(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持部材(52)と圧縮機(21)の脚部(60)との間に介在する防振ゴム(70)と、前記防振ゴムを上下方向に貫通して前記脚部と前記支持部材とを連結させる支持ボルト(80)と、を有する圧縮機の支持構造において、
前記防振ゴムの内部の前記脚部と前記支持部材との上下方向間の部分(73)には、前記脚部が前記防振ゴムに接する部分の高さ位置よりも下方のみに、かつ、前記脚部及び前記支持部材に接触しない状態で金属製の補硬部材(90)が設けられており、
前記補硬部材は、上下方向に弾性変形しない部材からなり、
前記防振ゴムの前記補硬部材が設けられる部分は、単一の部材からなる、
圧縮機の支持構造。
前記補硬部材(90)は、筒形状を有する部材であり、前記防振ゴム(70)の外周面(70a)と前記防振ゴムに形成された前記支持ボルト(80)用の貫通孔(71)の外周面(70b)との間に配置されている、
請求項1又は2に記載の圧縮機の支持構造。
前記補硬部材(90)は、棒形状を有する複数の部材であり、前記防振ゴム(70)の外周面(70a)と前記防振ゴムに形成された前記支持ボルト(80)用の貫通孔(71)の外周面(70b)との間に周方向に沿って並んで配置されている、
請求項1又は2に記載の圧縮機の支持構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の支持構造では、ボルト軸方向の荷重に対して、防振ゴムの空間部に面する部分が空間部をつぶすように変形して金属部材に突き当たるまでは容易にたわみ、その後、防振ゴム全体のたわみによってボルト軸方向の荷重を吸収することができるようになっている。
【0004】
一方、空気調和装置の室外ユニット等の内部には、防振ゴムを介してケーシング等に支持された圧縮機が収容されており、ここでも、上記特許文献1の支持構造と同様に、支持部材と圧縮機の脚部との間に介在する防振ゴムと、防振ゴムを上下方向に貫通して脚部と支持部材とを連結させる支持ボルトと、を有する支持構造が採用されている。
【0005】
しかし、空気調和装置の室外ユニット等においては、輸送時の振動によって圧縮機に直接的又は間接的に接続されている冷媒管が破損することを防ぐとともに、圧縮機の運転時の振動を抑える必要がある。
【0006】
これに対しては、防振ゴムの硬度を高くすると、輸送時の振動は抑制できるようになるが、運転時の振動を吸収できなくなるおそれがある。また、上記特許文献1の支持構造を採用したとしても、防振ゴムのボルト貫通孔の外周面と金属部材との間に形成された空間部によって防振ゴムがボルト軸方向の荷重に対して容易にたわむことで圧縮機が大きく振動してしまうため、輸送時の振動によって冷媒管が振動で破損することを防ぐことができないおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、支持部材と圧縮機の脚部との間に介在する防振ゴムと、防振ゴムを上下方向に貫通して脚部と支持部材とを連結させる支持ボルトと、を有する圧縮機の支持構造において、輸送時の振動抑制と運転時の振動吸収とを両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点にかかる圧縮機の支持構造は、支持部材と圧縮機の脚部との間に介在する防振ゴムと、防振ゴムを上下方向に貫通して脚部と支持部材とを連結させる支持ボルトと、を有する圧縮機の支持構造である。そして、ここでは、防振ゴムの内部の脚部と支持部材との上下方向間の部分に、脚部が防振ゴムに接する部分の高さ位置よりも下方のみに、かつ、脚部及び支持部材に接触しない状態で金属製の補硬部材が設けられている。
しかも、補硬部材が上下方向に弾性変形しない部材からなり、防振ゴムの補硬部材が設けられる部分が単一の部材からなる。
【0009】
ここでは、補硬部材によって、横方向の振動に対しては柔らかさを維持しながら、輸送時の振動のような上下方向の振動に対しては硬度を高めることができるため、輸送時の振動抑制と運転時の振動吸収とを両立させることができる。また、補硬部材と脚部や支持部材との接触による傷つきも防ぐことができる。このとき、上下方向の振動に対して硬度を高める効果を得やすくするために、補硬部材の上端面とその上側に配置される防振ゴムの一部とが隙間なく接し、また、補硬部材の下端面とその下側に配置される防振ゴムの一部とが隙間なく接することが好ましい。
【0010】
第2の観点にかかる圧縮機の支持構造は、第1の観点にかかる圧縮機の支持構造において、補硬部材が、支持ボルトに接触しない状態で防振ゴムに設けられている。
【0011】
ここでは、横方向の振動に対して柔らかさをより維持しやすくすることができる。また、補硬部材と支持ボルトとの接触による傷つきを防ぐこともできる。
【0012】
第3の観点にかかる圧縮機の支持構造は、第1又は第2の観点にかかる圧縮機の支持構造において、補硬部材が、筒形状を有する部材であり、防振ゴムの外周面と防振ゴムに形成された支持ボルト用の貫通孔の外周面との間に配置されている。
【0013】
ここでは、筒形状の補硬部材を防振ゴムの外周面と支持ボルト用の貫通孔の外周面との間に配置することで、支持ボルトに接触しない状態で補硬部材を防振ゴムに設けることができる。
【0014】
第4の観点にかかる圧縮機の支持構造は、第1又は第2の観点にかかる圧縮機の支持構造において、補硬部材が、棒形状を有する複数の部材であり、防振ゴムの外周面と防振ゴムに形成された支持ボルト用の貫通孔の外周面との間に周方向に沿って並んで配置されている。
【0015】
ここでは、棒形状の補硬部材を防振ゴムの外周面と防振ゴムに形成された支持ボルト用の貫通孔の外周面との間に周方向に沿って並べて配置することで、支持ボルトに接触しない状態で補硬部材を防振ゴムに設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
第1の観点にかかる圧縮機の支持構造では、輸送時の振動抑制と運転時の振動吸収とを両立させることができる。また、補硬部材と脚部や支持部材との接触による傷つきも防ぐことができる。
【0018】
第2の観点にかかる圧縮機の支持構造では、圧縮機の運転時の振動等の横方向の振動に対して柔らかさをより維持しやすくすることができる。また、補硬部材と支持ボルトとの接触による傷つきを防ぐこともできる。
【0019】
第3の観点にかかる圧縮機の支持構造では、筒形状の補硬部材を防振ゴムの外周面と支持ボルト用の貫通孔の外周面との間に配置することで、支持ボルトに接触しない状態で補硬部材を防振ゴムに設けることができる。
【0020】
第4の観点にかかる圧縮機の支持構造では、棒形状の補硬部材を防振ゴムの外周面と防振ゴムに形成された支持ボルト用の貫通孔の外周面との間に周方向に沿って並べて配置することで、支持ボルトに接触しない状態で補硬部材を防振ゴムに設けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明にかかる圧縮機の支持構造の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる圧縮機の支持構造の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0023】
(1)空気調和装置の基本構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる圧縮機21の支持構造を採用した空気調和装置1の概略構成図である。
【0024】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット4とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット2と室内ユニット4とは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続されている。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4とが冷媒連絡管5、6を介して接続されることによって構成されている。
【0025】
<室内ユニット>
室内ユニット4は、室内に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室内ユニット4は、主として、室内熱交換器41を有している。
【0026】
室内熱交換器41は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器41の液側は液冷媒連絡管5に接続されており、室内熱交換器41のガス側はガス冷媒連絡管6に接続されている。
【0027】
室内ユニット4は、室内ユニット4内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン42を有している。すなわち、室内ユニット4は、室内熱交換器41を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を室内熱交換器41に供給するファンとして、室内ファン42を有している。ここでは、室内ファン42として、室内ファン用モータ42aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
【0028】
<室外ユニット>
室外ユニット2は、室外に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液側閉鎖弁25と、ガス側閉鎖弁26とを有している。
【0029】
圧縮機21は、冷凍サイクルの低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機用モータ21aによって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機21は、吸入側に吸入管31が接続されており、吐出側に吐出管32が接続されている。吸入管31は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。吐出管32は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。
【0030】
四路切換弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁22は、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を室外熱交換器23において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる冷房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、冷房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(
図1の四路切換弁22の実線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(
図1の四路切換弁22の実線を参照)。また、四路切換弁22は、暖房運転時には、室外熱交換器23を室内熱交換器41において放熱した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させる暖房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、暖房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(
図1の四路切換弁22の破線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(
図1の四路切換弁22の破線を参照)。ここで、第1ガス冷媒管33は、四路切換弁22と室外熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管34は、四路切換弁22とガス側閉鎖弁26とを接続する冷媒管である。
【0031】
室外熱交換器23は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、液側が液冷媒管35に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒管33に接続されている。液冷媒管35は、室外熱交換器23の液側と液冷媒連絡管5側とを接続する冷媒管である。
【0032】
膨張弁24は、冷房運転時には、室外熱交換器23において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。また、膨張弁24は、暖房運転時には、室内熱交換器41において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。膨張弁24は、液冷媒管35の液側閉鎖弁25寄りの部分に設けられている。ここでは、膨張弁24として、電動膨張弁が使用されている。
【0033】
液側閉鎖弁25及びガス側閉鎖弁26は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁25は、液冷媒管35の端部に設けられている。ガス側閉鎖弁26は、第2ガス冷媒管34の端部に設けられている。
【0034】
室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン36を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23に供給するファンとして、室外ファン36を有している。ここでは、室外ファン36として、室外ファン用モータ36aによって駆動されるプロペラファン等が使用されている。
【0035】
<冷媒連絡管>
冷媒連絡管5、6は、空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニット2と室内ユニット4との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
【0036】
(2)空気調和装置の基本動作
次に、
図1を用いて、空気調和装置1の基本動作について説明する。空気調和装置1は、基本動作として、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能である。
【0037】
<冷房運転>
冷房運転時には、四路切換弁22が冷房サイクル状態(
図1の実線で示される状態)に切り換えられる。
【0038】
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
【0039】
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器23に送られる。
【0040】
室外熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。
【0041】
室外熱交換器23において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁24に送られる。
【0042】
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁25及び液冷媒連絡管5を通じて、室内熱交換器41に送られる。
【0043】
室内熱交換器41に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。
【0044】
室内熱交換器41において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管6、ガス側閉鎖弁26及び四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0045】
<暖房運転>
暖房運転時には、四路切換弁22が暖房サイクル状態(
図1の破線で示される状態)に切り換えられる。
【0046】
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
【0047】
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁26及びガス冷媒連絡管6を通じて、室内熱交換器41に送られる。
【0048】
室内熱交換器41に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。
【0049】
室内熱交換器41で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管5及び液側閉鎖弁25を通じて、膨張弁24に送られる。
【0050】
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。
【0051】
室外熱交換器23に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。
【0052】
室外熱交換器23で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0053】
(3)室外ユニットの基本構成
次に、
図1〜
図4を用いて、室外ユニット2の基本構成について説明する。ここで、
図2は、室外ユニット2の外観を示す斜視図である。
図3は、室外ユニット2の天板57を取り外した状態を示す平面図である。
図4は、室外ユニット2の天板57、前板55、56及び側板53、54を取り外した状態を示す斜視図である。尚、以下の説明においては、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」や「前面」、「側面」、「背面」、「天面」、「底面」等の文言は、特にことわりのない限り、ファン吹出グリル55c側の面を前面とした場合における方向や面を意味する。
【0054】
室外ユニット2は、ユニットケーシング51の内部が上下方向に延びる仕切板58によって送風機室S1と機械室S2とに仕切られた構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。室外ユニット2は、ユニットケーシング51の背面及び側面の一部から室外空気を内部へと吸い込んだ後に、ユニットケーシング51の前面から空気を排出するように構成されている。室外ユニット2は、主として、ユニットケーシング51と、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを有している。尚、ここでは、送風機室S1がユニットケーシング51の左側面寄りに形成され、機械室S2がユニットケーシング51の右側面寄りに形成された例を説明するが、左右が逆であってもよい。
【0055】
ユニットケーシング51は、略直方体形状の部材であり、主として、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを収容している。ユニットケーシング51は、冷媒回路10を構成する機器・配管類21〜26、31〜35や室外ファン36等が載置される底板52と、送風機室側側板53と、機械室側側板54と、送風機室側前板55と、機械室側前板56と、天板57と、2つの据付脚59とを有している。
【0056】
底板52は、ユニットケーシング51の底面部分を構成する板状部材である。
【0057】
送風機室側側板53は、ユニットケーシング51の送風機室S1寄りの側面部分(ここでは、左側面部分)を構成する板状部材である。送風機室側側板53は、その下部が底板52に固定されており、ここでは、その前面側の端部が送風機室側前板55の左側面側の端部と一体の部材となっている。送風機室側側板53には、室外ファン36によってユニットケーシング51の側面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するための側面ファン吸入口53aが形成されている。尚、送風機室側側板53は、送風機室側前板55と別部材であってもよい。
【0058】
機械室側側板54は、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの側面部分(ここでは、右側面部分)の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの背面部分とを構成する板状部材である。機械室側側板54は、その下部が底板52に固定されている。送風機室側側板53の背面側の端部と機械室側側板54の送風機室S1側の端部との間には、室外ファン36によってユニットケーシング51の背面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するための背面ファン吸入口53bが形成されている。
【0059】
送風機室側前板55は、ユニットケーシング51の送風機室S1の前面部分を構成する板状部材である。送風機室側前板55は、その下部が底板52に固定され、ここでは、その左側面側の端部が送風機室側側板53の前面側の端部と一体の部材となっている。送風機室側前板55には、室外ファン36によってユニットケーシング51内に吸入された室外空気を外部に吹き出すためのファン吹出口55aが設けられている。送風機室側前板55の内面のファン吹出口55aに対向する位置には、ベルマウス55bが配置されている。ベルマウス55bは、中央が開口したベル形状の部分であり、送風機室側前板55の内面から背面側に突出するように配置されており、室外ファン36に対向している。また、送風機室側前板55の前側には、ファン吹出口55aを覆うファン吹出グリル55cが設けられている。尚、送風機室側前板55は、送風機室側側板53と別部材であってもよい。
【0060】
機械室側前板56は、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2の側面部分の一部とを構成する板状部材である。機械室側前板56は、その送風機室S1側の端部が送風機室側前板55の機械室S2側の端部に固定され、その背面側の端部が機械室側側板54の前面側の端部に固定されている。
【0061】
天板57は、ユニットケーシング51の天面部分を構成する板状部材である。天板57は、ユニットケーシング51の前面、側面及び背面を形成する送風機室側板53、機械室側側板54及び送風機室側前板55に固定されている。
【0062】
仕切板58は、底板52上に配置される鉛直方向に延びる板状部材である。仕切板58は、ここでは、ユニットケーシング51の内部を左右に分割することによって、左側面寄りの送風機室S1と、右側面寄りの機械室S2とを形成している。仕切板58は、その下部が底板52に固定され、その前面側の端部が送風機室側前板55に固定され、その背面側の端部が室外熱交換器23の機械室S2寄りの側端部まで延びている。
【0063】
据付脚59は、ユニットケーシング51の前後方向に延びる板状部材である。据付脚59は、室外ユニット2の据付面に固定される部材である。ここでは、室外ユニット2は、2つの据付脚59を有しており、1つは、送風機室S1寄りに配置されており、もう1つは、機械室S2寄りに配置されている。
【0064】
室外ファン36は、複数の翼を有するプロペラファンであり、送風機室S1内において、室外熱交換器23の前面側の位置に、ユニットケーシング51の前面に対向するように配置されている。具体的には、室外ファン36は、ユニットケーシング51の前面に形成されたファン吹出口55a及びファン吹出口55aに対向する位置に配置されたベルマウス55bに対向するように配置されている。室外ファン用モータ36aは、送風機室S1内において、室外ファン36と室外熱交換器23との前後方向間に配置されている。室外ファン用モータ36aは、底板52上に載置されたモータ支持台36bによって支持されている。そして、室外ファン36は、室外ファン用モータ36aに軸支されている。
【0065】
室外熱交換器23は、平面視略L字形状の熱交換器パネルであり、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の側面(ここでは、左側面)及び背面に対向するように底板52に載置されている。
【0066】
圧縮機21は、ここでは、縦型円筒形状の密閉式圧縮機であり、機械室S2内において、支持部材としての底板52上に載置されている。少し具体的に説明すると、圧縮機21の下部には、脚部60が設けられている。尚、ここでは、脚部60が、圧縮機21の周方向に3つ並んで設けられているが、4つ以上であってもよい。そして、各脚部60は、主として、防振ゴム70と支持ボルト80とを有する支持構造によって、底板52上に支持されている。ここで、防振ゴム70は、脚部60と底板52との間に介在するNR等のゴム製の部材であり、支持ボルト80は、防振ゴム70を上下方向に貫通して脚部60と底板52とを連結させる金属製の部材である。
【0067】
(4)圧縮機の支持構造
上記の基本構成を有する室外ユニット2においては、支持部材としての底板52と圧縮機21の脚部60との間に介在する防振ゴム70と、防振ゴム70を上下方向に貫通して脚部60と底板52とを連結させる支持ボルト80と、を有する圧縮機21の支持構造を含んでいる。
【0068】
このような圧縮機21の支持構造を含む室外ユニット2では、輸送時の振動によって圧縮機21に直接的又は間接的に接続されている冷媒管(ここでは、吸入管31や吐出管32、四路切換弁22、ガス冷媒管33、34を通じて室外熱交換器23やガス側閉鎖弁26に至るまでの冷媒管、
図1参照)が破損することを防ぐとともに、圧縮機21の運転時の振動を抑える必要がある。
【0069】
これに対して、防振ゴム70の硬度を高くすると、輸送時の振動は抑制できるようになるが、運転時の振動を吸収できなくなるおそれがある。また、上記特許文献1の支持構造を採用しても、防振ゴム70がボルト軸方向の荷重に対して容易にたわむことで圧縮機21が大きく振動してしまうため、輸送時の振動によって冷媒管が振動で破損することを防ぐことができないおそれがある。
【0070】
そこで、ここでは、防振ゴム70の脚部60と底板52との上下方向間の部分としてのゴム本体部73に、脚部60及び底板52に接触しない状態で金属製の補硬部材90を設けるようにしている。以下、このような圧縮機21の支持構造について、
図3〜
図7を用いて説明する。ここで、
図5は、
図4の圧縮機21の下部付近を拡大して示す斜視図である。
図6は、圧縮機21の支持構造を示す縦断面図である。
図7は、
図6のI−I断面図である。
【0071】
圧縮機21の下部には、上記のように、圧縮機21を室外ユニット2の底板52(支持部材)に支持するための脚部60が設けられている。ここでは、脚部60は、圧縮機21の周方向に間隔を空けて3つ設けられている。脚部60は、圧縮機21の下部側面に固定された略L字形状の部材であり、圧縮機21の側面よりも外周側に突出した部分に上下方向に貫通する係合孔61が形成されている。尚、脚部60の数は、3つに限定されるものではなく、4つ以上であってもよく、また、脚部60の形状は、略L字形状に限定されるものではなく、別の形状であってもよい。
【0072】
支持部材としての底板52には、圧縮機21の脚部60に対応する位置に、支持ボルト80と防振ゴム70が設けられている。防振ゴム70は、圧縮機21に設けられている脚部60とその下側に位置する底板52との間に配置されている。支持ボルト80は、底板52の下面から底板52及び防振ゴム70を上方に向けて貫通しており、そして、支持ボルト80の上端には、防振ゴム70の上側に位置する座付きナット81が螺合されている。
【0073】
防振ゴム70は、上下方向に貫通する支持ボルト80用の貫通孔71が形成された筒形状の部材である。ここで、防振ゴム70の外周面を外周面70aとする。貫通孔71の上部は、支持ボルト80のネジ部の外径よりも大きな内径を有する上部貫通孔71aになっており、貫通孔71の下部は、支持ボルト80のネジ部の外径とほぼ同じ内径を有する下部貫通孔71bとなっている。ここで、防振ゴム70に形成された支持ボルト80用の貫通孔71の外周面を外周面70bとする。
【0074】
防振ゴム70の上端には、圧縮機21の脚部60の係合孔61に挿入されて係合する上端係合部72が形成されている。ここでは、上端係合部72は、その上端から下方に向かって外径が大きくなった後に外径が小さくなるように突出することで係合孔61と同じ外径の凹みが形成された部分である。尚、上端係合部72の形状は、これに限定されるものではなく、係合孔61に挿入係合可能な形状であればよい。
【0075】
防振ゴム70の上端係合部72の下側の部分は、防振ゴム70の脚部60と底板52との上下方向間の部分としてのゴム本体部73になっている。ここで、ゴム本体部73の上端面は、上端係合部72の外径よりも大きな面をなしており、脚部60の係合孔61の周囲部分の下面に接している。また、ゴム本体部73の下端面は、ゴム本体部73の上端面の外径以上の大きさの面をなしており、底板52の上面に接している。
【0076】
そして、ゴム本体部73には、脚部60及び底板52に接触しない状態で金属製の補硬部材90が設けられている。ここで、ゴム本体部73を上下方向に3つの部分73a、73b、73cに分けると、補硬部材90は、ゴム本体中部73bに配置されている。すなわち、補硬部材90は、ゴム本体部73の上端面を含むゴム本体上部73a、及び、ゴム本体部73の下端面を含むゴム本体下部73cには配置されておらず、これにより、脚部60及び底板52に接触しない状態でゴム本体部73の内部に設けられているのである。
【0077】
ここでは、このような補硬部材90によって、横方向の振動に対しては柔らかさを維持しながら、輸送時の振動のような上下方向の振動に対しては硬度を高めることができるようになっている。このため、輸送時の振動抑制と運転時の振動吸収とを両立させることができるようになる。また、補硬部材90と脚部60や底板52(支持部材)との接触による傷つきも防ぐことができる。このとき、上下方向の振動に対して硬度を高める効果を得やすくするために、
図6に示すように、補硬部材90の上端面とその上側に配置される防振ゴム70の一部(すなわち、ゴム本体上部73a)とが隙間なく接し、また、補硬部材90の下端面とその下側に配置される防振ゴム70の一部(すなわち、ゴム本体下部73c)とが隙間なく接することが好ましい。
【0078】
また、ここでは、補硬部材90が、支持ボルト80に接触しない状態で防振ゴム70に設けられている。具体的には、ここでは、補硬部材90が、筒形状を有する部材であり、防振ゴム70の外周面70aと防振ゴム70に形成された支持ボルト80用の貫通孔71の外周面70bとの間に配置されている。尚、ここでは、補硬部材90は、貫通孔71の外径よりも大きく、かつ、防振ゴム70の外径よりも小さい上下方向に延びる円筒形状を有している。
【0079】
ここでは、このような補硬部材90によって、横方向の振動に対して柔らかさをより維持しやすくすることができる。また、補硬部材90と支持ボルト80との接触による傷つきを防ぐこともできる。
【0080】
(5)変形例
<A>
上記の実施形態にかかる圧縮機21の支持構造では、防振ゴム70の内部に筒形状を有する金属製の補硬部材90を設けた構造を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図8及び
図9に示すように、上下方向に延びる棒形状を有する複数(ここでは、16本)の補硬部材90を、防振ゴム70の外周面70aと防振ゴム70に形成された支持ボルト80用の貫通孔71の外周面70bとの間に周方向に沿って並んで配置するようにしてもよい。この場合であっても、上記の実施形態にかかる圧縮機21の支持構造と同様に、補硬部材90をゴム本体中部73bに配置することで、脚部60及び底板52に接触しない状態でゴム本体部73に設け、補硬部材90を防振ゴム70の外周面70aと防振ゴム70に形成された支持ボルト80用の貫通孔71の外周面70bとの間に配置することで、補硬部材90を支持ボルト80に接触しない状態で防振ゴム70に設けることができる。尚、補硬部材90の数は、16本に限定されるものではなく、要求される硬度等に応じて決定されるものであり、16本より多くても少なくてもよい。
【0081】
<B>
上記の実施形態にかかる圧縮機21の支持構造では、防振ゴム70の内部に筒形状を有する金属製の補硬部材90を設けた構造を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図10及び
図11に示すように、防振ゴム70の外周面70aを囲むように補硬部材90を配置するようにしてもよい。尚、ここで、補硬部材90は、上下方向に延びる筒形状の部材である。この場合であっても、上記の実施形態にかかる圧縮機21の支持構造と同様に、補硬部材90をゴム本体中部73bに配置することで、脚部60及び底板52に接触しない状態でゴム本体部73に設けるとともに、補硬部材90を支持ボルト80に接触しない状態で防振ゴム70に設けることができる。また、このとき、ゴム本体上部73a及びゴム本体下部73cをゴム本体中部73bよりも外周側に突出させることによって、
図11に示すように、補硬部材90の上端面とその上側に配置される防振ゴム70の一部(すなわち、ゴム本体上部73a)とが隙間なく接し、また、補硬部材90の下端面とその下側に配置される防振ゴム70の一部(すなわち、ゴム本体下部73c)とが隙間なく接することが好ましい。