(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の技術では、無線ルータが移動端末に通知要否を問い合わせ、移動端末から要との応答があった場合にのみ、ユーザの安否情報や所在情報をメールサーバに送信している。すなわち、通信網が混雑しており、通信が確立できない場合や、応答しない場合には、安否情報や所在情報が得られなかった。そこで、通信が確立できない場合や、応答しない場合にも、安否確認が可能な技術が望まれていた。この他、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、無線接続装置と、管理サーバと、を備えるネットワークシステムが提供される。このネットワークシステムにおいて、前記無線接続装置は、特定の事象の発生時である災害時に、不特定の通信端末との無線接続を確立し、公衆無線LANを構築する公衆無線LAN提供部と、前記災害時に、前記無線接続装置と接続可能な範囲に位置する第1の通信端末に関する通信端末情報を生成する情報管理部と、前記通信端末情報を、前記災害時に、前記管理サーバに送信する管理サーバ通信制御部と、を備え、前記管理サーバは、前記災害時に、前記無線接続装置から受信した前記通信端末情報に基づいて、前記第1の通信端末の位置に関する位置情報を含む災害時通信端末情報を生成する、災害時通信端末情報生成部を備えてもよい。
【0007】
ここで、特定の事象の発生時である災害時とは、例えば、天災、人災等の災害発生時、緊急時、戦争勃発時、警察、行政からの要請時、それらのテスト時等を含む概念である。なお、管理サーバ通信制御部は、災害時に限り、通信端末情報を管理サーバに送信するものとしてもよい。
【0008】
このネットワークシステムによれば、災害時に、不特定の通信端末が無線接続装置と無線接続可能になり、被災地における通信網の混雑状況を緩和することができる。無線接続装置は、自身と無線接続可能な範囲にある通信端末に関する通信端末情報を取得して管理サーバに送信するため、管理サーバに、通信端末情報が収集される。そのため、管理サーバに収集された通信端末情報を照会することにより、通信が確立できない場合や、通信端末が応答しない場合にも、災害時の被災者の安否確認、所在確認に資することができる。
【0009】
(2)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記管理サーバは、前記災害時に、前記管理サーバに接続された第2の通信端末から、前記災害時通信端末情報に関する第1の問合せ情報を受信すると、前記第1の問合せ情報に基づいて、前記第1の通信端末の前記災害時通信端末情報から、前記第1の通信端末の位置に関する情報を含む経路情報を生成して、前記第2の通信端末に送信する、問合せ処理部を、備えてもよい。このようにすると、第2の通信端末からの問合せに応じて、経路情報を提供することができる。
【0010】
(3)上記形態のネットワークシステムにおいて、複数の前記無線接続装置を備え、前記管理サーバは、複数の前記無線接続装置から受信した前記通信端末情報に基づいて、前記第1の通信端末の移動経路に関する情報を含む前記経路情報を生成してもよい。このようにすると、例えば、通信端末のユーザである被災者が移動した場合に、複数の無線接続装置から管理サーバに通信端末情報が送信され、経路情報が生成される。そのため、管理サーバから経路情報を提供することにより、被災者の移動経路の特定に資することができる。
【0011】
(4)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記無線接続装置において、前記情報管理部は、前記第1の通信端末から送信されたプローブ要求に基づいて、前記通信端末情報を生成してもよい。プローブ要求は、通信端末のユーザの操作によらず、通信端末から自動的に送信されるため、このようにすると、例えば、被災者が重傷、意識不明等により通信端末を操作できない場合にも、安否や所在の確認に資することができる。
【0012】
(5)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記管理サーバは、前記災害発生前に、少なくとも一の前記第1の通信端末の識別情報と、少なくとも一の前記第2の通信端末の識別情報と、を関連付けたグループ情報が記憶された記憶部を備え、前記問合せ処理部は、前記グループ情報に基づいて、前記第1の問合せ情報を送信した前記第2の通信端末と関連付けられた前記第1の通信端末を抽出し、抽出された前記第1の通信端末の少なくとも一についての前記経路情報を、前記第2の通信端末に送信してもよい。このようすると、問合せ者が、問合せ対象の通信端末の機器識別情報を知らない場合であっても、グループ登録された通信端末の経路情報を取得することができる。
【0013】
(6)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記無線接続装置は、前記無線接続装置の混雑度と、前記無線接続装置の位置に関する位置情報を含む混雑度情報を生成する混雑度情報生成部を備え、前記管理サーバ通信制御部は、前記混雑度情報を、前記管理サーバに送信してもよい。このようにすると、無線接続装置の混雑度情報が管理サーバに集約される。
【0014】
(7)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記管理サーバは、少なくとも一の前記無線接続装置から受信した前記混雑度情報に基づいて、前記無線接続装置の位置と、前記混雑度と、を地図上に表示させるための混雑度地図情報を生成する混雑度地図情報生成部を備え、前記問合せ処理部は、前記第2の通信端末から、前記混雑度地図情報に関する第2の問合せ情報を受信すると、前記混雑度地図情報を、前記第2の通信端末に送信してもよい。このようにすると、無線接続装置の混雑度を地図上に表示させることができるため、ユーザの利便性が向上する。
【0015】
(8)本発明の他の形態によれば、無線接続装置が提供される。この無線接続装置は、特定の事象の発生時である災害時に、不特定の通信端末との無線接続を確立し、公衆無線LANを構築する公衆無線LAN提供部と、前記災害時に、前記無線接続装置と接続可能な範囲に位置する第1の通信端末に関する通信端末情報を生成する情報管理部と、前記無線接続装置と接続された管理サーバに、前記災害時に限り、前記通信端末情報を送信する、管理サーバ通信制御部と、を備えてもよい。この無線接続装置によれば、災害時に公衆無線LANを提供するため、災害時の通信網の混雑が緩和される。そして、自身と無線接続可能な通信端末の通信端末情報を管理サーバに送信するため、通信端末情報を介した被災者の安否、所在確認に資することができる。
【0016】
(9)上記形態の無線接続装置において、前記情報管理部は、前記第1の通信端末から送信されたプローブ要求に基づいて、前記通信端末情報を生成してもよい。このようにすると、通信端末のユーザの操作によらず、通信端末情報を生成することができる。
【0017】
(10)上記形態の無線接続装置において、前記無線接続装置の混雑度と、前記無線接続装置の位置に関する情報を含む混雑度情報を生成する混雑度情報生成部を備え、前記管理サーバ通信制御部は、前記混雑度情報を、前記管理サーバに送信してもよい。このようにすると、無線接続装置の混雑度情報を管理サーバに集約することができる。
【0018】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素は全てが必須のものではなく、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部または全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部または全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0019】
本発明は、ネットワークシステム、無線接続装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、管理サーバ、無線接続装置を制御するための方法、管理サーバを制御するための方法、これらの方法の一部または全部を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.実施形態:
A−1.システムの概略構成:
図1は、本発明の一実施形態としてのネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。ネットワークシステム100は、無線接続装置としてのアクセスポイント21,22,23と、管理サーバ30とを含んでいる。なお、
図1では、以下の説明に使用しない他のネットワーク中継装置、回線、端末等については図示を省略している。以下、アクセスポイント21,22,23を区別しない場合には、アクセスポイント20と称する。本ネットワークシステム100は、災害発生時に、通信端末の所在の確認を可能にするシステムである。本実施形態において、災害とは、地震、津波等の天災や火事等の人災を含む概念である。
【0022】
図1は、災害発生時の様子を図示している。アクセスポイント20は、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続され、インターネットINTを介して管理サーバ30と接続されている。アクセスポイント20は、後に詳述するように、災害時に、公衆無線LANのアクセスポイントとして開放する機能を備える。
【0023】
各アクセスポイント21,22,23は、それぞれ、災害発生時に指定された避難所1,2,3に設置されている。各避難所には、複数の被災者が収容され、各被災者が所有する複数の通信端末41〜44が存在する。以下、通信端末41〜44を区別しない場合には、通信端末40と称する。通信端末40は、例えば、スマートフォン、タブレット等の無線LAN接続機能を備える携帯通信端末である。
【0024】
図1では、本実施形態のネットワークシステム100の、災害時における動作を説明するために、下記の場合を例示している。災害が発生した場合に、ユーザXが避難所1、ユーザYが避難所2、ユーザZが避難所3に、それぞれ収容されており、お互いに安否が不明である。ユーザX、Y、Zは、それぞれ、通信端末41,42,43を、所持している。各避難所に存在する他の通信端末は、これらの通信端末と区別するために、通信端末44と記載している。ユーザX、Y、Zとしては、例えば、家族を構成する父、母、娘が想定できる。
【0025】
A−2.アクセスポイントの概略構成:
図2は、アクセスポイント20の構成を機能的に示すブロック図である。アクセスポイント20は、CPU210と、RAM230と、無線通信インターフェース240と、有線通信インターフェース250と、フラッシュROM220とを備える。これらの構成要素は、バスによって相互に接続されている。
【0026】
CPU210は、フラッシュROM220に格納されているプログラムをRAM230に展開して実行することによって、アクセスポイント20を制御する。また、CPU210は、管理サーバ通信制御部211,公衆無線LAN提供部212,および情報管理部214の各機能を実現する。
【0027】
公衆無線LAN提供部212は、災害時に、アクセスポイント20を、公衆無線LANのアクセスポイントとして開放する災害モード213を備える。公衆無線LAN提供部212は、災害の発生を検出すると、災害モード213を起動する。災害モード213が起動されると、アクセスポイント20は災害時用SSIDによるアクセスポイント機能が有効となり、災害時用SSIDによるビーコンの送信が開始される。通信端末40は、アクセスポイント20の災害時用SSIDを検出すると、当該SSIDへの接続要求を送信し、アクセスポイント20からの肯定応答に基づき、無線LAN接続が確立する。この場合、通信端末40が公衆無線LANを使用する事に対するパスワード認証を不要としている。また、通信を暗号化をしないか、公開暗号化キー等を用いて暗号化している。本実施形態において、災害時用SSIDは、予め周知されているものとするが、これに限定されない。例えば、アクセスポイント20が災害発生の通知を受信した場合に、公衆無線LAN提供部212が、災害用SSIDによるビーコン送信により、周囲の通信端末へ起動状態を通知する構成にしてもよい。この場合、通信端末40のユーザは、災害発生後に、自身の通信端末40のアクセスポイント20への無線接続設定画面を通じて、災害時用SSIDを知ることができる。
【0028】
公衆無線LAN提供部212は、VPN(仮想プライベートネットワーク),VLAN(Virtual Local Area Network) ,PPPoE(Point to Point Protocol over Ethernet)(Ethernetは登録商標)等を用いて、平時に形成されている自身のLAN内の情報を秘匿する。ここで、平時とは、大規模な通信障害を引き起こすような災害が発生していない状態のことをいう。
【0029】
公衆無線LAN提供部212は、災害が収束すると、災害モードを終了させ、公衆無線LANを閉鎖する。本実施形態において、アクセスポイント20は、インターネットサービスプロバイダによるプッシュ通知により災害の発生および収束を検知するが、災害発生および収束の検知は本実施形態に限定されない。例えば、管理サーバ30がアクセスポイント20に通知してもよいし、電気通信事業者が設置する災害伝言板を用いて検知してもよい。
【0030】
公衆無線LAN提供部212は、災害時に、アクセスポイント20と無線接続可能な範囲に在る通信端末40から送信されるプローブ要求(Probe Request),接続要求(Association Request),切断要求(Disassociation Request)等を受信する。
【0031】
情報管理部214は、アクセスポイント20において災害モードが起動された場合、アクセスポイント20と無線接続可能な範囲に位置する通信端末40に関する通信端末情報224を生成し、フラッシュROM220に格納する。通信端末情報224には、接続時刻,切断時刻,継続時刻,機器識別情報,認証情報(SSID),プローブリクエスト受信時刻等が含まれる。情報管理部214は、公衆無線LAN提供部212にて受信されたプローブ要求(Probe Request),接続要求(Association Request),切断要求(Disassociation Request)等の要求と、接続(Association),切断(Disassociation)の状況等から、通信端末情報を生成する。
【0032】
通信端末情報224は上記要求等に基づいて生成される。そのため、アクセスポイント20と無線接続可能な範囲(電波を受信可能な範囲)に在れば、アクセスポイント20と接続された通信端末40だけでなく、未接続の通信端末40についても、通信端末情報224が生成される。したがって、アクセスポイント20が混雑していて接続できない場合や、通信端末40のユーザが操作不可能な状態(例えば、負傷、意識不明等)であっても、通信端末40に関する情報を生成することができる。
【0033】
また、情報管理部214は、災害時に、アクセスポイント20の混雑度に関する混雑度情報223を生成し、フラッシュROM220に格納する。混雑度情報の生成については、後に詳述する。
【0034】
管理サーバ通信制御部211は、インターネットINTを介した管理サーバ30との通信を制御する。アクセスポイント20が災害モードの間は、フラッシュROM220に格納されたAP情報221および通信端末情報224を関連づけて、定期的に管理サーバ30へ送信する。
【0035】
無線通信インターフェース240は、送受信回路を含み、アンテナを介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナを介して送信する電波の生成と変調を行う。有線通信インターフェース250は、インターネットINT(
図1)側の回線と接続される。有線通信インターフェース150は、PHY/MACコントローラを含み、受信した信号の波形を整えるほか、受信した信号からMACフレームを取り出す。
【0036】
フラッシュROM220には、AP情報221、通信端末情報224が格納されている。AP情報221は、位置情報222と、混雑度情報223を含む。位置情報222は、アクセスポイント20が設置されている場所を示す情報であり、場所の名称(例えば、○○公園、××体育館、避難所1、避難所2等)、住所を含む。位置情報222は、アクセスポイント20が備えるGPS(Global Positioning System)機能により得られる情報に基づいて生成されてもよいし、アクセスポイント20の設置者が入力してもよい。混雑度情報223は、アクセスポイント20の混雑度を示す情報であり、情報管理部により生成される。
【0037】
A−3.管理サーバの概略構成:
図3は、管理サーバ30の構成を機能的に示すブロック図である。管理サーバ30は、CPU310と、RAM330と、有線通信インターフェイス350と、記憶部としてのハードディスク320とを備える。これらの構成要素は、バスによって相互に接続されている。記憶部は、ハードディスクに限らず、記憶媒体や不揮発性メモリ、不揮発性メモりにより構成される記憶装置(SSD)等を用いてもよい。
【0038】
CPU310は、ハードディスク320に格納されているプログラムを実行することによって、管理サーバ30を制御する。また、CPU310は、問合せ処理部311,公衆無線LAN通信制御部312,混雑度地図情報生成部314の各機能を実現する。
【0039】
公衆無線LAN通信制御部312は、インターネットINTを介したアクセスポイント20との通信を制御する。公衆無線LAN通信制御部312は、災害時通信端末情報生成部313を含む。災害時通信端末情報生成部313は、複数のアクセスポイント20から受信したAP情報221および通信端末情報224を解析して、公開してもよい情報のみを抽出して災害時通信端末情報327を生成し、データベース化してハードディスク320に格納する。複数のアクセスポイント20から送信される情報は、内容は同一であっても書式が異なるため、解析し書式を統一して災害時通信端末情報327を生成する。
【0040】
災害時通信端末情報327は、通信端末情報322,トレースログ情報324,AP情報325を含む。通信端末情報322は、複数のアクセスポイント20から受信した通信端末情報224を含む。AP情報325は、複数のアクセスポイント20から受信したAP情報221を含む。通信端末情報322とAP情報325とは、関連づけて格納されている。トレースログ情報324は、複数の通信端末40の位置や接続状態等を示す情報であり、通信端末情報322とAP情報325とに基づいて生成される。
【0041】
図4は、トレースログ情報の構成を示す図である。トレースログ情報は、LogID,時刻,機器識別情報,接続状態,APID,設置場所を含む。時刻は、後述する接続状態に関する時刻であり、例えば、通信端末40がアクセスポイント20に接続された時刻,アクセスポイント20がプローブ要求を受信した時刻,通信端末40とアクセスポイント20とが切断された時刻等である。時刻は、年月日と共に記される(
図4では、年月日を、YYYY/MM/DDと記載している。)。機器識別情報は、本実施形態では、通信端末40のMACアドレスである。接続状態は、アクセスポイント20と通信端末40との接続状態を示す。「接続中」は、前回から継続して接続されている状態、「接続」は、前回は「接続」および「接続中」以外の状態であり、「接続」に変化した状態、「周囲にあり」は、対象の通信端末40がアクセスポイント20に接続されていないが、対象の通信端末40からのプローブ要求や接続要求がアクセスポイント20に受信された状態を示す。APIDは、各アクセスポイント20を識別するための識別情報であり、例えば、MACアドレスを用いることができる。
図4では、
図1に示したアクセスポイント21,22,23について例示しており、APIDとして、
図1に用いた符号を用いている。設置場所は、アクセスポイント20が設置されている場所を示す。本実施形態では、アクセスポイント21は○○学校(避難場所1)、アクセスポイント22は××公園(避難場所2)、アクセスポイント23は△△体育館(避難場所3)に設置されており、それらを設置場所としている。トレースログ情報は、後述する経路情報を生成する際に参照されるデータベースである。
【0042】
混雑度地図情報生成部314は、ハードディスク320に格納されたAP情報に基づいて、管理サーバ30とインターネットINTを介して接続されている複数のアクセスポイント20それぞれの混雑度を、地図上に表示させるための混雑度地図情報326を生成し、ハードディスク320に格納する。
【0043】
問合せ処理部311は、データベース検索機能を備え、管理サーバ30に接続された通信端末40からの問合せを受信し、問合せに応じた情報を、ハードディスク320から検索して、問合せ元の通信端末40に送信する。例えば、災害時に、アクセスポイント20の混雑度に関する問合せを受信した場合には、ハードディスク320から混雑度地図情報326を抽出して送信する。特定の通信端末40の経路情報に関する問合せを受信した場合には、ハードディスク320のトレースログ情報324から該当する通信端末40の情報を抽出し、経路情報328を作成して送信する。経路情報328は、ハードディスク320に一時的に記憶され、送信完了後に消去されてもよい。
【0044】
ハードディスク320には、データベース321、混雑度地図情報326、および経路情報328が格納されている。データベース321には、グループ情報323および災害時通信端末情報327が含まれる。
【0045】
図5は、グループ情報の構成を示す図である。グループ情報323には、グループを構成する複数の通信端末40の機器識別情報が関連づけて記憶されている。グループは、家族の他、例えば、クラスメート、会社の従業員等、予め登録されたグループであればよい。
図5では、
図1に示したユーザX、Y、Zをグループ1として例示している。ユーザXの所有する通信端末41の機器識別情報=A,ユーザYの所有する通信端末42の機器識別情報=B,ユーザZの所有する通信端末43の機器識別情報=Cである。本実施形態において、グループ情報323は、災害発生前に、ユーザによって登録されている。グループ情報323の登録方法は、本実施形態に限定されない。例えば、管理サーバ30がホームゲートウェイと接続されており、平時にホームゲートウェイと接続される家庭内の通信端末の機器識別情報をグループ化して、管理サーバ30に送信してもよい。グループ情報登録用のアプリが自動的に各通信端末40にダウンロードされ、各通信端末のユーザが、表示画面に従って、グループ情報の登録を行ってもよい。本実施形態において、機器識別情報としてMACアドレスを用いているが、例えば、メールアドレス、UDID(Unique Device IDentifier)等の通信端末40を識別可能であって、アクセスポイント20によって取得可能な種々の情報を用いることができる。
【0046】
有線通信インターフェース350は、インターネットINT(
図1)側の回線と接続される。有線通信インターフェース350は、PHY/MACコントローラを含み、受信した信号の波形を整えるほか、受信した信号からMACフレームを取り出す。
【0047】
A−4.ネットワークシステムにおける災害時の処理:
次に、本実施形態のネットワークシステムにおける災害時の処理の概要について、例を挙げて説明する。
図6は、実施形態のネットワークシステムにおける災害時の処理の一例を示すシーケンス図である。
図6では、本実施形態のネットワークシステムのうち、
図1に示す通信端末41、アクセスポイント21、通信端末42、アクセスポイント22、管理サーバ30間で行われる処理を例示している。
図6では、紙面の都合上、通信端末41のユーザを単に「X」、通信端末42のユーザを単に「Y」と表示している。
図6に示していない他の通信端末40、アクセスポイント20、および管理サーバ30との間でも同様の処理が行われる。
【0048】
災害が発生すると、インターネットサービスプロバイダ(ISP)によるプッシュ通知により災害の発生がアクセスポイント21,22に通知される(ステップS102,104)。アクセスポイント21,22の公衆無線LAN提供部212は、災害発生の通知を受信すると、災害モードを起動して、アクセスポイント21,22を公衆無線LANのアクセスポイントとして開放する(ステップS106,108)。
【0049】
ユーザXの所有する通信端末41がアクセスポイント21と無線接続されると(ステップS110)、アクセスポイント21の情報管理部214が通信端末情報224を作成する。そしてアクセスポイント21から管理サーバ30への定期通知時に、アクセスポイント21の管理サーバ通信制御部211は、通信端末41に関する通信端末情報224をアクセスポイント21に関するAP情報221と共に、管理サーバ30へ送信する(ステップS112)。
【0050】
一方、ユーザYの所有する通信端末42がアクセスポイント22と無線接続されると(ステップS114)、アクセスポイント22の情報管理部214が通信端末情報224を作成する。そしてアクセスポイント22から管理サーバ30への定期通知時に、アクセスポイント22の管理サーバ通信制御部211は、通信端末42に関する通信端末情報224をAP情報221と共に、管理サーバ30へ送信する(ステップS116)。
【0051】
ユーザXの所有する通信端末41から、通信端末42に関する情報の問合せが管理サーバ30に対して送信されると(ステップS118)、管理サーバ30の問合せ処理部311は、ステップS116において受信した情報を含む情報に基づいて生成されたトレースログ情報324を検索して、通信端末42に関する経路情報328を作成し、通信端末41に対して送信する(ステップS120)。
【0052】
通信端末41がアクセスポイント21との無線接続を切断すると(ステップS122)、アクセスポイント21の情報管理部214が通信端末情報224を作成する。そしてアクセスポイント21から管理サーバ30への定期通知時に、アクセスポイント21の管理サーバ通信制御部211が、無線が切断されたことを含む通信端末情報224を、アクセスポイント21に関するAP情報221と共に、管理サーバ30に送信する。ステップS122では、例えば、通信端末41は、ユーザXの操作により、アクセスポイント21との無線接続が切断される場合や、電波の受信状態等により自動的に切断される場合を含む。
【0053】
通信端末41がアクセスポイント22からの電波を受信可能な場所(避難所2:××公園)に移動され、通信端末41がアクセスポイント22と無線接続されると(ステップS126)、アクセスポイント22の情報管理部214が通信端末情報224を作成する。そしてアクセスポイント22から管理サーバ30への定期通知時に、アクセスポイント22の管理サーバ通信制御部211が、通信端末41に関する通信端末情報224をアクセスポイント22に関するAP情報221と共に、管理サーバ30へ送信する(ステップS128)。
【0054】
このように、本実施形態のネットワークシステムによれば、災害が発生すると、アクセスポイント20が公衆無線LANとして開放され、アクセスポイント20の付近に在る不特定の通信端末40が、災害時公衆無線LANアクセスポイント20に無線接続可能となる。
【0055】
そして、通信端末40が災害時にアクセスポイント20と接続されると、通信端末40に関する通信端末情報224が生成されて管理サーバ30に送信される。そのため、上述の通り、ユーザXが避難所1に、ユーザYが避難所2に居る場合に、それぞれの所有する通信端末40に関する通信端末情報224が管理サーバ30に収集されているため、ユーザXが管理サーバにユーザYの所有する通信端末42について管理サーバに問い合わせることにより、通信端末42の位置、すなわち、ユーザYの所在を特定することができる。
【0056】
また、上述の通り、例えば、ユーザXが避難所1から避難所2に移動した場合には、避難所2に設置されているアクセスポイント22から、通信端末41に関する通信端末情報224が管理サーバ30に送信される。管理サーバ30は、アクセスポイント21から受信した通信端末41に関する通信端末情報224と、アクセスポイント22から受信した通信端末41に関する通信端末情報224と、両方の情報を備えるため、両情報から、通信端末41の移動経路に関する経路情報328を生成することができる。そのため、例えば、避難所3に居るユーザZが、管理サーバ30にユーザXが所有する通信端末41について問い合わせて、通信端末41の経路情報328を取得することにより、ユーザXの移動経路を特定することができる。
【0057】
図6では、通信端末40がアクセスポイント20に接続された場合を例示しているが、上述の通り、通信端末40がアクセスポイント20に接続されなくても、アクセスポイント20と接続可能な範囲に在り、アクセスポイント20が通信端末40からプローブ要求等を受信すれば、通信端末情報224が作成され、管理サーバ30への定期通知時に通信端末情報224が管理サーバ30へ送信される。
【0058】
また、本実施形態では、アクセスポイント20は、管理サーバ30への定期通知時に通信端末情報224を管理サーバ30へ送信しているが、例えば、通信端末40のアクセスポイント20との接続、切断をトリガとして管理サーバ30へ送信してもよい。
【0059】
A−5.管理サーバにおける経路情報の作成:
管理サーバ30から通信端末40に送信される経路情報の作成について、
図1,4に基づいて、以下に説明する。ここでは、管理サーバ30における経路情報の作成について、
図1に示す通信端末41,43の経路情報の問合せを、管理サーバ30が通信端末42から受信した場合を例に挙げて説明する。
図4に示す例では、通信端末41(機器識別情報:A)のユーザであるユーザXは、避難所1(アクセスポイント21が設置されている)から移動していない。通信端末42(機器識別情報:B)のユーザであるユーザYは、避難所2(アクセスポイント22が設置されている)から避難所1に移動している。通信端末43(機器識別情報:C)のユーザであるユーザZは、避難所3(アクセスポイント23が設置されている)から避難所1に移動している。
【0060】
管理サーバ30は、アクセスポイント21から、通信端末41,42,43に関する通信端末情報224を受信し、アクセスポイント22から、通信端末42に関する通信端末情報224を受信し、アクセスポイント23から、通信端末43に関する通信端末情報224を受信して、それらの通信端末情報224に基づいて、トレースログ情報324(
図4)を作成している。
【0061】
図4に示すトレースログ情報324が作成された後に、ユーザYが通信端末42を用いて、管理サーバ30に対して、ユーザXの所有する通信端末41の経路情報を問い合わせると、管理サーバ30の問合せ処理部311は、ハードディスク320に格納されたトレースログ情報324を検索して、通信端末41に関する情報を抽出する。抽出される情報は、LogID=1,4である。問合せ処理部311は、抽出された情報に基づいて、通信端末41に関する経路情報328を作成し、通信端末42に送信する。経路情報328は、問合せが受信された時刻の直近の時刻における位置情報のみを含むものであってもよいし、抽出された全ての時刻における位置情報を含むものであってもよい。さらに、接続状態の情報を含むものであってもよい。経路情報328は、通信端末42の表示画面に、例えば、「通信端末41は、○○学校にあります。」、「通信端末41は、11:00 ○○学校、11:20 ○○学校にありました。」、「通信端末41は、11:00 ○○学校のAPに接続、11:20 ○○学校のAPに接続中です。」等と表示される。通信端末42のユーザであるユーザYは、管理サーバ30から通信端末41に関する経路情報を受信することにより、ユーザXが、○○学校(避難所1)に避難している可能性が高いことを知ることができる。
【0062】
次に、ユーザYが通信端末42を用いて、管理サーバ30に対して、ユーザZの所有する通信端末43の経路情報を問い合わせると、管理サーバ30の問合せ処理部311は、ハードディスク320に格納されたトレースログ情報324を検索して、通信端末43に関する情報を抽出する。抽出される情報は、LogID=3,5である。問合せ処理部311は、抽出された情報に基づいて、通信端末43に関する経路情報328を作成し、通信端末42に送信する。経路情報328は、上記と同様に、通信端末42の表示画面に、例えば、「通信端末43は、○○学校にあります。」、「通信端末43は、11:10 △△体育館、11:20 ○○学校にありました。」、「通信端末43は、11:10 △△体育館のAPに接続中、11:20 ○○学校のAPの周囲にあります。」等と表示される。通信端末42のユーザであるユーザYは、管理サーバ30から通信端末43に関する経路情報328を受信することにより、ユーザZが、○○学校に避難している可能性が高いことを知ることができる。経路情報328に、複数の位置情報を含めることにより、この例のユーザZのように、避難場所を移動した場合に、移動経路を確認することができる。例えば、最終の移動場所である○○学校に、通信端末43はあるがユーザZがいないことが確認された場合には、○○学校と△△体育館との間に居る可能性に基づいて、捜索すること等ができる。
【0063】
上述の例では、ユーザYは、ユーザX、Zの所有する通信端末41、43の機器識別情報(本実施形態では、MACアドレス)を予め認識して、通信端末41、43の機器識別情報を用いて、管理サーバ30に経路情報の問合せを行っている。しかしながら、通信端末40の機器識別情報を認識していない場合も想定される。本実施形態のネットワークシステム100では、管理サーバ30に、予め、グループ情報322として、上述の家族の所有する通信端末41,42,43の機器識別情報が、関連づけて登録されている。以下、
図4,5に基づいて、管理サーバ30におけるグループ経路情報の生成について説明する。
【0064】
ユーザYが、自身の所有する通信端末42を用いて、管理サーバ30に経路情報の問合せを行うと、管理サーバ30の問合せ処理部311は、受信した問合せ情報に含まれる通信端末42の機器識別情報:Bを取得する。問合せ処理部311は、ハードディスク320に格納されているグループ情報323を参照して、機器識別情報:Bが含まれるグループ(グループID=1)のグループ情報を抽出する。グループ1には、通信端末41の機器識別情報=A、通信端末42の機器識別情報=B、通信端末43の機器識別情報=Cが含まれている。問合せ処理部311は、グループ情報に含まれる機器識別情報に基づいて、ハードディスク320に格納されたトレースログ情報324を検索して、機器識別情報=A,Cに対応する情報を抽出する。抽出される情報は、LogID=1,3,4,5である。問合せ処理部311は、抽出された情報に基づいて、通信端末41,43に関するグループ経路情報を作成し、通信端末42に送信する。
【0065】
このようにすると、ユーザYが、ユーザX,Zの通信端末41,43の機器識別情報を知らなくても、ユーザX,Zが所有する通信端末41,43に関する経路情報を取得することができる。なお、グループ情報において、機器識別情報と所有者の情報を関連づけて登録することにより、通信端末42の表示画面に、例えば、「ユーザXの通信端末41は、○○学校にあります。」,「ユーザZの通信端末43は、○○学校にあります。」等と表示させることもできる。
【0066】
本実施形態において、経路情報328は、通信端末42に表示させる画面を表す情報であるが、これに限定されない。例えば、管理サーバ30は、トレースログ情報324から抽出された情報を、経路情報328として通信端末42に送信し、通信端末42において、表示画面に表示させる画面を表す情報を生成して表示させてもよい。
【0067】
A−6.管理サーバにおけるトレースログ情報の作成:
次に、上述した経路情報328の作成に用いられるトレースログ情報(
図4)について説明する。
図7は、管理サーバにおけるトレースログ情報の作成の流れを示すフローチャートである。管理サーバ30の災害時通信端末情報生成部313は、アイドル状態(ステップS302)からステップS304に移行し、公衆無線LAN通信制御部312においてアクセスポイント20からの通知(AP情報221,通信端末情報224)を受信したか否かを判定する。ここで、アクセスポイント20からの通知は、定期通知でも、接続、切断をトリガとした通知でもよい。ステップS304において、アクセスポイント20からの通知を受信したと判定すると、災害時通信端末情報生成部313は、AP情報221を取得し、ハードディスク320に格納されているAP情報325を更新する(ステップS306)。
【0068】
その後、災害時通信端末情報生成部313は、通信端末情報224を取得して、ハードディスク320に格納されている通信端末情報322を更新し(ステップS308)、更新されたAP情報325および通信端末情報322に基づいて、トレースログ情報324を更新する(ステップS310)。
【0069】
A−7.アクセスポイントにおける混雑度情報の作成処理:
管理サーバ30における混雑度地図情報326の作成処理の説明に先立って、アクセスポイント20における混雑度情報223の作成処理について説明する。
図8は、アクセスポイントにおける混雑度情報の作成処理の流れを示すフローチャートである。アクセスポイント20の情報管理部214は、災害モードが起動されると、接続済みデバイスリスト226(
図2)と周囲デバイスリスト227(
図2)を空にして、計測開始時間を現在時刻に設定して(ステップS202)、アイドル状態に移行する(ステップS204)。
【0070】
情報管理部214は、公衆無線LAN提供部212が、通信端末40からDisassociation RequestまたはDeauthentication Request(以下、「切断要求」と称する)を受信したか否かを判定する(ステップS206)。ステップS206において、切断要求を受信したと判定された場合、接続済みデバイスリスト226から、切断要求を送信した通信端末40を削除する(ステップS222)。
【0071】
ステップS206において切断要求を受信していないと判定された場合、情報管理部214は、接続済みの通信端末40をロスト(切断)したか否か判定する(ステップS208)。公衆無線LAN提供部212において、Disassociationフレームや、Deauthenticationフレームを送受信することなく、一定時間通信端末40との通信が発生しない場合には、ステップS208において接続済みの通信端末40がロストされたと判定される。ステップS208において接続済みの通信端末40がロストされたと判定されると、情報管理部214は、接続済みデバイスリスト226から、ロストした通信端末40を削除する(ステップS222)。さらに、アクセスポイント20が通信端末40へDisassociation Request又はDeauthentication Request(切断要求)を行って切断し、情報管理部214が、接続済みデバイスリスト226から、切断した通信端末40を削除してもよい。
【0072】
ステップS208において接続済み端末のロスト無しと判定された場合、情報管理部214は、公衆無線LAN提供部212が、通信端末40からAssociation RequestまたはAuthentication Request(以下、「接続要求」と称する)を受信したか否かを判定する(ステップS210)。
【0073】
ステップS210において、接続要求を受信したと判定されたら、情報管理部214は、接続可能か否かを判定する(ステップS212)。ステップ212において、接続可能と判定されたら、情報管理部214は、その接続要求を送信した通信端末40を接続済デバイスリストに追加する(ステップS224)。ステップS212において、「接続可能でない」と判断される場合は、例えば、アクセスポイント20が収容可能な通信端末数が既に収容されている場合、アクセスポイント20の自己診断による異常が発生している場合等である。アクセスポイント20に異常が発生している場合とは、有線通信インターフェースに通信異常が発生しているため無線通信インターフェース間の中継処理が行えない場合等が例示される。
【0074】
ステップS212において、接続不可能と判定された場合、情報管理部214は、その接続要求を送信した通信端末40が周囲デバイスリスト227に登録済みか否かを判定する(ステップS214)。ステップS214において、周囲デバイスリスト227に登録無しと判定された場合、情報管理部214は、その通信端末40を周囲デバイスリスト227に追加して(ステップS226)、ステップS216に進む。
【0075】
ステップS214において、周囲デバイスリスト227に登録済みと判定された場合は、情報管理部214は、計測時間から10分経過したか否かを判定する(ステップS216)。ステップS216において、10分経過したと判定された場合、情報管理部214は、混雑度情報を作成する(ステップS218)。
【0076】
混雑度は、下記の式により求められる。
混雑度=(周囲デバイスリスト数+接続済みデバイスリスト数)/最大接続数
周囲デバイスリスト227とは、アクセスポイント20の周辺に在り、アクセスポイント20と未接続の通信端末40のリストであり、接続済みリストとは、アクセスポイント20と接続済みの通信端末40のリストである。すなわち、周囲デバイスリスト数に接続済みデバイスリスト数を加えると、アクセスポイント20と接続可能な範囲に在る通信端末40の総数になる。最大接続数は、アクセスポイント20が同時に接続可能な通信端末40の数であり、アクセスポイント20毎に定められている。周囲デバイスリスト数に接続済みデバイスリスト数を加えた総数を、最大接続数で除することにより、アクセスポイント20の混雑度が算出できる。
【0077】
その後、情報管理部214は、周囲デバイスリスト=空リスト、計測開始時刻=現在時刻とし(ステップS220)、アイドル状態に移行する(ステップS204)。本実施形態では、アクセスポイント20から管理サーバ30への定期通知が、10分毎に行われるため、定期通知の間隔に合わせて、混雑度情報が10分ごとに生成される。混雑度情報が生成される時間間隔は、本実施形態に限定されず、適宜設定すればよい。例えば、5分毎,15分毎であってもよい。
【0078】
A−8.管理サーバにおける混雑度地図情報の作成:
図9は、通信端末の表示画面に表示される混雑度地図情報を示す図である。
図9は、
図1に示したアクセスポイント21,22,23の混雑度を表示する例を示している。管理サーバ30は、アクセスポイント21,22,23からの定期通知により、各アクセスポイントのAP情報221(混雑度情報223を含む)を受信する。災害時通信端末情報生成部313は、受信したAP情報221を解析し、ハードディスク320のAP情報325を更新する。混雑度地図情報生成部314は、AP情報325に含まれる各アクセスポイント21,22,23のAP情報325に基づいて、各アクセスポイント21,22,23の設置場所と混雑度を地図上に表示させるための混雑度地図情報を生成し、ハードディスク320に格納する。
【0079】
問合せ処理部311は、通信端末40から混雑度に関する問合せを受信すると、ハードディスク320に格納されている混雑度地図情報326を問合せを送信した通信端末40に送信する。通信端末40の表示画面には、例えば、
図9に示すような画像が表示される。通信端末40のユーザは、この画像を元に、混雑度の低いアクセスポイントへの接続を試みることができる。本実施形態において、管理サーバ30が混雑度の地図を生成して、その地図を表す情報を混雑度地図情報とし、通信端末40へ送信しているが、これに限定されない。例えば、管理サーバは、各アクセスポイント21,22,23の設置場所と混雑度を含む、混雑度の地図作成に必要な情報を混雑度地図情報とし、地図の生成は通信端末40において行われる構成にしてもよい。
【0080】
A−9.実施形態の効果:
本実施形態の無線接続装置(アクセスポイント20)によれば、災害時に公衆無線LANアクセスポイントとして機能するため、不特定の通信端末40が接続可能となり、災害時の通信網の混雑が緩和される。本実施形態のネットワークシステムによれば、災害時に、アクセスポイント20が、自身と無線接続可能な通信端末40の情報を取得して、管理サーバ30に定期通知し、管理サーバ30は、通知された情報をデータベースに格納する。そして、管理サーバ30は、通信端末40からの問合せに応じて、他の通信端末40の経路に関する経路情報328を作成して通信端末40に送信する。すなわち、本実施形態のネットワークシステムは、災害時に、被災者の所有する通信端末40の経路情報328を提供することにより、被災者の安否や所在の確認の一助となる。
【0081】
本実施形態のアクセスポイント20は、自身と無線接続した通信端末40の情報だけでなく、無線接続していなくても、プローブ要求や接続要求等の送信元の通信端末40に関する情報も、管理サーバ30に通知する。そのため、例えば、被災者が重傷、意識不明等により通信端末40をアクセスポイント20に接続する動作ができず、通信端末40がアクセスポイント20に接続されなくても、通信端末40の通信端末情報224が管理サーバ30に送信される。そのため、重傷、意識不明等の被災者であっても、所在を確認できる可能性を上げることができる。
【0082】
本実施形態のアクセスポイント20は、自身の混雑度を算出して管理サーバ30に送信し、管理サーバ30は、複数のアクセスポイント20から受信した混雑度情報に基づいて、複数のアクセスポイント20の混雑度を地図上に表すための混雑度地図情報を作成し、提供する。そのため、災害時に、空いているアクセスポイント20を容易に探すことができる。
【0083】
B.変形例:
本発明は、先述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、先述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、例えば次のような変形も可能である。
【0084】
B−1.変形例1:
上記実施形態において、通信端末40の位置としてアクセスポイント20の位置情報222を用いているが、通信端末40の備えるGPS機能により取得される位置情報を用いてもよい。このようにしても、通信端末40の位置を確認することができる。
【0085】
B−2.変形例2:
上記実施形態では、避難所に設置されたアクセスポイント21を介して、通信端末40をインターネットINTに接続し、インターネットINTを介して管理サーバ30に問合せする例を示したが、問合せは、避難所に設置されたアクセスポイント20を経由するものに限定されない。例えば、
図1に示す通信端末45のように、管理サーバ30と接続された他のネットワークNTを介して問合せを行ってもよい。被災地以外の場所にいる人が、他のネットワークを介して管理サーバに接続して、被災地にいる被災者の安否等を確認することができる。
【0086】
B−3.変形例3:
上記実施形態では、プローブ要求(Probe Request),接続要求(Association Request),切断要求(Disassociation Request)等の要求と、接続(Association),切断(Disassociation)等に基づいて通信端末情報224を生成する例を示したが、上記の一部の要求等に基づいて通信端末情報224を生成してもよいし、通信端末40から送信される他の情報も加えて通信端末情報224を生成してもよい。
【0087】
B−4.変形例4:
上記実施形態では、アクセスポイント21,22,23は避難所に設置されているが、アクセスポイントの設置場所は、避難所でなくてもよい。例えば、個人宅、会社等に設置されてもよい。個人宅、会社等に設置されているアクセスポイントが、災害時に公衆無線LANアクセスポイントとして開放されることにより、避難所に向かう途中等でも、通信端末がアクセスポイントと通信することが可能になるため、被災者が避難所にいない場合であっても、安否、所在の確認に資することができる。また、例えば、個人宅等避難所外にあるアクセスポイントを、避難所に移動して利用してもよい。
【0088】
B−5.変形例5:
上記実施形態では、災害として、地震、津波等の天災や火事等の人災を例示したが、これに限定されず、緊急時、戦争勃発時、警察、行政からの要請時、それらのテスト時等を災害時としてもよい。
【0089】
B−6.変形例6:
上記実施形態では、アクセスポイント20が自身の位置情報222を備える例を示したが、アクセスポイント20が位置情報222を備えない構成にしてもよい。例えば、管理サーバ30が、各アクセスポイント20の識別情報(MACアドレス)と、位置情報との対応表を備える構成にしてもよい。このようにしても、管理サーバ30は、各アクセスポイント20から受信したアクセスポイント20の識別情報と通信端末情報とに基づいて、トレース情報を作成することができる。
【0090】
B−7.変形例7:
上記実施形態において、経路情報328は、ハードディスク320に一時的に記憶されるが、これに限定されない。例えば、経路情報328は、RAM330を利用して作成され、一時的にも記憶されない構成であっても良い。