特許第6245004号(P6245004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245004
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】排紙装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20171204BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20171204BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B65H31/26
   B65H29/70
   G03G15/00 440
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-50019(P2014-50019)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-174709(P2015-174709A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】仙道 宏
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 貴洋
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−073591(JP,A)
【文献】 特開2004−115254(JP,A)
【文献】 特開平05−254709(JP,A)
【文献】 特開2011−001146(JP,A)
【文献】 特開2004−091178(JP,A)
【文献】 特開2005−096964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00 − 31/40
B65H 29/54 − 29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出部から用紙を排紙トレイ部に排出させる排紙装置において、前記の排出部から排出された用紙と当接されて上下方向に揺動し、排紙トレイ部に排出された用紙を押さえる押え部材として、用紙の排紙方向と交差する用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材と、この中央押え部材の両側においてそれぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材とを設け、前記の端部押え部材の押え力を中央押え部材の押え力よりも強くすると共に、前記の中央押え部材の幅を前記の端部押え部材の幅よりも広くしたことを特徴とする排紙装置。
【請求項2】
排出部から用紙を排紙トレイ部に排出させる排紙装置において、前記の排出部から排出された用紙と当接されて上下方向に揺動し、排紙トレイ部に排出された用紙を押さえる押え部材として、用紙の排紙方向と交差する用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材と、この中央押え部材の両側においてそれぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材とを設け、前記の端部押え部材の押え力を中央押え部材の押え力よりも強くすると共に、中央押え部材の両側に設けられる前記の端部押え部材を、それぞれ用紙の幅に対応するように、用紙の幅方向に複数に分割して設けたことを特徴とする排紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の排紙装置において、前記の中央押え部材の幅を前記の端部押え部材の幅よりも広くしたことを特徴とする排紙装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の排紙装置において、前記の中央押え部材と端部押え部材とはそれぞれ回転支点を中心に上下方向に回動可能に設けられ、回転支点から排紙方向に延出される前記の中央押え部材と端部押え部材との長さが同じであることを特徴とする排紙装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の排紙装置において、前記の端部押え部材に錘を取り付けて、端部押え部材の押え力を中央押え部材の押え力よりも強くしたことを特徴とする排紙装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の排紙装置において、前記の端部押え部材を付勢部材により排紙トレイ部に向けて付勢させて、端部押え部材の押え力を中央押え部材の押え力よりも強くしたことを特徴とする排紙装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の排紙装置において、前記の端部押え部材による押え力を調整する調整手段を設けたことを特徴とする排紙装置。
【請求項8】
トナー画像が形成された用紙を排紙装置によって排出部から排紙トレイ部に排出させる画像形成装置において、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の排紙装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出部から用紙を排紙トレイ部に排出させる排紙装置及びこのような排紙装置を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの複合機からなる画像形成装置に関するものである。特に、排出部から用紙がカールした状態で排紙トレイ部に排出される場合においても、カールした用紙が排紙トレイ部において平らな状態に矯正されて、用紙が適切な状態で排紙トレイ部に積載されるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、一般に、排紙装置により、トナー画像が形成された用紙を排出部から順々に排紙トレイ部に排出させて、排出された用紙を排紙トレイ部に積載させるようにしている。
【0003】
ここで、画像形成装置においては、定着装置によりトナー画像を用紙に加圧・加熱させて定着させる場合等において、用紙が用紙の送り方向と交差する方向、すなわち用紙の幅方向にカールすることがあった。
【0004】
そして、このように用紙の幅方向にカールした用紙を前記のように排出部から順々に排紙トレイ部に排出させた場合、このようにカールした状態で排紙トレイ部に先に排出されている用紙に、排出部から排出される次の用紙が当たり、次の用紙が排紙トレイ部に排出されなくなって、用紙詰まりが生じたり、また、排紙トレイ部に先に排出されていた用紙が次の用紙に押されてずれてしまい、排紙トレイ部の上に用紙を適切に積載させることができなくなったりするという問題があった。
【0005】
そして、従来においては、特許文献1に示されるように、排出部の下流側にガイド部材を設け、このガイド部材における排紙方向と直交する幅方向両側の端部ガイド部分を、排出部から排出される用紙の両端部分がこの幅方向両側の端部ガイド部分に沿って中央側に撓むように構成し、排出部から排出される用紙の両端部分を、この幅方向両側の端部ガイド部分に当接させるようにし、用紙の幅方向において凹状にカールした用紙の両端部分を、この両側の端部ガイド部分に沿って中央側に撓ませて、凹状にカールした用紙を矯正するようにしたものが提案されている。
【0006】
ここで、画像形成装置において、前記のように用紙にトナー画像を形成する場合、定着装置の構成や、用紙を搬送させる搬送経路の構成、また用紙の種類や、温度や湿度等の環境条件により、用紙がカールする方向や量は一定しておらず、用紙が用紙の幅方向において凹状にカールされる他に、凸状にカールされる場合もある。
【0007】
しかし、前記の特許文献1に示されるものは、凹状にカールした用紙の両端部分を、両側の端部ガイド部分に沿って中央側に撓ませるものであるため、前記のように用紙が凸状にカールしている場合、凸状になった用紙の中央部を押圧させて、凸状にカールした用紙を適切に矯正するということはできなかった。このため、用紙の幅方向において凸状にカールされた用紙の場合には、前記のように排紙トレイ部に排出されている先の用紙に次の用紙が当たり、次の用紙が排紙トレイ部に排出されなくなって、用紙詰まりが生じたり、排紙トレイ部に先に排出されていた用紙が次の用紙に押されてずれ、排紙トレイ部の上に用紙が適切に積載されなくなるという問題が依然として存在した。
【0008】
また、特許文献2においては、排紙トレイ部に排出されて積載された用紙の満杯状態を検知するにあたり、排出部から排紙トレイ部に排出された用紙を上から押圧させる押え部材を設け、この押え部材による用紙の押圧力を幅の狭い用紙よりも幅の広い用紙の方が強くなるようにし、用紙の積載高さが高い部分に接触している押え部材と満杯検知部材との何れか一方で、用紙の満杯状態を検知するようにしたものが示されている。
【0009】
しかし、この特許文献2のものは、凹状にカールされた用紙や凸状にカールされた用紙が排紙トレイ部に排出される場合に、このようにカールされた用紙を矯正するという目的のものではなく、前記のような問題を解決することはできないものであった。
【0010】
また、特許文献3においては、回動可能な押えレバーや検知レバーにおける揺動部を、排紙トレイ部に排出された用紙に当接させて、カールした用紙を押さえるにあたり、押えレバーや検知レバーに設けられた両側の揺動部に錘を着脱可能に設け、揺動部に装着させる錘の重量や位置を変更させて、カールした用紙を押さえる押圧力を容易に調整できるようにしたものが示されている。
【0011】
しかし、この特許文献3においては、押えレバーや検知レバーに設けられた両側の揺動部に錘を着脱可能に設け、これらの揺動部により、用紙の幅方向において凹状にカールされた用紙の両側の端部を押さえて、凹状にカールされた用紙を矯正することは示されているが、前記の特許文献1のものと同様に、凸状にカールした用紙を適切に矯正するということはできず、また用紙におけるカールの程度に応じて、押えレバーや検知レバーに設けられた両側の揺動部に装着させる錘の重量や位置を変更させるということも面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−248738号公報
【特許文献2】特開2005−96964号公報
【特許文献3】特開2004−115254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、排出部から用紙を排紙トレイ部に排出させる排紙装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0014】
すなわち、本発明は、前記のような排紙装置において、排出部から用紙がカールした状態で排紙トレイ部に排出される場合においても、カールした用紙が排紙トレイ部において平らな状態に矯正されて、用紙が適切な状態で排紙トレイ部に積載されるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る排紙装置においては、前記の課題を解決するため、排出部から用紙を排紙トレイ部に排出させる排紙装置において、前記の排出部から排出された用紙と当接されて上下方向に揺動し、排紙トレイ部に排出された用紙を押さえる押え部材として、用紙の排紙方向と交差する用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材と、この中央押え部材の両側においてそれぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材とを設け、前記の中央押え部材の押え力よりも端部押え部材の押え力を強くすると共に、前記の中央押え部材の幅を前記の端部押え部材の幅よりも広くした。
【0016】
そして、この排紙装置において、用紙の幅方向に凹状にカールして幅方向両端部が浮き上がった状態で用紙が前記の排出部から排出される場合には、この用紙の浮き上がった両端部分が、中央押え部材よりも押え力が強くなった前記の両側の端部押え部材によって押さえられ、次の用紙が、先に排出された用紙の上に適切に導かれるようになると共に、この両側の端部押え部材により浮き上がった用紙の両端部分が強く押さえられて、凹状にカールした用紙が矯正されるようになる。また、用紙の幅方向に凸状にカールして中央部が浮き上がった状態で用紙が前記の排出部から排出される場合には、この用紙の浮き上がった中央部が前記の中央押え部材によって押さえられ、次の用紙が、先に排出された用紙の上に適切に導かれるようになると共に、浮き上がった用紙の中央部が、この中央押え部材によって押さえられると共に、排紙トレイ部に排出されて積載された用紙の自重によって押さえられ、凸状にカールした用紙が次第に矯正されるようになる。
【0017】
さらに、前記の排紙装置においては、前記の押え部材として、前記の中央押え部材の幅が前記の端部押え部材の幅よりも広くなったものを用いるようにしたため、凸状にカールして中央部が浮き上がった用紙を幅広になった中央押え部材によって適切に押さえられるようになると共に、凹状にカールして幅方向両端部が浮き上がった用紙の両端部を前記の端部押え部材によって押さえた場合に、用紙の中央部が浮き上がるのが、前記の幅が広くなった中央押え部材によって適切に防止されるようになる。
【0018】
また、本発明に係る他の排紙装置においては、排出部から用紙を排紙トレイ部に排出させる排紙装置において、前記の排出部から排出された用紙と当接されて上下方向に揺動し、排紙トレイ部に排出された用紙を押さえる押え部材として、用紙の排紙方向と交差する用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材と、この中央押え部材の両側においてそれぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材とを設け、前記の中央押え部材の押え力よりも端部押え部材の押え力を強くすると共に、中央押え部材の両側に設けられる前記の端部押え部材を、それぞれ用紙の幅に対応するように、用紙の幅方向に複数に分割して設けた
【0019】
また、前記の押え部材を、排出部から排出された用紙と当接されて上下方向に揺動するように設けるにあたっては、前記の中央押え部材と端部押え部材とを、それぞれ回転支点を中心に回動可能に設け、この回転支点から排紙方向に延出される前記の中央押え部材と端部押え部材との長さを同じにすることができる。そして、このように回転支点から排紙方向に延出される中央押え部材と端部押え部材との長さを同じにすると、前記のように用紙が用紙の幅方向に凹状にカールした場合や、用紙の幅方向に凸状にカールした場合のいずれの場合においても、前記の中央押え部材と端部押え部材とによって、用紙を同じようにして押さえることができるようになる。
【0020】
また、前記のように中央押え部材の押え力よりも端部押え部材の押え力を強くするにあたっては、端部押え部材に錘を取り付けて、端部押え部材の押え力を中央押え部材の押え力よりも強くするようにし、或いは、端部押え部材を排紙トレイ部に向けて付勢する付勢部材を設け、この付勢部材によって端部押え部材の押え力を中央押え部材の押え力よりも強くすることができる。
【0021】
また、前記の端部押え部材による押え力を調整する調整手段を設け、この調整手段により、端部押え部材によって用紙の端部を押さえる力を、カールした用紙の状態等に応じて変更させることができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置においては、トナー画像が形成された用紙を排紙装置によって排紙トレイ部に排出させるにあたり、前記のような排紙装置を用いるようにした。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る排紙装置においては、排出部から排出された用紙と当接されて上下方向に揺動し、排紙トレイ部に排出された用紙を押さえる押え部材として、用紙の排紙方向と交差する用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材と、この中央押え部材の両側においてそれぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材とを設け、前記の中央押え部材の押え力よりも端部押え部材の押え力を強くしたため、用紙が用紙の幅方向に凹状にカールした状態や凸状にカールした状態で、排出部から排紙トレイ部に排出される場合においても、カールした用紙が中央押え部材と端部押え部材とによって適切に押さえられて、カールした用紙が排紙トレイ部において平らな状態に矯正され、用紙が適切な状態で排紙トレイ部に積載されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置及び排紙装置を示し、用紙にトナー画像を形成し、トナー画像が形成された用紙を排紙装置により排出部から排紙トレイ部に排出させる状態を示した概略説明図である。
図2】本発明の実施形態1に係る排紙装置において、排紙ローラーにより排出部から排紙トレイ部に排出される用紙を押え部材によって押さえる状態を示した概略斜視図である。
図3】前記の実施形態1に係る排紙装置に使用する押え部材において、用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材の両側に、それぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材を設けた状態を示した概略平面図である。
図4】前記の実施形態1に係る排紙装置において、(A)は用紙が幅方向に凹状にカールして用紙の幅方向両端部が浮き上がった状態を示した概略正面図、(B)は幅方向に凹状にカールした用紙が押え部材により押さえられて、排紙トレイ部の上において略平らに矯正される状態を示した概略説明図である。
図5】前記の実施形態1に係る排紙装置において、(A)は用紙が幅方向に凸状にカールして用紙の幅方向中央部が浮き上がった状態を示した概略正面図、(B)は幅方向に凸状にカールした用紙が押え部材により押さえられて、排紙トレイ部の上において略平らに矯正される状態を示した概略説明図である。
図6】前記の実施形態1に係る排紙装置において、中央押え部材の両側に設ける端部押え部材を、各種の大きさの用紙の幅に対応するように、用紙の幅方向に複数に分割して設けた状態を示した概略平面図である。
図7】本発明の実施形態2における排紙装置に使用する押え部材において、用紙の幅方向中央部を押さえる中央押え部材の両側に、それぞれ用紙の幅方向端部を押さえる端部押え部材を設けると共に、各端部押え部材を捩りコイルバネによって排紙トレイ部に向けて付勢させる状態を示した概略平面図である。
図8】前記の実施形態2における排紙装置に使用する押え部材において、前記の端部押え部材を捩りコイルバネによって排紙トレイ部に向けて付勢させる状態を示した部分斜視図である。
図9】前記の実施形態2における排紙装置に使用する押え部材において、中央押え部材の幅方向端部から側方に延出された一方の回転軸に、排紙トレイ部の上に積載された用紙の量を検出するためのアクチュエーターを取り付けると共に、このアクチュエーターの位置を検知する検知センサーを設けた状態を示した概略説明図である。
図10】前記の実施形態2における排紙装置において、排紙トレイ部の上に積載された用紙の量を検出する状態を示し、(A)は排紙トレイ部の上に積載された用紙の量が少なく、アクチュエーターが検知センサーによって検知されない状態を示した部分概略説明図、(B)は排紙トレイ部の上に積載された用紙の量が所定量以上になって、アクチュエーターが検知センサーによって検知される状態を示した部分概略説明図である。
図11】前記の実施形態2における排紙装置において、端部押え部材を排紙トレイ部に向けて付勢する場合の変更例を示し、調整手段によって端部押え部材を排紙トレイ部に向けて付勢する力を調整する構成を示した部分概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態に係る排紙装置及びこのような排紙装置を用いる画像形成装置について、添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る排紙装置及び画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0026】
この実施形態の画像形成装置1においては、図1に示すように、その内部に、黒色のトナーを用いて画像形成を行う黒色のイメージングユニット10Kと、シアン色のトナーを用いて画像形成を行うシアン色のイメージングユニット10Cと、マゼンタ色のトナーを用いて画像形成を行うマゼンタ色のイメージングユニット10Mと、黄色のトナーを用いて画像形成を行う黄色のイメージングユニット10Yとからなる4つのイメージングユニット10K,10C,10M,10Yを装着させている。
【0027】
また、前記の各イメージングユニット10K,10C,10M,10Yにおいては、感光体11と、この感光体11の表面を帯電させる帯電装置12と、帯電された感光体11の表面に画像情報に応じた露光を行って感光体11の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置13と、感光体11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置14と、感光体11の表面に形成されたトナー画像を後述する中間転写ベルト21に転写させた後に、感光体11の表面に残留するトナー等の残留物を除去する第1クリーニング装置15を設けている。
【0028】
そして、この画像形成装置1においては、前記の各イメージングカートリッジ10K,10C,10M,10Yにおいて、それぞれ感光体11の表面を帯電装置12によって帯電させ、このように帯電された各感光体11の表面にそれぞれ潜像形成装置13によって画像情報に応じた露光を行い、各感光体11の表面にそれぞれ画像情報に応じた静電潜像を形成し、各感光体11の表面に形成された静電潜像に、前記の各現像装置14からそれぞれの色彩のトナーを供給して、各感光体11の表面にそれぞれの色彩のトナー画像を形成するようにしている。
【0029】
次いで、各イメージングユニット10K,10C,10M,10Yにおける各感光体11の表面に形成された各色彩のトナー画像を、駆動ローラー22aと回転ローラー22bに架け渡されて回転駆動される中間転写ベルト21を介して対向する各一次転写ローラー23の位置に導いて、各感光体11の表面に形成された各色彩のトナー画像を、それぞれ一次転写ローラー23により中間転写ベルト21に順々に転写させて、この中間転写ベルト21の上に各色彩のトナー画像を重畳させるようにしている。なお、前記のように各感光体11の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト21に一次転写させた後、各感光体11の表面に残留するトナー等の残留物を、それぞれ前記の第1クリーニング装置15によって除去するようにしている。
【0030】
そして、前記のように中間転写ベルト21の上に重畳された各色彩のトナー画像を、二次転写ローラー24と対向する位置に導くようにしている。
【0031】
一方、この画像形成装置1内の底部に、用紙Sを積層させて収容させた給紙カセット2を設け、この給紙カセット2内に収容された用紙Sを押上板2aにより押し上げ、押し上げられた用紙Sを、ピックアップローラー25により給紙カセット2から引き出して、給紙ローラー26aと捌きローラー26bとの間に導くようにしている。
【0032】
そして、この給紙ローラー26aと捌きローラー26bとの間を通して1枚の用紙Sを、一対のタイミングローラー27間に導き、このタイミングローラー27により、用紙Sを適当なタイミングで前記の中間転写ベルト21と二次転写ローラー24との間に導き、中間転写ベルト21の上に形成された前記のトナー画像を、二次転写ローラー24により用紙Sに転写させるようにしている。なお、用紙Sに転写されずに中間転写ベルト21の上に残ったトナー等の残留物を、第2クリーニング装置28によって中間転写ベルト21から除去させるようにしている。
【0033】
そして、前記のようにトナー画像が転写された用紙Sを定着装置29に導き、この定着装置29において、前記のトナー画像を用紙Sに定着させた後、トナー画像が定着された用紙Sを、排紙装置30における一対の排紙ローラー31により排出部3から排紙トレイ部4に排出させるようにすると共に、このように排出部3から排出される用紙Sと当接されて、上下方向に揺動する押え部材32により、排紙トレイ部4に排出された用紙Sを押さえるようにしている。
【0034】
次に、前記の排紙装置30の実施形態について説明する。
【0035】
(実施形態1)
実施形態1における排紙装置30においては、図2及び図3に示すように、押え部材32として、用紙Sの排紙方向と交差する用紙Sの幅方向中央部を押さえる中央押え部材32aと、この中央押え部材32aの両側においてそれぞれ用紙Sの幅方向端部を押さえる端部押え部材32bとを、排紙ローラー31の上方に設けられた支軸32cを回転支点として上下方向に回動可能に設ける共に、前記の支軸32cから排紙方向に延出される前記の中央押え部材32aと各端部押え部材32bとの長さが同じになるようにしている。
【0036】
ここで、中央押え部材32aと端部押え部材32bとを、前記の支軸32cを回転支点として上下方向に回動可能に設けるにあたっては、中央押え部材32aと端部押え部材32bとをそれぞれ前記の支軸32cに対して回動可能に取り付けるようにする他、中央押え部材32aを支軸32cと一緒に回転するように取り付ける一方、両側の端部押え部材32bをこの支軸32cに対して回動可能に取り付けるようにすることもできる。
【0037】
そして、この排紙装置30においては、前記の中央押え部材32aの幅を、その両側における端部押え部材32bの幅よりも大きくすると共に、両側における端部押え部材32bにそれぞれ錘32dを取り付け、端部押え部材32bにより用紙Sの幅方向端部を押さえる押え力が、前記の中央押え部材32aにより用紙Sの幅方向中央部を押さえる押え力よりも強くなるようにしている。
【0038】
ここで、図4(A)に示すように、前記の排出部3から排出される用紙Sが幅方向に凹状にカールして幅方向両端部が浮き上がった状態で前記の排出部3から排出される場合には、図4(B)に示すように、この用紙Sの浮き上がった両端部分が、中央押え部材32aよりも押え力が強くなった前記の両側の端部押え部材32bにより押さえられると共に、両端部が押さえられた用紙Sの中央部が浮き上がるのが前記の幅広になった中央押え部材32aによって適切に防止され、凹状にカールした用紙Sが排紙トレイ部4の上において略平らな状態に矯正されて、用紙Sが適切な状態で排紙トレイ部4の上に積載されるようになる。
【0039】
また、図5(A)に示すように、前記の排出部3から排出される用紙Sが幅方向に凸状にカールして幅方向中央部が浮き上がった状態で前記の排出部3から排出される場合には、図5(B)に示すように、この用紙Sの浮き上がった中央部が幅広になった中央押え部材32aによって押さえられると共に、中央部が押さえられた用紙Sの両端部が浮き上がるのが前記の端部押え部材32bによって適切に防止され、凸状にカールした用紙Sが排紙トレイ部4の上において略平らな状態に矯正されて、用紙Sが適切な状態で排紙トレイ部4の上に積載されるようになる。
【0040】
なお、この実施形態1における排紙装置30においては、中央押え部材32aの両側にそれぞれ端部押え部材32bを1つ設けるようにしただけであるが、図6に示すように、A4サイズ、A5サイズ等の各種の大きさの用紙Sの幅に対応するように、端部押え部材32bを用紙Sの幅方向に複数に分割して設けるようにすることもできる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2における排紙装置30においては、図7図9に示すように、押え部材32として、用紙Sの幅方向中央部を押さえる中央押え部材32aにおける用紙Sの幅方向両端部からそれぞれ回転軸32eを側方に延出させ、各回転軸32eに用紙Sの幅方向端部を押さえる端部押え部材32bを上下方向に回動可能に取り付けたものを用いるようにしている。
【0042】
そして、この排紙装置30においても、前記の中央押え部材32aの幅を、その両側における端部押え部材32bの幅よりも大きくすると共に、両側の端部押え部材32bによって用紙Sの幅方向端部を押さえる押え力が、中央押え部材32aによって用紙Sの幅方向中央部を押さえる押え力よりも強くなるようにしている。
【0043】
ここで、この排紙装置30においては、両側の端部押え部材32bによって用紙Sの幅方向端部を押さえる押え力を、中央押え部材32aによって用紙Sの幅方向中央部を押さえる押え力よりも強くするにあたっては、図7及び図8に示すように、付勢部材として捩りコイルバネ32fを前記の回転軸32eに巻き付けるようにし、この捩りコイルバネ32fの一端を画像形成装置1内に設けられた係止部1aに係止させると共に、この捩りコイルバネ32fの他端を端部押え部材32bに設けられた係止部32gに係止させ、この捩りコイルバネ32fによって端部押え部材32bを排紙トレイ部4に向けて付勢させるようにしている。
【0044】
このようにすると、用紙Sが幅方向に凹状にカールして幅方向両端部が浮き上がった状態や、用紙Sが幅方向に凸状にカールして幅方向中央部が浮き上がった状態の何れの状態で排出部3から排出される場合であっても、前記の実施形態1の排紙装置30の場合と同様に、前記の中央押え部材32aや端部押え部材32bによってカールした用紙Sが適切に押さえられて、カールした用紙Sが排紙トレイ部4の上において略平らな状態に矯正され、用紙Sが適切な状態で排紙トレイ部4の上に積載されるようになる。
【0045】
また、この排紙装置30においては、図9に示すように、中央押え部材32aにおける用紙Sの幅方向端部から側方に延出された一方の回転軸32eに、排紙トレイ部4の上に積載された用紙Sの量を検出するアクチュエーター33を取り付けると共に、このアクチュエーター33の位置を検知する検知センサー34を設けている。
【0046】
そして、排紙トレイ部4の上に積載された用紙Sの量が少なく、前記の中央押え部材32aや端部押え部材32bの先端が下方に回動された状態では、図10(A)に示すように、前記のアクチュエーター33が前記の検知センサー34よりも上方に回動された位置で維持されて、アクチュエーター33が検知センサー34によって検知されない。一方、排紙トレイ部4の上に積載された用紙Sの量が増加して、前記の中央押え部材32aや端部押え部材32bの先端が上方に回動されると、これに伴って前記のアクチュエーター33が下方に回動され、図10(B)に示すように、排紙トレイ部4の上に積載された用紙Sの量が所定量以上になった場合には、アクチュエーター33が前記の検知センサー34によって検知されるようになる。そして、このようにアクチュエーター33が検知センサー34によって検知された場合には、排紙トレイ部4の上に積載された用紙Sが所定量以上になったことを、表示装置(図示せず)等に表示させるようにしている。
【0047】
また、この実施形態2における排紙装置30においては、端部押え部材32bによって用紙Sの幅方向端部を押さえる押え力を強くするにあたり、前記のように付勢部材として捩りコイルバネ32fを用いるようにしたが、端部押え部材32bによって用紙Sの幅方向端部を押さえる押え力を強くする方法はこのようなものに限定されない。
【0048】
例えば、図11に示すように、付勢部材として引張りコイルバネ32hを用い、この引張りコイルバネ32hの一端を、前記の端部押え部材32bに設けられた係止部32gに係止させる一方、前記の端部押え部材32bによる押え力を調整する調整手段35として、回転装置35aによって回動されるアーム部材35bに係止部35cを設け、この係止部35cに前記の引張りコイルバネ32hの他端を係止させるようにすることができる。
【0049】
このようにすると、前記の回転装置35aによってアーム部材35bを端部押え部材32bに近づける方向や離れる方向に回動させることにより、前記の引張りコイルバネ32hによって端部押え部材32bを引っ張る力を調整して、用紙Sの幅方向端部を押さえる端部押え部材32bの押え力を調整することができるようになる。この結果、用紙Sの種類や環境条件の変化等により、用紙Sがカールする状態が変化しても、端部押え部材32bによって用紙Sの幅方向端部を押さえる押え力を変更させて、カールした用紙Sを排紙トレイ部4の上において適切に矯正することができるようになる。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置、1a 係止部
2 給紙カセット、2a 押上板
3 排出部
4 排紙トレイ部
10K,10C,10M,10Y イメージングユニット
11 感光体
12 帯電装置
13 潜像形成装置
14 現像装置
15 第1クリーニング装置
21 中間転写ベルト
22a 駆動ローラー、22b 回転ローラー
23 一次転写ローラー
24 二次転写ローラー
25 ピックアップローラー
26a 給紙ローラー、26b 捌きローラー
27 タイミングローラー
28 第2クリーニング装置
29 定着装置
30 排紙装置
31 排紙ローラー
32 押え部材、32a 中央押え部材、32b 端部押え部材、32c 支軸、32d 錘、32e 回転軸、32f 捩りコイルバネ(付勢部材)、32g 係止部、32h 引張りコイルバネ(付勢部材)
33 アクチュエーター
34 検知センサー
35 調整手段、35a 回転装置、35b アーム部材、35c 係止部
S 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11