(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、分光分析処理を実施する電子機器では、分光画像を用いて生成され、リアルタイムに表示されたカラー画像(以下、リアルタイム画像とも称する)を参照しながら、電子機器と対象との相対的位置を変更して、分光分析処理を実施する部分を特定する場合がある。
しかしながら、特許文献1には、このようなリアルタイム画像を取得するための構成についての開示がない。例えば、特許文献1に記載されるカラー画像をリアルタイム画像として表示させた場合、複数波長で分光画像を取得した後に、これら画像からリアルタイム画像を生成することになる。すなわち、1枚の分光画像を1フレームとすると、複数フレーム毎に1つのリアルタイム画像が表示されることになる。このため、最初のリアルタイム画像が表示されてから、次のリアルタイム画像が表示されるまでの間に、上記複数フレーム分の時間差が発生する。この間に、電子機器と対象との相対的位置が変更されると、撮像位置の変更に対してリアルタイム画像の更新を追従させることができないおそれがあった。
【0005】
本発明は、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる電子機器及び電子機器の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電子機器は、入射光に含まれる所定の波長の光を出射させ、かつ前記所定の波長を変更可能な分光フィルターと、前記分光フィルターを駆動し、赤色波長域内における赤色光、緑色波長域内の緑色光、及び青色波長域内の青色光の少なくとも前記赤色光及び前記緑色光を、前記分光フィルターから所定の順番で出射させるフィルター駆動部と、少なくとも前記赤色光及び前記緑色光を受光して、赤色画像、緑色画像、及び青色画像のうち、少なくとも前記赤色画像、及び前記緑色画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子によって取得された少なくとも前記赤色画像及び前記緑色画像を含む最新の色画像を用いて合成画像を生成する画像生成部と、を備えたことを特徴とする。
上記の本発明に係る電子機器は、入射光から所定の波長の光を選択的に出射させ、かつ出射させる光の波長を変更可能な分光フィルターと、前記分光フィルターから出射される光の波長を設定し、赤色波長域内における所定の赤色光、緑色波長域内の所定の緑色光、及び青色波長域内の所定の青色光の3つの色光のうちの少なくとも前記赤色光及び前記緑色光を、前記分光フィルターから所定の順番で順次出射させるフィルター駆動部と、前記分光フィルターから順次出射された少なくとも前記赤色光及び前記緑色光を受光して、前記3つの色光に対応する赤色画像、緑色画像、及び青色画像の3つの色画像のうち、少なくとも前記赤色画像、及び前記緑色画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子によって取得された少なくとも前記赤色画像及び前記緑色画像を含む最新の色画像を用いて合成画像を生成する画像生成部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、最新の色画像を用いて合成画像を生成するとは、3つの色光に対応する赤色画像、緑色画像、及び青色画像のうち、少なくとも直近に取得された赤色画像及び緑色画像から合成画像を生成することを意味する。
【0008】
本発明の電子機器は、3つの色光のうちの赤色光及び緑色光を含む2以上の色光のいずれかを分光フィルターから出射させ、撮像素子に受光させ、受光した色光に対応する色画像を取得する。すなわち、赤色光に対しては赤色画像、緑色光に対しては緑色画像を取得する。さらに、青色光をも受光する場合は、青色画像も取得する。なお、赤色光及び緑色光の2つの色光のみを受光する場合は、赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成することができる。これら3つの色画像を用いて合成画像を生成する。
これにより、合成画像を生成する際に、R(赤),G(緑),B(青)の3色の色画像、赤色画像、緑色画像及び青色画像を少なくとも取得する、すなわち、3フレーム分の色画像を取得し、これら3つの色画像を合成して1つの合成画像を生成することができる。
また、赤色光及び緑色光の2つの色光を受光する場合は、赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成する。この場合、赤色画像及び緑色画像の2フレーム分の色画像から、3色の色画像を取得できる。
従って、上記合成画像をリアルタイム画像とすると、分光フィルターから、R,G,Bの各色光を順次出射させた場合で3フレーム毎に、R,Gの色光を交互に出射させた場合で少なくとも2フレーム毎に、1つのリアルタイム画像を生成することができる。このような場合、可視光域内の例えば10nm間隔の波長の光に対応した各分光画像を全て取得した後、これらを合成する場合に比べて、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0009】
ここで、R,G,Bの各色に対応するフィルターがマトリクス状に配置され、撮像素子の各画素に1つのフィルターが対応するように配置されたカラーフィルターを、分光フィルターに替えて配置することで、R,G,Bの各色画像を同時に取得してリアルタイム画像のフレームレートを向上させることが考えられる。しかしながら、このような構成では、1つの色画像に対応する画素の数(すなわち、受光面積)が少なくなるので、色画像のそれぞれについて感度や解像度が低下する。
本発明では、合成画像を生成するための全色画像を取得するのに少なくとも、2フレーム又は3フレーム分の時間を要するものの、撮像素子の全画素で受光して1つの色画像を取得することができ、感度や解像度を維持したままリアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0010】
本発明の電子機器において、前記フィルター駆動部は、前記分光フィルターから前記赤色光及び前記緑色光を順次出射させ、前記撮像素子は、前記赤色光及び前記緑色光にそれぞれ対応する前記赤色画像及び前記緑色画像を順次取得し、前記画像生成部は、前記赤色画像及び前記緑色画像から前記青色画像を生成する青色画像生成部と、最新の前記赤色画像及び前記緑色画像と、前記青色画像生成部により生成された前記青色画像とを合成して前記合成画像を生成する合成部と、を備えたことが好ましい。
【0011】
ここで、R,G,Bの各色光のうち、青色光(B)は、輝度成分、すなわち色再現性に対する寄与が最も小さく、緑色光(G)は寄与が最も大きい。
本発明では、3つの色画像のうち、赤色画像と、高寄与の緑色画像とを取得し、そして、低寄与の青色画像を推定することで、合成画像を取得できる。
このような構成では、上述のように、赤色画像及び緑色画像の2フレーム分の色画像から、3色の色画像を取得できる。このため、少なくとも2フレーム毎に、1つのリアルタイム画像を生成することができ、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。また、全色画像を2フレーム分の時間で取得することができるので、色画像間で撮像位置が異なることによる色ずれが発生することを抑制できる。
【0012】
本発明の電子機器において、前記青色画像生成部は、連続して出射される一組の前記赤色光及び前記緑色光に対応する一組の前記赤色画像及び前記緑色画像が取得される度に、当該一組の赤色画像及び緑色画像から前記青色画像を生成し、前記合成部は、前記一組の赤色画像及び緑色画像が取得される度に、前記合成画像を生成することが好ましい。
【0013】
本発明では、一組の赤色画像及び緑色画像を取得する度に合成画像を生成している。このような構成では、2フレーム毎に合成画像が生成される。従って、例えば、各色画像を取得する度に合成画像を生成する場合と比べて、合成画像の生成回数を低減でき、合成画像生成に伴う処理負荷を抑制できる。
【0014】
本発明の電子機器において、前記青色画像生成部は、前記赤色光及び前記緑色光のそれぞれに対応する前記赤色画像及び前記緑色画像のいずれかが取得される度に、最新の前記赤色画像及び前記緑色画像から前記青色画像を生成し、前記合成部は、前記赤色画像及び前記緑色画像のいずれかが取得される度に、前記合成画像を生成することが好ましい。
【0015】
本発明では、分光フィルターから2つの色光を順次出射させ赤色画像及び緑色画像を順次取得し、これら色画像が取得される毎に、最新の赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成し、これら3つの色画像から合成画像を生成する。
このような構成では、1つの色画像を取得する度に、リアルタイム画像を更新することができる。これにより、リアルタイム画像のフレームレートを一層向上させることができる。
【0016】
本発明の電子機器において、前記フィルター駆動部は、前記分光フィルターから前記3つの色光を所定の順番で順次出射させ、前記撮像素子は、前記赤色光、前記緑色光、及び前記青色光にそれぞれ対応する前記赤色画像、前記緑色画像、及び前記青色画像を前記所定の順番で順次取得し、前記画像生成部は、前記3つの色画像のいずれかが取得される度に、最新の前記赤色画像、前記緑色画像、及び前記青色画像を合成した前記合成画像を生成することが好ましい。
【0017】
本発明では、赤色光、緑色光及び青色光の3つの色光を分光フィルターから順次出射させ、赤色画像、緑色画像及び青色画像を順次取得する。そして、各色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、合成画像を生成するために3つの色画像を取得しているので、色再現性の低下を抑制できる。
また、全色画像を3フレーム分の時間で取得することができるので、色画像間で撮像位置が異なることによる色ずれが発生することを抑制できる。
【0018】
本発明の電子機器において、前記フィルター駆動部は、前記赤色光、前記緑色光、前記青色光、及び前記緑色光の順番で、各色光を出射させることが好ましい。
【0019】
本発明では、赤色光、緑色光、青色光、及び緑色光の順番で色光を分光フィルターから出射させ、順次、各色光に対応する色画像を取得する。そして、各色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、赤色画像及び青色画像の間に必ず緑色画像が取得される。すなわち、2フレームのうち1フレームは緑色画像を取得することになる。
ここで、R,G,Bの各色光のうち、緑色光(G)は、輝度成分、すなわち色再現性に対する寄与が最も大きい。毎フレーム更新される合成画像(リアルタイム画像)の生成元となる色画像のうち、輝度成分への寄与が大きい緑色画像を2フレーム毎に更新することができる。このため、3色の色画像を取得する場合でも、色再現性の低下を抑制しつつ、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0020】
本発明の電子機器において、前記フィルター駆動部は、前記色光のうち前記青色光を出射させる頻度を前記赤色光及び前記緑色光を出射させる頻度よりも小さくすることが好ましい。
【0021】
本発明では、青色光の出射頻度が赤色光及び緑色光の出射頻度よりも小さい。つまり、色再現性に対する寄与が小さい青色画像を間引いて各色画像を取得する。これにより、寄与が大きい緑色画像が全体の色画像に対して占める割合を相対的に増大させることができる。これにより色再現性を向上させることができる。
【0022】
本発明の電子機器において、前記フィルター駆動部は、前記赤色光及び前記緑色光をそれぞれ2フレーム、2フレーム、及び1フレーム間隔で、前記青色光を3フレーム間隔で出射させることが好ましい。
【0023】
本発明では、例えば、緑、赤、青、緑、赤、緑、青、緑といった順番で、各色に対応する色画像を取得する。そして、各色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、上述のように、色再現性に対する寄与が小さい青色画像を間引いて、寄与が大きい緑色画像の割合を相対的に増大させることができ、これにより、色再現性を向上させることができる。
また、例えば、赤色光及び緑色光をそれぞれ2フレーム及び1フレーム間隔で、青色光を3フレーム間隔で分光フィルターから出射させる場合(例えば、赤、緑、青、赤、緑、赤、緑、青)、青色画像間に4つの色画像が挟まれて、5フレーム分の時間差が生じる場合がある。このため、青色画像と他の色画像とで撮像位置が異なる、色ずれが発生する場合がある。
これに対して、本発明では、色画像間に挟まれる色画像の数を4つとして、青色画像間の時間差を短くすることができ、上記色ずれの発生を抑制できる。
【0024】
本発明の電子機器において、前記撮像素子は、前記分光フィルターから出射される光の受光量に応じて蓄積された電荷の読み出しを、蓄積電荷のリセットを伴わない非破壊読出し方式で読み出し、前記撮像素子に、所定数の前記色画像が取得される毎に前記蓄積電荷をリセットさせる撮像素子駆動部を備えたことが好ましい。
【0025】
本発明によれば、所定タイミングで蓄積電荷をリセットする。このような構成では、色画像を取得する度に蓄積電荷をリセットしないので、リセットする際に発生するノイズを低減でき、リアルタイム画像の劣化を抑制できる。
【0026】
本発明の電子機器において、前記撮像素子は、前記分光フィルターから出射される光の受光量に応じて蓄積された電荷の読み出しを、蓄積電荷のリセットを伴わない非破壊読出し方式で読み出し、前記撮像素子に、所定の受光量を超えると前記蓄積電荷をリセットさせる撮像素子駆動部を備えたことが好ましい。
【0027】
本発明によれば、所定の受光量を超えた場合に蓄積電荷をリセットする。
ここで、所定の受光量とは、撮像素子が受光量を適性に検出可能な受光量(すなわち、撮像素子の飽和露光量)未満に設定されている。
このような構成では、所定の受光量を超えた場合に蓄積電荷をリセットするので、撮像素子の飽和露光量を超えて、色光が受光されることを抑制できる。
また、色画像を取得する度に蓄積電荷をリセットしないので、リセットする際に発生するノイズを低減でき、リアルタイム画像の劣化を抑制できる。
【0028】
本発明の電子機器の制御方法は、入射光から所定の波長の光を選択的に出射させ、かつ出射させる光の波長を変更可能な分光フィルターと、前記分光フィルターから出射される光の波長を設定するフィルター駆動部と、前記分光フィルターから出射された色光を受光して色画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子によって取得された色画像を用いて合成画像を生成する画像生成部と、を備えた電子機器の制御方法であって、赤色波長域内における所定の赤色光、緑色波長域内の所定の緑色光、及び青色波長域内の所定の青色光の3つの色光のうちの少なくとも前記赤色光及び前記緑色光を、前記分光フィルターから所定の順番で順次出射させ、少なくとも前記赤色光及び前記緑色光を受光して、前記3つの色光に対応する赤色画像、緑色画像、及び青色画像の3つの色画像のうち、少なくとも前記赤色画像、及び前記緑色画像を取得し、取得された少なくとも前記赤色画像及び前記緑色画像を含む最新の色画像を用いて合成画像を生成することを特徴とする。
【0029】
本発明の電子機器の制御方法は、上記発明と同様に、3つの色光のうちの赤色光及び緑色光を含む2以上の色光のいずれかを分光フィルターから出射させ、撮像素子に受光させ、受光した色光に対応する色画像を取得する。すなわち、赤色光に対しては赤色画像、緑色光に対しては緑色画像を取得する。さらに、青色光をも受光する場合は、青色画像も取得する。なお、赤色光及び緑色光の2つの色光のみを受光する場合は、赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成することができる。これら3つの色画像を用いて合成画像を生成する。
従って、上記発明と同様に、合成画像をリアルタイム画像とした場合に、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
また、撮像素子の全画素で受光して1つの色画像を取得することができ、感度や解像度を維持したままリアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
[分光測定装置の構成]
図1は、本発明に係る分光測定装置の概略構成を示すブロック図である。
分光測定装置1は、測定対象Xで反射した測定対象光における各波長の光強度を分析し、分光スペクトルを測定する装置である。この分光測定装置1は、
図1に示すように、光学モジュール10と、表示部20と、光学モジュール10及び表示部20を制御しかつ、当該光学モジュール10から出力された信号を処理する制御部30と、を備えている。
【0032】
分光測定装置1では、測定対象Xの分光測定を実施するにあたり、測定対象Xにおける測定位置を設定するために、分光測定装置1と測定対象Xとの相対的な位置を決める。この際に、光学モジュール10によって撮像された画像をリアルタイムに表示部20に表示させ、当該画像(以下、リアルタイム画像とも称する)を参照しながら、分光測定装置1と測定対象Xとの相対的な位置を決める。
なお、本実施形態では、測定対象Xで反射した測定対象光を測定する例を示すが、測定対象Xとして、例えば液晶パネル等の発光体を用いる場合、当該発光体から発光された光を測定対象光としてもよい。
そして、
【0033】
[光学モジュールの構成]
光学モジュール10は、波長可変干渉フィルター5と、撮像素子11と、検出信号処理部12と、電圧制御部13と、受光制御部14と、を備える。
この光学モジュール10は、測定対象Xで反射された測定対象光を、入射光学系(図示略)を通して、波長可変干渉フィルター5に導き、波長可変干渉フィルター5を透過した光を撮像素子11で受光する。そして、撮像素子11から出力された検出信号は、検出信号処理部12を介して制御部30に出力される。
【0034】
[波長可変干渉フィルターの構成]
図2は、波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。
図3は、
図2のIII
−III線を断面した際の波長可変干渉フィルターの断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、本発明の分光フィルターに相当し、波長可変型のファブリーペローエタロンである。この波長可変干渉フィルター5は、例えば矩形板状の光学部材であり、厚み寸法が例えば500μm程度に形成される固定基板51と、厚み寸法が例えば200μm程度に形成される可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、固定基板51の第一接合部513及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。
【0035】
固定基板51には、固定反射膜54が設けられ、可動基板52には、可動反射膜55が設けられている。これらの固定反射膜54及び可動反射膜55は、ギャップGaを介して対向配置されている。そして、波長可変干渉フィルター5には、このギャップGaの寸法を調整(変更)するのに用いられる静電アクチュエーター56が設けられている。
また、波長可変干渉フィルター5を固定基板51(可動基板52)の基板厚み方向から見た
図2に示すような平面視(以降、フィルター平面視と称する)において、固定基板51及び可動基板52の平面中心点Oは、固定反射膜54及び可動反射膜55の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致するものとする。
【0036】
(固定基板の構成)
固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511及び反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561及び可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
また、固定基板51の頂点C1には、切欠部514が形成されており、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側に、後述する可動電極パッド564Pが露出する。
【0037】
電極配置溝511は、フィルター平面視で、固定基板51の平面中心点Oを中心とした環状に形成されている。反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成されている。この電極配置溝511の溝底面は、固定電極561が配置される電極設置面511Aとなる。また、反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなる。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、固定基板51の外周縁の頂点C1,頂点C2に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
【0038】
電極配置溝511の電極設置面511Aには、静電アクチュエーター56を構成する固定電極561が設けられている。より具体的には、固定電極561は、電極設置面511Aのうち、後述する可動部521の可動電極562に対向する領域に設けられている。また、固定電極561上に、固定電極561及び可動電極562の間の絶縁性を確保するための絶縁膜が積層される構成としてもよい。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁から、頂点C2方向に延出する固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563の延出先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、電圧制御部13に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
【0039】
反射膜設置部512は、上述したように、電極配置溝511と同軸上で、電極配置溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、当該反射膜設置部512の可動基板52に対向する反射膜設置面512Aを備えている。
この反射膜設置部512には、
図3に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO
2、低屈折層をSiO
2とした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO
2やSiO
2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
【0040】
また、固定基板51の光入射面(固定反射膜54が設けられない面)には、固定反射膜54に対応する位置に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0041】
そして、固定基板51の可動基板52に対向する面のうち、エッチングにより、電極配置溝511、反射膜設置部512、及び電極引出溝511Bが形成されない面は、第一接合部513を構成する。この第一接合部513には、第一接合膜531が設けられ、この第一接合膜531が、可動基板52に設けられた第二接合膜532に接合されることで、上述したように、固定基板51及び可動基板52が接合される。
【0042】
(可動基板の構成)
可動基板52は、
図2に示すフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
また、可動基板52には、
図2に示すように、頂点C2に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た際に、固定電極パッド563Pが露出する。
【0043】
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法に形成されている。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び可動反射膜55が設けられている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
【0044】
可動電極562は、ギャップGbを介して固定電極561に対向し、固定電極561と同一形状となる環状に形成されている。この可動電極562は、固定電極561とともに静電アクチュエーター56を構成する。また、可動基板52には、可動電極562の外周縁から可動基板52の頂点C1に向かって延出する可動引出電極564を備えている。この可動引出電極564の延出先端部(可動基板52の頂点C1に位置する部分)は、電圧制御部13に接続される可動電極パッド564Pを構成する。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54とギャップGaを介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
なお、本実施形態では、上述したように、ギャップGbがギャップGaの寸法よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、ギャップGaの寸法が、ギャップGbの寸法よりも大きくなる構成としてもよい。
【0045】
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。この際、可動部521が保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、保持部522が静電引力により固定基板51側に引っ張られた場合でも、可動部521の形状変化が起こらない。従って、可動部521に設けられた可動反射膜55の撓みも生じず、固定反射膜54及び可動反射膜55を常に平行状態に維持することが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
【0046】
基板外周部525は、上述したように、フィルター平面視において保持部522の外側に設けられている。この基板外周部525の固定基板51に対向する面は、第一接合部513に対向する第二接合部523を備えている。そして、この第二接合部523には、第二接合膜532が設けられ、上述したように、第二接合膜532が第一接合膜531に接合されることで、固定基板51及び可動基板52が接合されている。
【0047】
[検出信号処理部、電圧制御部、及び受光制御部の構成]
次に、
図1に戻り、光学モジュール10について説明する。
撮像素子11は、波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光(検出)し、受光量に基づいた検出信号を検出信号処理部12に出力する。
ここで、撮像素子11は、受光量に対応する電荷を各画素のそれぞれで蓄積する。そして、撮像素子11は、受光量に対応する各画素の蓄積電荷を保持したまま検出信号(電圧)として出力する。すなわち、撮像素子11は、受光量に応じた検出信号を、蓄積電荷のリセットを伴わずに読出し可能に構成された非破壊読出し素子である。
検出信号処理部12は、入力された検出信号(アナログ信号)を増幅したのち、デジタル信号に変換して制御部30に出力する。検出信号処理部12は、検出信号を増幅するアンプや、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器等により構成される。
【0048】
電圧制御部13は、制御部30の制御に基づいて、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に対して駆動電圧を印加する。これにより、静電アクチュエーター56の固定電極561及び可動電極562間で静電引力が発生し、可動部521が固定基板51側に変位する。
受光制御部14は、制御部30の指令信号に基づいて、撮像素子11を制御する。具体的には、受光制御部14は、撮像素子11に測定光の検出を開始させる。また、受光制御部14は、撮像素子11に検出信号を出力させる読出し制御を行う。また、受光制御部14は、撮像素子11の各画素に蓄積された電荷を消去するリセット制御を行う。
【0049】
[制御部の構成]
次に、分光測定装置1の制御部30について説明する。
制御部30は、例えばCPUやメモリー等が組み合わされることで構成され、分光測定装置1の全体動作を制御する。この制御部30は、
図1に示すように、フィルター駆動部31と、撮像素子駆動部32と、光量取得部33と、合成画像生成部34と、表示制御部35と、分光測定部36と、記憶部37と、を備えている。
なお、記憶部37は、分光測定装置1を制御するための各種プログラムや、各種データが記憶されている。当該データは、例えば、静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧に対する透過光の波長を示すV−λデータや、測定対象Xを測定する際の測定波長に関する情報(測定開始波長、波長の変更間隔、及び測定終了波長等)である。
【0050】
フィルター駆動部31は、波長可変干渉フィルター5により取り出す光の目的波長を設定し、V−λデータに基づいて、設定した目的波長に対応する駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加させる旨の指令信号を電圧制御部13に出力する。
撮像素子駆動部32は、撮像素子11による測定光の検出開始のタイミングを受光制御部14に指示する指令信号を出力する。また、撮像素子駆動部32は、予め設定された受光時間が経過したタイミングで撮像素子11に検出信号を出力させるための指令信号を受光制御部14に出力する。また、撮像素子駆動部32は、所定のタイミングで、撮像素子11の各画素に蓄積された電荷を消去させるための指令信号を受光制御部14に出力する。
光量取得部33は、撮像素子11からの検出信号を検出信号処理部12を介して取得し、波長可変干渉フィルター5の透過光の受光量を撮像素子11の画素毎に取得することで分光画像を取得する。画素位置と受光量とが対応づけられた分光画像は、検出時の測定波長に関連付けられ、記憶部37に記憶される。
【0051】
合成画像生成部34は、本発明の画像生成部に相当し、青色画像生成部341及び合成部342を備え、R,G,Bの各色光に対応する各色画像を合成して合成画像を生成する。
青色画像生成部341は、測定対象Xからの光のうちのR波長域の所定の赤色光と、G波長域の所定の緑色光とのそれぞれに対応し、光量取得部33によって取得された赤色画像及び緑色画像を用いて、同一の測定対象Xからの光のうちのB波長域の所定の青色光に対応する青色画像を演算により推定し、取得する。
合成部342は、上記赤色画像及び緑色画像と、当該赤色画像及び緑色画像から取得された青色画像とを合成して合成画像を生成する。
【0052】
表示制御部35は、合成画像生成部34によって生成されたリアルタイム画像を表示部20に表示させる。なお、それ以外にも分光測定結果等の各種の画像を表示部20に表示させる。
分光測定部36は、光量取得部33により取得された光量に基づいて、測定対象光のスペクトル特性を測定する。
【0053】
[分光測定処理]
次に、上述したような分光測定装置1による分光測定処理について、図面に基づいて以下に説明する。
分光測定装置1では、測定対象Xの分光測定を実施するにあたり、測定対象Xにおける測定位置を設定するために、光学モジュール10によって撮像された画像をリアルタイムに表示部20に表示させる。ユーザーは、表示部20に表示されたリアルタイム画像を参照しながら、分光測定装置1と測定対象Xとの相対的な位置を決める。
ここで、
図4は、リアルタイム画像として表示させる合成画像を生成する生成手順を模式的に示す図である。
図4に示すように、本実施形態では、R,Gの2つの色光に対応する赤色画像Rと、緑色画像Gとを交互に取得し、連続する分光測定装置1組の赤色画像R及び緑色画像Gを取得した後、これらから青色画像Bを生成する。そして、赤色画像R、緑色画像G、及び青色画像Bを合成して合成画像を生成する。この合成画像、すなわちリアルタイム画像を表示部20に表示する。分光測定装置1では、上述の処理を繰り返し、リアルタイム画像を更新する。
【0054】
図5は、分光測定装置1による分光測定処理の一例を示すフローチャートである。
分光測定装置1は、
図5に示すように、測定開始の指示を受けるとリアルタイム画像を表示するために、R,G各色の色画像を取得する(ステップS1)。
分光測定装置1では、R(例えば610〜760nm)、G(例えば500〜560nm)、B(例えば435〜480nm)の各色のうち、R,Gの2つの波長域に赤色光及び緑色光のそれぞれの波長が予め設定され、記憶部37に記憶されている。
フィルター駆動部31は、電圧制御部13を制御して、目的波長に対応する駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加させる。これにより、目的波長に対応する色光が、波長可変干渉フィルター5を透過し、撮像素子11によって撮像されることで、当該目的波長に対応した色画像が取得される。フィルター駆動部31が、目的波長を変更することで、例えば、赤色光から緑色光に波長可変干渉フィルター5を透過する光が変更され、赤色画像及び緑色画像が順次取得される。
【0055】
次に、撮像素子駆動部32は、撮像素子11に蓄積された電荷をリセットするタイミングか否かを判定する(ステップS2)。
ここで、
図6は、非破壊で電荷を蓄積可能に構成された撮像素子11において、電荷が蓄積されている一つの画素における時間と電圧との変化を模式的に示すグラフである。
本実施形態では、4フレームの色画像を取得する毎に、撮像素子11の電荷をリセットするように、リセットタイミングが設定されている。すなわち、R,Gと連続する2つの色画像を一組の色画像とすると、二組の色画像が取得される度(すなわち、t1×4が経過する度)にリセットタイミングとなり、撮像素子11の電荷をリセットする(ステップS3)。リセットタイミングでない場合は、撮像素子11の電荷をリセットせずに、引き続き蓄積させる。
なお、一組の色画像が取得される度にリセットタイミングか否かを判定するとしたが、各色画像が取得される毎、すなわち1フレーム毎に判定してもよい。
【0056】
次に、青色画像生成部341は、取得された赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成する(ステップS4)。
そして、合成部342は、ステップS4で取得した赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する(ステップS5)。
そして、表示制御部35は、生成した合成画像をリアルタイム画像として表示部20に表示させる(ステップS6)。
【0057】
具体的には、
図4に示すように、赤色画像R0及び緑色画像G1が順次取得された後では、青色画像生成部341は、これら赤色画像R0及び緑色画像G1を用いて青色画像B1を生成する。なお、赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成する方法は、赤色画像及び緑色画像の各画素の輝度値の平均値として、青色画像の各画素に対応する位置の輝度値を取得する方法が例示される。また、赤色画像及び緑色画像の各画素の輝度値に基づいて、青色画像の各画素に対応する位置の輝度値を演算により推定する方法が例示される。
そして、合成部342は、赤色画像R0、緑色画像G1、及び青色画像B1を合成してカラー画像である合成画像(R0G1B1)を生成する。
表示制御部35は、この合成画像(R0G1B1)を表示部20に表示させる。
【0058】
次に、制御部30は、分光測定開始の指示を受けたかを判定する(ステップS7)。
分光測定開始の指示を受けてない場合(ステップS7;No)、ステップS1〜ステップS6を実施して、引き続きリアルタイム画像を表示させる。すなわち、
図4に示すように、赤色画像R0及び緑色画像G1に続き、赤色画像R2及び緑色画像G3を取得する。そして、赤色画像R2及び緑色画像G3から青色画像B3を生成する。このように取得された、赤色画像R2、緑色画像G3及び青色画像B3を合成して合成画像(R2G3B3)を生成し、表示部20に表示させる。
すなわち、分光測定装置1は、分光測定開始の指示を受けるまで(ステップS7;Yes)、赤色画像及び緑色画像を順次取得し、分光測定装置1組の赤色画像及び緑色画像を取得する度に合成画像を生成し、表示部20に表示させるリアルタイム表示処理を実施する。
【0059】
なお、本実施形態では、非破壊で電荷を蓄積可能に構成された撮像素子11を用いている。従って、蓄積電荷をリセットせずに、順次、色画像を取得する場合、波長可変干渉フィルター5のギャップ寸法が安定してからの期間(波長可変干渉フィルター5のギャップ寸法が変動している期間を除外した期間)の各画素の受光量を取得する。
【0060】
分光測定装置1は、分光測定開始の指示を受けると(ステップS7;Yes)、分光測定を実施する(ステップS8)。
フィルター駆動部31は、記憶部37に記憶されたV−λデータから、測定波長に対する駆動電圧を読み出し、当該駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加する旨の指令信号を電圧制御部13に出力する。これにより、静電アクチュエーター56に駆動電圧が印加され、ギャップGaが、測定波長に対応した寸法に設定される。ギャップGaが設定されると、波長可変干渉フィルター5から測定波長の光が透過され、撮像素子11に入射する。光量取得部33は、現在の測定波長における、撮像素子11の各画素における検出信号に基づいて、当該測定波長における各画素の光量を取得する。分光測定装置1は、全測定波長に関する光量を同様に取得する。分光測定部36は、取得した光量に基づいて分光測定結果を取得する。
次に、分光測定部36は、選択された受光データを用いて、分光スペクトルを取得する(ステップS9)。分光測定部36は、各波長について算出した光量を用いて、測定対象の分光スペクトルを算出する。
【0061】
[第一実施形態の作用効果]
分光測定装置1は、3つの色光のうちの赤色光及び緑色光を、波長可変干渉フィルター5から順次出射させ、撮像素子11に受光させ、受光した色光に対応する色画像を取得する。そして、一組の赤色画像及び緑色画像を取得する度に、赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成し、これら3つの色画像を用いて合成画像を生成する。これにより、赤色画像及び緑色画像の2フレーム分の色画像から、3色の色画像を取得できる。
このようにして取得された合成画像をリアルタイム画像とすることにより、2フレーム毎に、1つのリアルタイム画像を生成することができ、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
また、2つの色画像を2フレーム分の時間で取得することができるので、色画像間での撮像位置のずれによる色ずれが発生することを抑制できる。
また、R,G,Bの各色画像を取得する際に、R,G,Bの各色光のうち、青色光(B)は、輝度成分、すなわち色再現性に対する寄与が最も小さく、緑色光(G)は寄与が最も大きい。従って、赤色画像及び緑色画像を取得し、これら色画像から青色画像を推定することにより、色再現性の低下を抑制しつつもリアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0062】
ここで、R,G,Bの各色に対応するフィルターがマトリクス状に配置され、撮像素子11の各画素に1つのフィルターが対応するように配置されたカラーフィルターを、波長可変干渉フィルター5に替えて配置することで、R,G,Bの各色画像を同時に取得してリアルタイム画像のフレームレートを向上させることが考えられる。しかしながら、このような構成では、1つの色画像に対応する画素の数(受光面積)が少なくなるので、色画像のそれぞれについて感度や解像度が低下する。
これに対して、全色画像を取得するのに2フレーム分の時間を要するものの、撮像素子11の全面で色光を受光して色画像を取得することができ、感度や解像度を維持したままリアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0063】
分光測定装置1は、波長可変干渉フィルター5から赤色光及び緑色光の2つの色光を順次出射させることで取得された赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成する。このような構成では、色再現性に対する寄与が最も小さい青色光に対応する青色画像を、赤色画像及び緑色画像から生成することで、色再現性の低下を抑制しつつもリアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、一組の赤色画像及び緑色画像を取得する度に合成画像を生成している。例えば、各色画像を取得する度に合成画像を生成する場合と比べて、合成画像の生成回数を低減でき、制御部30の処理負荷を抑制できる。
さらに、本実施形態では、赤色画像及び緑色画像を順に取得し、緑色画像を取得する度に合成画像を生成する。このような構成では、赤色画像を取得する度に合成画像を生成する場合と比べて、色再現性に対する寄与が比較的大きい緑色画像を取得した直後に合成画像が生成されるので、色再現性の低下を抑制することができる。従って、処理負荷の増大及び色再現性の低下を抑制しつつ、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、非破壊読出し可能な撮像素子11の蓄積電荷を所定タイミング、すなわち、所定数のフレームだけ受光したタイミングでリセットする。このような構成では、色画像を取得する度に蓄積電荷を蓄積しないので、リセットする際に発生するノイズを低減でき、リアルタイム画像の劣化を抑制できる。
【0066】
[第二実施形態]
以下、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態では、赤色画像及び緑色画像を順次取得し、連続して取得される一組の赤色画像及び緑色画像を取得する毎、すなわち2フレーム毎に合成画像を取得したが、本実施形態では、赤色画像及び緑色画像を順次取得し、色画像を取得する毎に合成画像を生成する点で第一実施形態と相違している。
図7は、第二実施形態における、合成画像を生成する生成手順を模式的に示す図である。
【0067】
本実施形態では、
図7に示すように、分光測定装置1は第一実施形態と同様に、赤色画像及び緑色画像を順次取得する。本実施形態では、赤色画像及び緑色画像のうちいずれかの色画像が取得される毎に、青色画像生成部341が、最新の赤色画像及び緑色画像を用いて青色画像を生成し、合成部342が合成画像を生成する。生成された合成画像が表示部20に表示される。
【0068】
具体的には、
図7に示すように、最初の赤色画像R0に続く緑色画像G1が取得された後(
図5のステップS1)、青色画像生成部341は、これら赤色画像R0及び緑色画像G1を用いて青色画像B1を生成する(
図5のステップS4)。そして、合成部342は、赤色画像R0、緑色画像G1、及び青色画像B1を合成してカラー画像である合成画像(R0G1B1)を生成する(
図5のステップS5)。表示制御部35は、この合成画像(R0G1B1)を表示部20に表示させる(
図5のステップS6)。なお、最初の赤色画像R0が取得され、次の緑色画像G1が取得される前では、青色画像を生成せず、合成画像を生成しなくてもよい。
【0069】
次に、最新の緑色画像G1に続く赤色画像R2が取得された後、すなわち、最新の赤色画像が更新されたら、青色画像生成部341は、これら最新の赤色画像R2及び緑色画像G1を用いて青色画像B2を生成し、最新の青色画像を更新する(
図5のステップS4)。そして、合成部342は、最新の赤色画像R2、緑色画像G1、及び青色画像B2を合成してカラー画像である合成画像(R2G1B2)を生成する(
図5のステップS5)。
以下、分光測定装置1は、光測定開始の指示を受けるまで(
図5のステップS7)、赤色画像及び緑色画像を順次取得する度に、最新の3つの色画像を用いて合成画像を生成し表示部20に表示させる。
【0070】
[第二実施形態の作用効果]
第二実施形態では、波長可変干渉フィルター5から2つの色光を順次出射させ、赤色画像及び緑色画像を順次取得し、これら色画像が取得される毎に、最新の赤色画像及び緑色画像から青色画像を生成し、これら3つの色画像から合成画像を生成する。
このような構成では、1つの色画像を取得する度、すなわち1フレーム毎に、リアルタイム画像を更新することができる。これにより、リアルタイム画像のフレームレートを一層向上させることができる。
【0071】
[第三実施形態]
以下、本発明に係る第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態では、赤色画像及び緑色画像を順次取得し、連続して取得される一組の赤色画像及び緑色画像を取得する毎、すなわち2フレーム毎に合成画像を取得したが、本実施形態では、赤色画像、緑色画像及び青色画像を所定の順番で順次取得し、色画像を取得する毎に合成画像を生成する点で第一実施形態と相違している。
【0072】
図8は、第三実施形態における、合成画像を生成する生成手順を模式的に示す図である。
本実施形態では、
図8に示すように、分光測定装置1は、一例として、波長可変干渉フィルター5から赤色光、緑色光及び青色光を順次出射させて、赤色画像(R)、緑色画像(G)及び青色画像(B)の順に、色画像を順次取得する。本実施形態では、3つの色画像のうちいずれかの色画像が取得される毎に、合成部342が、最新の赤色画像、緑色画像、青色画像を用いて合成画像を生成する。生成された合成画像が表示部20に表示される。
なお、第三実施形態での分光測定処理は、青色画像を生成する処理(
図5のステップS4)を実施しない点以外は、第一実施形態における分光測定処理と略同様である。
【0073】
具体的には、
図8に示すように、赤色画像R0、緑色画像G1及び青色画像B2が順次取得された後(
図5のステップS1)、合成部342は、赤色画像R0、緑色画像G1、及び青色画像B2を合成してカラー画像である合成画像(R0G1B2)を生成する(
図5のステップS5)。表示制御部35は、この合成画像(R0G1B2)を表示部20に表示させる(
図5のステップS6)。なお、最初の青色画像B2が取得されるまでは、合成画像を生成しなくてもよい。
【0074】
次に、最新の青色画像B2に続く赤色画像R3が取得され、最新の赤色画像が更新されたら、合成部342は、最新の赤色画像R3、緑色画像G1、及び青色画像B2を合成してカラー画像である合成画像(R3G1B2)を生成する(
図5のステップS5)。
以下、分光測定装置1は、光測定開始の指示を受けるまで(
図5のステップS7)、赤色画像、緑色画像、及び青色画像を順次取得する度に、最新の3つの色画像を用いて合成画像を生成し表示部20に表示させる。
【0075】
なお、本実施形態では、一例として、赤色画像、緑色画像、及び青色画像の順で3つの色画像を取得する場合について説明したが、上記構成に限定されない。例えば、緑色画像、青色画像、及び赤色画像との順番や、緑色画像、赤色画像、及び青色画像との順番等の3つの色画像の順列として取得される任意の順番で、順次、各色画像を取得してもよい。
【0076】
[第三実施形態の作用効果]
本実施形態では、赤色画像、緑色画像及び青色画像を所定の順番で順次取得する。そして、各色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、合成画像を生成するために3つの色画像を取得しているので、色再現性の低下を抑制できる。
また、1つの色画像を取得する度に、リアルタイム画像を更新することができる。これにより、色画像間のずれを抑制できる。
また、赤色画像、緑色画像及び青色画像を所定の順番で順次取得するので、各色画像は、3フレーム毎に取得されることになり、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像間での時間差は最大で3フレーム分とすることができるので、色画像間のずれを抑制できる。
【0077】
[第四実施形態]
以下、本発明に係る第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態では、赤色画像、緑色画像及び青色画像を順次取得したが、本実施形態では、緑色画像を挟むようにして、赤色画像及び青色画像を交互に取得し、緑色画像の取得頻度を増大させている点で第三実施形態と相違している。
【0078】
図9は、第四実施形態における、合成画像を生成する生成手順を模式的に示す図である。
本実施形態では、
図9に示すように、分光測定装置1は、一例として波長可変干渉フィルター5から赤色光、緑色光、青色光及び緑色光を順次出射させる。すなわち、分光測定装置1は、赤色画像(R)、緑色画像(G)、青色画像(B)、及び緑色画像(G)の順に、色画像を順次取得する。そして、3つの色画像のうちいずれかの色画像が取得される毎に、合成部342が、最新の赤色画像、緑色画像、青色画像を用いて合成画像を生成する。生成された合成画像が表示部20に表示される。
【0079】
具体的には、
図9に示すように、赤色画像R0、緑色画像G1及び青色画像B2が順次取得された後(
図5のステップS1)、合成部342は、赤色画像R0、緑色画像G1、及び青色画像B2を合成してカラー画像である合成画像(R0G1B2)を生成する(
図5のステップS5)。表示制御部35は、この合成画像(R0G1B2)を表示部20に表示させる(
図5のステップS6)。
【0080】
次に、最新の青色画像B2に続き、緑色画像G3が取得され、最新の緑色画像が更新されたら、合成部342は、最新の赤色画像R0、緑色画像G3、及び青色画像B2を合成してカラー画像である合成画像(R0G3B2)を生成する。
次に、最新の緑色画像G3に続き、赤色画像R4が取得され、最新の赤色画像が更新されたら、合成部342は、最新の赤色画像R4、緑色画像G3、及び青色画像B2を合成してカラー画像である合成画像(R4G3B2)を生成する。
以下、分光測定装置1は、光測定開始の指示を受けるまで(
図5のステップS7)、赤色画像、緑色画像、及び青色画像を上述の順番で順次取得し、いずれか色画像を取得する度に、最新の3つの色画像を用いて合成画像を生成し表示部20に表示させる。
【0081】
[第四実施形態の作用効果]
本実施形態では、赤色画像、緑色画像、青色画像、及び緑色画像の順番で、順次、色画像を取得する。そして、各色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、赤色画像及び青色画像の間に必ず緑色画像が取得される。すなわち、合成画像(リアルタイム画像)の生成元となる色画像のうち、輝度成分への寄与が大きい緑色画像を2フレーム毎に更新することができる。このため、3色の色画像を取得する場合でも、色再現性の低下を抑制することができる。
【0082】
[第五実施形態]
以下、本発明に係る第五実施形態について、図面に基づいて説明する。
第三実施形態では、赤色画像、緑色画像及び青色画像を順次取得したが、これに対して本実施形態では、赤色画像、緑色画像及び青色画像を順次取得する際に、青色画像の取得回数を減少させる点で第三実施形態と相違している。
【0083】
図10は、第五実施形態における、合成画像を生成する生成手順を模式的に示す図である。
本実施形態では、
図10に示すように、分光測定装置1は、一例として波長可変干渉フィルター5から赤色光、緑色光、青色光、赤色光及び緑色光を順次出射させる。すなわち、分光測定装置1は、赤色画像(R)、緑色画像(G)、青色画像(B)、赤色画像(R)、及び緑色画像(G)の順に、色画像を順次取得する。そして、3つの色画像のうちいずれかの色画像が取得される毎に、合成部342が、最新の赤色画像、緑色画像、青色画像を用いて合成画像を生成する。生成された合成画像が表示部20に表示される。
【0084】
具体的には、
図10に一例を示すように、赤色画像R0、緑色画像G1、青色画像B2、赤色画像R3、緑色画像G4、赤色画像R5、緑色画像G6、青色画像B7、赤色画像R8・・・の順で、色画像が順次取得される。各色画像が取得される度に、合成画像が、(R0G1B2)、(R3G1B2)、(R3G4B2)、(R5G4B2)、(R5G6B2)、(R5G6B7)、(R8G6B7)・・・の順に生成される。
分光測定装置1は、光測定開始の指示を受けるまで(
図5のステップS7)、赤色画像、緑色画像、青色画像、赤色画像、及び緑色画像の順番で順次取得し、いずれか色画像を取得する度に、最新の3つの色画像を用いて合成画像を生成する。
このように、青色画像を取得してから、次の青色画像が取得されるまでの間、赤色画像及び緑色画像が、順次、4フレーム分取得され、青色画像の取得頻度が低減されている。
【0085】
[第五実施形態の作用効果]
本実施形態では、青色光の出射頻度が赤色光及び緑色光の出射頻度よりも小さい。具体的には、波長可変干渉フィルター5から、赤色光、緑色光、青色光、及び緑色光を所定の順番で順次出射させる際に、連続する5つの色光のうち青色光が1つ含まれる順番で出射させ、例えば、赤色画像、緑色画像、青色画像、赤色画像、及び緑色画像の順に、色画像を順次取得する。そして、各色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、上述のように、色再現性に対する寄与が小さい青色画像を間引いて各色画像を取得する。これにより、寄与が大きい緑色画像が全体の色画像に対して占める割合を相対的に増大させることができる。これにより色再現性を向上させることができる。
【0086】
[第六実施形態]
以下、本発明に係る第六実施形態について、図面に基づいて説明する。
第五実施形態では、赤色画像、緑色画像、青色画像、赤色画像、及び緑色画像の順番で色画像を取得したが、これに対して本実施形態では、赤色画像及び緑色画像をそれぞれ2フレーム、2フレーム、及び1フレーム間隔で、青色画像を3フレーム間隔で取得する点で第五実施形態と相違している。
【0087】
図11は、第六実施形態における、合成画像を生成する生成手順を模式的に示す図である。
本実施形態では、
図11に示すように、分光測定装置1は、一例として波長可変干渉フィルター5から、赤色光及び緑色光をそれぞれ2フレーム、2フレーム、及び1フレーム間隔で、青色光を3フレーム間隔で出射させる。より具体的には、波長可変干渉フィルター5から、赤色光、緑色光、赤色光、青色光、緑色光、赤色光、緑色光、及び青色光の順番で各色光を順次出射させる。すなわち、分光測定装置1は、赤色画像(R)、緑色画像(G)、赤色画像(R)、青色画像(B)、緑色画像(G)赤色画像(R)、緑色画像(G)、及び青色画像(B)の順に、色画像を順次取得する。そして、3つの色画像のうちいずれかの色画像が取得される毎に、合成部342が、最新の赤色画像、緑色画像、青色画像を用いて合成画像を生成する。生成された合成画像が表示部20に表示される。
【0088】
具体的には、
図11に示すように、赤色画像R0、緑色画像G1、青色画像B2、赤色画像R3、緑色画像G4、赤色画像R5、青色画像B6、緑色画像G7、赤色画像R8、緑色画像G9・・・の順で、色画像が順次取得される。各色画像が取得される度に、合成画像が、(R0G1B2)、(R3G1B2)、(R3G4B2)、(R5G4B2)、(R5G4B6)、(R5G7B6)、(R8G7B6)、(R8G9B6)・・・の順に生成される。
分光測定装置1は、光測定開始の指示を受けるまで(
図5のステップS7)、赤色画像、緑色画像、青色画像、赤色画像、及び緑色画像の順番で順次取得し、いずれか色画像を取得する度に、最新の3つの色画像を用いて合成画像を生成する。
このように、青色画像を取得してから、次の青色画像が取得されるまでの間、赤色画像及び緑色画像が、順次、4フレーム分取得され、青色画像の取得頻度が低減されている。
【0089】
[第六実施形態の作用効果]
本実施形態では、赤色画像(R)、緑色画像(G)、赤色画像(R)、青色画像(B)、緑色画像(G)、赤色画像(R)、緑色画像(G)、及び青色画像(B)の順に、色画像を順次取得し、色画像のいずれかが取得される毎に、最新の赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成する。
このような構成では、上述のように、色再現性に対する寄与が小さい青色画像を間引いて、寄与が大きい緑色画像の割合を相対的に増大させることができ、これにより、色再現性を向上させることができる。
また、例えば、波長可変干渉フィルター5から、赤色光及び緑色光をそれぞれ2フレーム及び1フレーム間隔で、青色光を3フレーム間隔で出射させる場合(例えば、赤、緑、青、赤、緑、赤、緑、青との順に色画像を取得する場合)、青色画像間に4つの色画像が挟まれて、5フレーム分の時間差が生じる場合がある。このため、時間差が長くなり、青色画像と他の色画像とで撮像位置が異なる、色ずれが発生する場合がある。
これに対して、本実施形態では、青色画像間に挟まれる色画像の数を4つとして、青色画像間の時間差を短くすることができ、上記色ずれの発生を抑制できる。
【0090】
[第七実施形態]
以下、本発明に係る第七実施形態について、図面に基づいて説明する。
第一実施形態では、所定数のフレームを撮像した場合等、所定のタイミングで撮像素子11の蓄積電荷をリセットする構成を例示した。これに対して、第七実施形態では、蓄積電荷量(電圧値)が所定値を超えた場合に、蓄積電荷をリセットする点で相違する。
【0091】
図12は、非破壊で電荷を蓄積可能に構成された撮像素子11において、電荷が蓄積されている一つの画素における時間と電圧との変化を模式的に示すグラフである。
本実施形態では、撮像素子11の各画素について蓄積電荷量に応じた電圧値が光量取得部33によって取得される。撮像素子駆動部32は、この電圧値が所定値Vcを超えたことを検出すると(
図5のステップS2;Yes)、撮像素子11に蓄積電荷をリセットさせる(
図5のステップS3)。
上記所定値は、撮像素子11が受光量を適性に検出可能な受光量(すなわち、撮像素子の飽和量)に対応する最大電圧値Vmax未満に設定されている。
【0092】
[第七実施形態の作用効果]
本実施形態では、撮像素子11の受光量が飽和量を超えて、受光量に対応した正確な電圧値を検出することができないという、不具合を抑制できる。
なお、所定値は、1フレーム分の受光量に対応する電圧値の最大値を予め概算しておき、最大電圧値から上記最大値を引いた値以上に設定されていることが好ましい。これにより、さらに、1フレーム分の画像を取得できるのにも関わらず、蓄積電荷がリセットされることがなく、リセットノイズの抑制及び測定時間の短縮を図ることができる。
【0093】
[第八実施形態]
以下、本発明に係る第八実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記各実施形態では、赤色画像、緑色画像及び青色画像のうち、少なくとも赤色画像及び緑色画像を含む2以上の色画像を所定の順番で順次取得していた。
これに対して、本実施形態では、測定対象Xの変化(例えば、測定対象Xと分光測定装置との相対位置の変更速度等)に応じて、色画像の取得順を変更し、合成画像の生成方法を変更する。
【0094】
図13は、第八実施形態の分光測定装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
分光測定装置1Aは、制御部30Aは、第一実施形態の制御部30に対して、さらにモード設定部38を備えている。
ここで、分光測定装置1Aは、第三及び第四実施形態における合成画像の生成方法の2つの方法を実施可能に構成されている。具体的には、第四実施形態における、赤色画像(R)、緑色画像(G)、青色画像(B)、及び緑色画像(G)の順に色画像を順次取得し、合成画像を生成する第1モードと、第三実施形態における、赤色画像(R)、緑色画像(G)、青色画像(B)の順に、色画像を順次取得し、合成画像を生成する第2モードと、を実施する。
【0095】
モード設定部38は、2つのモードのうち、実行するモードを設定する。具体的には、モード設定部38は、通常は、第1モードに設定する。また、モード設定部38は、測定対象Xが急に変更されたり、測定対象Xと分光測定装置1Aとの相対位置が急に変更されたりして、各色画像間で撮像位置のずれが許容値を超えていると判定された場合に、第2モードに設定する。第2モードでは、赤色画像(R)、緑色画像(G)、青色画像(B)が順次取得されるので、測定対象の変更に対して3つの色画像間の時間差を小さくすることができ、測定対象の変更に対する色画像間の測定位置のずれを抑制できる。
【0096】
モード設定部38において、各色画像間で撮像対象の変更が許容範囲を超えていると判定する際の判定方法は、例えば、順次取得した色画像のうち、最新の色画像と、当該色画像と同色であり、1つ前に取得された色画像との間で、画像の変動量を定量的に評価する。
より具体的には、上記二つの色画像について、各画素での2乗誤差を算出し、算出した2乗誤差の合計値Sを取得し、当該合計値Sが閾値Tより大きい場合に、各色画像間で撮像対象の変更が許容範囲を超えていると判定される。なお、閾値Tは、1フレームの受光時間や、撮像素子11の解像度や、感度等に応じて、色ずれの程度が許容範囲である合成画像が取得されるように設定される。
【0097】
図14は、分光測定装置1Aによる分光測定処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図5に示す、第一実施形態の分光測定装置1における分光測定処理と同様の処理を示すステップは、同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
図14に示すように、処理が開始されると、モード設定部38は、通常モードである第1モードに設定する(ステップS11)。
その後、分光測定装置1Aは、第1モードにて色画像を取得し(ステップS1)、撮像素子11に蓄積された電荷をリセットするタイミングかを判定する(ステップS2)。リセットタイミングの場合は、撮像素子11の電荷をリセットする(ステップS3)。リセットタイミングでない場合は、撮像素子11の電荷をリセットせずに、引き続き蓄積させる。
【0098】
次に、取得した赤色画像、緑色画像及び青色画像を合成して合成画像を生成し(ステップS5)生成した合成画像をリアルタイム画像として表示部20に表示させる(ステップS6)。
次に、制御部30は、分光測定開始の指示を受けたかを判定し、分光測定開始の指示を受けてない場合(ステップS7;No)、引き続きリアルタイム表示処理を実施する
分光測定装置1は、分光測定開始の指示を受けると(ステップS7;Yes)、分光測定を実施して取得した光量に基づいて分光測定結果を取得する(ステップS8)。
次に、分光測定部36は、分光測定結果を用いて分光スペクトルを取得する(ステップS9)。
【0099】
[第八実施形態の作用効果]
本実施形態では、分光測定装置1Aは、各色画像間で撮像対象の変更が許容範囲を超えていることを判定し、合成画像の生成モードを変更することができる。すなわち、撮像対象の変更が許容範囲内である場合は、例えば、色再現性を向上可能な第1モードで合成画像を取得する。一方、撮像対象の変更が許容範囲を超える場合は、色ずれを抑制可能な第2モードで合成画像を取得する。このような構成では、撮像対象の変更量に応じたモードで合成画像を取得することができ、再現性の高いリアルタイム画像を表示させることができる。
【0101】
色再現性を向上可能な第1モードとして、第四実施形態の合成画像の生成方法を例示したが、これに限定されず、例えば第五実施形態や第六実施形態の合成画像の生成方法を採用してもよい。
また、同様に、色ずれを抑制可能な第2モードとして、第三実施形態の合成画像の生成方法を例示したが、これに限定されず、例えば第一実施形態や第二実施形態の合成画像の生成方法を採用してもよい。
【0102】
また、モード設定部38において、各色画像間で撮像対象の変更が許容範囲を超えていると判定する際の判定方法は、上記方法に限定されず、例えば、輝度に対する寄与が高い緑色画像の各画素の光量(又は電圧値)の平均値を求め、最新の緑色画像とその一つ前に取得された緑色画像との間の上記平均値のずれ量Yが、閾値T
Yを超えている場合に、撮像対象の変更が許容範囲を超えていると判定してもよい。
【0103】
さらに、緑色画像全体の平均値を求めて、連続する緑色画像間で比較することに限定されない。例えば、緑色画像を複数の画像領域に分割し、各画像領域で平均値を算出し、連続する緑色画像間の対応する画像領域毎に上記平均値のずれ量を算出した場合の最大値をY
Mとする。この画像領域毎のずれ量の最大値Y
Mが閾値T
YMを超えている場合(Y
M>T
YM)、撮像対象の変更が許容範囲を超えていると判定してもよい。
【0104】
また、最新の色画像と、これと同色で1つ前に取得された色画像との各色画像において、各画素の受光量(電圧値)に基づいてヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラムのレベル(受光量の範囲)毎に、各色画像間の2乗誤差の値X
Hを取得し、2乗誤差の値X
Hが閾値T
Xを超える場合(X
H>T
X)、撮像対象の変更が許容範囲を超えていると判定してもよい。
【0105】
[実施形態の変形]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
例えば、上記各実施形態では、分光測定装置1,1Aの例を示したが、測定対象の成分分析等を実施する分析装置に適用することができる。
また、上記各実施形態では、分光測定装置1,1Aとして、測定結果に基づいて分光スペクトルを取得する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、分光画像を取得する分光カメラ等の各種電子機器にも本発明を適用することができる。すなわち、リアルタイム画像を参照しながら測定値を設定する場合等、合成画像を生成してリアルタイム画像として表示させる際に、リアルタイム画像のフレームレートを向上させることができる。このため、測定対象Xに対して再現性が高く、測定対象Xの移動に対しても追従性が高いリアルタイム画像を表示させることができる。
【0106】
上記各実施形態では、非破壊読出し可能に構成された撮像素子を用いる構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、検出信号を読み出す度に蓄積電荷がリセットされる撮像素子を用いてもよい。この場合、各波長に対して複数の露光時間で測定することにより、各波長に対して複数の露光量を取得する。
【0107】
上記各実施形態において、波長可変干渉フィルター5がパッケージ内に収納された状態で光学モジュール10に組み込まれる構成などとしてもよい。この場合、パッケージ内を真空密閉することで、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に電圧を印加した際の駆動応答性を向上させることができる。
【0108】
上記各実施形態において、波長可変干渉フィルター5は、電圧印加により反射膜54,55間のギャップ寸法を変動させる静電アクチュエーター56を備える構成としたが、これに限定されない。
例えば、固定電極561の代わりに、第一誘電コイルを配置し、可動電極562の代わりに第二誘電コイル又は永久磁石を配置した誘電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。
さらに、静電アクチュエーター56の代わりに圧電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。この場合、例えば保持部522に下部電極層、圧電膜、及び上部電極層を積層配置させ、下部電極層及び上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませることができる。
【0109】
上記各実施形態において、ファブリーペローエタロンとして、固定基板51及び可動基板52が互いに対向する状態で接合され、固定基板51に固定反射膜54が設けられ、可動基板52に可動反射膜55が設けられる波長可変干渉フィルター5を例示したが、これに限らない。
例えば、固定基板51及び可動基板52が接合されておらず、これらの基板間に圧電素子等の反射膜間ギャップを変更するギャップ変更部が設けられる構成などとしてもよい。
また、2つ基板により構成される構成に限られない。例えば、1つの基板上に犠牲層を介して2つの反射膜を積層し、犠牲層をエッチング等により除去してギャップを形成した波長可変干渉フィルターを用いてもよい。
また、分光フィルターとして、例えばAOTF(Acousto Optic Tunable Filter)やLCTF(Liquid Crystal Tunable Filter)が用いられてもよい。ただし、装置の小型化の観点から上記各実施形態のようにファブリーペローフィルターを用いることが好ましい。
【0110】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。