(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の可変容量は、前記クロックノードに接続される配線と前記第1の入力ノードに接続される配線との間の距離を変えることにより、前記クロックノードに接続される配線と前記第1の入力ノードに接続される配線との間の寄生容量を変化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンパレータシステム。
さらに、キャリブレーションモードでは、前記第1の入力ノードに第1の基準電圧を入力し、前記第2の入力ノードに第2の基準電圧を入力した場合に、前記第1の可変容量の容量値を変化させ、前記コンパレータの出力信号の論理が反転する境界の前記第1の可変容量の容量値を検出し、動作モードでは、前記検出した前記第1の可変容量の容量値を維持するコントローラを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンパレータシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態によるコンパレータシステムの構成例を示す図である。コンパレータシステムは、コンパレータ101、ラッチ回路102、閾値コントローラ103、第1の抵抗104p、第2の抵抗104n、第1の可変容量105p、及び第2の可変容量105nを有する。コンパレータシステムは、クロックノードCLKに供給されるクロック信号に同期して、第3の入力ノードVIPの信号及び第4の入力ノードVINの信号を比較し、比較結果の信号を出力ノードDOから出力する。
【0010】
クロックノードCLKは、クロック信号を供給するノードである。第3の入力ノードVIPには、第1の入力信号が入力される。第4の入力ノードVINには、第2の入力信号が入力される。第1の抵抗104pは、例えば配線抵抗であり、第1の入力ノードVP及び第3の入力ノードVIP間に接続される。第2の抵抗104nは、例えば配線抵抗であり、第2の入力ノードVN及び第4の入力ノードVIN間に接続される。第1の可変容量105pは、第1の入力ノードVP及びクロックノードCLK間に接続される。第2の可変容量105nは、第2の入力ノードVN及びクロックノードCLK間に接続される。可変容量105p及び105nは、バラクタダイオードを用いることができる。抵抗104p及び104nは、削除可能である。ただし、抵抗104p,104n及び可変容量105p,105nにより、RC時定数を調整可能である。コンパレータ101は、正極入力端子が第1の入力ノードVPに接続され、負極入力端子が第2の入力ノードVNに接続され、クロック端子がクロックノードCLKに接続され、正極出力端子が第1の出力ノードVOPに接続され、負極出力端子が第2の出力ノードVONに接続される。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号に同期して、第1の入力ノードVPの信号及び第2の入力ノードVNの信号を比較し、比較結果の信号を第1の出力ノードVOP及び第2の出力ノードVONに出力する。第1の出力ノードVOP及び第2の出力ノードVONには、相互に論理反転した信号が出力される。具体的には、コンパレータ101は、第1の入力ノードVPの信号が第2の入力ノードVNの信号より大きい場合には、第1の出力ノードVOPにハイレベルを出力し、第2の出力ノードVONにローレベルを出力する。逆に、コンパレータ101は、第1の入力ノードVPの信号が第2の入力ノードVNの信号より小さい場合には、第1の出力ノードVOPにローレベルを出力し、第2の出力ノードVONにハイレベルを出力する。ラッチ回路102は、クロックノードCLKのクロック信号に同期して、第1の出力ノードVOPの信号が第2の出力ノードVONの信号より大きい場合にはハイレベルをラッチし、第1の出力ノードVOPの信号が第2の出力ノードVONの信号より小さい場合にはローレベルをラッチし、ラッチした信号の出力ノードDOへの出力を維持する。閾値コントローラ103は、出力ノードDOの信号に応じて、複数ビット制御信号DIP[n]を第1の可変容量105pに出力し、複数ビット制御信号DIN[n]を第2の可変容量105nに出力する。第1の可変容量105pは、複数ビット制御信号DIP[n]に応じて、容量値が変化する。第2の可変容量105nは、複数ビット制御信号DIN[n]に応じて、容量値が変化する。
【0011】
第1の可変容量105p又は第2の可変容量105nの容量値を変えることにより、コンパレータシステムの閾値を設定することができる。コンパレータシステムの閾値が0Vの場合、コンパレータシステムは、第3の入力ノードVIPの入力電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より高い場合には、出力ノードDOにハイレベルを出力し、第3の入力ノードVIPの入力電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より低い場合には、出力ノードDOにローレベルを出力する。
【0012】
また、コンパレータシステムの閾値が−10mVの場合、コンパレータシステムは、第3の入力ノードVIPの入力電圧に−10mVを加算した電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より高い場合には、出力ノードDOにハイレベルを出力し、第3の入力ノードVIPの入力電圧に−10mVを加算した電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より低い場合には、出力ノードDOにローレベルを出力する。
【0013】
また、コンパレータシステムの閾値が+10mVの場合、コンパレータシステムは、第3の入力ノードVIPの入力電圧に+10mVを加算した電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より高い場合には、出力ノードDOにハイレベルを出力し、第3の入力ノードVIPの入力電圧に+10mVを加算した電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より低い場合には、出力ノードDOにローレベルを出力する。
【0014】
図2は、
図1の第1の可変容量105p及び第2の可変容量105nの構成例を示す図である。第1の可変容量105pは、スイッチ202p及び容量201pの複数の直列接続回路を有する。スイッチ202p及び容量201pの複数の直列接続回路は、クロックノードCLK及び第1の入力ノードVP間に並列に接続される。複数のスイッチ202pは、複数ビット制御信号DIP[n]によりオン/オフが制御される。複数のスイッチ202pのうち、オンするスイッチの数が多い場合には、第1の可変容量105pの容量値が大きくなり、オンするスイッチの数が少ない場合には、第1の可変容量105pの容量値が小さくなる。複数の容量201pは、すべて同じ容量値であってもよいし、1倍、2倍、4倍、8倍等のように2のべき乗の容量値にしてもよい。
【0015】
第2の可変容量105nは、スイッチ202n及び容量201nの複数の直列接続回路を有する。スイッチ202n及び容量201nの複数の直列接続回路は、クロックノードCLK及び第2の入力ノードVN間に並列に接続される。複数のスイッチ202nは、複数ビット制御信号DIN[n]によりオン/オフが制御される。複数のスイッチ202nのうち、オンするスイッチの数が多い場合には、第2の可変容量105nの容量値が大きくなり、オンするスイッチの数が少ない場合には、第2の可変容量105nの容量値が小さくなる。複数の容量201nは、すべて同じ容量値であってもよいし、1倍、2倍、4倍、8倍等のように2のべき乗の容量値にしてもよい。
【0016】
図3は、
図1のコンパレータ101の構成例を示す図である。pチャネル電界効果トランジスタ301は、ソースが電源電位ノードAVDに接続され、ゲートが第1の出力ノードVOPに接続され、ドレインが第2の出力ノードVONに接続される。pチャネル電界効果トランジスタ302は、ソースが電源電位ノードAVDに接続され、ゲートが第2の出力ノードVONに接続され、ドレインが第1の出力ノードVOPに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ303は、ドレインが第2の出力ノードVONに接続され、ゲートが第1の出力ノードVOPに接続され、ソースがノードDNに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ304は、ドレインが第1の出力ノードVOPに接続され、ゲートが第2の出力ノードVONに接続され、ソースがノードDPに接続される。nチャネル電界効果トランジスタ305は、ドレインがノードDNに接続され、ゲートが第1の入力ノードVPに接続され、ソースがノードN1に接続される。nチャネル電界効果トランジスタ306は、ドレインがノードDPに接続され、ゲートが第2の入力ノードVNに接続され、ソースがノードN1に接続される。スイッチ307は、ノードN1及びグランド電位ノード間に接続され、クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの場合にはオンし、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの場合にはオフする。
【0017】
クロック信号XCLKは、クロックノードCLKのクロック信号の論理反転信号を示す。スイッチ308は、電源電位ノードAVD及び第2の出力ノードVON間に接続され、クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの場合にオフし、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの場合にオンする。スイッチ309は、電源電位ノードAVD及びノードDN間に接続され、クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの場合にオフし、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの場合にオンする。スイッチ310は、電源電位ノードAVD及びノードDP間に接続され、クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの場合にオフし、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの場合にオンする。スイッチ311は、電源電位ノードAVD及び第1の出力ノードVOP間に接続され、クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの場合にオフし、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの場合にオンする。
【0018】
クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの期間では、第1の入力ノードVPの電圧が第2の入力ノードVNの電圧より高い場合には、第1の出力ノードVOPがハイレベルになり、第2の出力ノードVONがローレベルになり、第1の入力ノードVPの電圧が第2の入力ノードVNの電圧より低い場合には、第1の出力ノードVOPがローレベルになり、第2の出力ノードVONがハイレベルになる。これに対し、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの期間では、第1の出力ノードVOP及び第2の出力ノードVONはハイレベルに固定される。
【0019】
なお、
図4〜
図6では、コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの期間では、第1の出力ノードVOP及び第2の出力ノードVONをローレベルに固定する例を示す。
【0020】
コンパレータ101には、トランジスタのばらつきやレイアウトの非対称性などにより、オフセット電圧が存在し、回路動作に悪影響を及ぼす。そこで、閾値を設定することにより、オフセット電圧を補正することができる。また、参照電圧を生成せずに、コンパレータの閾値を設定可能にすることが望まれている。
【0021】
以下、コンパレータシステムの処理方法を説明する。まず、
図4又は
図5のキャリブレーションモードでは、コンパレータシステムは、第1の可変容量105p及び第2の可変容量105nの設定処理を行う。その後、
図6の動作モードでは、コンパレータシステムは、通常のコンパレータ動作を行う。
【0022】
図4は、負の閾値を設定する場合のコンパレータシステムのキャリブレーションモードの処理方法を示すタイミングチャートである。第3の入力ノードVIPには、第1の基準電圧(例えば450mV)を入力する。第4の入力ノードVINには、第2の基準電圧(例えば460mV)を入力する。第1の基準電圧(例えば450mV)は、第2の基準電圧(例えば460mV)に負の閾値(例えば−10mV)を加算した電圧である。期間T1〜T5では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIN[n]により、複数のスイッチ202nのうちのすべてのスイッチをオフにする。
【0023】
期間T1では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIP[n]により、複数のスイッチ202pのうちのすべてのスイッチをオフにする。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より低いので、第1の出力ノードVOPにローレベルを出力し、第2の出力ノードVONにハイレベルを出力する。ラッチ回路102は、ローレベルをラッチし、ローレベルを出力ノードDOに出力する。
【0024】
次に、期間T2では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIP[n]により、複数のスイッチ202pのうちの1個のスイッチのみをオンにする。入力ノードVIP(VP)は、第1の可変容量105pを介してクロックノードCLKに接続されているため、クロックノードCLKのクロック信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの変化分が、入力ノードVIP(VP)にインパルス状の信号として伝達される。ただし、第1の可変容量105pの容量値が小さいので、入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号は小さい。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より低いので、第1の出力ノードVOPにローレベルを出力し、第2の出力ノードVONにハイレベルを出力する。ラッチ回路102は、ローレベルをラッチし、ローレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はローレベルを維持しているので、次の期間T3の処理に遷移する。
【0025】
期間T3では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIP[n]により、複数のスイッチ202pのうちの2個のスイッチのみをオンにする。期間T3の第1の可変容量105pの容量値は、期間T2の第1の可変容量105pの容量値より大きくなる。それにより、期間T3の入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号は、期間T2の入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号より大きくなる。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より低いので、第1の出力ノードVOPにローレベルを出力し、第2の出力ノードVONにハイレベルを出力する。ラッチ回路102は、ローレベルをラッチし、ローレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はローレベルを維持しているので、次の期間T4の処理に遷移する。
【0026】
期間T4では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIP[n]により、複数のスイッチ202pのうちの3個のスイッチのみをオンにする。期間T4の第1の可変容量105pの容量値は、期間T3の第1の可変容量105pの容量値より大きくなる。それにより、期間T4の入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号は、期間T3の入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号より大きくなる。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より低いので、第1の出力ノードVOPにローレベルを出力し、第2の出力ノードVONにハイレベルを出力する。ラッチ回路102は、ローレベルをラッチし、ローレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はローレベルを維持しているので、次の期間T5の処理に遷移する。
【0027】
期間T5では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIP[n]により、複数のスイッチ202pのうちの4個のスイッチのみをオンにする。期間T5の第1の可変容量105pの容量値は、期間T4の第1の可変容量105pの容量値より大きくなる。それにより、期間T5の入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号は、期間T4の入力ノードVIP(VP)のインパルス状の信号より大きくなる。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より高いので、第1の出力ノードVOPにハイレベルを出力し、第2の出力ノードVONにローレベルを出力する。ラッチ回路102は、ハイレベルをラッチし、ハイレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はローレベルからハイレベルに反転したので、閾値コントローラ103は、期間T5の複数ビット制御信号DIP[n]及びDIN[n]を記憶して維持する。これにより、第1の可変容量105pの容量値が設定され、負の閾値(例えば−10mV)が設定される。以上で、キャリブレーションモードを終了し、
図6の動作モードに移行する。
【0028】
図5は、正の閾値を設定する場合のコンパレータシステムのキャリブレーションモードの処理方法を示すタイミングチャートである。第3の入力ノードVIPには、第1の基準電圧(例えば460mV)を入力する。第4の入力ノードVINには、第2の基準電圧(例えば450mV)を入力する。第1の基準電圧(例えば460mV)は、第2の基準電圧(例えば450mV)に正の閾値(例えば+10mV)を加算した電圧である。期間T1〜T5では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIP[n]により、複数のスイッチ202pのうちのすべてのスイッチをオフにする。
【0029】
期間T1では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIN[n]により、複数のスイッチ202nのうちのすべてのスイッチをオフにする。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より高いので、第1の出力ノードVOPにハイレベルを出力し、第2の出力ノードVONにローレベルを出力する。ラッチ回路102は、ハイレベルをラッチし、ハイレベルを出力ノードDOに出力する。
【0030】
次に、期間T2では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIN[n]により、複数のスイッチ202nのうちの1個のスイッチのみをオンにする。入力ノードVIN(VN)は、第2の可変容量105nを介してクロックノードCLKに接続されているため、クロックノードCLKのクロック信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの変化分が、入力ノードVIN(VN)にインパルス状の信号として伝達される。ただし、第2の可変容量105nの容量値が小さいので、入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号は小さい。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より高いので、第1の出力ノードVOPにハイレベルを出力し、第2の出力ノードVONにローレベルを出力する。ラッチ回路102は、ハイレベルをラッチし、ハイレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はハイレベルを維持しているので、次の期間T3の処理に遷移する。
【0031】
期間T3では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIN[n]により、複数のスイッチ202nのうちの2個のスイッチのみをオンにする。期間T3の第2の可変容量105nの容量値は、期間T2の第2の可変容量105nの容量値より大きくなる。それにより、期間T3の入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号は、期間T2の入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号より大きくなる。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より高いので、第1の出力ノードVOPにハイレベルを出力し、第2の出力ノードVONにローレベルを出力する。ラッチ回路102は、ハイレベルをラッチし、ハイレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はハイレベルを維持しているので、次の期間T4の処理に遷移する。
【0032】
期間T4では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIN[n]により、複数のスイッチ202nのうちの3個のスイッチのみをオンにする。期間T4の第2の可変容量105nの容量値は、期間T3の第2の可変容量105nの容量値より大きくなる。それにより、期間T4の入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号は、期間T3の入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号より大きくなる。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より高いので、第1の出力ノードVOPにハイレベルを出力し、第2の出力ノードVONにローレベルを出力する。ラッチ回路102は、ハイレベルをラッチし、ハイレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はハイレベルを維持しているので、次の期間T5の処理に遷移する。
【0033】
期間T5では、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号DIN[n]により、複数のスイッチ202nのうちの4個のスイッチのみをオンにする。期間T5の第2の可変容量105nの容量値は、期間T4の第2の可変容量105nの容量値より大きくなる。それにより、期間T5の入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号は、期間T4の入力ノードVIN(VN)のインパルス状の信号より大きくなる。コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間では、入力ノードVIP(VP)の電圧が入力ノードVIN(VN)の電圧より低いので、第1の出力ノードVOPにローレベルを出力し、第2の出力ノードVONにハイレベルを出力する。ラッチ回路102は、ローレベルをラッチし、ローレベルを出力ノードDOに出力する。出力ノードDOの信号はハイレベルからローレベルに反転したので、閾値コントローラ103は、期間T5の複数ビット制御信号DIN[n]及びDIP[n]を記憶して維持する。これにより、第2の可変容量105nの容量値が設定され、正の閾値(例えば+10mV)が設定される。以上で、キャリブレーションモードを終了し、動作モード(
図6)に移行する。
【0034】
図6は、閾値が設定されたコンパレータシステムの動作モードの処理方法を示すタイミングチャートである。
図4のキャリブレーションモードの処理により、負の閾値(例えば−10mV)が設定された後の動作モードの処理を示す。クロックノードCLKには、5GHzのクロック信号が供給される。第3の入力ノードVIP及び第4の入力ノードVINには、位相が異なる200MHzの正弦波信号が入力される例を示し、その正弦波信号は、ピークトゥピーク値が30mVであり、直流成分が450mVである。
【0035】
第3の入力ノードVIPの入力電圧に閾値(−10mV)を加算した電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より高い期間では、コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間に、ハイレベルを第1の出力ノードVOPに出力し、ローレベルを第2の出力ノードVONに出力する。その場合、ラッチ回路102は、ハイレベルをラッチし、ハイレベルを出力ノードDOに出力する。
【0036】
また、第3の入力ノードVIPの入力電圧に閾値(−10mV)を加算した電圧が第4の入力ノードVINの入力電圧より低い期間では、コンパレータ101は、クロックノードCLKのクロック信号のハイレベル期間に、ローレベルを第1の出力ノードVOPに出力し、ハイレベルを第2の出力ノードVONに出力する。その場合、ラッチ回路102は、ローレベルをラッチし、ローレベルを出力ノードDOに出力する。
【0037】
以上のように、閾値コントローラ103は、
図4のキャリブレーションモードでは、入力ノードVIP(VP)に第1の基準電圧を入力し、入力ノードVIN(VN)に第1の基準電圧より高い第2の基準電圧を入力した場合に、第1の可変容量105pの容量値を変化させ、コンパレータ101の出力信号の論理が反転する境界の第1の可変容量105pの容量値を検出する。その後、閾値コントローラ103は、
図6の動作モードでは、検出した第1の可変容量105pの容量値を維持することにより、コンパレータシステムに負の閾値を設定する。
【0038】
また、閾値コントローラ103は、
図5のキャリブレーションモードでは、入力ノードVIP(VP)に第1の基準電圧を入力し、入力ノードVIN(VN)に第1の基準電圧より低い第2の基準電圧を入力した場合に、第2の可変容量105nの容量値を変化させ、コンパレータ101の出力信号の論理が反転する境界の第2の可変容量105nの容量値を検出する。その後、閾値コントローラ103は、動作モード(
図6)では、検出した第2の可変容量105nの容量値を維持することにより、コンパレータシステムに正の閾値を設定する。
【0039】
本実施形態では、第1の可変容量105pを制御することにより負の閾値を設定し、第2の可変容量105nを制御することにより正の閾値を設定する。したがって、負の閾値のみを設定する場合には、第1の可変容量105pを制御すればよいので、第2の可変容量105nを削除してもよい。逆に、正の閾値のみを設定する場合には、第2の可変容量105nを制御すればよいので、第1の可変容量105pを削除してもよい。
【0040】
本実施形態では、第1の可変容量105p又は第2の可変容量105nの容量値を変えることにより、コンパレータシステムの閾値を設定することができる。また、第1の可変容量105p及び第2の可変容量105nは、コンパレータ101の負荷に影響を与えないため、コンパレータ101の動作速度を高速化することができる。以下、本実施形態のコンパレータシステムが高速動作する理由を説明するため、
図7のコンパレータを説明する。
【0041】
図7は、閾値を設定可能なコンパレータの構成例を示す図である。
図7のコンパレータは、
図3のコンパレータ101に対して、閾値コントローラ701、複数のスイッチ702p、複数のnチャネル電界効果トランジスタ703p、複数のスイッチ704p、複数のスイッチ702n、複数のnチャネル電界効果トランジスタ703n、及び複数のスイッチ704nを追加したものである。閾値コントローラ701は、複数ビット制御信号SWP[n]により、複数のスイッチ702pのオン/オフを制御し、複数ビット制御信号SWN[n]により、複数のスイッチ702nのオン/オフを制御する。スイッチ704p及び704nは、クロックノードCLKのクロック信号がハイレベルの場合にはオンし、クロックノードCLKのクロック信号がローレベルの場合にはオフする。
【0042】
閾値コントローラ701は、複数のスイッチ702pのうちのオンするスイッチ数、又は複数のスイッチ702nのうちのオンするスイッチ数を制御することにより、閾値を設定することができる。第1の出力ノードVOPに接続されたnチャネル電界効果トランジスタ703pは、第2の入力ノードVNの入力電圧に応じて、第1の出力ノードVOPの電荷をグランド電位ノードに引き抜く。また、第2の出力ノードVONに接続されたnチャネル電界効果トランジスタ703nは、第1の入力ノードVPの入力電圧に応じて、第2の出力ノードVONの電荷をグランド電位ノードに引き抜く。閾値コントローラ701がオンするスイッチ702pの数又はオンするスイッチ702nの数を制御することにより、引き抜く電荷量が変化し、閾値を変えることができる。
【0043】
しかし、nチャネル電界効果トランジスタ703pのゲートはノードDPに接続され、nチャネル電界効果トランジスタ703nのゲートはノードDNに接続されているので、nチャネル電界効果トランジスタ703p及び703nのゲート容量がコンパレータの容量負荷になり、コンパレータの動作速度が低下する。また、スイッチ702p及び702nは、それぞれ、出力ノードVOP及びVONの負荷容量となる。また、コンパレータ内の素子やノード数が増加するので、レイアウトによる寄生容量が増加する。その結果、コンパレータの動作速度が低下する。
【0044】
これに対し、本実施形態(
図1)では、第1の可変容量105p及び第2の可変容量105nは、それぞれ、第1の入力ノードVP及び第2の入力ノードVNに接続され、コンパレータ101の負荷に影響を与えないため、コンパレータ101の動作速度を高速化することができる。
【0045】
図8は、他の実施形態によるコンパレータシステムの構成例を示す図である。
図1では、第1の可変容量105p、第2の可変容量105n、コンパレータ101及びラッチ回路102は、同一のクロックノードCLKに接続される場合を例に示した。
図8では、第1の可変容量105pは第1のクロックノードCLK1に接続され、第2の可変容量105nは第2のクロックノードCLK2に接続され、コンパレータ101及びラッチ回路102は第3のクロックノードCLK3に接続される。以下、
図8が
図1と異なる点を説明する。第1の可変容量105pは、第1のクロックノードCLK1及び第1の入力ノードVP間に接続される。第2の可変容量105nは、第2のクロックノードCLK2及び第2の入力ノードVN間に接続される。コンパレータ101のクロック端子及びラッチ回路102のクロック端子は、第3のクロックノードCLK3に接続される。クロックバッファB1は、入力端子がクロックノードCLKに接続され、出力端子が第1のクロックノードCLK1に接続される。クロックバッファB2は、入力端子がクロックノードCLKに接続され、出力端子が第2のクロックノードCLK2に接続される。クロックバッファB3は、入力端子がクロックノードCLKに接続され、出力端子が第3のクロックノードCLK3に接続される。クロックバッファB1〜B3は、クロックノードCLK1〜CLK3のクロック信号の位相を同一にするため、波形整形又は増幅等のために設けられる。クロック信号の位相を調整する場合、クロックノードCLK1〜CLK3のそれぞれに接続されるクロックバッファの数は、異なる場合もある。なお、クロックノードCLK1及びCLK2を共通にしてもよいし、クロックノードCLK1及びCLK3を共通にしてもよいし、クロックノードCLK2及びCLK3を共通にしてもよい。
【0046】
図9は、
図1の第1の可変容量105p及び第2の可変容量105nの他の構成例を示す図である。以下、
図9が
図1と異なる点を説明する。2個のスイッチ901の間に接続される配線は、第1の入力ノードVPに近い配線であり、2個のスイッチ901により、クロックノードCLKと、コンパレータ101及びラッチ回路102との間に接続される。2個のスイッチ903の間に接続される配線は、第1の入力ノードVPから遠い配線であり、2個のスイッチ903により、クロックノードCLKと、コンパレータ101及びラッチ回路102との間に接続される。2個のスイッチ902の間に接続される配線は、第1の入力ノードVPに対して中間距離の配線であり、2個のスイッチ902により、クロックノードCLKと、コンパレータ101及びラッチ回路102との間に接続される。
【0047】
2個のスイッチ911の間に接続される配線は、クロックノードCLKに近い配線であり、配線抵抗104pを有し、2個のスイッチ911により、第3の入力ノードVIPと第1の入力ノードVPとの間に接続される。2個のスイッチ912の間に接続される配線は、クロックノードCLKから遠い配線であり、配線抵抗104pを有し、2個のスイッチ912により、第3の入力ノードVIPと第1の入力ノードVPとの間に接続される。
【0048】
2個のスイッチ931の間に接続される配線は、第2の入力ノードVNに近い配線である。2個のスイッチ933の間に接続される配線は、第2の入力ノードVNから遠い配線である。2個のスイッチ932の間に接続される配線は、第2の入力ノードVNに対して中間距離の配線である。
【0049】
2個のスイッチ921の間に接続される配線は、クロックノードCLKに近い配線であり、配線抵抗104nを有し、2個のスイッチ921により、第4の入力ノードVINと第2の入力ノードVNとの間に接続される。2個のスイッチ922の間に接続される配線は、クロックノードCLKから遠い配線であり、配線抵抗104nを有し、2個のスイッチ922により、第4の入力ノードVINと第2の入力ノードVNとの間に接続される。
【0050】
閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号D[n]により、2個のスイッチ901及び2個のスイッチ911をオンにし、その他のスイッチをオフにすると、2個のスイッチ901間の配線がクロックノードCLKに接続され、2個のスイッチ911間の配線が入力ノードVIP及びVP間に接続される。2個のスイッチ901間の配線と2個のスイッチ911間の配線との間には、寄生容量C1が存在する。寄生容量C1は、
図1の第1の可変容量105pに対応する。2個のスイッチ901間の配線と2個のスイッチ911間の配線との間の距離は近いので、寄生容量C1の容量値は比較的大きい。すなわち、第1の可変容量105pの容量値を大きくすることができる。
【0051】
また、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号D[n]により、2個のスイッチ903及び2個のスイッチ912をオンにし、その他のスイッチをオフにすると、2個のスイッチ903間の配線がクロックノードCLKに接続され、2個のスイッチ912間の配線が入力ノードVIP及びVP間に接続される。2個のスイッチ903間の配線と2個のスイッチ912間の配線との間には、寄生容量C2が存在する。寄生容量C2は、
図1の第1の可変容量105pに対応する。2個のスイッチ903間の配線と2個のスイッチ912間の配線との間の距離は遠いので、寄生容量C2の容量値は比較的小さい。すなわち、第1の可変容量105pの容量値を小さくすることができる。以上のように、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号D[n]によりスイッチ901〜903、911及び912を制御することにより、第1の可変容量105pの容量値を変えることができる。
【0052】
また、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号D[n]により、2個のスイッチ931及び2個のスイッチ921をオンにし、その他のスイッチをオフにすると、2個のスイッチ931間の配線がクロックノードCLKに接続され、2個のスイッチ921間の配線が入力ノードVIN及びVN間に接続される。2個のスイッチ931間の配線と2個のスイッチ921間の配線との間には、寄生容量C11が存在する。寄生容量C11は、
図1の第2の可変容量105nに対応する。2個のスイッチ931間の配線と2個のスイッチ921間の配線との間の距離は近いので、寄生容量C11の容量値は比較的大きい。すなわち、第2の可変容量105nの容量値を大きくすることができる。
【0053】
また、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号D[n]により、2個のスイッチ933及び2個のスイッチ922をオンにし、その他のスイッチをオフにすると、2個のスイッチ933間の配線がクロックノードCLKに接続され、2個のスイッチ922間の配線が入力ノードVIN及びVN間に接続される。2個のスイッチ933間の配線と2個のスイッチ922間の配線との間には、寄生容量C12が存在する。寄生容量C12は、
図1の第2の可変容量105nに対応する。2個のスイッチ933間の配線と2個のスイッチ922間の配線との間の距離は遠いので、寄生容量C12の容量値は比較的小さい。すなわち、第2の可変容量105nの容量値を小さくすることができる。以上のように、閾値コントローラ103は、複数ビット制御信号D[n]によりスイッチ921、922、931〜933を制御することにより、第2の可変容量105nの容量値を変えることができる。
【0054】
以上のように、第1の可変容量105pは、クロックノードCLKに接続される配線と第1の入力ノードVPに接続される配線との間の距離を変えることにより、クロックノードCLKに接続される配線と第1の入力ノードVPに接続される配線との間の寄生容量を変化させる。また、第2の可変容量105nは、クロックノードCLKに接続される配線と第2の入力ノードVNに接続される配線との間の距離を変えることにより、クロックノードCLKに接続される配線と第2の入力ノードVNに接続される配線との間の寄生容量を変化させる。
【0055】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。