特許第6244966号(P6244966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244966
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】記録装置及び記録方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/42 20060101AFI20171204BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B41J11/42
   B41J11/02
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-28246(P2014-28246)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-150821(P2015-150821A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】上妻 格
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−026588(JP,A)
【文献】 特開2011−031418(JP,A)
【文献】 特開2013−001062(JP,A)
【文献】 特開2002−193509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00−11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転体に張架され、被記録媒体を支持して搬送する粘着性ベルトと、
前記被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記粘着性ベルトの第1範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する第1センサーと、
前記粘着性ベルトの前記第1範囲内の第2範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する第2センサーと、
前記被記録媒体を巻き取る巻取部と、
前記巻取部の回転と前記粘着性ベルトの移動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記巻取部を一定の角速度で回転しつつ、前記粘着性ベルトの移動状態と停止状態とを切り換えて、平均送り速度VAで被記録媒体を搬送する構成であり、
前記第2範囲で前記被記録媒体が剥離するように、前記第2センサーの情報に基いて前記移動状態と停止状態とを切り換え、前記平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する第1モードを備えている、
ことを特徴とする、記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載された記録装置において、
前記制御部は、前記粘着性ベルトの停止時間t0を制御することで前記一定の平均送り速度VCに制御することを特徴とする、記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された記録装置において、
前記第1モードは前記第2センサーにより剥離位置が第2範囲にあると最初に検出されたときに開始されることを特徴とする、記録装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された記録装置において、
前記第1モードの前記粘着性ベルトの平均送り速度VCは、該第1モード開始時における前記巻き取り速度V1と同じであることを特徴とする、記録装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載された記録装置において、
前記第1モードの前記粘着性ベルトの平均送り速度VCは、該第1モード開始時における前記巻き取り速度V1以下の値に設定可能であることを特徴とする、記録装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された記録装置において、
前記制御部は、
前記第2センサーにより前記被記録媒体の剥離位置が前記第2範囲内であると検出されると前記粘着性ベルトの移動を停止し、該第2センサーにより該被記録媒体の剥離位置が前記第2範囲外であると検出されると前記粘着性ベルトの移動を開始することを繰り返して行う第2モードを備えている、
ことを特徴とする、記録装置。
【請求項7】
複数の回転体に張架される粘着性ベルトに被記録媒体を支持して搬送する工程と、
記録ヘッドにより前記被記録媒体に記録を行う工程と、
第1センサーにより前記粘着性ベルトの第1範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する工程と、
第2センサーにより前記粘着性ベルトの前記第1範囲内の第2範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する工程と、
巻取部によって前記被記録媒体を巻き取る工程と、
前記巻取部を一定の角速度で回転しつつ、前記粘着性ベルトの移動状態と停止状態とを切り換えて、平均送り速度VAで被記録媒体を搬送し、
前記第2範囲で前記被記録媒体が剥離するように、前記第2センサーの情報に基いて前記移動状態と停止状態とを切り換え、前記平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する第1モードを実行する工程と、
を具備することを特徴とする、記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の回転体に張架された粘着性ベルトにより被記録媒体を支持して搬送し、巻取部により前記被記録媒体を巻き取る記録装置が使用されている。
このうち、前記粘着性ベルトに対する前記被記録媒体の剥離位置を検出するためのセンサーを備える記録装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、被記録媒体としての布帛の伸張度の違いに応じて前記被記録媒体の剥離位置を制御可能な記録装置が開示されている。
【0004】
また、前記記録装置においては、記録後の乾燥時間が画像品質に大きな影響を与えるため、記録後の画像を短時間で乾燥するための工夫が成されている。
【0005】
特許文献2には、所定の界面活性剤を含有することによって、優れた乾燥性を有し、高画質の記録を行うことができる布帛が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−196625号公報
【特許文献2】特開平10−331078号公報
【0007】
前記粘着性ベルトと前記巻取部を備えた記録装置では、粘着性ベルトによる被記録媒体の搬送速度よりも巻取部による被記録媒体の巻き取り速度が遅いと、前記被記録媒体が粘着性ベルトに巻き込まれる巻き込みエラーが生じる。
【0008】
ここで、巻取部のロール径は、初めはロール芯の太さの小径であり、前記被記録媒体の巻き取りが行われるに従って徐々に大径になっていく。巻取部の巻取モーターの回転速度が同じであれば前記ロール径が小径の場合には、被記録媒体の巻き取り速度は相対的に低いことになる。
特許文献1のように、粘着性ベルトにより被記録媒体を連続的に搬送する構成の記録装置においては、巻取部のロール径が小径であるときには、巻取モーターを高速回転させることにより、前記巻取部による被記録媒体の巻き取り速度を大きくする必要があるため、大容量の巻取モーターを使用せざるを得なかった。
【0009】
一方、前記被記録媒体の剥離位置をセンサーで検知し、前記被記録媒体が粘着性ベルトに巻き込まれそうになったときに、該粘着性ベルトによる被記録媒体の搬送を止める構成とすれば、巻取部による巻き取り速度が遅くても、前記巻き込みエラーは生じない。
したがって、前記巻取部の巻取モーターの容量を小さくすることが可能となるとともに、巻取モーターの回転を速くする必要がなくなる。
尚、前述の、被記録媒体の剥離位置をセンサーで検知して、粘着性ベルトの駆動を停止することにより、巻き込みエラーを生じさせない構成を、以下において「粘着性ベルト停止による巻き込みエラー防止」と言う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、前記巻取モーターの回転速度、すなわち、角速度を一定にすると、前記巻取部のロール径が小さいときには前記被記録媒体の巻き取り速度は小さいが、該被記録媒体が巻き取られることによってロール径が大きくなるにつれて、当該被記録媒体の巻き取り速度は大きくなる。
このように、前記巻取部による被記録媒体の巻き取り速度が次第に大きくなる場合に、前記「粘着性ベルト停止による巻き込みエラー防止」の構成を用いると、以下の問題が生じる。
【0011】
前記巻取部のロール径が小さいときには前記巻き取り速度が小さいので、前記粘着性ベルトによる被記録媒体の搬送速度の方が大きく、すぐに前記粘着性ベルトによる被記録媒体の巻き込みが起こる。その場合、前記センサーによって前記被記録媒体の巻き込みが検知されて、該粘着性ベルトの駆動が停止され、前記粘着性ベルトが止まっている間に前記巻取部が該被記録媒体を巻き取り、当該被記録媒体の巻き込みを解消する。
しかし、前述のように巻取部による被記録媒体の巻き取り速度は小さいので、その巻き取りには時間がかかる。すなわち、前記粘着性ベルトが停止している時間が長くなる。
【0012】
一方、前記巻取部のロール径が大きくなるにつれ、前記巻き取り速度も大きくなるので、前記センサーによって前記被記録媒体の巻き込みが検知されて、前記粘着性ベルトの駆動が停止されたときに、該粘着性ベルトが停止している時間は短くなる。
【0013】
前記粘着性ベルトによる被記録媒体の搬送の平均速度(以下、平均送り速度と称する場合がある)は、該粘着性ベルトが停止している時間が長いほど小さく、停止時間が短いほど大きい。
すなわち、前記巻取部による被記録媒体の巻き取りにより、前記ロール径が小径から大径になると、該巻取部の巻き取り速度はだんだん大きくなり、それに伴って、前記粘着性ベルトの平均送り速度も、前記巻き取り速度の変化に応じて大きくなることになる。
【0014】
ここで、前記粘着性ベルトと前記巻取部を備えた記録装置において、前記粘着性ベルト上で被記録媒体への記録を行う場合、記録後の画像は、通常、該被記録媒体が巻取部に巻き取られるまでの間の位置に設けられた乾燥部によって乾燥処理される。
前記巻取部のロール径が大きくなって巻き取り速度が大きくなり、それに伴い、前記粘着性ベルトの平均送り速度も大きくなると、記録が行われた被記録媒体が前記乾燥部に到達するまでの時間α、および、該乾燥部を通過する時間βが短くなる。
【0015】
すなわち、被記録媒体を粘着性ベルトで搬送して記録を行っている間に、次第に記録画像の乾燥時間(α+β)が短くなってしまう。記録画像の乾燥時間が不均一になると、記録画像にムラが生じる虞がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、粘着性ベルトにより被記録媒体を支持して搬送し、巻取部により前記被記録媒体を巻き取る記録装置において、前記巻取部に低容量の巻取モーターを用いて、前記粘着性ベルトにおける巻き込みエラーを抑制しつつ、高画質の印刷を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る記録装置は、複数の回転体に張架され、被記録媒体を支持して搬送する粘着性ベルトと、前記被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記粘着性ベルトの第1範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する第1センサーと、前記粘着性ベルトの前記第1範囲内の第2範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する第2センサーと、前記被記録媒体を巻き取る巻取部と、前記巻取部の回転と前記粘着性ベルトの移動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記巻取部を一定の角速度で回転しつつ、前記粘着性ベルトの移動状態と停止状態とを切り換えて、平均送り速度VAで被記録媒体を搬送する構成であり、前記第2範囲で前記被記録媒体が剥離するように、前記第2センサーの情報に基いて前記移動状態と停止状態とを切り換え、前記平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する第1モードを備えている、ことを特徴とするものである。
【0018】
前記「粘着性ベルト」とは、被記録媒体を支持する面に該被記録媒体を剥離可能に貼り付けて保持する粘着剤が塗られたベルトを意味する。
【0019】
前記制御部は、前記第2範囲で前記被記録媒体が剥離するように、前記第2センサーの情報に基いて前記移動状態と停止状態とを切り換え、前記平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する第1モードを備えている。
【0020】
本態様によれば、前記巻取部より上流側であって前記粘着性ベルトより下流側である前記第2範囲で前記被記録媒体が剥離するように、前記粘着性ベルトの平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御するので、前記粘着性ベルトにおける巻き込みエラーを抑制しつつ、該被記録媒体を一定の平均送り速度VCで下流へ送ることができ、高画質の印刷を実現することができる。
【0021】
本発明の第2の態様に係る記録装置は、第1の態様において、前記制御部は、前記粘着性ベルトの停止時間t0を制御することで前記一定の平均送り速度VCに制御することを特徴とするものである。
【0022】
本態様によれば、前記粘着性ベルトの停止時間t0を制御することで前記一定の平均送り速度VCに制御するので第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【0023】
本発明の第3の態様に係る記録装置は、第1の態様または第2の態様において、前記第1モードは前記第2センサーにより剥離位置が第2範囲にあると最初に検出されたときに開始されることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第4の態様に係る記録装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様において、前記第1モードの前記粘着性ベルトの平均送り速度VCは、該第1モード開始時における前記巻き取り速度V1と同じであることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第5の態様に係る記録装置は、第1の態様から第3の態様のいずれかにおいて、前記第1モードの前記粘着性ベルトの平均送り速度VCは、該第1モード開始時における前記巻き取り速度V1以下の値に設定可能であることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第6の態様に係る記録装置は、第1の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記第2センサーにより前記被記録媒体の剥離位置が前記第2範囲内であると検出されると前記粘着性ベルトの移動を停止し、該第2センサーにより該被記録媒体の剥離位置が前記第2範囲外であると検出されると前記粘着性ベルトの移動を開始することを繰り返して行う第2モードを備えている、ことを特徴とするものである。
【0027】
本態様によれば、前記第2モードを備えることにより、より生産性の高い記録を行うことができる。
【0028】
本発明の第7の態様に係る記録方法は、複数の回転体に張架される粘着性ベルトに被記録媒体を支持して搬送する工程と、記録ヘッドにより前記被記録媒体に記録を行う工程と、第1センサーにより前記粘着性ベルトの第1範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する工程と、第2センサーにより前記粘着性ベルトの前記第1範囲内の第2範囲で前記被記録媒体が剥離したことを検出する工程と、巻取部によって前記被記録媒体を巻き取る工程と、前記巻取部を一定の角速度で回転しつつ、前記粘着性ベルトの移動状態と停止状態とを切り換えて、平均送り速度VAで被記録媒体を搬送し、前記第2範囲で前記被記録媒体が剥離するように、前記第2センサーの情報に基いて前記移動状態と停止状態とを切り換え、前記平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する第1モードを実行する工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0029】
本態様によれば、第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例に係る記録装置を表す概略側面図。
図2】本発明の一実施例に係る記録装置のブロック図。
図3】本発明の一実施例に係る記録装置の要部拡大図。
図4】本発明の一実施例に係る記録装置の要部拡大図。
図5】本発明の一実施例に係る記録装置の要部拡大図。
図6】第1モードにおける粘着性ベルトの平均送り速度と、粘着性ベルト2の移動と停止の状態と、第2センサーによる検出との関係を示す図。
図7】第2モードにおける粘着性ベルトの平均送り速度と、粘着性ベルト2の移動と停止の状態と、第2センサーによる検出との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下において、本発明の一実施形態に係る記録装置について、添付図面を参照して説明する。尚、本発明はこれらによって制約されるものではない。
【0032】
[実施例1]
図1は、本発明の一実施例に係る記録装置1を表す概略側面図である。
本実施例の記録装置1は、回転方向Cに回転する駆動ローラー3と従動ローラー4に張架され、被記録媒体Pを支持して搬送方向Aに搬送する粘着性ベルト2を備えている。なお、別の表現をすると、粘着性ベルト2は、複数の回転体に張架され、被記録媒体Pを支持して搬送する搬送ベルトである。本実施例の記録装置1は、複数の回転体として駆動ローラー3と従動ローラー4の2つのローラーを備えているが、3つ以上のローラーを備えていてもよく、そのうち複数が駆動ローラーであってもよい。
尚、「粘着性ベルト」とは、被記録媒体を支持する面に該被記録媒体を剥離可能に貼り付けて保持する粘着剤が塗られたベルトを意味する。
【0033】
また、粘着性ベルト2による被記録媒体Pの搬送経路には、インクを吐出するインク吐出部Fを備えた記録ヘッド6が備えられている。記録装置1は、キャリッジ5を介して搬送方向Aと交差する方向Bに記録ヘッド6を往復移動させながら、インク吐出部Fから被記録媒体Pにインクを吐出させて所望の画像を形成する。
【0034】
往復移動しながら記録する記録ヘッド6を用いる場合、被記録媒体Pの搬送が停止している間に記録ヘッド6を往復移動させて記録を行う。そのため、粘着性ベルト2による搬送は間欠的に行われる。より具体的には、記録ヘッド6のインク吐出部Fから被記録媒体Pに対してインクを吐出して行う記録と、粘着性ベルト2を所定量移動させて行う被記録媒体Pの搬送とが繰り返される。すなわち、記録ヘッド6は間欠記録を行い、それに伴って粘着性ベルト2は間欠駆動する構成である。
【0035】
「間欠駆動」とは、粘着性ベルト2を所定量dだけ移動させるよう回転体3が連続して駆動され、所定量dが送られると所定時間だけ回転体3の駆動が停止されて粘着性ベルト2が停止し、粘着性ベルト2の移動状態と停止状態を交互に切り替えて行う駆動方式である。
【0036】
なお、本実施例の記録装置1は、往復移動しながら記録する記録ヘッド6を備えているが、インクを吐出するノズルを搬送方向Aと交差する方向に複数設けた所謂ラインヘッドを備える記録装置でもよい。
ここで、「ラインヘッド」とは、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する交差方向に形成されたノズルの領域が、前記被記録媒体Pの前記交差方向全体をカバー可能なように設けられ、記録ヘッド又は被記録媒体の一方を固定し他方を移動させて画像を形成する記録装置に用いられる記録ヘッドである。なお、ラインヘッドの前記交差方向のノズルの領域は、記録装置が対応している全ての被記録媒体Pの前記交差方向全体をカバー可能でなくてもよい。このようなラインヘッドを備える記録装置の場合には、粘着性ベルト2は被記録媒体Pを連続搬送する構成とすることができる。
【0037】
本実施例の記録装置1では、被記録媒体Pは後述するように、所定の範囲内で粘着性ベルト2から剥離され、所定の位置に固定された従動ローラー7を介して、巻取部8により巻き取られる。なお、巻取部8は、被記録媒体Pを巻き取る際、回転方向Cに回転させる。
【0038】
巻取部8は、一定の角速度ω1で回転するように後述する制御部11によって制御されている。巻取部8の角速度ω1が一定である場合、被記録媒体Pの巻き取りによる巻取部8のロール径の増大に伴って、被記録媒体Pの巻き取り速度も大きくなる。そのため、巻取部8の一定の角速度ω1は小さく設定されるので、巻取部8には低容量のモーターを使用することができる。
このとき、巻取部8の被記録媒体Pの巻取量が少なくロール径が小さい初期段階では、巻取部8の巻き取り速度は低速になる
【0039】
また、巻取部8と従動ローラー7の間には、被記録媒体Pにインクを吐出して形成した画像を加熱乾燥するためのヒーターHが設けられている。形成された画像は、インク吐出部Fからインクが吐出されてからヒーターHに到達するまでの間に自然乾燥された後に、ヒーターHによる加熱領域を通過して加熱乾燥される。
前記自然乾燥と加熱乾燥による乾燥を経て、記録後の被記録媒体Pは巻取部8により巻き取られる。
【0040】
被記録媒体Pの搬送経路であって、被記録媒体Pが粘着性ベルト2から剥離される位置と従動ローラー7が設けられた位置との間には、第1センサー9と第2センサー10とが設けられている。
ここで、第1センサー9及び第2センサー10は、被記録媒体Pの面と交差する方向から光を照射し、被記録媒体Pの前記面からの反射光を受光することにより、第1センサー9及び第2センサー10の位置における被記録媒体Pの位置を検出することができる光学センサーであって、第1センサー9及び第2センサー10の位置における被記録媒体Pの位置を検出することによって、被記録媒体Pが粘着性ベルト2から剥離した位置を検出することができる。
このため、例えば、照射部と対向する側に反射部を設け該反射部からの反射光を受光する構成の光学センサーを用いて、被記録媒体Pの面に沿う方向から光を照射し、該反射光が被記録媒体Pで遮られたことを検出することにより、粘着性ベルト2に対して被記録媒体Pが剥離したことを検出するという従来の方法よりも検出精度が高い。このような従来の方法は、被記録媒体Pの面と交差する方向の長さ(厚さ)は短いため、光学センサーでの検出タイミングと該反射光が被記録媒体Pで遮られたタイミングとがずれることにより、検出ミスをすることがあるためである。
【0041】
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
図2は、本実施例の記録装置1のブロック図である。
制御部11には、記録装置1の全体の制御を司るCPU12が設けられている。CPU12は、システムバス13を介して、CPU12が実行する各種制御プログラムやメンテナンスシーケンス等を格納したROM14と、データを一時的に格納可能なRAM15と、接続されている。
【0042】
また、CPU12は、システムバス13を介して、記録ヘッド6を駆動するためのヘッド駆動部16と接続されている。
また、CPU12は、システムバス13を介して、キャリッジ5を移動させるためのキャリッジモーター18、被記録媒体Pを支持して搬送する粘着性ベルト2の移動機構としての駆動ローラー3の駆動源である搬送モーター19、巻取部8の駆動源である巻取モーター20、を駆動させるためのモーター駆動部17と接続されている。
また、CPU12は、システムバス13を介して、被記録媒体Pに形成された画像を加熱乾燥するヒーターHを駆動させるためのヒーター駆動部23と接続されている。
さらに、CPU12は、システムバス13を介して、入出力部21と接続されており、入出力部21は、第1センサー9、第2センサー10、記録データ等を記録装置1に入力する外部装置であるPC22、と接続されている。PC22はGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)24を備えている。
【0043】
次に、本実施例の記録装置1の要部拡大図を用い、さらに詳細に説明する。
図3から図5は、本実施例の記録装置1の要部拡大図である。
【0044】
図3から図5において、第1センサー9は、長さL1の検出範囲に被記録媒体Pが存在するか否か(被記録媒体Pの面からの反射光を入射したか否か)を検出することにより、粘着性ベルト2に対する被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1内か否かを検出することができる。すなわち、第1センサー9は、第1範囲R1で粘着性ベルト2に対して被記録媒体Pが剥離したことを検出する。
また、第2センサー10は、長さL2の検出範囲に被記録媒体Pが存在するか否か(被記録媒体Pの面からの反射光を入射したか否か)を検出することにより、粘着性ベルト2に対する被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1内の第2範囲R2内か否かを検出することができる。すなわち、第2センサー10は、第1範囲R1内の第2範囲R2で粘着性ベルト2に対して被記録媒体Pが剥離したことを検出する。
【0045】
図3は、被記録媒体Pの剥離位置25が、第1範囲R1内であるが第2範囲R2外である状態を表している。また、図4は、被記録媒体Pの剥離位置25が、第1範囲R1外(すなわち第2範囲R2外)である状態を表している。また、図5は、被記録媒体Pの剥離位置25が、第1範囲R1内であり第2範囲R2内でもある状態を表している。
すなわち、図3の状態を基準にすると、粘着性ベルト2による被記録媒体Pの搬送速度よりも巻取部8による被記録媒体Pの巻き取り速度が速い状態が続くか、粘着性ベルト2の移動が停止され巻取部8による被記録媒体Pの巻き取りが続くと、図4の状態になる。そして、粘着性ベルト2による被記録媒体Pの搬送速度よりも巻取部8による被記録媒体Pの巻き取り速度が遅い状態が続くか、巻取部8による被記録媒体Pの巻き取りが停止され粘着性ベルト2の移動が続くと、図5の状態になる。
【0046】
ここで、制御部11は、第1センサー9により被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1内であると検出されると被記録媒体Pを巻き取るよう巻取部8を制御する。図3及び図5は、被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1内である状態を表しており、制御部11の制御により、巻取部8が回転方向Cに被記録媒体Pを巻き取っている状態を表している。
また、図4は、被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1外である状態を表しており、制御部11の制御により、巻取部8による被記録媒体の巻き取り動作は停止され、記録ヘッド6による間欠記録に伴い駆動ローラー3は回転方向Cに間欠駆動している状態を表している。
【0047】
制御部11は、図6を用いて説明する第1モードを備えている
第1モードは、第2範囲R2で被記録媒体P粘着性ベルト2から剥離するように、第2センサー10の情報に基いて粘着性ベルト2の移動状態と停止状態とを切り換え、粘着性ベルト2による平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する。
【0048】
粘着性ベルト2の移動状態と停止状態とを切り換えて被記録媒体Pを搬送する場合、粘着性ベルト2が停止状態であるときにも、巻取部8による被記録媒体Pの巻き取りは続いている。
このことにより、粘着性ベルト2が停止しても、連続的に前記巻取部8による被記録媒体Pの巻き取りを行うことができる。
【0049】
加えて、粘着性ベルト2の平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御するので、粘着性ベルト2における巻き込みエラーを抑制しつつ、被記録媒体Pを一定の平均送り速度VCで下流側へ送ることができる。
【0050】
以って、前記吐出部による記録を行ってから、例えば、巻取部8の上流側に設けられたヒーターHに至るまでの到達時間を一定にすることが可能となる。すなわち、記録後の画像の乾燥時間のばらつきを低減することができるので、高画質の印刷を実現することができる。
【0051】
本実施例に係る記録装置1において、間欠駆動する粘着性ベルト2の移動状態は、記録ヘッド6による前記間欠記録に応じた所定量dを1回の駆動で送るように、粘着性ベルト2の移動時の移動速度VBと移動時間tBを一定に設定して駆動を行っている。
したがって、間欠駆動する粘着性ベルト2の停止時間t0を変えることによって、粘着性ベルト2の平均送り速度VAを変えることができる。停止時間t0が短いと平均送り速度VAは大きくなり、停止時間t0が長いと平均送り速度VAは小さくなる。
また、停止時間t0を一定とすることで、粘着性ベルト2による平均送り速度VAは一定になる。
【0052】
ここで、記録を実施して巻取部8に被記録媒体Pが巻き取られていくと、巻取部8の巻き取り速度は次第に大きくなるので、粘着性ベルト2の最大平均送り速度Vmaxは、巻取部8のロール径が大きくなった時の巻き取り速度に対応できる大きさに設定されている。平均送り速度VAが最大平均送り速度Vmaxになるときの停止時間t0はtminである。
制御部11による制御が行われない場合には、粘着性ベルト2は最大平均送り速度Vmaxで間欠駆動するものとする。
【0053】
次に、第2範囲R2で被記録媒体Pが粘着性ベルト2から剥離するように、第2センサー10の情報に基いて粘着性ベルト2の移動状態と停止状態とを切り換え、粘着性ベルト2による平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御する構成について、更に詳しく説明する。
【0054】
図6は、第1モードを行ったときの粘着性ベルト2の平均送り速度(上段)と、粘着性ベルト2の移動と停止の状態(中段)と、第2センサーによる検出(下段)との関係を示している。
まず、記録の開始時において、被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1の範囲であるが第2範囲R2の外にある状態から記録を始めるとき、制御部11による制御は行われないので、粘着性ベルト2は最大平均送り速度Vmax、すなわち停止時間t0=tminで間欠駆動する。
【0055】
記録装置1が記録を始めたときに、例えば、巻取部8がほぼ芯管の状態であり、巻取部8による被記録媒体Pの巻き取り速度が小さいときには、巻取部8による巻き取り量よりも粘着性ベルト2の送り量が多くなるので、記録を続けると被記録媒体Pの剥離位置25が第2範囲R2内に入った状態となる。
図5は、被記録媒体Pの剥離位置25が第2範囲R2内である状態を表しており、制御部11の制御により、粘着性ベルト2の移動を停止するよう駆動ローラー3の回転を停止している状態を表している。
【0056】
第2センサー10が剥離位置25を検出すると、制御部11が粘着性ベルト2の移動を停止するよう駆動ローラー3を制御する。粘着性ベルト2の移動の停止は、間欠駆動に伴う前記回転体の駆動がされていないタイミングに合わせて行っている。時間T1は、記録開始後、最初に第2センサー10が剥離位置25を検出した時間である。本実施例では、記録を開始して第2センサー10が初めて被記録媒体Pを検出したときを第1モードの開始とする。
なお、図6の下段のグラフにおいて、第2センサー10が剥離位置25を検出した状態はON、非検出の状態はOFFと表している。
【0057】
粘着性ベルト2が停止状態になると、巻取部8のみが回転駆動して被記録媒体Pを巻き取る。剥離位置25が第2範囲R2から外れると(図3)、第2センサー10が剥離位置25を非検出の状態(OFF)になり、粘着性ベルト2の移動が開始され、移動状態となる。
時間T2(図6の中段のグラフを参照)は、第2センサー10が剥離位置25を検出しなくなり、粘着性ベルト2の移動が再開された時間である。
このときの粘着性ベルト2が停止状態の時間、すなわち、時間T2−時間T1を停止時間t1という。
【0058】
停止時間t1を取得した後、時間T2以降の間欠駆動における粘着性ベルト2の停止状態の停止時間t0は、前記取得したt1の一定値に設定される。このことによって、第2範囲R2で記録媒体Pが粘着性ベルト2から剥離するように、前記粘着性ベルトの平均送り速度VAを一定の平均送り速度VCに制御することができる。
【0059】
停止時間t1は、第1モードによる記録開始時における巻取部8の巻き取り速度V1で被記録媒体Pを巻き取ったときに、第2センサー10の検出をONからOFFにすることができる時間である。停止時間t0=t1とすることによって、粘着性ベルト2の一定の平均送り速度VCを、第1モード開始時の巻取部8の巻き取り速度V1に対応する速度とすることができる。すなわち、平均送り速度VCを巻き取り速度V1とほぼ同じにすることができる。
【0060】
粘着性ベルト2による一定の平均送り速度VCは、第1モード開始時における巻取部8の巻き取り速度V1と同じであることが望ましい。平均送り速度VCが巻取部8の巻き取り速度V1と「同じ」とは、全く同じ値の速度である場合の他、実質的に巻取部8の巻き取り量と粘着性ベルト2による送り量とがほぼ等しくなる場合を含むものとする。
【0061】
巻取部8の巻き取り速度V1は、巻取部8における被記録媒体Pの積算巻き取り量と被記録媒体Pの厚みの情報に基き、巻取部8の半径r1を求めることにより、算出することもできる(V1=r1・ω1)。
巻取部8に、該巻取部8の半径を検出するセンサーや、巻き取り速度V1を直接測定する速度センサーを設けることも可能である。
【0062】
また、停止時間t0は停止時間t1よりも長く設定してもよい。停止時間を長くすると、平均送り速度VCは小さくなる。したがって、一定の平均送り速度VCよりも巻き取り速度V1の方が大きくなるので、粘着性ベルト2による被記録媒体Pの巻き込みを確実に防止することができる。
なお、粘着性ベルト2による一定の平均送り速度VCは、第1モード開始時における巻取部8の巻き取り速度V1以下の値で、ユーザーが設定できるようにすることもできる。
【0063】
なお、停止時間t0=t1にして粘着性ベルト2の移動状態と停止状態の切り替えを行う定速の搬送を続けると、巻取部8の巻き取り速度は次第に大きくなるため、図6の下段のグラフに示すように、粘着性ベルト2の停止状態の間に第2センサー10がOFFになるが、第1モード中は停止時間t0=t1の停止状態が優先される。
また、第1モードを行っている間に巻取部8の巻き取り速度は大きくなるので、第1モード開始時に設定した定速の平均送り速度VCでの搬送を続けると、被記録媒体Pの剥離位置が第2範囲R2を外れて第1範囲R1に移動することになる。
【0064】
なお、前記停止時間t1を取得する工程を行うことなく、一定のt0を設定して第1モードを実行することもできる。例えば、予め、巻取部8における被記録媒体Pの積算巻き取り量と停止時間t1との関係のデータをROM14に備え、PC22に記録された記録媒体Pの積算巻き取り量から、第1モード開始時を行った時に取得され得る停止時間t1を求め、その停止時間t1に基いて一定値を定めてもよい。
そして、第1モードの開始を、ユーザーの指示によって開始することも可能である。ユーザーの指示は、例えば、前記GUI24上に表示される開始ボタンを押すことによって行われる。
【0065】
また、第1モードは、一画像の記録が終了したときに解除される。また、ユーザーの指示によって解除することができる。ユーザーの指示は、例えば、前記GUI24上に表示される解除ボタンを押すことによって行われる。
【0066】
更に、第1モードにおける記録長が規定値を超えたときに解除されるように制御されることもできる。記録を続けると巻取部8のロール径が大きくなり、その巻き取り速度は第1モード開始時の巻き取り速度V1よりも次第に早くなる。一方、粘着性ベルト2は一定の平均送り速度VCに制御されているので、記録が長くなって巻取部8の巻き取り速度が平均送り速度VCを超えると、被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1外になる。被記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1外になると、第1センサー9により検出されて巻取部8の回転が停止する。このまま続行しても、粘着性ベルト2は一定の平均送り速度VCに制御されているので、巻取部8の上流側に設けられたヒーターHに至るまでの到達時間は一定のままにすることが可能で、記録後の画像の乾燥時間のばらつきを低減することができるが、巻取部8の回転が停止する状態になっている場合には巻取部8の回転が停止しないような、より高い平均送り速度に再設定することも可能なので、記録媒体Pの剥離位置25が第1範囲R1外になるような巻取部8の巻き取り速度になる前に第1モードを解除するようにあらかじめ設定しておくことも可能である。
【0067】
第1モードを行わない場合には、以下の第2モードによる記録を行う。
第2モードは、第2センサー10により被記録媒体の剥離位置25が第2範囲R2内であると検出されると粘着性ベルト2の移動を停止し、第2センサー10により被記録媒体Pの剥離位置25が前記第2範囲R2外であると検出されると粘着性ベルト2の移動を開始することを繰り返して行う。このときの粘着性ベルトの平均送り速度と、粘着性ベルト2の移動と停止の状態と、第2センサーによる検出との関係を図7に示す。
【0068】
巻取部8が芯管に近い小径の時に第2モードを実行すると、記録を行うに従い、巻取部8のロール径が大きくなって巻取部8による被記録媒体Pの巻き取り速度が大きくなる。したがって、第2センサー10の検出に基づいて粘着性ベルト2の移動と停止を繰り返すと、図7の中段のグラフに示すように、粘着性ベルト2の停止からその移動が開始されるまでの時間が徐々に短くなる。すなわち、前記粘着性ベルトの停止時間は短くなり、t1>t2>t3>t4>t5となる。
なお、図7の下段のグラフにおいては、第2センサー10が剥離位置25を検出した状態がON、非検出の状態がOFFである。
【0069】
前記粘着性ベルトの停止時間が短くなると、粘着性ベルト2の平均送り速度VAは次第に早くなる(図7の上段のグラフを参照)。巻取部8のロール径が十分に大きくなると、粘着性ベルト2の停止時間はtminとなり、粘着性ベルト2の平均送り速度VAは、粘着性ベルト2の移動速度Vmaxと等しくなる。
【0070】
以上のように、第2モードでは、巻取部8による被記録媒体Pの巻き取り速度が大きくなるにしたがって、粘着性ベルト2の平均送り速度VAも大きくなる。
第2モードによれば、巻取部8の巻き取り速度が大きくなるのに連動して、粘着性ベルト2の平均送り速度VAも大きくなるので、より生産性の高い記録を行うことができる。
【0071】
[記録装置1の他の構成について]
本実施例の記録装置1は、上記のように、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する方向Bに往復移動して記録する記録ヘッド6を備えている。
ここで、制御部11は、前記往復移動に伴って駆動ローラー3が間欠駆動するよう駆動ローラー3を制御する。そして、制御部11は、記録ヘッド6による記録中に、第2センサー10により被記録媒体Pの剥離位置25が第2範囲R2内であると検出されると、前記往復移動のうちの前記記録中の一方向への移動に伴う記録が終了してから記録ヘッド6をホームポジションに移動するようキャリッジモーター18等から構成される記録ヘッド6の移動機構を制御することが望ましい。
制御部11のこのような制御により、前記往復移動のうちの前記記録中の一方向への移動に伴う記録が途中で終了されることによって、記録画像に不具合が生じ、それまでの記録が無駄になるということを抑制しつつ、記録ヘッド6をホームポジションで保護している。
【0072】
本実施例の記録装置1は、上記のように、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する方向Bに往復移動して記録する記録ヘッド6を備えている。
ここで、制御部11は、前記往復移動に伴って駆動ローラー3が間欠駆動するよう駆動ローラー3を制御する。そして、前記間欠駆動に伴う駆動ローラー3の駆動前に、被記録媒体Pの剥離位置25が第2範囲R2内であるか否かを検出するよう第2センサー10を制御する。そして、第2範囲R2内であれば、粘着性ベルト2の移動の停止を維持するよう駆動ローラー3を制御する。そして、第2範囲R2内でなければ、前記間欠駆動に伴う前記駆動ローラー3の駆動タイミングに合わせて駆動ローラー3が駆動するよう駆動ローラー3を制御することが望ましい。
制御部11のこのような制御により、粘着性ベルト2の移動が停止した状態で被記録媒体Pの剥離位置25が第2範囲R2内であるか否かを検出している。そして、中途半端な位置で粘着性ベルト2の移動を停止させる等して記録動作に不具合を生じさせることを抑制している。
【0073】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 記録装置、2 粘着性ベルト、3 駆動ローラー、4 従動ローラー、
5 キャリッジ、6 記録ヘッド、7 従動ローラー、8 巻取部、
9 第1センサー、10 第2センサー、11 制御部、12 CPU、
13 システムバス、14 ROM、15 RAM、16 ヘッド駆動部、
17 モーター駆動部、18 キャリッジモーター、19 搬送モーター、
20 巻取モーター、21 入出力部、22 PC、23 ヒーター駆動部、
24 GUI、 25 被記録媒体Pの剥離位置、
H ヒーター、
L1 第1センサー9による被記録媒体Pの検出範囲、
L2 第2センサー10による被記録媒体Pの検出範囲、
P 被記録媒体、R1 第1範囲、R2 第2範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7