特許第6244932号(P6244932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244932蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244932
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20171204BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20171204BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20171204BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20171204BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M2/26 A
   H01M4/64 A
   H01M4/04 A
   H01G13/00 381
   H01G13/00 391G
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-8428(P2014-8428)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2015-138610(P2015-138610A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】小森 隆史
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−343350(JP,A)
【文献】 特開2013−065517(JP,A)
【文献】 特開2012−138287(JP,A)
【文献】 特開平05−038529(JP,A)
【文献】 特開2007−258062(JP,A)
【文献】 特開2009−123583(JP,A)
【文献】 特開2002−127126(JP,A)
【文献】 特開平11−000896(JP,A)
【文献】 吉田弘美,現実的なかす上がり対策例 「かす上がり対策マトリックス」の使い方,プレス技術,2010年,第48巻 第10号,pp. 18−19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058
H01M 2/26
H01M 4/64
H01M 4/04
H01G 13/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔の縁に突出するタブを有する電極を備えた蓄電装置の製造装置であって、
前記タブの形状に対応する形状の溝部が形成された上刃を有する上型と、
前記上刃が上下方向に通過可能な孔部と、前記孔部側に突出し前記溝部の形状に対応する形状の突起とを含み、前記金属箔が載置されて、前記上刃が下降して前記孔部を通過することにより前記溝部が前記突起の周囲を通過して前記金属箔を打ち抜いて前記タブを形成する下刃を有する下型と、を備え、
前記上刃の前記溝部の周縁部には、当該周縁部に沿って配列されて前記上刃から下型側に突出可能な複数のピンが設けられている、蓄電装置の製造装置。
【請求項2】
前記タブは矩形であり、前記上刃の溝部はコ字状をなしており、
前記複数のピンの少なくとも一部は、前記溝部の底部側に設けられている、請求項1に記載の蓄電装置の製造装置。
【請求項3】
前記複数のピンは、前記溝部の3辺に沿って配列されている、請求項2に記載の蓄電装置の製造装置。
【請求項4】
前記複数のピンは、前記タブの突出方向に沿って前記溝部の両側部において対称に位置するように配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造装置。
【請求項5】
金属箔の縁に突出するタブを有する電極を備えた蓄電装置の製造方法であって、
前記タブの形状に対応する形状の溝部が形成された上刃を有する上型と、前記上刃が上下方向に通過可能な孔部と前記孔部側に突出し前記溝部の形状に対応する形状の突起とを含む下刃を有する下型とを用い前記上刃を下降させて前記孔部を通過させることにより前記溝部が前記突起の周囲を通過して前記下刃に載置された前記金属箔を打ち抜いて前記タブを形成する打抜き工程と、
前記打抜き工程と同時に又は前記打抜き工程の後に、前記溝部の周縁部に沿って配列された複数のピンを、前記上刃から前記下型側に突出させるピン突出工程と、
を含む、蓄電装置の製造方法。
【請求項6】
前記複数のピンは、前記タブの突出方向に沿って前記溝部の両側部において対称に位置するように配置されている、請求項5に記載の蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の蓄電装置には、本体部及び本体部から突出するタブ部を有する電極が用いられる。従来、この電極は、導電箔の表面の一部に活物質層を形成したシートを用意し、当該シートを、型抜きや打抜きすること等により製造されていた。この場合、主として活物質層が形成されていない部分がタブ部となり、主として活物質層が形成された部分が本体部となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−204612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、電極を抜く際に、電極のタブ部分等に切抜き片が引っ掛かって落ちなかったり、抜き終わった後切抜き片が上型につれて持ち上がったりする場合がある。
【0005】
本発明は、電極に切抜き片が引っ掛かって落ちなかったり、切抜き片が上型につれて持ち上がったりすることを防止し、電極の製造効率を向上することができる蓄電装置の製造装置及び蓄電装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓄電装置の製造装置は、金属箔にタブが形成された電極を備えた蓄電装置の製造装置であって、タブの形状に対応する溝部が形成された上刃を有する上型と、金属箔が載置されて、上刃との協働により金属箔を打ち抜いて電極を形成する下刃を有する下型と、を備え、上型の溝部の周縁部には、下型側に向けて突出可能なピンが設けられている。
【0007】
この蓄電装置の製造装置によれば、下型側に向けて突出可能なピンが上型の溝部の周縁部に設けられていることで、ピンが下型側に突出して切抜き片を押し下げ、電極に引っ掛かった切抜き片を落としやすくなる。よって、電極に切抜き片が引っ掛かって落ちなかったり、切抜き片が上型につれて持ち上がったりすることが防止され、電極の製造効率を向上できる。
【0008】
また、上記蓄電装置の製造装置において、タブは矩形であり、上刃の溝部はコ字状をなしており、ピンは、溝部の底部側に設けられている。この構成によれば、コ字状をなす溝部の底部側に設けられたピンにより、タブの先端側に対応する部分が押される。よって、電極のタブ部に引っ掛かった切抜き片を落としやすくすることができる。
【0009】
また、本発明に係る蓄電装置の製造方法は、端子電極に接続されるタブを縁に有するタブ付電極を備えた蓄電装置の製造方法であって、タブの形状に対応する溝部が形成された上刃を有する上型と、下刃を有する下型との協働により、下型に載置された金属箔を打ち抜いてタブ付電極を形成する打抜き工程と、溝部の周縁部に設けられたピンを下型側に突出させるピン突出工程と、を含む。
【0010】
この蓄電装置の製造方法によれば、下型側に向けて突出可能なピンが上刃の溝部の周縁部に設けられていることで、ピンが下型側に突出して切抜き片を押し下げ、電極に引っ掛かった引抜き片を落としやすくなる。よって、電極に切抜き片が引っ掛かって落ちなかったり、切抜き片が上型につれて持ち上がったりすることが防止され、電極の製造効率を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電極に切抜き片が引っ掛かって落ちなかったり、切抜き片が上型につれて持ち上がったりすることが防止され、蓄電装置用電極の製造効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る蓄電装置の電極の製造方法を示すフロー図である。
図3】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係るカット工程を示す図である。
図4】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る打抜き工程を示す模式図である。
図5】(a)及び(b)は、図4(c)のA−A断面図であり、ピンの突出工程を示す模式図である。
図6】(a)及び(b)は、図4中の上型及び下型を示す模式図である。
図7図5中の上刃及びピンを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電装置の製造装置により製造された蓄電装置の分解斜視図である。図1に示されるように、蓄電装置1は、ケース3と、ケース3に収容された電極組立体5と、電極組立体5の周囲に設けられている絶縁シート8と、を備える。
【0015】
電極組立体5は、それぞれシート状である複数の正極12及び複数の負極22が、セパレータを介して交互に積層されることにより形成される。正極12及び負極22は、それぞれ活物質が担持されている本体部(図示せず)と、活物質が担持されていないタブ18,28と、を備える。
【0016】
図1に示されるように、正極12は、その縁に突出するタブ18を有している。図1では、タブ18は、集約されて折り曲げられている。正極12はタブ18を介して導電部材10に接続されている。タブ18と導電部材10とは、例えば超音波溶接により接合されている。導電部材10は、正極端子(端子電極)PEに接続される。正極端子PEは、絶縁リング14を介してケース3に取り付けられている。
【0017】
負極22は、その縁に突出するタブ28を有している。図1では、タブ28は、集約されて折り曲げられている。負極22はタブ28を介して導電部材20に接続されている。タブ28と導電部材20とは、例えば超音波溶接により接合されている。導電部材20は、負極端子(端子電極)NEに接続される。負極端子NEは、絶縁リング24を介してケース3に取り付けられている。
【0018】
ケース3内には電解液が充填されている。電解液としては、例えば有機溶媒又は非水系の電解液等が挙げられる。
【0019】
次に、本発明の一実施形態の蓄電装置の製造装置を説明する。本実施形態では、電極(正極及び負極)を製造する装置について説明する。電極組立体5、ケース3又は蓄電装置の組み立て等に関する製造装置は、特に限定されないが、公知技術から選択することができる。本実施形態により製造された電極は、リチウムイオン二次電池以外の蓄電装置に適用されてもよい。例えば、電極は、電気二重層キャパシタ等に適用されてもよい。
【0020】
図3及び図4に示されるように、本実施形態の蓄電装置の製造装置100は、金属箔63(図3(c)参照)にタブ18,28が形成されてなる電極12,22を備えた蓄電装置1の製造装置である。蓄電装置の製造装置100は、上刃31を有する上型30と、下刃41を有する下型40とを備える。上刃31には、タブ18,28の形状に対応する溝部33が形成されている。下刃41には、金属箔63が載置される。上刃31と下刃41との協働により、金属箔63が打ち抜かれて電極12,22が形成される。
【0021】
図4及び図6に示されるように、上型30は、フレーム38に対し上下方向に移動可能に連結された上型ホルダ32と、上型ホルダ32の下側に設けられた上刃31とを有する。初期状態において、たとえば、上刃31の底面は上型ホルダ32の底面より上方に位置している。上刃31は、上型ホルダ32に設けられた図示しない駆動手段及び案内手段により、上型ホルダ32に対して上下方向に移動可能になっている。上型ホルダ32は、上刃31を下方に移動させて、上刃31の底面を上型ホルダ32の底面より下方に突出させる。
【0022】
下型40は、フレーム38に固定された下型ホルダ42と、下型ホルダ42の上側に設けられた下刃41とを有する。たとえば、下刃41の上面は下型ホルダ42の上面に一致している。下型ホルダ42はベース43に固定されて支持されている。下刃41は、上刃31が上下方向に通過可能な孔部44を有する。
【0023】
上型30の上刃31と下型40の下刃41とは、金属箔63が打ち抜かれる際に互いに接触する接触部34と接触部46とをそれぞれ有している。接触部34と接触部46とは、互いに隙間なく合わさる形状をなしている。
【0024】
上刃31は、接触部34の一部を成すコ字状の溝部33を有する。下刃41は、接触部46の一部を成して、孔部44側に突出する矩形状の突起45を有する。突起45の形状は溝部33の形状に対応している。溝部33は、上刃31が下降して孔部44内に進入する際、突起45の周囲を通過する。
【0025】
金属箔63に対する打ち抜き動作について説明すると、図4に示されるように、上型ホルダ32と上刃31とが一緒に下降する。上型ホルダ32が下型ホルダ42上に接触すると、上刃31が引き続き下降し、下刃41の孔部44を通過する(図6(a)の破線参照)。上刃31の下降に伴い、下刃41の上面に載置された金属箔63が上刃31の接触部34と下刃41の接触部46とによって打ち抜かれる。このとき、溝部33と突起45とによって、金属箔63にタブが形成される。突起45は、金属箔63のタブが形成される部分を下から支持する。
【0026】
上刃31が下刃41の孔部44を通過するとき、上刃31の底面が下刃41の底面より低いところまで下降してもよいし、上刃31の底面が下刃41の上面と底面との間まで下降してもよい。
【0027】
図5及び図6に示されるように、上刃31は、さらに下型側に向けて突出可能に設けられているピン55を有する。
【0028】
図7に示されるように、ピン55は、上刃31を上下方向で貫通する貫通孔52の中で摺動可能に挿入されている。ピン55は、図6の(a)及び(b)に示されるように、上刃31の溝部33の周縁部に設けられている。より詳しくは、複数のピン55が、タブ部68の外周すなわち3辺に沿って配列されている。ピン55の上方には、ピン55に連結されてピン55を突出させることが可能な押し出し手段50が設けられている。
【0029】
押し出し手段50は、ピン55の中に上下方向に設けられているバネ53と、貫通孔52の上方に離間して配置されて形成されているカバー部51と、カバー部51と上刃31の上面とを連結するホルダ56と、一端がカバー部51に連結され、他端がバネ53の上端に連結された連結バー54と、を有する。バネ53の下端はピン55の底面に連結され、上端は連結バー54に連結されている。バネ53は、ピン55を初期位置(図7(a)参照)に付勢する。カバー部51は、平面視で貫通孔52を覆うように形成されている。
【0030】
ホルダ56は、カバー部51の下面と上刃31の上面との間で、ピン55を囲むように形成されている。ホルダ56の上面はカバー部51の下面に密接されている。ホルダ56の下面は、上刃31の上面に密接されている。ホルダ56の側面にはエアを吹き込むことが可能な孔57が形成されている。
【0031】
図5(a)及び(b)は、図4(c)のA−A図である。図5(a)及び(b)に示されるように、上刃31と下刃41との協働により金属箔63を打ち抜く際、孔57にエア供給装置80からエアを吹き込むことにより、バネ53が伸長し、ピン55が下方へ押し出される。これにより、ピン55を上刃31の底面から突出させる。よって、図5(a)及び(b)に示されるように、切抜き片65が落とされる。ここで、エア供給装置80は、例えばコンプレッサ及び自動弁等を有している。
【0032】
以上説明した蓄電装置の製造装置100では、上型30を下降させ、上刃31と下刃41とが協働することにより、上刃31の溝部33が下刃41の孔部44を通過され、金属箔63にタブ18,28が形成される。よって、蓄電装置の電極を製造する。
【0033】
このとき、押し出し手段50の孔57にエア供給装置80からエアを吹き込むことにより、図5に示されるように、ピン55が上刃31の底面から突出される。よって、金属箔63の切抜き片65が落とされる。これにより、金属箔63に引っ掛かった切抜き片65を落としやすくなるので、電極に切抜き片65が引っ掛かって落ちなかったり、切抜き片65が上型30につれて持ち上がったりすることが防止され、電極の製造効率を向上できる。
【0034】
以下、本実施形態の蓄電装置の製造方法について説明する。
【0035】
図2は、蓄電装置1の製造方法の一部として、リチウムイオン二次電池の電極の製造方法を示したフロー図である。図2に示されるように、この製造方法は、塗工工程S10、乾燥工程S12、カット工程S14、打抜き工程S16、ピンの突出工程S18を含む。
【0036】
(塗工工程)
塗工工程S10では、図3(a)に示されるように、電極ペーストを帯状の金属箔シート60の塗工面に間欠的に塗工して塗工部61を形成する。電極ペーストは、活物質(正極活物質又は負極活物質)を含んでいる。
【0037】
(乾燥工程)
塗工部61が形成された後、その上の電極ペーストを乾燥させて活物質層が間欠的に形成された金属箔シート60を形成する。
【0038】
(カット工程)
カット工程S14では、図3(b)に示されるように、金属箔シート60をその両側で長辺方向Xの切断線Hに沿って切断した後、金属箔シート60の長辺に略垂直な幅方向Yの切断線Zに沿って塗工部61をそれぞれ切断して金属箔63を形成する。両側の切断線Hは、長辺方向Xにおける塗工部61の辺より中央寄りに位置する。切断線Zは、本体部形成部64のタブ形成部67と反対する側にある。
【0039】
図3(c)に示されるように、金属箔63は、電極の本体部を形成する本体部形成部64と、電極のタブを形成するタブ形成部67と、を有する。本体部形成部64には、活物質が塗工されている。タブ形成部67は、タブ部68及び切抜き片65に相当する。
【0040】
(打抜き工程)
カット工程S14で得られた金属箔63に対する打抜き工程S16について説明すると、図4に示されるように、上型ホルダ32と上刃31とが一緒に下降する。上型ホルダ32が下型ホルダ42上に接触すると、上刃31が引き続き下降し、下刃41の孔部44を通過する(図6(a)の破線参照)。上刃31の下降に伴い、下刃41の上面に載置された金属箔63が上刃31の接触部34と下刃41の接触部46とによって打ち抜かれる。このとき、溝部33と突起45とによって、金属箔63にタブが形成される。
【0041】
(ピンの突出工程)
ピンの突出工程S16では、図5(a)及び(b)に示されるように、上刃31と下刃41との協働により金属箔63を打ち抜く際、孔57にエア供給装置80からエアを吹き込むことにより、ピン55が下方へ押し出される。これにより、ピン55を上刃31の底面から突出させる。よって、切抜き片65が押し下げられ、金属箔63から落とされる。突出されたピン55は、エアの供給が終了すると、バネ53の復元力により貫通孔52に戻される。
【0042】
ピン55が突出するタイミングについて説明すると、図5(a)に示されるように、上刃31の底面と下刃41の上面が略一致する際、ピン55が突出されてもよいし、図5(b)に示されるように、上刃31の底面が下刃41の上面より下方にある時点で、ピン55が突出されてもよい。
【0043】
以上説明した蓄電装置の製造装置100及び蓄電装置の製造方法によれば、金属箔シート60をカットして形成された金属箔63に対して、溝部33を有する上刃31と孔部44を有する下刃41との協働により、下型40の上面に乗せられた金属箔63を打ち抜き、金属箔63から切抜き片65を落とすことで、電極を製造する。
【0044】
このとき、上刃31に設けられている押し出し手段50の孔57に、エア供給装置80からエアを吹き込む。これにより、ピン55が上刃31の底面から突出される。よって、タブ部68の周辺の切抜き片65は、突出されたピン55により下方へ押され、落ちやすくなる。これにより、電極に切抜き片65が引っ掛かって落ちなかったり、切抜き片65が上型30につれて持ち上がったりすることが防止され、電極の製造効率を向上することができる。
【0045】
また、電極のタブ18,28は矩形であり、上刃31の溝部33はコ字状をなしており、ピン55は、溝部33の底部35の周縁部に設けられているため、この場合、溝部33の底部35側に設けられているピン55が突出されることにより、電極のタブ部68に引っ掛かった切抜き片65を落としやすくすることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、ピン55の平面的な配置について、上記実施形態では溝部の周縁部に分布されているが、上刃31の接触部34に沿ういずれかの位置に分布されてもよい。
【0047】
ピンの突出方法を適宜変更してもよい。たとえば、ピン55を上から直接に押圧することで突出させてもよい。この場合、たとえば、一端がカバー部51に連結され、他端がピン55に直接連結される連結バーを設け、上からカバー部51を押すことにより、連結バーによりピン55を下方へ押し出し、上刃31の底面から突出させる。これにより、金属箔63の切抜き片65が押し下げられ、タブ部68から離れるようになる。
【0048】
上刃31の形を適宜変更してもよい。たとえば、上刃31には、タブを形成する溝部33だけでなく、電極の本体部を形成する凹部を有してもよい。
【0049】
上記実施形態では、塗工工程S10において矩形状の塗工部61を形成するが、塗工部61は、電極の本体部が形成可能な形状・サイズであればよい。塗工部61同士の間隔は電極のタブを形成できるようなサイズであれば、特に限定されない。
【符号の説明】
【0050】
1…蓄電装置、12…正極、22…負極、18,28…タブ、30…上型、31…上刃、33…溝部、40…下型、41…下刃、50…押し出し手段、55…ピン、63…金属箔、100…蓄電装置の製造装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7