(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るカメラ装置の実施形態の構成を説明する制御ブロック図である。
図1において、カメラ装置1は、撮影範囲の画像を撮像して画像情報を出力する画像撮像部7と、画像撮像部7の露光を制御する露光制御部5と、画像撮像部7の露光に同期して撮影範囲の少なくとも一部に照射する投光部3とを備える。また、カメラ装置1は、画像撮像部7が出力する画像情報及びこの画像情報の撮像時の投光部3の投光情報を相互に関連付けて記憶する画像記憶部9と、前記画像上に複数の画像領域を設定する画像領域設定部11とを備える。
【0011】
さらに、カメラ装置1は、画像領域毎に動き量が大きい画像領域ほど、同期検波に使用するフレーム数を少なく設定する使用フレーム数設定部13と、使用フレーム数設定部13が設定したフレーム数を用いて画像領域別に同期検波処理を行う領域別同期検波処理部15を備える。画像出力部17は、領域別に同期検波処理された画像を合成して、検波画像として出力するものである。
【0012】
本実施形態では、カメラ装置1は、車両前方の画像を撮像して出力する場合を説明するが、車両側方の画像或いは車両後方の画像を撮像するカメラ装置へ適用できることは明らかである。投光部3は、車両の前部、例えば、車両のフロントバンパーに設けられ、車両前方の撮影範囲の少なくとも一部を照射する。投光部3が撮影範囲へ照射する光の強度(或いは光量、以下、投光強度と略す)は、露光制御部5から与えられる制御信号により、投光強度が時間経過に従って一定の周期で変化する光である。投光部3が照射する光は、連続光であってもよいし、パルス光であってもよいが、連続光の場合、画像撮像部7が露光していない時間帯にも光を照射するために、光のエネルギー効率が低下する。本実施形態では、画像撮像部7が撮像する各フレームの露光時間に同期したパルス光としている。
【0013】
投光部3の具体的な光源としては、キセノンランプ、水銀灯、発光ダイオード等が光源として利用可能である。光源の寿命の長さ、光源を駆動する電源の小型軽量化、投光強度の制御性、投光部3全体の車両への搭載の容易性からは、発光ダイオードが好ましい。
【0014】
図2(a)は、画像撮像部7が撮像する動画像の連続する6フレームに相当する期間に投光部3が照射する投光強度の変化が1周期分(T1 )に対応する例を示している。
図2(b)は、画像撮像部7が撮像する動画像の連続する12フレームに相当する期間に投光部3が照射する投光強度の変化が2周期分(T2 =2T1 )に対応する例を示している。実際には、投光部3の投光強度は、最小値が0なので、正弦波に、この正弦波のピークツーピーク値の1/2の直流分を加算した式(1)に示すような投光強度の波形となる。
【0015】
投光強度=A(1+sin(ωt+α)) …(1)
ただし、ω=2π/T1
同期検波によるランダムノイズの抑制効果は、同期検波に使用するフレーム数を多くするほど高まるが、フレーム数を多くするほど動きノイズが大きくなり、従来の技術では、同期検波に使用するフレーム数を一定としていた。本発明では、画像を複数の領域に分割し、同期検波に使用するフレーム数を分割した画像領域毎に変化させることにより、ランダムノイズと動きノイズの双方を低減した同期検波画像を得ることができる。
【0016】
画像撮像部7は、CCDやCMOS等の2次元に光電変換素子が配列された半導体撮像素子を用いて、車両前方の画像を撮像して画像情報を出力する画像撮像部である。画像撮像部7は、例えば、車両のフロントガラス(ウインドシールド)上端部の車内側、或いは、ルーフの前端部の車外に設けられ、車両前方の画像を撮影可能となっている。
【0017】
露光制御部5、画像記憶部9、画像領域設定部11、使用フレーム数設定部13、領域別同期検波処理部15及び画像出力部17は、CPUとプログラムROMとRAMと入出力インタフェースとを備えた図示しないマイクロコンピュータで構成されている。そして、露光制御部5、画像記憶部9、画像領域設定部11、使用フレーム数設定部13、領域別同期検波処理部15及び画像出力部17の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。尚、比較的低速のプログラムROMに記憶された制御プログラムは、リセット時に比較的高速のRAMのプログラムエリアに読み出されて実行が開始される。画像記憶部9は、RAM内に同期検波に使用するフレーム数より多いフレーム数の画像を記憶するエリアとして確保され、エリアが満杯となると、最も古いフレームが順次新しいフレームの画像情報で上書きされる領域である。
【0018】
露光制御部5は、画像撮像部7のフレーム毎の露光を制御するとともに、投光部3の投光タイミング及び投光強度、言い換えれば投光時の光量を制御する。さらに、露光制御部5は、画像撮像部7が撮像したフレーム毎の画像情報に対する、そのフレームが撮影されたときの投光部3の投光情報として、例えば、
図2に示した投光強度の変化の位相情報をフレーム毎に画像記憶部9へ出力する。
【0019】
画像記憶部9は、画像撮像部7で撮像されたフレーム毎の画像情報に、露光制御部5が出力した投光情報を関連付けてフレーム毎に順次記憶する。画像領域設定部11は、画像記憶部9に記憶された画像情報に対して、各フレーム毎に複数の画像領域を設定する。複数の画像領域を設定する場合、例えば、画像中の消失点の位置を計算し、消失点の位置から各画素の位置までの距離に応じて、画像を複数の領域に分割することにより、複数の領域を設定する。画像中の消失点の位置を求めるには、画像中から道路面上の路側帯と走行車線の境界を示す白線、または走行車線を区切る白線による破線、或いはセンターライン等を抽出し、これら白線等を延長した線の交点の位置を計算して、消失点の位置とする。白線または走行車線を区切る線の検出方法は、本願出願人による特開2007−003286号公報(特許第4665622号)等の走行車線を検出する技術により公知であるので省略する。
【0020】
次に
図3を参照して、画像中の消失点Pvの例と、消失点Pvの位置からの距離に応じて、画像を複数の領域に分割して、各領域を設定する例を説明する。
図3の例では、消失点Pvからの距離が短い順に、3つの領域Aa、Ab、Acに分割した例を示している。尚、領域の分割数は、3に限らず、2以上の領域であれば、2,4,5等,幾つでもよい。また、
図3では、消失点Pvを含む長方形の領域Aaと、その外側の長方形から長方形の領域Aaをくり抜いた形状の領域Abと、領域Aa及び領域Abの外側に存在するフレーム画像の残りの領域からなる領域Acとした。しかしながら、分割する領域の境界線の形状は、長方形に限らず、それぞれ消失点Pvを中心とする同心円状としてもよい。この場合、分割された領域の形状は、消失点Pvを含む円形と、その外側のリング形状となる。但し、最も外側の領域は、長方形から円形をくり抜いた形状となる。
【0021】
このように画像の消失点Pvからの距離が短い順に、画像の領域を複数の領域に分割すると、カメラからの距離が長い領域と、中間領域と、距離が短い領域に画像を領域分割することができる。そして、カメラからの距離が長い領域ほど、その領域の画像上での撮影対象の動き量は小さいと考えられる。逆に、カメラからの距離が短い領域ほど、その領域の画像上での撮影対象の動き量は大きいと考えられる。即ち、画像の消失点から各画素までの距離に応じて画像の領域を分割して、複数の領域を設定したことになる。
【0022】
また、画像領域設定部11が設定する画像領域分割の基準点は、消失点Pvに限らず、画像の中心点としてもよい。画像の中心点とは、画像の一隅に設定した原点の画素番号座標を(1,1)とし、画像の横方向の画素数をNh、縦方向の画素数をNvとしたとき、(Nh/2,Nv/2)の画素番号を有する画素が画像の中心点である。この場合も、消失点を基準とした場合と同様に、画像の中心点から近い順に、領域Aa、Ab、Acに分割することができる。
【0023】
画像領域分割の基準を画像の中心点とする場合、白線検出や消失点の位置計算を省略することができ、画像領域分割が容易となるという効果がある。
【0024】
尚、画像撮像部7の光軸が、車両の前後方向軸と平行、且つ、水平となるように車両に取り付けられ、車両が平坦な直線路を直進している際には、画像の消失点の位置と画像の中心点の位置とが一致することは、幾何学的に明らかである。
【0025】
使用フレーム数設定部13は、消失点Pvの位置に近ければ近いほど、各領域の画像上での撮影対象の動きが遅いとして、消失点Pvの位置に近い順に、領域の画像の同期検波に使用するフレーム数が多くなるように設定する。逆に、消失点Pvから遠ざかるほど、領域の画像の同期検波に使用するフレーム数を少なくなるように設定する。即ち、領域Aaの同期検波に使用するフレーム数を18とし、領域Abの同期検波に使用するフレーム数を12とし、領域Acの同期検波に使用するフレーム数を6としている。画像の中心点を基準として、中心点からの距離に応じて画像を複数の領域に分割した場合も、消失点からの距離が短い順に分割した場合と同様に、領域毎にフレーム数を設定する。
【0026】
領域別同期検波処理部15は、画像領域設定部が設定した画像の各領域毎に、使用フレーム数設定部13が設定したフレーム数を使用して、画像の同期検波処理を行う。画像の同期検波処理そのものは、先行技術文献欄で紹介した特許文献1や非特許文献1等に記載されている周知技術であるので、説明を省略する。
【0027】
画像出力部17は、領域別同期検波処理部15が処理した、領域毎の同期検波画像を合成して、検波画像として出力する。
【0028】
次に、
図4のフローチャートを参照して、本実施形態のカメラ装置1の動作を説明する。
図4のフローチャートは、上述したCPUが実行する制御プログラムの概略である。まず、カメラ装置1の電源が投入されると、図示しないリセット動作が行われ、
図4のフローチャートの実行が開始される。
【0029】
まずステップS102において、画像撮像部7に対して1つのフレームの露光開始を指示する。次いでステップS104において、投光周期の位相に応じた投光パルスを生成する。この投光パルスは、
図2に示したように、例えば、式(1)で示した投光強度に応じてパルス振幅変調(PAM)するか、或いは、パルス幅変調(PWM)したものとなる。PAMとPWMのいずれの変調方式をとるかは、投光部3に使用する光源に応じて設定すればよい。一般に、光源がキセノンランプのような放電管であれば、放電管に印加する電圧を変化させるPAMが適し、発光ダイオードのような光源では、電流のパルス幅を変化させるPWMが適している。
【0030】
次いでステップS106において、この投光パルスを投光部3へ出力して投光部3から投光し、画像撮像部7の撮影範囲を照射する。次いでステップS108において、1つのフレームの露光時間が経過するまで待機する。1つのフレームの露光時間が経過すると、ステップS110へ制御を進める。ステップS110では、画像撮像部7に対して露光終了を指示する。次いでステップS112において、ステップS104で投光パルスを生成したときの投光周期の位相情報を画像記憶部9へ出力する。次いでステップS114において、画像記憶部9に1フレーム分の画像情報と、この画像情報が撮像されたときの投光周期の位相情報を相互に関連付けて記憶させる。
【0031】
次いでステップS116において、同期検波に使用するフレーム数の画像が画像記憶部9に有るか否かを判定する。同期検波に使用するフレーム数の画像がなければ、新たなフレームを取得するためにステップS102へ戻る。ステップS116の判定において、同期検波に使用するフレーム数の画像が画像記憶部9に有れば、制御をステップS118へ進める。
【0032】
ステップS118では、画像記憶部9に記憶した画像を読み出す。次いでステップS120においては、画像上から路面に引かれた連続した白線または破線の白線のいずれかから2本以上の白線を検出し、これらの線を延長して得られる交点の位置を消失点の位置として算出する。次いでステップS122において、消失点の位置からの距離に応じて、画像を複数の画像領域に分割する。次いでステップS124において、ステップS122で分割した領域毎の同期検波に使用するフレーム数を設定する。次いでステップS126において、ステップS124で設定したフレーム数を使用して、分割した領域毎に画像の同期検波処理を行う。次いでステップS128で全ての領域で同期検波処理が完了したか否かを判定する。完了していなければ、未処理の領域の使用フレーム数を設定するためにステップS124へ戻る。ステップS128の判定で完了していれば、ステップS130へ制御を進める。
【0033】
ステップS130においては、領域別に同期検波処理された画像を一つの画像に合成する。次いでステップS132において、合成された画像を検波画像として出力する。次いでステップS134において、電源オフか否かを判定し、電源オフであれば、動作を終了する。ステップS134の判定において、電源オフでなければ、次のフレーム画像を取得するために、ステップS102へ戻る。
【0034】
このように、本実施形態では、例えば、
図3に示したように、消失点Pvに近く動きの遅い画像の領域Aa、即ち、画像フレーム毎の画像上での撮影対象の動き量が小さい領域では、同期検波に使用するフレーム数を多くし、18フレームとしている。逆に、消失点Pvから遠く動きの速い画像の領域Ac、即ち、画像フレーム毎の画像上での撮影対象の動き量が大きい領域では、同期検波に使用するフレーム数を少なくし、6フレームとしている。そして、領域Aaと領域Acとの中間の領域Abでは、両者の中間のフレーム数である12フレームとしている。このため、従来例の同期検波に使用するフレーム数を固定した場合に対して、動きノイズとランダムノイズとの双方のノイズを低減した同期検波画像が得られるという効果がある。画像の領域分割の基準に画像中心点を用いた場合も同様の効果がある。
【0035】
次に、
図5を参照して、本実施形態の効果を定量的に説明する。ランダムノイズの強度をNr,動きノイズ強度をNm,同期検波に使用するフレーム数に相当する時間をT、撮影対象とカメラ装置の相対速度をVpとする。
【0036】
ランダムノイズNrは、次の式(2)で示される。即ち、ランダムノイズNrは、同期検波に使用するフレーム数に相当する時間Tの平方根の逆数に比例する。
【0037】
Nr∝1/√T …(2)
動きノイズNmは、次の式(3)で示される。即ち、動きノイズNmは、相対速度Vpと同期検波に使用するフレーム数に相当する時間Tとの積に比例する。従って、動きノイズNmは、相対速度Vpが大きいほど傾きが大きい直線となる。
【0038】
Nm∝Vp・T …(3)
例えば、従来例では、撮影対象の動きに係わらず一律に6フレームを使用して同期検波していた。本実施形態では、画像上での撮影対象の動きの速い領域では、6フレームを使用して同期検波し、画像上での撮影対象の動きの遅い領域では、18フレームを使用して同期検波している。これにより、画像上での撮影対象の動きの遅い領域で、ランダムノイズを従来比約30%低減することができる。
【0039】
以上、好ましい実施形態を説明したが、これは本発明を限定するものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて判断されるべきものである。