48Cに収納された千円札の紙幣束がエレベータ部36に搬送される際に、収納庫48Cに収納されていた紙幣束の金種判別及び計数が行なわれる。その後、収納庫48Dに収納された千円札の紙幣束が収納庫48Cに搬送されて収納される際に、収納庫48Dに収納されていた紙幣束の金種判別及び計数が行われる。その後、エレベータ部36に集積されていた千円札の紙幣束が、収納庫48Dに収納されて、庫外精査処理が完了する。
【0066】
なお、本実施形態においては、収納庫48A〜48Dに紙幣束が収納されている場合を想定して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、48A〜48Dのいずれかの収納庫が空の状態であった場合は、その空の状態の収納庫をエレベータ部36に代わって精査庫として用いてもよい。こうすることで、庫外精査処理における紙幣束の移動回数を低減することもできる。
【0067】
<4.紙幣束処理装置の機能構成>
上述した構成を有する紙幣束処理装置10は、装置の利用状況に応じて紙幣束の精査処理を適切に行うために、利用状況を判別して庫内精査処理と庫外精査処理のいずれかを行う制御を行う。かかる精査処理の制御を実現する機能構成について、
図8を参照しながら説明する。
【0068】
図8は、一実施形態に係る紙幣束処理装置10の機能構成を示すブロック図である。
図8に示すように、紙幣束処理装置10は、検知部212と、記憶部214と、制御部216と、を有する。
【0069】
(検知部212)
検知部212は、前回の精査処理以降に収納庫48A〜48Dに使用者がアクセス可能な状態となっていたか否かを検知する。収納庫48A〜48Dに使用者がアクセス可能な状態とは、例えば使用者が収納庫48A〜48D内に紙幣束を新たに挿入することができる状態を言う。かかる場合には、収納庫48A〜48Dに本来収納されない筈の金種の紙幣束が収納される恐れがある。一方で、アクセス可能でない状態とは、例えば使用者が収納庫48A〜48Dに新たに紙幣束を挿入することができない状態を言う。かかる場合には、収納庫48A〜48Dに適切な金種の紙幣束が収納されていることになる。
【0070】
検知部212は、例えば、前回の精査処理以降に収納庫48A〜48Dが着脱部180から外された場合に、収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知しても良い。また、検知部212は、前回の精査処理以降にシャッタ112が開いていた場合には、収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知しても良い。上記のいずれかの検知を行うことで、使用者が収納庫48A〜48Dに新たに紙幣束を挿入する蓋然性が高い状態を特定できる。
【0071】
上記の検知に限定されず、例えば、検知部212は、前回の精査処理以降にシャッタ112が開いた状態で、かつ収納庫48A〜48Dが着脱部180から外された場合に、収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知しても良い。シャッタ112は通常処理の際に開閉されるケースがあるため、上記の検知の場合には、より正確に、使用者が収納庫48A〜48Dに新たに紙幣束を挿入可能な状態を特定できる。
【0072】
(記憶部214)
記憶部214は、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていなかったと検知された場合に、アクセス可能な状態となっていたことを示すフラグ情報を記憶する。例えば、記憶部214は、アクセス可能な状態となっていたと検知された場合にはフラグをオンとして記憶され、アクセス可能な状態となっていなかったと検知された場合にはフラグをオフとして記憶する。
【0073】
また、記憶部214は、制御部216が実行する精査処理に利用されるプログラムや各種データを記憶する。
【0074】
(制御部216)
制御部216は、収納庫48A〜48Dに収納された紙幣束の精査処理を行う。本実施形態に係る制御部216は、検知部212の検知結果に基づいて、庫内精査処理(
図5)と庫外精査処理(
図7)のいずれかを実行させる。
【0075】
例えば、制御部216は、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていなかったと検知された場合には、計数センサ126によって紙幣束を計数させる庫内精査処理を実行させる。これにより、精査処理を短時間に完了することができる。
【0076】
一方で、制御部216は、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知された場合には、金種判別センサ155によって紙幣束の金種判別及び計数を行わせる庫外精査処理を実行させる。これにより、使用者が収納庫48A〜48Dに誤った金種を補充等しても、適切に検出できる。
【0077】
上述したように、アクセス可能な状態か否かは、記憶部214にフラグ情報として記憶されている。このため、制御部216は、記憶部214に記憶されたフラグ情報に基づいて、庫内精査処理又は庫外精査処理を実行させても良い。例えば、制御部216は、記憶部214に記憶されたフラグがオンである場合には庫外精査処理を実行させ、記憶部214に記憶されたフラグがオフである場合には庫内精査処理を実行させる。これにより、庫内精査処理と庫外精査処理を簡易に制御できる。
【0078】
制御部216は、精査処理が行われる迄、記憶部214に記憶されたフラグ情報を保持させる。具体的には、制御部216は、精査処理が行なわれる迄、オンであったフラグをオフに切り替えない。一方で、制御部216は、精査処理が行われると、収納庫48A〜48Dに紙幣束が適切に収納されているので、オンであったフラグをオフに切り替える。これにより、アクセス可能な状態に対して精査処理が実際に行われたかを容易に判断できる。
【0079】
また、制御部216は、精査処理に関して、表示部218による表示を制御する。例えば、制御部216は、紙幣束処理装置10の初期動作時に、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知された場合には、表示部218に精査処理の実行を促す表示を行わせても良い。
【0080】
精査処理は、通常所定のタイミングで行われる。このため、アクセス可能な状態となっていたと検知されても、所定のタイミングで精査処理が行われない可能性がある。これに対して上述した表示を行わせることで、使用者は、所定のタイミングに達していなくても、強制的に精査処理を行わせることが可能となり、この結果、収納庫48A〜48Dに紙幣束が適切に収納された状態に移行できる。
【0081】
図9は、一実施形態に係る表示部218による表示例を示す模式図である。表示部218には、一例として「収納庫の精査処理を行う操作を行なって下さい」等のメッセージMが表示される。かかる表示を見た使用者は、エラー状態を容易に認識でき、強制的に精査処理を行うための操作を行いやすくなる。表示部218には、
図9に示すように精査処理を行わせる操作ボタンBが表示されても良い。表示部218は、使用者が見やすいように、紙幣束処理装置10の上部に取り付けられる。
【0082】
また、制御部216は、紙幣束処理装置10の初期動作時に、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知された場合には、表示部218に精査処理(具体的には、庫外精査処理)を開始する旨の表示を行わせても良い。すなわち、所定のタイミングに達していなくても、強制的に庫外精査処理が実行されている旨の表示がされる。これにより、使用者は、表示部218の表示を見て、強制的に精査処理が実行されていることを容易に認識できる。
【0083】
<5.紙幣束処理装置の動作例>
図10を参照しながら、精査処理を行う際の紙幣束処理装置10の動作例について説明する。紙幣束処理装置10の動作は、制御部216(
図8)によって実行される。すなわち、制御部216が、記憶部214に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
【0084】
図10は、一実施形態に係る紙幣束処理装置10の動作例を説明するためのフローチャートである。
図10のフローチャートは、前回の精査処理が完了したところから開始される(ステップS102)。精査処理が完了したことで、記憶部214に記憶されたフラグはオフである。その後、検知部212は、前回の精査処理以降に収納庫48A〜48Dに使用者がアクセス可能な状態となっていたか否かを検知する(ステップS104)。
【0085】
そして、アクセス可能な状態となっていたと検知された場合には(ステップS106:Yes)、制御部216は、記憶部214に記憶されたフラグをオンにする(ステップS108)。一方で、アクセス可能な状態となっていないと検知された場合には、フラグの状態が維持される。
【0086】
次に、制御部216は、精査処理を行う所定のタイミングに達したか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110で精査処理を行うタイミングになった場合には(Yes)、制御部216は、記憶部214のフラグがオンになっているか否かを判定する(ステップS112)。
【0087】
そして、ステップS112でフラグがオンになっている場合には(Yes)、制御部216は、前回の精査処理後に使用者が収納庫48A〜48Dにアクセスした可能性があるものと判断し、庫外精査処理を実行させる(ステップS114)。すなわち、
図7に示すように、収納庫48A〜48Dから紙幣束を出させて、金種判別センサ155により紙幣束の金種判別及び計数が行なわれる。これにより、使用者が収納庫48A〜48Dに誤った金種の紙幣束を挿入しても、その紙幣束を適切に検出できる。
【0088】
庫外精査処理が完了すると、制御部216は、記憶部214のフラグをオフに切り替える(ステップS116)。その後、上述したステップS104以降の処理が繰り返される。
【0089】
ステップS112でフラグがオフになっている場合には(No)、制御部216は、前回の精査処理後に使用者が収納庫48A〜48Dにアクセスしていないと判断し、庫内精査処理を実行させる(ステップS118)。すなわち、
図5に示すように、収納庫48A〜48Dに紙幣束を収納させた状態で、計数センサ126により紙幣束を計数が行なわれる。これにより、精査処理を短時間に行うことができる。その後、上述したステップS104以降の処理が繰り返される。
【0090】
<6.まとめ>
かかる紙幣束処理装置10によれば、制御部216は、精査処理を行う際に、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていなかったと検知された場合には、計数センサ126によって紙幣束を計数させる(庫内精査処理)。一方で、制御部216は、検知部212によって収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていたと検知された場合には、金種判別センサ155によって紙幣束の金種を判別させる(庫外精査処理)。
【0091】
収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていなかった場合には、収納庫48A〜48Dに誤った金種の紙幣束が収納される恐れが無いので、計数センサ126による紙幣束の計数のみで正しい精査を行える。一方で、収納庫48A〜48Dにアクセス可能な状態となっていた場合には、収納庫48A〜48Dに誤った金種の紙幣束が収納される恐れがあるので、金種判別センサ155によって金種を判別することで正しい精査を行える。従って、上述した紙幣束処理装置10によれば、装置の利用状況に応じて紙幣束の精査処理を適切に行うことが可能となる。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。