(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245100
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ふとん乾燥マット及びふとん乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
D06F58/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-147929(P2014-147929)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-22146(P2016-22146A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】稲見 淳一
(72)【発明者】
【氏名】根岸 恵
【審査官】
長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−4266(JP,A)
【文献】
特開2000−116994(JP,A)
【文献】
実開昭53−162475(JP,U)
【文献】
実開平3−92493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一非通気シートの片面側に平面視矩形枠状の第二非通気シートの周縁を接合して形成される平面視矩形枠状の風路と、
矩形枠状の前記風路の一短辺を構成する第一短辺側風路の外縁側に設けられ、前記風路内に温風を導入するための温風導入口と、
前記風路内から温風を吹き出すための温風吹出口と、
前記第一短辺側風路内において、前記第二非通気シートの一部が前記第一非通気シートに接合された接合部と、
を備えるふとん乾燥マット。
【請求項2】
前記接合部は、前記第一短辺側風路の一部を長手方向に沿って並列に分割するように直線状に設けられて成る請求項1に記載のふとん乾燥マット。
【請求項3】
前記接合部は、前記接合部よりも外縁側に位置する風路の幅が、前記接合部よりも内縁側に位置する風路の幅よりも狭くなる位置に設けられて成る請求項2に記載のふとん乾燥マット。
【請求項4】
前記接合部は、前記温風導入口に対向する領域を避けて設けられて成る請求項2又は請求項3に記載のふとん乾燥マット。
【請求項5】
前記温風吹出口は、前記風路の内縁側に設けられて成る請求項1から請求項4の何れか1項に記載のふとん乾燥マット。
【請求項6】
矩形枠状の前記風路は、前記第一短辺側風路に対向する第二短辺側風路を含み、
前記第二短辺側風路内において、前記第二非通気シートの一部が前記第一非通気シートに接合された第二接合部を更に備える請求項1から請求項5の何れか1項に記載のふとん乾燥マット。
【請求項7】
前記第二接合部は、前記第二短辺側風路の一部を長手方向に沿って並列に分割するように直線状に設けられて成る請求項6に記載のふとん乾燥マット。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1項に記載のふとん乾燥マットと、
前記温風導入口に温風を吹き込む本体と、
を備えるふとん乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ふとん等を乾燥させるためのふとん乾燥マット及びふとん乾燥マットを備えたふとん乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、ふとん乾燥機等に使用される乾燥マットにおいて、平面視矩形枠状の風路が形成されたものが開示されている。この乾燥マットは、より詳しくは、平面視矩形枠状の短辺の外縁側にふとん乾燥機本体から延びるホースが接続され、内縁側には温風を吹き出す吹出口が設けられている。ふとん乾燥機本体からホースを介して乾燥マットに温風が導入されると、乾燥マットの風路が膨らんで掛け布団が持ち上げられる。この際、掛け布団と敷き布団の間には空間が形成され、この空間には吹出口から温風が吹き出される。吹き出された温風は布団に浸透してふとんを乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−141458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の乾燥マットをふとんの乾燥に用いる場合、敷き布団の上に乾燥マットを敷き、その上に掛け布団を被せて使用する。この際、乾燥マットとホースとを接続し易くするために、使用者は乾燥マットのホース側の短辺をふとんの外縁寄りに配置する傾向にある。このような状態でふとん乾燥機本体から乾燥マットに温風が導入されると、掛け布団が持ち上げられた際に掛け布団と敷き布団との間に隙間が生じるおそれがある。この場合、当該隙間から温風が漏れてふとん乾燥の効率が低下するおそれがある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、ふとんの間からの温風漏れを抑制して効率のよい乾燥を行うことのできるふとん乾燥マット及びふとん乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るふとん乾燥マットは、第一非通気シートの片面側に平面視矩形枠状の第二非通気シートの周縁を接合して形成される平面視矩形枠状の風路と、矩形枠状の風路の一短辺を構成する第一短辺側風路の外縁側に設けられ、風路内に温風を導入するための温風導入口と、風路内から温風を吹き出すための温風吹出口と、第一短辺側風路内において、第二非通気シートの一部が第一非通気シートに接合された接合部と、を備えるものである。
【0007】
また、この発明に係るふとん乾燥機は、上述したふとん乾燥マットと、温風導入口に温風を吹き込む本体と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、温風導入口が設けられている側においてふとん乾燥マットの高さ方向の膨らみを抑えることができるので、ふとんの間からの温風漏れを抑制して効率のよい乾燥を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るふとん乾燥マットを採用したふとん乾燥機の全体構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るふとん乾燥機を用いてふとんを乾燥させる場合の使用断面図である。
【
図3】実施の形態3に係るふとん乾燥マットを採用したふとん乾燥機の全体構成を示す図である。
【
図4】実施の形態3に係るふとん乾燥機を用いてふとんを乾燥させる場合の使用断面図である。
【
図5】比較例としてのふとん乾燥機を用いてふとんを乾燥させる場合の使用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。なお、各図中において、同一又は相当する部分には同一の符号を付すとともに、重複する説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るふとん乾燥マットを採用したふとん乾燥機の全体構成を示す図である。なお、
図1では、ふとん乾燥マットについて、裏面から見た平面図を示している。
図1に示すように、本実施の形態1に係るふとん乾燥機は、本体1と、本体1に取り付けられたホース2と、ふとん乾燥マット3とを備えている。本体1は内部にヒータ及び送風機を備えており、送風機により吸引した室内空気をヒータで加熱して温風にし、ホース2から吹き出す仕組みになっている。
【0012】
ふとん乾燥マット3は、平面視矩形状の第一非通気シート4と、平面視矩形枠状の第二非通気シート5と、により構成されている。第一非通気シート4は、短辺4a,4b及び長辺4c,4dにより構成された矩形の外周縁を有している。また、第二非通気シート5は、短辺5a,5b及び長辺5c,5dで構成された矩形の外周縁と、短辺5e,5f及び長辺5g,5hで構成された矩形の内周縁とにより構成されている。第二非通気シート5は第一非通気シート4よりも小さく構成され、第一非通気シート4の短辺4aに短辺5aを一致させた位置で、第二非通気シート5の周縁が第一非通気シート4の片面側に接合されている。これにより、接合された第二非通気シート5と第一非通気シート4との間には、平面視矩形枠状の風路6が形成される。なお、以下の説明では、短辺5aと短辺5eの間,短辺5bと短辺5fの間に形成される風路をそれぞれ第一短辺側風路6a,第二短辺側風路6bと称し、長辺5cと長辺5gの間,長辺5dと長辺5hの間に形成される風路をそれぞれ第一長辺側風路6c,第二長辺側風路6dと称することとする。
【0013】
短辺5aの長辺5c側端部には、本体1から延びるホース2を接続するためのホース差込口7が設けられている。ホース差込口7は、本体1からの温風をホース2を介して風路6内に導入するための温風導入口として機能する。また、短辺5e,5f及び長辺5g,5hの一端には、それぞれ対角となるように吹出口8が設けられている。吹出口8は、本体1から風路6内に導入された温風が外部へ吹き出すための温風吹出口として機能する。
【0014】
また、ふとん乾燥マット3は、その特徴的な構成として、第一非通気シート4と第二非通気シート5とを線状に接合することにより風路6を並列に分割する接合部9を備えている。接合部9は、より詳しくは、短辺5aと短辺5eの間において、第一短辺側風路6aの長手方向に長辺5dからホース差込口7の手前まで直線状に延びるように設けられている。これにより、接合部9が設けられている第一短辺側風路6aの範囲は、その風路が並行に分割される。
【0015】
次に、上述のようなふとん乾燥マット3を用いてふとんを乾燥させる場合の動作について、更に
図2及び
図5も参照して説明する。
図2は、実施の形態1に係るふとん乾燥機を用いてふとんを乾燥させる場合の使用断面図である。また、
図5は、比較例としてのふとん乾燥機を用いてふとんを乾燥させる場合の使用断面図である。なお、
図5のふとん乾燥機は、ふとん乾燥マットに接合部9が設けられていない点を除き、実施の形態1に係るふとん乾燥機と同様の構成を有している。
【0016】
図2に示すように、ふとん乾燥マット3を用いてふとんを乾燥させる場合、ふとん乾燥マット3の第二非通気シート5が設けられている側の面を敷き布団101の上に対向させて敷き、その上に掛け布団102を掛ける。次に、本体1のホース2をふとん乾燥マット3のホース差込口7に差し込んで固定する。この状態で本体1を運転すると、本体1において温風が発生し、その温風はホース2を介して第一非通気シート4と第二非通気シート5で構成された矩形枠状の風路6に送り込まれる。風路6に送り込まれた温風は、風路6を膨らませて、掛け布団102を敷き布団101から浮かせる。
【0017】
ここで、ふとん乾燥マット3を敷き布団101に設置する場合に、使用者はホース差込口7を敷き布団101の短端部に近づけて配置する傾向にある。このため、
図5に示すように、接合部9を備えていないふとん乾燥マット3では、風路6の膨らみによって、敷き布団101と掛け布団102との間に隙間ができてしまうおそれがある。この場合、温風が当該隙間を通って外部空間へ放出されるため、乾燥効率が低下するおそれがある。
【0018】
これに対して、本実施の形態1のふとん乾燥マット3は、接合部9によって風路6の一部が分割されている。このような構成によれば、風路6が温風によって膨らむ際、第一短辺側風路6aは、並行に分割されて膨らむ。分割された風路6は高さ方向の膨らみが抑えられる。これにより、風路6によって掛け布団102が持ち上げられた場合であっても、ホース差込口7が設けられた側の掛け布団102の短端部は敷き布団101に密着した状態に維持される。
【0019】
また、風路6が温風によって膨らむ際、矩形枠状の風路6で囲まれた凹部Aと敷き布団101とにより形成される空間内には、吹出口8から温風が吹き出す。吹出口8から前記空間内に吹出された温風は、一度空間内に溜まり、敷き布団101に浸透して敷き布団101の内部を乾燥させる。敷き布団101の内部を通過した温風は矩形枠状の風路6の外周縁より外側の敷き布団101の面から吹き出す。吹き出された温風は、敷き布団101と掛け布団102の端部が密着しているため、さらに、掛け布団102の内部を通過し、室内へと放出される。温風が掛け布団102の内部を通過する際、掛け布団102の内部も乾燥させる。
【0020】
以上説明したように、実施の形態1のふとん乾燥機によれば、第一短辺側風路6aが複数個の風路に分割されているため、その高さ方向の膨らみが抑えられる。これにより、掛け布団102の短端部が持ち上げられ過ぎず、それによって敷き布団101と掛け布団102とに隙間が発生しない。このため、前述した凹部Aから敷き布団101へ浸透し、矩形枠状の風路6の外周から吹出された温風は、さらに掛け布団102の内部へ浸透することで掛け布団102も乾燥させることができ、効率よく乾燥することが可能となる。
【0021】
また、実施の形態1のふとん乾燥マットは第一非通気シート4と平面矩形枠状の第二非通気シート5の接合時に短辺4aに短辺5aを一致させた位置で接合できるので、第一非通気シート4と第二非通気シート5のズレが発生しにくく、接合の手間が省けるという利点もある。
【0022】
また、実施の形態1のふとん乾燥機によれば、ホース差込口7に対向する領域には接合部9が設けられていない。このため、ホース2を介して風路6内に導入される温風の圧力損失が増大することを有効に回避しつつ、乾燥効率の向上を図ることが可能となる。
【0023】
ところで、上述した実施の形態1のふとん乾燥機では、長辺5dからホース差込口7の手前まで延びるように接合部9が設けられているが、接合部9の構成はこれに限られない。すなわち、接合部9は、ホース差込口7に対向する領域を避けつつ第一短辺側風路6aを長手方向に並行に分割する構成であれば、その長さ、本数、及び配置等は限定されない。また、ホース差込口7についても、第一短辺側風路6aの外縁側端部に限らず外縁側の他の位置でもよい。
【0024】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2に係るふとん乾燥マットを採用したふとん乾燥機は、基本的に実施の形態1のふとん乾燥機と同様の構成であるため、
図1を参照して説明する。実施の形態2に係るふとん乾燥機は、ふとん乾燥マット3に設けられた接合部9の構成に特徴を有している。すなわち、実施の形態2に係る接合部9は、短辺5aと短辺5eの間において、短辺5a(外縁側)から接合部9までの距離aが接合部9から短辺5e(内縁側)までの距離bよりも短くなるような位置、すなわち距離a<距離bとなる位置に設けられている。このような構成によれば、接合部9によって並行に分割された複数の風路のうち、第一短辺側風路6aの外縁側に位置する風路の風路幅が内縁側の風路の風路幅よりも狭くなる。
【0025】
このようなふとん乾燥マット3にホース2を接続して本体1を運転すると、ホース差込口7から第一短辺側風路6a内に温風が送り込まれる。温風は分割された第一短辺側風路6aのうちの内縁側の風路を通過して第一長辺側風路6c,第二長辺側風路6dへと流通する。本実施の形態2のふとん乾燥マット3では、この内縁側の風路の幅が外縁側よりも太くなるように構成されている。これにより、内縁側の風路の幅が狭いことによる風路抵抗の増加によって風量が減少し、乾燥性能が悪化することを有効に抑制することができる。
【0026】
また、分割された第一短辺側風路6aのうちの外縁側の風路幅が狭いと、掛け布団102の短辺部の持ち上がりを有効に抑えることができる。これにより、掛け布団の短部からの持ち上がり形状がスムーズとなるので、ふとん乾燥マット3を敷き布団101の端に敷いても、敷き布団101と掛け布団102の短辺部との間に隙間が発生し難く、ホース2とふとん乾燥マット3の接続も容易になる。
【0027】
実施の形態3.
次に、
図3及び
図4を参照して実施の形態3について説明する。
図3は、実施の形態3に係るふとん乾燥マットを採用したふとん乾燥機の全体構成を示す図である。
図3に示すように、ふとん乾燥マット10の第二非通気シート5は、長辺の長さが第一非通気シート4と同じ長さに構成され、第一非通気シート4の短辺4aに短辺5aを合わせ且つ短辺4bに短辺5bを合わせた位置で、第二非通気シート5の外周縁及び内周縁が第一非通気シート4の片面側に接合されている。
【0028】
また、
図3に示すふとん乾燥マット10は、短辺5aと短辺5eの間の接合部9に加えて、短辺5bと短辺5fの間にも風路6を並列に分割する第二接合部11を備えている。第二接合部11は、より詳しくは、短辺5bと短辺5fの間において、長辺5cから第二短辺側風路6bの長手方向に沿って長辺5dの手前まで直線状に延びるように設けられている。これにより、第二接合部11が設けられている第二短辺側風路6bの範囲は、その風路が並行に分割される。
【0029】
図4は、実施の形態3に係るふとん乾燥機を用いて布団を乾燥させる場合の使用断面図である。この図に示すように、本実施の形態3のふとん乾燥マット10は、接合部9,第二接合部11によって第一短辺側風路6a,第二短辺側風路6bの一部がそれぞれ分割されている。このような構成によれば、両短辺において風路の高さ方向の膨らみを抑えることができるので、矩形枠状の風路6を乾燥マット10の長手方向に長くすることができる。これにより、ふとんの端部まで効率よく乾燥させることが可能となる。
【0030】
ところで、上述した実施の形態3のふとん乾燥機では、長辺5cから第二短辺側風路6bの長手方向に沿って長辺5dの手前まで直線状に延びるように第二接合部11が設けられている。しかしながら、第二接合部11は、第二短辺側風路6bを長手方向に並行に分割する構成であれば、その長さ、本数、及び配置等は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、ふとん乾燥マット及び、これを用いたふとん乾燥機に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 本体、2 ホース、3 ふとん乾燥マット、4 第一非通気シート、5 第二非通気シート、6 風路、6a 第一短辺側風路、6b 第二短辺側風路、7 ホース差込口(温風導入口)、8 吹出口(温風吹出口)、9 接合部、10 ふとん乾燥マット、11 第二接合部、101 敷き布団、102 掛け布団