特許第6245267号(P6245267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6245267アルミニウム−炭化ホウ素複合材料の可鍛性を向上させるための添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245267
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】アルミニウム−炭化ホウ素複合材料の可鍛性を向上させるための添加剤
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/10 20060101AFI20171204BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   C22C1/10 Z
   C22C21/00 Z
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-542126(P2015-542126)
(86)(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-502604(P2016-502604A)
(43)【公表日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】CA2013050881
(87)【国際公開番号】WO2014075194
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年3月23日
(31)【優先権主張番号】61/727,949
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591094930
【氏名又は名称】リオ ティント アルカン インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレード ネイヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ラウリン ジャン−アラン
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−178130(JP,A)
【文献】 特表2005−522583(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0263277(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0175543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00
C22C 1/10
C22C 29/14
C22C 32/00
B22D 19/00
B22D 19/14
B22D 21/04
G21F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルミニウム合金の総重量に基づいて1.8重量%までのケイ素を含むアルミニウム合金、(ii)添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および(iii)分散する炭化ホウ素粒子、ならびに(iv)任意選択的にチタンを含む鋳造複合材料であって、
・前記添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
・前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して4%〜40%であり、
・前記複合材料の試料は、鋳造前に、700℃の温度まで120分間加熱した後、前記試料を収容するための溝を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに対応する流動性を有し、前記溝は、33mmの幅、6.5mm〜4.0mmの高さを有し、水平軸から10°下方に傾斜している、鋳造複合材料。
【請求項2】
前記鋳造長さは、少なくとも190mmである、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項3】
前記鋳造複合材料は、保持時間中に保持に供され、鋳造時間中に鋳造に供され、前記保持時間および前記鋳造時間の合計は、少なくとも120分である、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項4】
前記添加剤は、スカンジウムである、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項5】
前記添加剤は、ストロンチウムである、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項6】
前記添加剤は、ジルコニウムである、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項7】
前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.47%〜8.00%である、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項8】
前記添加剤が、0.95〜7.61重量%のジルコニウム、0.91〜7.32重量%のストロンチウム、0.47〜3.75重量%のスカンジウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記添加剤の重量%が、前記炭化ホウ素を含む複合材料の総重量に基づく、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項9】
前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)が、前記鋳造複合材料の総体積に対して4.5%〜18.9%である、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項10】
前記添加剤の濃度(w/w)が、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.38%〜4.00%である、請求項9に記載の鋳造複合材料。
【請求項11】
前記添加剤が、0.76〜3.81重量%のジルコニウム、0.73〜3.66重量%のストロンチウム、0.38〜1.88重量%のスカンジウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記添加剤の重量%が、前記炭化ホウ素を含む複合材料の総重量に基づく、請求項9又は10に記載の鋳造複合材料。
【請求項12】
前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)が、前記鋳造複合材料の総体積に対して19.0%〜28.0%である、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項13】
前記添加剤の濃度(w/w)が、前記鋳造複合材料の総重量に対して1.69%〜6.00%である、請求項12に記載の鋳造複合材料。
【請求項14】
前記添加剤が、3.43〜5.71重量%のジルコニウム、3.29〜5.49重量%のストロンチウム、1.69〜2.82重量%のスカンジウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記添加剤の重量%が、前記炭化ホウ素を含む複合材料の総重量に基づく、請求項12又は13に記載の鋳造複合材料。
【請求項15】
前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)が、前記鋳造複合材料の総体積に対して25.0%〜28.0%である、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項16】
前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)が、前記鋳造複合材料の総体積に対して28.0%〜33.0%である、請求項1に記載の鋳造複合材料。
【請求項17】
前記添加剤の濃度(w/w)が、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.94%〜4.00%である、請求項15又は16に記載の鋳造複合材料。
【請求項18】
前記添加剤が、1.90〜3.81重量%のジルコニウム、1.83〜3.66重量%のストロンチウム、0.94〜1.88重量%のスカンジウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記添加剤の重量%が、前記炭化ホウ素を含む複合材料の総重量に基づく、請求項15〜17のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
【請求項19】
鋳造複合材料を調製する方法であって、
(a)(i)アルミニウム合金の総重量に基づいて1.8重量%までのケイ素と、ホウ素と晶反応を起こすことが可能な添加剤と、任意にチタンとを含む溶融アルミニウム合金を、(ii)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて、前記添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む溶融複合材料を提供するステップであって、
・前記添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
・前記複合材料の試料は、鋳造前に、700℃の温度まで120分間加熱した後、前記試料を収容するための溝を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに対応する流動性を有し、前記溝は、33mmの幅、6.5mm〜4.0mmの高さを有し、水平軸から10°下方に傾斜している、
ステップと、
(b)前記溶融複合物を鋳造して前記鋳造複合材料を形成するステップであって、前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して4%〜40%である、ステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記鋳造長さは、少なくとも190mmである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)の前に、保持時間中に前記溶融複合材料を保持するステップと、鋳造時間中に前記溶融複合物を鋳造するステップと、をさらに含み、前記保持時間および前記鋳造時間の合計は、少なくとも120分である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年11月19日に出願され、その全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第61/727,949号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、鋳造前にそれらの流動性を増加させるための包晶反応から得られた生成物を有するアルミニウム/炭化ホウ素複合金属マトリックス材料を鋳造することに関する。反応生成物は、炭化ホウ素のホウ素と包晶反応を起こすことが可能な添加剤を使用することにより得られる。
【背景技術】
【0003】
溶融Al−B4C混合物の流動性を増加させるために、また米国特許第7,562,962号に記載されるように、チタンを加えることができる。溶融アルミニウム金属とB4C粉末との混合物にチタンを加えると、B4C粒子と、B4C粒子を汚染するアルミニウムマトリックスとの界面付近に反応生成物が形成される。反応生成物は、アルミニウムからB4C粒子を遮蔽すると教示されている。
【0004】
鋳造および成形前に溶融Al−B4C混合物の適切な流動性を維持する手段および方法が提供されることが、非常に望ましいであろう。手段および方法は、好ましくは、産業環境において成形および/または鋳造しやすい流動性を提供/維持する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、アルミニウム、添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む鋳造複合材料を提供する。包晶反応の生成物の存在は、鋳造前に溶融複合材料の流動性を維持し、複合材料の可鍛性および成形を促進する。
【0006】
第1の態様において、本開示は、(i)アルミニウム、(ii)添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、(iii)分散する炭化ホウ素粒子、および(iv)任意選択的にチタンを含む鋳造複合材料を提供する。添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、試料を収容するための溝(溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する)を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに相当する流動性を有する。ある実施形態において、試料の鋳造長さは少なくとも190mmである。別の実施形態において、鋳造複合材料は、保持時間中に保持に供され、鋳造時間中に鋳造に供され、保持時間および鋳造時間は、全部で120分である。別の実施形態において、包晶反応の生成物は、溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金を、(炭化ホウ素粒子の組み込み前に)包晶反応を起こすことが可能な添加剤と組み合わせることによって提供される。さらに別の実施形態において、添加剤は、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態において、添加剤はスカンジウムである。さらなる実施形態において、添加剤はストロンチウムである。さらに別の実施形態において、添加剤はジルコニウムである。ある実施形態において、分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、鋳造複合材料の総体積に対して4%〜40%である。そのような実施形態において、添加剤の濃度(w/w)は、鋳造複合材料の総重量に対して0.47%〜8.00%であってもよく、また任意選択的に、複合材料は、鋳造複合材料の総重量に対して0.50%〜4.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含むことができる。別の実施形態において、分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、鋳造複合材料の総体積に対して4.5%〜18.9%である。そのような実施形態において、添加剤の濃度(w/w)は、鋳造複合材料の総重量に対して0.38%〜4.00%であってもよく、また任意選択的に、鋳造複合材料は、鋳造複合材料の総重量に対して0.40%〜2.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む。別の実施形態において、分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、鋳造複合材料の総体積に対して19.0%〜28.0%である。そのような実施形態において、添加剤の濃度(w/w)は、鋳造複合材料の総重量に対して1.68%〜6.00%であってもよく、また任意選択的に、鋳造複合材料は、鋳造複合材料の総重量に対して1.80%〜3.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含むことができる。さらに別の実施形態において、分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、鋳造複合材料の総体積に対して25.0%〜28.0%または28.0%〜33.0%である。そのような実施形態において、添加剤の濃度(w/w)は、鋳造複合材料の総重量に対して0.94%〜4.00%であってもよく、また任意選択的に、鋳造複合材料は、鋳造複合材料の総重量に対して1.00%〜2.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含むことができる。
【0007】
第2の態様によれば、本開示は、鋳造複合材料を調製する方法を提供する。広義には、本方法は、(a)(i)ホウ素と包晶反応を起こすことが可能な添加剤を含む溶融アルミニウム合金を、(ii)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて、添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む鋳造複合材料を提供することと、(b)溶融複合物を成形して鋳造複合材料を形成することと、を含む。添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、試料を収容するための溝(溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する)を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに相当する流動性を有する。ある実施形態において、鋳造長さは少なくとも190mmである。さらに別の実施形態において、本方法は、ステップ(b)の前に、保持時間中に溶融複合材料を保持することと、鋳造時間中に溶融複合物を鋳造することと、をさらに含み、保持時間および鋳造時間は、全部で120分である。さらに別の実施形態において、本方法は、ステップ(a)の前に、溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金を、包晶反応を起こすことが可能な添加剤と組み合わせることによって溶融アルミニウム合金を提供することをさらに含む。使用することができる添加剤の種類、添加剤の濃度、炭化ホウ素粒子の濃度、複合材料中のチタンの任意選択的な存在に関する実施形態は、上に記載されており、ここに適用される。
【0008】
第3の態様によれば、本開示は、アルミニウム、添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む溶融複合材料の鋳造特性および/または成形特性を向上させる方法を提供する。広義には、本方法は、(i)ホウ素と包晶反応を起こすことが可能な添加剤を含む溶融アルミニウム合金を、(ii)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて、鋳造複合材料を提供することを含む。添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、試料を収容するための溝(溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する)を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに相当する流動性を有する。鋳造長さ、使用することができる添加剤の種類、添加剤の濃度、炭化ホウ素粒子の濃度、複合材料中のチタンの任意選択的な存在に関する実施形態は、上に記載されており、ここに適用される。
【0009】
第4の態様によれば、本開示は、アルミニウム、添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む溶融複合材料の溶融複合材料の成形を促進する方法を提供する。広義には、本方法は、(i)ホウ素と包晶反応を起こすことが可能な添加剤を含む溶融アルミニウム合金を、(ii)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて、鋳造複合材料を提供することを含む。添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、試料を収容するための溝(溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する)を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに相当する流動性を有する。鋳造長さ、使用することができる添加剤の種類、添加剤の濃度、炭化ホウ素粒子の濃度、複合材料中のチタンの任意選択的な存在に関する実施形態は、上に記載されており、ここに適用される。
【0010】
このように、本発明の性質を全体的に記載してきたが、次に、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】異なるロットのB4C粉末を含有する溶融アルミニウム混合物の流動性の損失を示す。結果は、735℃の初期温度で溶融アルミニウムに加えられたB4C粉末(30% v/v)の種々のロット(A〜E)に対して、炉内での保持時間(分)の関数における流動性(K型を使用して測定した試料の鋳造長さ(mm)として測定される)として示される。3.5% w/w Tiを含有するロットA(◆)、3.5% w/w Tiを含有するロットB(■)、3.5% w/w Tiを含有するロットC(▲)、3.0% w/w Tiを含有するロットD(●)、および2.0% Ti w/wを含有するロットE(○)についての結果が示される。
図2】複合材料の鋳造長さを決定するために使用することができるK型の実施形態を示す。(A)K型の下方傾斜部10の概略側面図。(B)K型の溝入り部40の概略上面図。(C)K型の溝入り部50の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
高いB4C含有量(例えば、例えば少なくとも30% v/v)を有するホウ素金属マトリックス複合物(MMC)の製造は、通常、非常に優れた品質のB4C粉末を必要とする。高品質のB4C粉末は、良好な粒度分析分布を有し、最小限の微粉様粒子を有する。一般に、そのようなB4C粉末のみが、大量に金属マトリックスに組み込まれ得る。B4C粉末がそのような良品質ではない場合、溶融金属の保持時間中に、すなわち鋳造前に、著しい流動性の損失が観察される可能性がある。その上に、溶融金属の保持温度を上昇させることは、この流動性の損失を補填しない、なぜなら、それはアルミニウムとB4C粉末との反応に有利に作用する可能性があり、それによって粘性をさらに増加させるからである(流動性の損失)。そのような状況において、溶融金属は、チキソトロピック性金属として挙動する。
【0013】
図1は、鋳造前の溶融複合物の保持時間中の流動性の損失を示す。産業環境において、Al−B4C混合物の成形/鋳造を可能にするためには、特定の流動性が特定の時間必要とされる。図1に示す曲線は、たとえチタンの存在下であっても、複合材料の調製に使用したB4C粉末が材料の粘性を増加させ、後続ステップ(例えば成形)のために産業環境において必要とされる流動性を満たすことができなかったことを示す。
【0014】
本開示によれば、アルミニウム、包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む鋳造Al−B4C複合材料が提供される。複合材料は、最初に、アルミニウム(またはアルミニウム合金)を、炭化ホウ素粒子のホウ素と包晶反応を起こすことが可能な添加剤(または添加剤の組み合わせ)と組み合わせることによって得られ、最終的にはアルミニウムまたはアルミニウム合金におけるそのような包晶反応の生成物を提供する。一旦、添加剤がアルミニウム中に(またはアルミニウム合金中に)含まれると、炭化ホウ素粒子がアルミニウム(またはアルミニウム合金)と組み合わさり、それによって添加剤とホウ素との包晶反応を引き起こす。本明細書に示すように、アルミニウム/アルミニウム合金における添加剤の使用(および、最終的には複合材料中の包晶反応生成物の存在)が、溶融複合物の流動性を維持するのに有用であり、そのため溶融複合材料に良好な可鍛性を付与することが示されている。いくつかの実施形態において、添加剤の使用が、溶融複合物の保持中に起こる反応生成物(例えば、AlとB4Cの間、またはAlとB4Cとの間に起こる反応生成物等)の形成を阻害するかまたは遅らせると考えられる。他の実施形態において、そのような複合材料の流動性を実質的に変化させることなく該材料におけるチタンの使用を制限するために、添加剤を使用することができることが示されている。この溶融複合材料の流動性の維持は、より低い等級のB4C源を使用するために、また結果として生じる金属マトリックス複合物(複数可)の成形および/または鋳造を促進するために、炉内における溶融混合物の保持時間の延長を可能にすることができる。
【0015】
鋳造される前は、複合材料は溶融状態にあり、流動性を有する。本明細書に記載される開示において、溶融複合材料は、鋳造前には、産業環境における鋳造を許容する流動性を有する。溶融複合材料の流動性を決定するために、K型を使用することが可能である。現在、当該技術分野で使用され、かつ知られているそのような型は、複合材料が凝固する前にその試料の長さを測定する。K型を用いて測定される長さは、鋳造長さと称される。
【0016】
溶融複合材料の試料の流動性を決定するために使用することができるK型の実施形態を図2に示す。K型は、(図2Aに示すような)下方傾斜部010および(図2Bおよび2Cに示すような)溝入り部040の2つの係合可能部からなる。試料が型に挿入されると、傾斜部010が溝入り部040に係合する。試料は、固まるまで傾斜部010に沿って溝040内で鋳造することができる。通常はミリメートルで測定される、試料によって覆われる長さは、流動性の尺度であり、鋳造長さを意味する。
【0017】
図2Aに示すように、下方傾斜部は、通常モノリシックであり、滑らかな表面を有し、かつ約10°の角度030だけ水平軸020から下方に傾斜した平面015を備える。平面015は、溝入り部040の外側面055に直接接触し(図2Bおよび2Cに示される)、溝に約10°の角度を提供するためのものである。
【0018】
溝入り部040は、溶融複合物の試料を収容するための密閉可能な溝050を画定する、部分的に中空の構造である(図2B)。図2Bに示すように、溝入り部は、傾斜部010の平面015に直接接触するための外側面055を有する。図2Bに示す実施形態において、溝050は、セクション060およびセクション070(突起部を画定する)の2つの異なるセクションを含む。いくつかの実施形態において、K型は、型の端(例えば、試料が傾斜平面015に接触し始める位置)から93mm、130mm、168mm、および205mmの距離に位置する少なくとも4つのセクション070(例えば、4つの突起部)を備える。
【0019】
図2Cは、密閉可能な溝050の拡大図を示す。セクション060は、約6.5mmの類似する高さ061を有する。高さ061は、外壁055によって画定される長さの間で一定である。高さ061は、(溝入り部040が傾斜部010と係合したときに)傾斜平面015によって画定される軸080に対して測定される。セクション070は、約4mmの類似する高さ071を有する。高さ071は、外壁055によって画定される長さの間で一定である。高さは、(溝入り部040が傾斜部010上で係合したときに)傾斜平面015によって画定される軸080に対して測定される。
【0020】
本開示の文脈において、鋳造複合材料は、好ましくは鋳造前に、少なくとも100mm、少なくとも120mm、少なくとも140mm、少なくとも160mm、少なくとも180mm、少なくとも190mm、または少なくとも200mmの鋳造試料長さに相当する流動性を有する。複合材料の流動性を決定するために使用される試料は、産業用鋳造環境を再現するために約700℃の温度で約120分間加熱することができる。
【0021】
よって、本開示は、鋳造複合材料を製造する方法も提供する。そのようにするために、包晶反応を起こすことが可能な添加剤(または添加剤の組み合わせ)を含む溶融アルミニウム合金(アルミニウム−塩基マトリックス合金とも称される)を炭化ホウ素と組み合わせて溶融複合物を提供する。本開示に示すように、溶融複合物の流動性は、添加剤を含まない同様の溶融複合物と比較してより長い期間、許容される産業レベルに維持することができる。
【0022】
本明細書に記載される方法において、使用されるアルミニウムまたはアルミニウム合金は、溶融形態で提供される。そのため、アルミニウムまたはアルミニウム合金は、B4C粒子と組み合わされる前に、その溶融温度まで加熱されることが好ましい。ある実施形態において、アルミニウム合金は、包晶反応を起こすことが可能な添加剤を含み(複数の実施形態において、該添加剤から本質的になり、さらなる実施形態において、該添加剤からなる)、残りは、本質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金である。避けられないまたは不可避の不純物(各不純物につき最大0.05% w/w)も、合金中に存在し得る(合計で最大0.15% w/wの不純物)。例示的なアルミニウム合金として、限定されないが、11xxシリーズおよび6xxxシリーズの合金が挙げられる。いくつかの実施形態において、Tiがアルミニウムまたはアルミニウム合金に含まれてもよい。代替の実施形態において、アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金中にTiが存在する場合、それは微量元素である(例えば、その濃度は、不可避の不純物の濃度を超えない)と考えられる。
【0023】
ある実施形態において、複合材料は、4%〜40%(v/v)のB4C粒子を含み、複合材料中の添加剤(または添加剤の組み合わせ)のモル濃度は、0.01044〜0.08351である。いくつかの実施形態において、複合材料中にTiが存在する場合、添加剤(または添加剤の組み合わせ)とTiを合わせたモル濃度は、0.01044〜0.08351である。いくつかの実施形態において、複合材料中の添加剤の濃度は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して0.47%〜15.32%、0.47%〜8.00%、0.90%〜8.00%、0.95%〜8.00%、1.00%〜8.00%、または1.10%〜8.00%であってもよい。いくつかの実施形態において、複合物中の添加剤とTiを合わせたモル比は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して0.47%〜15.32%、0.47%〜8.00%、0.90%〜8.00%、0.95%〜8.00%、1.00%〜8.00%、または1.10%〜8.00%であってもよい。
【0024】
別の実施形態において、複合材料は、4.5%〜18.9%(v/v)のB4C粒子を含み、複合材料中の添加剤(または添加剤の組み合わせ)のモル濃度は、0.00835〜0.04175である。いくつかの実施形態において、複合材料中にTiが存在する場合、添加剤(または添加剤の組み合わせ)とTiを合わせたモル濃度は、0.00835〜0.04175である。いくつかの実施形態において、複合材料中の添加剤の濃度は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して0.38%〜7.68%、0.38%〜4.00%、0.90%〜4.00%、0.95%〜4.00%、1.00%〜4.00%、または1.10%〜4.00%であってもよい。いくつかの実施形態において、複合物中の添加剤とTiを合わせたモル比は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して0.38%〜7.68%、0.38%〜4.00%、0.90%〜4.00%、0.90%〜4.00%、1.00%〜4.00%、または1.10%〜4.00%であってもよい。
【0025】
さらなる実施形態において、複合材料は、19%〜28%(v/v)のB4C粒子を含み、複合材料中の添加剤(または添加剤の組み合わせ)のモル濃度は、0.03758〜0.06263である。いくつかの実施形態において、複合材料中にTiが存在する場合、添加剤(または添加剤の組み合わせ)とTiを合わせたモル濃度は、0.03758〜0.06263である。いくつかの実施形態において、複合材料中の添加剤の濃度は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して1.69%〜11.51%または1.69%〜6.00%であってもよい。いくつかの実施形態において、複合物中の添加剤とTiを合わせたモル比は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して1.69%〜11.51%または1.69%〜6.00%であってもよい。
【0026】
さらなる実施形態において、複合材料は、25%〜28%(v/v)または28%〜33%(v/v)のB4C粒子を含み、複合材料中の添加剤(または添加剤の組み合わせ)のモル濃度は、0.02088〜0.04175である。いくつかの実施形態において、複合材料中にTiが存在する場合、添加剤(または添加剤の組み合わせ)とTiを合わせたモル濃度は、0.02088〜0.04175である。いくつかの実施形態において、複合材料中の添加剤の濃度は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して0.94%〜7.68%、0.94%〜4.00%、0.95%〜4.00%、1.00%〜4.00%、または1.10%〜4.00%であってもよい。いくつかの実施形態において、複合物中の添加剤とTiを合わせたモル比は、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して0.94%〜7.68%、0.94%〜4.00%、0.95%〜4.00%、1.00%〜4.00%、または1.10%〜4.00%であってもよい。
【0027】
重量パーセント濃度または特定のモル濃度で提供される添加剤の濃度は、アルミニウム合金に関してであれ全複合材料に関してであれ、あらゆる形態の添加剤(可溶性添加剤、金属間化合物または耐火性化合物として溶液から析出する過剰な添加剤、およびBを含有する包晶反応生成物に含まれる添加剤を含む)を含むものと理解されたい。包晶反応の生成物の形成を引き起こすことが可能な添加剤は、マスター合金(例えば、Al−10%添加剤のマスター合金)を含む任意の都合のよい形態で、または添加剤を含有する顆粒もしくは粉末として加えることができる。いくつかの実施形態において、鍛錬用合金(AA1xxx、AA2xxx、AA3xxx、AA4xxx、もしくはAA6xxxを含む)または鋳造合金(AA2xxもしくはAA3xxを含む)に対する粉末の形態として添加剤を加えることが企図されてもよい。
【0028】
同様に、上記で挙げたチタンの濃度またはモル濃度は、アルミニウム合金に関してであれ全複合材料に関してであれ、あらゆる形態のチタン(可溶性Ti、金属間化合物または耐火性化合物として溶液から析出する過剰なTi、およびTi−B化合物を含む)を意味する。チタンは、マスター合金(例えば、Al−10%Tiのマスター合金)を含む任意の都合のよい形態で、またはチタンを含有する顆粒もしくは粉末として加えることができる。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金中にチタンを含有するAA1xxx合金を使用することが望ましいかもしれない。代替のまたは補完的な実施形態において、例えば、鍛錬用合金(AA2xxx、AA3xxx、AA4xxx、もしくはAA6xxxを含む)、または鋳造合金(AA2xxもしくはAA3xxを含む)等のアルミニウム合金としてチタンを加えることが企図されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、包晶反応の生成物の形成を引き起こすことが可能な添加剤は、ジルコニウムであってもよく、アルミニウム合金は、ジルコニウムを含むまたは含有することができる。いくつかの実施形態において、Zrが添加剤として使用される場合、複合材料はTiを含まない(存在する場合、Tiは、微量元素であると考えられる)。他の実施形態において、Zrが添加剤として使用される場合、Tiが複合材料中に存在してもよい。4%〜40%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、ジルコニウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.95〜約7.61、約1.00〜約7.61、または約1.10〜約7.61重量パーセントの濃度で提供されてもよい。そのような実施形態において、Tiが存在する場合、それは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.50〜約4.00、約0.90〜約4.00、約0.95〜約4.00、約1.00〜約4.00、または約1.10〜約4.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。4.5%〜18.9%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、ジルコニウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.76〜約3.81、約0.90〜約3.81、約0.95〜約3.81、約1.00〜約3.81、または約1.10〜約3.81重量パーセントの濃度で提供されてもよい。そのような実施形態において、Tiが存在する場合、それは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.40〜約2.00、約0.90〜約2.00、約0.95〜約2.00、約1.00〜約2.00、または約1.10〜約2.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。19%〜28%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、ジルコニウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約3.43〜約5.71重量パーセントの濃度で提供されてもよい。そのような実施形態において、Tiが存在する場合、それは(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.80〜約3.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。25%〜28%(v/v)または28%〜33%のB4C粒子を含む複合材料において、ジルコニウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.90〜約3.81重量パーセントの濃度で提供されてもよい。そのような実施形態において、Tiが存在する場合、それは(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.00〜約2.00または約1.10〜2.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい一方チタンは提供されてもよい。上記で挙げたジルコニウムの濃度は、アルミニウム合金に関してであれ全複合材料に関してであれ、あらゆる形態のジルコニウム(可溶性Zr、金属間化合物または耐火性化合物として溶液から析出する過剰なZr、およびZr−B化合物を含む)を意味するものと理解されたい。ジルコニウムは、マスター合金(例えば、Al−10% Zrのマスター合金)を含む任意の都合のよい形態で、またはジルコニウムを含有する顆粒もしくは粉末として加えることができる。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金中にジルコニウムを含有するAA1xxx合金を使用することが望ましいかもしれない。代替のまたは相補的な実施形態において、例えば、鍛錬用合金(AA2xxx、AA3xxx、AA4xxx、もしくはAA6xxxを含む)、または鋳造合金(AA2xxもしくはAA3xxを含む)等のアルミニウム合金としてジルコニウムを加えることが企図されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、包晶反応の生成物の形成を引き起こすことが可能な添加剤は、ストロンチウムであってもよく、アルミニウム合金は、チタンと組み合わせてストロンチウムを含むかまたは含有することができる。4%〜40%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、ストロンチウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.91〜約7.32、約0.95〜約7.32、約1.00〜約7.32、または約1.10〜約7.32重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.50〜約4.00、約0.90〜約4.00、約0.95〜約4.00、約1.00〜約4.00、または約1.10〜約4.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。4.5%〜18.9%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、ストロンチウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.73〜約3.66、約0.90〜約3.66、約0.95〜約3.66、約1.00〜約3.66、または約1.10〜約3.66重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.40〜約2.00、約0.90〜約2.00、約0.95〜約2.00、約1.00〜約2.00、または約1.10〜約2.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。19%〜28%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、ストロンチウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約3.29〜約5.49重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.80〜約3.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。25%〜28%(v/v)または28%〜33%のB4C粒子を含む複合材料において、ストロンチウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.83〜3.66重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.00〜約2.00または約1.10〜約2.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。上記で挙げたストロンチウムの濃度は、アルミニウム合金に関してであれ全複合材料に関してであれ、あらゆる形態のストロンチウム(可溶性Sr、金属間化合物または耐火性化合物として溶液から析出する過剰なSr、およびSr−B化合物を含む)を意味するものと理解されたい。ストロンチウムは、マスター合金(例えば、Al−10%Srのマスター合金)を含む任意の都合のよい形態で、またはストロンチウムを含有する顆粒もしくは粉末として加えることができる。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金中にストロンチウムを含有するAA1xxx合金を使用することが望ましいかもしれない。代替のまたは補完的な実施形態において、例えば、鍛錬用合金(AA2xxx、AA3xxx、AA4xxx、もしくはAA6xxxを含む)、または鋳造合金(AA2xxもしくはAA3xxを含む)等のアルミニウム合金としてストロンチウムを加えることが企図されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、包晶反応の生成物の形成を引き起こすことが可能な添加剤は、スカンジウムであってもよく、アルミニウム合金は、チタンと組み合わせてスカンジウムを含むかまたは含有することができる。4%〜40%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、スカンジウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.47〜約3.75、約0.90〜約3.75、約1.00〜約3.75、または約1.10〜約3.75重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.50〜約4.00、約0.90〜約4.00、約0.95〜約4.00、約1.00〜約4.00、または約1.10〜約4.00の濃度で提供されてもよい。4.5%〜18.9%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、スカンジウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.38〜約1.88、約0.90〜約1.88、約1.00〜約1.88、または約1.10〜約1.88重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.40〜約2.00、約0.90〜約2.00、約0.95〜約2.00、約1.00〜約2.00、または約1.10〜約2.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。19%〜28%(v/v)のB4C粒子を含む複合材料において、スカンジウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.69〜約2.82重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.80〜約3.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。25%〜28%(v/v)または28%〜33%のB4C粒子を含む複合材料において、スカンジウムは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約0.94〜約1.88、約1.00〜約1.88、または約1.10〜約3.88重量パーセントの濃度で提供されてもよく、チタンは、(B4C粒子を含む)複合材料の総重量に対して約1.00〜約2.00または約1.10〜約2.00重量パーセントの濃度で提供されてもよい。上記で挙げたスカンジウムの濃度は、アルミニウム合金に関してであれ全複合材料に関してであれ、あらゆる形態のスカンジウム(可溶性Sc、金属間化合物または耐火性化合物として溶液から析出する過剰なSc、およびSc−B化合物を含む)を意味するものと理解されたい。スカンジウムは、マスター合金(例えば、Al−10% Scのマスター合金)を含む任意の都合のよい形態で、またはスカンジウムを含有する顆粒もしくは粉末として加えることができる。いくつかの実施形態において、アルミニウム合金中にスカンジウムを含有するAA1xxx合金を使用することが望ましいかもしれない。代替のまたは補完的な実施形態において、例えば、鍛錬用合金(AA2xxx、AA3xxx、AA4xxx、もしくはAA6xxxを含む)、または鋳造合金(AA2xxもしくはAA3xxを含む)等のアルミニウム合金としてスカンジウムを加えることが企図されてもよい。
【0032】
理論に束縛されることを望むものではないが、添加物は、AlB2に関するものよりも負である形成のエンタルピーを有するBを含む反応生成物を形成するために、本明細書に記載される方法において使用することができる。例えば、チタンを含むアルミニウム合金にバナジウムが使用される場合、理論に束縛されることなく、この添加がチタンとの別の反応を推進すると考えられる。反応生成物は、(Ti,V)B2等の化合物であるかもしれない。そのような反応生成物の形成は、チタンを含有するアルミニウム溶融物とB4C粒子との反応を停止するかまたは低減するであろう。したがって、本開示は、複合物が成形されるまで、好ましくは鋳造されるまで、該複合物の流動性を維持するために、アルミニウム溶融物とB4C粒子との反応の阻害剤としての包晶反応の生成物の形成を引き起こすことが可能な添加剤の添加を提供する。
【0033】
ソフトウェアFactStage(商標)を使用して、種々の元素の添加後に形成することが予想される反応生成物の形成のエンタルピーの理論計算を実施し、それを表1に示す。
【表1】
【0034】
ある実施形態において、添加物は、限定されないが、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、およびそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施形態において、添加物は、限定されないが、(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、およびそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の実施形態において、添加物は、限定されないが、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、スカンジウム(Sc)、およびそれらの任意の組み合わせを含む。さらに別の実施形態において、添加物は、Crを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Moを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Vを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Nbを含むかまたはそれからなる。別の実施形態において、添加物は、Taを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Wを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Hfを含むかまたはそれからなる。別の実施形態において、添加物は、Zrを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Srを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Scを含むかまたはそれからなる。一実施形態において、添加物は、ZrおよびScの組み合わせを含むかまたはそれからなる。別の実施形態において、添加物は、ZrおよびSrの組み合わせを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、SrおよびScの組み合わせを含むかまたはそれからなる。さらに別の実施形態において、添加物は、Zr、Sr、およびScの組み合わせを含むかまたはそれからなる。
【0035】
溶融アルミニウム合金を提供するために、添加剤(複数可)、任意選択的にチタンが、溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金に加えられる。いくつかの実施形態において、実質的に均質な溶融アルミニウム合金を得るために、溶融アルミニウム合金の元素を混合/撹拌することが企図される。代替のまたは補完的な実施形態において、実質的に均質な溶融アルミニウム合金を得るために、溶融アルミニウム合金に熱を印加することが企図される。
【0036】
いくつかの実施形態において、また上に示したように、チタンを含有するアルミニウム合金が使用されてもよい。そのような実施形態において、チタンおよび添加剤(または添加剤の組み合わせ)を特定の順序でアルミニウムまたはアルミニウム合金に加える必要はない。ある実施形態において、最初にチタンが溶融アルミニウム/合金に加えられ、次いで、添加剤(複数可)が加えられる。代替の実施形態において、最初に添加剤(複数可)が溶融アルミニウム/合金に加えられ、次いでチタンが加えられる。さらに別の実施形態において、チタンおよび添加剤(複数可)が、同時に溶融アルミニウム/合金に加えられる。
【0037】
一旦、溶融アルミニウム合金が提供されると、それが炭化ホウ素の源(例えば、炭化ホウ素粉末(自由流動性の粉末等))と組み合わさり、分散する炭化ホウ素粒子を含む溶融複合材料を提供する。溶融複合材料において、(添加剤および任意選択的にチタンが補充された)アルミニウム合金は溶融形態であり、炭化ホウ素粒子は固体形態であり、少なくとも部分的に包晶反応の生成物と関連していることを理解されたい。いくつかの実施形態において、炭化ホウ素の源(例えば、炭化ホウ素粉末)を本明細書に記載される溶融アルミニウム合金に加えることが望ましいかもしれない。いくつかの実施形態において、分散するB4C含有粒子を有する実質的に均質な溶融複合材料を得るために、溶融複合材料の元素を混合/撹拌することが企図される。「分散する」という用語は、B4C含有粒子が、材料のマトリックス全体に実質的に均一に分布していることを意味する。いくつかの実施形態において、混合/攪拌は、複合材料中でB4C粒子を適切に湿潤させることができる様式で実行されることが企図される。
【0038】
溶融複合材料は、包晶反応生成物の生成物の存在に起因して、産業環境において鋳造しやすい流動性を有する。流動性は、当業者に既知の種々の方法によって決定することができる。一例において、流動性は、粘度計を用いて測定される。別の例において、流動性は、型内の鋳造試料の長さを測定することによって評価される。そのようにするために、真空を印加した、液体アルミニウムに基づく混合物を特定の温度(例えば、約700℃)で収容する炉(例えば、約35kgの容量)の中に、ある量のB4C粉末を加えることが可能である。溶融金属とB4C粉末との混合物の試料は、ステップモールドを使用して、所定の長さで、一定間隔(例えば、20分毎)で得ることができる。いくつかの実施形態において、K型ステップモールドが使用されてもよい。流動性は、得られた混合物が凝固する前に該混合物によって達成される/覆われる距離として定量化される。いくつかの実施形態において、K型は、試料受容チャンバまたは33mmの幅(および、いくつかの実施形態において、315mmの最大長)を有する溝を有し、約10°の角度で傾斜する、グラファイトでコーティングされたステンレススチールのステップモールドであってもよい。上述のK型における120分の保持時間の後に100mmの距離を達成する溶融複合材料は、ダイレクトチル鋳造のための良好な流動性を有すると見なされる。別の例において、上述のK型における120分の保持時間の後に190mmの距離を達成する溶融複合材料は、ダイレクトチル鋳造のための優れた流動性を有すると見なされる。ある実施形態において、複合材料の流動性は、120分後に190mm以上である。さらなる実施形態において、複合材料の流動性は、120分後に200mm以上である。ある実施形態において、溶融複合物の流動性は、120分の保持時間の後に約700℃の温度で測定した場合、少なくとも100mmである。実施形態において、複合材料の流動性は、120分の保持時間の後に約700℃の温度で測定した場合、少なくとも105mm、110mm、115mm、120mm、125mm、130mm、135mm、140mm、145mm、150mm、155mm、160mm、165mm、170mm、175mm、180mm、181mm、182mm、183mm、184mm、185mm、186mm、187mm、188mm、189mm、190mm、191mm、192mm、193mm、194mm、195mm、196mm、197mm、198mm、199mm、または200mmである。いくつかの実施形態において、溶融複合物の流動性は、保持時間および保持温度によって変化し得ることが予想される。他の実施形態において、複合材料の流動性は、アルミニウム合金と炭化ホウ素粒子との混合時には測定されないが、包晶反応生成物が形成した後、またはさらには溶融複合材料を特定の温度(例えば、保持温度)で特定の時間(例えば、保持時間)保持した後に測定される。
【0039】
実施形態において、複合材料を溶融状態に留まらせるために、複合材料の試料を特定の温度に保持することが企図される。特定の実施形態において、複合材料は、約660℃、670℃、680℃、690℃、700℃、710℃、720℃、730℃、740℃、750℃、760℃、770℃、780℃、790℃、または800℃以上の最低保持温度に維持される。特定の実施形態において、複合材料は、約800℃、790℃、780℃、770℃、760℃、750℃、740℃、730℃、720℃、710℃、700℃、690℃、680℃、670℃、または660℃以下の最高保持温度に維持される。代替の実施形態において、複合材料は、上で定義した最低保持温度と上で定義した最高保持温度との間の範囲の温度に維持される。
【0040】
いくつかの実施形態において、複合材料の試料を特定の保持時間溶融状態に保持することが企図される。特定の実施形態において、複合材料は、約20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、180分、190分、または200分以上の最低保持時間保持される。特定の実施形態において、複合材料は、約200分、190分、180分、170分、160分、150分、140分、130分、120分、110分、100分、90分、80分、70分、60分、50分、40分、30分、または20分以下の最高保持時間保持される。代替の実施形態において、特定の保持時間は、上で定義した最低保持時間と上で定義した最高保持時間との間の範囲である。
【0041】
いくつかの実施形態において、特定の鋳造時間の間に複合材料を鋳造することが企図される。特定の実施形態において、複合材料は、約20分、30分、40,分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、180分、190分、または200分以上の最低鋳造時間鋳造される。特定の実施形態において、複合材料は、約200分、190分、180分、170分、160分、150分、140分、130分、120分、110分、100分、90分、80分、70分、60分、50分、40分、30分、または20分以下の最高鋳造時間鋳造される。代替の実施形態において、特定の鋳造時間は、上で定義した最低鋳造時間と上で定義した最高鋳造時間との間の範囲である。
【0042】
溶融複合物は、任意の形態の鋳造(鋼片またはスラブのDC鋳造を含む)、将来的な再溶融および鋳造のための鋳塊の鋳造、ならびに成形鋳造の任意の便利な形態を使用した形状への鋳造がしやすい。鋳造複合体は、さらに処理することができ、(a)再溶融および形状の鋳造、(b)押出し、ならびに(c)圧延または(d)鍛造等のさらなる操作に十分に適合する。
【0043】
本明細書に記載される方法は、任意の形状のアルミニウム炭化ホウ素複合材料、特に、高レベルのB4Cを含有する材料の調製に使用されてもよい。有利には、いくつかの実施形態において、添加剤の存在下で、溶融Al−Ti−B4C複合物の流動性を実質的に変化させることなく、より等級の低いB4C粉末を使用することができる。
【0044】
本発明は、本発明の範囲を限定するためではなく、むしろそれを例示するために与えられる以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【0045】
実施例I
765℃の温度の炉内で一次アルミニウム金属合金(AA1100)溶融した。Tiを加え、次いでSrを加えた。その後、B4C粒子を溶融物に注入した。TiおよびSrの最終濃度は、両方とも1.65重量%であった。B4C粒子の最終濃度は、28体積%であった。
【0046】
最終混合物を約700℃の温度に維持し、20分毎に2つの流動性試料を採取した。流動性の測定値を表2に示す。
【表2】
【0047】
表2に示す結果は、120分の保持時間の後、流動性が190mmよりも高く、それによって複合材料の産業的鋳造を可能にすることを示唆している。
【0048】
実施例II
765℃の温度の炉内で一次アルミニウム金属合金(AA1100)溶融した。Zrを加えた。その後、B4C粒子を溶融物に注入した。Zrの最終濃度は、3.8重量%であった。B4C粒子の最終濃度は、19体積%であった。
【0049】
最終混合物を約700℃の温度に維持し、種々の間隔で2つの流動性試料を採取した。得られた流動性の測定値を表3に示す。
【表3】
【0050】
表3に示す結果は、120分の保持時間の後、流動性が190mmよりも高く、それによって複合材料の産業的鋳造を可能にすることを示唆している。
【0051】
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、特許請求の範囲の範囲は、実施例に記載される好ましい実施形態によって制限されるべきではなく、全体としての説明と一致した最も広義の解釈が与えられるべきであることを理解されたい。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕(i)アルミニウム、(ii)添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、(iii)分散する炭化ホウ素粒子、および(iv)任意選択的にチタンを含む鋳造複合材料であって、
・前記添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
・前記複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、前記試料を収容するための溝を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに対応する流動性を有し、前記溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する、方法。
〔2〕前記鋳造長さは、少なくとも190mmである、前記〔1〕に記載の鋳造複合材料。
〔3〕前記鋳造複合材料は、保持時間中に保持に供され、鋳造時間中に鋳造に供され、前記保持時間および前記鋳造時間の組み合わせは、少なくとも120分である、前記〔1〕または〔2〕に記載の鋳造複合材料。
〔4〕前記添加剤は、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔5〕前記添加剤は、スカンジウムである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔6〕前記添加剤は、ストロンチウムである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔7〕前記添加剤は、ジルコニウムである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔8〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して4%〜40%である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔9〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.47%〜8.00%である、前記〔8〕に記載の鋳造複合材料。
〔10〕前記鋳造複合材料の総重量に対して0.50%〜4.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔9〕に記載の鋳造複合材料。
〔11〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して4.5%〜18.9%である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔12〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.38%〜4.00%である、前記〔11〕に記載の鋳造複合材料。
〔13〕前記鋳造複合材料の総重量に対して0.40%〜2.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔12〕に記載の鋳造複合材料。
〔14〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して19.0%〜28.0%である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔15〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して1.69%〜6.00%である、前記〔14〕に記載の鋳造複合材料。
〔16〕前記鋳造複合材料の総重量に対して1.80%〜3.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔15〕に記載の鋳造複合材料。
〔17〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して25.0%〜28.0%である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔18〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して28.0%〜33.0%である、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の鋳造複合材料。
〔19〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.94%〜4.00%である、前記〔17〕または〔18〕に記載の鋳造複合材料。
〔20〕前記鋳造複合材料の総重量に対して1.00%〜2.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔19〕に記載の鋳造複合材料。
〔21〕鋳造複合材料を調製する方法であって、
(a)(i)ホウ素と任意のチタンと包晶反応を起こすことが可能な添加剤を含む溶融アルミニウム合金を、(ii)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて、前記添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、および分散する炭化ホウ素粒子を含む鋳造複合材料を提供することであって、
・前記添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
・前記複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、前記試料を収容するための溝を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに対応する流動性を有し、前記溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する、提供することと、
(b)前記溶融複合物を成形して前記鋳造複合材料を形成することと、を含む、方法。
〔22〕前記鋳造長さは、少なくとも190mmである、前記〔21〕に記載の方法。
〔23〕ステップ(b)の前に、保持時間中に前記溶融複合材料を保持することと、鋳造時間中に前記溶融複合物を鋳造することと、をさらに含む、前記〔21〕または〔22〕に記載の方法。
〔24〕ステップ(a)の前に、溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金を前記添加剤と組み合わせることによって前記溶融アルミニウム合金を提供することをさらに含む、前記〔21〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の方法。
〔25〕前記添加剤は、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、前記〔21〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の方法。
〔26〕前記添加剤は、スカンジウムである、前記〔21〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の方法。
〔27〕前記添加剤は、ストロンチウムである、前記〔21〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の方法。
〔28〕前記添加剤は、ジルコニウムである、前記〔21〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の方法。
〔29〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して4%〜40%である、前記〔21〕〜〔28〕のいずれか1項に記載の方法。
〔30〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.47%〜8.00%である、前記〔29〕に記載の方法。
〔31〕前記鋳造複合材料の総重量に対して0.50%〜4.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔30〕に記載の方法。
〔32〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して4.5%〜18.9%である、前記〔21〕〜〔28〕のいずれか1項に記載の方法。
〔33〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.38%〜4.00%である、前記〔32〕に記載の方法。
〔34〕前記複合材料は前記鋳造複合材料の総重量に対して0.40%〜2.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔33〕に記載の方法。
〔35〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して19.0%〜28.0%である、前記〔21〕〜〔28〕のいずれか1項に記載の方法。
〔36〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して1.68%〜6.00%である、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記複合材料は、前記鋳造複合材料の総重量に対して1.80%〜3.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔36〕に記載の方法。
〔38〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して25.0%〜28.0%である、前記〔21〕〜〔28〕のいずれか1項に記載の方法。
〔39〕前記分散する炭化ホウ素粒子の濃度(v/v)は、前記鋳造複合材料の総体積に対して28.0%〜33.0%である、前記〔21〕〜〔28〕のいずれか1項に記載の方法。
〔40〕前記添加剤の濃度(w/w)は、前記鋳造複合材料の総重量に対して0.94%〜4.00%である、前記〔38〕または〔39〕に記載の方法。
〔41〕前記複合材料は、前記鋳造複合材料の総重量に対して1.00%〜2.00%の濃度(w/w)でチタンをさらに含む、前記〔40〕に記載の方法。
〔42〕前記〔21〕〜〔41〕のいずれか1項に記載の方法によって得られる、鋳造複合材料。
〔43〕(i)アルミニウム、(ii)添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、(iii)分散する炭化ホウ素粒子、および(iv)任意選択的にチタンを含む溶融複合材料の鋳造特性および/または成形特性を向上させる方法であって、前記方法は、(a)ホウ素と包晶反応を起こすことが可能な前記添加剤を含む溶融アルミニウム合金を(b)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて融複合材料を提供することを含み、
・前記添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
・前記複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、前記試料を収容するための溝を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに対応する流動性を有し、前記溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する、方法。
〔44〕前記鋳造長さは、少なくとも190mmである、前記〔43〕に記載の方法。
〔45〕(i)アルミニウム、(ii)添加剤とホウ素との包晶反応の生成物、(iii)分散する炭化ホウ素粒子、および(iv)任意選択的にチタンを含む溶融複合材料の溶融複合材料の成形を促進する方法であって、前記方法は、(a)ホウ素と包晶反応を起こすことが可能な前記添加剤を含む溶融アルミニウム合金を(b)炭化ホウ素粒子の源と組み合わせて融複合材料を提供することを含み、
・前記添加剤は、クロム、モリブデン、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、ストロンチウム、スカンジウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
・前記複合材料の試料は、鋳造前に、約700℃の温度まで約120分間加熱した後、前記試料を収容するための溝を有する型を使用して測定した場合に少なくとも100mmの鋳造長さに対応する流動性を有し、前記溝は、約33mmの幅、約6.5mm〜約4.0mmの高さを有し、約10°の水平軸から下方に傾斜する、方法。
〔46〕前記鋳造長さは、少なくとも190mmである、前記〔45〕に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C