(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トナーによる可視画像を形成し、転写体の表面上に形成されたトナーによる可視画像のトナー量を検知するトナー量検知センサーを備える画像形成部を含む画像形成装置であって、
前記トナー量検知センサーは、前記転写体の表面側に向かって所定の入射角度で光を照射する発光素子と、
前記転写体の表面側に向かって所定の入射角度で光を照射する発光素子と、
前記転写体の表面に垂直な方向に延びる平面に対して前記発光素子と反対側に設けられ、前記転写体の表面側から反射された反射光を受光する第一の受光素子と、
前記第一の受光素子によって受光した前記反射光の光量から前記トナー量を算出するトナー量算出部とを備え、
前記転写体の表面に垂直な方向に延びる平面に対する前記所定の入射角度を角度A1とし、前記転写体の表面に垂直な方向に延びる平面に対する前記第一の受光素子の配置される角度を角度A2とすると、A1<A2<1.5A1の関係を有し、
前記角度A1は、10°以上12°未満の範囲内にあり、
前記角度A2は、12°以上15°以下の範囲内にある、画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を説明する。まず、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の構成について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の外観を示す概略図である。
図2は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置をデジタル複合機に適用した場合のデジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1および
図2を参照して、デジタル複合機11は、デジタル複合機11全体の制御を行う制御部12と、デジタル複合機11側から発信する情報やユーザーの入力内容を表示する表示画面21を含み、印刷部数や階調性等の画像形成の条件や電源のオンまたはオフを入力させる操作部13と、セットされた原稿を自動的に読み取り部へ搬送するADF(Auto Document Feeder)22を含み、原稿の画像を読み取る画像読み取り部14と、手差しで用紙をセットする手差しトレイ28やサイズの異なる複数枚の用紙を収納可能な給紙カセット群29を含み、画像形成部15に供給する用紙をセットする用紙セット部19と、読み取った画像やネットワーク25を介して送信された画像データを基に画像を形成する画像形成部15と、画像形成部15により用紙に画像を形成した後に用紙を排出する排出トレイ30と、送信された画像データや入力された画像形成条件等の格納を行うハードディスク16と、公衆回線24に接続されており、ファクシミリ送信やファクシミリ受信を行うファクシミリ通信部17と、ネットワーク25と接続するためのネットワークインターフェース部18とを備える。なお、デジタル複合機11は、画像データの書き出しや読み出しを行うDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を備えるが、これらについては、図示および説明を省略する。また、
図2中の矢印は、制御信号や制御、画像に関するデータの流れを示している。なお、
図1に示すように、この実施形態においては、給紙カセット群29は、3つの給紙カセット23a、23b、23cから構成されている。
【0018】
デジタル複合機11は、画像読み取り部14により読み取られた原稿を用いて画像形成部15において画像を形成することにより、複写機として作動する。また、デジタル複合機11は、ネットワークインターフェース部18を通じて、ネットワーク25に接続されたコンピューター26a、26b、26cから送信された画像データを用いて、画像形成部15において画像を形成して用紙に印刷することにより、プリンターとして作動する。すなわち、画像形成部15は、要求された画像を印刷する印刷部として作動する。また、デジタル複合機11は、ファクシミリ通信部17を通じて、公衆回線24から送信された画像データを用いて、DRAMを介して画像形成部15において画像を形成することにより、また、画像読み取り部14により読み取られた原稿の画像データを、ファクシミリ通信部17を通じて公衆回線24に画像データを送信することにより、ファクシミリ装置として作動する。デジタル複合機11は、画像処理に関し、複写機能、プリンター機能、ファクシミリ機能等、複数の機能を有する。さらに、各機能に対しても、詳細に設定可能な機能を有する。
【0019】
この発明の一実施形態に係るデジタル複合機11を含む画像形成システム27は、上記した構成のデジタル複合機11と、ネットワーク25を介してデジタル複合機11に接続される複数のコンピューター26a、26b、26cとを備える。この実施形態においては、複数のコンピューター26a〜26cについては、3台示している。各コンピューター26a〜26cはそれぞれ、デジタル複合機11に対して、ネットワーク25を介して印刷要求を行って印刷をすることができる。デジタル複合機11とコンピューター26a〜26cとは、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いて有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよく、ネットワーク25内には、他のデジタル複合機やサーバーが接続されている構成でもよい。
【0020】
次に、デジタル複合機11に備えられる画像形成部15の構成について、さらに詳細に説明する。
図3は、この発明の一実施形態に係るデジタル複合機11の概略的な構成を示す断面図である。なお、理解の容易の観点から、
図3において、部材のハッチングを省略する。また、
図3は、上下方向に延びる平面でデジタル複合機11を切断した場合の断面図である。
【0021】
図3を参照して、画像形成部15は、それぞれ感光体31a、31b、31c、31dを含み、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各4色に対応する4つの作像ユニット32a、32b、32c、32dを含む作像器33と、画像読み取り部14によって読み取った画像を基に、4つの作像ユニット32a〜32dにそれぞれ露光するLSU(Laser Scanner Unit)34と、作像ユニット32a〜32dによって形成されたトナーによる可視画像を用紙に転写する前に一時的に転写される中間転写体としての転写ベルト35と、転写ベルト35上に残存したトナーをブレード等によって除去する転写ベルトクリーニングユニット37とを備える。LSU34については、一点鎖線で概略的に示している。転写ベルトクリーニングユニット37についても、概略的に示している。画像形成部15は、いわゆる4連タンデム形式の現像方式である。
【0022】
転写ベルト35は、無端状であって、駆動ローラー36b、および従動ローラー36aによって一方方向に回転しながら、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の作像ユニット32a〜32dにより形成された可視画像を転写される。転写ベルト35の回転方向は、
図3中の矢印D
1で示される。なお、転写ベルト35の回転方向において、作像ユニット32a〜32dのうち、イエローの作像ユニット32aが最も上流側に配置されており、ブラックの作像ユニット32dが最も下流側に配置されている。また、転写ベルトクリーニングユニット37は、イエローの作像ユニット32aの上流側に配置されている。
【0023】
転写ベルト35上に転写されたトナーによる可視画像は、搬送されてきた用紙に転写され、図示しない定着ユニットにより用紙に定着される。定着後、用紙はデジタル複合機11外、具体的には、排出トレイ30に排出される。トナーによる可視画像が用紙に転写された後、転写ベルト35上に残存したトナーは、転写ベルトクリーニングユニット37によって除去される。そして、次の画像形成が行われる。
【0024】
デジタル複合機11は、ブラックの作像ユニット32dのみを用いたモノクロ印刷が可能である。また、デジタル複合機11は、イエローの作像ユニット32a、マゼンタの作像ユニット32b、およびシアンの作像ユニット32cの少なくともいずれか一つを用いたカラー印刷が可能である。
【0025】
ここで、デジタル複合機11に備えられる制御部12は、例えば、印字枚数が所定の枚数に達したタイミング、具体的には、画像形成の枚数が1000枚毎のタイミングや、駆動時間が所定の時間に達したタイミング、さらには、環境変化があったタイミング、具体的には、温度や湿度が急激に変わったタイミングやデジタル複合機11を構成するユニットの一部を交換するタイミングで、作像ユニット32a〜32dによって転写ベルト35上に形成される可視画像の濃度や位置、ひいては色ずれを補正する。画像形成部15は、例えば、定期的なメンテナンスを行う際に、トナーによる可視画像を補正するためのパッチ画像を転写ベルト35上に形成する。そして、このパッチ画像を用いて転写ベルト35に付着させるトナー量やLSU34によるレーザー光を照射するタイミング、強度等を変更して、トナーの濃度や色ずれ等を調整し、補正を行う。なお、形成されたパッチ画像については、用紙に転写されることはなく、転写ベルトクリーニングユニット37によって、転写ベルト35の表面38から除去される。
【0026】
このような補正に際しては、転写ベルト35上に形成されたパッチ画像のトナー量を検知するトナー量検知センサーが用いられる。すなわち、画像形成部15は、転写ベルト35上に転写されたトナーによる可視画像のトナー量を測定するトナー量検知センサー41を備える。
【0027】
次に、この発明の一実施形態に係るトナー量検知センサー41の構成について、説明する。
図4は、この発明の一実施形態に係るトナー量検知センサー41の構成を示す概略図である。なお、
図3においては、トナー量検知センサー41は、二点鎖線で概略的に示している。
【0028】
図1〜
図4を参照して、トナー量検知センサー41は、ブラックの作像ユニット32dの下流側に配置されている。トナー量検知センサー41は、転写ベルト35側に光を照射する発光素子42と、転写ベルト35の表面38側から反射された反射光を受光する第一の受光素子43と、第一の受光素子43と別途設けられており、転写ベルト35の表面38側から反射された反射光を受光する第二の受光素子44と、第一の受光素子43および第二の受光素子44によって受光した反射光の光量からトナー量を算出するトナー量算出部45とを備える。発光素子42の一例として、具体的には、赤外光を照射する赤外発光ダイオードが採用される。また、第一の受光素子43、および第二の受光素子44の一例として、具体的には、赤外受光素子が採用される。
【0029】
発光素子42は、転写ベルト35の表面38またはトナーによる可視画像39に向かって、
図4中の矢印E
1で示す左斜め上方向に赤外光といった光46aを照射する。光46aの照射に際し、
図4に示す入射角度A
1で光46aを照射する。この角度A
1は、
図4において一点鎖線で示す転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48と光46aの照射方向とのなす角度である。この実施形態において、角度A
1は、平面48に対して発光素子42を配置させる角度でもある。なお、角度A
1については、測定の対象物と発光素子42との距離の変動に対する第一および第二の受光素子43、44の出力値の変動をできるだけ小さくする観点から比較的小さい方が好ましい。例えば、角度A
1は、10°以上12°未満の範囲内にあることが好ましく、具体的には、A
1=11°が選択される。
【0030】
第一の受光素子43は、転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対して発光素子42と反対側に設けられている。第一の受光素子43は、
図4中の矢印E
2で示す左斜め下方向に向かうトナーによる可視画像39からの正反射光に相当する光46bおよび転写ベルト35の表面38からの正反射光に相当する光46bのいずれか一方か、またはトナーによる可視画像39と転写ベルト35の表面38との双方からの正反射光に相当する光46bを受光する。トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38を完全に覆っていれば、トナーによる可視画像39からの正反射光に相当する光46bのみを受光する。トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38上に形成されていなければ、転写ベルト35の表面38からの正反射光に相当する光46bのみを受光する。トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38を完全に覆っておらず、トナーによる可視画像39のトナー量が少なければ、トナーによる可視画像39と転写ベルト35の表面38との双方からの正反射光に相当する光46bを受光する。正反射光に相当する光46bの受光に際し、
図4中に示す角度A
2で正反射光に相当する光46bを受光する。この実施形態において、角度A
2は、平面48に対して第一の受光素子43を配置させる角度である。なお、参考までに、角度A
1で正反射した正反射光の方向を破線47で示す。
【0031】
第二の受光素子44は、転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対して発光素子42と同じ側に設けられている。第二の受光素子44は、
図4中の矢印E
3で示す左斜め下方向に向かうトナーによる可視画像39からの拡散反射光46cおよび転写ベルト35の表面38からの拡散反射光46cのいずれか一方か、またはトナーによる可視画像39と転写ベルト35の表面38との双方からの拡散反射光46cを受光する。トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38を完全に覆っていれば、トナーによる可視画像39からの拡散反射光46cのみを受光する。トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38上に形成されていなければ、転写ベルト35の表面38からの拡散反射光46cのみを受光する。トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38を完全に覆っておらず、トナーによる可視画像39のトナー量が少なければ、トナーによる可視画像39と転写ベルト35の表面38との双方からの拡散反射光46cを受光する。拡散反射光46cの受光に際し、
図4中に示す角度A
3で拡散反射光46cを受光する。この実施形態において、角度A
3は、平面48に対して第二の受光素子44を配置させる角度である。
【0032】
トナー量検知センサー41は、その表面38にトナーによる可視画像39が形成された転写ベルト35に対して、
図4中の矢印E
1で示す方向に光46aを照射する。光46aは、トナーによる可視画像39および転写ベルト35の表面38のいずれか一方か、またはトナーによる可視画像39と転写ベルト35の表面38との双方に当たって反射する。反射された反射光のうち、平面48に対して角度A
2だけ傾けた角度で配置される第一の受光素子43によって、正反射光に相当する光46bを受光する。また、反射された反射光のうち、平面48に対して角度A
3だけ傾けた角度で配置される第二の受光素子44によって、拡散反射光を受光する。第一の受光素子43、および第二の受光素子44は、受光した光の光量に応じた電流をそれぞれ出力する。トナー量算出部45は、第一の受光素子43、および第二の受光素子44によって出力された電流により、それぞれ電圧に変換する。そして、これらの電圧値に基づいてトナー量を算出する。このようにして、トナー量検知センサー41は、トナー量を検知する。
【0033】
ここで、転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対する所定の入射角度を角度A
1とし、転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対する第一の受光素子43の配置される角度を角度A
2とすると、A
1<A
2<1.5A
1の関係を有するよう構成されている。角度A
2は、12°以上18°未満の範囲内にあることが好ましく、具体的には、例えば、A
2=13°が選択される。
【0034】
また、転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対する第二の受光素子44の配置される角度を角度A
3とすると、A
3>A
1の関係を有するよう構成されている。すなわち、第二の受光素子44は、第一の受光素子43が配置された位置よりも大きい角度の位置に配置されている。この実施形態において、角度A
3は、25°であるよう構成されている。なお、第二の受光素子44が転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対して発光素子42と反対側に設けられる場合はA
3>2A
1の関係を有するようにする。
【0035】
このように構成することにより、トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38上に形成されていない場合に、転写ベルト35の表面38から反射される光量を多く受光することができる。また、トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38を完全に覆っておらず、トナーによる可視画像39のトナー量が少ない場合にも、トナーの層を透過して転写ベルト35の表面38に当たって反射される光の光量を正確に検知することができる。したがって、トナー量を精度よく検知することができる。
【0036】
これについて、説明する。
図5は、入射された光に対しての転写ベルト35の表面38の反射率と反射角度との関係を示すグラフである。
図5中の中心51に位置する0%の目盛の位置が、光の照射位置を示す。
図5においては、中心51を中心に、同心半円状に反射率25%、反射率50%、反射率75%、反射率100%の位置に目盛の線を引いている。また、実線52aで入射される光を示し、実線52bで正反射される光を示している。反射される面に対して垂直な方向に延びる面に相当する線は、実線53で示している。点線54で、ある反射角度の範囲内における転写ベルト35の表面38の反射率を示している。
【0037】
図5を参照して、実線52aと実線53とのなす角度は、上記した角度A
1に相当するものであり、30°としている。また、実線52bと実線53とのなす角度も、上記した角度A
1に相当するものであり、30°としている。実線52bと点線54で交わる点は、入射光を正反射した際の反射率を示すものであり、約75%程度である。そして、反射角度が角度A
1よりも大きくなるにつれ、反射率が徐々に上昇する。この場合、実線52cで示す反射角度が40°であった場合に反射率がほぼ100%となり、この反射角度が反射率の最大となる。その後、反射角度が大きくなるにつれ、反射率が徐々に下降し、実線52dで示す反射角度45°において、正反射した際の反射率と同等の約75%となる。したがって、角度A
1と角度A
2の関係においては、少なくとも、A
1<A
2<1.5A
1の関係を有することにより、正反射の位置よりもより高い反射率で光を受光することができる。したがって、このような構成とすれば、トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38上に形成されていない場合に、転写ベルト35の表面38から反射される光量を多く受光することができる。また、トナーによる可視画像39が転写ベルト35の表面38を完全に覆っておらず、トナーによる可視画像39のトナー量が少ない場合にも、トナーの層を透過して転写ベルト35の表面38に当たって反射される光の光量を正確に検知することができる。したがって、トナー量を精度よく検知することができる。
【0038】
これについては、以下のことが考えられる。すなわち、転写ベルト35の表面38には、トナーの転写効率の向上、転写ベルト35の表面38の保護等を理由として、何らかのコート剤が非常に薄く被覆されている。このコート剤の種類やコート層の厚み等により、入射光が屈折したり散乱したりする。この入射光の屈折や散乱の影響により、上記した傾向、すなわち、正反射よりも大きい角度で反射率が大きくなるという傾向が現れるものと考えられる。なお、コート剤の種類としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0039】
したがって、例えば、角度A
1を30°とした場合に、角度A
2は、30°よりも大きく45°以下であるようにすればよい。こうすることにより、より高い正反射光の反射率を示す範囲で光を受光することができる。具体的には、角度A
2を35°や40°とする。この角度A
2については、転写ベルト35の材質等によって上記範囲内、すなわち、30°よりも大きく45°以下の範囲内の任意の値が選択されるものである。例えば、転写ベルト35の材質をポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、およびポリカーボネート樹脂の群から選択される少なくともいずれか一つを含む樹脂製とした場合、角度A
2を35°とするとよい。また、転写ベルト35の材質をウレタンゴム、およびヒドリンゴムの少なくともいずれか一つを含むゴム製とした場合、角度A
2を40°とするとよい。
【0040】
なお、実線52dで示す反射角度45°からさらに角度を大きくすると、実線52eで示すように、点線54の影響を受けない角度が出てくる。拡散反射光を受光する第二の受光素子44をこの角度よりも大きい位置に配置することにより、正反射の影響を受けずに拡散反射光を効率よく受光することができる。この実線52eと実線53とのなす角度は、2A
1で示されるものであり、60°となる。
【0041】
また、拡散反射光については、第二の受光素子44が転写ベルト35の表面38に垂直な方向に延びる平面48に対して発光素子42と同じ側に設けられる場合は、正反射光の影響をうけることはほとんどない。したがって、装置構成上、A
3>A
1の関係を有するようにするとよい。すなわち、第二の受光素子44は、発光素子42の設けられる位置に対して、第一の受光素子43と反対側に設けられていればよい。
【0042】
図6は、ブラックのトナーによる可視画像39のトナー量を検知する場合のトナー量とトナー量検知センサー41の出力とのおおよその関係を示すグラフである。
図7は、イエローのトナーによる可視画像39のトナー量を検知する場合のトナー量とトナー検知センサー41の出力とのおおよその関係を示すグラフである。シアンのトナーによる可視画像39のトナー量を検知する場合のトナー量とトナー検知センサー41の出力とのおおよその関係、およびマゼンタのトナーによる可視画像39のトナー量を検知する場合のトナー量とトナー検知センサー41の出力とのおおよその関係は、イエローのトナーによる可視画像39のトナー量を検知する場合のトナー量とトナー検知センサーの出力とのおおよその関係と同等であるため、それらの説明を省略する。
【0043】
図6および
図7中、縦軸は、トナー量検知センサー41の出力値を示し、横軸は、トナー量を示す。縦軸については、紙面上側に向かう程、その数値は高くなっていき、横軸については、紙面右側に向かう程、その数値は高くなっていく。なお、
図6中の上側の実線56aは、角度A
2を40°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づいて出力される出力値であり、下側の実線56bが、角度A
2を40°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光の光量に基づいて出力される出力値である。
図6中の上側の点線57aは、角度A
2を30°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づいて出力される出力値であり、下側の点線57bは、角度A
2を30°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光の光量に基づいて出力される出力値である。
図7中の上側の実線58aは、角度A
2を40°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づいて出力される出力値であり、下側の実線58bが、角度A
2を40°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光の光量に基づいて出力される出力値である。
図7中の上側の点線59aは、角度A
2を30°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づいて出力される出力値であり、下側の点線59bは、角度A
2を30°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光の光量に基づいて出力される出力値である。
【0044】
まず、
図6を参照して、ブラックのトナーによる可視画像39の場合、トナー量が0に近く、非常に少ない場合、実線56aで示す角度A
2を40°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づく出力値は、角度A
2を30°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づく出力値と比較して、大きな値となっている。このように、トナー量が少ない場合には、実線56aで示す角度A
2を40°とした場合の方が、点線57aで示す角度A
2を30°とした場合と比較して、反射光量が大きくなっている。
【0045】
なお、実線56bで、角度A
3を60°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光量に基づく出力値を示している。また、点線57bで、角度A
3を60°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光量に基づく出力値を示している。それぞれは、ほとんど同じとなっている。
【0046】
したがって、トナーがない状態、すなわち、トナーによる可視画像39が形成されておらず、転写ベルト35の表面38を検知している状態から、転写ベルト35の表面38を覆う程度のトナー量を検知するまでの状態において、よりトナー量検知センサー41の出力値の幅を広く保って、精度の高いトナー量の検知を行うことができる。すなわち、最終的にトナー量が多くなってセンサーの値として収束する値は、実線56aの場合と点線57aの場合とであまり変わらないにも関わらず、トナー量が0の点において、出力値を高くすることができるため、精度の高いトナー量の検知をすることができる。
【0047】
次に、
図7を参照して、イエローのトナーによる可視画像39の場合も同様に、トナー量が0に近く、非常に少ない場合、角度A
2を40°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づく出力値は、角度A
2を30°とした場合の第一の受光素子43によって受光された光量に基づく出力値と比較して、大きな値となっている。このように、トナー量が少ない場合には、実線58aで示す角度A
2を40°とした場合の方が、点線59aで示す角度A
2を30°とした場合と比較して、反射光量が大きくなっている。
【0048】
なお、実線58bで、角度A
3を60°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光量に基づく出力値を示している。点線59bで、角度A
3を60°とした場合の第二の受光素子44によって受光された光量に基づく出力値を示している。それぞれは、ほとんど同じ値となっている。
【0049】
以上より、このようなトナー量検知センサー41によると、転写ベルト35の表面38側から反射される光量を多く受光することができる。したがって、トナー量を精度よく検知することができる。また、このようなデジタル複合機11によると、トナー量を精度よく検知できるトナー量検知センサー41を含むため、形成する画像の画質を向上することができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態においては、トナー量検知センサー41は、拡散反射光を受光する第二の受光素子を備える構成としたが、これに限らず、必要に応じて、第二の受光素子を備えない構成としてもよい。こうすることにより、装置構成を単純化することができる。
【0051】
また、上記の実施の形態において、発光素子から所定の波長を有する偏光を照射し、反射される光のうちの所定の波長を有する偏光を分けて受光し、これに基づいてトナー量を検知するよう構成してもよい。
【0052】
図8は、この発明の他の実施形態に係るトナー量検知センサーを示す図である。
図8を参照して、トナー量検知センサー61は、転写ベルト35の表面38またはトナーによる可視画像39に向かって光を照射する発光素子62と、発光素子62からの光をP波、S波といった偏光に分け、P波の成分の偏光を矢印F
1で示す転写ベルト35の表面38またはトナーによる可視画像39に向かって照射させる第一の偏光ユニット63aと、第一の偏光ユニット63aによって矢印F
2で示す方向に分けられたS波の波長を有する偏光を受光する第一の偏光受光素子64aと、転写ベルト35の表面38や転写ベルト35の表面38上に形成されたトナーによる可視画像39からの矢印F
3で示す方向の光を入光させてP波、S波といった偏光に分ける第二の偏光ユニット63bと、第二の偏光ユニット63bによって矢印F
4で示す方向に分けられたS波の波長を有する偏光を受光する第二の偏光受光素子64bと、第二の偏光ユニット63bを経由したP波の波長を有する偏光を受光する第三の偏光受光素子65と、第三の偏光受光素子65等によって受光した反射光の光量からトナー量を算出するトナー量算出部(図示せず)とを備える。
【0053】
ここで、転写ベルト35の表面38に垂直な平面48に対する入射角度、すなわち、転写ベルト35の表面38に垂直な平面48に対する発光素子62の配置される角度B
1とし、転写ベルト35の表面38に垂直な平面48に対する第三の偏光受光素子65の配置される角度を角度B
2とすると、B
1<B
2<1.5B
1の関係を有するよう構成されている。
【0054】
このような構成によれば、P波、S波といった偏光を用いてそれぞれの光量に基づいて、トナー量を検知することができる。もちろん、この場合も、拡散反射光を受光する受光素子を設け、受光した拡散反射光に基づいてトナー量を検知する構成としてもよい。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、樹脂製の転写ベルトの材質を、ポリイミド樹脂としたが、これに限らず、例えば、転写ベルトの材質は、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂のうちのいずれかであってもよい。また、ゴム製の転写ベルトの材質として、ウレタンゴムを用いることとしたが、これに限らず、ヒドリンゴムであってもよい。すなわち、転写ベルトの材質として、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタンゴム、およびヒドリンゴムのうちの少なくともいずれか一つを含む構成としてもよい。
【0056】
また、上記の実施の形態においては、角度A
1については、上記した角度以外の角度を選択することとしてもよい。
【0057】
なお、上記の実施の形態においては、発光素子の一例として赤外光を照射する赤外発光ダイオードを挙げ、第一の受光素子、および第二の受光素子の一例として、赤外受光素子が採用されることとしたが、これに限らず、可視光等、他の波長を有する光を照射する発光素子、および他の波長を有する光を受光する第一の受光素子、第二の受光素子を用いることにしてもよい。
【0058】
また、上記の実施の形態においては、転写体として、中間転写体である転写ベルトを用いることとしたが、これに限らず、例えば、転写体が感光体等であっても、適用されるものである。また、転写体の表面が曲面であった場合、転写体の表面に垂直な平面は、
図4に示す平面においては、曲面の法線で表されるものである。
【0059】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。