(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カバー(40,40a〜40d)の外縁(41b)とケース(20,20a〜20d)の外縁(30)とを対向させた組み付け状態により形成される筐体(11)の組付構造であって、
前記ケースには、前記外縁を構成する複数の縁面の1つである回動支持面(32)上に、前記回動支持面に連なる外側面から外側に出た位置に配置され、前記回動支持面から上方に突出し、当該回動支持面の長手方向に直交する断面が円弧状となる突起(32a,32b)が形成され、
前記カバーには、前記組み付け状態時に前記回動支持面に対向する対向面(42)とこの対向面に連なる連結片(46)とにより引掛け部(47,47b)が形成されるとともに、前記複数の縁面のうち前記回動支持面と異なる面(33,34)のいずれかに設けられた被係合部(33a,33b,34a,34b)に対して前記組み付け状態時に係合する係合部(41d,43a,44a)が形成され、
前記引掛け部の隅部(47a)を前記突起に接触させた状態で回動させた前記カバーが前記係合部にて前記被係合部に係合することで、前記カバーを前記ケースに組み付けた前記筐体が形成されることを特徴とする筐体の組付構造。
前記ケースは、前記回動支持面に連なる外側面(22a)のうち前記連結片に対向する部位が内側に凹むように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体組付構造。
前記回動支持面を除く前記複数の縁面のうち、前記突起との接触箇所となる回動中心(L)よりも外側に位置する端部には、前記カバーとの接触をなくすための凹部(33c,34c)が形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の筐体組付構造。
前記カバーの外縁には、前記連結片を除き、前記突起との接触箇所となる回動中心(L)よりも外側に位置する部位をなくすように切欠き(43f)が形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の筐体組付構造。
カバー(40,40a〜40d)の外縁(41b)とケース(20,20a〜20d)の外縁(30)とを対向させた組み付け状態により形成される筐体(11)の組付方法であって、
前記ケースには、前記外縁を構成する複数の縁面の1つである回動支持面(32)上に、前記回動支持面に連なる外側面から外側に出た位置に配置され、前記回動支持面から上方に突出し、当該回動支持面の長手方向に直交する断面が円弧状となる突起(32a,32b)が形成され、
前記カバーには、前記組み付け状態時に前記回動支持面に対向する対向面(42)とこの対向面に連なる連結片(46)とにより引掛け部(47,47b)が形成されるとともに、前記複数の縁面のうち前記回動支持面と異なる面(33,34)のいずれかに設けられた被係合部(33a,33b,34a,34b)に対して前記組み付け状態時に係合する係合部(41d,43a,44a)が形成され、
前記引掛け部の隅部(47a)を前記突起に接触させた状態で、当該突起との接触箇所を回動中心(L)として回動させて前記係合部を前記被係合部に係合させることで、前記カバーを前記ケースに組み付けて前記筐体を形成することを特徴とする筐体組付方法。
前記ケースは、前記回動支持面に連なる外側面(22a)のうち前記連結片に対向する部位が内側に凹むように形成されることを特徴とする請求項11または12に記載の筐体組付方法。
前記被係合部には、前記係合部を案内するためのテーパ(35,36a,36b)が形成されることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の筐体組付方法。
前記回動支持面を除く前記複数の縁面のうち前記回動中心よりも外側に位置する端部には、前記カバーとの接触をなくすための凹部(33c,34c)が形成されることを特徴とする請求項11〜18のいずれか一項に記載の筐体組付方法。
前記カバーの外縁には、前記連結片を除き、前記回動中心よりも外側に位置する部位をなくすように切欠き(43f)が形成されることを特徴とする請求項11〜18のいずれか一項に記載の筐体組付方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る筐体組付構造および筐体組付方法を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す電子制御装置10は、防水構造を有しており、例えば車両のエンジンルームに配置され、運転者による運転操作などに応じて、エンジンの制御を実行する機能を有する装置である。
【0013】
図1および
図2に示すように、電子制御装置10は、ケース20およびカバー40を有する筐体11と、外部接続用のコネクタ13や他の電子部品等が実装される回路基板12とを備えている。ケース20およびカバー40とコネクタ13とにより形成される密閉空間に回路基板12が収容されることで、回路基板12に対する防水性が確保される。
【0014】
次に、ケース20の詳細形状について、図面を参照して説明する。なお、
図3は、ケース20の上面図である。
図4は、ケース20をコネクタ露出側から見た図である。
図5は、
図3に示すA−A線相当の切断面による断面図である。
図6は、
図3の係合突起33a近傍を拡大して示す上面図である。
図7は、
図3の係合突起33b近傍を拡大して示す上面図である。
【0015】
ケース20は、アルミダイカスト成形により形成されており、
図2〜
図4に示すように、コネクタ13が露出する側(以下、コネクタ露出側ともいう)が深くなる段差を有するように形成される底壁21とこの底壁21に連なる3つの側壁22〜24により、上側とコネクタ露出側とが開口し、各側壁22〜24の上端面にて構成される外縁30が略U字状となるように形成されている。底壁21の外面には複数の放熱フィン21aが配置されている。以下の説明では、
図3に示すように、側壁22の長手方向に沿う方向をX方向、このX方向に直交する方向をY方向として説明する。
【0016】
底壁21および側壁23,24のコネクタ露出側には、コネクタ13の外面に形成される環状凸部13aの一部が嵌合するための溝部25が形成されている。また、底壁21の側壁22側には、回路基板12の端部を下方から支持するための支持台26a,26bが形成されている。また、側壁23および側壁24の外側面には、電子制御装置10を固定して締結するための取り付け用穴27a〜27dが2箇所ずつ形成されている。
【0017】
また、ケース20の外縁30の内側には、シール材の収容空間内への流出を防止するための突出壁部31が形成されている。また、外縁30には、四隅に相当する位置に、カバー40をねじ14a〜14dにより締結するためのねじ穴が形成された締結部28a〜28dそれぞれ形成されている。
【0018】
外縁30は、側壁22の上端面を構成する縁面(以下、回動支持面32ともいう)と、側壁23の上端面を構成する縁面33と、側壁24の上端面を構成する縁面34とを備えている。すなわち、回動支持面32とこの回動支持面32の両端に連なる2つの縁面33,34とにより略U字状の外縁30が形成される。
【0019】
回動支持面32の外側には、2つの突起32a,32bが設けられている。突起32aは、
図5に示すように、回動支持面32の長手方向に直交する断面が円弧状となるように形成されている。突起32bも同様に、回動支持面32の長手方向に直交する断面が円弧状となるように形成されている。また、側壁22は、外側面22aが両突起32a,32bよりも内側に凹むように形成されている。
【0020】
縁面33には、回動支持面32から離れた部位(
図3の例では、締結部28aの近傍部位)と回動支持面32に近い部位(
図3の例では、締結部28bの近傍部位)とにそれぞれ係合突起33a,33bが設けられている。また、縁面34にも、回動支持面32から離れた部位(
図3の例では、締結部28cの近傍部位)と回動支持面32に近い部位(
図3の例では、締結部28dの近傍部位)とにそれぞれ係合突起34a,34bが設けられている。これら係合突起33a,33bおよび係合突起34a,34bは、取り付けられたカバー40の位置決め用として機能するものである。
【0021】
特に、係合突起33aおよび係合突起34aは、カバー40のY方向の位置決め用として機能するものである。両係合突起33a,34aは、後述するように両突起32a,32bとの接触箇所を回動中心Lとして回動させたカバー40のコネクタ側の端部(以下、係合用端部41dともいう)が係合する位置に配置されている。このため、係合突起33aには、
図6に示すように、カバー40に対してY方向から接触する部位にガイド面として機能するテーパ35が形成されている。また、係合突起34aにも同様にテーパ35が形成されている。
【0022】
また、係合突起33bおよび係合突起34bは、カバー40のX方向およびY方向の位置決め用として機能するものである。このため、係合突起33bには、
図7に示すように、カバー40に対してX方向から接触する部位にガイド面として機能するテーパ36aが形成され、カバー40に対してY方向から接触する部位にガイド面として機能するテーパ36bが形成されている。また、係合突起34bにも同様にテーパ36a,36bが形成されている。
【0023】
また、縁面33のうち回動中心Lよりも外側(
図3の上側(Y方向正側))に位置する端部には、カバー40との接触をなくすため、締結部28bが形成される面よりも低くなるように凹む凹部33cが形成されている。また、縁面34のうち回動中心Lよりも外側に位置する端部にも、カバー40との接触をなくすため、締結部28dが形成される面よりも低くなるように凹む凹部34cが形成されている。
【0024】
次に、カバー40の詳細形状について、
図8を参照して説明する。なお、
図8は、内面側から見たカバー40の斜視図である。
カバー40は、例えば鋼材をプレス成形することで形成されており、
図8に示すように、天板部41aが略U字状の外縁41bに対して上方へ略矩形状に突出する段差を有するように形成されている。
【0025】
外縁41bは、ケース20との組み付け時に、シール材を介してケース20の外縁30に対向する部位である。外縁41bは、ケース20との組み付け時に、回動支持面32に対向する縁面(以下、対向面42ともいう)と、縁面33および縁面34に対向する縁面43および縁面44とを備えている。
【0026】
また、外縁41bには、四隅に相当する位置に、ケース20の締結部28a〜28dのねじ穴に締結されるねじ14a〜14dが挿通する貫通穴45a〜45dがそれぞれ形成されている。
【0027】
対向面42の外周端には、ほぼ直角に垂下する連結片46が対向面42に連なるように形成されている。この連結片46と対向面42とにより、対向面42に対する連結片46の角度がほぼ直角になる引掛け部47が構成される。
【0028】
縁面43には、貫通穴45bの近傍に、ケース20との組み付け時に係合突起33bが係合する切欠き43aが形成されている。また、縁面44には、貫通穴45dの近傍に、ケース20との組み付け時に係合突起34bが係合する切欠き44aが形成されている。なお、外縁41bの貫通穴45aの近傍部位と貫通穴45cの近傍部位とは、組付作業時に把持される回転用持ち手部48a,48bとして、他の部位よりも外方に突出するように形成されている。
【0029】
次に、上述のように形成されるカバー40をケース20に組み付ける組付作業について、
図9〜
図11を参照して説明する。
図9は、組付作業時のカバー40の引掛け部47とケース20の両突起32a,32bとの位置関係を説明するための断面図であり、
図9(A)は引掛け状態を示し、
図9(B)は組付作業完了状態を示す。
図10は、回動するカバー40とケース20の締結部28bとの位置関係を示す側面図である。
図11は、係合用端部41dと係合突起33aとの係合状態を示す断面図である。なお、
図9等では、便宜上、シール材の図示を省略している。また、
図10では、組み付け完了時の外縁41bを二点鎖線にて図示している。
【0030】
カバー40をケース20に組み付ける組付作業工程では、まず、コネクタ13等が実装された回路基板12を用意し、コネクタ13の環状凸部13aを溝部25に嵌合させた状態で支持台26a,26bにねじ15を用いて締結することで、回路基板12をケース20に収容する。次に、ケース20の外縁30のうち突出壁部31よりも外側の部位とコネクタ13の環状凸部13aとに、シール材を環状に塗布する。
【0031】
続いて、カバー40の回転用持ち手部48a,48bを把持して、
図9(A)に示すように、引掛け部47の隅部47aを両突起32a,32bに接触させるように引掛ける。このとき、側壁22の外側面22aは両突起32a,32bよりも内側に凹むように形成されているため、上記引掛け状態時に、連結片46が外側面22aに接触することもない。
【0032】
また、
図10に示すように縁面33には凹部33cが形成され、縁面34には凹部34cが形成されているため、上記引掛け状態時に、カバー40の外縁41bがケース20の外縁30に接触することもない。
【0033】
そして、上述のような引掛け状態から、カバー40を、両突起32a,32bとの接触箇所を回動中心Lとして回動させる。そして、
図9(B)に示すように、カバー40を、ケース20の外縁30等に塗布されたシール材に接触するまで回動させることで、切欠き43a,44aが係合突起33b,34bに係合するとともに、コネクタ側の係合用端部41dが係合突起33a,34aに係合する。
【0034】
このとき、
図11に示すように、係合突起33aには、テーパ35が形成されているため、係合用端部41dにて係合突起33aに接触した状態のカバー40がテーパ35により案内されて、係合用端部41dが位置決めされる。特に、係合突起33aと係合用端部41dとのギャップGは、係合可能な最小のギャップとなるように設定されている。
【0035】
また、係合突起34aおよび係合突起33b,34bにも、テーパ35およびテーパ36a,36bがそれぞれ形成されているため、各テーパ35,36a,36bにより案内されて、係合用端部41dおよび切欠き43a,44aが位置決めされる。なお、係合突起34aと係合用端部41dとのギャップや係合突起33b,34bと切欠き43a,44aとのギャップも、係合可能な最小のギャップとなるように設定されている。
【0036】
これにより、カバー40の外縁41bとケース20の外縁30とを対向させてシール材を用いてシール性を確保した筐体11の組み付けが完了する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る筐体組付構造および筐体組付方法では、ケース20には、回動支持面32上に、当該回動支持面32の長手方向に直交する断面が円弧状となる2つの突起32a,32bが形成されている。また、カバー40には、回動支持面32に対向する対向面42と連結片46とにより引掛け部47が形成されるとともに、組み付け状態時に、縁面33の係合突起33bおよび縁面34の係合突起34bに対して係合する切欠き43aおよび切欠き44aが形成され、コネクタ側の係合用端部41dが係合突起33a,34aに係合するように形成されている。
【0038】
そして、引掛け部47の隅部47aを両突起32a,32bに接触させた状態で回動させたカバー40が係合用端部41dおよび切欠き43a,44aにて係合突起33a,34aおよび係合突起33b,34bに係合することで、カバー40をケース20に組み付けた筐体11が形成される。換言すると、引掛け部47の隅部47aを両突起32a,32bに接触させた状態で両突起32a,32bとの接触箇所を回動中心Lとして回動させて係合用端部41dおよび切欠き43a,44aを係合突起33a,34aおよび係合突起33b,34bに係合させることでカバー40をケース20に組み付けて、筐体11が形成される。
【0039】
これにより、引掛け部47の隅部47aを両突起32a,32bに接触させるようにケース20に位置決めしたカバー40をケース20に向けて倒すように回動させるような簡単な作業で、カバー40をケース20に組み付ける組付作業が完了する。このような組付作業では、組み付け精度は、引掛け部47の隅部47aおよび両突起32a,32bの接触状態と係合用端部41dや切欠き43a,44aおよび係合突起33a,34a,33b,34bの係合状態とに起因するため、引掛け部47や両突起32a,32b、係合用端部41dや切欠き43a,44aおよび係合突起33a,34a,33b,34bを精度良く形成することで、組み付け精度を向上させることができる。したがって、カバー40をケース20に組み付けて構成される筐体11の組付作業に関し、組付作業者が容易かつ高精度に組み付け可能な筐体組付構造および筐体組付方法を実現することができる。
【0040】
また、回動中心Lを構成する断面円弧状の突起として2つの突起32a,32bが回動支持面32上に形成されるため、1つの突起を回動支持面32上に形成する場合と比較して、接触時の引掛け部47のガタツキが抑制される。このため、組み付け時のケース20に対するカバー40のぶれが抑制されるので、より高精度な組み付けを実現することができる。
【0041】
なお、断面円弧状の突起は、回動支持面32上に2つ設けられることに限らず、3つ以上設けられてもよい。また、上記突起は、組み付け時のケース20に対するカバー40のぶれが抑制される形状であれば、回動支持面32上に1つ設けられてもよい。また、回動中心Lを構成する突起は、断面円弧状に形成されることに限らず、その外面に引掛け部47を引掛けた状態で回動可能な形状であってもよい。
【0042】
さらに、ケース20は、回動支持面32に連なる側壁22の外側面22a、すなわち、カバー40の連結片46に対向する部位が内側に凹むように形成されている。このため、引掛け部47を両突起32a,32bに接触させるように引掛ける状態であっても、その連結片46が外側面22aに接触したためにその回動が妨げられることを防止することができる。
【0043】
特に、係合突起33a,34aは、回動支持面32から離れた部位に配置されるとともに、係合突起33b,34bは、回動支持面32に近い部位に配置されている。これにより、各係合突起33a,34a,33b,34bにて、カバー40をX方向およびY方向の双方向から挟持することができるので、より高精度な組み付けを実現することができる。
【0044】
また、係合突起33a,34aには、カバー40に対してY方向から接触する部位にテーパ35が形成され、係合突起33b,34bには、カバー40に対してX方向およびY方向から接触する部位にテーパ36a,36bが形成されている。これにより、各テーパ35,36a,36bにより案内されたカバー40が既定の位置に位置決めされるので、組付作業者のスキルに左右されることなく高精度な組み付けを容易に実現することができる。
【0045】
さらに、縁面33のうち回動中心Lよりも外側の端部には凹部33cが形成され、縁面34のうち回動中心Lよりも外側の端部には凹部34cが形成されているので、上記引掛け状態時に、カバー40の外縁41bがケース20の外縁30に接触したためにその回動が妨げられることを防止することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る筐体組付構造および筐体組付方法について、
図12を用いて説明する。なお、
図12は、第2実施形態に係る筐体の要部を拡大して示す断面図である。
本第2実施形態では、カバーの引掛け部の形状とケースの側壁の形状とを変更した点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図12に示すように、本実施形態に係るカバー40aは、上述したカバー40と異なり、対向面42に対する連結片46の角度、すなわち、引掛け部47bの開き角度が鈍角になるように形成されている。また、本実施形態に係るケース20aは、上述したケース20と異なり、その側壁22の外側面22bの上部が回動支持面32に対して直交するように形成されている。
【0048】
このように、カバー40aおよびケース20aが形成されても、引掛け部47bの隅部47aを両突起32a,32bに接触させるように引掛ける際に、その連結片46が外側面22bに接触したためにその回動が妨げられることを防止することができる。
【0049】
特に、ケース20aを形成する際の金型での割面の位置を、回動支持面32に対して直交する部位(外側面22bの上部)よりも下方にすることができる。このため、割面に起因して両突起32a,32bの近傍に発生したばりが引掛け部47の隅部47aを基準とする回動を阻害することをなくすことができる。
【0050】
なお、本実施形態の特徴的構成である外側面22bおよび引掛け部47bの構成は、他の実施形態のケースおよびカバーにも適用することができる。
【0051】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る筐体組付構造および筐体組付方法について、
図13〜
図15を用いて説明する。なお、
図13は、第3実施形態に係る筐体の締結部28a近傍を拡大して示す斜視図である。
図14は、第3実施形態に係る筐体の締結部28b近傍を拡大して示す斜視図である。
図15は、カバー40bの係合部43cとケース20bの外縁30との係合状態を説明するための断面図である。
本第3実施形態では、カバーの係合部とケースの被係合部との係合状態を変更した点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図13および
図14に示すように、本実施形態に係るケース20bは、上述したケース20と異なり、各係合突起33a,34a,33b,34bが廃止されるように形成されている。また、本実施形態に係るカバー40bは、上述したカバー40と異なり、その縁面43に、切欠き43aに代えて、ケース20の外側面に係合可能な係合部43c〜43eが曲げ加工等により形成されている。また、縁面44にも、切欠き44aに代えて係合部43c〜43eと同様に機能する係合部が形成されている。
【0053】
特に、
図15に示すように、ケース20bの外縁30のうち、係合部43cが係合する縁部には、ガイド面として機能するテーパ38が形成されている。同様に、ケース20bの外縁30のうち、係合部43d,43eが係合する縁部にも、ガイド面として機能するテーパ38が形成されている。また、外縁30の外側面と係合部43c〜43eの内側面とのギャップGは、係合可能な最小のギャップとなるようにそれぞれ設定されている。
【0054】
このようにしても、各係合部43c〜43eをケース20bの外側面にそれぞれ係合させるようにカバー40bを回動させながらケース20bに組み付けることで、各係合部43c〜43eにて、カバー40bをX方向およびY方向の双方向から挟持することができるので、より高精度な組み付けを実現することができる。
【0055】
特に、係合突起33a,33b,34a,34b等をケース20bの外縁30に設ける必要がないので、ケース20bの小型化、すなわち、筐体11の小型化を図ることができる。
【0056】
なお、本実施形態の特徴的構成であるカバーの係合部とケースの被係合部との係合状態は、他の実施形態にも適用することができる。
【0057】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る筐体組付構造および筐体組付方法について、
図16を用いて説明する。なお、
図16は、第4実施形態に係るピン状突起37と係合穴49との係合状態を拡大して示す断面図である。
本第4実施形態では、カバーの係合部とケースの被係合部との係合状態を変更した点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態に係るケース20cは、上述したケース20と異なり、各係合突起33a,33b,34a,34bに代えて、
図16に示すピン状突起37が形成されている。このピン状突起37は、略円柱状の基端部37aとガイド面として機能するテーパ状の先端部37bとを備えている。特に、基端部37aの外周面の一部には、カバー位置決め用にフラット状に形成された平坦面37cが1または2以上形成されている。
【0059】
また、本実施形態に係るカバー40cは、上述したカバー40と異なり、切欠き43a,44aに代えて、ピン状突起37が組み付け状態時に基端部37aにて係合可能な係合穴49が形成されている。
【0060】
このように、各係合穴49を対応するピン状突起37にそれぞれ係合させるようにカバー40cを回動させながらケース20cに組み付けることで、複数個所にて係合する係合穴49とピン状突起37の基端部37aとにより、カバー40cをX方向およびY方向の双方向から挟持することができるので、より高精度な組み付けを実現することができる。
【0061】
なお、ピン状突起37は、先端部がテーパ状に形成されることに限らず、例えば、R形状に形成されてもよいし、先細り形状に形成されてもよい。
【0062】
なお、本実施形態の特徴的構成であるピン状突起37および係合穴49の構成は、他の実施形態のケースおよびカバーにも適用することができる。
【0063】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る筐体組付構造および筐体組付方法について、
図17および
図18を用いて説明する。なお、
図17は、第5実施形態に係る筐体の締結部28b近傍を拡大して示す上面図である。
図18は、回動するカバー40dと締結部28bとの位置関係を示す側面図である。なお、
図17では、便宜上、カバー40dを破線にて示し、
図18では、組み付け完了時の外縁41bを二点鎖線にて図示している。
本第5実施形態では、ケースおよびカバーの締結部28bおよび締結部28d近傍の形状を変更した点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施形態に係るケース20dは、上述したケース20と異なり、締結部28bおよび締結部28dにおいて、凹部33cおよび凹部34cが廃止されている。また、本実施形態に係るカバー40dは、上述したカバー40と異なり、回動時にケース20dに接触する可能性のある、回動中心Lよりも外側に位置する部位を、なくすように切欠きが形成されている。具体的には、
図17に示すように、縁面43のうち凹部33cに相当する部分に対向する部位に切欠き43fが形成されている。また、縁面44のうち凹部34cに相当する部分に対向する部位にも切欠きが形成されている。
【0065】
このようにしても、
図18に示すように、上記引掛け状態時に、カバー40dの外縁41bとケース20dの外縁30との接触が、回動中心Lを基準とする回動を阻害することをなくすことができる。特に、ケース20dの外縁30から凹部33cおよび凹部34cをなくすことができるので、塩水等が付着するような使用環境下でも塩水等がケース20d上に溜まりにくくなり、耐腐食性を向上させることができる。
【0066】
なお、本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態のケースおよびカバーにも適用することができる。
【0067】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)ケース20,20a〜20dの外縁30およびカバー40,40a〜40dの外縁41bは、コネクタ13等の露出部品のシール部位を含めて四角環状に形成されることに限らず、例えば、多角環状に形成されてもよいし、回動支持面32および対向面42を除き、一部が円弧状に形成されてもよい。
【0068】
(2)ケース20,20a〜20dは、アルミダイカスト成形により形成されることに限らず、例えば、合成樹脂により形成されてもよい。また、カバー40,40a〜40dは、鋼材をプレス成形することで形成されることに限らず、例えば、アルミダイカスト成形により形成されてもよい。
【0069】
(3)本発明は、電子制御装置10の筐体11に適用されることに限らず、他の機能を有し、防水性を求められる装置の筐体に適用されてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。