(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
<印刷システム1>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る印刷システム1は、携帯端末10及び画像形成装置20を備える。携帯端末10及び画像形成装置20は、Bluetooth(登録商標)の近距離無線通信規格に従って通信可能である。なお、携帯端末10及び画像形成装置20は、無線LAN規格などの他の通信規格に従ってネットワークを介して通信可能であってもよい。
【0012】
<携帯端末10>
携帯端末10は、
図1に示すように、制御部11、記憶部12、操作表示部13、通信部14、及び動作検出センサー15などを備える。携帯端末10は、ユーザーによって持ち運ばれる移動通信端末であって、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、又はPDA等である。
【0013】
制御部11は、不図示のCPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を備え、ROMに記憶されている制御プログラムをCPUを用いて実行することにより、携帯端末10の動作を制御する。なお、制御部11は、集積回路(ASIC)などの電子回路であってもよい。
【0014】
記憶部12は、フラッシュメモリー等の不揮発性の記憶部であり、制御部11は、記憶部12に対する情報の読み書きが可能である。具体的に、記憶部12には、制御部11によって実行される各種の制御プログラムが記憶される。また、記憶部12には、画像形成装置20から受信するスキャンデータ、又は画像形成装置20に送信可能な各種のドキュメントなども記憶される。なお、本実施形態で「ドキュメント」と称する情報は、画像形成装置20で印刷可能な文書、表、画像、又は写真などの各種コンテンツを含む情報である。
【0015】
操作表示部13は、制御部11からの制御指示に基づいて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部と、前記表示部に表示されている操作キーのユーザーによるタッチ操作を検出するタッチパネルを含む操作部とを備える。ここで、前記操作表示部13が有する前記タッチパネルは、複数のタッチ操作を同時に検出可能なマルチタッチ機能を有する。なお、操作表示部13が表示部及びタッチ検出部の一例である。
【0016】
通信部14は、画像形成装置20などの外部機器との間で、予め定められた無線通信規格に従って通信処理を実行する。具体的に、通信部14は、クラス2と称される電波強度(2.5mW)で約10mの範囲に存在する外部通信機器との間でBluetooth(登録商標)による無線通信を実行可能である。なお、Bluetooth方式のデータ通信手法については従来周知であるため、ここでは説明を省略する。また、通信部14は、NFC(Near Field Communication)などの他の近距離無線通信規格、又はIEEE規格などの無線LAN規格に従って通信可能であってもよい。例えば、通信部14は、13.56MHzの周波数帯を用いて、携帯端末10から約10cmの通信範囲に存在する外部通信機器との間でNFCによる無線通信を実行することが考えられる。
【0017】
動作検出センサー15は、例えば携帯端末10の水平方向及び鉛直方向(上下左右方向又は前後方向)への動きを検出する3軸型の加速度センサーであり、携帯端末10を振る動作の有無及び振る動作の方向を検出する。なお、動作検出センサー15は、携帯端末10を振る動作を検出することができれば、一又は複数の振動センサー、加速度センサー、又は変位センサー等を用いてもよい。
【0018】
<画像形成装置20>
画像形成装置20は、
図1に示すように、制御部21、記憶部22、ADF23、画像読取部24、画像形成部25、操作表示部26、及び通信部27などを備える複合機である。例えば、画像形成装置20は、プリント機能、ファクス機能、スキャン機能、及びコピー機能などの複数の機能を有する。なお、画像形成装置20は、プリンター、ファクシミリ装置、及びコピー機のような画像形成装置であってもよい。
【0019】
制御部21は、不図示のCPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を備え、ROMに記憶されている制御プログラムをCPUを用いて実行することにより、画像形成装置20の動作を制御する。なお、制御部21は、集積回路(ASIC)などの電子回路であってもよい。
【0020】
具体的に、制御部21は、携帯端末10又はパーソナルコンピューターなどの外部装置から受信するドキュメント、又は記憶部22に記憶されているドキュメントを画像形成部25によって印刷するプリントジョブを実行する。
【0021】
記憶部22は、SSD(ソリッドステートドライブ)又はHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶部であり、制御部21は、記憶部22に対する情報の読み書きが可能である。具体的に、記憶部22には、制御部21によって実行される各種の制御プログラムが記憶される。また、記憶部22には、携帯端末10から受信するドキュメントなども記憶される。
【0022】
ADF23は、読取対象のシートを自動搬送する自動原稿搬送装置である。また、画像読取部24は、ADF23で搬送されるシート又は原稿台に載置されたシートからCCD又はCISなどの撮像素子を用いて画像データを読み取ることが可能である。画像形成部25は、電子写真方式又はインクジェット方式で、画像データに基づいてシートに画像を形成することが可能である。
【0023】
操作表示部26は、制御部21からの制御指示に基づいて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部と、ユーザーによる各種の入力操作を受け付けるタッチパネルなどの操作部とを備える。
【0024】
通信部27は、携帯端末10などの外部機器との間で、予め定められた無線通信規格に従って通信処理を実行する。具体的に、通信部27は、クラス2と称される電波強度(2.5mW)で約10mの範囲に存在する外部通信機器との間でBluetooth(登録商標)による無線通信を実行可能である。なお、Bluetooth方式のデータ通信手法については従来周知であるため、ここでは説明を省略する。また、通信部27は、NFC(Near Field Communication)などの他の近距離無線通信規格、又はIEEE規格などの無線LAN規格に従って通信可能であってもよい。例えば、通信部27は、携帯端末10と同様に、13.56MHzの周波数帯を用いて、画像形成装置20から約10cmの通信範囲に存在する外部通信機器との間でNFCによる無線通信を実行することが考えられる。
【0025】
ところで、印刷システム1において、携帯端末10では、画像形成装置20に印刷要求を送信することが可能である。このとき、携帯端末10の操作画面において、印刷対象となる一又は複数のドキュメントを選択した後、印刷開始に対応する操作キーの操作を要する場合には、その操作キーを探して操作する手間が生じる。これに対し、本実施形態に係る携帯端末10では、以下に説明するように、印刷要求を行う場合の操作が簡素化される。
【0026】
具体的に、制御部11は、前記ROMに記憶されている制御プログラムを前記CPUを用いて実行することにより、動作検出部111、表示処理部112、選択処理部113、及び送信処理部114として機能する。
【0027】
動作検出部111は、動作検出センサー15を用いて、携帯端末10を振る動作の有無を検出するための処理を実行する。表示処理部112は、複数のドキュメントを選択候補として操作表示部13に表示させる。選択処理部113は、一又は複数のドキュメントを印刷対象として選択する。送信処理部114は、動作検出部111により携帯端末10の振る動作が検出されたときに選択処理部113で選択されている一又は複数のドキュメントの印刷要求を画像形成装置20に送信する。
【0028】
[印刷要求処理]
以下、
図2のフローチャートを参照しつつ、印刷システム1において、制御部11が制御プログラムに従って実行する印刷要求処理の手順の一例について説明する。前記印刷要求処理は、例えば、携帯端末10においてドキュメントの印刷を開始するための操作、又はドキュメントを参照するための操作などのように印刷対象の候補となるドキュメントの一覧が表示される操作が行われた場合に制御部11によって実行される。なお、本発明は、制御部11によって印刷要求処理の各手順を実行する印刷要求方法の発明として捉えることも可能である。
【0029】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部11は、予め定められた画像形成装置20との通信が確立しているか否かを判断する。そして、制御部11は、画像形成装置20との通信が確立していると判断している場合に(S11のYes側)、ステップS12以後の処理を実行する。一方、制御部11は、画像形成装置20との通信が確立していない場合は(S11のNo側)、ステップS12以後の処理を実行することなく、ステップS11の判断処理を繰り返し実行する。
【0030】
<ステップS12>
続いて、ステップS12において、制御部11は、一又は複数のドキュメントを印刷対象として選択するための選択画面を操作表示部13に表示させる。なお、前記選択画面には、一又は複数のドキュメントが選択候補として表示される。このステップS12の処理は、制御部11の表示処理部112によって実行される。
【0031】
具体的に、制御部11は、携帯端末10の記憶部12に記憶されているドキュメント、又は画像形成装置20の記憶部22に記憶されているドキュメントを選択候補として操作表示部13に表示させることが可能である。なお、複数の画像形成装置20との通信が確立している場合、制御部11は操作表示部13のユーザー操作に応じていずれか1つの画像形成装置を選択する。また、制御部11は、画像形成装置20の記憶部22においてユーザー毎に対応付けられた個人フォルダーから、携帯端末10に対応付けられたユーザーに対応する個人フォルダーを特定し、その個人フォルダーに記憶されているドキュメントを読み出すことが考えられる。
【0032】
ここに、
図3は、前記選択画面の一例を示す図である。
図3(A)に示すように操作表示部13には、印刷対象となる一又は複数のドキュメントの選択候補が表示される候補表示領域131が表示されている。具体的に、
図3(A)に示す例では、候補表示領域131に、「001.jpg」、「002.doc」、「003.gif」、「004.xls」、及び「005.jpg」の5つのドキュメントが表示されている。また、
図3(A)に示す例では、ドキュメントのうち「001.jpg」及び「004.xls」の二つのドキュメントが、ユーザーによって二本の指でタッチ操作され、印刷対象として選択された状態が示されている。また、前記選択画面において、ユーザーは三本以上の指で同時に三つ以上のドキュメントを選択することも可能である。なお、
図3(B)は、ドキュメントの表示配列が異なる例を示す図であり、候補表示領域131に、「001.jpg」、「002.doc」、「003.gif」、「004.xls」、「005.jpg」、「006.doc」、「007.doc」、「008.doc」、及び「009.doc」の9つのドキュメントのうち「002.doc」及び「007.doc」が選択された状態が示されている。
【0033】
<ステップS13>
次に、ステップS13において、制御部11は、動作検出センサー15を用いて携帯端末10を振る動作が検出されたか否かを判断する。なお、このステップS13の処理は、制御部11の動作検出部111によって実行される。ここで、携帯端末10を振る動作とは、例えば携帯端末10を一方向に移動させる動作、又は携帯端末10を一方向に移動させた後引き戻す一連の往復動作であることが考えられる。また、制御部11は、携帯端末10を複数回往復移動させる動作を振る動作として認識してもよい。そして、制御部11は、携帯端末10を振る動作が検出されたと判断すると(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させる。一方、携帯端末10を振る動作が検出されていないと判断している間(S13のNo側)、制御部21はステップS13の判断処理を繰り返し実行する。
【0034】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部11は、操作表示部13で現在選択中のドキュメントに応じて印刷対象となるドキュメントを選択する。具体的に、制御部11は、携帯端末10の振る動作が検出されたときに操作表示部13で検出されているタッチ操作により選択されている一又は複数のドキュメントの全てを印刷対象として選択する。このステップS14の処理は、制御部11の選択処理部113で実行される。
【0035】
<ステップS15>
その後、ステップS15において、制御部11は、ステップS14で選択された全ての前記ドキュメントについて印刷を実行する旨の印刷要求を画像形成装置20に送信する。このステップS14の処理は、制御部11の送信処理部114によって実行される。なお、ステップS14において、制御部11は、ステップS11で通信が確立していると判断された通信相手である画像形成装置20に前記印刷要求を送信する。
【0036】
例えば携帯端末10の記憶部12内に記憶されているドキュメントについては、ステップS15において、制御部11が、携帯端末10の記憶部12から前記ドキュメントと共に印刷要求を画像形成装置20に送信する。また、画像形成装置20の記憶部22内に記憶されているドキュメントについては、ステップS15において、制御部11が、前記ドキュメントを識別するためのファイル名又はパス名などの識別情報と共に印刷要求を画像形成装置20に送信する。なお、画像形成装置20の記憶部22内に記憶されているドキュメントがそのままでは画像形成装置20で印刷できないデータ形式である場合には、制御部11が、前記ドキュメントを読み出して画像形成装置20で印刷可能なデータ形式に変換してから画像形成装置20に送信することも考えられる。
【0037】
以上説明したように、携帯端末10では、ユーザーが、印刷要求を行うための操作キーを探して操作する必要がなく、携帯端末10を振る動作によって簡単且つスムーズに印刷要求を送信することができる。また、携帯端末10では、携帯端末10を振る動作が行われたときに選択中であるドキュメントを印刷対象として選択して印刷要求を送信するため、事前にドキュメントを選択するという操作を行う必要がない。即ち、ユーザーは、印刷対象となるドキュメントをタッチ操作しながら携帯端末10を振るという動作のみによってそのドキュメントを簡単に印刷することができる。また、携帯端末10では、操作表示部13の操作画面に印刷要求を行うための操作キーを表示する必要もなくなる。なお、携帯端末10において、前記選択画面で予めドキュメントの選択を確定するための操作が行われ、その後に携帯端末10の振る動作が行われた場合に、制御部11によって画像形成装置20に印刷要求が送信されてもよい。
【0038】
[第2の実施形態]
前記第1の実施形態では、携帯端末10の操作表示部13に表示される前記選択画面(
図3参照)においてタッチ操作が行われている一又は複数のドキュメントが印刷対象として選択される場合を例に挙げて説明した。本実施形態では、
図4を参照しつつ、前記選択画面における印刷対象の選択方法の他の例について説明する。ここに、
図4(A)及び
図4(B)は、前記選択画面の他の例を示す図であって、
図4(A)及び
図4(B)はドキュメントの表示配列が異なる例を示している。
【0039】
具体的に、制御部11は、ステップS14において、操作表示部13に表示されている複数のドキュメントのうち選択されている二つのドキュメントと、その二つのドキュメントの間に表示されている一又は複数のドキュメントとを印刷対象として選択する。即ち、二つのドキュメントの選択により印刷対象として選択するドキュメントの範囲が指定される。
【0040】
例えば、
図4(A)に示す例では、「001.jpg」、「002.doc」、「003.gif」、「004.xls」、及び「005.jpg」のドキュメントのうち「001.jpg」及び「004.xls」の二つのドキュメントが、ユーザーによって二本の指でタッチ操作された状態が示されている。この場合、「001.jpg」及び「004.xls」の二つのドキュメントと、「001.jpg」及び「004.xls」の二つのドキュメントで挟まれた「002.doc」及び「003.gif」の二つのドキュメントとの合計四つのドキュメントが印刷対象として選択される。
【0041】
同じく、
図4(B)に示す例では、「001.jpg」、「002.doc」、「003.gif」、「004.xls」、「005.jpg」、「006.doc」、「007.doc」、「008.doc」、及び「009.doc」のドキュメントのうち「002.doc」及び「007.doc」の二つのドキュメントが、ユーザーによって二本の指でタッチ操作された状態が示されている。この場合、「002.doc」及び「007.doc」の二つのドキュメントと、「002.doc」及び「007.doc」の二つのドキュメントで挟まれた「003.jpg」、「004.xls」、「005.jpg」、「006.pdf」の四つのドキュメントとの合計六つのドキュメントが印刷対象として選択される。
【0042】
[第3の実施形態]
また、携帯端末10において、前記第1の実施形態と前記第2の実施形態との選択手法を切り替え可能な構成が他の実施形態として考えられる。具体的に、前記第1の実施形態で説明したように、前記操作表示部13で検出されているタッチ操作により選択中の一又は複数のドキュメントを選択する選択モードが第1の選択モードとして予め設定される。また、前記第2の実施形態で説明したように、前記操作表示部13で検出されているタッチ操作により選択中の二つのドキュメントとその二つのドキュメントの間に表示されている一又は複数のドキュメントとを選択する選択モードが第2の選択モードとして予め設定される。そして、制御部11は、前記第1の選択モードと前記第2の選択モードとを選択的に実行する。
【0043】
例えば、制御部11は、携帯端末10の初期設定におけるユーザー操作に応じて、前記第1の選択モードと前記第2の選択モードとを切り替えることが考えられる。また、制御部11は、前記選択画面(
図3又は
図4参照)に前記第1の選択モードと前記第2の選択モードとを切り替える操作キーを表示させ、その操作キーの操作に応じて前記第1の選択モードと前記第2の選択モードとを切り替えることも考えられる。さらに、制御部11は、前記操作画面において、予め定められた操作待ち時間内に複数のドキュメントが選択された場合には、前記第1の選択モードを実行し、前記操作待ち時間を超えて二つのドキュメントが選択された場合には、前記第2の選択モードを実行することが考えられる。