(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、板ガラスの研磨においては、例えば、砥粒と呼ばれる粒状の研磨剤と水とを混合した研磨スラリーが用いられている。
具体的には、板ガラスの被研磨面(研磨が施される面)に研磨スラリーを供給しつつ、研磨パッドなどの研磨手段によって当該被研磨面を押圧しながら磨き上げる。
こうして、板ガラスの研磨は、研磨スラリーを用いて行われていた。
【0003】
ところで、板ガラスの研磨後の研磨スラリーが被加工面に残っていると、板ガラスの研磨終了後に行われる工程において、被研磨面に傷や汚れ等を発生させる要因となり得る。よって、板ガラスの研磨終了後、使用された研磨スラリーを直ちに被研磨面より除去することが好ましい。
一方、研磨スラリーに含有される研磨剤としては、酸化セリウムやパーミス等の高価なものも多く、一回のみの使用によって研磨スラリーを破棄することとすれば、研磨剤のコスト増大を招くこととなる。
このようなことから、従来から、被研磨部材(例えば、板ガラスなど)の研磨終了後、使用された研磨スラリーを被研磨部材より直ちに除去するとともに、除去した研磨スラリーを回収して再利用する研磨装置が知られている(例えば、「特許文献1」を参照)。
【0004】
ここで、従来の研磨装置の一例として、板ガラス研磨装置100(以下、適宜「研磨装置100」と記載する)の構成について、
図4を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、
図4の上下方向を研磨装置100の上下方向と規定して記述する。
また、
図4においては、矢印Aの方向を板ガラスGの搬送方向と規定して記述する。
【0005】
研磨装置100は、板ガラスGを水平方向に搬送するベルトコンベア101を備え、ベルトコンベア101の下方には、上方に開口する略矩形箱状のシュート102が配設される。また、ベルトコンベア101の上方、且つ下流側(矢印Aが示す側)端部の近傍には、洗浄ノズル103が配設される。
なお、ベルトコンベア101の上方、且つ上流側(矢印Aが示す側とは反対側)には、研磨スラリーの吐出機器や研磨パッドなどからなる研磨手段(図示せず)が配置されており、当該研磨手段によって、水平姿勢で搬送される板ガラスGの被研磨面(上面)が研磨される構成となっている。
【0006】
シュート102の底面102aは、中央部に向かって徐々に下方に傾斜する逆四角錐形状に形成され、その頂点には貫通孔102bが穿孔される。
また、貫通孔102bには、配管部材105の一端部が接続されるとともに、配管部材105の他端部は、シュート102の下方に位置する回収タンク104に接続される。
つまり、シュート102は、配管部材105を介して、回収タンク104と連通される。
【0007】
一方、洗浄ノズル103は、水平方向、且つベルトコンベア101の幅方向(矢印Aに対する平面視直交方向)に延出して配設される。また、洗浄ノズル103の下端部には、複数(
図4は側面図であるため、一個のみ記載)の噴出口103a・103a・・・が、洗浄ノズル103の延出方向に沿って一直線状に配置されている。
そして、これらの複数の噴出口103a・103a・・・から、洗浄水(例えば、常温水)w・w・・・が、下方に向かって噴出される。
【0008】
以上のような構成からなる従来の研磨装置100において、ベルトコンベア101によって水平姿勢で搬送される板ガラスGは、ベルトコンベア101の上流側にて、前述した研磨手段(図示せず)によって、その上面を研磨される。
研磨手段による研磨が終了した板ガラスGは、ベルトコンベア101によって、引き続き水平姿勢で搬送される。この際、板ガラスGの上面には、研磨後の研磨スラリーSの一部が、板ガラスGより落下することなく付着したままの状態となっている。
その後、ベルトコンベア101の下流側端部に到達した板ガラスGの上面に向かって、洗浄水wが吹き付けられる。これにより、板ガラスGの上面に付着していた研磨後の研磨スラリーSの略全てが、板ガラスGより除去される。
【0009】
板ガラスGの上面より除去された、研磨後の研磨スラリーSは、洗浄水wと混ざり合ってシュート102へと落下し、配管部材105を介して、回収タンク104内に回収される。
その後、回収タンク104に回収された研磨スラリーSは、前述した研磨手段(図示せず)を構成する、研磨スラリーの吐出機器等に送られ再利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上に示したように、従来の板ガラス研磨装置であっても、被研磨部材(例えば、板ガラスなど)の研磨終了後、研磨後の研磨スラリーを被研磨部材より直ちに除去するとともに、除去した研磨スラリーを回収して再利用することは可能である。
ここで、研磨後の研磨スラリーには、研磨によって板ガラスから除去されたガラス片が含有されており、回収された研磨スラリーを再利用するには、当該ガラス片を取り除く必要がある。
しかしながら、従来の板ガラス研磨装置においては、研磨後の研磨スラリーが被研磨部材より除去される際、当該研磨スラリーに対して多くの洗浄水が混ざり合うため、たとえガラス片を取り除くことによって、回収された研磨スラリーを再利用することが可能になったとしても、スラリー濃度(研磨スラリー中の研磨剤の割合)が低下しており、研磨スラリーの研磨能力(単位時間当たりに、単位量の研磨スラリーが被研磨部材より除去する研磨量)が短時間で低下するという問題があった。
【0012】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みてなされたものであり、研磨能力の低下を極力防止しつつ、研磨後の研磨スラリーを回収することが可能な板ガラス研磨装置および板ガラス研磨方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0014】
即ち、本発明の請求項1に係る板ガラス研磨装置は、研磨剤と水からなる研磨スラリーを用いて板ガラスを研磨するとともに、研磨後の研磨スラリーを回収して再利用する、板ガラス研磨装置であって、研磨スラリーが付着した板ガラスを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記板ガラスに対して圧縮エアーを噴出するエアーノズルと、前記搬送手段により搬送される前記板ガラスに対して洗浄水を噴出する洗浄ノズルと、前記搬送手段の下方に配置され、前記圧縮エアーにより前記板ガラスから除去された研磨スラリーおよび前記板ガラスに噴出された洗浄水を受け止めて回収するシュートと、を備え、前記エアーノズルおよび前記洗浄ノズルは、前記エアーノズルの圧縮エアー噴出位置が、前記洗浄ノズルの洗浄水噴出位置よりも、前記板ガラスの搬送方向における上流側となるようにそれぞれ配置され、前記シュートは、前記
圧縮エアーにより吹き飛ばされた研磨剤の濃度が高い再生研磨スラリーと
、前記
洗浄水により除去された研磨剤の濃度が低い廃棄スラリーとに
分別して、前記研磨スラリーを回収可能に構成されてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る板ガラスの研磨装置は、前記搬送方向における前記エアーノズルの配置位置と洗浄ノズルの配置位置との間の下方、かつ、前記シュート内には、止水板が設けられ、前記シュート内は、前記止水板により、前記止水板よりも前記搬送方向における上流側の空間と、前記止水板よりも前記搬送方向における下流側の空間とに区画されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る板ガラス研磨装置は、前記搬送手段は、ベルトコンベアであって、前記洗浄ノズルは、前記搬送手段の下流側端部の近傍に配置されることを特徴とする。
【0017】
一方、本発明の請求項4に係る板ガラス研磨方法は、研磨剤と水からなる研磨スラリーを用いて板ガラスを研磨するとともに、使用後の研磨スラリーを回収して再利用する、板ガラス研磨方法であって、研磨スラリーが付着した板ガラスを搬送する搬送工程と、前記搬送工程により搬送されている前記板ガラスに対して圧縮エアーおよび洗浄水を噴出して前記板ガラスから前記研磨スラリーを除去する除去工程と、前記除去工程で除去した研磨スラリーを
、前記
圧縮エアーによって吹き飛ばされた研磨剤の濃度が高い再生研磨スラリーと
、前記
洗浄水によって除去された研磨剤の濃度が低い廃棄研磨スラリーと
に分別して
、回収する回収工程と、を備え、前記除去工程において、圧縮エアーは、前記洗浄水よりも、前記搬送工程における上流側で噴出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
即ち、本発明の請求項1に係る板ガラス研磨装置によれば、圧縮エアーによって吹き飛ばされた研磨後の研磨スラリーは、受け止められたシュート内において再生研磨スラリーと廃棄研磨スラリーとに分けて回収される。そのため、回収した再生研磨スラリーを再度用いても、研磨能力の低下を防止することができる。
また、圧縮エアーによって、研磨後の大部分の研磨スラリーが搬送方向の上流側にて吹き飛ばされることにより、エアーノズルに対して搬送方向の下流側に噴出する洗浄ノズルが、残りの研磨スラリーを吹き飛ばすために、必要な洗浄水の使用量および排水量を大幅に削減することができ、環境保全を図ることができる。
【0020】
本発明の請求項2に係る板ガラスの研磨装置によれば、シュートは、シュート内の、搬送方向におけるエアーノズルの配置位置と洗浄ノズルの配置位置の間に設けられた止水板により隔離されており、止水板の上流側で再生研磨スラリーを、止水板の下流側で廃棄研磨スラリー回収できる。
【0021】
本発明の請求項3に係る板ガラス研磨装置によれば、例えば、止水板によって堰き止められた、洗浄水が混合する使用後の研磨スラリーに、研磨除去された板ガラスの一部が混在していたとしても、フィルターを介して板ガラスの一部を確実に除去し、使用後の研磨スラリーのみを排出口へと導くことができる。
【0022】
本発明の請求項4に係る板ガラスの研磨方法によれば、研磨後の研磨スラリーは、再生研磨スラリーと廃棄研磨スラリーとに分けて回収される。そのため、回収した再生研磨スラリーを再度用いても、研磨能力の低下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[板ガラス研磨装置1]
次に、本発明を具現化する板ガラス研磨装置1(以下、単に「研磨装置1」と記載する)の全体構成について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、
図1の上下方向を研磨装置1の上下方向と規定して記述する。
また、
図1乃至
図3においては、矢印Aの方向を板ガラスGの搬送方向と規定して記述する。
【0025】
本実施形態における研磨装置1は、例えば、酸化セリウムなどの研磨剤と水とを混合した研磨スラリーSを用いて、板ガラスGの板面を研磨するための装置である。また、研磨装置1は、研磨能力低下の防止を図りつつ研磨後の研磨スラリーSを回収し、回収した研磨スラリーSを再利用することを可能とする装置である。
研磨装置1は、
図1に示すように、主に、搬送手段10、除去手段20、および回収手段30などにより構成される。
【0026】
搬送手段10は、板ガラスGを連続的に搬送するためのものであり、板ガラスGの搬送工程を実行するものである。
搬送手段10は、例えば、本実施形態においては、板ガラスGを水平方向に搬送可能なベルトコンベア11によって構成される。
【0027】
ベルトコンベア11の上方において、板ガラスGの搬送方向の上流側(矢印Aが示す側とは反対側)には、研磨スラリーSの吐出機器や研磨パッドなどからなる図示せぬ研磨手段が配置されており、板ガラスGの研磨を行う研磨手段が構成されている。
また、ベルトコンベア11の上方において、前記搬送方向の下流側(矢印A示す側)には、後述する除去手段20が配置されており、板ガラスGの被研磨面(本実施形態においては、上面)に付着した、研磨後の研磨スラリーSを除去するように構成されている。
【0028】
そして、ベルトコンベア11は、研磨手段により研磨された板ガラスGを、上流側から、除去手段20が配置された下流側に向かって(より具体的には、矢印Aの方向)連続的に搬送する。
【0029】
なお、搬送手段10の構成については、本実施形態のようなベルトコンベア11に限定されるものではなく、例えば、ローラーコンベアやフィーダーのような押込み装置などのように、水平姿勢の板ガラスGを、水平方向に搬送することが可能であれば、何れの構成であってもよい。
【0030】
次に、除去手段20について説明する。
除去手段20は、板ガラスGの表面に付着した研磨後の研磨スラリーSを、板ガラスGより除去する、除去工程を実行するためのものである。
除去手段20は、エアーノズル21および洗浄ノズル22などにより構成される。
【0031】
エアーノズル21は、べルトコンベア11によって搬送される板ガラスGに対して、圧縮エアーaを噴出し、研磨後の研磨スラリーSを、板ガラスGより吹き飛ばすためのものである。
エアーノズル21は、ベルトコンベア11の上方、且つ平面視にて前記搬送方向との直交方向に延出して配設される。
【0032】
そして、エアーノズル21の下端部には、複数(
図1は側面図であるため、一個のみ記載)の噴出口21a・21a・・・が、エアーノズル21の延出方向に沿って一直線状に配置されている。
また、エアーノズル21には、図示せぬコンプレッサーやソレノイドバルブなどが、配管部材を介して連結されている。
【0033】
このような構成を有することで、
図2に示すように、例えば、コンプレッサー(図示せず)よりエアーノズル21に供給された圧縮エアーa・a・・・は、複数の噴出口21a・21a・・・(
図1を参照)を介して、下方(より具体的には、下方、且つやや上流側方向)に向かって噴出し、ベルトコンベア11の幅方向の全領域に渡って吹き付けられる。
換言すると、ベルトコンベア11によって搬送される板ガラスGは、被研磨面(上面)に対して均一に、エアーノズル21より噴出される圧縮エアーaを吹き付けられる。
【0034】
洗浄ノズル22は、
図1に示すように、べルトコンベア11によって搬送される板ガラスGに対して、洗浄水(例えば、常温水)wを噴出し、圧縮エアーaによって吹き飛ばすことができなかった研磨後の研磨スラリーSを、板ガラスGより除去するためのものである。
洗浄ノズル22は、ベルトコンベア11の上方、且つ板ガラスGの搬送方向の下流側(より具体的には、エアーノズル21の下流側)において、平面視にて前記搬送方向との直交方向に延出して配設される。
【0035】
そして、洗浄ノズル22の下端部には、複数(
図1は側面図であるため、一個のみ記載)の噴出口22a・22a・・・が、洗浄ノズル22の延出方向に沿って一直線状に配置されている。
また、洗浄ノズル22には、図示せぬポンプや洗浄水の貯溜タンクなどが、配管部材を介して連結されている。
【0036】
このような構成を有することで、
図2に示すように、例えば、ポンプ(図示せず)より洗浄ノズル22に供給された洗浄水w・w・・・は、複数の噴出口22a・22a・・・(
図1を参照)を介して、下方(より具体的には、下方、且つやや上流側方向)に向かって噴出し、ベルトコンベア11の幅方向の全領域に渡って吹き付けられる。
換言すると、ベルトコンベア11によって搬送される板ガラスGは、被研磨面(上面)に対して均一に圧縮エアーaを吹き付けられた後、当該被研磨面(上面)に対してさらに均一に、洗浄ノズル22より噴出される洗浄水wを吹き付けられる。
【0037】
次に、回収手段30について説明する。
回収手段30は、除去手段20によって板ガラスGより除去された研磨後の研磨スラリーSを、研磨能力の低下を極力防止しつつ回収する、回収工程を実行するためのものである。
回収手段30は、
図1に示すように、シュート31、回収タンク32、および廃棄タンク33などにより構成される。
【0038】
シュート31は、除去手段20による圧縮エアーaおよび洗浄水wによって吹き飛ばされた、研磨スラリーSを受け止めて回収し、回収した研磨スラリーSの内、洗浄水wを殆ど含まない高濃度の研磨スラリーSを回収タンク32に導く一方、洗浄水wを多く含んだ低濃度の研磨スラリーSを廃棄タンク33へ導くためのものである。
つまり、シュート31は、圧縮エアーaによって吹き飛ばされた研磨能力の低下を殆ど伴わない研磨スラリーS(以下、適宜「再生研磨スラリーSa」と記載する)を回収タンク32に導く一方、洗浄水wによって除去された研磨能力が低下した研磨スラリーS(以下、適宜「廃棄研磨スラリーSb」と記載する)を廃棄タンク33へ導くためのものである。
【0039】
シュート31は、上方に開口する略矩形箱状に形成され、ベルトコンベア11の直下に配設される。
具体的には、
図2に示すように、平面視において、シュート31の幅方向(矢印Aに対する平面視直交方向)の寸法は、板ガラスGおよびベルトコンベア11の幅方向の寸法と比較しても、大きくなるように設定されている。
また、シュート31の上流側端部の位置は、ベルトコンベア11の上流側端部の位置と同等である一方、シュート31の下流側端部の位置は、ベルトコンベア11の下流側端部の位置に比べて、さらに下流側となるように設定されている。
なお、シュート31の下流側端部の位置は、除去手段20の洗浄ノズル22の配置位置と略同等となるように設定されている。
【0040】
このように、平面視において、ベルトコンベア11の下流側端部は、シュート31の開口部の内部に位置するように配置されている。
これにより、除去手段20による圧縮エアーaや洗浄水wによって吹き飛ばされた研磨スラリーSは、ベルトコンベア11の幅方向の両側、および下流側端部より、シュート31の開口部内に落下し、確実に回収されることとなる。
【0041】
シュート31の底面31aは、
図1に示すように、中央部に向かって徐々に下方に傾斜する逆四角錐形状に形成され、その頂点には第一排出口31bが穿孔される。
また、第一排出口31bには、第一配管部材34の一端部が接続されるとともに、第一配管部材34の他端部は、回収タンク32に接続される。つまり、シュート31は、第一配管部材34を介して、回収タンク32と連通される。
【0042】
一方、シュート31の底面31aにおいて、第一排出口31bの下流側、且つシュート31の幅方向中央部には、第二排出口31cが穿孔される。
また、第二排出口31cには、第二配管部材36の一端部が接続されるとともに、第二配管部材36の他端部は、廃棄タンク33に接続される。つまり、シュート31は、第二配管部材36を介して、廃棄タンク33と連通されている。
【0043】
そして、
図3に示すように、シュート31の底面31aにおいて、第一排出口31bおよび第二排出口31cの間には、矩形帯状の平板部材からなる止水板35が、シュート31の幅方向全体に渡り配設される。
このように、シュート31内において、第一排出口31bは、止水板35の、板ガラスGの搬送方向における上流側に設けられ、第二排出口31cは、止水板35の、板ガラスGの搬送方向における下流側の近傍に、それぞれ設けられる。
このような構成を有することで、後述するように、除去手段20による圧縮エアーaによって吹き飛ばされた再生研磨スラリーSaは、第一排出口31bを介して回収タンク32に導かれる一方、洗浄水wによって吹き飛ばされた廃棄研磨スラリーSbは、第二排出口31cを介して廃棄タンク33に導かれることとなる。
【0044】
なお、第二排出口31cは、フィルター37によって覆われており、例えば、止水板35によって堰き止められた廃棄研磨スラリーSbに、研磨除去された板ガラスGの一部が混在していたとしても、板ガラスGの一部を確実に除去し、研磨後の廃棄研磨スラリーSbのみを廃棄タンク33へと導く構成となっている。
【0045】
回収タンク32は、主に除去手段20によって噴出される圧縮エアーaにより吹き飛ばされ、板ガラスGより除去された研磨後の研磨スラリーS(より具体的には、再生研磨スラリーSa)を、一時的に貯溜するためのものである。
回収タンク32は、シュート31の下方に配置され、前述したように、第一配管部材34を介して、シュート31と連通される。
【0046】
そして、回収タンク32は、例えばポンプやソレノイドバルブなどからなる図示せぬ配管機器群を介して、前述した、ベルトコンベア11の上流側に配設される研磨スラリーの吐出機器(図示せず)と連通されており、回収タンク32に貯溜された再生研磨スラリーSaが再使用可能な構成となっている。
【0047】
廃棄タンク33は、主に除去手段20によって噴出される洗浄水wにより吹き飛ばされ、板ガラスGより除去された研磨後の研磨スラリーS(より具体的には、廃棄研磨スラリーSb)を、一時的に貯溜するためのものである。
廃棄タンク33は、シュート31の下方に配置され、前述したように、第二配管部材36を介して、シュート31と連通される。
【0048】
そして、廃棄タンク33には、図示せぬソレノイドバルブなどが設けられており、ソレノイドバルブを介して、一時的に貯溜されていた、洗浄水wを多く含む廃棄研磨スラリーSbを、研磨装置1の外部に適宜排出可能な構成となっている。
【0049】
[板ガラス研磨方法]
次に、本発明に係る板ガラス研磨方法について、
図1を用いて説明する。
本実施形態によって具現化される板ガラス研磨方法は、研磨装置1によって実施される。
【0050】
具体的には、研磨装置1において、研磨手段により研磨された矩形状の板ガラスGが、搬送工程たるベルトコンベア11によって水平姿勢に載置され、上流側から下流側の除去工程たる除去手段20に向かって、水平方向(より具体的には、矢印Aの方向)に連続的に搬送され、除去工程で除去された研磨スラリーSが、回収工程たるシュート31により回収される。
【0051】
ここで、研磨手段において、板ガラスGの被研磨面(上面)には研磨スラリーSが供給されるとともに、研磨スラリーSが付着した被研磨面(上面)は、研磨パッド(図示せず)を用いて押圧しながら研磨される。
【0052】
その後、研磨後の研磨スラリーSが被研磨面(上面)に付着した水平姿勢の板ガラスGが、搬送工程であるベルトコンベア11によって、水平方向に搬送される。
【0053】
除去工程においては、板ガラスGの被研磨面(上面)に残った研磨後の研磨スラリーSが、除去手段20から噴出される圧縮エアーaや洗浄水wによって、板ガラスGより除去され、回収工程たる回収手段30によって回収される。
【0054】
ここで、回収手段30において、シュート31の底面31aには、前述したように、止水板35が立設している。
止水板35は、平面視において、シュート31の、板ガラスGの搬送方向におけるエアーノズル21の配置位置と、洗浄ノズル22の配置位置との間に位置するようになっており、シュート31の内部は、止水板35によって、止水板35よりも上流側の空間(以降、「上流側空間」と記載する)と、止水板35よりも下流側の空間(以降、「下流側空間」と記載する)とに区画されている。
【0055】
そして、除去手段20による圧縮エアーaによって吹き飛ばされて、シュート31の上流側空間内に落下した研磨スラリーS(より具体的には、再生研磨スラリーSa)は、底面31aの傾斜に沿って中央部の第一排出口31bへと集められ、第一配管部材34を通って回収タンク32へと導かれるように構成されている。
【0056】
また、除去手段20による洗浄水wによって除去されて、シュート31の下流側空間内に落下した研磨スラリーS(より具体的には、廃棄研磨スラリーSb)は、第一排出口31bへと導かれるのを、止水板35によって効果的に堰き止められる構成となっている。
即ち、洗浄水wによって除去された廃棄研磨スラリーSbには多くの洗浄水wが混入しているが、多くの洗浄水wが混じり合ってスラリー濃度(研磨スラリーS全体に対する研磨剤の割合)が低下し、研磨能力が低下した研磨スラリーSが、第一排出口31bを介して回収タンク32へと導かれるのを、止水板35によって効果的に堰き止められる構成となっている。
【0057】
そして、止水板35によって堰き止められた、洗浄水wを含む研磨スラリーSは、第二配管部材36を通って廃棄タンク33へと一旦集められ、研磨装置1の外部へと排出される。
【0058】
以上のように、本実施形態にける板ガラス研磨方法においては、板ガラスGの研磨が行われ、研磨された板ガラスGは搬送工程により搬送され、下流側に位置する除去工程にて、研磨が完了した板ガラスGの上面に付着した、研磨後の研磨スラリーSが、除去手段20による圧縮エアーaおよび洗浄水wによって各々吹き飛ばされ、回収工程たる回収手段30によって回収される構成となっている。
また、回収手段30によって、再生研磨スラリーSaはシュート31の上流側空間内に案内され、廃棄研磨スラリーSbは下流側空間内に案内される構成となっている。
【0059】
その結果、再生研磨スラリーSaは、回収タンク32に一旦回収されて再利用される一方、廃棄研磨スラリーSbは、廃棄タンク33に一旦回収されて研磨装置1の外部に排出される。
つまり、本実施形態における板ガラス研磨方法においては、研磨能力の低下を伴う破棄研磨スラリーSbを極力除いた、再生研磨スラリーSaを優先的に回収することによって、研磨能力の低下を極力防止しつつ研磨後の研磨スラリーSを回収し、研磨スラリーSを再利用する構成となっている。