(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記濃度検出部により得られたすべての出力値の平均値又は前記担持体の表面の濃度を前記濃度検出部により検出したときの出力値に対して設定されている目標値との差が大きい出力値が連続する候補領域を、前記担持体の変形が生じている候補領域として決定し、前記担持体の変形が生じている候補領域を除外した他の候補領域に、各階調値の階調パターンを割り当てることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記候補領域ごとに決定された出力値の変化量が、各階調値の階調パターンに設定された出力値の変化量の許容条件を満たす候補領域に、各階調値の階調パターンを割り当て、
前記許容条件は、階調パターンの階調値が低いほど、許容できる出力値の変化量が小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の画像形成装置及び階調パターンの形成方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置Gの構成を機能ごとに表す機能ブロック図である。
図1に示すように、画像形成装置Gは、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15、画像生成部16、画像処理装置17、画像形成部18及び濃度検出部19を備えている。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、画像形成装置Gの各部を制御する。
例えば、制御部11は、画像生成部16によりビットマップ形式の画像データを生成させ、画像処理装置17により当該画像データに階調補正処理等の画像処理を施させる。制御部11は、画像処理された画像データに基づいて、画像形成部18により用紙上に画像を形成させる。
また、制御部11は、画像の濃度の安定化のため、階調補正処理時に画像処理装置17により用いられるLUT(Look Up Table)を更新することができる。
【0021】
記憶部12は、制御部11が読み取り可能なプログラム、ファイル等を記憶している。
記憶部12としては、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を用いることができる。
【0022】
操作部13は、操作キー、表示部14と一体に構成されたタッチパネル等を備え、これらの操作に応じた操作信号を制御部11に出力する。ユーザーは、操作部13により、ジョブの設定、処理内容の変更等の入力操作を行うことができる。
【0023】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等であることができ、制御部11の指示に従って操作画面等を表示する。
【0024】
通信部15は、制御部11の指示に従い、ネットワーク上のコンピューター、例えばユーザー端末、サーバー、他の画像形成装置等と通信する。通信部15は、例えばユーザー端末から送信されたPDL(Page Description Language)データを受信する。
【0025】
画像生成部16は、通信部15が受信したPDLデータをラスタライズ処理して、画素ごとに階調値を有するビットマップ形式の画像データを、C(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色ごとに生成する。階調値は、画像の濃淡のレベルを0〜100%の範囲内で表す信号値である。
また、画像生成部16は、スキャナーを備え、ユーザーによりセットされた原稿を当該スキャナーにより読み取って、R(赤)、G(緑)及びB(青)の各色の画像データを生成することもできる。画像生成部16は、各色R、G及びBの画像データを色変換処理して、各色C、M、Y及びKの画像データを生成する。
【0026】
画像処理装置17は、画像生成部16から入力されたC、M、Y及びKの画像データに対し、階調補正処理、中間調処理等の画像処理を施す。
階調補正処理は、画像データの各画素の階調値を、形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。画像処理装置17は、各階調値に対して補正後の階調値が定められたLUTを備え、このLUTを用いて各画素の階調値を補正後の階調値に変換する。
中間調処理は、例えば誤差拡散処理、ディザ法を用いたスクリーン処理等である。
【0027】
画像形成部18は、画像処理装置17により画像処理されたC、M、Y及びKの各色の画像データに基づき、トナー等の色材を用いて用紙上に画像を形成する。
図2は、画像形成部18の概略構成を示している。
図2に示すように、画像形成部18は、C、M、Y及びKの色ごとのユニット18C、18M、18Y及び18Kを備え、各ユニット18C、18M、18Y及び18Kは、露光部1、感光体2、現像部3等を備えている。また、画像形成部18は、中間転写ベルト4、2次転写ローラー5、定着装置6等を備えている。
【0028】
画像形成時、C色のユニット18Cでは、感光体2を帯電させた後、画像データの各画素の階調値に応じて変調されたレーザービームを露光部1により感光体2上に照射し、感光体2上に形成された静電潜像を現像部3によりC色のトナーを供給して現像する。同様にして、M、Y及びKの各色のユニット18M、18Y及び18Kにより感光体2上にM、Y及びKの各色のトナーで画像を形成する。各感光体2上に形成された各色の画像は、中間転写ベルト4の表面に重ねて転写される。中間転写ベルト4は画像の担持体であり、複数のローラーにより巻き回されて回動する。この回動によって中間転写ベルト4上の画像が2次転写ローラー5の位置に搬送されるタイミングに合わせて、図示しない給紙トレイから用紙が給紙され、2次転写ローラー5により中間転写ベルト4から用紙上に画像が転写される。転写後の用紙は定着装置6により定着処理される。定着処理は用紙を加熱及び加圧することにより、用紙上のトナーを用紙に定着させる処理である。
【0029】
濃度検出部19は、中間転写ベルト4上でC、M、Y及びKの各色の画像を重ねて得られた画像の濃度を検出する。そのため、濃度検出部19は、
図2に示すように中間転写ベルト4による画像の搬送方向において各ユニット18C、18M、18Y及び18Kよりも下流側の中間転写ベルト4の表面付近に配置されている。
濃度検出部19としては、濃度を検出できるのであれば、光学センサーであってもよいし、カラーラインセンサー等であってもよい。
濃度検出部19により検出される画像の濃度は、画像データの階調値と同様に画像の濃淡のレベルを0〜100%の範囲内で表す。
【0030】
図3は、光学センサーである場合の濃度検出部19の構成例を示している。
濃度検出部19は、
図3に示すように、光源191及び受光素子192を備えている。
濃度検出部19は、光源191により光を照射し、中間転写ベルト4の表面上で反射して受光素子192に入射した光を受光素子192により光電変換する。濃度検出部19は、光電変換により、受光素子192に入射した光の光量に応じた出力値を出力する。
【0031】
上記画像形成装置Gは、形成される画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように階調補正処理を行うため、階調補正処理に用いられるLUTを更新することができる。
一般的なLUTの更新は、次の手順により行われる。
まず、画像形成部18が、それぞれの階調値が段階的に異なる複数の階調パターンを中間転写ベルト4上に形成する。濃度検出部19は、中間転写ベルト4上に形成された各階調値の階調パターンの濃度を検出する。
【0032】
図4は、中間転写ベルト4上に形成された複数の階調パターンg1〜g12の一例を示している。
複数の階調パターンg1〜g12は中間転写ベルト4によって搬送され、この搬送方向において低い階調値から高い階調値へと順に並べて配置されて、グラデーションを形成している。各階調パターンg1〜g12の階調値は、それぞれ0%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%及び100%である。
図4中のスポットLsは、濃度検出部19の光源191から照射された光のスポットを表している。スポットLsの位置及び直径は、スポットLsの領域が各階調パターンg1〜g12の領域よりも小さくなるように、各階調パターンg1〜g12の位置及び面積に応じて決定されている。例えば、各階調パターンg1〜g12の搬送方向の長さが20mm、搬送方向と直交する方向の長さが15mmである場合、スポットLsの直径を3.5mmとすることができる。
【0033】
濃度検出部19から各階調パターンg1〜g12に対する出力値が得られると、制御部11が各出力値を所定の換算式を用いて濃度値に換算する。換算式は、出力値と濃度値の関係からあらかじめ求められている。制御部11は、換算により得られた濃度値を、各階調パターンg1〜g12の形成後の階調値として、当該形成後の階調値と各階調パターンg1〜g12の階調値との差に応じて、各階調値に対する補正後の階調値を決定し、LUTを生成する。具体的には、形成後の各階調値と各階調パターンg1〜g12の階調値との差を、各階調パターンg1〜g12の階調値に加算することにより、補正後の階調値を得ることができる。
【0034】
図5は、各階調値に対して決定された補正後の階調値を示している。
図5において、曲線K1は、各階調パターンg1〜g12の形成後の階調値の近似曲線であり、現在の画像の階調特性を表している。直線K2は入力階調値と出力階調値の関係が1:1となる直線であり、目標とする階調特性を表している。曲線K3は、補正後の階調値の近似曲線であり、直線K2を対称軸として曲線K1と線対称の関係にある。
制御部11は、曲線K3の入力階調値に対応する出力階調値、すなわち補正後の階調値をテーブル化することにより、LUTを作成することができる。
【0035】
上記階調パターンg1〜g12の形成時、中間転写ベルト4の表面に傷、凹凸、汚れ等があるか、クリープのような変形が生じている場合、濃度検出部19により得られた出力値が変動することがある。階調パターンg1〜g12の階調値が低いほど、中間転写ベルト4の傷、変形等の影響が大きく、出力値が変動しやすい傾向がある。
例えば、
図6(a)に示すように、階調値が低い階調パターンg2は中間転写ベルト4上のトナーの量が少なく、表面の傷30によって光の反射率が大きく変化するため、出力値の変動も大きくなる。一方、
図6(b)に示すように、階調値が高い階調パターンg11は中間転写ベルト4上のトナー量が多く、傷30がトナーによって被覆されるため、傷30による光の反射率の変化が小さい。そのため、出力値の変動も少ない。
【0036】
出力値が変動すると、現在の画像の階調特性を正確に特定できないため、精度良く階調補正できるように補正後の階調値を決定することが難しい。特に低階調の階調補正を精度良く行うことが難しくなる。例えば、変動した出力値によって決定された補正後の階調値を用いて各階調パターンg1〜g12を階調補正すると、形成後の階調パターンg1〜g3の濃度が、
図7(a)に示すように薄くなるか、
図7(b)に示すように濃くなり、濃度が安定しない。
【0037】
このような出力値の変動を減らすため、画像形成装置Gは、階調値が低いほど各階調パターンg1〜g12が形成される領域における濃度検出部19の出力値の変化量が小さくなるように、各階調パターンg1〜g12の形成位置を調整する。
図8は、画像形成装置Gが階調パターンg1〜g12を形成する際の処理手順を示している。
図8に示すように、階調パターンg1〜g12の形成に先立って、濃度検出部19が中間転写ベルト4の表面の濃度を検出する(ステップS1)。このとき、中間転写ベルト4の1周分の表面の濃度を検出してもよいが、階調パターンg1〜g12を形成する領域周辺の濃度のみ検出してもよい。
【0038】
濃度検出部19により出力値が得られると、制御部11は各階調値の階調パターンg1〜g12を形成する候補領域ごとに、出力値の変化量を決定する(ステップS2)。
制御部11は、候補領域の数を、各階調値の階調パターンg1〜g12の数よりも多くすることができる。余剰の候補領域があれば、出力値の変化量が大きい候補領域を除いて、階調パターンを形成することが可能となる。
例えば、階調パターンg1〜g12の場合、階調パターンg1〜g12の数が12であるので、候補領域の数を18とすることができる。
【0039】
図9は、濃度検出部19により得られた出力値を、18の候補領域R1〜R18ごとに表している。
図9に示すように、候補領域R3、R11及びR12に現れた急激な出力値の変動はスパイクノイズと呼ばれ、中間転写ベルト4の表面の傷に起因する。また、候補領域R17に現れた緩やかな出力値の変動は、中間転写ベルト4のクリープに起因する。
【0040】
制御部11は、各候補領域R1〜R18内で濃度検出部19により得られた複数の出力値と、濃度検出部19により得られたすべての出力値の平均値との差の絶対値を算出し、当該絶対値が最も大きい差を、出力値の変化量として決定することができる。
例えば候補領域R3の場合、
図10に示すように、候補領域R3で得られた各出力値の最小値が、すべての出力値の平均値との差の絶対値が最も大きい。よって、制御部11は当該最小値と平均値との差を候補領域R3の出力値の変化量として決定する。
【0041】
また、制御部11は、各候補領域R1〜R18内で濃度検出部19により得られた複数の出力値と、中間転写ベルト4の表面の濃度を濃度検出部19により検出したときの出力値に対して設定されている目標値との差の絶対値を算出し、当該絶対値が最も大きい差を出力値の変化量として決定することができる。目標値は、濃度検出部19の光源191の光量を調整するための基準値としても用いられる。
例えば候補領域R3の場合、
図11に示すように、候補領域R3における各出力値の最小値が、目標値との差の絶対値が最も大きい。よって、制御部11は当該最小値と目標値との差を候補領域R3の出力値の変化量として決定する。
【0042】
また、制御部11は、各候補領域R1〜R18内で濃度検出部19により得られた複数の出力値のうちの最大値と最小値の差を、出力値の変化量として決定することもできる。
例えば候補領域R3の場合、
図12に示すように、制御部11は、候補領域R3における出力値の最大値と最小値の差を出力値の変化量として決定する。
【0043】
次に、制御部11は、各候補領域R1〜R18の出力値を元に、各候補領域R1〜R18が中間転写ベルト4の変形が生じている候補領域であるか否かを決定する。
具体的には、制御部11は、平均値又は目標値との差が大きい出力値が連続する候補領域を、変形が生じている候補領域として決定することができる。差が大きいか否か、差が大きい出力値が連続するか否かは、それぞれの閾値との比較により判断することができる。各閾値は、求められる階調補正の精度に応じて任意に設定すればよい。
【0044】
中間転写ベルト4の変形が生じている候補領域が有る場合(ステップS3;Y)、制御部11は候補領域R1〜R18から変形が生じている候補領域を除外する(ステップS4)。除外後、ステップS5の処理に移行する。
中間転写ベルト4の変形が生じている領域が無い場合(ステップS3;N)、上記除外は行わずにステップS5の処理に移行する。
クリープのような変形が生じている候補領域では、変形によって濃度検出部19の受光素子192と中間転写ベルト4の表面との間の距離が変動し、変動する範囲も広い。そのため、階調値の高低によらず、どの階調パターンg1〜g12を形成しても、出力値が大きく変動する。上述のように、変形が生じている候補領域を除外することにより、中間転写ベルト4の変形による出力値の変動を減らすことができる。
【0045】
例えば、候補領域R17においては、
図13に示すように平均値との差が閾値以上の出力値が半数以上連続している。平均値との差が閾値以上である出力値が候補領域内で得られる出力値の半数以上連続する場合に変形が生じていると判断する場合、制御部11は、候補領域R17を変形が生じている候補領域であると決定し、階調パターンの候補領域R1〜R18から候補領域R17を除外する。
【0046】
次に、制御部11は、出力値の変化量が小さい候補領域から順に、各階調パターンg1〜g12のなかから階調値が低い階調パターンを割り当てる(ステップS5)。
図14は、各候補領域R1〜R18において決定された出力値の変化量の一覧を示している。
制御部11は、
図14に示すように、各候補領域R1〜R18の出力値の変化量が小さい順番を決定する。そして、制御部11は、この候補領域R1〜R18の順番と、低い階調値から高い階調値へと各階調パターンg1〜g12を並べた時の順番とが一致するように、各候補領域R1〜R18に各階調値の階調パターンg1〜g12を割り当てていく。
【0047】
図14に示す一覧において、出力値の変化量が最も小さいのは候補領域R10であるため、候補領域R10には階調値が最も低い0%の階調パターンg1が割り当てられている。2番目に出力値の変化量が小さい候補領域R18には階調値が2番目に低い5%の階調パターンg2が割り当てられ、3番目に出力値の変化量が小さい候補領域R16には階調値が3番目に低い10%の階調パターンg3が割り当てられる。このようにして、候補領域R17を除く他の18の候補領域R1〜R18のうち、12の候補領域に12の階調パターンg1〜g12がそれぞれ順番に割り当てられている。
【0048】
すべての階調パターンg1〜g12の割り当てが終了すると、制御部11は、中間転写ベルト4上の割り当てられた各候補領域R1〜R18の位置に各階調値の階調パターンg1〜g12を、画像形成部18により形成させる(ステップS6)。
具体的には、制御部11は、各候補領域R1〜R18に対応する位置に、候補領域R1〜R18に割り当てられた階調パターンg1〜g12がそれぞれ配置された画像データを生成し、画像形成部18に出力する。画像形成部18は、当該画像データに基づいて中間転写ベルト4上に各階調値の階調パターンg1〜g12を形成する。
【0049】
図14に示す割り当ての場合、中間転写ベルト4上には、
図15に示すように配置された各階調値の階調パターンg1〜g12が形成される。
図15に示すように、候補領域R1〜R18の数が階調パターンg1〜g12の数よりも多いため、各階調値の階調パターンg1〜g12は、傷、クリープ等による出力値の変化量が大きい領域を除いて形成され得る。
候補領域R1〜R18の数と階調パターンg1〜g12の数が同じ場合でも、出力値の変化量が大きい候補領域には階調値が高い階調パターンが割り当てられるため、当該階調パターンの出力値の傷等による変化は小さい。よって、低い階調値から高い階調値まですべての階調パターンg1〜g12において濃度検出部19の出力値の変動を減らすことができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置Gは、それぞれの階調値が段階的に異なる複数の階調パターンg1〜g12を、中間転写ベルト4上に形成する画像形成部18と、階調パターンg1〜g12の形成に先立って、中間転写ベルト4の表面の濃度を検出する濃度検出部19と、濃度検出部19の出力値の変化量を、中間転写ベルト4上において各階調値の階調パターンg1〜g12を形成する候補領域R1〜18ごとに算出し、当該出力値の変化量が小さい候補領域R1〜R18から順に階調値が低い階調パターンg1〜g12を割り当てて、中間転写ベルト4上の割り当てられた各候補領域R1〜R18の位置に各階調値の階調パターンg1〜g12を画像形成部18により形成させる制御部11と、を備える。
【0051】
これにより、階調パターンg1〜g12の階調値が低いほど、傷、凹凸、汚れ等が少なく、濃度検出部19の出力値の変動が小さい領域に形成することができる。階調値が低い階調パターンから得られる濃度検出部19の出力値は傷等に起因する変動が小さく、階調値が高い階調パターンは傷等がある候補領域に形成された場合でも出力値の変動が小さい。低い階調値から高い階調値まですべての階調パターンg1〜g12から得られる出力値の変動を減らすことができ、正確な出力値を得ることができる。正確な出力値を用いて補正後の階調値を決定することにより、精度良く階調補正を行うことができる。
【0052】
傷等に起因する濃度検出部19の出力値の変動を減らすため、傷等を避けるように階調パターンg1〜g12を複数セット形成する、階調パターンg1〜g12の面積を拡大して傷等を覆う等の対策もあるが、これらの対策によればトナーの消費量が増加し、コストが上昇する。これに対し、本実施の形態の画像形成装置Gは、傷等を避けるように各階調パターンg1〜g12の形成位置を調整しているので、トナーの消費量を増やすことなく出力値の変動を減らすことができる。
【0053】
〔他の実施の形態〕
他の実施の形態の画像形成装置は、各階調値の階調パターンに対して、階調値が低いほど許容できる出力値の変化量が小さくなるように許容条件を設定し、出力値の変化量が当該許容条件を満たす候補領域に各階調値の階調パターンを割り当てる。これにより、上述した実施の形態の画像形成装置Gと同様に、候補領域内の出力値の変化量が小さい順に階調値が低い階調パターンを配置することができる。
【0054】
他の実施の形態の画像形成装置は、
図8に示す画像形成装置Gの処理手順のうち、ステップS5の処理内容を次のように変更することにより、実現することができる。
図8に示すステップS5において、制御部11は、出力値の変化量が、各階調値の階調パターンg1〜g12ごとに設定された出力値の変化量の許容条件を満たす候補領域に割り当てる。許容条件は、階調パターンg1〜g12の階調値が低いほど、許容できる出力値の変化量が小さくなるように設定されている。
【0055】
図16は、各階調値の階調パターンg1〜g12に設定された許容条件の一例を示している。
図16に示すように、各階調値の階調パターンg10〜g12は、0〜10%、20〜40%、50〜70%、80〜100%の階調値の範囲ごとに、許容される出力値の変化量としてそれぞれ0.04V、0.06V、0.08V、0.10Vと設定されている。
なお、0〜10%の各階調値の階調パターンg1〜g3の許容条件は同じであるが、階調値が低い順に出力値の変化量がより小さい候補領域に優先的に割り当てられるように割り当て順が設定されている。このような割り当て順は、20〜40%、50〜70%、80〜100%の階調値の範囲の許容条件においても同様に設定されている。
【0056】
図16に示す許容条件に応じて、制御部11は、各候補領域R1〜R18のうち、出力値の変化量が0〜10%の各階調値の階調パターンg1〜g3の許容条件を満たす少なくとも3つの候補領域を抽出する。
図14に示す例の場合、許容条件に該当する候補領域は、候補領域R10、R18、R16、R6、R7、R14、R9及びR15である。
制御部11は、
図16に示す割り当て順にしたがって、抽出された少なくとも3つの候補領域のうち、出力値の変化量が最も小さい候補領域R10に0%の階調値の階調パターンg1を割り当てる。また、制御部11は、出力値の変化量が2番目及び3番目に小さい領域R18及びR16のそれぞれに、5%及び10%の階調値の階調パターンg2及びg3を割り当てる。同様にして、制御部11は、20〜40%、50〜70%、80〜100%の各階調値の階調パターンg4〜g12を、残りの各候補領域R1〜R9、R11〜R15及びR17に割り当てる。これにより、中間転写ベルト4上には、
図15に示すように配置された各階調値の階調パターンg1〜g12が形成される。
【0057】
上記実施の形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、制御部11に上記処理手順を実行させるためのプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としては、ROM、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、当該プログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。