特許第6245090号(P6245090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245090
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】車両およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20171204BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20171204BHJP
   H02P 29/028 20160101ALI20171204BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20171204BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   H02P5/46 E
   H02P27/06
   H02P29/028
   B60L9/18 P
   B60L3/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-131597(P2014-131597)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-10298(P2016-10298A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公男
(72)【発明者】
【氏名】松村 光頼
(72)【発明者】
【氏名】吉見 政史
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−325352(JP,A)
【文献】 特開2010−142073(JP,A)
【文献】 特開平07−015804(JP,A)
【文献】 特開平06−038302(JP,A)
【文献】 特開平02−164201(JP,A)
【文献】 特開2008−154426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/46
B60L 3/00
B60L 9/18
H02P 27/06
H02P 29/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、
前記蓄電装置に蓄えられた電力を交流電力に変換する第1および第2のインバータと、
前記第1のインバータによって駆動される永久磁石型同期モータと、
前記第2のインバータによって駆動される誘導モータと、
前記永久磁石型同期モータおよび前記誘導モータの漏電を検出する検出部と、
前記第1および第2のインバータを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記誘導モータの漏電が検出された場合、前記第2のインバータの駆動を禁止する一方で、前記永久磁石型同期モータについては、前記誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわず、
前記永久磁石型同期モータの漏電が検出された場合、前記永久磁石型同期モータの漏電が検出されていない場合に比べて、前記永久磁石型同期モータおよび前記誘導モータの出力を抑制する、車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記誘導モータの漏電検出に応答して前記第2のインバータの駆動を禁止した禁止状態において、前記永久磁石型同期モータまたは前記誘導モータの漏電がさらに検出された場合には、前記禁止状態に比べて、前記永久磁石型同期モータの出力を抑制する、請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記制御装置は、前記誘導モータの漏電履歴を管理するための不揮発性メモリを含む、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記永久磁石型同期モータは、前記車両の前輪および後輪の一方である主駆動輪に機械的に連結され、
前記誘導モータは、前記前輪および前記後輪の他方である従駆動輪に機械的に連結される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
車両の制御方法であって、
前記車両は、
蓄電装置と、
前記蓄電装置に蓄えられた電力を交流電力に変換する第1および第2のインバータと、
前記第1のインバータによって駆動される永久磁石型同期モータと、
前記第2のインバータによって駆動される誘導モータと、
前記永久磁石型同期モータおよび前記誘導モータの漏電を検出する検出部とを含み、
前記制御方法は、
前記誘導モータの漏電を検出するステップと、
前記誘導モータの漏電が検出された場合、前記第2のインバータの駆動を禁止する一方で、前記永久磁石型同期モータについては、前記誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわないステップと
前記永久磁石型同期モータの漏電が検出された場合、前記永久磁石型同期モータの漏電が検出されていない場合に比べて、前記永久磁石型同期モータおよび前記誘導モータの出力を抑制するステップとを備える、車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両およびその制御方法に関し、より特定的には、永久磁石型同期モータおよび誘導モータを備える車両およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の駆動システムに異常が検出された場合、異常の発生箇所によっては、車両を直ちに走行禁止とするのに代えて、駆動性能を抑制しつつも一時的に走行可能とすることが求められる。このような退避走行を行なうことにより、安全な場所への退避や修理工場への移動が可能となる。
【0003】
走行用モータを備える車両において、モータの漏電検出時に退避走行を行なう構成が提案されている。たとえば特開2008−154426号公報(特許文献1)は、電動機の絶縁状態を検知する検知手段と、検知手段によって検知された電動機の絶縁状態に基づいて電動機のトルク制限を実行するトルク制限手段とを備える電動機制御装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−154426号公報
【特許文献2】特開平7−15804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド車、電気自動車等の走行用モータを搭載する車両において、前輪と後輪とを別のモータで駆動する四輪駆動システムが知られている。この駆動システムのいずれかの箇所で漏電が検出された場合に、さらに他の箇所で漏電が発生すると、それら2つの漏電箇所とバッテリとを含む電流経路が形成され、過大な電流が流れるおそれがある。このような事態を回避するために、いずれか一方のモータに漏電箇所が特定された場合であっても、2箇所目の漏電発生に備えて両方のモータの出力が抑制され得る。その結果、退避走行性能が大きく低下する可能性がある。
【0006】
本発明者らは、前輪および後輪の一方を永久磁石型同期モータで駆動し、他方を誘導モータで駆動するように構成された四輪駆動システムにおいて、漏電箇所が誘導モータであることが特定された場合、退避走行性能の低下を最小限に抑えることが可能であることを見出した。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、永久磁石型同期モータおよび誘導モータを備える車両において、必要な退避走行性能を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従う車両は、蓄電装置と、第1および第2のインバータと、永久磁石型同期モータと、誘導モータと、検出部と、制御装置とを備える。第1および第2のインバータは、蓄電装置に蓄えられた電力を交流電力に変換する。永久磁石型同期モータは、第1のインバータによって駆動される。誘導モータは、第2のインバータによって駆動される。検出部は、同期モータおよび誘導モータの漏電を検出する。制御装置は、第1および第2のインバータを制御する。制御装置は、誘導モータの漏電が検出された場合、第2のインバータの駆動を禁止する一方で、永久磁石型同期モータについては、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわない。
【0009】
本発明の他の局面に従う車両の制御方法において、車両は、蓄電装置と、第1および第2のインバータと、永久磁石型同期モータと、誘導モータと、検出部とを含む。第1および第2のインバータは、蓄電装置に蓄えられた電力を交流電力に変換する。永久磁石型同期モータは、第1のインバータによって駆動される。誘導モータは、第2のインバータによって駆動される。検出部は、同期モータおよび誘導モータの漏電を検出する。上記制御方法は、誘導モータの漏電を検出するステップと、誘導モータの漏電が検出された場合、第2のインバータの駆動を禁止する一方で、永久磁石型同期モータについては、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわないステップとを備える。
【0010】
永久磁石型同期モータ(以下、同期モータと略す場合がある)の漏電が検出された場合、第1のインバータの駆動を禁止(たとえばインバータ内の各トランジスタを遮断状態に制御)すれば、蓄電装置から第1のインバータを経由して同期モータへと至る電流を遮断することができる。
【0011】
同期モータおよび誘導モータの回転速度は、車両の速度上昇時または速度低下時に車輪から伝達されるトルクによって変化し得る。この際、同期モータでは、ロータに設けられた永久磁石が回転することによって比較的大きな逆起電力が生じる場合がある。そのため、たとえ第1のインバータの駆動禁止により蓄電装置からの電流が遮断されたとしても、逆起電力による電流が漏電箇所に流れ得る。したがって、同期モータの漏電が発生した場合、同期モータにて過大な逆起電力が生じないように車輪の回転速度(すなわち車速)を制限する必要があるので、漏電が発生していない誘導モータについてもその出力が抑制される。その結果、退避走行性能が大きく低下する可能性がある。
【0012】
これに対し、誘導モータのロータには永久磁石が用いられておらず、原理上、第2のインバータを遮断していれば誘導モータでは逆起電力は生じないため、同期モータへの影響はない。上記構成および方法によれば、誘導モータの漏電が検出された場合、第2のインバータの駆動を禁止することにより、蓄電装置から第2のインバータを経由して誘導モータへと至る電流を遮断することができる。一方、漏電が生じていない同期モータについては、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわれず、出力抑制の対象とするモータを必要最低限の誘導モータに限定することによって、必要な退避走行性能を確保することができる。
【0013】
好ましくは、制御装置は、永久磁石型同期モータの漏電が検出された場合、永久磁石型同期モータの漏電が検出されていない場合に比べて、永久磁石型同期モータおよび誘導モータの出力を抑制する。
【0014】
上述のように、同期モータの漏電が発生した場合、同期モータにて生じた逆起電力による電流が漏電箇所に流れ得る。したがって、上記構成によれば、同期モータの漏電が検出された場合、同期モータおよび誘導モータの出力を抑制(たとえば禁止)する。これにより、車速が制限されるので、逆起電力の発生を抑制(たとえば逆起電力の大きさを低減または発生頻度を低減)することができる。
【0015】
好ましくは、制御装置は、誘導モータの漏電検出に応答して第2のインバータの駆動を禁止した禁止状態において、永久磁石型同期モータまたは誘導モータの漏電がさらに検出された場合には、禁止状態に比べて、永久磁石型同期モータの出力を抑制する。
【0016】
2箇所で漏電が発生すると、それら2つの漏電箇所と蓄電装置とを含む電流経路が形成され、過大な電流が流れるおそれがある。このような事態を回避するために、2箇所目の漏電が検出された場合は直ちに第1および第2のインバータを遮断して、両方のモータの出力を抑制する必要がある。また、誘導モータの漏電が検出され第2のインバータの駆動を禁止した禁止状態において、さらに同期モータの漏電が検出された場合、2箇所目の漏電が発生した可能性がある。また、禁止状態にもかかわらず、誘導モータの漏電が再び検出された場合、第2のインバータの駆動禁止が適切に行なわれていない可能性(たとえばインバータ内のトランジスタの破損等によりゲート遮断が適切に実行されていない可能性)、あるいは検出器に異常が発生した可能性などが考えられる。したがって、上記構成によれば、同期モータまたは誘導モータの漏電がさらに検出された場合に、同期モータの出力が抑制されるので、漏電により過大な電流が流れることを防止できる。
【0017】
好ましくは、永久磁石型同期モータは、車両の前輪および後輪の一方である主駆動輪に機械的に連結される。誘導モータは、前輪および後輪の他方である従駆動輪に機械的に連結される。
【0018】
上記構成によれば、主駆動輪に同期モータが連結され、従駆動輪に誘導モータが連結されるので、誘導モータに漏電が検出された場合であっても同期モータを用いて主駆動輪の駆動を継続することができる。そして、一般に、同期モータは同サイズの誘導モータよりも高効率であるので、上記と逆の構成(主駆動輪に誘導モータが連結され、従駆動輪に同期モータが連結される構成)に比べて、退避走行性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、永久磁石型同期モータおよび誘導モータを備える車両において、必要な退避走行性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係る車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。
図2】車両の電気系統の構成の一例を示す回路図である。
図3】漏電検出器の構成の一例を詳細に示す回路図である。
図4】電気系統の領域の分割の一例を説明するための模式図である。
図5】第1のモータジェネレータの漏電が発生した場合の電流経路を説明するための図である。
図6】実施の形態1における対地絶縁抵抗の測定結果に基づく処理を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態2における対地絶縁抵抗の測定結果に基づく処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0022】
以下に示す実施の形態においては、車両の1つの例示的形態として、ハイブリッド車について説明する。しかし、本発明が適用可能な車両は走行用モータを搭載するのであればこれに限定されるものではなく、電気自動車または燃料電池車であってもよい。
【0023】
[実施の形態1]
<車両の全体構成>
図1は、実施の形態1に係る車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。図1を参照して、車両1は、エンジン100と、第1モータジェネレータ(以下、第1MGとも記載する)10と、第2モータジェネレータ(以下、第2MGとも記載する)20と、動力分割機構30と、駆動軸40と、減速機50と、PCU(Power Control Unit)200と、バッテリ250と、ECU(Electronic Control Unit)300と、前輪350Fと、後輪350Rとを備える。
【0024】
エンジン100は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン100は、ECU300からの制御信号DRVに基づいて、車両1が走行するための駆動力を出力する。
【0025】
第1MG10および第2MG20の各々は、三相交流永久磁石型同期モータであり、より具体的には永久磁石がロータ(いずれも図示せず)に埋設された構造を有する。ただし、第1MG10および第2MG20の構成は、ロータに永久磁石を有するのであればこれに限定されるものではなく、たとえばロータ表面に永久磁石が組み込まれていてもよい。なお、以下の説明においては、第1MG10および第2MG20を包括的に「同期モータ」と称する場合がある。
【0026】
第1MG10は、動力分割機構30を介してエンジン100のクランク軸(図示せず)に連結される。第1MG10は、エンジン100を始動させる際にはバッテリ250の電力を用いてエンジン100のクランク軸を回転させる。また、第1MG10はエンジン100の動力を用いて発電することも可能である。第1MG10によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリ250に充電される。また、第1MG10によって発電された交流電力は、第2MG20に供給される場合もある。
【0027】
第2MG20は、バッテリ250からの電力および第1MG10により発電された電力のうちの少なくとも一方を用いて駆動軸40を回転させる。また、第2MG20は回生制動によって発電することも可能である。第2MG20によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリ250に充電される。
【0028】
動力分割機構30は、たとえば遊星歯車機構を含んで構成され、エンジン100のクランク軸、第1MG10の回転軸、および駆動軸40の三要素を機械的に連結する動力伝達装置である。動力分割機構30は、上記三要素のうちのいずれか一つを反力要素とすることによって、他の2つの要素間での動力の伝達を可能とする。
【0029】
減速機50は、動力分割機構30および/または第2MG20からの動力を前輪350Fに伝達する。また、前輪350Fが受けた路面からの反力は、減速機50を介して第2MG20に伝達される。これにより、第2MG20は回生制動時に発電する。
【0030】
PCU200は、コンバータ240およびインバータ210,220(図2参照)を含み、バッテリ250に蓄えられた直流電力を昇圧し、昇圧された電圧を交流電圧に変換して同期モータに供給する。また、PCU200は、同期モータで発電された交流電力を直流電力に変換して、バッテリ250に供給する。
【0031】
バッテリ250は再充電が可能に構成された蓄電装置である。バッテリ250としては、たとえばニッケル水素電池もしくはリチウムイオン電池などの二次電池、または電気二重層キャパシタなどのキャパシタを採用することができる。
【0032】
車両1は、四輪駆動システムとして構成され、インバータ230と、後輪350Rと駆動するためのリヤモータジェネレータ(以下、リヤMGとも記載する)260と、リヤディファレンシャルギヤ270とをさらに備える。
【0033】
インバータ230は、バッテリ250に蓄えられた直流電圧を交流電圧に変換してリヤMG260に供給する。リヤMG260は、リヤディファレンシャルギヤ270を介して後輪350Rの駆動軸に機械的に結合され、インバータ230から供給された電力を使用して後輪350Rを駆動する。本実施の形態において、リヤMG260には誘導モータが採用されるので、以下、リヤMG260を「誘導モータ」と称する場合がある。
【0034】
車両1は、車両1の電気系統の漏電を検出するための漏電検出器(検出部)400をさらに備える。漏電検出器400は、第1MG10、第2MG20、リヤMG260等の漏電を検出して、その検出結果をECU300に出力する。漏電検出器400の構成およびその検出手法については後述する。
【0035】
ECU300は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、バッファ(いずれも図示せず)とを含む。ECU300は、各センサから送られる信号、ならびにメモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1が所望の状態となるように機器類を制御する。
【0036】
<電気系統の構成>
図2は、車両1の電気系統の構成の一例を示す回路図である。図2を参照して、車両1の電気系統は、図1にて説明した構成要素に加えて、SMR(System Main Relay)をさらに備える。また、PCU200は、平滑コンデンサC1と、コンバータ240と、平滑コンデンサC2と、放電抵抗R1と、インバータ210,220とを含む。
【0037】
SMR280に含まれるリレーは、バッテリ250の正極と電力線PL1との間、および、バッテリ250の負極と電力線NL1との間にそれぞれ電気的に接続される。SMR280は、ECU300からの制御信号SEに基づいて、バッテリ250とPCU200との間での電力の供給と遮断とを切り替える。
【0038】
平滑コンデンサC1は、電力線PL1と電力線NL1との間に電気的に接続される。平滑コンデンサC1は、電力線PL1と電力線NL1との間の電圧変動の交流成分を平滑化する。
【0039】
コンバータ240は、ECU300からの制御信号PWCに基づいて、バッテリ250から供給された直流電圧を昇圧し、昇圧された電圧をインバータ210,220に供給する。より具体的には、コンバータ240は、トランジスタQ1,Q2と、トランジスタQ1,Q2にそれぞれ逆並列に接続された逆並列ダイオードD1,D2と、リアクトルLとを有する。トランジスタQ1および逆並列ダイオードD1はコンバータ240の上アームを構成し、トランジスタQ2および逆並列ダイオードD2はコンバータ240の下アームを構成する。リアクトルLの一方端は電力線PL1に接続され、リアクトルLの他方端はトランジスタQ1のエミッタとトランジスタQ2のコレクタとの接続ノードに接続される。
【0040】
トランジスタQ1のコレクタは、電力線PL2に電気的に接続される。トランジスタQ2のエミッタは、電力線NL1に電気的に接続される。平滑コンデンサC2および放電抵抗R1は、電力線PL2と電力線NL1との間に並列に接続される。平滑コンデンサC2は、電力線PL2と電力線NL1との間の電圧変動の交流成分を平滑化する。放電抵抗R1は、平滑コンデンサC1,C2の残留電荷を放電するために設けられる。
【0041】
インバータ210は、ECU300からの制御信号PWI1に基づいて、コンバータ240により昇圧された直流電圧を3相交流電圧に変換し、その3相交流電圧を第1MG10に供給する。より具体的には、インバータ210は、トランジスタQ13〜Q18と、逆並列ダイオードD13〜D18とを有する。トランジスタQ13および逆並列ダイオードD13は、U相上アームを構成し、トランジスタQ14および逆並列ダイオードD14はU相下アームを構成する。トランジスタQ15および逆並列ダイオードD15はV相上アームを構成し、トランジスタQ16および逆並列ダイオードD16はV相下アームを構成する。トランジスタQ17および逆並列ダイオードD17はW相上アームを構成し、トランジスタQ18および逆並列ダイオードD18はW相下アームを構成する。
【0042】
インバータ220は、ECU300からの制御信号PWI2に基づいて、コンバータ240により昇圧された直流電圧を3相交流電圧に変換し、その3相交流電圧を第2MG20に供給する。
【0043】
インバータ230は、コンバータ240を介することなくバッテリ250に電気的に接続される。そして、インバータ230は、ECU300からの制御信号PWIRに基づいて、バッテリ250からの直流電圧を3相交流電圧に変換し、その3相交流電圧をリヤMG260に供給する。なお、インバータ220,230の構成は、いずれもインバータ210の構成と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
【0044】
漏電検出器400は、バッテリ250の負極と車両アースGNDとの間に電気的に接続される。なお、車両アースGNDとしては、たとえば車両フレームや車両ボディなどが用いられる。
【0045】
<漏電検出>
図3は、漏電検出器400の構成の一例を詳細に示す回路図である。図2および図3を参照して、漏電検出器400は、交流信号発生器402と、電圧センサ404と、抵抗Rと、コンデンサCとを含む。
【0046】
交流信号発生器402は、抵抗Rと車両アースGNDとの間に電気的に接続される。抵抗Rの一方端は交流信号発生器402に電気的に接続され、抵抗Rの他方端はコンデンサCの一方端に電気的に接続される。コンデンサCの他方端は電力線NL1に電気的に接続される。なお、説明の便宜上、図2において漏電検出器400に接続される回路全体を図3では電気系統2として示す。
【0047】
交流信号発生器402は、低電圧(たとえば数V)かつ低周波(たとえば数Hz)の交流信号を出力する。電気系統2の漏電により電力線NL1の対地絶縁抵抗(電力線NL1と車両アースGNDとの間の抵抗)が低下すると、交流信号の波高値(振幅)が小さくなる。そこで、電圧センサ404は、抵抗Rと電力線NL1との間の交流信号の波高値Vkを検出して、その検出結果をECU300に出力する。ECU300は、電圧センサ404からの波高値Vkが所定値未満の場合に、電力線NL1の対地絶縁抵抗が所定値未満となったとして、電気系統2に漏電が発生したと判定する。
【0048】
電気系統2は複数の領域に仮想的に分割されており、電気系統2の漏電が検出された場合、各領域について漏電が生じていないか否かを判定することにより、漏電箇所が特定される。そして、漏電箇所と特定された領域に含まれる回路の駆動を抑制(たとえば禁止)することにより、車両1を退避走行させることが可能になる。
【0049】
図4は、電気系統の領域の分割の一例を説明するための模式図である。図4を参照して、車両1の電気系統は、たとえば5つの領域A1〜A5に分割される。
【0050】
領域A1,A2,A3は、それぞれ第1MG10、第2MG20、リヤMG260を含む領域である。領域A4は、バッテリ250および漏電検出器400を含む領域である。領域A5は、インバータ210,220,230およびコンバータ240を含む領域である。なお、SMR280は領域A4と領域A5との境界上に位置する。以下、漏電箇所がどの領域かを特定する手法の一例について説明する。
【0051】
領域A1が漏電箇所か否かを特定するための処理では、SMR280の閉成状態かつコンバータ240の駆動状態において、ECU300はインバータ210を遮断する。これにより漏電が検出されなくなれば、ECU300は領域A1が漏電箇所と特定する。
【0052】
領域A2が漏電箇所か否かを特定するための処理、および領域A3が漏電箇所か否かを特定するための処理は、上述の領域A1についての処理と同等である。すなわち、インバータ220の遮断により漏電が検出されなくなれば、領域A2が漏電箇所と特定される。同様に、インバータ230の遮断により漏電が検出されなくなれば、領域A3が漏電箇所と特定される。
【0053】
領域A4が漏電箇所か否かを特定するための処理では、SMR280を開放しても漏電が検出されれば、ECU300は領域A4が漏電箇所と特定する。
【0054】
領域A5が漏電箇所か否かを特定するための処理では、領域A1〜A3がいずれも漏電箇所でない場合において、SMR280が開放することにより漏電が検出されなくなれば、ECU300は領域A5が漏電箇所と特定する。言い換えると、領域A1〜A4がいずれも漏電箇所でない場合に領域A5が漏電箇所と特定される。
【0055】
なお、領域A1,A2の特定処理については、同期モータにて逆起電力が生じてないことが必要であるため、車両が動かない状態となっていることが実行可能条件となる。また、領域A4,A5の特定処理については、SMR280を開放すると車両システムが停止してしまう。したがって、たとえばユーザによってイグニッションスイッチ(図示せず)がオフに操作された場合に、イグニッションスイッチのオフ操作からSMR280が開放されるまでの期間に領域A1〜A3の特定処理を実行するとともに、SMR280が開放された際に領域A4,A5の特定処理を実行することができる。
【0056】
<逆起電力の発生>
以上のような構成を有する車両1の走行時には、前輪350Fが受けた路面からの反力が減速機50を介して第2MG20に伝達される。この際、同期モータである第2MG20では、永久磁石のロータ(図示せず)が回転することにより逆起電力が生じ得る。さらに、エンジン100の回転速度(エンジン回転速度)Neと、第1MG10の回転速度(第1MG回転速度)Nm1と、第2MG20の回転速度(第2MG回転速度)Nm2とは共線図(図示せず)において直線で結ばれる関係にあるため、エンジン回転速度Neおよび第2MG回転速度Nm2の変化に伴って、第1MG回転速度Nm1は変化し得る。これによって、同期モータである第1MG10においても逆起電力が生じ電流が流れ得る。
【0057】
図5は、第1MG10の漏電が発生した場合の電流経路を説明するための図である。図2および図5を参照して、漏電検出器400により第1MG10の漏電が検出された場合(領域A1の漏電が検出された場合)、ECU300は、インバータ210のトランジスタQ13〜Q18に遮断を指示する制御信号PWI1を出力する(以下、インバータを構成する各トランジスタに遮断を指示する信号を出力することを単にインバータを遮断するとも記載する)。これにより、バッテリ250から電力線PL2を介して供給される電流(矢印ARR1で示す)が漏電箇所に流れることを防止できる。
【0058】
しかしながら、たとえインバータ210が遮断されていたとしても、第1MG10にて逆起電力による電流(矢印ARR2で示す)が発生する。トランジスタQ13〜Q18が遮断されていても逆並列ダイオードD13〜D18を通る電流経路が存在するため、逆起電力による電流は漏電箇所から漏れ出てしまう。
【0059】
このように、同期モータの漏電が検出された場合、同期モータにおいて過大な逆起電力が生じないように車速を制限する必要があるので、漏電が発生していない誘導モータについても出力が抑制される。その結果、退避走行性能が大きく低下する可能性がある。
【0060】
これに対し、誘導モータのロータには永久磁石が用いられておらず、原理上、誘導モータ用インバータを遮断していれば誘導モータでは逆起電力が生じないため、同期モータへの影響はない。そこで、本実施の形態によれば、誘導モータであるリヤMG260の漏電が検出された場合(図4に示す領域A3の漏電が検出された場合)、誘導モータ用インバータであるインバータ230の駆動を禁止する。その一方で、同期モータである第1MG10および第2MG20については、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわない。
【0061】
誘導モータの漏電が検出された場合、インバータ230を遮断することにより、バッテリ250からインバータ230を経由して誘導モータへと至る電流を遮断することができる。一方、漏電が生じていない同期モータについては、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制を行なわず、出力抑制の対象とするモータを必要最低限の誘導モータに限定することによって、必要な退避走行性能を確保することができる。
【0062】
図6は、実施の形態1における対地絶縁抵抗の測定結果に基づく処理を説明するためのフローチャートである。図6および後述する図7に示すフローチャートは、所定の条件成立時あるいは所定の期間経過毎にメインルーチンから呼び出されて実行される。なお、このフローチャートの各ステップは、基本的にはECU300によるソフトウェア処理によって実現されるが、ECU300内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
【0063】
図2図4、および図6を参照して、ステップ(以下、Sと略す)10において、ECU300は、漏電検出器400を用いて電気系統全体(領域A1〜A5全体)の対地絶縁抵抗を測定する。そして、S20において、ECU300は、対地絶縁抵抗が低下して所定値未満となっているか否か、すなわち漏電が発生しているか否かを判定する。
【0064】
電気系統のいずれの領域においても漏電が発生していない場合(S20においてNO)、ECU300は、処理をメインルーチンへと戻す。一方、電気系統のいずれかの領域において漏電が発生している場合(S20においてYES)、ECU300は、処理をS30に進め、漏電箇所が領域A1〜A5のうちのどの領域であるかを特定する。
【0065】
上述の手法によって漏電箇所が領域A3と特定された場合、すなわち漏電箇所が誘導モータと特定された場合(S40においてYES)、ECU300は、処理をS50に進め、誘導モータ用インバータであるインバータ230の駆動を禁止する。その一方で、ECU300は、漏電が生じていない同期モータについては、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制は行なわない。つまり、ECU300は、誘導モータの漏電が生じていない場合と同等(あるいはそれ以上)の駆動力が同期モータから出力されるように、同期モータ用インバータであるインバータ210,220を駆動する。
【0066】
一方、漏電箇所が領域A1,A2,A4,A5のいずれかと特定された場合、すなわち漏電箇所が誘導モータでないと特定された場合(S40においてNO)、ECU300は、処理をS60に進め、領域A1,A2,A4,A5の漏電が検出されていない場合に比べて、同期モータおよび誘導モータの出力を抑制する。出力抑制の例としては、(1)出力を禁止すること、(2)漏電が検出されていない場合に比べて出力の大きさを低減すること、(3)漏電が検出されていない場合と同等あるいはそれ以上の出力が可能な期間を所定の時間(たとえば数時間)未満に制限すること、(4)漏電検出後、所定の走行回数未満(たとえばイグニッションスイッチ(図示せず)のオン操作回数が数回未満)の間に限り、漏電が検出されていない場合と同等(あるいはそれ以上)の出力が可能とすることなどが挙げられる。S50またはS60の処理が終了すると、ECU300は処理をメインルーチンへと戻す。
【0067】
このように、誘導モータのロータには永久磁石が用いられておらず、誘導モータでは逆起電力は生じないため、同期モータに影響しない。そこで、実施の形態1によれば、漏電が生じていない同期モータについては、誘導モータの漏電検出に応答した出力抑制を行なわず、出力抑制の対象とするモータを必要最低限の誘導モータに限定することによって、必要な退避走行性能を確保することができる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、同期モータが主駆動輪である前輪350Fの駆動系に機械的に連結され、誘導モータが従駆動輪である後輪350Rの駆動系に機械的に連結される。これにより、誘導モータの漏電が検出された場合であっても、同期モータを用いて主駆動輪の駆動を継続することができる。さらに、一般に、同期モータは同サイズの誘導モータよりも高効率であるので、逆の構成(主駆動輪に誘導モータが連結され、従駆動輪に同期モータが連結される構成)に比べて、退避走行性能を向上させることができる。
【0069】
ただし、車両の構成はこれに限定されるものではなく、たとえば、リヤMG10に加えて、第1MG10および第2MG20のいずれか一方を誘導モータとする構成も可能である。たとえば第2MG20が誘導モータの構成において、第2MG20の漏電検出時にインバータ220の駆動を禁止すると、退避走行性能が大幅に低下する可能性がある。したがって、第2MG20の漏電が検出された場合、漏電が検出されていない場合に比べて、インバータ220を駆動可能な時間または回数を制限しつつも、その駆動を完全には禁止しないことが好ましい。
【0070】
[実施の形態2]
誘導モータの漏電検出により誘導モータ用インバータの駆動が禁止された状態において、誘導モータの漏電が再び検出される場合があり得る。このような事態が生じる要因としては、たとえばインバータの駆動禁止が適切に行なわれていない場合、あるいは漏電検出器に異常が発生した場合が挙げられる。実施の形態2では、誘導モータの漏電が再び検出された場合の構成について説明する。
【0071】
実施の形態2に係る車両において、ECU300は、漏電フラグ(図示せず)を用いて、誘導モータであるリヤMG260の漏電が検出された状態か否かを管理する。より具体的には、初期状態において漏電フラグはオフであり、誘導モータの漏電が検出されると、ECU300は漏電フラグをオンに切り替える。ただし、誘導モータの漏電履歴を管理するための構成はこれに限定されず、たとえばECU300は、誘導モータの漏電回数の累積値をカウントするカウンタを含んでもよい。実施の形態2に係る車両のそれ以外の構成は、図1に示す車両1の構成と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
【0072】
図7は、実施の形態2における対地絶縁抵抗の測定結果に基づく処理を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートは、S25,S65,S70の処理をさらに備える点において、実施の形態1のフローチャート(図6参照)と異なる。S25,S65,S70以外の処理は実施の形態1のフローチャートにおける対応する処理と同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
【0073】
誘導モータの漏電が検出されていない初期状態(たとえば車両1の出荷時の状態)において、漏電フラグはオフである。
【0074】
S25において、ECU300は、漏電フラグがオンであるか否かを判定する。漏電フラグがオフの場合、すなわち誘導モータの漏電履歴がなく初めての漏電検出の場合(S25においてNO)、ECU300は、処理をS30に進め、漏電箇所を特定する。
【0075】
S40において漏電箇所が誘導モータと特定された場合、ECU300は、処理をS50に進め、誘導モータ用インバータであるインバータ230を遮断する。そして、S65において、ECU300は漏電フラグをオンにする。その後、ECU300は、処理をメインルーチンへと戻す。
【0076】
S25において、漏電フラグがオンの場合、すなわち誘導モータの漏電履歴がある場合(S25においてYES)、ECU300は、処理をS70に進め、誘導モータの漏電が検出されていない場合に比べて、同期モータの出力を抑制する。つまり、2回目以降の漏電検出の場合、ECU300は漏電箇所にかかわらず同期モータの出力を抑制する。S70の処理が終了すると、ECU300は、処理をメインルーチンへと戻す。
【0077】
ここで、2回目以降の漏電検出の場合、漏電箇所を特定せずに同期モータの出力を抑制する理由について説明する。
【0078】
第1に、上述のように、2箇所で漏電が発生すると、それら2つの漏電箇所とバッテリとを含む電流経路が形成され、過大な電流が流れるおそれがあるためである。このような事態を回避するために、2箇所目の漏電が検出された場合、全てのインバータを遮断して両方のモータの出力を抑制することが望ましい。
【0079】
第2に、誘導モータの漏電検出によりインバータ230の遮断制御を行なった状態において漏電がさらに検出された場合、漏電箇所がいずれの箇所であっても、同期モータの出力を抑制することが望ましいためである。すなわち、漏電箇所が同期モータであれば、同期モータの出力を抑制する必要がある。一方、漏電箇所が誘導モータであれば、インバータ230が適切に遮断されていない可能性(たとえばインバータ230内のトランジスタQ23〜Q28の故障によりゲート遮断が適切に実行されていない可能性)が考えられるため、フェイルセーフの観点から同期モータの出力を抑制する必要がある。あるいは、漏電検出器400に異常が発生し漏電が正確に検出できなくなった可能性が考えられ、この場合にも同期モータの出力を抑制することが望ましい。
【0080】
このように、実施の形態2によれば、誘導モータの漏電が検出され誘導モータ用インバータの駆動を禁止した状態において漏電がさらに検出された場合、漏電箇所が同期モータおよび誘導モータのいずれであるかにかかわらず、同期モータの出力が抑制されるので、漏電によって過大な電流が流れることを防止できる。
【0081】
なお、漏電フラグのオン/オフに関する情報は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ(図示せず)に記憶させることが好ましい。これにより、漏電フラグのオンの状態において、たとえば車両1のダイアグ(自己診断の履歴データ)が次回走行時にリセットされたり、あるいは補機バッテリ(図示せず)の交換によりECU300への電力供給が遮断されたりしても、漏電フラグがオフに戻りインバータ230の遮断が解除されることを回避できる。
【0082】
また、漏電フラグのオンからオフへの切替は、ユーザ操作によっては実行不可能とすることが好ましい。これは、漏電フラグの切替には、たとえばディーラまたは修理工場等に設置した特定の機器(サービスツール)が必須とすることにより実現できる。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 車両、10 第1モータジェネレータ、20 第2モータジェネレータ、30 動力分割機構、40 駆動軸、50 減速機、100 エンジン、200 PCU、210,220,230 インバータ、240 昇圧コンバータ、250 バッテリ、260 リヤモータジェネレータ、270 リヤディファレンシャルギヤ、300 ECU、350F 前輪、350R 後輪、400 漏電検出器、402 交流信号発生器、404 電圧センサ、Q1,Q2,Q13〜Q18,Q23〜Q28,Q33〜Q38 トランジスタ、D1,D2,D13〜D18,D23〜D28,D33〜D38 逆並列ダイオード、R 抵抗、R1 放電抵抗、C コンデンサ、C1,C2 平滑コンデンサ、L リアクトル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7