(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数相のコイルを有するモータの回転子の回転位置に対応する信号レベルを有する複数のセンサ信号に基づいて、上記回転位置に対応する各位相を示す位相情報信号を発生して当該モータの回転子の回転位置を検出する角度検出装置であって、
上記各センサ信号をそれぞれセンサ処理信号として入力し、上記各センサ処理信号間が交差するタイミングを検出して上記各センサ処理信号間の交点を検出する交点検出部と、
上記各センサ処理信号間が交差するタイミングに基づいて、上記各センサ処理信号間の交点の振幅レベルである交点レベルを検出する交点レベル検出部と、
上記検出された交点レベルを所定の振幅レベルとなるように調整し、当該調整された各センサ処理信号を交点レベル調整信号として出力する交点レベル調整部と、
上記所定の振幅レベルと基準レベルとの間の位相区間において、上記交点レベル調整信号が上記所定の各位相に対応する複数のしきい値レベルに到達したことを検出して位相情報信号を生成して出力する位相検出部とを備えたことを特徴とする角度検出装置。
上記モータの回転子の回転位置に対応する信号レベルを有する上記センサ信号をそれぞれ生成して出力する複数の磁気センサを備え、上記複数の磁気センサは電気角120度間隔で配置されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置。
上記所定の各位相に対応する複数のしきい値レベルはそれぞれ、上記所定の各位相に応じて比例していることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0011】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る角度検出装置1の構成を示すブロック図である。
図1において、角度検出装置1は、複数相のコイルを有するモータM1の回転子の周囲にその回転角の検出のために設けられた磁気センサ(以下、センサという。)S1〜S3(U相,V相,W相)を備えて構成される。また、角度検出装置1は、各センサS1〜S3からの各センサ信号U1,V1,W1に基づいて、モータM1の位相情報を検出して出力する。さらに、角度検出装置1は、センサ信号U1,V1,W1の各1対間の交点を検出する交点検出部2と、ゼロクロス検出部3と、信号選択部4と、交点レベル検出部5と、交点レベル調整部6と、位相検出部7とを備えて構成される。ここで、交点検出部2は、センサ信号U1とセンサ信号V1とが交差するタイミングを検出する比較器21と、センサ信号V1とセンサ信号W1とが交差するタイミングを検出する比較器22とを備えて構成される。また、交点検出部2は、センサ信号W1とセンサ信号U1とが交差するタイミングを検出する比較器23とを備えて構成される。なお、角度検出装置1を備えたモータ駆動制御装置が当該角度検出装置1からの位置情報に基づいてモータM1の回転子を駆動制御する。ここで、モータ駆動制御装置は、角度検出装置1を備える。
【0012】
信号選択部4は、ロジック回路部41と、スイッチSWとを備えて構成される。また、位相検出部7は、複数N−1個の電圧源72−1〜72−(N−1)と、複数N個の位相検出器71−1〜71−Nとを備えて構成される。ここで、角度検出装置1は、モータM1の回転子の回転位置に対応する信号レベルを有する複数のセンサ信号に基づいて、モータM1の回転子の回転位置に対応する各位相を示す位相情報信号SPHを発生して当該モータM1の回転子の回転位置を検出する。また、交点検出部2は、各センサ信号U1,V1,W1をそれぞれセンサ処理信号として入力し、各センサ処理信号間が交差するタイミングを検出して当該各センサ処理信号間の交点を検出する。
【0013】
図1において、センサS1,S2,S3から出力されるセンサ信号U1,V1,W1は、複数のコイルを有するモータM1の回転子の磁束密度の変化に応じて連続的に変化する信号である。ここで、各センサS1,S2,S3は、ホール素子を使用し、当該ホール素子から生成される信号をセンサ信号U1,V1,W1とし、各センサ信号U1,V1,W1の形状は正弦波もしくは正弦波に近い波形である。また、各センサ信号U1,V1,W1は、電気角120度間隔で配置される。
【0014】
比較器21は、センサ信号U1の振幅レベルとセンサ信号V1の振幅レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する交点検出信号UVを生成して、当該交点検出信号UVを交点レベル検出部5及びロジック回路部41に出力する。すなわち、センサ信号U1の振幅レベルがセンサ信号V1の振幅レベル以上となる場合にはハイレベルの交点検出信号UVを、センサ信号U1の振幅レベルがセンサ信号V1の振幅レベル未満の場合にはローレベルの交点検出信号UVを出力する。
【0015】
比較器22は、センサ信号V1の振幅レベルとセンサ信号W1の振幅レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する交点検出信号VWを生成して、当該交点検出信号VWを交点レベル検出部5及びロジック回路部41に出力する。すなわち、センサ信号V1の振幅レベルがセンサ信号W1の振幅レベル以上となる場合にはハイレベルの交点検出信号VWを、センサ信号V1の振幅レベルがセンサ信号W1の振幅レベル未満の場合にはローレベルの交点検出信号VWを出力する。
【0016】
比較器23は、センサ信号W1の振幅レベルとセンサ信号U1の振幅レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する交点検出信号WUを生成して、当該交点検出信号WUを交点レベル検出部5及びロジック回路部41に出力する。すなわち、センサ信号W1の振幅レベルがセンサ信号U1の振幅レベル以上となる場合にはハイレベルの交点検出信号WUを、センサ信号W1の振幅レベルがセンサ信号U1の振幅レベル未満の場合にはローレベルの交点検出信号WUを出力する。
【0017】
ゼロクロス検出部3は、各センサS1,S2,S3からのセンサ信号U1,V1,W1に基づいて、各センサ信号U1,V1,W1の振幅レベルが基準レベルを通過するゼロクロス点を検出してゼロクロストグル信号S
Tを生成する。次に、ゼロクロス検出部3は、当該ゼロクロストグル信号S
Tを交点レベル調整部6に出力する。すなわち、ゼロクロス検出部3は、各センサ信号U1,V1,W1が基準レベルを通過するタイミングを検出する。ここで、基準レベルは振幅レベル0である。
【0018】
ロジック回路部41は、交点検出信号UV,VW,WUの信号レベルの変化に基づいて、振幅レベルが調整されるセンサ信号を選択するようにスイッチSWを制御する。ロジック回路部41は、交点検出信号UV,VW,WUの結果からW1<U1<V1又はW1>U1>V1の時にはセンサ信号U1を選択信号Xとして選択する。また、ロジック回路部41は、V1<W1<U1又はV1>W1>U1の時にはセンサ信号W1を選択信号Xとして選択する。さらに、ロジック回路部41は、U1<V1<W1又はU1>V1>W1の時にはセンサ信号V1を選択信号Xとして選択する。すなわち、ロジック回路部41は、交点検出信号UVがローレベルからハイレベルに変化するタイミングから交点検出信号WUがハイレベルからローレベルに変化するタイミングまでの時間期間では、スイッチSWを接点aに切り替えてセンサ信号U1を選択する。また、ロジック回路部41は、交点検出信号VWがローレベルからハイレベルに変化するタイミングから交点検出信号UVがハイレベルからローレベルに変化するタイミングまでの時間期間では、スイッチSWを接点bに切り替えてセンサ信号V1を選択する。さらに、ロジック回路部41は、交点検出信号WUがハイレベルからローレベルに変化するタイミングから交点検出信号VWがローレベルからハイレベルに変化するタイミングまでの時間期間では、スイッチSWを接点cに切り替えてセンサ信号W1を選択する。
【0019】
交点レベル検出部5は、交点検出信号UVの信号レベルがローレベルからハイレベルに変化するタイミング及びハイレベルからローレベルに変化するタイミングにおいてそれぞれ、センサ信号U1とセンサ信号V1との交点の振幅レベルを検出する。次に、交点レベル検出部5は、当該振幅レベルの値を交点レベル調整部6に出力する。また、交点レベル検出部5は、交点検出信号VWの信号レベルがローレベルからハイレベルに変化するタイミング及びハイレベルからローレベルに変化するタイミングにおいてそれぞれ、センサ信号V1とセンサ信号W1との交点の振幅レベルを検出する。次に、交点レベル検出部5は、当該振幅レベルの値を交点レベル調整部6に出力する。さらに、交点レベル検出部5は、交点検出信号WUの信号レベルがローレベルからハイレベルに変化するタイミング及びハイレベルからローレベルに変化するタイミングにおいてそれぞれ、センサ信号W1とセンサ信号U1との交点の振幅レベルを検出する。次に、交点レベル検出部5は、当該振幅レベルの値を交点レベル調整部6に出力する。すなわち、交点レベル検出部5は、交点検出部2からの交点検出信号UV,VW,WUに基づいて、センサ信号U1,V1,W1の各1対間の交点の振幅レベルを検出し、当該検出された振幅レベルの値を交点レベル調整部6に出力する。
【0020】
交点レベル調整部6は、ゼロクロストグル信号S
T及びセンサ信号U1〜W1の各1対間の交点の振幅レベルに基づき、信号選択部4により選択された選択信号Xを、当該交点の振幅レベルがゼロクロス点を基準レベルとして所定の振幅レベルとなるように調整する。次に、交点レベル調整部6は、当該調整された信号を交点レベル調整信号Yとして位相検出部7に出力する。ここで、交点レベル調整部6は、各センサ信号U1,V1,W1が基準レベルを通過するゼロクロス点を基準レベルとして交点レベル調整信号Yを調整する。
【0021】
位相検出部7は、交点レベル調整信号Yを、複数N−1個の電圧源72−1〜72−(N−1)により生成されかつ互いに所定電圧差だけ異なる複数のしきい値レベルと比較することで、モータM1が回転した所定の角度を位相情報信号SPHとして出力する。すなわち、位相検出部7は、交点レベル調整信号Yの振幅レベルが所定のしきい値レベルを通過することにより、モータM1の回転角度を示す位相情報信号SPHを生成して出力する。
【0022】
以上のように構成された実施形態1に係る角度検出装置1の動作について以下に説明する。
【0023】
図2(a)は、
図1の角度検出装置1の各センサS1,S2,S3により生成された、各センサ信号U1,V1,W1の時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図2(a)において、電気角120度間隔で配置された各センサS1,S2,S3からのセンサ信号U1,V1,W1の時間軸波形は、正弦波信号である。
【0024】
図2(b)は
図2(a)と経過時間軸を共通にし、
図1の交点検出部2により生成された各交点検出信号UV,VW,WUの信号レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図2(b)において、センサ信号U1とセンサ信号V1とが交差するタイミングを示す交点検出信号UVは、時間t
0にハイレベルとなり、時間t
6にローレベルとなり、各時間においてセンサ信号U1とセンサ信号V1とが交差する。また、センサ信号V1とセンサ信号W1とが交差するタイミングを示す交点検出信号VWは、時間t
4にハイレベルとなり、時間t
10にローレベルとなり、各時間においてセンサ信号V1とセンサ信号W1とが交差する。さらに、センサ信号W1とセンサ信号U1とが交差するタイミングを示す交点検出信号WUは、時間t
8にハイレベルになり、時間t
14にローレベルとなり、各時間においてセンサ信号W1とセンサ信号U1とが交差する。なお、各交点検出信号UV,VW,WUは周期的に繰り返される。
【0025】
図2(c)は
図2(a)と経過時間軸を共通にし、
図1のゼロクロス検出部3により生成されたゼロクロストグル信号S
Tの信号レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図2(c)において、
図2(a)の各センサ信号U1,V1,W1の正弦波信号の振幅レベルが基準レベルとなるタイミングが示される。ここで、ゼロクロストグル信号S
Tは、センサ信号U1が基準レベルを通過する時間t
1でハイレベルになり、センサ信号W1が基準レベルを通過する時間t
3でローレベルとなる。また、ゼロクロストグル信号S
Tは、センサ信号V1が基準レベルを通過する時間t
5でハイレベルになり、センサ信号U1が基準レベルを通過する時間t
7でローレベルとなる。以下、同様に繰り返される。
【0026】
図2(d)は
図2(a)と経過時間軸を共通にし、
図1の信号選択部4により選択された選択信号Xの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図2(d)において、信号選択部4により選択された選択信号Xの波形が太字で図示される。すなわち、時間t
0から時間t
2ではセンサ信号U1が選択され、時間t
2から時間t
4まではセンサ信号W1が選択され、時間t
4から時間t
6まではセンサ信号V1が選択される。また、時間t
6から時間t
8まではセンサ信号U1が選択され、時間t
8から時間t
10まではセンサ信号W1が選択され、時間t
10から時間t
12までセンサ信号V1が選択される。ここで、時間t
2,t
6,t
10,t
14では選択信号Xは振幅レベルL
1を有し、時間t
0,t
4,t
8,t
12,t
16では選択信号Xは振幅レベル−L
1を有する。
【0027】
図2(e)は
図2(a)と経過時間軸を共通にし、
図1の交点レベル調整部6により調整された交点レベル調整信号Yの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図2(e)では、選択信号Xの頂点のレベルL
1,−L
1が所定の振幅レベルL
Tとなるように調整された交点レベル調整信号Yが図示される。すなわち、時間t
1,t
3,t
5,t
7でのゼロクロス点を基準レベルとし、時間t
2,t
4,t
6での交点レベルL
1,−L
1を所定の振幅レベルL
Tに調整される。
【0028】
図2(f)は
図2(a)と経過時間軸を共通にし、
図1の位相検出部7により生成された位相情報信号SPHのタイミングチャートである。
図2(f)において、基準レベルと振幅レベルL
Tとの間、及び基準レベルと振幅レベル−L
Tとの間を電気角60度の幅に対応する位相区間Tとする。当該位相区間Tにおいて、モータM1の回転子の回転位置に対応する複数のしきい値レベルが設定される。
【0029】
図3は、
図1の交点レベル調整部6により調整された交点レベル調整信号Yの電気角と振幅割合との関係を示す表である。ここで、振幅割合は、理想的な正弦波における最大振幅レベルに対する任意の電気角の振幅レベルの割合を表す。
【0030】
本実施形態では、電気角60度の幅に対応する位相区間Tにおいて、10個の位相情報信号SPHを出力する。この場合には、振幅レベルL
T,−L
Tは電気角60度での振幅割合0.866であり、各電気角の振幅割合において複数のしきい値レベルが設定される。すなわち、基準レベルと振幅レベルL
Tとの間及び基準レベルと振幅レベル−L
Tとの間の各位相区間Tにおいて、10個のしきい値レベルが設定され、交点レベル調整信号Yが各しきい値レベルを通過したタイミングで位相情報信号SPHが生成されて出力される。
【0031】
上述した
図2(e)に図示したように、理想的に電気角120度間隔で配置された各センサS1〜S3からのセンサ信号U1〜W1は、基準レベルと振幅レベルL
Tとの間及び基準レベルと振幅レベル−L
Tとの間を位相区間Tすると、各位相区間Tの幅は均一となる。従って、位相情報信号SPHは位相区間Tを均一に分割したパルス幅を有する。しかしながら、実際には各センサS1,S2,S3の取り付け誤差が発生し、位相情報信号SPHは均一なパルス幅を有さない。これについて以下に説明する。
【0032】
図4は、
図1の角度検出装置1の各センサS1,S2,S3の取り付け誤差が発生した場合における、時間tに対する
図1の交点レベル調整部6により調整された交点レベル調整信号Yの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図4において、各センサS1,S2,S3の取り付け誤差が発生した場合の交点レベル調整信号Yの振幅レベルの変化を図示する。
【0033】
図4において、センサ信号U1,V1,W1の各1対間の交点(選択信号Xの頂点)の振幅レベルが異なり、ゼロクロストグル信号S
Tの間隔が不均一となる。従って、位相情報信号SPHのパルス幅に誤差が発生し、その誤差が各センサS1,S2,S3の取り付け誤差以上となる場合がある。ここで、選択信号Xの各頂点のレベルを所定の振幅レベルL
T,−L
Tに調整することにより、ゼロクロストグル信号S
Tのパルス幅の誤差は縮小されて、各センサS1,S2,S3の取り付け誤差未満となる。従って、より高精度の位相情報信号を得ることができる。
【0034】
以上の実施形態に係る角度検出装置1によれば、各センサ信号U1,V1,W1の交点レベルを所定の振幅レベルに調整することにより、位相情報信号SPHのパルス幅の誤差を縮小することができる。従って、高精度の回転位相情報信号を生成することができ、モータM1の回転位置情報を正確に検出することが可能となる。
【0035】
実施形態2.
上述した実施形態1に係る角度検出装置1では、各センサS1,S2,S3により生成された正弦波信号をセンサ処理信号として用いてモータM1の回転位置情報を検出した。これに対して、本実施形態では、各センサS1,S2,S3により生成された正弦波信号を全波整流して得られた信号をセンサ処理信号として用いてモータM1の回転位置情報を検出することを特徴とする。従って、本実施形態では、実施形態1に比較すると、さらに回路規模を縮小することが可能となる。
【0036】
図5は、本発明の実施形態2に係る角度検出装置1Aの構成を示すブロック図である。
図5の角度検出装置1Aは、
図1の角度検出装置1に比較すると、交点検出部2の代わりに交点検出部2Aを備え、信号選択部4の代わりに信号選択部4Aを備え、交点レベル検出部5の代わりに交点レベル検出部5Aを備える。また、
図5の角度検出装置1Aは、
図1の角度検出装置1に比較すると、交点レベル調整部6の代わりに交点レベル調整部6Aを備え、さらに反転タイミング検出部8及び全波整流処理部9を備えたことを特徴とする。また、信号選択部4Aは、信号選択部4に比較すると、ロジック回路部41の代わりにロジック回路部41Aを備えたことを特徴とする。
【0037】
図5において、交点検出部2Aは、センサ信号U2とセンサ信号V2とが交差するタイミングを検出する比較器21Aと、センサ信号V2とセンサ信号W2とが交差するタイミングを検出する比較器22Aとを備え手構成される。さらに、交点検出部2Aは、センサ信号W2とセンサ信号U2とが交差するタイミングを検出する比較器23Aとを備えて構成される。
【0038】
反転タイミング検出部8は、センサ信号U1が反転されるタイミングを検出する比較器81と、センサ信号V1が反転されるタイミングを検出する比較器82と、センサ信号W1が反転されるタイミングを検出する比較器83とを備えて構成される。ここで、反転タイミング検出部8は、しきい値レベルが0Vにそれぞれ設定された比較器81,82,83を備えて構成される。また、交点検出部2Aは、全波整流処理部9から出力される全波整流信号をそれぞれセンサ処理信号として入力し、各センサ処理信号間が交差するタイミングを検出して当該各センサ処理信号間の交点を検出する。
【0039】
図5において、比較器81は、センサ信号U1の振幅レベルと基準レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する反転タイミング信号CMP_Uを生成する。次に、比較器81は、当該反転タイミング信号CMP_Uを全波整流処理部9及びロジック回路部41Aに出力する。すなわち、センサ信号U1の振幅レベルが基準レベル以上となる場合にはハイレベルの反転タイミング信号CMP_Uを、センサ信号U1の振幅レベルが基準レベル未満の場合にはローレベルの反転タイミング信号CMP_Uを出力する。ここで、反転タイミング信号CMP_Uがローレベルのときにセンサ信号U1の波形は基準レベルを中心に反転される。
【0040】
比較器82は、センサ信号V1の振幅レベルと基準レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する反転タイミング信号CMP_Vを生成する。次に、比較器82は、当該反転タイミング信号CMP_Vを全波整流処理部9及びロジック回路部41Aに出力する。すなわち、センサ信号V1の振幅レベルが基準レベル以上となる場合にはハイレベルの反転タイミング信号CMP_Vを、センサ信号V1の振幅レベルが基準レベル未満の場合にはローレベルの反転タイミング信号CMP_Vを出力する。ここで、反転タイミング信号CMP_Vがローレベルのときにセンサ信号V1の波形は基準レベルを中心に反転される。
【0041】
比較器83は、センサ信号W1の振幅レベルと基準レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する反転タイミング信号CMP_Wを生成する。次に、比較器83は、当該反転タイミング信号CMP_Wを全波整流処理部9及びロジック回路部41Aに出力する。すなわち、センサ信号W1の振幅レベルが基準レベル以上となる場合にはハイレベルの反転タイミング信号CMP_Wを、センサ信号W1の振幅レベルが基準レベル未満の場合にはローレベルの反転タイミング信号CMP_Wを出力する。ここで、反転タイミング信号CMP_Wがローレベルのときにセンサ信号W1の波形は基準レベルを中心に反転される。
【0042】
全波整流処理部9は、反転タイミング検出部8からの反転タイミング検出信号CMP_U,CMP_V,CMP_Wに基づいて、センサ信号U2を生成する。次に、全波整流処理部9は、当該センサ信号U2をセンサ処理信号として交点レベル検出部5A、交点検出部2A、及び信号選択部4Aに出力する。ここで、全波整流処理部9は、反転タイミング検出信号CMP_U,CMP_V,CMP_Wがローレベルのときはセンサ信号U1,V1,W1を基準レベルで反転させて反転センサ信号IU1,IV1,IW1を生成する。次に、全波整流処理部9は、当該反転センサ信号IU1,IV1,IW1をセンサ信号U2,V2,W2としてそれぞれ出力する。また、反転タイミング検出信号CMP_U,CMP_V,CMP_Wがハイレベルのときはセンサ信号U1,V1,W1をセンサ信号U2,V2,W2としてそれぞれ出力する。
【0043】
比較器21Aは、センサ信号U2の振幅レベルとセンサ信号V2の振幅レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する交点検出信号UVを生成する。次に、比較器21Aは、当該交点検出信号UVを交点レベル検出部5A及びロジック回路部41Aに出力する。すなわち、センサ信号U2の振幅レベルがセンサ信号V2の振幅レベル以上となる場合にはハイレベルの交点検出信号UVを、センサ信号U2の振幅レベルがセンサ信号V2の振幅レベル未満の場合にはローレベルの交点検出信号UVを出力する。
【0044】
比較器22Aは、センサ信号V2の振幅レベルとセンサ信号W2の振幅レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する交点検出信号VWを生成する。次に、比較器22Aは、当該交点検出信号VWを交点レベル検出部5A及びロジック回路部41Aに出力する。すなわち、センサ信号V2の振幅レベルがセンサ信号W2の振幅レベル以上となる場合にはハイレベルの交点検出信号VWを、センサ信号V2の振幅レベルがセンサ信号W2の振幅レベル未満の場合にはローレベルの交点検出信号VWを出力する。
【0045】
比較器23Aは、センサ信号W2の振幅レベルとセンサ信号U2の振幅レベルとを比較して、ハイ(High)レベル又はロー(Low)レベルを有する交点検出信号WUを生成する。次に、比較器23Aは、当該交点検出信号WUを交点レベル検出部5A及びロジック回路部41Aに出力する。すなわち、センサ信号W2の振幅レベルがセンサ信号U2の振幅レベル以上となる場合にはハイレベルの交点検出信号WUを、センサ信号W2の振幅レベルがセンサ信号U2の振幅レベル未満の場合にはローレベルの交点検出信号WUを出力する。
【0046】
交点レベル検出部5Aは、交点検出信号UVの信号レベルがローレベルからハイレベルに変化するタイミングもしくはハイレベルからローレベルに変化するタイミングにおいて、センサ信号U2とセンサ信号V2との交点の振幅レベルを検出する。次に、交点レベル検出部5Aは、当該振幅レベルの値を交点レベル調整部6Aに出力する。また、交点レベル検出部5Aは、交点検出信号VWの信号レベルがローレベルからハイレベルに変化するタイミング又はハイレベルからローレベルに変化するタイミングにおいて、センサ信号V2とセンサ信号W2との交点の振幅レベルを検出する。次に、交点レベル検出部5Aは、当該振幅レベルの値を交点レベル調整部6Aに出力する。さらに、交点レベル検出部5Aは、交点検出信号WUの信号レベルがローレベルからハイレベルに変化するタイミング又はハイレベルからローレベルに変化するタイミングにおいて、センサ信号W2とセンサ信号U2との交点の振幅レベルを検出する。次に、交点レベル検出部5Aは、当該振幅レベルの値を交点レベル調整部6Aに出力する。すなわち、交点レベル検出部5Aは、交点検出部2Aからの交点検出信号UV,VW,WUに基づいて、センサ信号U2,V2,W2の各1対間の交点の振幅レベルをそれぞれ検出し、当該検出された振幅レベルの値を交点レベル調整部6Aに出力する。
【0047】
ロジック回路部41Aは、交点検出信号UV,VW,WUの信号レベルの変化に基づいて、振幅レベルが調整されるセンサ信号を選択するようにスイッチSWを制御する。ここで、ロジック回路部41Aは、交点検出信号UV,VW,WU及び反転タイミング信号CMP_U,CMP_V,CMP_Wの結果からセンサ信号U2,V2,W2を選択する。ロジック回路部41Aは、U=HighかつCMP_V=Low又はUV=HighかつCMP_V=Lowの時にはセンサ信号U2を選択信号Xとして選択する。また、ロジック回路部41Aは、VW=LowかつCMP_W=Low又は、UV=HighかつCMP_W=Lowの時にはセンサ信号V2を選択信号Xとして選択する。さらに、VW=HighかつCMP_U=Low又は、WU=LowかつCMP_U=Lowの時にはセンサ信号W2を選択信号Xとして選択する。すなわち、ロジック回路部41Aは、交点検出信号UVがローレベルからハイレベルに変化するタイミングから交点検出信号WUがハイレベルからローレベルに変化するタイミングまでの時間期間では、スイッチSWを接点aに切り替えてセンサ信号U2を選択する。また、ロジック回路部41Aは、交点検出信号VWがローレベルからハイレベルに変化するタイミングから交点検出信号UVがハイレベルからローレベルに変化するタイミングまでの時間期間では、スイッチSWを接点bに切り替えてセンサ信号V2を選択する。さらに、ロジック回路部41Aは、交点検出信号WUがハイレベルからローレベルに変化するタイミングから交点検出信号VWがローレベルからハイレベルに変化するタイミングまでの時間期間では、スイッチSWを接点cに切り替えてセンサ信号W2を選択する。
【0048】
交点レベル調整部6Aは、ゼロクロストグル信号S
T及びセンサ信号U2〜W2の各1対間の各交点の振幅レベルに基づき、選択された選択信号Xの交点レベルを、ゼロクロス点を基準レベルとして所定の振幅レベルとなるように調整する。次に、交点レベル調整部6Aは、当該調整された選択信号Xを交点レベル調整信号Yとして位相検出部7に出力する。ここで、交点レベル調整部6Aは、各センサ信号U2,V2,W2が基準レベルを通過するゼロクロス点を基準レベルとして交点レベル調整信号Yを調整する。
【0049】
以上のように構成された実施形態2に係る角度検出装置1Aの動作について以下に説明する。
【0050】
図6(a)は、
図5の角度検出装置1Aの反転タイミング検出部8により生成された、各反転タイミング検出信号CMP_U、CMP_V、CMP_Wの時間tに対する信号レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図6(a)において、電気角120度間隔で配置された各センサS1,S2,S3からのセンサ信号U1,V1,W1の各振幅レベルが基準レベルよりも高い場合には、ハイレベルの反転タイミング検出信号CMP_U、CMP_V、CMP_Wがそれぞれ出力される。また、各センサS1,S2,S3からのセンサ信号U1,V1,W1の振幅レベルが基準レベルよりも低い場合には、ローレベルの反転タイミング検出信号CMP_U、CMP_V、CMP_Wがそれぞれ出力される。
【0051】
図6(b)は
図6(a)と経過時間軸を共通にし、
図5のゼロクロス検出部3により生成されたゼロクロストグル信号S
Tの信号レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図6(b)において、各センサ信号U1,V1,W1の正弦波が基準レベルを通過するタイミングを示すゼロクロストグル信号S
Tのタイミングチャートを示す。ここで、ゼロクロストグル信号S
Tは、センサ信号U1が基準レベルを通過する時間t
0でハイレベルになり、センサ信号W1が基準レベルを通過する時間t
1でローレベルとなる。また、ゼロクロストグル信号S
Tは、センサ信号V1が基準レベルを通過する時間t
2でハイレベルになり、センサ信号U1が基準レベルを通過する時間t
3でローレベルとなる。以下、同様である。
【0052】
図6(c)は
図6(a)と経過時間軸を共通にし、
図5の全波整流処理部9により全波整流された各センサ信号U2,V2,W2の振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図6(c)において、時間t
0と時間t
2においては、センサ信号V1が反転された反転センサ信号IV1がセンサ信号V2として出力される。また、時間t
1と時間t
4においては、センサ信号W1が反転された反転センサ信号IW1がセンサ信号W2として出力される。さらに、時間t
3と時間t
6においては、センサ信号U1が反転された反転センサ信号IU1がセンサ信号U2として出力される。
【0053】
図6(d)は
図6(a)と経過時間軸を共通にし、
図5の信号選択部4Aにより選択された選択信号Xの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図6(d)において、信号選択部4Aにより選択された選択信号Xの波形が太字で図示される。すなわち、時間t
0から時間t
1ではセンサ信号U2が選択され、時間t
1から時間t
2ではセンサ信号V2が選択され、時間t
2から時間t
aではセンサ信号V2が選択され、時間t
aから時間t
4ではセンサ信号W2が選択される。ここで、時間t
1,t
7では選択信号Xは振幅レベルL2を有し、時間t
a,t
bでは選択信号Xは振幅レベルL
3を有する。
【0054】
図6(e)は
図6(a)と経過時間軸を共通にし、
図5の交点レベル調整部6Aにより調整された交点レベル調整信号Yの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図6(e)において、選択信号Xの頂点のレベルが所定の振幅レベルとなるように調整された交点レベル調整信号Yが図示される。すなわち、時間t
0,t
2,t
4,t
6でのゼロクロス点を基準レベルとし、時間t
1,t
7,t
a,t
bでの交点レベルL
2,L
3を所定の振幅レベルL
Tに調整される。
【0055】
図6(f)は
図6(a)と経過時間軸を共通にし、
図5の位相検出部7により生成された位相情報信号SPHのタイミングチャートである。
図6(f)において、基準レベルと振幅レベルL
Tとの間の各位相区間Tにおいて、モータM1の回転子の回転位置に対応する複数のしきい値レベルが設定され、交点レベル調整信号Yが各しきい値レベルを通過したタイミングで位相情報信号SPHが出力される。
【0056】
以上の実施形態に係る角度検出装置1Aによれば、実施形態1に係る角度検出装置1と同様の効果を得ることができる。また、以上の実施形態に係る角度検出装置1Aによれば、実施形態1に係る角度検出装置1に比較すると、基準レベルと所定の振幅レベルとの間の位相区間Tでの各電気角に対応したしきい値レベルだけを設定するだけでよい。従って、位相検出部7を構成する比較器の数を半分にすることができ、回路規模を縮小することが可能となる。
【0057】
以上の実施形態に係る角度検出装置1Aによれば、実施形態1に係る角度検出装置1に比較すると、全波整流された信号の交点レベルだけを調整する。従って、振幅を半分にすることができるので、所定の振幅レベルの値をより大きな値に設定することができるので、位相情報信号SPHのパルス幅の誤差をさらに縮小することができる。従って、モータM1の回転位置情報をさらに正確に検出することが可能となる。
【0058】
実施形態3.
上述した実施形態2に係る角度検出装置1Aは、電気角60度の幅に対応する位相区間Tを設定した。これに対して、本実施形態では、電気角30度の幅に対応する位相区間Tを設定することを特徴とする。従って、本実施形態では、実施形態2に比較すると、
図1のロジック回路部41により振幅レベルが調整される交点を選択する条件が異なる。
【0059】
ロジック回路部41Aは、交点検出信号UV,VW,WUの信号レベルの変化に基づいて、振幅レベルが調整されるセンサ信号を選択するようにスイッチSWを制御する。ここで、ロジック回路部41Aは、交点検出信号UVがローレベルかつ交点検出信号WUがハイレベルの時には、スイッチSWを接点aに切り替えてセンサ信号U2を選択信号Xとして選択するように制御する。また、ロジック回路部41Aは、交点検出信号UVがハイレベルかつ交点検出信号VWがローレベルの時にスイッチSWを接点bに切り替えてセンサ信号V2を選択信号Xとして選択するように制御する。ロジック回路部41Aは、交点検出信号VWがハイレベルかつ交点検出信号WUがローレベルの時にスイッチSWを接点cに切り替えてセンサ信号W2を選択信号Xとして選択するように制御する。
【0060】
図7(a)は、本発明の実施形態3に係る、
図5の全波整流処理部9により全波整流されたセンサ信号U2,V2,W2の時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図7(a)において、センサ信号V1が反転された反転センサ信号IV1がセンサ信号V2として出力される。また、センサ信号W1が反転された反転センサ信号IW1がセンサ信号W2として出力される。さらに、センサ信号U1が反転された反転センサ信号IU1がセンサ信号U2として出力される。
【0061】
図7(b)は
図7(a)と経過時間軸を共通にし、
図5の信号選択部4Aにより選択された選択信号Xの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図7(b)において、信号選択部4Aにより選択された選択信号Xの波形が太字で図示される。すなわち、時間t
0から時間t
1ではセンサ信号U2が選択され、時間t
1から時間t
2ではセンサ信号W2が選択され、時間t
2から時間t
3ではセンサ信号W2が選択され、時間t
3から時間t
4ではセンサ信号V2が選択される。
【0062】
図7(c)は
図7(b)の領域Aの選択信号Xの振幅レベルを
図5の交点レベル調整部6Aにより調整された交点レベル調整信号Yの振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
図7(c)において、
図7(b)の領域Aの選択信号Xの頂点のレベルL
1が所定の振幅レベルL
Tとなるように調整された交点レベル調整信号Yが図示される。すなわち、時間t
0,t
2でのゼロクロス点を基準レベルとし、時間t
1での交点レベルL
1を所定の振幅レベルL
Tに調整される。
【0063】
図7(d)は
図7(c)と経過時間軸を共通にし、
図5の位相検出部7により生成された位相情報信号SPHのタイミングチャートである。
図7(d)において、基準レベルから振幅レベルL
Tまでの間の各位相区間Tにおいて、モータM1の回転子の回転位置に対応する複数のしきい値レベルが設定される。ここで、交点レベル調整信号Yが各しきい値レベルを通過したタイミングで位相情報信号SPHが出力される。
【0064】
本実施形態では、電気角30度の幅に対応する位相区間Tにおいて、5個の位相情報信号SPHを出力する。この場合には、振幅レベルL
Tは電気角30度での振幅割合0.500であり、各電気角の振幅割合において複数のしきい値レベルが設定される。すなわち、基準レベルと振幅レベルL
Tとの間の各位相区間Tにおいて、5個のしきい値レベルが設定され、交点レベル調整信号Yが各しきい値レベルを通過したタイミングで位相情報信号SPHが出力される。
【0065】
以上の実施形態に係る角度検出装置1Aによれば、実施形態1に係る角度検出装置1と同様の効果を得ることができる。また、以上の実施形態に係る角度検出装置1Aによれば、実施形態2に係る角度検出装置1Aに比較すると、位置情報信号のパルス幅の誤差をさらに少なくすることができるので、より高精度の回転位相情報信号を生成することができる。従って、実施形態2に係る角度検出装置1Aに比較すると、モータM1の回転位置情報をさらに正確に検出することが可能となる。
【0066】
実施形態4.
上述した実施形態2に係る角度検出装置1Aは、センサ自体の個体差により、各センサ信号間の交点の位置がずれるという問題がある。これに対して、本実施形態では、各センサ信号間の交点の位置のずれを補正することを特徴とする。
【0067】
図8は、本発明の実施形態4に係る角度検出装置1Bの構成を示すブロック図である。
図8の角度検出装置1Bは、
図5の角度検出装置1Aに比較すると、頂点レベル検出部10及び振幅レベル調整部11をさらに備えたことを特徴とする。
【0068】
頂点レベル検出部10は、全波整流処理部9により全波整流された各センサ信号U3、V3,W3の頂点レベルをそれぞれ検出し、当該検出された頂点レベルの値を振幅レベル調整部11に出力する。振幅レベル調整部11は、当該センサ信号U3、V3,W3の頂点レベルをそれぞれ所定の振幅レベルとなるように各センサ信号U3、V3,W3をセンサ信号U2,V2,W2にそれぞれ調整する。次に、振幅レベル調整部11は、当該センサ信号U2,V2,W2をセンサ処理信号として交点検出部2A,交点レベル検出部5A、及び信号選択部4Aにそれぞれ出力する。
【0069】
以上のように構成された実施形態4に係る角度検出装置1Bの動作について以下に説明する。
【0070】
実施形態4に係る角度検出装置1Bの動作は、実施形態2に係る角度検出装置1Aに比較すると、頂点レベル検出部10及び振幅レベル調整部11の動作が追加されたことが相違する。従って、頂点レベル検出部10及び振幅レベル調整部11の動作について以下に説明する。
【0071】
図9(a)は
図8の角度検出装置1Bの各センサS1,S2,S3により生成された、各センサ信号U1,V1,W1の時間tに対する振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。また、
図9(b)は
図9(a)と経過時間軸を共通にし、
図8の全波整流処理部9により反転された各反転センサ信号IU1,IV1,IW1の振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。さらに、
図9(c)は
図9(a)と経過時間軸を共通にし、全波整流処理部9により全波整流された各センサ信号U3,V3,W3の振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。またさらに、
図9(d)は
図9(a)と経過時間軸を共通にし、振幅レベル調整部11により振幅レベル調整されたセンサ信号U2,V2,W2の振幅レベルの変化を示す時間軸波形図である。
【0072】
図9(a)に図示されるように、
図8の各センサS1,S2,S3により生成されるセンサ信号U1,V1,W1の振幅レベルは各センサの固体差により、モータM1の回転子の磁束密度の変化に応じて異なる。次に、
図9(b)では、振幅レベルが基準レベル以下の各センサ信号U1,V1,W1は、基準レベルで折り返される。次に、
図9(c)に図示されるように、全波整流処理部9により全波整流されたセンサ信号U3,V3,W3が振幅レベル調整部11に出力される。次に、
図9(d)には、各センサ信号U3,V3,W3の頂点レベルが調整されたセンサ信号U2,V2,W2が図示される。
【0073】
図9(a)〜
図9(d)において、センサ自体の個体差により、各センサからのセンサ信号の振幅レベルが異なっている場合には、各センサ信号S1,S2,S3がそれぞれ全波整流された各センサ信号U3,V3,W3は振幅が異なる。従って、振幅が異なる信号どうしの交点は、交点位置が振幅の異なりによりどちらかにずれるので、
図9(c)及び
図9(d)に図示するように交点位置に誤差E1,E2,E3が生じる。この誤差E1,E2,E3がそのまま位相情報信号のパルス幅の誤差となるので、モータM1の回転位置情報を正確に検出することが不可能となる。そこで全波整流されたセンサ信号U3、V3、W3の頂点レベルを検出し、所定の振幅レベルになるように調整することにより、交点レベルのずれをゼロに補正し、モータM1の回転位置情報を高精度に検出する。
【0074】
以上の実施形態に係る角度検出装置1Bによれば、実施形態1に係る角度検出装置1と同様の効果を得ることができる。また、以上の実施形態に係る角度検出装置1Aによれば、実施形態2に係る角度検出装置1Aに比較すると、各センサ信号間の交点レベルのずれを補正することができるので、モータM1の回転位置情報をさらに精度良く検出することできる。
【0075】
なお、上述した実施形態では、各センサS1,S2,S3により生成されたセンサ信号U1,V1,W1を用いてモータM1の回転位置情報を検出したが、本発明はこれに限らない。例えば、当該センサ信号U1,V1,W1における位相誤差を補正して同相レベルのセンサ信号を用いてモータM1の回転位置情報を検出するようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態の角度検出装置1,1A,1Bは、半導体集積回路として製造されてもよいし、1つの半導体デバイスとして製造されてもよい。さらに、角度検出装置1,1A,1Bは、モータM1の駆動制御装置と一体化されて製造されてもよい。
【0077】
さらに、上述した実施形態4では、全波整流処理部9により全波整流された信号間の交点のずれを補正したが、例えば、センサ信号U1,V1,W1の各1対間の交点のずれを補正してもよい。この場合においても、実施形態4と同様の効果を得ることができる。
【0078】
またさらに、上述した実施形態では、電気角30度の幅に対応する区間もしくは電気角60度の幅に対応する区間を位相区間Tに設定したが、本発明はこれに限らない。例えば、電気角30度から電気角60度の幅に対応する区間を位相区間Tに設定してもよい。この場合においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、上述した実施形態に係る角度検出装置は、モータM1の回転子を備えたモータ装置に適用することができる。この場合には、上述した角度検出装置を備えたモータ駆動制御装置は、当該角度検出装置からの位置情報に基づいて、モータ装置のモータM1の回転子を制御する。ここで、モータ装置は、モータM1とモータ駆動制御装置とを備えて構成される。
【0080】
実施形態のまとめ
第1の態様に係る角度検出装置は、複数相のコイルを有するモータの回転子の回転位置に対応する信号レベルを有する複数のセンサ信号に基づいて、上記回転位置に対応する各位相を示す位相情報信号を発生して当該モータの回転子の回転位置を検出する角度検出装置であって、
上記各センサ信号をそれぞれセンサ処理信号として入力し、上記各センサ処理信号間が交差するタイミングを検出して上記各センサ処理信号間の交点を検出する交点検出部と、
上記各センサ処理信号間が交差するタイミングに基づいて、上記各センサ処理信号間の交点の振幅レベルである交点レベルを検出する交点レベル検出部と、
上記検出された交点レベルを所定の振幅レベルとなるように調整し、当該調整された各センサ処理信号を交点レベル調整信号として出力する交点レベル調整部と、
上記所定の振幅レベルと基準レベルとの間の位相区間において、上記交点レベル調整信号が上記所定の各位相に対応する複数のしきい値レベルに到達したことを検出して位相情報信号を生成して出力する位相検出部とを備えたことを特徴とする。
【0081】
第2の態様に係る角度検出装置は、第1の態様に係る角度検出装置において、上記各センサ信号を全波整流して上記センサ処理信号として出力する全波整流処理部をさらに備えたことを特徴とする。
【0082】
第3の態様に係る角度検出装置は、第1の態様に係る角度検出装置において、上記各センサ信号を全波整流して全波整流信号をそれぞれ生成して出力する全波整流処理部と、上記各全波整流信号の振幅レベルの最大の大きさである頂点レベルをそれぞれ検出する頂点レベル検出部と、上記検出された頂点レベルの値を所定の振幅レベルの値に調整し、当該調整された全波整流信号を上記センサ処理信号として出力する振幅レベル調整部をさらに備えたことを特徴とする。
【0083】
第4の態様に係る角度検出装置は、第1〜第3の態様のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置において、上記モータの回転子の回転位置に対応する信号レベルを有する上記センサ信号をそれぞれ生成して出力する複数の磁気センサを備え、上記複数の磁気センサは電気角120度間隔で配置されることを特徴とする。
【0084】
第5の態様に係る角度検出装置は、第1〜第4の態様のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置において、上記各センサ信号が基準レベルを通過するゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部をさらに備え、上記交点レベル調整部は、上記検出されたゼロクロス点を基準レベルとして上記交点レベル調整信号を調整することを特徴とする。
【0085】
第6の態様に係る角度検出装置は、第1〜第4の態様のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置において、上記所定の各位相に対応する複数のしきい値レベルは、上記所定の各位相に応じて比例していることを特徴とする。
【0086】
第7の態様に係る角度検出装置は、第1〜第6の態様のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置において、上記位相区間は電気角30度から電気角60度の幅に対応する区間であることを特徴とする。
【0087】
第8の態様に係るモータ駆動装置は、第1〜第7の態様のうちのいずれか1つに記載の角度検出装置を備えたことを特徴とする。
【0088】
第9の態様に係るモータ装置は、第8の態様のモータ駆動制御装置と、当該モータ駆動制御装置により制御されるモータとを備えたことを特徴とする。