(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動部材は、前記芯部の外周側の周方向に複数設けられ、複数の前記移動部材がそれぞれ前記第一位置から前記第二位置に変位することで、前記フレーム本体部を放射状に押し広げる、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフレーム構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術は、バンパやフードといった構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節するものではない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節することができるフレーム構造体及びフレーム装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明のフレーム構造体は、芯部と、前記芯部の外周側を囲む位置に設けられたフレーム本体部と、前記芯部の外周側の所定位置である第一位置と、前記フレーム本体部を前記芯部の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を前記第一位置の状態のときよりも前記芯部から離間させる第二位置と、の間で変位可能な移動部材と、前記芯部に設けられて前記移動部材を支持し、作動することによって前記移動部材を前記第一位置と前記第二位置との間で変位させると共に、前記移動部材が前記フレーム本体部を押圧する場合の反力を前記芯部に支持させる変位機構と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、移動部材は、芯部の外周側の所定位置である第一位置と、フレーム本体部を芯部の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置の状態のときよりも芯部から離間させる第二位置と、の間で変位可能となっており、変位機構に支持されている。変位機構は、芯部に設けられ、作動することによって移動部材を第一位置と第二位置との間で変位させると共に移動部材がフレーム本体部を押圧する場合の反力を芯部に支持させる。これにより、芯部の外周側を囲む位置に設けられたフレーム本体部が、芯部を中心とする半径方向に変位することで、フレーム構造体の剛性が変化し、フレーム構造体の衝突時のエネルギー吸収性能が変化する。
【0008】
請求項2に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項1記載の構成において、前記フレーム本体部は、互いに平行に並設された複数の長尺部材で構成されている。
【0009】
上記構成によれば、互いに平行に並設された複数の長尺部材がフレーム本体部として芯部の外周側を囲む位置に設けられており、これら複数の長尺部材が芯部を中心とする半径方向に変位することで、フレーム構造体の剛性が変化する。
【0010】
請求項3に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項1記載の構成において、前記フレーム本体部は、筒状に形成された筒状部材とされ、前記芯部は、前記筒状部材の軸心部に設けられている。
【0011】
上記構成によれば、フレーム本体部としての筒状部材の軸心部に芯部が設けられており、筒状部材が芯部を中心とする半径方向に変位することで、フレーム構造体の剛性が変化する。
【0012】
請求項4に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記移動部材は、前記フレーム本体部と結合されている。
【0013】
上記構成によれば、移動部材がフレーム本体部と結合されているので、移動部材の変位に連動させてフレーム本体部の断面形状を変化させることができる。
【0014】
請求項5に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記移動部材は、前記芯部の外周側の周方向に複数設けられ、複数の前記移動部材がそれぞれ前記第一位置から前記第二位置に変位することで、前記フレーム本体部を放射状に押し広げる。
【0015】
上記構成によれば、複数の移動部材がそれぞれ第一位置から第二位置に変位することで、フレーム本体部が放射状に押し広げられるので、フレーム構造体は、その軸方向に交差する種々の方向からの荷重に対する曲げ剛性が高められる。
【0016】
請求項6に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記移動部材は、前記第一位置と前記第二位置との間の移動方向を軸方向として配置された第一ネジ部材とされ、前記変位機構は、モータと、前記第一ネジ部材に形成された第一ネジ部と、前記第一ネジ部材と同軸に配置され、前記第一ネジ部に螺合する第二ネジ部が形成されると共に、前記モータの駆動によって自らの軸回りに回転する第二ネジ部材と、前記第一ネジ部材の回転を阻止しながら前記第一ネジ部材をその軸方向に沿った直線方向へ案内するガイド部と、を備える。
【0017】
上記構成によれば、第二ネジ部材は、モータの駆動により、自らの軸回りに回転すると共にその回転力を第一ネジ部材に与える。移動部材を構成する第一ネジ部材は、ガイド部により、回転が阻止されながら第一ネジ部材の軸方向に沿った直線方向へ案内される。これによって、第一ネジ部材は、第一位置と第二位置との間を移動する。また、第一ネジ部材の第一ネジ部と第二ネジ部材の第二ネジ部とが螺合されているので、例えば、第一ネジ部材が第二位置に配置された場合であってもフレーム本体部の断面形状が効果的に保持される。
【0018】
請求項7に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の構成において、前記第一位置と前記第二位置との間の移動方向を軸方向として配置された前記移動部材としての移動軸部材と、前記移動軸部材が挿し込まれる孔部が貫通形成されると共に、前記芯部に対して相対移動不能に設けられた支持板部と、前記移動軸部材にその半径方向に出没可能に設けられ、突出状態において前記芯部の側から離間する方向へ向けて前記移動軸部材の軸心の側に傾斜した傾斜面を備え、前記移動軸部材が前記第一位置にある状態では、前記支持板部に対して前記芯部の側に配置されると共に、前記移動軸部材が前記第二位置にある状態では、前記支持板部に対して前記芯部の側とは反対側に配置されて前記支持板部の側に向けられた端面が前記孔部の外周縁部に対面する爪状部と、前記爪状部を前記移動軸部材の半径方向外側に付勢する付勢部と、を有する。
【0019】
上記構成によれば、移動軸部材が第一位置にある場合、爪状部が支持板部に対して芯部の側に配置される。移動軸部材が第一位置から第二位置へ変位する過程で爪状部が孔部を通過する場合には、爪状部の傾斜面が孔部に当たることで、爪状部は付勢部の付勢力に抗して移動軸部材の変形方向内側に向けて退避される。また、移動軸部材が第一位置から変位して第二位置にある場合、爪状部が支持板部に対して芯部の側とは反対側に配置され、爪状部において支持板部の側に向けられた端面が孔部の外周縁部に対面する。このとき、爪状部は、付勢部により、移動軸部材の半径方向外側に付勢されているので、移動軸部材は第二位置において抜け止めされ、フレーム本体部の断面形状が保持される。
【0020】
請求項8に記載する本発明のフレーム構造体は、請求項2を引用する請求項7記載の構成において、前記長尺部材は、筒状に形成された筒状部材で構成され、前記支持板部は、前記筒状部材において前記芯部の側に配置された内側板部で構成されている。
【0021】
上記構成によれば、移動軸部材が第一位置にある場合、爪状部がフレーム本体部(長尺部材)としての筒状部材の内側板部に対して芯部の側に配置される。移動軸部材が第一位置から第二位置へ変位する過程で爪状部が筒状部材の内側板部の孔部を通過する場合には、爪状部の傾斜面が孔部に当たることで、爪状部は付勢部の付勢力に抗して移動軸部材の変形方向内側に向けて退避される。また、移動軸部材が第一位置から変位して第二位置にある場合、爪状部が筒状部材の内側板部に対して芯部の側とは反対側に(つまり、筒状部材の中に)配置されて爪状部にて筒状部材の内側板部の側に向けられた端面が孔部の外周縁部に対面する。このとき、爪状部は、付勢部により、移動軸部材の半径方向外側に付勢されているので、移動軸部材は第二位置において抜け止めされる。
【0022】
請求項9に記載する本発明のフレーム装置は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフレーム構造体で構成された車体骨格部と、車両の衝突検知及び衝突予知の少なくとも一方をしてその信号を出力する緊急状態認知部と、前記緊急状態認知部からの信号に基づいて、前記第一位置に配置された前記移動部材を前記第二位置の方向へ変位させるように前記変位機構を制御する制御部と、を有する。
【0023】
上記構成によれば、制御部は、緊急状態認知部からの信号に基づいて、第一位置に配置された移動部材を第二位置の方向へ変位させるように変位機構を制御する。これにより、フレーム本体部が芯部を中心とする半径方向外側に変位することで、フレーム構造体の剛性が高められ、フレーム構造体の衝突時のエネルギー吸収性能が向上する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るフレーム構造体及びフレーム装置について
図1を用いて説明する。
【0027】
図1には、本実施形態に係るフレーム構造体12が半断面の斜視図で示されると共に、フレーム構造体12を備えたフレーム装置10の概略構成が示されている。
図1に示されるフレーム構造体12は、一例として車体骨格部としてのロッカ(「サイドシル」ともいう。)を構成している。ロッカは、車体側部のドア開口部の下縁側に車体前後方向を長手方向として配置されている。
【0028】
フレーム構造体12は、棒軸状(一例として円柱状)の芯部14と、芯部14の外周側を囲む位置に設けられたフレーム本体部16と、を含んで構成されている。フレーム本体部16は、筒状(一例として円筒状)に形成された筒状部材とされ、芯部14は、フレーム本体部16の軸心部に設けられている。
【0029】
なお、芯部14は、本実施形態では、一例として、円柱状に形成されているが、例えば、多角柱状等、筒状、ブロック状等のような他の形状に形成されてもよい。また、フレーム本体部16は、本実施形態では、一例として、円筒状に形成されているが、例えば矩形筒状等のような他の筒形状に形成されてもよい。芯部14及びフレーム本体部16は、金属製(例えば、鉄鋼製、アルミニウム合金製等、本実施形態では一例として鉄鋼製)とされている。但し、芯部14及びフレーム本体部16は、例えば繊維強化樹脂製等のように金属製以外とされてもよい。
【0030】
フレーム本体部16の内側には、棒状の移動部材18、及びその変位用の変位機構20が、フレーム本体部16の半径方向に対で配設されており、これらの移動部材18及び変位機構20は、芯部14の外周側の周方向に複数(本実施形態では一例として三対)設けられている。なお、
図1では、移動部材18及び変位機構20の構成を分かりやすく示すために、図中右側の移動部材18及び変位機構20の対については断面図で示し、その他の移動部材18及び変位機構20の対については正面図で示している。
【0031】
変位機構20は、芯部14に設けられて移動部材18を支持している。移動部材18は、芯部14の外周側の所定位置である第一位置18Xと、フレーム本体部16を芯部14の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置18Xの状態のときよりも芯部14から離間させる第二位置18Y(二点鎖線で図示)と、の間で変位可能とされている。移動部材18は、第一ネジ部材としての雌ネジ部材とされ、第一位置18Xと第二位置18Yとの間の移動方向を軸方向として配置されている。
【0032】
また、変位機構20は、芯部14の外周部に固定されたモータ22と、棒状の第二ネジ部材としての雄ネジ部材24を備えると共に、移動部材18に形成された第一ネジ部としての雌ネジ部18Aと、ガイド部26と、を備えている。雄ネジ部材24は、移動部材18と同軸に配置され、雌ネジ部18Aに螺合する第二ネジ部としての雄ネジ部24Aが形成されている。さらに、雄ネジ部材24は、その基端部24Bがモータ22の出力軸22Aに接続されており、モータ22の駆動によって自らの軸回りに回転するようになっている。
【0033】
また、ガイド部26は、移動部材18の外周側に配置された複数のガイドレール部28と、移動部材18の外周部に形成された複数のスライド部18Bと、を備えている。ガイドレール部28は、ガイドレール部28と一体に形成された連結部30を介して芯部14に固定され、移動部材18の側に向けて開口した溝部28Aを備えており、溝部28Aは、移動部材18の軸方向に沿って延びている。これに対して、スライド部18Bは、移動部材18の半径方向外側に凸とされて移動部材18の軸方向に沿って延びており、溝部28A内を摺動可能とされている。これらにより、ガイド部26は、移動部材18の回転を阻止しながら移動部材18をその軸方向に沿った直線方向へ案内するようになっている。
【0034】
以上により、変位機構20は、モータ22の駆動力で作動することによって、移動部材18を、第一位置18Xと第二位置18Yとの間で変位させると共に、移動部材18がフレーム本体部16を押圧する場合の反力を芯部14に支持させるように構成されている。また、変位機構20の作動によって、複数の移動部材18がそれぞれ第一位置18Xから第二位置18Yに変位することで、フレーム本体部16を放射状に押し広げるようになっている。なお、図中では、放射状に押し広げられた状態のフレーム本体部16を二点鎖線で示している。
【0035】
変位機構20のモータ22は、制御部32に接続されており、制御部32は、緊急状態認知部としての判定装置34に接続されている。判定装置34は、一例として、いずれも図示しない加速度センサ及びミリ波レーダーを備えると共に、これらが図示しない衝突判定部に接続されている。加速度センサ及びミリ波レーダーは、共に車両側部に配置されている。加速度センサは、加速度を検出し、ミリ波レーダーは、車体側方を電波によりスキャンして障害物等を検出する。そして、衝突判定部は、加速度センサからの入力信号に基づいて自車両の(障害物等との)衝突検知を行うと共に、ミリ波レーダーからの入力信号に基づいて自車両の(障害物等との)衝突予知を行う。すなわち、判定装置34は、車両の衝突検知(本実施形態では側面衝突の検知)及び衝突予知(本実施形態では側面衝突の予知)の両方が可能とされている。そして、判定装置34は、衝突検知をした場合に衝突検知の信号を出力し、衝突予知をした場合に衝突予知の信号を出力する。
【0036】
判定装置34に接続された制御部32は、判定装置34からの入力信号に基づいて、第一位置18Xに配置された移動部材18を第二位置18Yの方向へ変位させるように変位機構20を制御する。
【0037】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
移動部材18は、芯部14の外周側の所定位置である第一位置18Xと、フレーム本体部16を芯部14の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置18Xの状態のときよりも芯部14から離間させる第二位置18Yと、の間で変位可能となっており、変位機構20に支持されている。変位機構20は、芯部14に支持され、作動することによって移動部材18を第一位置18Xと第二位置18Yとの間で変位させると共に、移動部材18がフレーム本体部16を押圧する場合の反力を芯部14に支持させる。
【0039】
変位機構20の作用について具体的に説明すると、まず、モータ22が駆動することにより、雄ネジ部材24は、自らの軸回りに回転すると共にその回転力を移動部材18に与える。移動部材18は、ガイド部26(ガイドレール部28及びスライド部18B)により、回転が阻止されながら移動部材18の軸方向に沿った直線方向へ案内され、第一位置18Xと第二位置18Yとの間を移動する。
【0040】
これにより、芯部14の外周側を囲む位置に設けられた筒状のフレーム本体部16が、その軸心部に設けられた芯部14を中心とする半径方向に変位して断面形状(断面の大きさ)を変化させることで、フレーム構造体12の断面剛性が変化し、フレーム構造体12の衝突時のエネルギー吸収性能が変化する。また、移動部材18の雌ネジ部18Aが雄ネジ部材24の雄ネジ部24Aに螺合されているので、フレーム本体部16の断面形状は安定的に保持される。
【0041】
また、本実施形態では、移動部材18が芯部14の外周側の周方向に複数設けられており、複数の移動部材18がそれぞれ第一位置18Xから第二位置18Yに変位することで、フレーム本体部16が放射状に押し広げられる。このため、フレーム構造体12は、その断面形状が相似状に大きくなり、その軸方向に交差する種々の方向からの荷重に対する曲げ剛性が高められる。
【0042】
また、本実施形態では、判定装置34からの入力信号に基づいて、制御部32は、第一位置18Xに配置された移動部材18を第二位置18Yの方向へ変位させるように変位機構20を制御する。これにより、フレーム本体部16が芯部14を中心とする半径方向外側に変位することで、フレーム構造体12の剛性が高められ、フレーム構造体12の衝突時のエネルギー吸収性能が向上する。補足すると、衝突時には曲げ応力集中部でのフレーム本体部16の局所変形(断面崩れ)を低減することができるので、荷重を効果的に伝達しながら衝突時のエネルギーを吸収することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節することができる。
【0044】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、
図2を用いて説明する。
図2には、本実施形態に係る車体骨格部を構成するフレーム構造体42の一部が芯部14の軸方向に直交する拡大断面図で示されると共に、フレーム構造体42を備えたフレーム装置40の概略構成が示されている。この図に示されるように、フレーム構造体42及びフレーム装置40は、モータ22の出力軸22Aと雄ネジ部材24の基端部24Bとの間に駆動力伝達部としてギア列46が介在される点で第1の実施形態とは異なる。
【0045】
他の構成は、概ね第1の実施形態と同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。なお、図示を省略するが、移動部材18は、
図2の紙面手前側及び紙面奥側にスライド部(18B)を備えており、ガイド部26は、これらのスライド部(18B)が摺動するガイドレール部(28)を備えている。
【0046】
図2に示されるように、ギア列46は、モータ22の出力軸22Aに同軸に固着された第一ギア46Aと、この第一ギア46Aと噛み合って雄ネジ部材24の基端部24Bに同軸に固着された第二ギア46Bと、を備えている。第二ギア46Bは、第一ギア46Aに比べて大径とされている。第二ギア46Bに設けられた軸部47は、芯部14に固定された軸受48に回転自在に支持されている。本実施形態の変位機構44は、ギア列46でモータ22の駆動力を雄ネジ部材24に伝達している点を除き第1の実施形態における変位機構20(
図1参照)と同様の構成となっている。
【0047】
変位機構44の作用について説明すると、まず、モータ22が駆動するとギア列46を介して雄ネジ部材24に回転が伝えられ、雄ネジ部材24は、自らの軸回りに回転すると共にその回転力を移動部材18に与える。移動部材18は、ガイド部26(ガイドレール部28及びスライド部18B)により、回転が阻止されながら移動部材18の軸方向に沿った直線方向へ案内され、第一位置18Xと第二位置18Yとの間を移動する。
【0048】
このため、本実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と実質的に同様の作用及び効果が得られる。
【0049】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、
図3を用いて説明する。
図3には、本実施形態に係る車体骨格部を構成するフレーム構造体52の一部が芯部14の軸方向に直交する断面視の拡大された作用図で示されると共に、フレーム構造体52を備えたフレーム装置50の概略構成が示されている。
図3(A)は移動部材54が第一位置54Xにある状態を示し、
図3(B)は移動部材54が第二位置54Yにある状態を示している。なお、本実施形態は、以下に説明する点を除き、第1の実施形態と実質的に同様の構成とされている。第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。また、フレーム本体部16は、一例として略角筒状とされるが、その他の点については第1の実施形態のフレーム本体部16と同様であるため同一符号を付す。
【0050】
フレーム本体部16の内側には、棒状の移動部材54、及びその変位用の変位機構56が、フレーム本体部16の径方向に対で配設され、芯部14の外周側の周方向に複数(一例として四対)設けられている。
【0051】
変位機構56は、芯部14に設けられて移動部材54を支持している。移動部材54は、芯部14の外周側の所定位置である第一位置54X(
図3(A)参照)と、フレーム本体部16を芯部14の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置54Xの状態のときよりも芯部14から離間させる第二位置54Y(
図3(B)参照)と、の間で変位可能とされている。
【0052】
また、変位機構56は、芯部14の外周部に固定された有底の筒体58を備えている。筒体58は、底部58Aが芯部14に固定されると共に、芯部14から離れた先端開口部58Bの側へ向けて徐々に内径を縮小させたテーパー形状に形成されている。この筒体58の中に移動部材54が収容されている。移動部材54は、筒体58にピン結合(図示省略)等によって支持され、第一位置18Xと第二位置18Yとの間の移動方向を軸方向として配置されている。
【0053】
本実施形態における移動部材54は、一例として、筒体58の底部58Aの側に配置される基端部側から、筒体58の先端開口部58Bの側に配置される先端部側へ向けて、極僅かに先細りするようにテーパー形状に形成されている。移動部材54の軸方向中間部(やや先端側)の外径は、筒体58の先端開口部58Bの内径と同一寸法に設定されている。すなわち、移動部材54が第二位置18Yに配置された状態では、移動部材54の軸方向中間部が筒体58の先端開口部58Bに嵌るようになっている。
【0054】
また、変位機構56は、筒体58の中の底部58A側に配置されたガス発生装置60を備えている。ガス発生装置60は、装置ケース内に火薬が収容されると共に、火薬に着火するための着火装置60Aを備えている。そして、ガス発生装置60は、着火装置60Aが火薬に着火することで筒体58内にガスを発生するようになっている。このガスの圧力F(
図3(B)参照)は、移動部材54を第一位置54Xから第二位置54Yへ変位させる駆動力となる。
【0055】
換言すれば、変位機構56は、作動することによって、移動部材54を、第一位置54Xと第二位置54Yとの間で変位させると共に、移動部材54がフレーム本体部16を押圧する場合の反力を、ガス等を介して芯部14に支持させるように構成されている。また、変位機構56の作動によって、複数の移動部材54がそれぞれ第一位置54Xから第二位置54Yに変位することで、フレーム本体部16を放射状に押し広げるようになっている。
【0056】
着火装置60Aには、制御部62が接続されており、制御部62には、判定装置34が接続されている。制御部62は、判定装置34からの入力信号に基づいて、着火装置60Aを作動させてガス発生装置60のケース内の火薬に着火させるように制御することで、第一位置54Xに配置された移動部材54を第二位置54Yの方向へ変位させるように変位機構56を制御する。
【0057】
上記構成によれば、衝突検知時や衝突予知時には、ガス発生装置60における着火装置60Aが火薬に着火し、ガス発生装置60からガスが発生する。このガスの圧力Fによって移動部材54が第一位置54Xから第二位置54Yに変位する。また、筒体58の内面はテーパー状になっているので、移動部材54は筒体58にかしめられたような状態で第二位置54Yに保持される。これにより、芯部14の外周側を囲む位置に設けられた筒状のフレーム本体部16が、その軸心部に設けられた芯部14を中心とする半径方向に変位することで、フレーム構造体52の剛性が変化し、フレーム構造体52の衝突時のエネルギー吸収性能が変化する。
【0058】
このように本実施形態によっても、構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節することができる。
【0059】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について、
図4を用いて説明する。
図4には、本実施形態に係る車体骨格部を構成するフレーム構造体66の一部がフレーム本体部16の筒軸方向に沿って切断した断面視の作用図で示されると共に、フレーム構造体66を備えたフレーム装置64の概略構成が示されている。
図4(A)は移動部材76が第一位置76Xにある状態を示し、
図4(B)は移動部材76が第二位置76Yにある状態を示している。なお、第1の実施形態と同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図4に示されるように、フレーム構造体66は、棒軸状の芯部としてのネジ付芯部68を備えている。ネジ付芯部68は、フレーム本体部16の軸心部に設けられると共に、モータ72に直接又は駆動力伝達部を介して接続され、モータ72の駆動によって自らの軸回りに回転するようになっている。また、ネジ付芯部68には、雄ネジ部68Aが形成されている。ネジ付芯部68の雄ネジ部68Aには、雌ネジ部材74の雌ネジ部(図示省略)が螺合されている。雌ネジ部材74は、図示を省略するが、ネジ付芯部68の軸方向に沿って複数設けられている。
【0061】
各雌ネジ部材74とフレーム本体部16とは、移動部材76によって連結されている。各移動部材76は、ネジ付芯部68の外周側の周方向に等間隔で複数(本実施形態では一例として四個)設けられている。移動部材76は、その軸方向一方側の端部が雌ネジ部材74の被取付部74Aとピン結合されており、
図4(A)及び
図4(B)に示されるように、雌ネジ部材74に対して回転移動可能に取り付けられている。また、移動部材76は、その軸方向他方側の端部がフレーム本体部16の被取付部16Aとピン結合されており、
図4(A)及び
図4(B)に示されるように、フレーム本体部16に対して回転移動可能に取り付けられている。
【0062】
移動部材76は、その先端部がネジ付芯部68の外周側の所定位置である第一位置76X(
図4(A)参照)と、フレーム本体部16をネジ付芯部68の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置76Xの状態のときよりもネジ付芯部68から離間させる第二位置76Y(
図4(B)参照)と、の間で軸方向を変えながら変位可能とされている。なお、移動部材76は、フレーム本体部16よりも高い剛性に設定されている。
【0063】
移動部材76を変位させるための変位機構70は、モータ72、雄ネジ部68A、雌ネジ部材74、及びフレーム本体部16の被取付部16Aを含んで構成されている。変位機構70は、ネジ付芯部68に設けられて移動部材76を支持し、作動することによって移動部材76を第一位置76Xと第二位置76Yとの間で変位させると共に、移動部材76がフレーム本体部16を押圧する場合の反力をネジ付芯部68に支持させるように構成されている。また、複数の移動部材76がそれぞれ第一位置76Xから第二位置76Yに変位することで、フレーム本体部16を放射状に押し広げる。
【0064】
変位機構70のモータ72は、制御部78に接続されており、制御部78は、判定装置34に接続されている。制御部78は、判定装置34からの入力信号に基づいて、第一位置76Xに配置された移動部材76を第二位置76Yの方向へ変位させるように変位機構70のモータ72を制御する。
【0065】
次に、変位機構70の作用について説明すると、まず、モータ72が駆動することにより、ネジ付芯部68は、自らの軸回りに回転すると共にその回転力を雌ネジ部材74に与える。雌ネジ部材74は、複数の移動部材76及びフレーム本体部16によって回転が阻止されながらネジ付芯部68の軸方向に沿って移動する。このとき、移動部材76は、ネジ付芯部68に対する角度を変えながら第一位置76Xと第二位置76Yとの間を移動する。
【0066】
これにより、ネジ付芯部68の外周側を囲む位置に設けられた筒状のフレーム本体部16が、その軸心部に設けられたネジ付芯部68を中心とする半径方向に変位することで、フレーム構造体66の剛性が変化し、フレーム構造体66の衝突時のエネルギー吸収性能を変化させることができる。また、移動部材76と軸方向の端部がフレーム本体部16の被取付部16Aとピン結合されているので、移動部材76の変位に常に連動させてフレーム本体部16の断面形状を変化させることができる。
【0067】
また、衝突検知時や衝突予知時には、制御部78による制御でモータ72が駆動することで、第一位置76Xに配置された移動部材76が第二位置76Yの方向へ変位し、フレーム構造体66の曲げに対する剛性が高まる。よって、フレーム構造体66の衝突時のエネルギー吸収性能が変化する。
【0068】
このように本実施形態によっても、構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節することができる。
【0069】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について、
図5を用いて説明する。
図5には、本実施形態に係る車体骨格部を構成するフレーム構造体82の一部が芯部14の軸方向に直交する断面視の拡大された作用図で示されると共に、フレーム構造体82を備えたフレーム装置80の概略構成が示されている。
図5(A)は移動部材としての移動軸部材84が第一位置84Xにある状態を示し、
図5(B)は移動軸部材84が第二位置84Yにある状態を示している。なお、本実施形態は、以下に説明する点を除き、第1、第3の実施形態と実質的に同様の構成とされている。第1、第3の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
フレーム本体部16の内側には、移動軸部材84、及びその変位用の変位機構86が、フレーム本体部16の径方向に対で配設されて、芯部14の外周側の周方向に複数(本実施形態では一例として四対)設けられている。
【0071】
変位機構86は、芯部14に設けられて移動軸部材84を支持している。移動軸部材84は、芯部14の外周側の所定位置である第一位置84X(
図5(A)参照)と、フレーム本体部16を芯部14の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置84Xの状態のときよりも芯部14から離間させる第二位置84Y(
図5(B)参照)と、の間で変位可能とされている。
【0072】
移動軸部材84は、第一位置84Xと第二位置84Yとの間の移動方向を軸方向として配置され、軸部84Aと、軸部84Aの軸方向一端側に設けられたピストン84Bと、軸部84Aの軸方向中間部に設けられた爪状部84Cと、を備えている。軸部84Aの軸方向は、移動軸部材84の軸方向と一致している。また、ピストン84Bは、軸部84Aよりも大径とされている。爪状部84Cは、移動軸部材84の軸部84Aにその半径方向に出没可能に設けられ、移動軸部材84の軸周りに複数設定されている。爪状部84Cは、突出状態において芯部14の側から離間する方向へ向けて移動軸部材84の軸心の側に傾斜した傾斜面84Sを備えている。また、移動軸部材84の内部には、爪状部84Cを移動軸部材84の半径方向外側に付勢する付勢部84D(バネ)が設けられている。
【0073】
変位機構86は、有底の円筒体88を備え、この円筒体88に移動軸部材84のピストン84Bが収容されている。円筒体88は、その底部88Aが芯部14の外周部に固定されると共に、芯部14から離れた先端開口部88Bを備えている。円筒体88の先端開口部88Bは、支持板部90の一部によって塞がれると共に、支持板部90には、移動軸部材84の軸部84Aが挿し込まれる孔部90Aが貫通形成されている。支持板部90と一体に形成されたブラケット部92は、芯部14に固定されており、これにより、支持板部90は、芯部14に対して相対移動不能に設けられている。
【0074】
また、変位機構86は、第3の実施形態と同様のガス発生装置60を備えており、ガス発生装置60は、円筒体88の中の底部88A側に配置されている。ガス発生装置60で発生させるガスの圧力F(
図5(B)参照)は、移動軸部材84を第一位置84Xから第二位置84Yへ変位させる駆動力となる。
【0075】
以上により、変位機構86は、作動することによって、移動軸部材84を、第一位置84Xと第二位置84Yとの間で変位させると共に、移動軸部材84がフレーム本体部16を押圧する場合の反力を芯部14に支持させるように構成されている。また、移動軸部材84の爪状部84Cは、移動軸部材84が第一位置84Xにある状態では、支持板部90に対して芯部14の側に配置されると共に、移動軸部材84が第二位置84Yにある状態では、支持板部90に対して芯部14の側とは反対側に配置されて支持板部90の側に向けられた端面84Tが孔部90Aの外周縁部に対面するように設定されている。また、変位機構86の作動によって、複数の移動軸部材84がそれぞれ第一位置84Xから第二位置84Yに変位することで、フレーム本体部16を放射状に押し広げるようになっている。
【0076】
なお、制御部62は、判定装置34からの入力信号に基づいて、着火装置60Aを作動させてガス発生装置60のケース内の火薬に着火させるように制御することで、第一位置84Xに配置された移動軸部材84を第二位置84Yの方向へ変位させるように変位機構86を制御する。
【0077】
本実施形態の構成によれば、衝突検知時や衝突予知時には、第3の実施形態と同様に、ガスの圧力Fによって移動軸部材84を第一位置84Xから第二位置84Yに変位させることができる。これにより、フレーム本体部16の径が大きくなることで、フレーム構造体82の剛性が変化し、フレーム構造体82の衝突時のエネルギー吸収性能が変化する。
【0078】
また、本実施形態では、移動軸部材84が第一位置84Xにある場合、爪状部84Cが支持板部90に対して芯部14の側に配置される。移動軸部材84が第一位置84Xから第二位置84Yへ変位する過程で爪状部84Cが孔部90Aを通過する場合には、爪状部84Cの傾斜面84Sが孔部90Aに当たる。これにより、爪状部84Cは付勢部84Dの付勢力に抗して移動軸部材84の変形方向内側に向けて退避される。また、移動軸部材84が第一位置84Xから変位して第二位置84Yにある場合、爪状部84Cが支持板部90に対して芯部14の側とは反対側に配置され、爪状部84Cにおいて支持板部90の側に向けられた端面84Tが孔部90Aの外周縁部に対面する。このとき、爪状部84Cは、付勢部84Dにより、移動軸部材84の半径方向外側に付勢されているので、移動軸部材84は第二位置84Yにおいて抜け止めされ、フレーム本体部16の断面形状が保持される。
【0079】
このように本実施形態によっても、構造体単体の衝突時のエネルギー吸収性能を調節することができる。
【0080】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について、
図6を用いて説明する。
図6には、本実施形態に係る車体骨格部を構成するフレーム構造体102が斜視図で示されると共に、フレーム構造体102を備えたフレーム装置100の概略構成が示されている。
図6(A)は移動部材18が第一位置18Xにある状態を示し、
図6(B)は移動部材18が第二位置18Yにある状態を示している。なお、第1の実施形態と同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。また、制御部32は、すべてのモータ22に接続されているが、図中では代表して一個のモータ22との接続についてのみ図示し、その他のモータ22との接続については図示を省略する。
【0081】
図6に示されるように、芯部104の外周側を囲む位置に設けられたフレーム本体部106は、互いに平行に並設された複数の(一例として三本の)長尺部材108で構成されている。すなわち、本実施形態は、第1の実施形態におけるフレーム本体部16(
図1参照)に代えて、複数の長尺部材108から成るフレーム本体部106が配置された点が特徴である。
【0082】
長尺部材108は、筒状(本実施形態では一例として円筒状)に形成された筒状部材(パイプ部材)で構成されている。長尺部材108には、移動部材18の先端部が固定されている。複数の並設された長尺部材108は、連結されることで全体として疑似的な円断面を備えたものと把握し得るフレーム本体部106を構成している。
【0083】
一方、芯部104は、第1の実施形態における芯部14(
図1参照)に比べて軸方向の長さが短く設定されており、フレーム構造体102の軸方向に沿って複数設けられている。芯部104に対する変位機構20の取付構成は、第1の実施形態における芯部14(
図1参照)に対する変位機構20の取付構成と同様である。本実施形態の変形例として、
図6の芯部104に代えて、第1の実施形態における芯部14(
図1参照)が適用されてもよい。
【0084】
移動部材18は、芯部104の外周側の所定位置である第一位置18Xと、フレーム本体部106(長尺部材108)を芯部104の側とは反対側に押圧してその押圧される部位を第一位置18Xの状態のときよりも芯部104から離間させる第二位置18Yと、の間で変位可能とされている。変位機構20は、芯部104に設けられて移動部材18を支持し、作動することによって移動部材18を第一位置18Xと第二位置18Yとの間で変位させると共に、移動部材18がフレーム本体部106を押圧する場合の反力を芯部104に支持させるように構成されている。
【0085】
上記構成によっても、前述した第1の実施形態とほぼ同様の作用及び効果が得られる。なお、本実施形態では、長尺部材108が三本設けられているが、長尺部材(108)は、芯部(104)の外周側を囲む位置に四本以上設けられてもよい。
【0086】
[第6の実施形態の変形例]
次に、
図5を援用しながら第6の実施形態の変形例を説明する。
【0087】
第6の実施形態の変形例では、第6の実施形態における変位機構20(
図6参照)に代えて、第5の実施形態における変位機構86が適用されている。そして、この第6の実施形態の変形例では、支持板部90に代えて、
図6に示される長尺部材108において芯部104の側に配置された内側板部110が、支持板部を構成している。内側板部110は、
図5に示される移動軸部材84の軸部84Aが挿し込まれる孔部90Aと同様の位置に孔部が貫通形成されると共に、ブラケット部92と同様の構成部に結合されることで芯部14に対して相対移動不能に設けられている。なお、
図5では、内側板部110を二点鎖線で示す。
【0088】
このような変形例によれば、第5の実施形態と実質的に同様の作用効果が得られる。また、
図5のフレーム本体部16に相当する位置に
図6に示される長尺部材108の外側板部(内側板部110と対向配置される板部)112が配置されるので、変位機構86(
図5参照)の作動によって長尺部材108自体の断面サイズを変えることもできる。
【0089】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態の変形例として、本発明のフレーム構造体は、バンパリインフォース、インパネリインフォース、ピラー、サイドドアのインパクトビーム等のようなロッカ以外の車体骨格部に適用されてもよいし、船や飛行機の一部等に適用されてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、緊急状態認知部としての判定装置34が車両の衝突検知及び衝突予知の両方が可能な構成になっているが、緊急状態認知部は、車両の衝突検知のみが可能なものであってもよいし、車両の衝突予知のみが可能なものであってもよい。また、上記実施形態では、判定装置34は、車両の側面衝突の衝突検知及び衝突予知が可能となっているが、例えば、車両の正面衝突に応じてフレーム構造体の断面形状を変えたい場合、緊急状態認知部には、車両の正面衝突の衝突検知及び衝突予知の少なくとも一方が可能なものが適用される。
【0091】
また、変位機構のアクチュエータとしては、例えば圧電素子等のような上記実施形態に示されたアクチュエータ以外のアクチュエータが用いられてもよい。
【0092】
また、上記第1の実施形態では、第一ネジ部材として、第一ネジ部が雌ネジ部18Aとされた雄ネジ部材(移動部材18)が適用され、第二ネジ部材として、第二ネジ部が雄ネジ部24Aとされた雄ネジ部材24が適用されているが、第一ネジ部材及び第二ネジ部材はこれに限定されない。すなわち、第一ネジ部材として、第一ネジ部が雄ネジ部とされた雄ネジ部材が適用され、第二ネジ部材として、第二ネジ部が雌ネジ部とされた雌ネジ部材が適用されてもよい。
【0093】
また、上記実施形態の変形例として、直接モータ22、72や着火装置60Aを作動させるためのスイッチが設けられ、車両が衝突しそうな場合に乗員がそのスイッチを押すことによって直接モータ22、72や着火装置60Aを作動させてもよい。
【0094】
また、上記第4、第6の実施形態の変形例として、衝突時にフレーム構造体(66、102)に曲げ起点を設定したい場合には、移動部材(76、18)を予め第二位置(76Y、108Y)に設定すると共に、フレーム本体部(16、106)において曲げ起点を設定したい部位に結合された移動部材(76、18)を衝突時に第二位置(76Y、108Y)から第一位置(76X、108X)に変位させてもよい。
【0095】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0096】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。