(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245062
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】電子装置システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20171204BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20171204BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M3/00 HZHV
B60L9/18 P
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-99484(P2014-99484)
(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公開番号】特開2015-216810(P2015-216810A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智貴
【審査官】
宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−304122(JP,A)
【文献】
特開2013−158174(JP,A)
【文献】
特開2009−027812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12、
7/00−13/00、
15/00−15/42
H02M3/00−3/44、
7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ(10)と、
前記バッテリに接続され、前記バッテリから電力を供給され、前記バッテリの電圧に応じて動作状態を変化させる複数の電子装置(11、13)と、
を備えた電子装置システムにおいて、
前記バッテリの電圧に基づいて複数の前記電子装置に対する指令を生成する制御装置(15)を有し、
少なくともいずれかの前記電子装置(11)は、前記バッテリの電圧を検出する電圧検出回路(111)を有し、
前記電圧検出回路を有してない前記電子装置(13)及び前記制御装置は、前記電圧検出回路を有している前記電子装置から前記バッテリの電圧に関する情報を取得することを特徴とする電子装置システム。
【請求項2】
複数の前記電子装置は、
前記バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換してモータに供給するインバータ装置(11)と、
前記バッテリから供給される直流電力を電圧の異なる直流電力に変換して出力するコンバータ装置(13)と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の電子装置システム。
【請求項3】
前記バッテリ、複数の前記電子装置及び前記制御装置は、車両に搭載されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから電力を供給され、バッテリの電圧に応じて動作状態を変化させる複数の電子装置とを備えた電子装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリと、バッテリから電力を供給され、バッテリの電圧に応じて動作状態を変化させる複数の電子装置とを備えた電子装置システムにとして、例えば以下に示す特許文献1に開示されている電気自動車制御システムがある。
【0003】
この電気自動車制御システムは、高電圧バッテリと、バッテリコントローラと、セルコントローラと、インバータ装置と、コンバータ装置とを備えている。
【0004】
高電圧バッテリは、インバータ装置及びコンバータ装置に直流電力を供給する充放電可能な高電圧のバッテリである。バッテリコントローラは、高電圧バッテリの電圧及び電流等に関する情報に基づいてバッテリを制御するための指令を算出する装置である。セルコントローラは、バッテリコントローラから入力される指令に基づいてバッテリを構成するセルの容量を調整する装置である。インバータ装置は、高電圧バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して車両走行のための駆動力を発生するモータに供給し、モータを制御する装置である。コンバータ装置は、高電圧バッテリから供給される直流電力を低電圧の直流電力に変換して低電圧バッテリに供給し、低電圧バッテリを充電する装置である。インバータ装置やコンバータ装置は、高電圧バッテリの電圧に基づいて制御され、高電圧バッテリの電圧に応じて動作状態を変化させる。そのため、インバータ装置やコンバータ装置は、高電圧バッテリの電圧を検出する電圧検出回路を備えている。しかも、インバータ装置やコンバータ装置は、それぞれ独立した装置であるため、一般的に、電圧検出回路をそれぞれ備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−100356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インバータ装置とコンバータ装置が、高電圧バッテリの電圧を検出する電圧検出回路をそれぞれ備えている場合、同一の機能を有する回路が重複して設けられることになる。そのため、電子装置システムのコストがアップしてしまう。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電圧検出回路の重複を抑えることができる電子装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明は、バッテリと、バッテリに接続され、バッテリから電力を供給され、バッテリの電圧に応じて動作状態を変化させる複数の電子装置と、を備えた電子装置システムにおいて、
バッテリの電圧に基づいて複数の電子装置に対する指令を生成する制御装置を有し、少なくともいずれかの電子装置は、バッテリの電圧を検出する電圧検出回路を有し、電圧検出回路を有してない電子装置
及び制御装置は、電圧検出回路を有している電子装置からバッテリの電圧に関する情報を取得することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電圧検出回路を有してない電子装置
及び制御装置は、電圧検出回路を有している電子装置からバッテリの電圧に関する情報を取得することができる。そのため、電子装置毎に電圧検出回路をそれぞれ設ける必要がない。従って、電圧検出回路の重複を抑えることができる。その結果、電子装置システムのコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における電子装置システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、
図1を参照して第1実施形態の電子装置システムの構成について説明する。
【0013】
図1に示す電子装置システム1は、ハイブリッド車両に搭載された複数の電子装置等からなるシステムである。電子装置システム1は、高電圧バッテリ10(バッテリ)と、インバータ装置11(電子装置)と、モータ12と、コンバータ装置13(電子装置)と、低電圧バッテリ14と、車両制御装置15とを備えている。
【0014】
高電圧バッテリ10は、ハイブリッド車両に搭載され、インバータ装置11及びコンバータ装置13に直流電力を供給するための充放電可能な高電圧のバッテリである。高電圧バッテリ10は、インバータ装置11及びコンバータ装置13に接続されている。
【0015】
インバータ装置11は、ハイブリッド車両に搭載され、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を昇圧した上で交流電力に変換してモータ12に供給し、モータ12を制御する装置である。インバータ装置11は、車両制御装置15から入力されるインバータ装置11に対する指令に基づいてモータ12を制御する。その際、高電圧バッテリ10の電圧に応じて動作状態を変化させる。具体的には、モータ12の制御状態を変化させる。インバータ装置11は、インバータ回路110と、電圧検出回路111と、制御回路112とを備えている。
【0016】
インバータ回路110は、制御回路112によって制御され、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を昇圧した上で交流電圧に変換してモータ12に供給する回路である。インバータ回路110は、高電圧バッテリ10、モータ12及び制御回路112に接続されている。
【0017】
電圧検出回路111は、高電圧バッテリ10の電圧を検出し、検出結果を制御回路112に出力する回路である。電圧検出回路111は、高電圧バッテリ10及び制御回路112に接続されている。
【0018】
制御回路112は、車両制御装置15から入力されるインバータ装置11に対する指令、及び、電圧検出回路111の検出結果に基づいてインバータ回路110を制御する回路である。また、電圧検出回路111の検出結果をデジタル値として車両制御装置15に通信によって伝える回路でもある。さらに、車両制御装置15から入力されるコンバータ装置13に対する指令、及び、電圧検出回路111の検出結果を、アナログ値又はデジタル値としてコンバータ装置13に直接伝える回路でもある。制御回路112は、電圧検出回路111及びインバータ回路110に接続されている。また、車両制御装置15及びコンバータ装置13に接続されている。
【0019】
モータ12は、ハイブリッド車両に搭載され、交流電力を供給されることで、車両走行のための駆動力を発生する機器である。モータ12は、インバータ回路110に接続されている。
【0020】
コンバータ装置13は、ハイブリッド車両に搭載され、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を、高電圧バッテリ10よりも低電圧の直流電力に変換して低電圧バッテリ14に供給し、低電圧バッテリ14を充電する装置である。コンバータ装置13は、制御回路112を介して車両制御装置15から入力されるコンバータ装置13に対する指令に基づいて、低電圧バッテリ14に供給する直流電力を制御する。その際、高電圧バッテリ10の電圧に応じて動作状態を変化させる。具体的には、制御状態を変化させる。コンバータ装置13は、コンバータ回路130と、制御回路131とを備えている。インバータ装置11と異なり、電圧検出回路は備えていない。
【0021】
コンバータ回路130は、制御回路131によって制御され、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を低電圧の直流電力に変換して低電圧バッテリ14に供給する回路である。コンバータ回路130は、高電圧バッテリ10、低電圧バッテリ14及び制御回路131に接続されている。
【0022】
制御回路131は、制御回路112を介して車両制御装置15から入力されるコンバータ装置13に対する指令、及び、制御回路112から取得した電圧検出回路111の検出結果、つまり高電圧バッテリ10の電圧に関する情報に基づいてコンバータ回路130を制御する回路である。制御回路131は、制御回路112及びコンバータ回路130に接続されている。
【0023】
低電圧バッテリ14は、ハイブリッド車両に搭載され、低電圧で動作する補機(図略)に直流電力を供給するための充放電可能な低電圧のバッテリである。低電圧バッテリ14は、コンバータ回路130に接続されている。
【0024】
車両制御装置15は、制御回路112から取得した電圧検出回路111の検出結果、つまり高電圧バッテリ10の電圧に関する情報、及び、その他の情報に基づいて、インバータ装置11及びコンバータ装置13に対する指令を生成し、制御回路112に通信によって伝える装置である。車両制御装置15は、制御回路112に接続されている。
【0025】
次に、
図1を参照して第1実施形態の電子装置システムの動作について説明する。
【0026】
図1に示す電圧検出回路111は、高電圧バッテリ10の電圧を検出し、検出結果を制御回路112に出力する。制御回路112は、電圧検出回路111の検出結果をデジタル値として車両制御装置15に通信によって伝える。
【0027】
車両制御装置15は、制御回路112から取得した高電圧バッテリ10の電圧に関する情報、及び、その他の情報に基づいて、インバータ装置11及びコンバータ装置13に対する指令を生成し、制御回路112に通信によって伝える。
【0028】
制御回路112は、車両制御装置15から入力されるインバータ装置11に対する指令、及び、電圧検出回路111の検出結果に基づいてインバータ回路110を制御する。インバータ回路110は、制御回路112によって制御され、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を昇圧した上で交流電圧に変換してモータ12に供給する。その結果、モータ12が車両走行のための駆動力を発生する。
【0029】
一方、制御回路112は、車両制御装置15から入力されるコンバータ装置13に対する指令、及び、電圧検出回路111の検出結果を、アナログ値又はデジタル値として制御回路131に直接伝える。
【0030】
制御回路131は、制御回路112を介して車両制御装置15から入力されるコンバータ装置13に対する指令、及び、制御回路112から取得した高電圧バッテリ10の電圧に関する情報に基づいてコンバータ回路130を制御する。コンバータ回路130は、制御回路131によって制御され、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を低電圧の直流電力に変換して低電圧バッテリ14に供給する。その結果、低電圧バッテリ14が充電される。
【0031】
次に、第1実施形態の電子装置システムの効果について説明する。
【0032】
第1実施形態によれば、電子装置システム1は、複数の電子装置等からなるシステムである。電子装置システム1は、高電圧バッテリ10と、高電圧バッテリ10に接続され、高電圧バッテリ10から電力を供給され、高電圧バッテリ10の電圧に応じて動作状態を変化させる2つの電子装置と
、高圧バッテリ10の電圧に基づいて2つの電子装置に対する指令を生成する車両用制御装置15とを備えている。2つ
の電子装置は、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ12に供給するインバータ装置11と、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を電圧の異なる直流電力に変換して出力するコンバータ装置13である。2つの電子装置のうち、インバータ装置11だけが、高電圧バッテリ10の電圧を検出する電圧検出回路111を有している。そして、電圧検出回路を有していないコンバータ装置13
及び車両用制御装置15は、電圧検出回路111を有しているインバータ装置11から高電圧バッテリ10の電圧に関する情報を取得する。そのため、従来のように、電子装置毎に電圧検出回路をそれぞれ設ける必要がない。従って、電圧検出回路の重複を抑えることができる。その結果、電子装置システム1のコストを抑えることができる。
【0033】
第1実施形態によれば、高電圧バッテリ10、インバータ装置11
、コンバータ装置13
及び車両制御装置15は、ハイブリッド車両に搭載されている。そのため、車両に搭載される電子装置システム1において、電圧検出回路の重複を抑えることができる。その結果、車両に搭載される電子装置システム1のコストを抑えることができる。また、小型化が可能となり、スペースの制約がある車両にも搭載しやすくなる。
【0034】
なお、第1実施形態では、電子装置システム1が、2つの電子装置、具体的にはインバータ装置11とコンバータ装置13を備えている例を挙げているが、これに限られるものではない。電子装置システムは、3つ以上の電子装置を備えていてもよい。この場合、少なくともいずれかの電子装置は、高電圧バッテリの電圧を検出する電圧検出回路を有し、電圧検出回路を有していない電子装置は、電圧検出回路を有している電子装置から高電圧バッテリ電圧に関する情報を取得するようにすればよい。
【0035】
また、第1実施形態では、インバータ装置11が、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を昇圧した上で交流電力に変換してモータ12に供給する例を挙げているが、これに限られるものではない。インバータ装置11は、高電圧バッテリ10から供給される直流電力を昇圧せずに交流電力に変換してモータ12に供給するものであってもよい。
【0036】
さらに、第1実施形態では、電圧検出回路111の検出結果を、制御回路112から制御回路131に直接伝える例を挙げているが、これに限られるものではない。通信によって伝えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1・・・電子装置システム、10・・・高電圧バッテリ(バッテリ)、11・・・インバータ装置(電子装置)、110・・・インバータ回路、111・・・電圧検出回路、112・・・制御回路、12・・・モータ、13・・・コンバータ装置(電子装置)、130・・・コンバータ回路、131・・・制御回路、14・・・低電圧バッテリ、15・・・車両制御装置