(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
X線CT装置によって互いに異なる管電圧で撮像して得られた、被検体の同一断面における複数の医用画像を記憶する記憶手段と通信可能に設けられた医用画像処理装置に搭載可能なプログラムであって、
前記医用画像処理装置を、
前記記憶手段から前記複数の医用画像を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記複数の医用画像の同一座標の画素における、CT値と管電圧との相関関係を算出する相関関係算出手段と、
ユーザから医用画像の強調度を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けた強調度と前記相関関係算出手段で算出された相関関係とに基づいて、強調画像を構成する各画素におけるCT値を特定し、当該強調画像を生成する生成手段と、
前記被検体の同一断面における1つの医用画像を表示させる際のウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値を取得する表示条件取得手段と、
前記表示条件取得手段で取得したウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値に対応する医用画像のCT値平均値Aと、前記生成手段で特定された強調画像のCT値平均値Bとを算出する平均値算出手段と、
前記表示条件取得手段で取得したウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値を、前記平均値算出手段で算出された前記CT値平均値Aと前記CT値平均値Bとを用いて補正することにより得られたウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値で前記強調画像を表示するように制御する表示制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
X線CT装置によって互いに異なる管電圧で撮像して得られた、被検体の同一断面における複数の医用画像を記憶する記憶手段と通信可能に設けられた医用画像処理装置に搭載可能なプログラムであって、
前記医用画像処理装置を、
前記記憶手段から前記複数の医用画像を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記複数の医用画像の同一座標のボクセルにおける、CT値と管電圧との相関関係を算出する相関関係算出手段と、
ユーザから医用画像の強調度を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けた強調度と前記相関関係算出手段で算出された相関関係とに基づいて、強調画像を構成する各ボクセルにおけるCT値を特定し、当該強調画像を生成する生成手段と、
前記被検体の同一断面における1つの医用画像を表示させる際のウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値を取得する表示条件取得手段と、
前記表示条件取得手段で取得したウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値に対応する医用画像のCT値平均値Aと、前記生成手段で特定された強調画像のCT値平均値Bとを算出する平均値算出手段と、
前記表示条件取得手段で取得したウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値を、前記平均値算出手段で算出された前記CT値平均値Aと前記CT値平均値Bとを用いて補正することにより得られたウィンドウ幅値及び/又はウィンドウレベル値で前記強調画像を表示するように制御する表示制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置は、所定の管電圧と管電流というパラメータを基に、被験者の身体の周囲を回転する管球からX線を被験者に投射することで得られる情報を再構成することで被験者の内部を画像化することができる。
【0003】
通常X線CT装置では、物質固有の値として採用されているCT値をグレイスケールに置き換えてビューア上で表示することで病変検出などの読影が可能である。このようなCT値は物質の原子番号や密度に関係する固有値である「線源弱係数」を水の線源弱係数で正規化したものであるが、線源弱係数はCT撮影時のX線の強度である管電圧に応じて変化する特性が知られている。
【0004】
従って管電圧に応じてCT値は変化することになる。このため通常の医学読影では再現性を確保するために通常は管電圧120kVを用いて撮影された画像を利用することが多い。
【0005】
しかし、近年ではこのような管電圧によるCT値の変化を利用して特定の物質のみを抽出するような技術や撮影法が登場した。これを2電圧撮影(Dual Energy CT)と呼ぶ。この撮影では80kVと140kVで撮影された2つのデータを用いてCT値を比較することで物質の原子番号に応じた変化量から特定の物質を選択的に抽出することができる。
【0006】
CT撮影の造影剤として用いられるヨード801は被検体の身体を構成する有機化合物(骨802、筋肉803)に比べ原子番号が大きいため、
図8に示すようにX線エネルギーを変化させた際の質量減弱係数の変化量が大きいことが知られている。
【0007】
そのため、異なる管電圧で撮影された2つのデータのCT値を比較し、ピクセルごとのヨード存在確率を推定することでCT画像をヨード濃度マップ(ヨードマップ)に変更する事が可能である(非特許文献1)。このようなヨードマップでは組織に取り込まれたヨードを強調して表示することが可能であるため、梗塞によって血流が遮断された領域や発がんに伴う血管新生を特定する際に有効であるとされている。すなわち、2電圧撮影で撮像された画像を用いて、組織内の正常領域と異常領域の区別を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、X線CT装置で撮像されたCT画像を、ユーザが望む強調度で造影剤の影響を強調した強調画像を生成する処理を詳細に説明する。
【0015】
本発明において用いられるX線CT装置で撮影されたCT画像は、患者(被検体)を寝台に寝かせた状態でヨード等の造影剤を投与して、80kVと140kVの2電圧撮影(Dual Energy CT)で撮影された2つのCT画像(医用画像)である。2電圧撮影で取得される2つの医用画像は、例えばX線CT装置が照射するX線の管電圧を高電圧と低電圧に切り替えながら撮影することで取得でき、互いに異なる管電圧で撮像された医用画像であるが、同一被検体(患者)の略同一時刻に撮像された医用画像であるといえる。
【0016】
このようなX線CT装置で撮像されたCT画像を医用画像処理装置等のディスプレイに表示させる際は、256階調のグレイスケールが用いられる。一方CT値は、水のX線減衰率を0HU、空気のX線減衰率を−1000と定義し、これらに対する各物質のX線減衰度の相対値を表したものであるため、身体を撮像した際に取得されるCT値は約-100HUから3000HUという幅を持つことになる。
【0017】
このようなCT画像を表示させる際に用いられるグレイスケールは、CT値に対応づけて表されることになるが、CT値の全範囲と階調の全範囲とを完全に対応づけてしまうと必要な組織を強調して確認することができなくなってしまう。そのため、CT値と諧調との対応関係をウィンドウ幅値(WW)、ウィンドウレベル値(WL)として定義し、階調の全範囲又は一部の範囲をCT値の必要な範囲に対応づけることで、所望の表示結果を表示させることが一般的である。
【0018】
ここでウィンドウレベル値とは、グレイスケールで表示させる際に中心となるCT値であり、ウィンドウ幅値とは、濃淡表示する範囲のことをいう。具体的にはウィンドウ幅値を300、ウィンドウレベル値を30とした場合、中心となるCT値は30であり、これを中心とした150の幅が表示されるCT値の範囲となる。すなわちCT値で―120から180までが観察対象のCT値の範囲となり、この範囲のCT値に0−255までの階調が対応づけられてディスプレイに表示される。
【0019】
図1(a)は、本実施形態の医用画像処理装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態における医用画像処理装置101は、CT装置などの医用画像診断装置で撮影されるボリュームデータを記憶している記憶装置から、当該ボリュームデータを取得して(読み込んで)画像処理を行うものである。
【0020】
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
【0021】
また、ROM202あるいは外部メモリ211(記憶手段)には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/OutputSystem)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、医用画像処理装置101の実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0022】
CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0023】
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボードや不図示のマウス等のポインティングデバイス等の入力デバイス209からの入力を制御する。
【0024】
ビデオコントローラ(VC)206は、ディスプレイ210等の表示器への表示を制御する。表示器の種類はCRTや、液晶ディスプレイを想定するが、これに限らない。
【0025】
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフレキシブルディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるカード型メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0026】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、CT装置等の医用画像診断装置で取得された画像を記憶する記憶装置等の外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0027】
尚、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。
【0028】
また、CPU201は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0029】
本発明の医用画像処理装置101が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等は外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
【0030】
さらに、本発明に係わるプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルは外部メモリ211に格納されている。
図1(b)は、医用画像処理装置101の機能構成を示す図である。医用画像処理装置101のCPUは、撮像画像取得部250と強調度受付部251と、相関関係算出部252と、強調画像生成部253と、ウィンドウ幅値/ウィンドウレベル値設定部254として機能する。
【0031】
撮像画像取得部250は、CT装置などの医用画像診断装置で撮影された互いに異なる管電圧で撮像された複数の医用画像(ボリュームデータ)から、同一位置(同一断面)の2次元画像を取得する。
【0032】
強調度受付部251は、ユーザから、ユーザが所望する造影剤の強調度を受け付ける受付部であり、例えばディスプレイ上に表示させた画面を介して受け付けることができる。本実施形態においては、強調度として仮想管電圧をユーザから指定される例を用いて説明するが、これに限られずユーザが所望する強調度を受け付けることができればよい。
【0033】
相関関係算出部252は、互いに異なる管電圧で撮像された複数のボリュームデータを構成する2次元画像の同一座標のピクセル(画素)におけるCT値と管電圧との相関関係を算出する。この際に、医用画像内の全ピクセルに対して相関関係を算出させてもよいが、所定の信号以上のピクセルに対してのみ相関関係を算出させてもよい。
【0034】
強調画像生成部253は、相関関係をもとにユーザから指定された強調度における各ピクセルのCT値を特定し、当該CT値を用いて強調画像を生成する。
ウィンドウ幅値/ウィンドウレベル値設定部254は、強調画像を表示する際のウィンドウ幅値(WW)/ウィンドウレベル値(WL)を設定する。
【0035】
図2は、本発明の医用画像処理装置101が行う医用画像処理の流れを説明するフローチャートである。
図2のフローチャートに示す処理は、医用画像処理装置101のCPU201が記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0036】
ユーザは、まず所望のボリュームデータを読み込む処理を行う。具体的には、医用画像処理装置101のCPU201は、ユーザが指定した画像をCT装置等の医用画像診断装置で取得されたCT画像データを、通信可能に設けられた外部の記憶装置(不図示)から取得する。ここで取得するCT画像データは、同一被検体の略同一時刻に撮像された互いに異なる管電圧で撮像された少なくとも2つのボリュームデータであり、各ボリュームデータ(医用3次元画像データ)は複数のスライス画像(2次元画像)で構成されている。このように取得されたボリュームデータは、医用画像処理装置101の記憶部(外部メモリやRAM)に記憶される。
【0037】
S201では、医用画像処理装置101のCPU201が、このようなボリュームデータ内からユーザによって指定される同一位置(同一断面)の2次元画像であって、互いに異なる管電圧で撮像された2つの2次元画像を取得する。なお、ここで取得する2次元画像は、ボリュームデータを任意の平面で切り出して構成した断面であってもよい。本実施形態においては、
図4(a)に示す80kVで撮像された第1の画像と、
図4(b)に示す140kVで撮像された第2の画像が取得された例を用いて説明を行う。
【0038】
S202では、医用画像処理装置101のCPU201が、S201で取得した2つの2次元画像の同一座標のピクセルにおけるCT値と管電圧との相関関係を算出する。
図5は、80kVで撮像された第1の画像のCT値520と140kVで撮像された第2の画像のCT値510とから求まる、同一座標のピクセルにおける相関関係を示した図である。2点のCT値を用いて近似することにより、管電圧とCT値との相関関係を求めることができる。
図5では、2点のCT値を用いて同一座標におけるピクセルの相関関係を線形近似した例を示している。ヨード等の影響が強い画素のCT値の変化量は、ヨード等の影響がない画素のCT値の変化量より大きくなる。なお、S202で求める相関関係は、医用画像内の全ピクセルに対して相関関係を算出させてもよいが、所定の信号値以上のピクセルに対してのみ行ってもよい。
【0039】
S203では、医用画像処理装置101のCPU201が、ユーザから強調度の指定を受け付ける。強調度は例えば仮想管電圧として指定することができ、
図3(a)に示すようなディスプレイに表示される仮想管電圧値の入力画面を介して指定したり、
図3(b)に示すようにスライドバーの入力画面を介して指定し、リアルタイムで変更できるようにしてもよい。なお、強調度は仮想管電圧のみならず、第1の画像と第2の画像間のCT値の平量が大きい画素を強調させる強調倍率といった値で入力できるようにしてもよい。
【0040】
S204では、医用画像処理装置101のCPU201が、S202で算出した同一座標におけるピクセルの相関関係から、S203でユーザによって指定された強調度における各ピクセルのCT値を算出する。具体的にはユーザから強調度として仮想管電圧として‐40kVの指定を受け付けた場合には、
図5に示す同一座標のピクセルから求められた直線近似曲線から、‐40kVで撮像された際に取得されると仮定される当該ピクセルと同一座標のCT値530を求める。これを全画素分行うことで、強調画像のCT値を求めることができる。なお、S202で所定の信号値以上のピクセルに対してのみ相関関係を求めた場合には、当該ピクセルの座標位置に対するCT値を算出させればよい。
【0041】
S205では、医用画像処理装置101のCPU201が、強調画像を表示させる際のウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを自動調整するかを判断する。具体的には、
図3に示すような画面においてユーザによって選択された条件をもとに判断することができる。ユーザによって自動調整すると指定されている場合には、S207に移行し、自動調整することを指定されていない場合には、S206に移行する。なお、S205の判断は本発明において必須ではなく、このような判断を行うことなくS207〜S210以降の処理を行うようにしてもよいし、S207〜S210の処理を行うことなくS206に移行するようにしてもよい。
S206では、医用画像処理装置101のCPU201が、任意のウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLで強調画像が表示されるように表示制御する。
【0042】
以上のように生成されて表示される強調画像の一例が
図6(a)である。ユーザは、
図6(a)の画像のウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを調整することで、
図6(b)に示すような強調画像とすることができる。
図6(b)の領域601には一部CT値の高い領域があり、微小な胃がんが存在していることがわかる。このように強調画像のウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLが適切な条件となれば、
図4(a)(b)で示す元画像からは識別しにくいCT値の変化状態を強調して表示することができる。すなわちがん細胞等の異常領域が微小な場合や造影剤の取り込みが低い組織の場合であっても、ユーザが異常領域を識別しやすい画像とすることができる。
【0043】
一方S207では、医用画像処理装置101のCPU201が、80kVで撮像された第1の画像若しくは140kVで撮像された第2の画像を表示し、ユーザに当該画像を表示させる際のウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLの設定を行わせる。なお、ここユーザがウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを設定する際に用いる画像は、同一患者の同一断面のCT画像であれば第1の画像や第2の画像以外であっても良い。
【0044】
S208では、医用画像処理装置101のCPU201が、S207で表示された医用画像に対してユーザが設定したウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを取得する(表示条件取得手段)。
図7(a)は、ユーザによって80kVの管電圧で撮像されたCT画像を、ユーザが見やすいウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLに設定した後の状態である。S208においては、ウィンドウ幅値WW:120およびウィンドウレベル値WL:60が取得される。
【0045】
S209では、医用画像処理装置101のCPU201が、S207で表示させたCT画像のCT値平均値Aと、S205で算出された強調画像のCT値平均値Bを算出する(平均値算出手段)。なお全ピクセル分の平均値である必要はなく、CT値平均値AとCT値平均値Bを算出する際に用いるピクセルが一致していればよい。そのため、例えばS207で表示させたCT画像で所定のCT値以上のピクセルに対応したCT値平均値AおよびCT値平均値Bや、強調画像で所定のCT値以上のピクセルに対応したCT値平均値AおよびCT値平均値Bであってもよい。
【0046】
S210では、医用画像処理装置101のCPU201が、S208で取得されたウィンドウ幅値およびウィンドウレベル値と、S209で算出したCT値平均値A及びCT値平均値Bとを用いて、強調画像をディスプレイに表示する際に用いるウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを決定する。具体的には、強調画像をディスプレイに表示する際に用いるウィンドウ幅値WWは、S208で取得されたウィンドウ幅値WWに対して、CT値平均値BをCT値平均値Aで除したCT値平均値B/CT値平均値Aを乗じることで決定される。そして、強調画像をディスプレイに表示する際に用いるウィンドウレベル値WLは、S208で取得されたウィンドウレベル値WLに対して、CT値平均値BをCT値平均値Aで除したCT値平均値B/CT値平均値Aを乗じることで決定される。
【0047】
その後、S206に移行し、S210で決定されたウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLで強調画像が表示されるように表示制御する。このように、自動でウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを決定してやる事により、ユーザによる調整の手間を省くことができる。
【0048】
図7(b)は、
図7(a)のウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLと、
図7(a)に示す画像のCT値平均値Aと強調画像のCT値平均値Bとを用いて決定されたウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLで強調画像を表示させた一例である。このように自動でウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLの設定が行われることにより、ユーザが自らウィンドウ幅値WWおよびウィンドウレベル値WLを調整しなくとも、領域601に微小な胃がんが存在していることが識別可能な強調画像を表示させることができる。つまり、
図4(a)(b)で示す元画像からは識別しにくいCT値の変化状態を強調して表示することができ、がん細胞等の異常領域が微小な場合や造影剤の取り込みが低い組織の場合であっても、ユーザが異常領域を識別しやすい画像とすることができる。
【0049】
以上説明した本実施形態では、2次元画像の画素(ピクセル)を用いて2次元画像の強調画像を算出する例を説明したが、ボクセルの場合も同様に強調画像を生成することができる。すなわち3次元医用画像においても同一座標のボクセル間で相関関係を求め、当該相関関係に応じて仮想管電圧のボクセルのCT値を求め強調画像を生成することができる。
【0050】
また、本実施形態においては略同時に撮像された80kVの医用画像と140kVの医用画像の2つを用いて相関関係を求める例を用いて説明を行ったが、これ以外の管電圧で撮像された医用画像を用いて相関関係を求めてもよいし、略同時に撮像された医用画像でなくてもよい。さらに、互いに異なる管電圧で撮像された3つ以上の医用画像を用いて相関関係を求めてもよい。さらに相関関係は、線形近似で求まる関数のみならず、指数近似、対数近似、多項式近似、移動平均等によってもとまる関数であってもよい。
【0051】
また、本実施形態においてはウィンドウ幅値(WW)とウィンドウレベル値(WL)を一括して調整する例を用いて説明を行ったが、いずれか一方のみを調整するようにしてもよい。
【0052】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置の情報処理装置が前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0053】
したがって、本発明の機能処理を情報処理装置で実現するために、前記情報処理装置にインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0054】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0055】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0056】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0057】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理を情報処理装置で実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0058】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行して情報処理装置にインストールさせて実現することも可能である。
【0059】
また、情報処理装置が、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、情報処理装置上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0060】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、情報処理装置に挿入された機能拡張ボードや情報処理装置に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0061】
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。