(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術において、A3サイズのような大きなシートに対応してシート搬送装置が設計される場合、シート搬送方向と交差するシート幅方向において、湾曲ガイド部や手差し給紙ガイド部の幅が大きくなる。この結果、湾曲ガイド部や手差し給紙ガイド部が撓みやすく、シートの搬送精度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、シートの搬送精度を向上させたシート搬送装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係るシート搬送装置は、所定の装置本体に備えられ、シートを搬送するシート搬送装置であって、前記装置本体の下方に設けられ、シートが収容されるシート収容部と、前記シート収容部に収容された前記シートを送り出す第1給紙部材と、前記装置本体の側面に設けられ、シートを載置するシートトレイと、前記シートトレイに載置された前記シートを送り出す第2給紙部材と、前記シート収容部及びシートトレイから送り出された前記シートが所定の搬送方向に搬送される主搬送路と、前記シート収容部から前記主搬送路に向けて前記シートが搬送される第1搬送路と、前記シートトレイから前記主搬送路に向けて前記シートが搬送される第2搬送路と、前記第1搬送路の一側面を構成し、前記シート収容部から前記主搬送路へ前記シートを案内する第1シート案内部と、前記シートトレイから前記主搬送路へ前記シートを案内する第2シート案内部とを有し、前記主搬送路の前記搬送方向の上流側端部において、前記第1シート案内部が前記第2シート案内部に対して下方から合流するように、前記第1シート案内部および前記第2シート案内部が一体的に設けられたガイドユニットと、を備える。
【0007】
本構成によれば、ガイドユニットは、第1シート案内部および第2シート案内部を備える。このため、シート収納部のシートをガイドする第1シート案内部と、シートトレイのシートをガイドする第2シート案内部とが、それぞれ別のユニットに備えられた場合と比較して、ガイドユニットを一体化することができる。したがって、ガイドユニットの剛性が高められることで、各案内部の撓みが抑制され、主搬送路に向かうシートの搬送精度が向上される。また、主搬送路に対する第1シート案内部および第2シート案内部の位置精度が向上される。更に、ユニットの共通化によって、シート収容部およびシートトレイからシートを搬送するシート搬送装置のコストが低減される。
【0008】
上記の構成において、前記ガイドユニットは、前記シートトレイの前記搬送方向下流側に配置され、前記シートトレイに載置された前記シートの先端を前記第2給紙部材に当接させる昇降板を更に有することが望ましい。
【0009】
本構成によれば、シートトレイに載置されるシートを第2給紙部材に当接させる昇降板がガイドユニットに備えられる。したがって、シートトレイに載置されたシートの主搬送路への搬送精度が更に向上される。
【0010】
上記の構成において、前記ガイドユニットは、前記昇降板を回動可能に支持する支点部を備えることが望ましい。
【0011】
本構成によれば、ガイドユニットは、昇降板を回動可能に支持する機能を更に備える。したがって、ガイドユニットの剛性が高められることによって、シートトレイのシートの給紙動作が安定して実現される。
【0012】
上記の構成において、前記ガイドユニットの前記第2シート案内部は、前記第2給紙部材に対向して配置され、前記ガイドユニットは、前記昇降板の前記搬送方向下流側で、前記搬送方向と交差するシート幅方向において前記第2シート案内部の中央部に配置され、前記第2給紙部材との間でシートが通過するニップ部を形成し、前記シートを捌くパッド部材を備えることが望ましい。
【0013】
本構成によれば、ガイドユニットは、シートトレイに載置されたシートを捌く機能を更に備える。したがって、ガイドユニットの剛性が高められることによって、シートトレイのシートが安定して捌かれる。
【0014】
上記の構成において、前記ガイドユニットは、樹脂材料からなり一体成型によって成形されることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、第1シート案内部および第2シート案内部が一体的に成形される。
【0016】
上記の構成において、前記ガイドユニットは、端縁を含み、前記シート幅方向に間隔をおいて複数配置され、前記搬送方向に延びるリブ部材を備え、前記第1シート案内部は、前記複数のリブ部材の前記端縁によって形成されていることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、ガイドユニットが複数のリブ形状を備えることによって、ガイドユニットの剛性が更に高められる。また、シート収容部から送り出されたシートと第1シート案内部との摺動抵抗を低減することができる。
【0018】
上記の構成において、前記ガイドユニットの前記第1シート案内部に対して所定の間隔をおいて配置され、前記第1搬送路の他側面を構成し、前記第1シート案内部との間で前記シート収容部から送り出された前記シートを案内する第3シート案内部を含み、前記主搬送路の下面部を画定する搬送ユニットを更に有し、前記ガイドユニットは、前記シート幅方向の両端部において前記搬送ユニットにネジ止めされていることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、ガイドユニットが搬送ユニットにネジ止め固定されることによって、搬送ユニットの剛性を高めることができる。
【0020】
上記の構成において、前記ガイドユニットおよび前記搬送ユニットのうちの一方から他方に向かって突設された当接部と、前記ガイドユニットおよび前記搬送ユニットのうちの前記他方に配設された被当接部と、を備え、前記当接部が前記被当接部に当接した状態で、前記ガイドユニットが前記搬送ユニットにネジ止めされることが望ましい。
【0021】
本構成によれば、ガイドユニットの第1シート案内部と搬送ユニットの第3シート案内部との間の間隔を安定して維持することができる。
【0022】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、装置本体と、上記の何れか1に記載のシート搬送装置と、前記主搬送路に対向して配置され、前記シートに画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0023】
本構成によれば、ガイドユニットの剛性を高められ各シート案内部の撓みが抑制されることで、主搬送路に向かうシートの搬送精度が向上される。この結果、シートに安定して画像を形成することができる。
【0024】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、装置本体と、上記に記載のシート搬送装置と、前記主搬送路に対向して配置され、前記シートに画像を形成する画像形成ユニットと、を有し、前記装置本体は、前記シート幅方向において間隔をおいて配置される一対の側壁と、前記一対の側壁の間に形成され、前記画像形成ユニットが装着される装着部と、開閉可能な開閉カバーと、を備え、前記開閉カバーが開放されることで、前記画像形成ユニットが前記装置本体から取り外し可能とされ、前記取り外し時に前記画像形成ユニットが通過する領域の下方において、前記搬送ユニットの前記シート幅方向の両端部が、前記一対の側壁にそれぞれ固定されていることを特徴とする。
【0025】
本構成によれば、画像形成ユニットが装置本体に対して取り外し可能とされる。このため、画像形成ユニットおよび装置本体の内部のメンテナンス性が向上する。この際、取り外し時に画像形成ユニットが通過する領域には、装置本体の剛性を高めるフレームなどを配置することが困難となる。このような場合であっても、搬送ユニットのシート幅方向の両端部が、一対の側壁にそれぞれ固定されているため、搬送ユニットが装置本体の剛性を高めることができる。更に、ガイドユニットが搬送ユニットに固定されることで、装置本体の剛性を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、シートの搬送精度を向上させたシート搬送装置、およびこれを備えた画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンター100(画像形成装置)の斜視図である。
図2は、
図1に示されるプリンター100の内部構造を概略的に示す断面図である。
図1および
図2に示される画像形成装置としてのプリンター100は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
【0029】
プリンター100は、シートSに画像を形成するための様々な装置を収容する筐体200(装置本体)を備える。筐体200は、筐体200の上面を規定する上壁201と、筐体200の底面を規定する底壁201B(
図2)と、上壁201と底壁201Bとの間の背面壁245(
図2)と、背面壁245の前方に位置する前壁250と、を含む。筐体200は、各種の装置が配置される本体内部空間260(内部空間)を備える。また、プリンター100は、筐体200に対して開閉自在に装着される開閉カバー200Cを備える。
【0030】
開閉カバー200Cは、前壁250の上方部分である前壁上方部235と、上壁201の前方部分である上壁前方部205とから構成される。また、開閉カバー200Cは、左右方向の両端部に配置された一対のアーム部230を支点として、上下方向に開閉可能とされる(
図9参照)。開閉カバー200Cの開状態において、本体内部空間260の上方が外部に露出する。一方、開閉カバー200Cの閉状態において、本体内部空間260の上方が閉塞される。
【0031】
上壁201の中央部には、排紙部210が配置される。排紙部210は、上壁210の前方部分から後方部分にかけて、下方に傾斜した傾斜面からなる。排紙部210には、後記の画像形成ユニット120において、画像が形成されたシートSが排出される。
【0032】
図2を参照して、プリンター100は、シート搬送装置100Aと、レジストローラー対116と、画像形成ユニット120(画像形成部)と、露光装置123と、転写ローラー126と、定着装置130と、を備える。
【0033】
シート搬送装置100Aは、筐体200の下方部分に配置され、レジストローラー対116を経て、後記の転写ニップ部にシートSを搬送する。シート搬送装置100Aは、給紙カセット110(シート収容部)と、手差しトレイ240(シートトレイ)と、ピックアップローラー112と、第1給紙ローラー113(第1給紙部材)と、第2給紙ローラー114(第2給紙部材)と、搬送ローラー115と、両面搬送ローラー145と、を備える。また、シート搬送装置100Aの内外には、シート搬入路SPと、湾曲搬送路GP(第1搬送路)と、主搬送路HP(シート搬送路)と、両面搬送路DPとが配設されている。
【0034】
給紙カセット110は、筐体200の下方部分に装着される。給紙カセット110は、筐体200に対して着脱可能とされる。給紙カセット110の内部に、定型サイズのシートS(第1のシート)が収容される。給紙カセット110は、リフト板111を備える。リフト板111の上にシートSが積載される。また、リフト板111の先端が不図示の昇降機構によって上方に移動されると、シートSの先端がピックアップローラー112に当接される。
【0035】
手差トレイ240は、下端を支点として、上下に回動可能である(
図2の矢印D1)。手差しトレイ240が開放されると、手差しトレイ240の上面に手差し用のシートS(不図示、第2のシート)が載置される。筐体200のうち手差しトレイ240の内側には、手差しトレイ240から主搬送路HPに向けてシートSが搬送される搬送路(不図示、第2搬送路)が形成されている。
【0036】
シート搬入路SPは、給紙カセット110から延設されるシートSの搬送路である。湾曲搬送路GPは、シート搬入路SPの下流側に連通された搬送路である。湾曲搬送路GPは、シート搬入路SPを前方かつ上方に向かって搬送されたシートSを反転させ、主搬送路HPに向けてシートSが搬送される搬送路である。主搬送路HPは、筐体200の上下方向の略中央部において、前方から後方に向かって延設された搬送路である。主搬送路HPは、後記の搬送ユニット50の上面部と筐体200内の不図示のガイド壁とによって画定されている。給紙カセット110のシートSは、後記の搬送ガイド部60によって反転された後、主搬送路HPに搬送される。
【0037】
両面搬送路DPは、上下方向において給紙カセット110と主搬送路HPとの間で、主搬送路HPに沿って延設された搬送路である。両面搬送路DPは、後記の搬送ユニット50の内部に延設されている。両面搬送路DPは、一のシート面に画像が形成されたシートSを再び湾曲搬送路GP(後記の搬送ガイド部60の第1湾曲面603)に向かって搬送する。両面搬送路DPの搬送方向下流側は、
図2の合流部141においてシート搬入路SPに合流する。
【0038】
ピックアップローラー112は、シートSに当接し、回転され、当該シートSをシート搬入路SPに向かって送り出す。第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112よりもシートSの搬送方向下流側に配置され、回転され、給紙カセット110に収容されたシートSを更に、シート搬入路SPに送り出す。
【0039】
第2給紙ローラー114は、手差しトレイ240に隣接して、筐体200の内部に配置されたローラーである。第2給紙ローラー114は、回転され、手差しトレイ240に載置されたシートSを主搬送路HPに向かって送り出す。搬送ローラー115は、第2給紙ローラー114よりも筐体200の内部に配置されたローラーである。搬送ローラー115は、後記の搬送ユニット50の前端部(主搬送路HPの搬送方向上流側端部)に配置されている。搬送ローラー115は、給紙カセット110から送り出されたシートS、または、両面搬送路DPを搬送されたシートSをレジストローラー対116に向かって反転させながら搬送する。
【0040】
両面搬送ローラー145は、両面搬送路DPに配設された搬送ローラーである。両面搬送ローラー145は、シートSを前方に向かって搬送する。なお、本実施形態に係るシート搬送装置100Aについては、後記で更に詳述する。
【0041】
レジストローラー対116は、主搬送路HP(シート搬送路)に配置されている。レジストローラー対116は、シートSの斜め搬送を矯正する機能を有する。これにより、各シート上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー対116は、画像形成ユニット120による画像形成のタイミングに合わせて、シートSを後記の転写ニップ部に向かって搬送する。なお、レジストローラー対116のうち下方のローラーは、後記の搬送ユニット50に回転可能に支持されている。
【0042】
画像形成ユニット120は、主搬送路HPに対向して配置される。画像形成ユニット120は、給紙カセット110または手差しトレイ240から搬送されたシートSに画像を形成する。画像形成ユニット120は、感光体ドラム121(像担持体)と、帯電器122と、現像装置124と、トナーコンテナ125と、クリーニング装置127とを備える。なお、感光体ドラム121(像担持体)、帯電器122、現像装置124、トナーコンテナ125およびクリーニング装置127を含む画像形成ユニット120は、筐体200に対して一体的に着脱可能とされる。
【0043】
感光体ドラム121は、円筒形状を有する。感光体ドラム121は、周面に静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー画像を担持する。帯電器122は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。
【0044】
現像装置124は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124へトナーを供給する。現像装置124がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像が形成されることとなる。
【0045】
クリーニング装置127は、シートSへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置127によって、清浄化された感光体ドラム121の周面は、再度、帯電器122の下方を通過し、一様に帯電される。その後、上述のトナー画像の形成が新たに行われる。
【0046】
露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面に、レーザー光を照射する。この結果、感光体ドラム121の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。露光装置123は、後記の装着フレーム220に固定されている。
【0047】
転写ローラー126は、感光体ドラム121の周面に当接するように、回転可能に配設されている。レジストローラー対116から搬送された各シートが、感光体ドラム121と転写ローラー126との間の転写ニップ部を通過するときに、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー画像が、シートに転写される。なお、転写ローラー126は、感光体ドラム121から見て、露光装置123の反対側に配置される。また、転写ローラー126は、後記の搬送ユニット50に回転可能に支持されている。
【0048】
定着装置130は、シートS上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートSを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。シートSが加熱ローラー131と圧力ローラー132との間を通過すると、トナー画像はシートSに定着される。
【0049】
プリンター100は、定着装置130の下流に配設された搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134と、を更に備える。シートSは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体200から排出される。筐体200から排出されたシートSは、排紙部210上に積み重ねられる。搬送ローラー対133および排出ローラー対134は、後記の排紙ユニット200Mに回転可能に支持されている。
【0050】
更に、プリンター100は、切替搬送部140を備える。切替搬送部140は、画像形成ユニット120において画像が形成されたシートSの搬送先を、搬送ローラー対133側と、両面搬送路DP側とで切り替える機能を備える。なお、シートSが両面搬送路DPに搬入される際、シートの先端部が部分的に筐体200の外部に露出され、シートSがスイッチバックされる。
【0051】
次に、
図3乃至
図6A、
図6Bを参照して、本実施形態に係るシート搬送装置100Aについて更に詳述する。
図3は、本実施形態に係るシート搬送装置100Aの搬送ガイド部60および搬送ユニット50の斜視図である。
図3は、手差しトレイ240が開放され、不図示のフレームなどが取り除かれた状態で、プリンター100の筐体200の内部の様子を前側から見た図に相当する。
図4は、搬送ガイド部60および搬送ユニット50の分解斜視図である。
図5は、搬送ガイド部60および搬送ユニット50の断面斜視図である。
図6Aは、搬送ガイド部60の斜視図である。
図6Bは、搬送ガイド部60および手差しリフト板70の斜視図である。なお、
図6Aは、
図6Bから後記の手差しリフト板70、第2従動ローラー604および手差し給紙パッド605が取り外された状態に相当する。
【0052】
シート搬送装置100Aは、搬送ガイド部60と、搬送ユニット50と、手差しリフト板70(
図6B)(昇降部材)とを備える。搬送ガイド部60および搬送ユニット50は、シートSが搬送される搬送路を形成するユニットである。
図2を参照して、搬送ガイド部60は、前後方向において、搬送ローラー115と手差しトレイ240との間に配置されている。
図6Bを参照して、搬送ガイド部60は、前後方向に延びるガイドハウジング600(ガイドユニット)と、第2従動ローラー604と、手差し給紙パッド605(
図6B)(パッド部材)と、を備える。ガイドハウジング600は、樹脂材料からなり一体成型によって成形されたハウジングである。ガイドハウジング600は、給紙カセット110から送出されるシートSの搬送方向と交差するシート幅方向(前後方向)に延設された外周部を含む。搬送ガイド部60は、搬送ユニット50とともに、第1給紙ローラー113によって送り出されたシートSを反転させながら主搬送路HPに向かってガイドする機能を備える。ガイドハウジング600は、搬送ユニット50にネジ止めされることで、固定される。
【0053】
図6Aおよび
図6Bを参照して、ガイドハウジング600は、ガイド部搬送面601(第2シート案内部)と、ガイドリブ602(リブ部材)と、第1湾曲面603と、を備える。また、ガイドハウジング600は、側板60Vと、ガイド軸支部60S(支点部)と、リフト板支持部60Tとを備える。更に、ガイドハウジング600は、第1孔部611と、第2孔部612(
図4)と、第3孔部613と、第4孔部621と、第5孔部622(
図4)と、第6孔部623とを備える。
【0054】
ガイド部搬送面601は、ガイドハウジング600の外周部の一部からなる。ガイド部搬送面601は、ガイドハウジング600の後側(シートの搬送方向下流側)の上面部によって構成される。ガイド部搬送面601は、前後方向に所定の幅をもって左右方向(シート幅方向)に延びる平面部である。
図2において、ガイド部搬送面601は、手差しトレイ240と主搬送路HPとの間に配置され、前述の第2搬送路の一部を形成している。また、ガイド部搬送面601は、第2給紙ローラー114に対向して配置されている。そして、ガイド部搬送面601は、手差しトレイ240上に載置されたシートSを主搬送路HPに向かってガイド(案内)する機能を備える。
【0055】
ガイドリブ602は、ガイド部搬送面601の下方においてシートの搬送方向に延び、シート幅方向に間隔をおいて配置された複数のリブである。なお、
図6Bでは、一部のガイドリブ602に符号を付している。ガイドリブ602は、湾曲形状からなる端縁602Sを含む。そして、ガイドリブ602の端縁602Sによって、シートSをガイドする第1湾曲面603(第1シート案内部)が形成されている(
図5)。第1湾曲面603は、ガイドハウジング600の外周部の一部からなり、シートSをガイドする湾曲したガイド面である。そして、第1湾曲面603は、後記の第2湾曲面50G(
図5)と対向し、湾曲搬送路GP(
図2)の外側面(一側面)を形成している。このように、ガイドハウジング600が複数のガイドリブ602を備えることによって、ガイドハウジング600の剛性が高められる。また、給紙カセット110から送られたシートSと第1湾曲面603との摺動抵抗を低減することができる。
【0056】
第2従動ローラー604は、ガイドハウジング600の左右方向の中央部において、隣接するガイドリブ602同士の間に配置された一対のローラーである。第2従動ローラー604は、搬送ローラー115に対して従動回転することで、シートSの搬送を促進する。
【0057】
手差し給紙パッド605は、手差しリフト板70のシート搬送方向下流側で、ガイド部搬送面601のシート幅方向の中央部に配置された弾性のパッド部材である。
図5を参照して、手差し給紙パッド605は、第2給紙ローラー114との間で、手差しトレイ240(
図2)に載置されたシートSが通過するニップ部を形成する。当該ニップ部において、複数のシートSが捌かれ、シートSが1枚ずつ主搬送路HPに搬入される。
【0058】
側板60V(
図6A)は、ガイドハウジング600のシート幅方向の両端部から上方に向かって立設された一対の側壁である。また、ガイド軸支部60Sは、一対の側板60Vにおいてそれぞれシート幅方向内側に向かって突設された一対の軸部である。ガイド軸支部60Sは、手差しリフト板70を回動可能に支持する。リフト板支持部60Tは、ガイドハウジング600の上面部のうち、ガイド部搬送面601の前側部分に相当する。リフト板支持部60Tは、ガイド部搬送面601よりも下方に段差をもって低く配置されている。リフト板支持部60Tは、手差しリフト板70を下方から支持する。
【0059】
図4を参照して、第1孔部611、第2孔部612および第3孔部613は、ガイドハウジング600の左端部において、前後方向に開口された穴部である。同様に、第4孔部621、第5孔部622および第6孔部623は、ガイドハウジング600の右端部において、前後方向に開口された穴部である。これらの孔部は、搬送ガイド部60が、搬送ユニット50に固定される際に使用される。
【0060】
手差しリフト板70(
図5、
図6B)は、手差しトレイ240のシート搬送方向下流側に配置されている。手差しリフト板70の上面部には、手差しトレイ240上のシートSの搬送方向先端側が載置される。手差しリフト板70は、回動されることで手差しトレイ240上のシートSを第2給紙ローラー114(
図5)に当接させる。
図6Bを参照して、手差しリフト板70は、シート幅方向に延びる板状部材である。手差しリフト板70は、対向板701と、リフト板アーム702と、リフト板支点部703とを備える。対向板701は、手差しリフト板70のシート幅方向に中央部に配置されるコルク板である。対向板701は、手差しリフト板70上に載置されるシートSの滑りを防止し、手差しトレイ240に載置されるシートの最終紙近傍の重送を防止する。リフト板アーム702は、手差しリフト板70のシート幅方向の両端部に配置された一対のアームである。リフト板支点部703は、一対のリフト板アーム702の上端側に開口された孔部である。一対のリフト板支点部703が一対のガイド軸支部60Sに挿通されることで、手差しリフト板70がガイドハウジング600に回動可能に支持される。手差しリフト板70は、不図示の付勢部材(ばね)によって上方に付勢されている。そして、不図示の駆動機構に連結されたカム部材が、付勢部材の付勢力に抗して、手差しリフト板70を下方に移動させると、手差しリフト板70に載置されたシートが第2給紙ローラー114から離間した状態となる。また、カム部材が更に回動すると、付勢部材の付勢力によって手差しリフト板70が上方に移動し、手差しリフト板70に載置されたシートが第2給紙ローラー114に当接する。このように、不図示のカム部材および付勢部材によって、手差しリフト板70の回動動作が実現される。
【0061】
図2乃至
図5を参照して、搬送ユニット50は、第1給紙ローラー113を含む給紙ユニットの上方(画像形成ユニット120の下方)に配置される扁平状のユニットである。搬送ユニット50の上面部によって、主搬送路HPの一部(下面部)が形成されている。また、搬送ユニット50の内部に両面搬送路DPが形成されている。
図2を参照して、搬送ユニット50の前端側では、シート搬入路SPと両面搬送路DPとがまず合流した後、当該合流した搬送路が、シート搬送方向下流側の主搬送路HPに連結されている。搬送ユニット50は、水平ガイド面50H(
図3、
図5)と、左ユニット側部50L(
図4)と、右ユニット側部50Rと、第2湾曲面50G(第3シート案内部)と、第1締結部511と、第1位置決め部512と、第2締結部513と、第3締結部521と、第2位置決め部522と、第4締結部523とを備える。第1締結部511、第2締結部513、第3締結部521および第4締結部523は、ネジ止め用の穴部であり、第1位置決め部512および第2位置決め部522は、搬送ユニット50から突設されたスタッド(突起)である。また、
図4に示すように、前述のレジストローラー対116のうち下方のローラーが、搬送ユニット50に回転可能に支持されている。
【0062】
水平ガイド面50H(
図3、
図5)は、搬送ユニット50の上面部に相当するガイド面であって、搬送ユニット50の前端側から
図3のレジストローラー116を超えて、感光体ドラム121と転写ローラー126との間の転写ニップに至るまで延設されている。水平ガイド面50Hは、主搬送路HPのシート搬送方向の下流側を画定する。左ユニット側部50Lは、搬送ユニット50の左側の側板である。同様に、右ユニット側部50Rは、搬送ユニット50の右側の側板である。第2湾曲面50Gは、搬送ユニット50の前端部に形成された湾曲したガイド面である。第2湾曲面50Gは、搬送ガイド部60の第1湾曲面603(
図5、
図6B)に対して所定の間隔をおいて配置され、湾曲搬送路GP(
図2)の内側面(他側面)を形成する。湾曲搬送路GPに配置された搬送ローラー115と従動ローラー604(
図5)とで形成される搬送ローラー対によってシートSが搬送される。また、
図4に示すように、第2湾曲面50Gのシート幅方向の中央部には、一対の搬送ローラー115が備えられている。搬送ローラー115は不図示の駆動機構によって回転され、シートSを反転させながら、主搬送路HP(
図2)に向かって搬送する。
【0063】
図4に示すように、搬送ガイド部60が搬送ユニット50に装着されるにあたり、搬送ガイド部60の第2孔部612および第5孔部622が、それぞれ、搬送ユニット50の第1位置決め部512および第2位置決め部522に挿通される。その後、第1孔部611、第3孔部613、第4孔部621および第6孔部623に挿通されたネジが、第1締結部511、第2締結部513、第3締結部521および第4締結部523に締結されることで、搬送ガイド部60がシート搬送方向の両端部において搬送ユニット50に固定される。
【0064】
なお、
図5に示すように、筐体200の内部であって、第2給紙ローラー114の後側には、第1従動ローラー115Aが回転可能に支持されている。第1従動ローラー115Aは、第2従動ローラー604と同様に、搬送ローラー115に従動して回転することで、給紙カセット110または手差しトレイ240から送出されたシートSを主搬送路HPに向かって搬送する。
【0065】
このように、本実施形態では、搬送ガイド部60のガイドハウジング600は、外周部にガイド部搬送面601および第1湾曲面603を備える。そして、主搬送路HPのシート搬送方向の上流側端部において、第1湾曲面603がガイド部搬送面601に対して下方から合流するように、第1湾曲面603およびガイド部搬送面601がガイドハウジング600に一体的に設けられている。このため、給紙カセット110のシートSをガイドする第1湾曲面603と、手差しトレイ240のシートSをガイドするガイド部搬送面601とが、それぞれ別のユニットに備えられた場合と比較して、シートSをガイドするユニットを一体化することができる。そして、ガイドハウジング600の剛性が高められることで、各ガイド面の撓みが抑制され、主搬送路HPに向かうシートSの搬送精度が向上される。また、主搬送路HPに対する第1湾曲面603およびガイド部搬送面601の位置精度が向上される。また、ユニットの共通化によって、給紙カセット110および手差しトレイ240からシートSを搬送するシート搬送装置100Aのコストが低減される。この際、ガイドハウジング600が一体成型からなることによって、ガイド部搬送面601および第1湾曲面603が一体的に成形することができる。この結果、シート搬送装置100Aのコストが更に低減される。
【0066】
更に、本実施形態では、搬送ガイド部60が、ガイドハウジング600上に手差し給紙パッド605を備え、手差しトレイ240に載置されたシートSを捌く機能を更に備える。したがって、ガイドリブ602などによってガイドハウジング600の剛性が高まることによって、手差しトレイ240上のシートSが安定して捌かれる。
【0067】
更に、本実施形態では、ガイドハウジング600は、手差しリフト板70を回動可能に支持する機能を更に備える。したがって、ガイドリブ602などによってガイドハウジング600の剛性が高まることによって、手差しトレイ240上のシートSの給紙動作が安定して実現される。
【0068】
図7Aは、シート搬送装置100Aの搬送ガイド部60の左側端部を拡大した斜視図である。また、
図7Bは、搬送ガイド部60および搬送ユニット50の左側端部を拡大した斜視図である。
図8Aは、搬送ガイド部60および搬送ユニット50の斜視図である。
図8Bは、
図8Aの搬送ガイド部60および搬送ユニット50が断面V−Vにおいて切断された状態を左方から見た拡大断面図である。
図7A、
図8Bを参照して、搬送ガイド部60は、当接部60Rを備える。当接部60Rは、搬送ユニット50に対向して突出された突起部である。本実施形態では、当接部60Rは、最も左側に配置されたガイドリブ602よりも更に左側、すなわち、シート幅方向においてガイドリブ602よりも外側において、僅かな高さをもって突設されている(
図7B)。また、当接部60Rは、前方かつ下方から上方かつ後方に傾斜して配置されている。換言すれば、当接部60Rは、搬送ガイド部60の搬送ユニット50に対する装着方向(後方向)に沿って、先上がりの傾斜面を備える(
図8B)。
【0069】
図7Bを参照して、搬送ユニット50は、ユニットガイドリブ50G1と、被当接部50G2とを備える。ユニットガイドリブ50G1は、第2湾曲面50Gにおいて、シート幅方向に間隔をおいて第2湾曲面50Gに沿って配置された複数のリブ部材である。被当接部50G2は、第2湾曲面50Gにおいて最も左側に配置されたユニットガイドリブ50G1よりも更に左側、すなわち、第2湾曲面50Gのシート幅方向の外側部分に配置された面である。
【0070】
図7Bおよび
図8Bに示すように、搬送ガイド部60の当接部60Rの傾斜面が搬送ユニット50の円弧状の被当接部50G2に当接した状態で、搬送ガイド部60が搬送ユニット50にネジ止め固定される。この結果、搬送ガイド部60の第1湾曲面603と搬送ユニット50の第2湾曲面50Gとの間の隙間H(
図7B)が安定して維持され、当該隙間Hによって湾曲搬送路GPが安定して形成される。特に、当接部60Rが直線的な傾斜面からなり、被当接部50G2が円弧形状からなるため、
図8Bに示す断面視において、両者が点接触しやすい。したがって、隙間H(
図7B)がより安定して維持される。なお、他の実施形態において、搬送ユニット50側に当接部が配置され、搬送ガイド部60側に被当接部が配置される態様でもよい。
【0071】
図9は、プリンター100の筐体200において、開閉カバー200Cが開放された状態の斜視図である。
図10は、筐体200に複数のユニットが装着される様子を示す分解斜視図である。
図11は、
図10の筐体200に更に搬送ガイド部60が装着される様子を示す分解斜視図である。
【0072】
図9および
図10を参照して、プリンター100の筐体200は、各面をカバーする外装カバーの内部に、左右方向(シート幅方向)に間隔をおいて配置される左フレーム200Lおよび右フレーム200R(一対の側壁)を備える。左フレーム200Lおよび右フレーム200Rは、筐体200の左右端部において上下および前後方向に延びる壁部であり、板金部材から構成されている。更に、筐体200は、連結フレーム200Nと、排紙ユニット200Mと、装着フレーム220および前述の搬送ガイド部60とを備える。
【0073】
連結フレーム200Nは、筐体200の底部において、左フレーム200Lおよび右フレーム200Rを連結する部材である。連結フレーム200Nは、前後に間隔をおいて一対配置されている。排紙ユニット200Mは、
図2に示すように切替搬送部140の上方に配置されるユニットであり、排出ローラー対134を回転可能に支持する。
図10では、排紙ユニット200Mは、左フレーム200Lおよび右フレーム200Rの後端かつ上端部を連結する。装着フレーム220は、左フレーム200Lおよび右フレーム200Rの前後方向の中央部であって、上下方向の中央部よりもやや上側部分を連結する。装着フレーム220には、前述の露光装置123が固定される。そして、
図2に示すように、搬送ガイド部60は、画像形成ユニット120の下方において、左フレーム200Lおよび右フレーム200Rを連結する。
【0074】
図11に示すように、左フレーム200Lおよび右フレーム200Rに対して、連結フレーム200N、排紙ユニット200M、装着フレーム220および搬送ガイド部60が固定されると、画像形成ユニット120が装着される装着空間K(装着部)が形成される。装着空間Kは、装着フレーム220と搬送ガイド部60との間から前側に広がるように形成される。
図2および
図9を参照して、筐体200に対して、手差しトレイ240および開閉カバー200Cが開放されると、右フレーム200Rに形成されたレール部200R1に沿って、画像形成ユニット120が装着空間Kから取り外し可能とされる。この結果、画像形成ユニット120および筐体200の内部のメンテナンスが容易に実現される。なお、左フレーム200L側にも同様のレール部が備えられている。
【0075】
一方、このように、画像形成ユニット120が筐体200から取り外し可能とされるために、右フレーム200Rおよび左フレーム200Lの前側端部には、両者を連結するフレームが配置されていない。このため、筐体200の前側部分の剛性の低下が懸念される。このような場合であっても、本実施形態では、取り外し時に画像形成ユニット120が通過する領域の下方において、搬送ユニット50のシート幅方向の両端部が、左フレーム200Lおよび右フレーム200Rにそれぞれネジ止めにて固定されている。更に、前述のように、搬送ガイド部60のガイドハウジング600は、搬送ユニット50の前側に、それぞれネジ止め固定されている。
【0076】
この結果、搬送ガイド部60が搬送ユニット50に固定されることで、搬送ユニット50の剛性が高められる。そして、このような搬送ユニット50が左フレーム200Lおよび右フレーム200Rを連結することで、筐体200の剛性を更に高めることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態に係るシート搬送装置100Aを備えたプリンター100(画像形成装置)について説明した。本構成によれば、ガイドハウジング600の剛性が高く維持され、主搬送路HPに向かうシートSの搬送精度が向上される。この結果、シートSに安定して画像を形成することができる。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0078】
(1)上記の実施形態では、画像形成ユニット120が搬送ガイド部60の上方を通過しながら、筐体200に対して着脱される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成ユニット120は、筐体200に固定されるものでもよく、また、感光体ドラム121の軸方向に沿って着脱されるものでもよい。
【0079】
(2)また、上記の実施形態では、複数のガイドリブ602の端縁602Sによって、第1湾曲面603が形成される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1湾曲面603は、ガイド部搬送面601と同様に、連続した湾曲面からなるものでもよい。