(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記認証手段は、さらに、前記2つのデコード結果の比較結果に応じて、前記表示媒体が正規の媒体であることを認証することを特徴とする請求項1または2に記載の情報コード読取システム。
前記第1ステップでは、前記特定の波長帯の光が照射された状態で撮像された前記第2の情報コードをデコードした後に、前記第1の情報コードをデコードすることを特徴とする請求項6に記載の情報コード読取方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように情報コードが隠蔽される表示媒体では、その情報コードを読み取る際には、隠蔽ベタ印刷層に読取装置の読取口を向ける必要がある。すなわち、情報コードを視認できない隠蔽ベタ印刷層の部分に読取口が向けられることとなるため、この隠蔽ベタ印刷層の部分に何らかの工夫が施されていることが知得される可能性がある。そうすると、隠蔽ベタ印刷層を用いた情報コードの隠蔽構成が解析されやすくなってしまい、セキュリティ面で問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させ得る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、情報コード(C1,C2)が表示された表示媒体(20,20a)と、前記表示媒体に表示された情報コードを光学的に読み取る読取装置(40)と、を備え、前記読取装置による読取結果に基づいて前記表示媒体の認証を行う認証手段(41)を有する情報コード読取システム(10)において、前記表示媒体には、第1の情報が読み取られる視認可能な第1の情報コード(C1)と、特定の波長帯の光に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる第2の情報コード(C2)と、が表示され、前記読取装置は、少なくとも前記特定の波長帯の光を照射可能な照明手段(44)と、前記表示媒体に対して、前記第1の情報コードと前記照明手段により前記特定の波長帯の光が照射された状態の前記第2の情報コードとを撮像する撮像手段(42)と、前記撮像手段によって撮像された情報コードをデコードするデコード手段(41)と、を備え、
前記第1の情報には、公開可能な公開情報が含まれ、前記第2の情報には、非公開とすべき非公開情報に加えて前記第1の情報コードを特定可能な情報が含まれ、前記認証手段は、前記デコード手段により、前記第1の情報コードと前記第2の情報コードとの双方のデコード結果が得られ
、かつ、前記第2の情報コードとしてデコードされた情報に前記第1の情報コードを特定可能な情報が含まれることで、前記表示媒体が正規の媒体であることを認証し、前記第1の情報コードおよび前記第2の情報コードは、同種のコード種別であってほぼ同じ大きさにて前記表示媒体の長手方向に沿うように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、表示媒体(20)に表示された情報コード(C1,C2)を読取装置(40)を用いて光学的に読み取る情報コード読取方法において、前記表示媒体には、第1の情報が読み取られる視認可能な第1の情報コード(C1)と、特定の波長帯の光に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる第2の情報コード(C2)と、が表示され、
前記第1の情報には、公開可能な公開情報が含まれ、前記第2の情報には、非公開とすべき非公開情報に加えて前記第1の情報コードを特定可能な情報が含まれ、前記読取装置により、撮像された前記第1の情報コードをデコードするとともに前記特定の波長帯の光が照射された状態で撮像された前記第2の情報コードをデコードする第1ステップと、前記第1ステップにてそれぞれデコード結果が得られ
、かつ、前記第2の情報コードとしてデコードされた情報に前記第1の情報コードを特定可能な情報が含まれることで、前記表示媒体が正規の媒体であることを認証する第2ステップと、を備え、前記第1の情報コードおよび前記第2の情報コードは、同種のコード種別であってほぼ同じ大きさにて前記表示媒体の長手方向に沿うように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、表示媒体には、第1の情報が読み取られる視認可能な第1の情報コードと、特定の波長帯の光に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる第2の情報コードと、が表示されている。そして、撮像された第1の情報コードと第2の情報コードとの双方のデコード結果が得られることで、表示媒体が正規の媒体であることが認証手段により認証される。
【0012】
また、請求項
6の発明では、表示媒体には、第1の情報が読み取られる視認可能な第1の情報コードと、特定の波長帯の光に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる第2の情報コードと、が表示されている。そして、第1ステップにて、読取装置により撮像された第1の情報コードがデコードされるとともに読取装置により特定の波長帯の光が照射された状態で撮像された第2の情報コードがデコードされ、第1ステップにてそれぞれデコード結果が得られることで、第2ステップにて、表示媒体が正規の媒体であることが認証される。
【0013】
このように、第1の情報コードおよび第2の情報コードの双方が読み取られる場合にその表示媒体が正規の媒体であると認証されるため、単なる複製では特定の波長帯の光にて反射特性を示す第2の情報コードまで正確に複製できないので、第2の情報コードを利用した表示媒体の複製防止を実現することができる。特に、第三者が視認可能な第1の情報コードの他に特定の波長帯の光にて反射特性を示す第2の情報コードが更に用意されていることまで想到することは非常に困難であり、第2の情報コードの存在の知得を困難にすることができる。したがって、情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させることができる。
【0014】
特に、第1の情報コードおよび第2の情報コードは、
同種のコード種別であってほぼ同じ大きさにて表示媒体の長手方向に沿うように配置されるため、特定の波長帯の光にて反射特性を示す第2の情報コードの位置を視認可能な第1の情報コードから容易に推測することができる。特に、表示媒体を読取装置に対して上記
表示媒体の長手方向に機械的に沿うように送ることで、第1の情報コードおよび第2の情報コードの読み取りをスムーズに実施することができる。
【0019】
請求項
2の発明では、第2の情報には、認証のための情報が含まれるため、上記特定の波長帯の光が照射された状態で撮像された情報コードに上記認証のための情報が含まれるか否かについて判断することで、第2の情報コードを読み取っているか否か、すなわち、表示媒体が正規の媒体であるか否かを判別することができる。これにより、単に第2の情報コードを読み取っただけは表示媒体が正規の媒体であると認証されないので、認証手段による認証精度を向上させることができる。
【0020】
請求項
3の発明では、認証手段は、さらに、2つのデコード結果の比較結果に応じて、表示媒体が正規の媒体であることを認証する。これにより、例えば、第1の情報に含まれる情報と第2の情報に含まれる情報とが一定の関係にある場合に表示媒体が正規の媒体であることを認証することで、第1の情報の内容と第2の情報の内容との双方を考慮して表示媒体が正規の媒体であるか否かについて判別されるため、認証手段による認証精度をさらに向上させることができる。
【0021】
請求項
4の発明では、認証手段は、さらに、第2の情報コードのデコード結果から得られる有効期限が所定の期限内である場合に、その表示媒体が正規の媒体であることを認証する。これにより、有効期限をも考慮して情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させるとともに、有効期限の改竄を抑制できるだけでなく、有効期限が設定されていることさえ知得しにくくすることができる。
【0022】
請求項
5の発明では、第2の情報には、第1の情報コードの少なくとも一部を解読するための所定の暗号鍵が含まれるため、視認不能な第2の情報コードを読み取らない限り第1の情報コードの少なくとも一部を解読できないので、認証手段による認証精度をさらに向上させるとともに、第1の情報コードに関するセキュリティ性を向上させることができる。
【0023】
請求項
7の発明では、第1ステップにて、特定の波長帯の光が照射された状態で撮像された第2の情報コードがデコードされた後に、第1の情報コードがデコードされる。これにより、特定の波長帯の光が照射されて撮像された状態でデコードが失敗した媒体を偽造された偽造媒体とみなすことで、偽造媒体を撮像した場合に第1の情報コードに関する撮像処理やデコード処理を省略することができ、認証に関する処理を容易にし、その処理負荷を軽減することができる。
【0024】
請求項
8の発明では、表示媒体には、第1の情報が読み取られる視認可能な第1の情報コードと、特定の波長帯の光に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる第2の情報コードと、が表示されている。
【0025】
これにより、第1の情報コードおよび第2の情報コードの双方が読み取られる場合に限りその表示媒体が正規の媒体であると認証することで、単なる複製では特定の波長帯の光にて反射特性を示す第2の情報コードまで正確に複製できないので、第2の情報コードを利用した表示媒体の複製防止を実現することができる。特に、第三者が視認可能な第1の情報コードの他に特定の波長帯の光にて反射特性を示す第2の情報コードが更に用意されていることまで想到することは非常に困難であり、第2の情報コードの存在の知得を困難にすることができる。したがって、表示媒体に表示される情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、
図1は、第1実施形態に係る情報コード読取システム10を概略的に例示するブロック図である。
図1に示す情報コード読取システム10は、情報コードが表示された表示媒体20と、この表示媒体20に表示された情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置40と、を備え、情報コード読取装置40による読取結果に基づいて表示媒体20の認証を行うシステムである。本実施形態では、情報コード読取システム10は、コンサートの入場管理システムとして採用されており、表示媒体20は、コンサートの入場チケットとして所定の印刷所等にて作成された後に販売所等にて販売され、情報コード読取装置40は、コンサート会場の各入場ゲートにそれぞれ設置されている。
【0030】
(表示媒体)
まず、本実施形態の情報コード読取システム10で用いられる表示媒体20について図面を参照して詳述する。なお、
図2は、第1実施形態に係る表示媒体20の一例を説明する説明図であり、
図2(A)は、表示媒体20に対して可視光を照射して撮像した撮像画像を示し、
図2(B)は、表示媒体20に対して専用光を照射して撮像した撮像画像を示す。なお、
図2(B)では、便宜上、マスク部材30の位置を二点鎖線にて示している。
【0031】
表示媒体20は、第1の情報コード(以下、単に、情報コードC1とも言う)と、マスク部材30により覆われた第2の情報コード(以下、単に、情報コードC2とも言う)が、所定の情報とともに用紙21に表示されてなるものである。
図2に示すように、情報コードC1および情報コードC2は、用紙21の長手方向に沿い予め決められた所定の距離だけ離れるように配置されている。
【0032】
情報コードC1,C2は、QRコードであって、正方形領域として構成される複数の明色モジュールおよび暗色モジュールがマトリックス状に配置されて構成されている。情報コードC1は、情報コード読取装置40により第1の情報が光学的に読み取られるように構成されており、この第1の情報には、入場チケットに関する情報として公開可能な公開情報、例えば、コンサートを特定する情報や管理番号等が含まれている。情報コードC2は、情報コード読取装置40により第2の情報が光学的に読み取られるように構成されており、この第2の情報には、入場チケットに関する情報として非公開とすべき非公開情報、例えば、チケット購入者の個人情報等が含まれている。
【0033】
情報コードC1,C2を構成する各モジュールのうち各明色モジュールは、可視光領域の波長帯の光(以下、単に、可視光とも言う)またはこの波長帯と異なる特定の波長帯の光(以下、単に、専用光とも言う)が照射されたときに、明色の反射特性を示すように構成されている。また、情報コードC1,C2を構成する各暗色モジュールは、可視光または専用光が照射されたときに、暗色の反射特性を示すように構成されている。具体的には、情報コードC1,C2を構成する各モジュールは、一般的に使用される通常のインクを塗布して構成されている。
【0034】
マスク部材30は、上記専用光が照射されたときに情報コードC2を構成する各モジュールからの反射光を透過させ、上記可視光の透過を妨げるようなインクを塗布して構成されている。本実施形態では、上記専用光として赤外光を想定しており、マスク部材30は、例えば、赤外線透過インク等を塗布して構成される。
【0035】
このため、可視光が支配的である通常状態では、
図2(A)に示すように、情報コードC2がマスク部材30により隠されて視認および撮像できない状態となる。一方、上記専用光を照射しつつ撮像する場合には、情報コードC2を構成する各モジュールからの反射光がマスク部材30を透過するため、
図2(B)に示すように撮像され、この撮像画像から情報コードC2を抽出することが可能となる。
【0036】
(情報コード読取装置)
次に、表示媒体20に表示された情報コードを光学的に読み取り可能な情報コード読取装置40について図面を参照して詳述する。
図1に示す情報コード読取装置40は、表示媒体20に付された情報コードを撮像し、光学的に読み取る機能を有している。この情報コード読取装置40は、CPU等からなる制御部41、受光センサを備えたカメラとして構成される撮像部42、可視光を照射する第1照明光源43、上記専用光(本実施形態では、赤外光)を照射する第2照明光源44、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶手段からなる記憶部45などを備えている。
【0037】
撮像部42は、一対の第1照明光源43a,43bの間に配置されており、表示媒体20やこの表示媒体20に表示された情報コードからの反射光を受光センサ42aの受光面に結像させ、情報コードの画像データを生成するように機能している。受光センサ42aは、表示媒体20に照射されて反射した反射光を受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を一次元に配列したラインセンサ、或いは2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。また、結像レンズ42bは、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、受光センサ42aの受光面に情報コードのコード画像を結像するように機能している。光学系の受光センサ42aから出力される画像信号は、例えば記憶部45の画像データ蓄積領域に蓄積されるようになっている。なお、撮像部42は、「撮像手段」の一例に相当し得る。
【0038】
照明光源(照明光学系)を構成する第1照明光源43及び第2照明光源44は、例えば撮像部42(受光光学系)を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。一対の第1照明光源43a,43bは、例えば波長380nm〜750nmの可視光を照射するLEDによって構成されている。また、対をなして配置される第2照明光源44a,44bは、専用光として波長750nm以上の赤外光を照射するLEDによって構成されている。なお、第2照明光源44は、「照明手段」の一例に相当し、本実施形態では、第2照明光源44の光源数が第1照明光源43の光源数よりも多くなっている。
【0039】
記憶部45は、半導体メモリ装置であり、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。この記憶部45のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御部41が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、各種処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源、受光センサ42a等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。また、制御部41は、情報コード読取装置40全体を制御可能なマイコン等によって構成され、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を備え、情報処理機能を有している。
【0040】
また、情報コード読取装置40は、表示部46、操作部47および通信部48を備えている。表示部46は、液晶等から構成されており、制御部41により制御されて、情報コードを読み取った結果等の所定の情報をその表示画面に表示する機能を有するものである。操作部47は、複数のキー等により構成されており、制御部41に対してキー操作に応じた情報を入力する機能を有するものである。通信部48は、外部装置と通信するためのインタフェースであり、制御部41により制御されて、取得した読取情報等について外部装置との間で送受信可能に構成されている。
【0041】
(読取処理)
次に、上述のように構成される情報コード読取システム10により行われる読取処理について、
図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、
図3は、第1実施形態に係る情報コード読取装置40での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
コンサートの入場受付開始時間になったことから、情報コード読取装置40の操作部47が操作されて読取作業を開始するための情報が制御部41に入力されると、
図3に示す読取処理が開始される。そして、入場チケット(表示媒体20)が所定の読取位置に配置されることでステップS101に示す可視光照射処理がなされ、第1照明光源43から可視光が照射される。次に、ステップS103に示す撮像処理がなされ、可視光が照射された状態の入場チケットが撮像部42により撮像される。なお、この撮像処理では、入場チケットの全てが撮像されてもよいし、入場チケットのうち情報コードC1が配置される領域を含めた周辺領域のみが撮像されてもよい。
【0042】
可視光が照射されていることから、情報コードC2が撮像されずに情報コードC1が撮像されると(
図2(A)参照)、ステップS105に示すデコード処理がなされる。この処理では、撮像された情報コードC1を含めたコード画像に対して、そのコード種別について定められた公知の方法でデコードが実施される。なお、ステップS105に示すデコード処理および後述するデコード処理を実行する制御部41は、「デコード手段」の一例に相当し得る。
【0043】
上記デコード処理により、情報コードC1として符号化された第1の情報が解読(デコード)されると(S107でYes)、ステップS109に示す専用光照射処理がなされ、第2照明光源44から専用光が照射される。次に、ステップS111に示す撮像処理がなされ、専用光が照射された状態の入場チケットが撮像部42により撮像される。なお、この撮像処理では、入場チケットの全てが撮像されてもよいし、入場チケットのうち情報コードC2が配置される領域を含めた周辺領域のみが撮像されてもよい。
【0044】
ここで、専用光が照射されて撮像された入場チケットが表示媒体20により構成される正規の入場チケットであれば、情報コードC2が撮像されて(
図2(B)参照)、ステップS113に示すデコード処理がなされる。この処理では、撮像された情報コードC2を含めたコード画像に対して、そのコード種別について定められた公知の方法でデコードが実施される。
【0045】
上記デコード処理により、情報コードC2として符号化された第2の情報が解読(デコード)されると(S115でYes)、ステップS117に示す認証処理がなされる。この処理では、第1の情報および第2の情報の双方が読み取られたことから、撮像した入場チケット(表示媒体20)が正規のものであるとして、この入場チケット(表示媒体20)を認証するための処理がなされる。なお、上記認証処理を実行する制御部41は、「認証手段」の一例に相当し得る。
【0046】
続いて、ステップS119に示す第1報知処理にて、撮像した入場チケットが正規の入場チケットである旨の表示が表示部46に表示されて報知される。そして、ステップS121に示すデータ出力処理にて、読み取った第1の情報および第2の情報等が認証情報とともに通信部48を介して外部機器等の上位システムに送信(出力)される。
【0047】
一方、通常の複写機を用いて単に表示媒体20を複写して偽造したチケットであれば、第1の情報がデコードされるが(S107でYes)、専用光を照射しても情報コードC2が撮像されないため、ステップS113のデコード処理が失敗する(S115でNo)。この場合には、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、撮像した入場チケットが正規の入場チケットでない旨が表示部46に表示されて報知される。この場合には、偽造チケットが読み取られたとして、第1の情報や読み取った情報コード読取装置40を特定する情報等を、通信部48を介して外部機器等の上位システムに送信(出力)することができる。
【0048】
また、可視光が照射された状態でのデコードが失敗した場合には(S107でNo)、ステップS125に示す第3報知処理がなされ、入場チケットに表示された情報コードが汚れ等により読み取れない状態である旨が表示部46に表示されて報知される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、表示媒体20(入場チケット)には、第1の情報が読み取られる視認可能な情報コードC1と、マスク部材30に覆われることで専用光(特定の波長帯の光)に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる情報コードC2と、が表示されている。そして、情報コード読取装置40により撮像された情報コードC1と情報コードC2との双方のデコード結果が得られることで、撮像した表示媒体20が正規の媒体であることが認証される。
【0050】
また、情報コード読取方法としては、第1ステップとして、ステップS105にて、情報コード読取装置40により撮像された情報コードC1がデコードされ、ステップS113にて、情報コード読取装置40により専用光が照射された状態で撮像された情報コードC2がデコードされ、第2ステップとして、ステップS105およびステップS113のそれぞれにてデコード結果が得られることで、ステップS117にて、撮像した表示媒体20が正規の媒体であることが認証される。
【0051】
このように、情報コードC1および情報コードC2の双方が読み取られる場合にその表示媒体20が正規の媒体であると認証されるため、単なる複製ではマスク部材30に覆われることで専用光にて反射特性を示す情報コードC2まで正確に複製できないので、情報コードC2を利用した表示媒体20の複製防止を実現することができる。特に、第三者が視認可能な情報コードC1があるにも関らず、情報コードC1の他に専用光にて反射特性を示す情報コードC2が更に用意されていることまで想到することは非常に困難であり、情報コードC2の存在の知得を困難にすることができる。したがって、情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させることができる。
【0052】
また、情報コードC1および情報コードC2は、用紙21の長手方向に沿い所定の距離だけ離れるように配置されるため、情報コードC2の位置を視認可能な情報コードC1から容易に推測することができる。なお、情報コードC1および情報コードC2は、予め定められた所定の読取方向に沿うように配置されても上記効果を奏する。特に、情報コードC1および情報コードC2を個々に撮像する場合には、表示媒体20を情報コード読取装置40に対して上記所定の読取方向に機械的に沿うように送ることで、情報コードC1および情報コードC2の読み取りをスムーズに実施することができる。
【0053】
例えば、駐車券や改札機等の様に、情報コード読取装置40に対して機械的に用紙21を送る場合、情報コードC1側から情報コード読取装置40に送ることで、まず情報コードC1が読み取られ、続いて情報コードC2が読み取られる。これは、用紙21に沿って配置されているから可能である。例えば、用紙21上の「○×○Concert」のところに大きさを変えて情報コードC2があると、焦点距離が変わってしまい、読取に支障が出る可能性があるからである。そのため、情報コードC1と情報コードC2はほぼ同一の大きさが望ましい。
【0054】
また、手持ち型の情報コード読取装置40で読取る際には、最小限の動きで情報コードC2を読取ることができる。また、視認できない情報コードC2の存在を知っている操作者は、情報コードC2の位置を容易に想定できる。このため、手持ち型の情報コード読取装置40の場合、情報コードC1と情報コードC2は近傍に配置されることが望ましい。ここで、近傍とは、情報コード読取装置40の視野内に情報コードC1と情報コードC2の両方が入る位置を指す。それにより、情報コード読取装置40をほとんど動かさなくても、情報コードC2を読取れるため、そこに情報コードC2があることが第三者に分かりにくい。
【0055】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体について、
図4を参照して説明する。なお、
図4は、第2実施形態に係る表示媒体20aの一例を説明する説明図であり、
図4(A)は、表示媒体20aに対して可視光を照射して撮像した撮像画像を示し、
図4(B)は、表示媒体20aに対して専用光を照射して撮像した撮像画像を示す。なお、
図4(B)では、便宜上、マスク部材31の位置を二点鎖線にて示している。
【0056】
本第2実施形態では、情報コードC2が情報コードC1に覆われる点が、上記第1実施形態と主に異なる。具体的には、情報コードC2を構成する各モジュールのうち、各明色モジュールは、可視光または専用光が照射されたときに明色の反射特性を示し、各暗色モジュールは、可視光または専用光が照射されたときに暗色の反射特性を示すように構成されている。例えば、情報コードC2を構成する各モジュールは、一般的に使用される通常のインクを塗布して構成されている。そして、情報コードC2は、上述したマスク部材30と同質のインクを用いて構成されたマスク部材31により視認できないように覆われている。
【0057】
マスク部材31上には、上述したマスク部材30と同質のインクを用いて構成された情報コードC1が表示されている。このため、可視光が支配的である通常状態では、
図4(A)に示すように、情報コードC2が情報コードC1およびマスク部材31により隠されて視認および撮像できない状態となる。一方、上記専用光を照射しつつ撮像する場合には、情報コードC2を構成する各モジュールからの反射光が情報コードC1およびマスク部材31を透過するため、
図4(B)に示すように撮像され、この撮像画像から情報コードC2を抽出することが可能となる。
【0058】
そして、上記読取処理では、ステップS105にて、可視光が照射された状態で撮像された情報コードC1がデコードされ(S107でYes)、ステップS113にて、専用光が照射された状態で撮像された情報コードC2がデコードされることで(S115でYes)、ステップS117にて、表示媒体20aが正規の媒体であることが認証される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、表示媒体20aには、第1の情報が読み取られるように視認可能であって専用光を透過させる情報コードC1と、この情報コードC1により覆われて上記専用光に応じた反射特性により第2の情報が読み取られる情報コードC2と、が表示されている。そして、撮像された情報コードC1と情報コードC2との双方のデコード結果が得られることで、撮像した表示媒体20aが正規の媒体であることが認証される。
【0060】
また、情報コード読取方法としては、第1ステップとして、ステップS105にて、情報コード読取装置40により撮像された情報コードC1がデコードされ、ステップS113にて、情報コード読取装置40により専用光が照射された状態で撮像された情報コードC2がデコードされ、第2ステップとして、ステップS105およびステップS113のそれぞれにてデコード結果が得られることで、ステップS117にて、撮像した表示媒体20aが正規の媒体であることが認証される。
【0061】
このように、情報コードC1および情報コードC2の双方が読み取られる場合にその表示媒体20aが正規の媒体であると認証されるため、単なる複製では専用光を透過させる情報コードC1およびマスク部材31により情報コードC2を覆うことで当該専用光にて反射特性を示す情報コードC2まで正確に複製できないので、情報コードC2を利用した表示媒体20aの複製防止を実現することができる。特に、第三者が視認可能な情報コードC1があるにもかかわらず、情報コードC1の他に専用光にて反射特性を示す情報コードC2が更に用意されていることまで想到することは非常に困難であり、情報コードC2の存在の知得を困難にすることができる。さらに、情報コードC1を読み取る位置に情報コード読取装置40の読取口を向けることで情報コードC2をも読み取ることができるので、読取作業が容易になるだけでなく、情報コードC1により情報コードC2の存在の知得をより困難にすることができる。したがって、情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させることができる。
【0062】
特に、情報コードC2は、上記専用光を透過するマスク部材31により覆われ、情報コードC1は、マスク部材31を覆うように配置されている。このため、マスク部材31により情報コードC2の存在の知得をより困難にするだけでなく、重ねるように配置された情報コードC1と情報コードC2とを明確に区別することができる。
【0063】
なお、可視光による情報コードC2の反射光が情報コードC1のデコードを阻害しない構成であれば、マスク部材31を廃止してもよい。また、情報コードC2を構成する各モジュールの一部を専用光が透過可能な別のモジュール群で覆うことで情報コードC1を構成してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、情報コードC2の存在を知らない第三者にとっては、一見情報コードC1を読取っているように見えるが、実は情報コードC2を読んでいるというようなこともできる。これにより、情報コードC2の存在の知得をより困難にすることができる。
【0065】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体について、
図5を参照して説明する。なお、
図5は、第3実施形態に係る情報コード読取装置40での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
本第3実施形態では、認証精度を向上させるため、第2の情報に認証のための情報が含まれ、上述した読取処理について
図3に示すフローチャートに代えて
図5に示すフローチャートに基づいて演算処理する点が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、情報コードC2は、上述したチケット購入者の個人情報等に加えて、認証のための情報(以下、認証用情報ともいう)が第2の情報に含まれるように構成されている。ここで、上記認証用情報は、予め設定される情報であって、例えば、情報コードC1を特定可能な情報に設定される。
【0067】
以下、本実施形態において、情報コード読取装置40にて実施される読取処理について、
図5に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態と同様に、
図5のステップS105にて、可視光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされ(S107でYes)、ステップS113にて、専用光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされると(S115でYes)、ステップS201に示す判定処理がなされ、ステップS113にてデコードされた情報に認証用情報が含まれるか否かについて判定される。
【0068】
ここで、表示媒体20により構成される正規の入場チケットを撮像している場合には、デコードされた第2の情報に認証用情報が含まれているので(S201でYes)、ステップS117に示す認証処理がなされ、撮像した入場チケット(表示媒体20)が正規のものであるとして、この入場チケット(表示媒体20)を認証するための処理がなされる。そして、ステップS119以降の処理がなされる。
【0069】
一方、専用光の照射により情報コードのデコードが成功するような偽造したチケットを撮像している場合でも、その情報コードからデコードされた情報に認証用情報が含まれていない場合には(S201でNo)、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、撮像した入場チケットが正規の入場チケットでない旨が表示部46に表示されて報知される。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、第2の情報には、認証用情報が含まれるため、上記専用光が照射された状態で撮像された情報コードに上記認証用情報が含まれるか否かについて判断することで、情報コードC2を読み取っているか否か、すなわち、表示媒体20(入場チケット)が正規のものであるか否かを判別することができる。これにより、単に情報コードC2を読み取っただけは表示媒体20が正規の媒体であると認証されないので、認証精度を向上させることができる。
【0071】
なお、読取処理において認証用情報に応じて表示媒体が正規の媒体であるか否かを判別する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0072】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体について、
図6を参照して説明する。なお、
図6は、第4実施形態に係る情報コード読取装置40での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
本第4実施形態では、認証精度を向上させるため、上述した読取処理について
図3に示すフローチャートに代えて
図6に示すフローチャートに基づいて演算処理する点が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
本実施形態では、情報コードC1からデコードされた第1の情報に含まれる情報と、情報コードC2からデコードされた第2の情報に含まれる情報との間に一定の関係が成立するように、情報コードC1および情報コードC2が構成されている。ここで、上記一定の関係としては、例えば、対をなす情報の一方(例えば情報A)が第1の情報に含まれ、他方(例えば情報B)が第2の情報に含まれる関係が想定される。
【0074】
以下、本実施形態において、情報コード読取装置40にて実施される読取処理について、
図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態と同様に、
図6のステップS105にて、可視光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされ(S107でYes)、ステップS113にて、専用光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされると(S115でYes)、ステップS203に示す判定処理がなされ、ステップS105にてデコードされた情報に含まれる情報と、ステップS113にてデコードされた情報に含まれる情報とを比較して、一定の関係が成立するか否かについて判定される。
【0075】
ここで、表示媒体20により構成される正規の入場チケットを撮像している場合には、ステップS105にてデコードされた情報に情報Aが含まれ、ステップS113にてデコードされた情報に情報Bが含まれるため、これらの比較結果に基づいて一定の関係が成立すると判定されて(S203でYes)、ステップS117に示す認証処理がなされ、撮像した入場チケット(表示媒体20)が正規のものであるとして、この入場チケット(表示媒体20)を認証するための処理がなされる。そして、ステップS119以降の処理がなされる。
【0076】
一方、専用光の照射により情報コードのデコードが成功するような偽造したチケットを撮像している場合でも、対をなす情報がデコードされた情報にそれぞれ含まれていない場合には、一定の関係が成立しないと判定されて(S203でNo)、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、撮像した入場チケットが正規の入場チケットでない旨が表示部46に表示されて報知される。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、さらに、2つのデコード結果の比較結果に応じて、表示媒体20(入場チケット)が正規のものであることを認証する。これにより、第1の情報の内容と第2の情報の内容との双方を考慮して表示媒体20が正規の媒体であるか否かについて判別されるため、認証精度をさらに向上させることができる。
【0078】
なお、読取処理において2つのデコード結果の比較結果に応じて表示媒体が正規の媒体であるか否かを判別する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0079】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体について、
図7を参照して説明する。なお、
図7は、第5実施形態に係る情報コード読取装置40での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
本第5実施形態では、情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させるため、第2の情報に有効期限に関する情報が含まれ、上述した読取処理について
図3に示すフローチャートに代えて
図7に示すフローチャートに基づいて演算処理する点が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
本実施形態では、情報コードC2は、上述したチケット購入者の個人情報等に加えて、有効期限に関する情報が第2の情報に含まれるように構成されている。
【0081】
以下、本実施形態において、情報コード読取装置40にて実施される読取処理について、
図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態と同様に、
図7のステップS105にて、可視光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされ(S107でYes)、ステップS113にて、専用光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされると(S115でYes)、ステップS205に示す判定処理がなされ、ステップS113にてデコードされた情報コードが有効期限内のものであるか否かについて判定される。
【0082】
ここで、有効期限内の表示媒体20により構成される正規の入場チケットを撮像している場合には(ステップS205でYes)、ステップS117に示す認証処理がなされ、撮像した入場チケット(表示媒体20)が正規のものであるとして、この入場チケット(表示媒体20)を認証するための処理がなされる。そして、ステップS119以降の処理がなされる。
【0083】
一方、有効期限を過ぎた入場チケットや有効期限情報を有しない偽造したチケットを撮像している場合には(S205でNo)、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、撮像した入場チケットが正規の入場チケットでない旨が表示部46に表示されて報知される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、さらに、情報コードC2のデコード結果から得られる有効期限が所定の期限内である場合に、その表示媒体20(入場チケット)が正規の媒体であることを認証する。これにより、有効期限をも考慮して情報コードの複製防止に関するセキュリティ性を向上させるとともに、有効期限の改竄を抑制できるだけでなく、有効期限が設定されていることさえ知得しにくくすることができる。
【0085】
なお、読取処理において有効期限を考慮して表示媒体を認証する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0086】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体について、
図8を参照して説明する。なお、
図8は、第6実施形態に係る情報コード読取装置40での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
本第6実施形態では、情報コードC1に関するセキュリティ性を向上させるため、情報コードC1を暗号化し、上述した読取処理について
図3に示すフローチャートに代えて
図8に示すフローチャートに基づいて演算処理する点が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
本実施形態では、情報コードC1は、公開領域と非公開領域(所定の暗号鍵により解読可能に暗号化された暗号データが記録される領域)とを備えた一部非公開コードとして構成されている。このように構成される一部非公開コードを読み取る場合、対応する暗号鍵を有していない読取装置では、公開領域に記録される非暗号データのデコードが可能であっても、非公開領域に記録される暗号データのデコードが不能となる。
【0088】
このため、本実施形態では、情報コードC1の公開領域にコンサートを特定する情報や管理番号等の公開可能な情報が記録され、非公開領域にチケット購入者の個人情報等の非公開とすべき情報が記録されている。また、情報コードC2は、上記暗号鍵が第2の情報に含まれるように構成されている。
【0089】
以下、本実施形態において、情報コード読取装置40にて実施される読取処理について、
図8に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
上記第1実施形態と同様に、可視光が照射された状態で情報コードが撮像されると、
図8のステップS105aに示す公開部デコード処理がなされ、暗号鍵を必要としない領域(公開領域)についてデコードが実施される。このデコードが成功し(S107Yes)、ステップS113にて、専用光が照射された状態で撮像された情報コードがデコードされると(S115でYes)、ステップS207に示す非公開部デコード処理がなされる。この処理では、ステップS113にて取得した第2の情報に含まれる暗号鍵に基づいて、公開領域がデコードされた情報コードの非公開領域についてデコードが実施される。
【0090】
ここで、暗号鍵が情報コードC2に記録された表示媒体20により構成される正規の入場チケットを撮像している場合には、上記ステップS113にて暗号鍵が取得されているため、上記非公開部デコード処理では、この暗号鍵を用いたデコードにより、情報コードC1の非公開領域に記録されたチケット購入者の個人情報等が取得される(S209でYes)。そして、ステップS117にて、撮像した入場チケット(表示媒体20)が正規のものであるとして、この入場チケット(表示媒体20)を認証するための処理がなされ、ステップS119以降の処理がなされる。
【0091】
一方、専用光の照射により情報コードのデコードが成功するような偽造したチケットを撮像している場合でも、情報コードC1に対応する暗号鍵が取得されていない限り、上記非公開部デコード処理が失敗する(S209でNo)。この場合には、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、撮像した入場チケットが正規の入場チケットでない旨が表示部46に表示されて報知される。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取システム10では、第2の情報には、情報コードC1の非公開領域を解読するための所定の暗号鍵が含まれるため、視認不能な情報コードC1を読み取らない限り情報コードC1を解読することさえできないので、認証精度をさらに向上させるとともに、情報コードC1に関するセキュリティ性を向上させることができる。
【0093】
なお、情報コードC1は、一部非公開コードとして構成されることに限らず、第2の情報に含まれる所定の暗号鍵を用いない限りデコードできないように暗号化されてもよい。この場合、上記読取処理では、専用光照射状態での情報コードC2に対するデコード処理の後に可視光照射状態での情報コードC1に対するデコード処理を実施することができる。
【0094】
なお、情報コードC1を解読するための所定の暗号鍵を第2の情報に含める本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0095】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態に係る情報コード読取システムおよび情報コード読取方法並びに表示媒体について、
図9を参照して説明する。なお、
図9は、第7実施形態に係る情報コード読取装置40での読取処理の流れを例示するフローチャートである。
本第7実施形態では、読取処理における処理負荷を軽減するため、上述した読取処理について
図3に示すフローチャートに代えて
図9に示すフローチャートに基づいて演算処理する点が、上記第1実施形態と主に異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
以下、本実施形態において、情報コード読取装置40にて実施される読取処理について、
図9に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
入場チケット(表示媒体20)が所定の読取位置に配置されることで、
図9のステップS101aに示す専用光照射処理がなされ、第2照明光源44から専用光が照射される。次に、ステップS103に示す撮像処理にて、専用光が照射された状態の入場チケットが撮像部42により撮像され、ステップS105に示すデコード処理にて、情報コードC2が配置される領域のコード画像に対してデコードが実施される。
【0097】
ここで、専用光が照射されて撮像された入場チケットが表示媒体20により構成される正規の入場チケットであれば、第2の情報がデコードされる(S107でYes)。そして、ステップS109aに示す可視光照射処理がなされ、第1照明光源43から可視光が照射される。次に、ステップS111に示す撮像処理にて、可視光が照射された状態の入場チケットが撮像部42により撮像され、ステップS113に示すデコード処理にて、情報コードC1が配置される領域のコード画像に対してデコードが実施される。このデコードが成功して第1の情報が取得されると(S115でYes)、ステップS117に示す認証処理がなされ、撮像した入場チケット(表示媒体20)が正規のものであるとして、この入場チケット(表示媒体20)を認証するための処理がなされる。そして、ステップS119以降の処理がなされる。
【0098】
一方、通常の複写機を用いて単に表示媒体20を複写して偽造したチケットであれば、最初のデコード処理(S105)が失敗するため(S107でNo)、可視光が照射された状態の入場チケットが撮像されることもなく、ステップS123に示す第2報知処理がなされ、撮像した入場チケットが正規の入場チケットでない旨が表示部46に表示されて報知される。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る情報コード読取方法では、専用光が照射された状態で撮像された情報コードC2がデコードされた後に、可視光が照射された状態で撮像された情報コードC1がデコードされる。これにより、専用光が照射されて撮像された状態でデコードが失敗した媒体を偽造された偽造媒体とみなすことができ、偽造媒体を撮像した場合に情報コードC1に関する撮像処理やデコード処理を省略することで、認証に関する処理を容易にし、その処理負荷を軽減することができる。
【0100】
特に例に挙げたコンサートの入場及びテーマパークでの入場時を想定すると、非常に多くの入場者が次々に入場してくることが想定される。上述のように認証に関する処理を早くすることで、不正検知のために入場ゲートで入場者がごった返して詰まってしまうことを防ぎ、ほとんど大多数を占める正規の入場者に迷惑をかけることなく、入場チケットに関する不正を把握することができる。
【0101】
なお、読取処理において、専用光の照射状態で撮像された情報コードのデコード後に、可視光の照射状態で撮像された情報コードのデコードを実施する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【0102】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)専用光(特定の波長帯の光)として波長750nm以上の波長帯の赤外光を採用することに限らず、例えば、専用光として波長380nm以下の波長帯の紫外光を採用してもよい。この場合、マスク部材30,31等は、上記紫外光が照射されたときに各モジュールからの反射光を透過させるように構成することができる。
【0103】
(2)情報コードC1,C2は、QRコードとして構成されることに限らず、他のコード種別の情報コード、例えば、バーコードやデータマトリックスコード、マキシコード等として構成されてもよい。
【0104】
(3)本発明に係る情報コード読取システムは、コンサート及びテーマパーク等の入場管理システムとして採用されることに限らず、例えば、情報コードが表示される割引クーポン等を発行するシステムなど、情報コードが表示される表示媒体を利用する他のシステムに採用することができる。