(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
記録ヘッドから液滴を吐出することで画像が記録可能な記録媒体の搬送路に対峙され、前記記録媒体上の液滴に含まれる水分を蒸発させる熱源となるレーザ光を照射する照射部と、
予め定めた透過率で前記レーザ光を透過すると共に、前記蒸発した水分が前記照射部へ至ることを制限する制限部材と、
前記制限部材を加熱して、当該制限部材への結露を防止する結露防止手段と、
を有する乾燥装置。
前記結露防止手段が、前記制限部材の表面に設けられ、前記レーザ光からの熱エネルギーの一部を受熱して、結露を防止するレーザ光吸収膜である請求項1又は請求項2記載の乾燥装置。
前記制限部材には、厚さが前記レーザ光の1/4波長又はその整数倍とされた誘電体膜による反射の防止が施されており、当該誘電体膜に金属イオンを添加することで、当該誘電体膜が前記レーザ光吸収膜を兼用する請求項5又は請求項6記載の乾燥装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本構成を有しない場合に比べて、記録媒体上の液滴から蒸発した水分を効率よく乾燥空間から除去することができる乾燥装置、画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、記録ヘッドから液滴を吐出することで画像が記録可能な記録媒体の搬送路に対峙され、前記記録媒体上の液滴に含まれる水分を蒸発させる熱源となるレーザ光を照射する照射部と、予め定めた透過率で前記レーザ光を透過すると共に、前記蒸発した水分が前記照射部へ至ることを制限する制限部材と、前記制限部材を加熱して、当該制限部材への結露を防止する結露防止手段と、を有している。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記制限部材が、前記照射部と前記搬送路とを仕切る平板材であり、前記レーザ光が前記平板材の一方の面から他方の面へ透過して前記記録媒体に照射されると共に、前記記録媒体から蒸発した水分を含む気体を前記他方の面で受け止める。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記結露防止手段が、前記制限部材の表面に設けられ、通電時の電気抵抗に基づくエネルギー変換により加熱されることで、結露を防止する導電性膜である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記導電性膜の表層側には、当該導電性膜を保護するための誘電体膜が設けられ、前記導電性膜と前記誘電体膜の合計の厚さが前記レーザ光の1/4波長又はその整数倍とされることで、反射を防止する機能を兼ねる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記結露防止手段が、前記制限部材の表面に設けられ、前記レーザ光からの熱エネルギーの一部を受熱して、結露を防止するレーザ光吸収膜である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記記録ヘッドによる前記液滴の吐出量を決定するための画像データに基づいて、前記レーザ光の照射による熱エネルギーを制御する制御手段をさらに有し、前記レーザ光吸収膜が、画像データに基づいて定まる記録媒体上の水分量を蒸発させ、かつ前記制限部材への結露を防止するのに必要十分な熱エネルギーで出力される。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記制限部材には、厚さが前記レーザ光の1/4波長又はその整数倍とされた誘電体膜による反射の防止が施されており、当該誘電体膜に金属イオンを添加することで、当該誘電体膜が前記レーザ光吸収膜を兼用する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の乾燥装置と、前記乾燥装置によって、前記記録媒体から蒸発した水分を含む気体を強制的に吸引する吸引手段と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、記録媒体上の液滴から蒸発した水分を効率よく乾燥空間から除去することができる
請求項2に記載の発明によれば、物理的に、蒸発した水分が照射部に到達することを防止することができ、当該照射部を保護することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、制限部材を通電により加熱することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、制限部材を多機能化することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、制限部材をレーザ光の照射に連動して加熱することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、最適な乾燥状態とすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、誘電体膜を有効利用することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、記録媒体上の液滴から蒸発した水分を効率よく乾燥空間から除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
図1には、第1の実施の形態に係る画像形成装置としての高速水性インクジェット型画像記録装置10(以下、単に「画像記録装置10」という)の概略が示されている。
【0025】
第1の実施の形態の画像記録装置10では、水性のインクを用いて、所謂インクジェット方式で、インクを記録媒体12へ吐出して画像を記録(印字)し、少なくともインクが記録媒体12に染み込む前に乾燥させるようにしている。
【0026】
図1に示される如く、記録媒体12は、予め給紙部14の給紙ローラ16に予め層状に巻き取られ装填されている。
【0027】
給紙ローラ16に巻き取られた記録媒体12は、当該給紙ローラ16の最外層から引き出され、複数の巻掛ローラ18に巻欠けられ巻き掛けられて、収容部20の巻取ローラ22に巻き取られている。巻取ローラ22には、モータ(図示省略)が取り付けられ、記録媒体12を層状に巻き取るように巻取ローラ22を回転させる。すなわち、巻取ローラ22は駆動ローラであり、その他のローラは従動ローラとなる。
【0028】
なお、給紙ローラ16、或いは巻掛ローラ18にモータを取り付けることで駆動ローラとし、それぞれのローラ間の記録媒体12のテンションを調整しながら、巻取ローラ22に巻き取るようにしてもよい。この場合、記録媒体12の弛みを検出する位置センサやテンションセンサを設け、各フィードバック制御によって駆動ローラの回転速度(回転方向を含む)を制御するようにしてもよい。
【0029】
図1に示される如く、一対の巻掛ローラ18間では、記録媒体12が、水平かつ直線的に搬送される領域が設けられ、当該領域は画像処理領域となっている。
【0030】
画像処理領域には、上流側から順に、画像形成部24、乾燥部26が配置されている。
【0031】
画像形成部24には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色のインクジェットヘッド28C、28M、28Y、28Kが配列されている。以下、総称する場合は、インクジェットヘッド28という。
【0032】
インクジェットヘッド28では、例えば、インクカセットに貯留されているインクを持ち込み、圧力制御、超音波制御等により、ノズルから液滴を、ノズルに対峙する記録媒体12に向けて吐出するようになっている。
【0033】
第1の実施の形態における画像記録装置10では、ノズルが記録媒体12の主走査方向全域に配列されており、各色のインクジェットヘッド28が、記録媒体12の副走査方向に配列され、記録媒体12の搬送速度に同期して、各インクジェットヘッド28のノズルから画像データに応じたインク量の液滴が吐出される。
【0034】
なお、この配列構成は、限定されるものではなく、インクジェットヘッド28を主走査方向に移動させる構成であってもよい。
【0035】
画像形成部24の下流側には、乾燥部26が設けられ、前記画像形成部24で画像形成された記録媒体12が対峙するようになっている。
【0036】
ここで、記録媒体12には、液滴により画像形成されているが、ノズルから液滴を受けた直後であり、未乾燥状態となっている。
【0037】
乾燥部26では、当該未乾燥の液滴に含まれる水分が記録媒体12に吸収される前に蒸発させることを目的としている。このため、乾燥のための熱エネルギー源として、レーザ光源を適用している。
【0038】
第1の実施の形態では、レーザ光源としてVCSEL型レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が適用されている。VCSEL型レーザは、垂直共振器型面発光レーザであり、発光面に複数個(例えば、32個)の発光点を備えており、第1の実施の形態では、VCSEL型レーザユニット30として、3個の発光面30Aを備え、当該発光面30Aが前記記録媒体12の搬送路Rに対峙されている。
【0039】
このため、画像形成部24で画像が記録された記録媒体12の記録面が、VCSEL型レーザユニット30の3個の発光面30Aに対向され、搬送中に当該VCSEL型レーザユニット30の発光面30Aから出力されるレーザ光の熱エネルギーによって水分を蒸発させるようになっている。
【0040】
すなわち、前記一対の巻掛ローラ18間の水平かつ直線搬送領域では、前記記録媒体12が一定の速度で直線搬送されている間に、画像形成部24のインクジェットヘッド28によって画像が記録され、かつ、乾燥部26のVCSEL型レーザユニット30によってインク内の水分が乾燥され、収容部20へ至るようになっている。
【0041】
このとき、乾燥部26の即時乾燥により、記録媒体12が収容部20で巻取ローラ22に層状に巻き取られたとしても、層間においてインクが写り込むといった不具合は発生しない。
【0042】
ここで、VCSEL型レーザユニット30は、前記記録媒体12から蒸発する水分から保護するために、ハウジング32に収容されている。ハウジング32における前記記録媒体12の搬送路Rに対面方向は開口され、予め定めた透過率のガラス板34が取り付けられている。なお、第1の実施の形態では、ガラス板34の透過率は、予め定めた許容を持たせて100%の透過率を目的として製造されたものでよく、許容範囲は、VCSEL型レーザユニット30から出力されるレーザ光による乾燥効率によって定めればよい。
【0043】
レーザ光により記録媒体12から蒸発した水分は、前記ガラス板34によってVCSEL型レーザユニット30には至らず、当該水分によるVCSEL型レーザユニット30の故障等を防止することが可能となる。
【0044】
一方で、乾燥が継続されると、ガラス板34に到達する水分が増加し、ガラス板34に結露が発生する場合がある。結露は、レーザ光が記録媒体12へ到達する妨げとなる場合がある。
【0045】
そこで、第1の実施の形態では、ガラス板34の結露を防止するための手段として、ガラス板34の下層面(記録媒体12の搬送路Rと対峙する面)に、発熱膜36(
図2(A)参照)を設けた。
【0046】
発熱膜36は、電気抵抗の要素を持つ、透明の導電性膜であり、材質としては、ITO(酸化インジウムスズ)、SiC(炭化ケイ素)、ZnO
2(過酸化亜鉛)が適用可能である。なお、「透明」の定義としては、前述したように、VCSEL型レーザユニット30から出力されるレーザ光による乾燥効率によって定めればよいが、結果として膜厚が薄いことで、肉眼で透明と判断される程度でよい。
【0047】
発熱膜36の
図1の左右端には、それぞれ電極38、40が設けられ、一方の電極38は、スイッチ素子42を介して電源線44(電圧+V)に接続され、他方の電極40は接地されている。
【0048】
すなわち、電源線44、スイッチ素子42、一対の電極38、40、発熱膜36により電気回路が構築されており、電極38、40に電圧を印加することで、発熱膜36が電気抵抗となり発熱する。
【0049】
発熱膜36が発熱することで、前記VCSEL型レーザユニット30からのレーザ光によって記録媒体12から蒸発した水分は、ガラス板34に到達するが、ガラス板34が加熱されているため、結露せず、水蒸気となって、ハウジング32の周囲に拡散(放出)されることになる。
【0050】
図2(A)に示される如く、前記発熱膜36の表層側(
図2(A)では下面側)には、さらに誘電体膜46が設けられている。この結果、発熱膜36は、ガラス板34と誘電体膜46によって挟み込まれており、外部から衝撃から保護された状態となる。従って、記録媒体12から蒸発した水分により断線又は漏電を引き起こすことがない。
【0051】
ここで、誘電体膜46は、発熱膜36の保護膜として機能を持つことに加え、誘電体(MgF
2、CaF
2に代表されるフッ化物、SiO
2、TiO
2に代表される酸化物)により反射を防止する機能を持たせている(無反射コーティング)。当該反射を防止する機能は、入力される光の波長によって無反射コーティングの膜厚(肉厚寸法)を調整する。
【0052】
図2(B)に示される如く、誘電体膜46は、入力される光の波長に対して反射を防止する機能を持たせるために、前記発熱膜36との合計の厚さ(膜厚)を、適用されるVCSEL型レーザユニット30から出力されるレーザ光の出力波長λの1/4波長の厚さ(=λ/4)としている。
【0053】
なお、厚さは、λ/4は限定されるものではなく、当該λ/4を基準として、その整数倍であれば、反射を防止する機能を持たせることが可能である。
【0054】
図1に示される如く、画像記録装置10には、メイン制御部48が設けられている。メイン制御部48は、画像形成部24、乾燥部26を制御すると共に、記録媒体12の搬送を制御する。
【0055】
メイン制御部48には、画像形成制御部50が接続され、メイン制御部48で受け付けた画像データを予め定めたタイミングで画像形成制御部50へ送出する。
【0056】
画像形成制御部50では、受け付けた画像データを各色(CMYK)毎に分離して、各インクジェットヘッド28の駆動を制御する。
【0057】
また、メイン制御部48には、搬送系制御部52が接続されている。搬送系制御部52では、巻取ローラ22を含む各ローラに取り付けられたモータや、記録媒体12の搬送路R上に設けられた位置センサが接続され、記録媒体12を給紙ローラ16から引き出し、テンションコントロールしながら巻取ローラ22へ巻き取るようにしている。
【0058】
さらに、メイン制御部48には受付部54が接続されている。メイン制御部48では、受付部54に対して、画像データ出力の開始信号と終了信号を出力する。
【0059】
受付部54では、開始信号を受けると、レーザドライバ56へVCSEL型レーザユニット30の発光開始を指示し、終了信号を受けると、レーザドライバ56へVCSEL型レーザユニット30の発光終了を指示する。
【0060】
また、受付部54は、加熱指示部58に接続されている。加熱指示部58は、前記電気回路の一部として機能するスイッチ素子42のオン又はオフを制御する。
【0061】
また、前記発熱膜36には、温度センサ60が取り付けられている。温度センサ60は、温度監視部62に接続されている。温度監視部62で受け付けた温度センサ60から温度情報は、前記加熱指示部58へ送出される。
【0062】
温度情報としては、例えば、温度センサ60で検出した温度が、予め定めた目標温度よりも低いか、目標温度以上かの判定結果等である。
【0063】
加熱指示部58では、前記受付部54からの開始信号によってスイッチ素子42をオン、終了信号によってスイッチ素子42をオフすると共に、温度監視部62からの温度情報に基づいて、スイッチ素子42をオン又はオフする。
【0064】
すなわち、加熱指示部58では、画像記録中は発熱膜36の加熱を許可し、目標温度を基準とする予め定めた温度範囲内に収束するように、スイッチ素子42をオン又はオフ制御するようになっている。
【0065】
以下に、第1の実施の形態の作用を、
図3のフローチャートに従い説明する。
【0066】
図3は、第1の実施の形態に係る画像記録装置10において、乾燥部26を起動するときの乾燥制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0067】
ステップ100では、画像形成部24において画像記録が開始されたか否かが判断され、否定判定された場合は乾燥制御を実行する必要がないので、このルーチンは終了する。
【0068】
また、ステップ100で肯定判定されると、画像形成部24において画像記録が開始されたと判断し、ステップ102へ移行してレーザドライバ56へ発光開始指示を出力する。レーザドライバ56が発光開始指示を受け付けると、レーザドライバ56は、VCSEL型レーザユニット30を駆動して、発光面30Aからレーザ光を発光する。
【0069】
レーザ光は、ガラス板34を透過して、画像形成部24でインクの液滴が吐出された記録媒体12に到達し、レーザ光の熱エネルギーによって、インクに含まれる水分を蒸発させる。
【0070】
このとき、記録媒体12は搬送が継続されており、発光面30Aでの発光領域の範囲内で水分は蒸発される。すなわち、記録媒体12の搬送が継続可能であるため、上流側の画像形成部24では画像記録が継続可能である。
【0071】
次のステップ104では、温度センサ60により、ガラス板34の表面温度tgを計測し、ステップ106へ移行する。計測した表面温度tgは、温度監視部62に送出される。
【0072】
ステップ106では、温度監視部62において、予め記憶している目標温度tmを読み出し、次いで、ステップ108で、計測した表面温度tgと目標温度tmとを比較する。
【0073】
ステップ108での比較の結果、tg<tmの場合は、ガラス板34が十分に加熱されていないと判断し、ステップ110へ移行して発熱膜36を加熱するべく、スイッチ素子42をオンにしてステップ112へ移行する。この結果、発熱膜36に電圧(+V)が印加され、誘電体が電気抵抗となり発熱する。
【0074】
ここで、記録媒体12から蒸発した水分はガラス板34に到達し、搬送路Rに沿った空間から乾燥部26外へ放出するが、当該水分量が許容値を超えると、ガラス板34に結露する場合がある。
【0075】
そこで、第1の実施の形態では、ガラス板34にコーティングした発熱膜36を通電して加熱するようにした。このため、ガラス板34では、記録媒体12から蒸発した水分によって結露が発生することが防止される。
【0076】
ステップ112では、画像記録が終了したか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ104へ戻り、上記肯定を繰り返す。また、ステップ112で肯定判定された場合は、乾燥の必要がないので、ステップ114へ移行して、スイッチ素子をオフとして発熱を解除し、ステップ120へ移行する。
【0077】
また、前記ステップ108での比較の結果、tg≧tmの場合は、ガラス板34が十分に加熱されていると判断し、ステップ116へ移行して発熱膜36の加熱を解除するべく、スイッチ素子42をオフにしてステップ118へ移行する。この結果、発熱膜36に電圧(+V)は印加されず、発熱しない(余熱有り)。
【0078】
ステップ118では、画像記録が終了したか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ104へ戻り、上記肯定を繰り返す。また、ステップ118で肯定判定された場合は、乾燥の必要がなく、かつ、現在、スイッチ素子42がオフとなっているので、ステップ120へ移行する。
【0079】
ステップ120では、レーザドライバ56へ発光終了を指示して、このルーチンは終了する。
【0080】
なお、発光終了の指示は、画像形成部24と乾燥部26との間の搬送時間を考慮して、画像記録終了時から一定時間遅延させてから発光終了の指示を出すようにしてもよい。発熱膜36の発熱も同様に、前記ステップ114におけるスイッチ素子42のオフ時期を、画像記録終了時から一定時間遅延させた後としてもよい。
【0081】
(第2の実施の形態)
図4には、第2の実施の形態に係る画像記録装置10Aが示されている。なお、前記第1の実施の形態で説明した画像記録装置10と同一構成部分については、同一の符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0082】
第2の実施の形態では、
図5(A)に示される如く、ハウジング32の開口部に取り付けたガラス板34の表面(記録媒体12の搬送路Rに対峙する側)に、反射を防止する機能とレーザ光吸収機能を兼ね備えた誘電体膜70をコーティングした点にある。
【0083】
図5(B)に示される如く、誘電体膜70は、第1の実施の形態と同様に、MgF
2、CaF
2に代表されるフッ化物、SiO
2、TiO
2に代表される酸化物で生成されているが、第2の実施の形態では、さらに、鉄、銅、クロム、スズ、ニッケルに代表される金属イオンが添加されている。この金属イオンが、レーザ光の一部を受けて熱エネルギーを吸収し、発熱するようになっている。
【0084】
なお、金属イオンの添加は、誘電体膜70を、スパッタ蒸着法や電子ビーム蒸着法の手段で形成する際に、同時に膜成分に金属イオンを取り込むようにする。或いは、予め蒸着源を形成する際に原料に混ぜ込むことでも実現可能である。
【0085】
金属イオンの添加量は、数十から数千ppmであり、組み合わせる材料やレーザ光の波長によって異なる。
【0086】
また、誘電体膜70は、入力される光の波長に対して反射を防止する機能を持たせるために、厚さ(膜厚)を、適用されるVCSEL型レーザユニット30から出力されるレーザ光の出力波長λの1/4波長の厚さ(=λ/4)としている。
【0087】
なお、厚さは、λ/4は限定されるものではなく、当該λ/4を基準として、その整数倍であれば、反射を防止する機能を持たせることが可能である。
【0088】
また、第2の実施の形態では、主として、省エネ対策、過乾燥防止対策を目的として、画像形成部24で画像形成する画像の画像データに基づいて、VCSEL型レーザユニット30から照射するレーザ光の強度を調整し、記録媒体12からの乾燥、並びにガラス板34に生じる結露防止に必要十分な熱エネルギーとしている。なお、レーザ光の強度は、必要十分の熱エネルギー以上で固定であっても、乾燥機能、結露防止機能を損なうことはない。
【0089】
図4に示される如く、メイン制御部48には受付部54が接続されている。メイン制御部48では、受付部54に対して、画像データを出力する。
【0090】
受付部54は、強度演算部72に接続されており、受け付けた画像データを強度演算部72へ出力する。強度演算部72では、画像データ(インク量)に基づいて、VCSEL型レーザユニット30から出力するレーザ光の強度を演算し、レーザドライバ56へVCSEL型レーザユニット30の発光開始、終了信号、並びにレーザ光強度情報を出力する。レーザドライバ56では、VCSEL型レーザユニット30の発光を制御する。
【0091】
以下、第2の実施の形態の作用を
図6のフローチャートに従い説明する。
【0092】
図6は、第2の実施の形態に係る画像記録装置10Aにおいて、乾燥部26を起動するときの乾燥制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0093】
ステップ150では、画像形成部24において画像記録が開始されたか否かが判断され、否定判定された場合は乾燥制御を実行する必要がないので、このルーチンは終了する。
【0094】
また、ステップ150で肯定判定されると、ステップ152へ移行して、受付部54で受け付け、強度演算部72へ送出された画像データを解析する。
【0095】
次のステップ154では、強度演算部72において、画像データに基づいて、レーザ光による必要熱エネルギーを演算し、次いで、ステップ156へ移行して、演算された熱エネルギーに基づいて、VCSEL型レーザユニット30を発光させ、ステップ158へ移行する。
【0096】
なお、必要熱エネルギーとは、記録媒体から水分を蒸発させる熱エネルギーと、ガラス板34を結露しない温度に維持する熱エネルギーの合計熱エネルギーである。
【0097】
VCSEL型レーザユニット30からレーザ光が照射されると、当該レーザ光は、ガラス板34を透過して、記録媒体12に到達し、レーザ光の熱エネルギーにより、インクに含まれる水分が蒸発する。
【0098】
ここで、記録媒体12から蒸発した水分はガラス板34に到達し、搬送路Rに沿った空間から乾燥部26外へ放出するが、当該水分量が許容値を超えると、ガラス板34に結露する場合がある。
【0099】
そこで、第2の実施の形態では、ガラス板34にコーティングした誘電体膜70にレーザ光吸収機能を持たせ、レーザ光の一部を吸収することで生じる熱エネルギーでガラス板34を加熱するようにした。このため、ガラス板34では、記録媒体12から蒸発した水分によって結露が発生することが防止される。
【0100】
ステップ158では、画像記録が終了したか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ152へ戻り、上記肯定を繰り返す。すなわち、画像形成部24における画像記録処理に連動するように、レーザ光の強度が制御され、当該走査ラインに対して必要十分は熱エネルギーが照射される。
【0101】
また、ステップ158で肯定判定された場合は、画像記録が終了し、乾燥の必要がないので、ステップ160へ移行して、レーザドライバ56へ発光終了を指示して、このルーチンは終了する。
【0102】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、記録媒体12から蒸発した水分は、自然の気流によって、乾燥部26から放出されることを前提としたが、
図7に示される如く、乾燥部26に隣接して、吸引ファン機構部74を設け、吸引ノズル74Aの吸引口を記録媒体12の搬送路Rに沿って配置することで、強制的に蒸発水分を吸引して、放出するようにしてもよい。
【0103】
この場合、ガラス板34を加熱する熱エネルギーを、吸引機能に応じて減少させることで、省エネ効果をもたらすことが可能である。
【0104】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、乾燥部26のレーザ光の光源として、VCSEL型レーザユニット30を適用したが、
図8及び
図9に示される如く、半導体レーザ76を用いてもよい。
【0105】
なお、
図8は、半導体レーザ76から出力したレーザ光は、レンズ78及びガラス板34を介して記録媒体12へ照射される。
【0106】
また、
図9は、半導体レーザ76が、乾燥部26に対して遠隔に配置されている。すなわち、半導体レーザ76から出力したレーザ光は、レンズ80によって集光され、光ファイバ82を用いて案内されて、レンズ84及びガラス板34を介して記録媒体12へ照射される。