(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、以下の各図において同一符号は同一または相当の構成を示す。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の照明装置の斜視図である。
図1に示すように、実施の形態1の照明装置600は、照明器具500と、この照明器具500に着脱自在に取り付けられた照明ランプ1とを備えている。照明器具500は、照明ランプ1に給電して照明ランプ1を点灯させるものであり、ここでは図示しない固定具を介して天井に取り付けられる。そして、照明ランプ1が点灯することによって床面や室内空間が照射される。
【0013】
なお、照明装置600は
図1に示した形態以外のものであってもよい。例えば、照明装600は、複数の照明ランプ1を着脱自在に取り付けられるものであってもよいし、天井に埋め込まれるものであってもよい。
【0014】
また、照明装置600は、天井以外に取り付けられるものであってもよい。例えば、照明装置600は、卓上に設置されて卓上を照らすものであってもよいし、壁に固定具を介して取り付けられるものであってもよいし、他の場所あるいは用途で用いられるものであってもよい。
【0015】
図1に示すように、照明器具500は、給電ソケット100、アースソケット110、反射板120、器具本体140、および器具本体140に収納される点灯装置130を備える。
【0016】
給電ソケット100およびアースソケット110は、照明ランプ1と電気的に接続される。また、給電ソケット100およびアースソケット110は、照明ランプ1を機械的に保持する役割も有する。
【0017】
なお、アースソケット110は照明ランプ1と電気的に接続されず、照明ランプ1を機械的に保持する役割のみを有するようにしてもよい。
【0018】
給電ソケット100およびアースソケット110は器具本体140に取り付けられている。器具本体140には、スイッチ(図示しない)をONの状態に切り替えると給電ソケット100を介して照明ランプ1に給電し、スイッチをOFFの状態に切り替えると給電を停止する点灯装置130が収納される。点灯装置130は専用の筐体に収納されている。
【0019】
図2は、実施の形態1の照明ランプ1を示す斜視図である。照明ランプ1は、直管状の円筒ケース50を備えている。なお、
図2では、円筒ケース50の内部に収納される光源モジュールなどの構成は図示していない。また、ここでは照明ランプ1として直管形のLED(Light Emitting Diode)ランプを例に説明を進めるが、照明ランプ1の形状は直管形に限定されるものではなく、照明ランプ1の光源素子の種類もLEDに限定されるものではない。例えば、LEDに代えて、レーザダイオード、有機EL(Electro−Luminescence)等の発光素子を使用することもできる。
【0020】
円筒ケース50の材質はガラス又は樹脂とすることができ、樹脂とする場合、その樹脂素材は、例えばアクリルまたはポリカーボネートとすることができる。円筒ケース50はガラスまたは樹脂で構成されているため、内部に収納される光源モジュールから出射される光を透過する。
【0021】
円筒ケース50の両端部には一対の口金が設けられている。この口金はJEL801として日本電球工業規格に規定されているGX16t−5口金である。
図3は、実施の形態1の口金を示す斜視図であって、(a)は給電口金を示す斜視図、(b)はアース口金を示す斜視図である。
図2および
図3(a)に示すように、円筒ケース50の一端部に設けられた口金は、給電用の給電口金2aである。給電口金2aは、筐体5aと、一部が筐体5aの外側に突出して照明器具500の給電ソケット100に支持される一対の給電端子6aとを備えている。
【0022】
筐体5aは、円板状のベース部3aと、ベース部3aの周縁から環状に突出する壁部4aとを備え、一方が開放した有底筒状に形成されている。そして、筐体5aによって円筒ケース50の一端部が覆われている。
【0023】
給電端子6aは、断面L字状に形成され、ベース部3aを貫通してベース部3aに一体的に固定されている。各給電端子6aは、L字の曲がり部分が相互に外側を向くように設けられている。
【0024】
図2および
図3(b)に示すように、円筒ケース50の他端部に設けられた口金は、アース用のアース口金2bである。アース口金2bは、筐体5bと、一部が筐体5bの外側に突出して照明器具500のアースソケット110に支持されるアース端子6bとを備えている。実施の形態1において、口金2bがこの発明の口金に対応する。
【0025】
筐体5bは、円板状のベース部3bと、ベース部3bの周縁から環状に突出する壁部4bとを備え、一方が開放した有底筒状に形成されている。そして、筐体5bによって円筒ケース50の他端部が覆われている。
【0026】
アース端子6bは、断面T字状に形成され、ベース部3bを貫通してベース部3bに一体的に固定されている。実施の形態1において、アース端子6bがこの発明のランプピンに対応する。
【0027】
なお、筐体5a,5bは樹脂で形成されている。また、給電端子6aおよびアース端子6bはそれぞれ例えば金属で形成されている。実施の形態1において、筐体5aと給電端子6a、筐体5bとアース端子6bはインサート成形により一体的に形成されている。
【0028】
図4は、
図2のAA線に沿ってアース側口金を示す部分断面図である。また、
図5は、実施の形態1のアース端子を示すものであって、(a)は下面図、(b)および(c)は側面図、(d)は上面図を示している。
図4に示すように、アース端子6bは、ベース部3bを貫通してベース部3bに一体的に固定されている。アース端子6bとベース部3bとは、筐体5b用の金型にアース端子6bがインサートされた状態で成形することで固定することができる。
【0029】
なお、
図4において、符号7aはアース端子6bの軸方向を示しており、符号7bはアース端子6bの軸回転方向を示している。以下、それぞれ、軸方向7a、軸回転方向7bと定義する。
【0030】
図5に示すように、アース端子6bの表面には複数の溝8が形成されている。この複数の溝8は、ローレット加工により形成されたローレット溝であり、アース端子6bの軸方向7aに対して一方向に所定の傾斜角度θ1を有する右斜め線状溝が平行に複数本配置された右斜め溝9aと、この右斜め溝9aと交叉し、アース端子6bの軸方向に対して他方向に所定の傾斜角度θ2を有する左斜め線状溝が平行に複数本配置された左斜め溝9bとから構成されている。複数の溝8の全体形状は、右斜め溝9aと左斜め溝9bとから形成される網目状(綾目状)であり、ひし形を多数配置した形状である。
【0031】
実施の形態1のアース口金2bを製造する際に、アース端子6bを筐体5b用の金型にインサートし、筐体5bの材料である樹脂を金型に流し込む。アース端子6bには上記のように複数の溝8が形成されているので、金型に流し込まれた樹脂は複数の溝8の間に入り込む。このようにしてインサート成形されるため、ベース部3bの一部が複数の溝8に入り込んだ状態でアース側端子6bとベース部8とが一体的に固定される。
【0032】
このようにしてアース側端子6bとベース部3bとが固定されているので、アース端子6bに対して軸方向7aまたは軸回転方向7bに力が加えられた際、加えられた力に対して抵抗力が働く。この結果、軸方向7aと軸回転方向7bとに対するアース口金2bの強度を向上することができる。なお、実施の形態1において、複数の溝8は軸方向7aに対して傾斜して形成された右斜め溝9aと左斜め溝9bとで構成されているので、各溝が軸方向7aと軸回転方向7bとに対する抵抗力に寄与する。
【0033】
実施の形態1のアース端子6bに形成された右斜め溝9aおよび左斜め溝9bの傾斜角度θ1,θ2は、30°〜60°とすることが好ましく、より好ましくは略45°とすることが好ましい。このように形成することで、軸方向7aと軸回転方向7bとへの抵抗力をともに向上することができ、両方向に対する口金2bの強度を向上することができる。なお、実施の形態1においては、傾斜角度θ1,θ2はともに45°となるように形成している。
【0034】
図6は、実施の形態1のアース端子に形成された溝の断面を部分的に示す図である。
図6に示すように、アース端子6bに形成された溝8は、溝のピッチ(t)が0.5mm、溝の高さ(h)が0.75mm、溝の断面角度(r)が90°で形成されている。なお、溝のピッチ、高さ、断面角度や溝の本数についてはこれに限るものではなく、適宜決定することができる。
【0035】
以上説明したように、実施の形態1によれば、ベース部3bの一部がアース端子6bに形成された複数の溝8に入り込んでベース部3bとアース端子6bとが一体的に固定されているので、軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上することができる。
【0036】
また、アース端子6bに複数の溝8を形成するだけで軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上できるので、別途部材を必要とせず、簡単な構成で強度を向上できる。
【0037】
さらに、複数の溝8は軸方向7aに対して傾斜して形成されているので、各溝を軸方向7aと軸方向7aとに対する抵抗力に寄与させることができる。
【0038】
また、複数の溝8は、右斜め溝9aと左斜め溝9bとで構成される網目状の溝であるので、狭い領域に多くの溝8を設けることができる。
【0039】
また、複数の溝8はローレット加工により形成されたローレット溝であるので、複数の溝8を容易に形成することができる。
【0040】
なお、実施の形態1では、軸方向7aに対してそれぞれ傾斜する右斜め溝9aと左斜め溝9bとで複数の溝8を形成する例を示したが、複数の溝8の形状はこれに限るものではない。
【0041】
図7は、実施の形態1のアース端子の変形例を示すものであって、(a)は下面図、(b)および(c)は側面図、(d)は上面図を示している。
図7において、複数の溝8は、軸方向7aに平行な溝が複数本配置された平行溝10aと、この平行溝10aに交叉し、軸方向7aに垂直な溝が複数本配置された垂直溝10bとから構成されている。
【0042】
このように構成しても軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上することができる。なお、この場合は、平行溝10aが軸回転方向7bに加えられる力に対する抵抗力に寄与し、垂直溝10bが軸方向7aに加えられる力に対する抵抗力に寄与する。
【0043】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2のアース端子を示す図である。実施の形態1においては、複数の溝8を右斜め溝9aと左斜め溝9bとで構成する例を示したが、
図8に示すように右斜め溝9aのみで構成するようにしてもよい。実施の形態1と比較して同じ領域に設けることができる溝の本数が減ることになるが、このようにしても軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上できる。
【0044】
図9は、実施の形態2のアース端子の変形例を示す図である。
図8においては右斜め溝9aのみで構成する例を示したが、
図9に示すように左斜め溝9bのみで構成するようにしてもよい。このようにしても軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上できる。
【0045】
なお、実施の形態1および2ならびにその変形例では、いずれも直線上の溝を形成する例を示したが、溝の形状は直線上に限るものではなく、曲線状としてもよい。
【0046】
また、実施の形態2およびその変形例の説明において、複数の溝8の形状以外は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略した。
【0047】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3のアース側口金を示す部分断面図である。また、
図11は、実施の形態3のアース端子を示す図であって、(a)は下面図、(b)および(c)は側面図、(d)は上面図を示している。実施の形態1ではアース端子6bに複数の溝8を形成する例を示したが、
図10および
図11に示すように、複数の溝8に代えて孔部11を形成するようにしてもよい。実施の形態3の孔部11は、アース端子6bを軸方向7aに対して垂直方向に貫通する貫通孔である。
【0048】
実施の形態3のアース口金2bを製造する際、アース端子6bを筐体5b用の金型にインサートし、筐体5bの材料である樹脂を金型に流し込む。アース端子6bには上記のように孔部11が形成されているので、金型に流し込まれた樹脂は孔部11に入り込む。このようにしてインサート成形されるため、ベース部3bの一部が複数の孔部11に入り込んだ状態でアース側端子6bとベース部3bとが一体的に固定される。
【0049】
このようにしてアース端子6bとベース部3bとが固定されているので、アース端子6bに対して軸方向7aまたは軸回転方向7bに力が加えられた際、加えられた力に対して抵抗力が働く。この結果、軸方向7aと軸回転方向7bとに対するアース口金2bの強度を向上することができる。
【0050】
実施の形態3によれば、ベース部3bの一部がアース端子6bに形成された孔部11に入り込んでベース部3bとアース端子6bとが一体的に固定されているので、軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上することができる。
【0051】
また、アース端子6bに孔部11を形成するだけで軸方向7aと軸回転方向7bとに加わる力に対する強度を向上できるので、別途部材を必要とせず、簡単な構成で強度を向上できる。
【0052】
さらに、アース端子6bの軸方向に対して垂直方向に孔部11を形成しているので、孔部11を容易に形成することができる。
【0053】
また、孔部11は貫通孔であるので、アース側口金2を製造する際、筐体の材料となる樹脂を効率的に孔部11内に入り込ませることができる。
【0054】
図11は、実施の形態3のアース端子の変形例を示す図である。
図11は
図10の孔部11の向きを90°回転させたものを示しており、このように構成しても実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、実施の形態3では孔部11として貫通孔を設ける例を示したが、所定の深さであれば非貫通の孔でもよい。また、孔部11は複数個形成するようにしてもよい。
【0056】
なお、実施の形態3およびその変形例の説明において、複数の溝8に代えて孔部11を形成したこと以外は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略した。
【0057】
また、実施の形態1ないし3では、口金としてJEL801として日本電球工業規格に規定されているGX16t−5口金に本発明を適用したものを示したが、本発明は例えばG13口金にも適用可能である。
【0058】
以上、実施の形態1ないし3および変形例について説明した。これらの実施の形態およびその変形例は、互いに組み合わせることができる。