特許第6245021号(P6245021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245021
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】補機取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20171204BHJP
   B60K 5/12 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B60K1/00
   B60K5/12 E
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-61962(P2014-61962)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-182658(P2015-182658A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】浦野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西原 正樹
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−147152(JP,A)
【文献】 特開2005−119598(JP,A)
【文献】 特許第5296913(JP,B2)
【文献】 特開平07−081429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60K 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用のモータと、
前記モータに接続されると共に緩衝部材を介して車両構造体に支持されたトランスアクスルと、
振動を伴って作動する補機と、
前記モータを取り付ける第1の取付部と、前記補機を取り付ける第2の取付部とを具備すると共に緩衝部材を介して前記車両構造体に支持されたブラケットとを有することを特徴とする補機取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の補機取付構造において、
前記補機と前記モータとは、前記ブラケットを介して離間して配置されることを特徴とする補機取付構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の補機取付構造において、
前記ブラケットは前記車両構造体に支持される支持部と第1の取付部と第2の取付部とが互いに直交する板部材により構成されることを特徴とする補機取付構造。
【請求項4】
請求項3記載の補機取付構造において、
前記補機は前記各板部材に囲まれて配置されることを特徴とする補機取付構造。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1項に記載の補機取付構造において、
前記モータは前記補機と前記トランスアクスルとの間に配置されていることを特徴とする補機取付構造。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか1項に記載の補機取付構造において、
前記車両構造体はサイドメンバに弾性支持されたモータマウントであることを特徴とする補機取付構造。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか1項に記載の補機取付構造において、
前記補機は前記モータを冷却する冷媒を循環させる冷却ポンプであることを特徴とする補機取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータマウント等の車両構造体に取り付けられる冷却ポンプやバキュームポンプ等の補機取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンは、エンジンルームを構成するサイドメンバやクロスメンバ等の剛性部材にエンジンマウントを介して支持されている。そして、電気自動車では主駆動モータの重量がエンジンに比較すると1/2程度であるため、トランスアクスル側に重量が偏ることから主駆動モータの位置を車幅方向中央からオフセットする必要が生じると共に、コンプレッサや冷却ポンプ類は別のモータによって駆動させる必要がある。そこで、主駆動モータと他のモータとを同一ケース内に配置することにより、通常のエンジンに比して軽量な主駆動モータの重量を他のモータによって補完でき、主駆動モータを単独で配置した場合に比して車幅方向中央寄りに配置できるので、左右の重量バランスの偏りを少なくする構成が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−81429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上述の構成では、作動時に振動する補機である冷却ポンプが他のモータに片持ち状態で支持されているため、ポンプの支持状態が不安定であり長時間の運転時において不具合が生じる虞がある。また、従来はモータとポンプとの間にポンプの振動を緩和させるためのゴムブッシュを設けているが、ポンプの振動が大きい場合には2重防振が必要でコストアップの要因となっている。さらに、最近ではレイアウトの簡易化及びコストダウン等の方向から部品点数の削減が望まれている。
本発明は上述の問題点を解決し、部品点数を削減しつつ長時間の運転時においても安定して振動する補機を支持することが可能な補機取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、走行用のモータと、前記モータに接続されると共に緩衝部材を介して車両構造体に支持されたトランスアクスルと、振動を伴って作動する補機と、前記モータを取り付ける第1の取付部と、前記補機を取り付ける第2の取付部とを具備すると共に緩衝部材を介して前記車両構造体に支持されたブラケットとを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の補機取付構造において、さらに前記補機と前記モータとは、前記ブラケットを介して離間して配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の補機取付構造において、さらに前記ブラケットは前記車両構造体に支持される支持部と第1の取付部と第2の取付部とが互いに直交する板部材により構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の補機取付構造において、さらに前記補機は前記各板部材に囲まれて配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から4までの何れか1項に記載の補機取付構造において、さらに前記モータは前記補機と前記トランスアクスルとの間に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から5までの何れか1項に記載の補機取付構造において、さらに前記車両構造体はサイドメンバに弾性支持されたモータマウントであることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から6までの何れか1項に記載の補機取付構造において、さらに前記補機は前記モータを冷却する冷媒を循環させる冷却ポンプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モータと冷却ポンプとの間に設けられていた緩衝部材を省略することができると共に冷却ポンプを安定して支持することができ、部品点数を削減しつつ長時間の運転時においても安定して冷却ポンプを支持することが可能な冷却ポンプの支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を適用した冷却ポンプ取付構造の概略図である。
図2】本発明の一実施形態を適用した冷却ポンプ取付構造の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態の変形例を適用した冷却ポンプ取付構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態を適用した車両の主駆動モータ周辺における概略図である。同図において符号1は走行用の主駆動モータを示しており、主駆動モータ1の車幅方向側方にはトランスミッションにディファレンシャルギヤが組み込まれたトランスアクスル2が接続されている。トランスアクスル2は、その車両前後方向の両端部を、緩衝部材であるゴムブッシュ3を介して図示しないサイドメンバ等の剛性部材に固定された車両構造体としてのモータマウント4,5に支持されている。なお、トランスアクスル2はクロスメンバに支持されていてもよい。
【0015】
主駆動モータ1の、トランスアクスル2が接続された側とは反対側の車幅方向側方には、ブラケット6が配設されている。少なくとも2面の起立面を有するブラケット6は、図2に示すようにその一方の起立面である第1の取付部6aを主駆動モータ1に固定されており、ゴムブッシュ3を介して支持部6bをモータマウント5に支持されている。そしてブラケット6の第2の取付部6cには、振動を伴って作動する補機としての冷却ポンプ7が取り付けられている。
【0016】
上述の構成により、主駆動モータ1と冷却ポンプ7との間に設けられていたゴムブッシュを省略することができると共に冷却ポンプ7を安定して支持することができ、部品点数を削減しつつ長時間の運転時においても安定して冷却ポンプ7を支持することが可能な冷却ポンプの支持構造を提供することができる。
【0017】
上述した実施形態では、冷却ポンプ7と主駆動モータ1とがブラケット6を介して離間して配置されている。これにより、冷却ポンプ7と主駆動モータ1とが接した状態で固定されている場合に比して、冷却ポンプ7の作動時における振動が主駆動モータ1に伝播しないので、振動に起因する主駆動モータ1の不具合発生を防止することができる。
【0018】
また上述の構成では、モータマウント5に支持される支持部6bと第1の取付部6aと第2の取付部6cとが互いに直交する板部材によって構成されているので、取付性を向上することができる。また、冷却ポンプ7がブラケット6を構成する各板部材に囲まれて配置されているので、冷却ポンプ7が安定して固定されると共にコンパクトな配置を達成することができる。
【0019】
また、主駆動モータ1が冷却ポンプ7とトランスアクスル2との間に配置されているので、冷却ポンプ7の作動時における振動がトランスアクスル2に伝播せず、振動に起因するトランスアクスル2の不具合発生を防止することができる。また上述の構成では、モータマウント5が図示しないサイドメンバに弾性支持されているので、主駆動モータ1が二重防振されるため振動をさらに抑制することができる。
【0020】
また上述の構成では、冷却ポンプ7が主駆動モータ1の近傍に配置されているので、冷却配管が短縮できコンパクトな構成を達成することができる。また、上記実施形態では補機として冷却ポンプ7を示したが、振動を伴って作動する補機としてはこれに限られず、例えばバキュームポンプ等であってもよい。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態の変形例を示している。この変形例は、上述した実施形態と比較すると、ブラケット6における冷却ポンプ7の固定位置が異なっている点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。この変形例では、主駆動モータ1と冷却ポンプ7とが、車幅方向においてオーバーラップして配置されている。この構成によれば、車幅方向のレイアウトが制限されている場合においても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1 モータ(主駆動モータ)
2 トランスアクスル
3 緩衝部材(ゴムブッシュ)
4,5 車両構造体(モータマウント)
6 ブラケット
6a 第1の取付部
6b 支持部
6c 第2の取付部
7 補機(冷却ポンプ)
図1
図2
図3