特許第6245170号(P6245170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245170
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】フコキサンチン含有組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 303/32 20060101AFI20171204BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20171204BHJP
   A61K 8/49 20060101ALN20171204BHJP
   A61K 31/336 20060101ALN20171204BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20171204BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20171204BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20171204BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20171204BHJP
【FI】
   C07D303/32
   A23L5/00 Z
   !A61K8/49
   !A61K31/336
   !A61P3/04
   !A61P35/00
   !A61P3/10
   !A61P29/00
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-512396(P2014-512396)
(86)(22)【出願日】2013年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2013055131
(87)【国際公開番号】WO2013161378
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2015年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-103689(P2012-103689)
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】上北 健
(72)【発明者】
【氏名】諸島 忠
【審査官】 杉江 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−120494(JP,A)
【文献】 特開2008−255231(JP,A)
【文献】 特開2004−075634(JP,A)
【文献】 特開2008−231198(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102336725(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 201/00 − 521/00
A61K 8/00 − 8/99
A61K 31/00 − 31/80
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻類に、水を0〜80重量%含有する水溶性溶媒を加えて海藻成分抽出液を得、該海藻成分抽出液中に水溶性溶媒濃度が20〜45重量%となるように水及び/又は水溶性溶媒を添加し、併せて、小麦粉、きな粉、結晶セルロース及びシクロデキストリンから選択される可食の粉末、又は、珪藻土、白土及び二酸化ケイ素から選択される濾過助剤も添加して可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液を得る第1工程と、前記の可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液を攪拌した後、前記の可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液中に凝集した物質を分離によりフコキサンチン含有組成物として回収する第2工程とを含ことを特徴とするフコキサンチン含有組成物の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記の可食の粉末又は濾過助剤を前記海藻成分抽出液に対して溶解度以上に添加することを特徴とする請求項1に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記の可食の粉末又は濾過助剤を前記海藻成分抽出液に対して0.001〜100重量%添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
【請求項4】
前記フコキサンチン含有組成物が、フコキサンチン以外の脂質をフコキサンチンに対して0.05〜100倍重量含有し、かつ前記フコキサンチン含有組成物のヒ素質量が原料となる海藻類に含まれるヒ素質量の5%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
【請求項5】
前記フコキサンチン含有組成物中の脂質の内、エイコサペンタエン酸の含量が10重量%以上であることを特徴とする請求項4に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法にて取得したフコキサンチン含有組成物に溶媒を添加しフコキサンチンを含む脂質を溶出させ、前記溶出液中の溶媒を濃縮留去することを特徴とするフコキサンチン含有濃縮物の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法にて取得したフコキサンチン含有濃縮物に少なくとも油を添加することを特徴とするフコキサンチン含有オイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフコキサンチン含有組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カロテノイドは、植物、動物、藻類、微生物などが持つ天然に存在する黄色〜赤色の色素であり、その代表的な働きとして抗酸化作用が知られている。その中でも分子構造中に酸素原子を含む、アスタキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、カンタキサンチン、ゼアキサンチンなどのキサントフィル類は高い抗酸化作用を有している。特にフコキサンチンに関しては、抗肥満作用、抗がん作用、抗糖尿病作用、抗炎症作用などの機能性を有することが報告されており、機能性素材として高い利用価値を秘めている。
【0003】
一般に、カロテノイドを産生する細胞であっても、細胞中に含まれるカロテノイド含量は低く、例えば、海藻中に含まれるフコキサンチンは、0.01%程度と極めて微量である。有効な機能性を発揮する量のフコキサンチンを摂取するためには、膨大な量の海藻を食する必要があり、現実的ではない。このため、フコキサンチンを実用的な機能性素材とするためには、海藻から大量の溶剤にて抽出・精製した後、濃縮により数%程度の濃度にまで高純度化する必要性がある。
【0004】
フコキサンチンを高純度化する方法としては、下記に示す方法が知られている。特開2004−75634号公報(特許文献1)には、海藻類から得られた抽出液を活性炭で処理することにより夾雑物を除去する方法が記載されているが、前記方法では活性炭に吸着するクロロフィル等の一部夾雑物しか除去できずフコキサンチンの精製度が低い。更に、フコキサンチン自体も活性炭に吸着除去されてしまう傾向があり、本操作だけでは実用的な機能性素材とは成り得ない。また特開2009−120494号公報(特許文献2)には、褐藻類からの抽出液を合成吸着樹脂と接触させた後に、樹脂に吸着したフコキサンチンを溶離させる方法が記載されているが、前記方法では、数%程度までのフコキサンチンの高純度化は達成できるものの、取得できるフコキサンチンに対して高価な合成吸着樹脂を多量に用いるためコストが高くなり、経済的に不利である。また、合成吸着樹脂の表面に吸着させたフコキサンチンを溶離するために多量の溶剤を必要とする上、その使用した溶剤を濃縮留去する操作が必要となるが、フコキサンチンは熱に極めて不安定であるため、多量の溶剤を濃縮留去する操作が必要となる。したがって、合成吸着樹脂を用いてフコキサンチンを高純度化する方法は生産効率が悪く、工業的にも不利であると言える。
【0005】
前述したようにフコキサンチンを高純度化する製造方法について開示はされているものの、多量の溶媒を濃縮する操作を用いずに、フコキサンチンを高純度化する方法に関しては未だ開示されておらず、フコキサンチンを生産する上でのコストや操作性についての問題は、未だ解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−75634号公報
【特許文献2】特開2009−120494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、海藻類から抽出したフコキサンチンを高純度化する際の前記問題を解決することにある。具体的には、熱処理工程を用いずにカロテノイドを高濃度で取得する製造方法を提供する。更に本発明は、高純度化する際に合成吸着樹脂を用いずにフコキサンチンを高濃度化することを可能にし、コスト面と操作性に優れた製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに海藻類の海藻成分抽出液を得た後に、水溶性溶媒が一定の濃度となるように水及び/又は水溶性溶媒を添加し、併せて、小麦粉、きな粉、結晶セルロース及びシクロデキストリンから選択される可食の粉末、又は、珪藻土、白土及び二酸化ケイ素から選択される濾過助剤賦形剤も添加して可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液を得、次いで前記の可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液を攪拌することによって、効率的にフコキサンチンを高純度化でき、かつ海藻類の有用な脂質成分を豊富に含有した凝集物を取得できることを見出した。さらに本発明により得られたフコキサンチン含有組成物のヒ素含量が原料の海藻に含まれるヒ素含量と比較して著しく低下していることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明が提供するのは以下の通りである。
(1)
海藻類に、水を0〜80重量%含有する水溶性溶媒を加えて海藻成分抽出液を得、該海藻成分抽出液中に水溶性溶媒濃度が20〜45重量%となるように水及び/又は水溶性溶媒を添加し、併せて、小麦粉、きな粉、結晶セルロース及びシクロデキストリンから選択される可食の粉末、又は、珪藻土、白土及び二酸化ケイ素から選択される濾過助剤も添加して可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液を得る第1工程と、前記の可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液を攪拌した後、前記の可食の粉末又は濾過助剤含有抽出液中に凝集した物質を分離によりフコキサンチン含有組成物として回収する第2工程とを含ことを特徴とするフコキサンチン含有組成物の製造方法。
(2)
前記第1工程において、前記の可食の粉末又は濾過助剤を前記海藻成分抽出液に対して溶解度以上に添加することを特徴とする(1)に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
(3)
前記第1工程において、前記の可食の粉末又は濾過助剤を前記海藻成分抽出液に対して0.001〜100重量%添加することを特徴とする(1)又は(2)に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
(4)
前記フコキサンチン含有組成物が、フコキサンチン以外の脂質をフコキサンチンに対して0.05〜100倍重量含有し、かつ前記フコキサンチン含有組成物のヒ素質量が原料となる海藻類に含まれるヒ素質量の5%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
(5)
前記フコキサンチン含有組成物中の脂質の内、エイコサペンタエン酸の含量が10重量%以上であることを特徴とする(4)に記載のフコキサンチン含有組成物の製造方法。
(6)
(1)〜(5)のいずれか一項に記載の方法にて取得したフコキサンチン含有組成物に溶媒を添加しフコキサンチンを含む脂質を溶出させ、前記溶出液中の溶媒を濃縮留去することを特徴とするフコキサンチン含有濃縮物の製造方法。
(7)
(6)に記載の方法にて取得したフコキサンチン含有濃縮物に少なくとも油を添加することを特徴とするフコキサンチン含有オイルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる方法によれば、高価な合成吸着樹脂や煩雑な精製操作が不要であることから、効率的かつ経済的にフコキサンチンを高濃度化することができる。更に、本法ではフコキサンチンに加えて海藻中の脂肪酸等の脂質成分も同時に凝集物として取得でき、且つ前記凝集物のヒ素質量が、原料となる海藻類に含まれるヒ素質量の5%以下であるフコキサンチン含有組成物を取得できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について、以下に詳述する。
【0011】
本発明においては、海藻類に水溶性溶媒を加えて海藻成分抽出液を得た後に、水溶性溶媒が一定の濃度となるように水及び/又は水溶性溶媒を添加し、併せて賦形剤も添加して賦形剤含有抽出液を得、次いで該賦形剤含有抽出液を攪拌することにより、フコキサンチンを含む脂質成分を凝集させフコキサンチン含有組成物を取得する。
【0012】
本発明で用いる海藻類は、フコキサンチンを含有するものであれば特に制限されないが、フコキサンチンを比較的多く含む褐藻網に属する海藻が好ましく、その中でも、資源量及び市場流通性の観点から、ホンダワラやアカモクなどのホンダワラ類、ヒジキ類、ワカメ類、コンブ類、モズク類がより好ましい。これら海藻類は、天然または養殖の何れであっても良く、一種で用いても二種以上の混合で用いても良い。また、前記海藻類は、海より採取したままの海藻類、冷凍された海藻類、塩蔵された海藻類、乾燥された海藻類、水洗処理、熱水処理、酸性水洗浄、アルカリ水洗浄、細断処理などの加工処理された状態の何れでも使用できる。細断処理とは、抽出効率の向上、取り扱いの容易さなどの観点から、例えば50mm程度以下の大きさに細断された状態にする加工処理のこという。
【0013】
上記した海藻類から海藻成分抽出液を得る方法としては、フコキサンチンを含む脂質成分が抽出できれば特に制限はなく、常法に従い行うことができる。この際に用いられる溶媒は水溶性溶媒であり、フコキサンチンが溶解できる水溶性溶媒であれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。前記水溶性溶媒は単独で用いても良く、二種以上を混合しても良い。二種以上を混合する場合、その混合比は特に制限されない。但し、前記水溶性溶媒の中でも、得られたものを機能性素材として食品、医薬品用途や化粧品等に安全に適用する観点から、エタノールを選択するのが特に好ましい。
【0014】
本発明において、海藻類に加えるための水溶性溶媒における水の含有量は、0〜80重量%が好ましく、0〜60重量%がより好ましく、0〜40重量%がさらに好ましい。
【0015】
また、海藻類から海藻成分を抽出させる際の温度は、一般に−20〜100℃、通常−10〜60℃、好ましくは0〜40℃で好適に実施できる。抽出時間は、普通0.1時間〜7日間、好ましくは0.5時間〜2日間で好適に実施できる。また、水溶性溶媒の使用量は、海藻に対して0.1倍重量以上50倍量以下が好ましく、1倍量以上20倍量以下がより好ましい。1倍量未満では海藻が十分に溶媒に浸らないため、海藻成分の回収率が低くなる。また、50倍量以上では溶媒費用の増大及び生産性の低下の面から、経済的に不利である。
【0016】
その後、遠心分離や加圧濾過、フィルタープレス機、デカンテーションなどによる常法にて、海藻成分抽出液は固形分から分離して取得する。
【0017】
こうして得られる海藻成分抽出液に溶解している海藻成分としては、使用する海藻の種類にもよるが、フコキサンチン、リン脂質、糖脂質、中性脂肪、エイコサペンタエン酸、ヘキサデカテトラエン酸、オクタデカテトラエン酸などの脂肪酸類の他、アルギン酸、フコイダンなどの多糖類、アルセノシュガー、ヒ酸などのヒ素化合物、ヨウ素等があげられる。
【0018】
次に、前記海藻成分抽出液中に水溶性溶媒濃度が20〜45重量%となるよう水及び/又は水溶性溶媒を添加し、併せて賦形剤も添加して賦形剤含有抽出液を得る第1工程について説明する。
【0019】
第1工程において添加する水溶性溶媒としては、前記海藻成分抽出液を得る際に海藻類に加えることのできる水溶性溶媒と同じものの中から適宜選んで使用することができる。
本発明において、前記海藻成分抽出液に水及び/又は水溶性溶媒を添加して賦形剤含有抽出液を得る。ここで、該賦形剤含有抽出液に対する水溶性溶媒は、海藻成分抽出液を得る際に加えた水溶性溶媒と第1工程において加えた水溶性溶媒を合計して、20〜45重量%となるようにすることが好ましい。尚、ここでの20〜45重量%という組成は、併せて添加する賦形剤を、溶液全体の重量に加算しないで計算した場合の比率である。前記組成は、フコキサンチンを含む脂質成分の凝集に適した組成であり、フコキサンチンを、後述する芯物質となる賦形剤に効率良く凝集させ、その後の分離にて凝集物として取得することを可能とする。ここで、水溶性溶媒が20重量%未満だと、フコキサンチンを含む脂質成分は析出しているものの凝集が起こらないため、その後の分離にて賦形剤と共に凝集物として取得できずに濾過液に排出される。一方、水溶性溶媒が45重量%を超えてしまうと、フコキサンチンを含む脂質成分が依然として溶解しており、析出自体がされないため分離にて凝集物として取得できない。
【0020】
本発明の第一工程において、前述した水及び/又は水溶性溶媒と共に、前記海藻成分抽出液に追加する賦形剤としては、合成吸着樹脂などの化学結合によりフコキサンチンを吸着するような化合物は好適ではなく、物理的に、後述する賦形剤含有抽出液組成にて析出するフコキサンチンを含む脂質成分の凝集を促進する芯物質として機能することができるものであればよい。具体的には、溶解度が水100gに対して0〜10gである賦形剤が好ましく、水100gに対して0〜7gがより好ましく、水100gに対して0〜5gがさらに好ましい。水への溶解度が10gより大きい賦形剤は、核物質として機能する必要量が多くなり経済的に不利となる。
【0021】
本発明における賦形剤は、凝集の芯物質として機能する必要性があるため、溶解度以上となる量を用いるのが好ましい。本発明における溶解度とは、一般にある物質が溶媒に溶解する限度である。したがって、溶解度以上とは溶媒中に溶質が溶解せずに存在している状態をいう。前記賦形剤の中でも、フコキサンチンを食品添加用途に使用する観点であれば小麦粉、きな粉、結晶セルロース、シクロデキストリンといった可食の粉末を用いることができ、フコキサンチンが付着した粉末として食することも可能である。また凝集後の液体の濾過性が悪く、固液分離が困難な場合には、賦形剤として一般的な濾過助剤である珪藻土、白土、二酸化ケイ素などを好適に用いることができる。
【0022】
第1工程における賦形剤の添加量としては、前記海藻成分抽出液に対して0.001〜100重量%添加することが好ましい。より好ましくは0.005〜50重量%であり、さらに好ましくは0.01〜10重量%である。賦形剤の添加量が前記海藻成分抽出液に対して0.001重量%よりも小さいと、賦形剤添加による十分な凝集促進効果が得られず、凝集物を得るためには長時間を要することや、十分な濾過助剤としての役割を果たせないため、濾過性が著しく悪化する等の問題がある。また賦形剤の添加量が前記海藻成分抽出液に対して100重量%よりも大きいと、流動性が悪くなり攪拌に支障をきたすことや、凝集物中のフコキサンチン濃度が低く実用的でなくなる等の問題があり好ましくない。
【0023】
次に、賦形剤含有抽出液を攪拌した後、該賦形剤含有抽出液中に凝集した物質を分離により回収する第2工程について説明する。
【0024】
本発明において、賦形剤含有抽出液を攪拌する方法としては、溶液を均一に混合できれば特に限定されないが、攪拌翼による方法、ラインミキサーによる方法等の常法が挙げられる。前記攪拌操作により、凝集が促進され、かつ、芯物質である賦形剤への均一な凝集が可能となる。また、攪拌条件としては、フコキサンチンの分解を抑制する観点から、一般に60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。また、凝集時間は、普通0.1時間〜2日間、好ましくは0.5時間〜6時間で好適に実施できる。
【0025】
前記攪拌後に、前記芯物質に凝集する物質は、海藻に含まれる脂質成分であり、フコキサンチンはもちろんのこと、例えば、リン脂質、糖脂質、中性脂肪、エイコサペンタエン酸、ヘキサデカテトラエン酸、オクタデカテトラエン酸などの脂肪酸類などが挙げられる。
【0026】
本発明においては、賦形剤含有抽出液から凝集する物質を分離することによりフコキサンチン含有組成物を回収することができる。分離する方法としては、凝集物が系中の液と分離できれば特に制限はされないが、例えば、遠心分離や加圧濾過、減圧濾過、膜濾過、フィルタープレス機、デカンテーションなどによる常法にて、凝集物を取得することができる。
【0027】
本発明におけるフコキサンチン含有組成物は、海藻に含有するエイコサペンタエン酸、ヘキサデカテトラエン酸等の機能性を有する脂質を豊富に含有しており、これらフコキサンチン以外の脂質をフコキサンチンに対して0.05〜100倍重量含有していることが好ましい。フコキサンチン以外の脂質が、0.05倍重量より小さい場合は、脂質成分の大半が濾過液に含まれ、フコキサンチンを含む脂質の絶対量としての回収率が低いという問題があり、フコキサンチン以外の脂質が100倍重量より大きい場合は、相対的に組成物中のフコキサンチン含量が低下するため、フコキサンチンを高純度化できていないという観点から好ましくない。なお前記フコキサンチン含有組成物は、通常、前記組成物に含まれる脂質の内、エイコサペンタエン酸の含量が10%以上を有している。
【0028】
また、前記フコキサンチン含有組成物のヒ素質量は原料となる海藻類に含まれるヒ素質量の5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。前記組成物のヒ素質量が原料となる海藻類に含まれるヒ素質量が5%より大きいと、食品用途で展開した場合に人体に悪い影響を与えてしまうことが考えられる。
【0029】
本発明においては、分離して取得したフコキサンチン含有組成物は、そのまま採取しても良いし、一度、少量の溶媒にてフコキサンチンを含有する脂質成分を溶出させた後、前記溶出液を更に濃縮留去することによりフコキサンチン含有濃縮物を得ても良い。さらに、前記フコキサンチン含有濃縮物に少なくとも油を添加することによって、フコキサンチン含有オイルを製造することができる。
【0030】
なお、フコキサンチン含有濃縮物とは、分離して取得したフコキサンチン含有組成物よりフコキサンチン含量が高く、組成物中に含まれるフコキサンチンが純化された組成物を指し、特に制限はされないがフコキサンチン含量が0.001〜50重量%であることが好ましく、0.01〜50重量%がより好ましい。
【0031】
前記フコキサンチン含有組成物から、フコキサンチンを含有する脂質成分を溶出させるために使用する少量の溶媒としては、フコキサンチンが溶出できれば特に限定はなく、前記海藻成分抽出液を得る際に海藻類に加えることのできる水溶性溶媒と同じものの中から適宜選んで使用することができる。
【0032】
濃縮留去する際の操作方法としては、溶媒が留去できれば特に制限はされないが、例えば減圧蒸留、常圧蒸留等が挙げられる。
【0033】
なお、濃縮留去の条件としては、フコキサンチンの分解を抑制する観点から、80℃以下での実施が好ましく、70℃以下がより好ましい。
【0034】
また、本発明においてフコキサンチン含有オイルを製造する際には、少なくとも油を添加する必要があり、この際に使用する油としては食品として食べることができる油であれば特に制限はされないが、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、オリーブ油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ひまわり種子油、カポック油、月見草油、ゴマ油、サフラワー油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、魚油等が挙げられる。また、油とフコキサンチンの混合状態を向上させるために、乳化剤などを添加しても良く、このような乳化剤としては、特に制限はないがグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン等が挙げられる。さらに、フコキサンチン含有オイルの安定性を向上させるために抗酸化剤を添加しても良く、このような抗酸化剤としては、特に制限はないがビタミンE、ビタミンC、ビタミンC誘導体等が挙げられる。以上のようにフコキサンチン含有オイルは、少なくとも油を含有していればよく、他の添加物を適時設定することができる。
【0035】
以上のように、海藻類に、水を0〜80重量%含有する水溶性溶媒を加えて海藻成分抽出液を得、該海藻成分抽出液中に水溶性溶媒濃度が20〜45重量%となるように水及び/又は水溶性溶媒を添加し、併せて賦形剤も添加して賦形剤含有抽出液を得る第1工程と、前記賦形剤含有抽出液を攪拌した後、前記賦形剤含有抽出液中に凝集した物質を分離により回収する第2工程とを含むフコキサンチン含有組成物の製造方法を用いることで、合成吸着樹脂を使用せず、且つ多量の抽出溶剤を濃縮することなく、効率的かつ経済的にフコキサンチン含有組成物を取得することができる。そして前記フコキサンチン含有組成物は、そのままの状態で、或いは必要に応じて前述したフコキサンチン含有オイルとすることにより、食品や医薬品用途、化粧品等の機能性素材として利用することができ、以下に示すような態様で提供することができる。
【0036】
食品として提供される態様としては、飲料(清涼飲料水、ドリンク等)、ハードおよびソフトカプセル、タブレット、キャンディー、チューインガム、グミ、クッキー、チョコレート、ウエハース、ゼリー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
医薬品用途として利用する際には、個々の患者や病態等に応じて、当該フコキサンチン含有物をそのままあるいは、賦形剤、結合剤、崩壊剤その他の適切な添加剤などを加え、エアゾール剤、液剤、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、眼軟膏剤、経皮吸収型製剤、懸濁剤、乳剤、坐剤、散剤、酒精剤、錠剤、シロップ剤、注射剤、貼付剤、チンキ剤、点眼剤、トローチ剤、軟膏剤、バップ剤、芳香水剤、リニメント剤、リモナーデ剤、流エキス剤、ローション剤等の各種の剤形での提供が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
化粧品等として提供される態様としては、化粧水、ローション、パック、ボディジェル、ハンドクリーム、リップクリーム、洗髪剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
上記の用途に使用するため、当該フコキサンチン含有組成物と食品、医薬品や化粧品で許容されうる化合物を組み合わせてもよい。前記化合物としては、精油、脂肪、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ろう、グリコール類、アルコール類、水、乳化剤、懸濁化剤、クエン酸、塩酸、酒石酸、乳酸、ビタミン類、ゼラチン等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を組み合わせてもよく、混合比は特に制限されない。
【0040】
なお、フコキサンチンは、HPLC法などにより定量測定することができる。また、ヒ素は、原子吸光光度法などにより定量測定することができ、脂質量及び脂質中の脂肪酸組成については、GC−MS法などにより定量測定することができる。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)きな粉を用いた凝集例
冷凍後に10mm以下に細断処理したアカモク300gに、60%エタノール水溶液1500gを加え、25℃で1時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノール水溶液300gで洗い込んで、海藻成分抽出液1970gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が33%となるように水1400gを添加し、併せてきな粉500mgも添加した。その後、25℃で1時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を1289mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、2.56%であった。また、この凝集物中のヒ素質量を常法に従い原子吸光光度法にて測定した結果、2.3%であった。
【0043】
(比較例1)賦形剤なしでの比較対照
冷凍後に10mm以下に細断処理したアカモク300gに、60%エタノール水溶液1500gを加え、25℃で1時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノール水溶液300gで洗い込んで、海藻成分抽出液1970gを得た。その後、前記海藻成分抽出液に水1400gを添加してエタノール濃度を33%に調節し、25℃で1時間攪拌した。これを濾過したが、凝集物を得ることは出来なかった。
【0044】
(実施例2)再凝集での高濃度化例
実施例1と同様にして取得した凝集物を、60%エタノール水溶液300gに添加した後、水214gを添加して全体に対するエタノール濃度を35%に調節し、25℃で2時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を830mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、4.00%であった。また、この凝集物中のヒ素質量を常法に従い原子吸光光度法にて測定した結果、0.4%であった。
【0045】
(実施例3)抽出にエタノール溶媒を用いた例
アカモク200gに、エタノール300gを加え、25℃で2時間攪拌した後、濾過して海藻成分抽出液380gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が40%となるように水266gを添加し、併せて珪藻土2.0gも添加した。その後、25℃で1時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を2.23g取得した。この凝集物にエタノール4.0gをかけて脂質成分を溶出させ、溶出液の溶媒を濃縮留去したところ、濃縮物212mgを得た。この濃縮物中のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、6.52%であった。更にその濃縮物に、食用油、レシチン、ビタミンEを加えて均一に混合し、フコキサンチンを1.0%含有するオイル1.26gを取得した。
【0046】
(実施例4)抽出に80%エタノール水溶液を用いた例
アカモク200gに、80%エタノール水溶液300gを加え、25℃で2時間攪拌した後、濾過して海藻成分抽出液370gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が35%となるように水201gを添加し、併せて珪藻土10.0gも添加した。その後、25℃で1時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を10.18g取得した。この凝集物にエタノール10.0gをかけて脂質成分を溶出させ、溶出液の溶媒を濃縮留去したところ、濃縮物122mgを得た。この濃縮物中のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、9.83%であった。更にその濃縮物に、食用油、グリセリン脂肪酸エステル、ビタミンEを加えて均一に混合し、フコキサンチンを1.0%含有するオイル1.17gを取得した。
【0047】
(実施例5)エタノール濃度45%調整例
アカモク30gに、60%エタノール水溶液150gを加え、25℃で1時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノール水溶液30gで洗い込んで、海藻成分抽出液200gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が45%となるように水31gを添加し、併せて珪藻土75mgも添加した。その後、25℃で1時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を100.1mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.50%であった。
【0048】
(実施例6)エタノール濃度30%調整例
海藻成分抽出液に添加する水の量が145gで、エタノール濃度を30%に調節すること以外は実施例5と同様の操作を行い、凝集物を96.1mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、2.24%であった。
【0049】
(実施例7)エタノール濃度20%調整例
海藻成分抽出液に添加する水の量が317gで、エタノール濃度を20%に調節すること以外は実施例5と同様の操作を行い、凝集物を87.8mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.19%であった。
【0050】
(比較例2)エタノール濃度55%調整例
アカモク30gに、60%エタノール水溶液150gを加え、25℃で1時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノール水溶液30gで洗い込んで、海藻成分抽出液200gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が55%となるようにエタノール13gを添加し、併せて珪藻土75mgも添加した。その後、25℃で1時間攪拌した。これを濾過して濾過物を75.1mg取得した。この濾過物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.01%以下であった。
【0051】
(比較例3)エタノール濃度10%調整例
海藻成分抽出液に添加する水の量が840gで、エタノール濃度を10%に調節すること以外は実施例5と同様の操作を行い、凝集物を76.0mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.01%以下であった。
【0052】
(実施例8)小麦粉を用いた例
冷凍後に10mm以下に粉砕したアカモク30gに、60%エタノール水溶液150gを加え、15℃で15時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノールで洗い込み、海藻成分抽出液196gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が35%となるように水135gを添加し、併せて小麦粉3.0gも添加した。その後、15℃で3時間攪拌した。これを濾過することにより凝集物を取得し、更に減圧乾燥により乾燥した後に粉砕することで、乾燥粉末を2.48g取得した。この乾燥粉末のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.10%であった。
【0053】
(実施例9)結晶セルロースを用いた例
冷凍後に10mm以下に粉砕したアカモク30gに、60%エタノール水溶液150gを加え、15℃で15時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノールで洗い込み、海藻成分抽出液196gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が35%となるように水135gを添加し、併せて結晶セルロース200mgも添加した。その後、25℃で15時間攪拌した。これを濾過することにより凝集物を取得し、更に減圧乾燥により乾燥した後に粉砕することで、乾燥粉末を380mg取得した。この乾燥粉末のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.53%であった。
【0054】
(実施例10)シクロデキストリンを用いた例
冷凍後に10mm以下に粉砕したアカモク30gに、60%エタノール水溶液150gを加え、15℃で15時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノールで洗い込み、海藻成分抽出液196gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が35%となるように水135gを添加し、併せてシクロデキストリン5.0gも添加した。その後、25℃で1時間攪拌した。これを濾過することにより凝集物を取得し、更に減圧乾燥により乾燥した後に粉砕することで、乾燥粉末を1.50g取得した。この乾燥粉末のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、0.15%であった。
【0055】
(実施例11)ワカメでの例
ワカメ10gに、60%エタノール水溶液50gを加え、25℃で18時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノール水溶液10gで洗い込んで、海藻成分抽出液58gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が35%となるように水45gを添加し、併せて珪藻土20mgも添加した。その後、25℃で2時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を39.6mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、1.39%であった。
【0056】
(実施例12)コンブでの例
コンブ10gに、60%エタノール水溶液50gを加え、25℃で14時間攪拌した後、濾過して更に60%エタノール水溶液10gで洗い込んで、海藻成分抽出液60gを得た。その後、該海藻成分抽出液にエタノール濃度が35%となるように水45gを添加し、併せて珪藻土20mgも添加した。その後、25℃で4時間攪拌することにより系中に凝集物を発生させた。これを濾過して凝集物を26.6mg取得した。この凝集物のフコキサンチン濃度を常法に従いHPLC法にて測定した結果、1.76%であった。
【0057】
(参考例1)凝集物の脂肪酸組成データ
実施例1で取得した凝集物の脂肪酸組成を常法に従いGC−MS法にて分析した結果、エイコサペンタエン酸は10.5%であった。