特許第6244947号(P6244947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244947
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 25/00 20060101AFI20171204BHJP
   F26B 23/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F26B25/00 D
   F26B25/00 F
   F26B23/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-15784(P2014-15784)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-141008(P2015-141008A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加茂 吉博
(72)【発明者】
【氏名】岩井 通和
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 啓市
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−120854(JP,U)
【文献】 実開昭58−093793(JP,U)
【文献】 実開昭59−034294(JP,U)
【文献】 特開昭64−033491(JP,A)
【文献】 特開2009−237347(JP,A)
【文献】 特開2007−302028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/00
F26B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯溜室(2),乾燥室(3)及び集穀室(4)を備えた穀物乾燥機において、該乾燥室(3)ではバーナ(5)により生成した乾燥熱風により穀粒を循環乾燥しながら穀粒の水分値を測定する水分計(26)を設け、前記バーナ(5)に供給する燃料を収容する燃料タンク(21)を設け、該燃料タンク(21)には燃料残量を検出する燃料ゲージ(37)を設け、乾燥速度を設定する乾燥速度設定スイッチ(SW7)及び貯溜室(2)の穀粒張込量を検出して設定したりあるいは穀粒張込量を人為的に設定する張込量設定手段(SW9)を設け、乾燥速度設定スイッチ(SW7)で選択設定された乾燥速度になるようにバーナ(5)を燃焼して乾燥室(3)に乾燥熱風を供給し循環運転をしながら乾燥目標水分値になるまで順次乾燥処理するコントローラ(41)を設け、該コントローラ(41)は、乾燥作業開始時に前記燃料タンク(21)の燃料残量を把握し、
所定張込穀粒量と、所定外気温度と、所定水分値から乾燥に要する基準乾燥燃料消費量を予め記憶し、
該基準乾燥燃料消費量に基づき、乾燥速度設定スイッチ(SW7)で選択設定された乾燥速度と、張込穀粒量と、検出外気温度と、張込穀粒水分値から乾燥目標水分値までの乾燥に要する乾燥消費燃料を算出し、次いで、乾燥作業終了時における燃料タンク(21)の燃料残量を算出し操作盤(31)の表示装置(32)に表示することを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項2】
請求項1の発明において、前記コントローラ(41)は、乾燥開始水分値から乾燥目標水分値に向かって検出水分値が所定水分値減少する毎に燃料消費量を前記計算式により算出あるいは当該乾燥作業の燃料消費量により前記計算式により補正しながら算出し、前記表示装置(32)に順次表示することを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の発明において、前記コントローラ(41)は、乾燥開始水分値から乾燥目標水分値に向かって検出水分値が所定水分値減少する毎に燃料消費量を前記計算式により算出あるいは当該乾燥作業の燃料消費量により補正しながら算出し前記表示装置(32)に表示し、乾燥目標水分値に到達するまでの所定水分値減少毎の燃料消費量を表示装置(32)に順次表示することを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項4】
請求項3の発明において、前記コントローラ(41)は、検出水分値が乾燥目標水分値に近い設定水分値に到達した後に検出水分値が設定水分値減少する毎に当該乾燥燃料消費量で補正しながら前記計算式により燃料消費量を算出し前記表示装置(32)に表示し、乾燥目標水分値に到達するまでの設定水分値減少毎の燃料消費量を表示装置(32)に順次表示することを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4記載の発明のいずれかの発明において、前記燃料タンク(21)の燃料ゲージ(37)を複数のゲージブロック(37a〜37d)に区分して液晶表示し、該ゲージブロック(37a〜37d)に入力操作部(37ass〜37ds)をそれぞれ設け、オペレータが該入力操作部(37ass〜37ds)を押圧することにより前記コントローラ(41)に燃料残量を入力し、コントローラ(41)は、燃料残量を複数のゲージブロック(37a〜37d)に区分した状態で前記表示装置(32)に図形表示し、表示装置(32)に燃料残量を図形表示するにあたり燃料減少量に応じてゲージブロック(37a〜37d)を無段階に色彩変更しながら減少表示することを特徴とする穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯溜室に張り込まれた穀粒を循環しつつ乾燥室で順次熱風乾燥する穀物乾燥機の燃料表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀物乾燥機において、燃料残量センサからの検出信号を受けて燃料タンクの燃料残量を読み込む燃料残量検出手段と、この燃料残量検出手段の検出結果により燃料の減少状態を算出しながら乾燥行程における時間当りの燃料消費量を算出する単位消費量算出手段と、これらの燃料残量値と単位消費量とから残りの乾燥運転時間を算出する運転時間算出手段と、この運転時間を表示する表示手段とを備える制御装置を設けたものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−84922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記先行技術の穀物乾燥機では乾燥運転の実行中に当該乾燥運転における所定時間当りの単位燃料消費量を算出し、該単位燃料消費量と燃料タンクの燃料残量とから乾燥運転可能時間を算出し、乾燥運転開始から所定時間後に乾燥運転可能時間を表示するものである。
【0005】
従って、オペレータは乾燥運転開始時には燃料残量の乾燥運転可能時間を把握することはできず、乾燥運転開始から所定時間経過後に再度穀物乾燥機に戻り運転可能時間を確認しなければならず不便であった。
【0006】
そこで、本発明はこのような不便を解決し、乾燥運転開始時において予め備えている基準乾燥燃料消費量を基にして張込穀粒の水分値から仕上げ水分値までの乾燥運転に要する燃料消費量を予測表示し、乾燥運転が進行するに伴って当該乾燥運転の燃料消費量を加味しながら燃料消費量の予測を適正化し、乾燥運転中の燃料切れを防止しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、
貯溜室(2),乾燥室(3)及び集穀室(4)を備えた穀物乾燥機において、該乾燥室(3)ではバーナ(5)により生成した乾燥熱風により穀粒を循環乾燥しながら穀粒の水分値を測定する水分計(26)を設け、前記バーナ(5)に供給する燃料を収容する燃料タンク(21)を設け、該燃料タンク(21)には燃料残量を検出する燃料ゲージ(37)を設け、乾燥速度を設定する乾燥速度設定スイッチ(SW7)及び貯溜室(2)の穀粒張込量を検出して設定したりあるいは穀粒張込量を人為的に設定する張込量設定手段(SW9)を設け、乾燥速度設定スイッチ(SW7)で選択設定された乾燥速度になるようにバーナ(5)を燃焼して乾燥室(3)に乾燥熱風を供給し循環運転をしながら乾燥目標水分値になるまで順次乾燥処理するコントローラ(41)を設け、該コントローラ(41)は、乾燥作業開始時に前記燃料タンク(21)の燃料残量を把握し、
所定張込穀粒量と、所定外気温度と、所定水分値から乾燥に要する基準乾燥燃料消費量を予め記憶し、
該基準乾燥燃料消費量に基づき、乾燥速度設定スイッチ(SW7)で選択設定された乾燥速度と、張込穀粒量と、検出外気温度と、張込穀粒水分値から乾燥目標水分値までの乾燥に要する乾燥消費燃料を算出し、次いで、乾燥作業終了時における燃料タンク(21)の燃料残量を算出し操作盤(31)の表示装置(32)に表示することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記コントローラ(41)は、乾燥開始水分値から乾燥目標水分値に向かって検出水分値が所定水分値減少する毎に燃料消費量を前記計算式により算出あるいは当該乾燥作業の燃料消費量により前記計算式により補正しながら算出し、前記表示装置(32)に順次表示することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記コントローラ(41)は、乾燥開始水分値から乾燥目標水分値に向かって検出水分値が所定水分値減少する毎に燃料消費量を前記計算式により算出あるいは当該乾燥作業の燃料消費量により補正しながら算出し前記表示装置(32)に表示し、乾燥目標水分値に到達するまでの所定水分値減少毎の燃料消費量を表示装置(32)に順次表示することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記コントローラ(41)は、検出水分値が乾燥目標水分値に近い設定水分値に到達した後に検出水分値が設定水分値減少する毎に当該乾燥燃料消費量で補正しながら前記計算式により燃料消費量を算出し前記表示装置(32)に表示し、乾燥目標水分値に到達するまでの設定水分値減少毎の燃料消費量を表示装置(32)に順次表示することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4記載の発明のいずれかの発明において、前記燃料タンク(21)の燃料ゲージ(37)を複数のゲージブロック(37a〜37d)に区分して液晶表示し、該ゲージブロック(37a〜37d)に入力操作部(37ass〜37ds)をそれぞれ設け、オペレータが該入力操作部(37ass〜37ds)を押圧することにより前記コントローラ(41)に燃料残量を入力し、コントローラ(41)は、燃料残量を複数のゲージブロック(37a〜37d)に区分した状態で前記表示装置(32)に図形表示し、表示装置(32)に燃料残量を図形表示するにあたり燃料減少量に応じてゲージブロック(37a〜37d)を無段階に色彩変更しながら減少表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、
貯溜室(2),乾燥室(3)及び集穀室(4)を備えた穀物乾燥機において、該乾燥室(3)ではバーナ(5)により生成した乾燥熱風により穀粒を循環乾燥しながら穀粒の水分値を測定する水分計(26)を設け、前記バーナ(5)に供給する燃料を収容する燃料タンク(21)を設け、該燃料タンク(21)には燃料残量を検出する燃料ゲージ(37)を設け、乾燥速度を設定する乾燥速度設定スイッチ(SW7)及び貯溜室(2)の穀粒張込量を検出して設定したりあるいは穀粒張込量を人為的に設定する張込量設定手段(SW9)を設け、乾燥速度設定スイッチ(SW7)で選択設定された乾燥速度になるようにバーナ(5)を燃焼して乾燥室(3)に乾燥熱風を供給し循環運転をしながら乾燥目標水分値になるまで順次乾燥処理するコントローラ(41)を設け、該コントローラ(41)は、乾燥作業開始時に前記燃料タンク(21)の燃料残量を把握し、
所定張込穀粒量と、所定外気温度と、所定水分値から乾燥に要する基準乾燥燃料消費量を予め記憶し、
該基準乾燥燃料消費量に基づき、乾燥速度設定スイッチ(SW7)で選択設定された乾燥速度と、張込穀粒量と、検出外気温度と、張込穀粒水分値から乾燥目標水分値までの乾燥に要する乾燥消費燃料を算出し、次いで、乾燥作業終了時における燃料タンク(21)の燃料残量を算出し操作盤(31)の表示装置(32)に表示するので、乾燥作業開始時において当該設定乾燥速度,張込量に対応する燃料消費量を算出し、乾燥作業終了時の燃料残量を表示することにより、オペレータは乾燥作業開始時に当該設定乾燥速度に対応した燃料残量を把握し、燃料タンク(21)への燃料補充を適切なタイミングで行なうことができる。
【0013】
請求項2の発明によると、請求項1記載の発明の前記効果に加えて、前記コントローラ(41)は、乾燥開始水分値から乾燥目標水分値に向かって検出水分値が所定水分値減少する毎に燃料消費量を前記計算式により算出あるいは当該乾燥作業の燃料消費量により前記計算式により補正しながら算出し、前記表示装置(32)に順次表示するので、乾燥運転における所定水分値乾燥する毎の燃料消費状態の推移を容易に把握することができる。
【0014】
請求項3の発明によると、請求項1又は請求項2記載の発明の前記効果に加えて、前記コントローラ(41)は、乾燥開始水分値から乾燥目標水分値に向かって検出水分値が所定水分値減少する毎に燃料消費量を前記計算式により算出あるいは当該乾燥作業の燃料消費量により補正しながら算出し前記表示装置(32)に表示し、乾燥目標水分値に到達するまでの所定水分値減少毎の燃料消費量を表示装置(32)に順次表示するので、オペレータは当該乾燥運転における所定水分値乾燥する毎の燃料消費状態の推移を把握し、燃料タンク(21)への燃料の追加の要否を的確に判断することができる。
【0015】
請求項4の発明によると、請求項3発明の前記効果に加えて、前記コントローラ(41)は、検出水分値が乾燥目標水分値に近い設定水分値に到達した後に検出水分値が設定水分値減少する毎に当該乾燥燃料消費量で補正しながら前記計算式により燃料消費量を算出し前記表示装置(32)に表示し、乾燥目標水分値に到達するまでの設定水分値減少毎の燃料消費量を表示装置(32)に順次表示するので、当該乾燥作業における乾燥運転開始から乾燥目標水分値近くまでの燃料消費量データを利用し乾燥運転終了までの燃料消費量を算出し燃料消費量の予測精度を高め、燃料タンク(21)への燃料の追加の要否を的確に把握することができる。
【0016】
請求項5の発明によると、請求項1乃至請求項4記載のいずれかの発明の前記効果に加えて、前記燃料タンク(21)の燃料ゲージ(37)を複数のゲージブロック(37a〜37d)に区分して液晶表示し、該ゲージブロック(37a〜37d)に入力操作部(37ass〜37ds)をそれぞれ設け、オペレータが該入力操作部(37ass〜37ds)を押圧することにより前記コントローラ(41)に燃料残量を入力し、コントローラ(41)は、燃料残量を複数のゲージブロック(37a〜37d)に区分した状態で前記表示装置(32)に図形表示し、表示装置(32)に燃料残量を図形表示するにあたり燃料減少量に応じてゲージブロック(37a〜37d)を無段階に色彩変更しながら減少表示するので、燃料タンク(21)の燃料残量を簡単な操作で操作盤(31)の表示装置(32)に表示することができ、夜間で乾燥施設が暗いときにも操作盤(31)の明るい表示装置(32)を利用して燃料タンク(21)の燃料残量を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】穀物乾燥機の切断正面図。
図2】穀物乾燥機の切断側面図。
図3】操作盤の正面図。
図4】制御ブロック図。
図5】燃料タンクの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下図面を参照しつつ説明する。
まず、図1及び図2に基づきこの発明を具備する循環式穀物乾燥機の全体構成について説明する。
【0019】
1は乾燥機の機枠で、この機枠1内には貯溜室2、乾燥室3及び集穀室4を上方から下方に順次配設している。乾燥室3には穀粒流下通路9,9を複数形成し、左右穀粒流下通路9,9の前後一側にはバーナ5のバーナ風胴に通じる熱風室6,6を配設し、穀粒流下通路9,9の前後他側には吸引排気ファン7のファン胴に通じる排風室8,8を配設し、穀粒流下通路9,9の下端部にそれぞれ繰出バルブ10,10を設けている。
【0020】
また、排風室4における左右穀粒流下通路9,9の中間部に位置する中央排風室8には、遠赤外線放射体23を配設している。この遠赤外線放射体23は前後方向に沿う左右側板及び底板から構成されていて遠赤外線放射塗料を塗布したもので、前後方向一端をバーナ5に対向させて、集穀室4の左右流下板上を流下する穀粒に遠赤外線放射熱を浴びせ穀粒の乾燥を促進させるものである。また、この遠赤外線放射体23の放射熱は、機体の前側及び後側から導入された外気と混合されながら上方の穀粒流下通路9,9を経て排風室8に流れる。また、前記繰出バルブ10の往復揺動により、穀粒を所定量ずつ繰り出しながら流下させ、穀粒に熱風を浴びせて乾燥させる。
【0021】
前記機枠1の外側には集穀室4の前後一側に集めた穀粒を貯溜室2に揚穀還元する昇降機11を立設している。この昇降機11内の上下の駆動プーリ12a及び従動プーリ12bにバケットベルト13を巻き掛け、集穀室4の底部に設ける下部搬送装置14により乾燥穀粒を前後一側に移送し、昇降機11により揚穀するように構成している。この昇降機11で揚穀された穀粒を上部搬送装置16の始端側に供給し、更に上部搬送装置16により横送して貯溜室2の上部中央部に配設する回転拡散板18に送り、貯溜室2内に拡散落下させる。
【0022】
前記昇降機11,下部搬送装置14,上部搬送装置16から構成されている穀粒循環系は、昇降機11の機枠上部に配設している昇降機モータ(図示省略)により駆動される。また、昇降機11における上下中途部の壁面には水分計26を設け、バケットベルト13の上昇行程と下降行程の間隔部に設けた取込み口(図示省略)からサンプル粒を取り込み、水分値を測定する。この水分計26は、例えば一対の電極ロール間でサンプル粒を1粒づつ圧縮粉砕し、その抵抗値を電気的に処理して一粒づつの水分値に換算する公知のものである。
【0023】
次に、図3により乾燥機の操作盤31について説明する。
操作盤31の盤面の下部中央部に、穀粒の張り込みを開始する張込スイッチSW1,通風乾燥スイッチSW2,バーナ5の燃焼を開始し繰出バルブ10を駆動し乾燥作業を開始する乾燥スイッチSW3,貯溜室2内の穀粒を機外に排出する排出スイッチSW4,機体の各種駆動を停止する停止スイッチSW5を設けている。
【0024】
盤面の下部右側部には乾燥穀粒種類を選択設定する穀粒種類設定スイッチSW6,乾燥速度設定スイッチSW7を設け、盤面の上部右側には設定項目表示装置34,仕上げ水分値を設定する水分設定スイッチSW8,張込量設定スイッチSW9,乾燥時間などを増加する増加スイッチSW10,乾燥時間などを減少する減少スイッチSW11,乾燥休止時間設定スイッチSW12,タイマスイッチSW13を設けている。
【0025】
盤面の上部中央には、液晶式の表示装置32,緊急停止スイッチSW14,熱風温度表示ランプL1,検出水分値表示ランプL2,乾燥残時間表示ランプL3を設け、盤面の左側部には水分バラツキ状態や,未熟米情報を表示するモニタ表示器33を設けている。
【0026】
図2に示すように、バーナ風胴25の上方にコントロールボックス45を設け、コントロールボックス45にはコントローラ41を設けている。コントローラ41の入力側には、前記スイッチSW1〜SW14や、外気温度センサSE1,熱風温度センサ(図示省略),排風温度センサ(図示省略),水分計電極温度センサ(図示省略),水分計26,張込量設定スイッチSW9,張込量検出装置27,昇降機モータ(図示省略)の負荷電流値を検出する負荷電流センサ(図示省略)等を接続している。
【0027】
また、コントローラ41の出力側には、出力回路,駆動回路を経由して吸引排気ファン(図示省略),昇降機モータ(図示省略),繰出バルブモータ(図示省略),バーナ駆動手段(図示省略),水分計駆動手段(図示省略)を接続している。また、出力回路を経由して各種表示項目を液晶表示する表示装置32,設定項目表示装置34などを接続している。
【0028】
なお、コントローラ41のバーナ駆動信号は、燃料供給用電磁ポンプ(図示省略)のON/OFF信号及び大小供給信号、バーナ気化筒モータ(図示省略)の回転数指令信号、バーナファンモータ(図示省略)の回転数指令信号、イグナイタ(図示省略)の通電信号等があり、燃料供給量、燃焼空気供給量及び気化筒回転数を同調制御し、液体燃料を気化燃焼させる。
【0029】
また、乾燥作業中には、予め設定記憶されている熱風設定温度と熱風温度センサ(図示省略)の検出熱風温度とを比較し、その差が小になるように周期的にオンされる燃料供給用電磁ポンプ(図示省略)のオンタイム信号を長短に変更制御しながら乾燥作業をし、穀粒水分が目標水分値に到達すると乾燥作業を停止する。
次に、穀物乾燥機の通常乾燥制御について説明する。
【0030】
張込ホッパ(図示省略)から昇降機11を利用して貯溜室2に所定量の穀粒を張り込む。次いで、穀粒種類,乾燥仕上げ水分値,乾燥速度,自動検出あるいは手動設定した穀粒張込量に応じた燃焼量にてバーナ5を燃焼制御して乾燥作業を行なう。貯溜室2内の穀粒は乾燥室3の穀粒流下通路9,9を流下中に熱風を浴びながら乾燥され集穀室4に流下する。乾燥された穀粒は下部搬送装置14で一側に移送され、次いで昇降機11により揚穀され、上部搬送装置16に引き継がれ再び貯溜室2に循環移送され、暫くの間調質作用を受ける。このような行程を繰り返しながら水分計26による測定水分値が仕上水分値に到達すると、乾燥作業は終了する。
【0031】
次に、燃料タンク21の燃料ゲージ37及び燃料残量の表示構成について説明する。
燃料タンク21から燃料ホース22を経由してバーナ5に燃料を供給し、燃料タンク21には燃料残量を検出表示する燃料ゲージ37を備え、燃料ゲージ37の検出燃料残量をコントローラ41に入力するようにしている。
【0032】
コントローラ41の燃料表示手段に基づき乾燥作業開始時には燃料タンク21の燃料残量を把握し、予め実験データに裏付けされた所定穀粒量,所定外気温度,所定張込量の所定水分値の乾燥に要する基準乾燥燃料消費量を記憶していて、所定の計算式により該基準乾燥燃料消費量に基づき当該設定乾燥速度,張込穀粒量、検出外気温度に応じた張込水分値から乾燥目標水分値までの乾燥に要する乾燥消費燃料を算出し、次いで、乾燥作業終了時における燃料タンク21の燃料残量を算出し操作盤31の表示装置32に表示する。そして、燃料切れの可能性がある場合には、操作盤31の表示装置32にその旨表示警報するようにしている。
【0033】
また、コントローラ41の燃料表示手段には、乾燥目標水分値に到達すると、当該乾燥作業における乾燥作業開始水分値から乾燥目標水分値までの全乾燥燃料消費量を算出し表示装置32に表示するようにしている。
【0034】
前記構成によると、乾燥作業開始時に複数の乾燥速度のなかから当該設定乾燥速度に応じた燃料消費量を算出し乾燥作業終了時の燃料残量を表示するので、オペレータは乾燥作業開始時に当該設定乾燥速度,張込量における燃料残量を把握でき、燃料タンク21への燃料補充を適切なタイミングで行なうことができる。
【0035】
また、前記コントローラ41の燃料表示手段には、乾燥運転中に乾燥目標水分値に向かって検出水分値が例えば1%減少する毎に単位燃料消費量を算出し表示装置32に順次表示し、乾燥運転時の燃料消費状態の推移を容易に把握できるようにしている。
【0036】
また、コントローラ41の燃料表示手段には、乾燥運転中に乾燥目標水分値に向かって検出水分値が例えば1%減少する毎に単位燃料消費量を算出し、乾燥目標水分値までの単位燃料消費量を表示装置32に順次表示し、オペレータが当該乾燥運転における燃料消費状態の推移から乾燥進行に伴う燃料消費量を把握し、燃料タンク21への燃料の追加の要否を的確に把握できるようにしている。
【0037】
また、コントローラ41の燃料表示手段には、検出水分値が乾燥目標水分値(例えば15%)に近い所定の設定水分値(例えば18%)に到達した以後に検出水分値が例えば1%減少する毎の単位燃料消費量を加味して前記計算式による前記基準乾燥燃料消費量を修正しながら燃料消費量を算出し、乾燥目標水分値までの各基準消費燃料を表示装置32に順次表示するようにしてもよい。
【0038】
前記構成によると、当該乾燥作業における乾燥運転開始から乾燥目標水分値近くまでの燃料消費量データを利用して乾燥運転終了までの消費燃料を算出するので、燃料残量の予測精度を高め燃料タンク21への燃料の追加の要否を的確に把握することができる。
【0039】
また、表示装置32に燃料消費量を算出し表示するにあたり、オペレータの設定可能な乾燥速度、すなわち、高速乾燥,迅速乾燥,普通乾燥,低速乾燥における予測乾燥時間,所定水分値減少に要する基準燃料消費量,乾燥作業終了までの必要燃料消費量を合わせて表示するようにすると、オペレータの省エネ乾燥運転の選択の利便性を高めることができる。
【0040】
また、図5に示すように、燃料タンク21の燃料ゲージ37を例えば4段階のゲージブロック37a〜37dに区分し液晶表示するようにし、ゲージブロック37a〜37dに入力操作部37as〜37dsをそれぞれ設けている。
【0041】
図5(A)に示すように、オペレータが指でゲージブロック37a〜37dの入力操作部37as〜37dsを押圧すると、例えば無線通信により燃料残量がコントローラ41に入力され、コントローラ41の燃料表示手段に基づき操作盤31の表示装置32にゲージブロックと同様に燃料残量を図形表示できるようにしている。
【0042】
また、燃料消費により燃料が減少したときには、図5(B)に示すように、燃料減少状態を各ゲージブロックに減少量に応じて無段階に色彩変更しながら減少表示し、各ゲージブロックの表示を一括変更表示しないので正確な燃料残量を表示するようにしている。
【0043】
前記構成によると、燃料ゲージ37の燃料残量を操作盤31の表示装置32に簡単に入力表示することができ、夜間で乾燥施設が暗いときにも操作盤31の表示装置32の燃料残量表示から燃料残量を容易に把握することができる。
【0044】
また、燃料タンク21への燃料給油時にはコントローラ41の燃料表示手段にはリセット機能を設けている。しかして、燃料タンク21に燃料が給油された場合には該リセット機能が作動し、タンク全体容量から給油された積算燃料供給量を差し引いた実際の消費燃量を算出し、これに基づき給油後の乾燥運転の燃料消費量を順次算出し、乾燥作業開始から乾燥作業終了までの燃料消費量を実際の燃料消費量に合わせて算出表示するようにしている。
【0045】
また、前記コントローラ41には穀物乾燥機で発生したエラーを記録する機能を備えている。不揮発性のメモリーに蓄積するエラー記録については、発生したエラーの種類を過去の記録エラー種類と照合し、同じ種類のエラーでない場合には新規に発生したエラー種類として記憶し、発生したエラーを過去の記録エラーと同じ種類のエラーの場合には、過去に発生したエラーの末尾に回数を追加して記憶するようにし、メモリー負荷を少なくし多数の不具合データを記憶し全容を把握するようにしている。
【符号の説明】
【0046】
1 穀物乾燥機の機枠
2 貯溜室
3 乾燥室
4 集穀室
5 バーナ
21 燃料タンク
26 水分計
31 操作盤
32 表示装置
37 燃料ゲージ
37a〜37d ゲージブロック
37as〜37ds ゲージブロックの入力操作部
41 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5