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特許6245277通信管理システム、通信管理方法及び管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245277
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】通信管理システム、通信管理方法及び管理装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/901 20130101AFI20171204BHJP
【FI】
   H04L12/901
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-555861(P2015-555861)
(86)(22)【出願日】2014年1月6日
(86)【国際出願番号】JP2014050038
(87)【国際公開番号】WO2015102055
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中川 格
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和雄
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−504792(JP,A)
【文献】 特開2009−171009(JP,A)
【文献】 特開2002−009971(JP,A)
【文献】 飯塚史之ほか,ネットワーク自動選択エージェントを用いた異種網間シームレスローミング,情報処理学会研究報告 Vol.2003 No.21 2003−MBL−24,社団法人情報処理学会,2003年 3月 7日,第215−220頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/901
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信要求内に含まれる通信相手先がリスト内にある場合に特定経路で当該通信相手先との通信を中継する中継装置と、当該中継装置に前記リストを提供する管理装置とを有する通信管理システムであって、
前記管理装置は、
前記通信の通信相手先、当該中継装置の識別情報及び属性を含む通信履歴を取得し、取得した通信履歴をもとに前記通信相手先毎にアクセス量を集計して、前記属性に着目した属性別順位表及び全中継装置に関わる共通性順位表を生成する集計部と、
前記共通性順位表及び前記着目した属性の属性別順位表夫々から前記通信相手先を抽出する割合を示す所定の抽出比率に基づき、前記共通性順位表及び前記属性別順位表夫々から前記アクセス量が上位の所定件数分の通信相手先を、前記着目した属性に対応した中継装置の前記リストとして抽出して当該中継装置に提供する抽出部と
を有することを特徴とする通信管理システム。
【請求項2】
前記抽出部は、
前記所定件数分の通信相手先を抽出する前に、前記共通性順位表内の通信相手先のアクセス量の割合と前記属性別順位表内の通信相手先のアクセス量の割合とを比較し、当該割合が高い方の順位表から多くの前記通信相手先を抽出するように前記抽出比率を反転させることを特徴とする請求項1に記載の通信管理システム。
【請求項3】
前記抽出部は、
前記共通性順位表及び前記属性別順位表から前記アクセス量が上位の通信相手先を前記所定件数単位で抽出していく際に、所定件数分の通信相手先内に重複した通信相手先がある場合、当該重複した通信相手先を除く、次位の通信相手先を抽出することを特徴とする請求項1に記載の通信管理システム。
【請求項4】
前記抽出部は、
前記所定件数分の通信相手先内に重複した通信相手先がある場合に、前記共通性順位表及び前記属性別順位表を交互に一方の順位表から当該重複した通信相手先を除く、当該順位表内の次位の通信相手先を抽出することを特徴とする請求項3に記載の通信管理システム。
【請求項5】
前記抽出部は、
前記属性別順位表内の全アクセス量が、全中継装置の全アクセス量及び全属性の個数で求める平均量から乖離した場合に、当該属性別順位表内の通信相手先毎のアクセス量の割合を乖離方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の通信管理システム。
【請求項6】
通信要求内に含まれる通信相手先がリスト内にある場合に特定経路で当該通信相手先との通信を中継する中継装置の当該通信の通信相手先、当該中継装置の識別情報及び属性を含む通信履歴を取得し、取得した通信履歴をもとに前記通信相手先毎にアクセス量を集計して、前記属性に着目した属性別順位表及び全中継装置に関わる共通性順位表を生成する集計部と、
前記共通性順位表及び前記着目した属性の属性別順位表夫々から前記通信相手先を抽出する割合を示す所定の抽出比率に基づき、前記共通性順位表及び前記属性別順位表夫々から前記アクセス量が上位の所定件数分の通信相手先を、前記着目した属性に対応した中継装置の前記リストとして抽出して当該中継装置に提供する抽出部と
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項7】
管理装置が、
通信要求内に含まれる通信相手先がリスト内にある場合に特定経路で当該通信相手先との通信を中継する中継装置の当該通信の通信相手先、当該中継装置の識別情報及び属性を含む通信履歴を取得し、取得した通信履歴をもとに前記通信相手先毎のアクセス量を集計し、前記属性に着目した属性別順位表及び全中継装置に関わる共通性順位表を生成し、
前記共通性順位表及び前記着目した属性の属性別順位表夫々から前記通信相手先を抽出する割合を示す所定の抽出比率に基づき、前記共通性順位表及び前記属性別順位表夫々から前記アクセス量が上位の所定件数分の通信相手先を、前記着目した属性に対応した中継装置の前記リストとして抽出して当該中継装置に提供する
処理を実行することを特徴とする通信管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信管理システム、通信管理方法及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、モバイルルータ等の中継装置が、サービスの多用化に伴って、閉域網又は公衆網に切り替えて端末装置と相手先サイトとの間の通信を中継する技術が知られている。中継装置は、セキュリティ上の観点から閉域網を用いて端末装置と相手先サイトとの間の通信を中継する。その結果、閉域網の通信負荷が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−504792号公報
【特許文献2】特開2006−20031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、中継装置では、例えば、相手先サイトの信頼度が高い場合には公衆網、相手先サイトの信頼度が低い場合には閉域網に切り替えることで、閉域網側のサーバの処理負担を軽減している。この際、中継装置では、信頼度の高い相手先サイトのFQDN(Fully Qualified Domain Name、完全修飾ドメイン名)をリストに登録している。そして、中継装置は、端末装置からの通信要求に含まれる相手先サイトのFQDNがリスト内にある場合、閉域網の代わりに、公衆網を用いて端末装置と相手先サイトとの間の通信を中継する。
【0005】
しかしながら、中継装置では、例えば、利用サイト数の増加に伴ってリスト内のエントリ数が増え、リスト照合に要する処理負担が増加する。その結果、低能力の中継装置では制御できなくなる。また、相手先サイトの信頼度の判断を管理サーバ側で実行する場合でも、端末数が多くなると高負荷となり、閉域網のサーバ負荷削減のためのコストアップに繋がる。
【0006】
一つの側面では、中継装置及び管理サーバの処理負担のバランス化を図る通信管理システム、通信管理方法及び管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの案では、通信要求内に含まれる通信相手先がリスト内にある場合に特定経路で当該通信相手先との通信を中継する中継装置と、当該中継装置に前記リストを提供する管理装置とを有する通信管理システムである。管理装置は、前記通信の通信相手先、当該中継装置の識別情報及び属性を含む通信履歴を取得する集計部を有する。集計部は、取得した通信履歴をもとに前記通信相手先毎にアクセス量を集計して、前記属性に着目した属性別順位表及び全中継装置に関わる共通性順位表を生成する。更に、管理装置は、前記共通性順位表及び前記着目した属性の属性別順位表夫々から前記通信相手先を抽出する割合を示す所定の抽出比率に基づき、前記共通性順位表及び前記属性別順位表夫々から前記アクセス量が上位の所定件数分の通信相手先を、前記着目した属性に対応した中継装置の前記リストとして抽出する抽出部を有する。更に、抽出部は、抽出した所定件数分の通信相手先を当該中継装置に提供する。
【発明の効果】
【0008】
中継装置及び管理装置の処理負担のバランス化を図る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の通信管理システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、GW及び管理サーバの一例を示すブロック図である。
図3図3は、視点別順位表の生成方法の一例を示す説明図である。
図4図4は、視点別順位表の一例を示す説明図である。
図5図5は、リストの配備方法の一例を示す説明図である。
図6図6は、実施例1のFQDNを抽出する方法の一例を示す説明図である。
図7図7は、GW側の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、管理サーバ側の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、生成処理に関わる管理サーバ側の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、視点別順位表の生成方法の一例を示す説明図である。
図11図11は、抽出処理に関わる管理サーバ側の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施例2のFQDNを抽出する方法の一例を示す説明図である。
図13図13は、実施例3のFQDNを抽出する方法の一例を示す説明図である。
図14図14は、FQDNの重複抽出を防止する際の一例を示す説明図である。
図15図15は、固有性の順位表の割合の修正方法の一例を示す説明図である。
図16図16は、各順位表の割合の修正の一例を示す説明図である。
図17図17は、固有性の順位表の割合の修正方法の一例を示す説明図である。
図18図18は、通信管理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本願の開示する通信管理システム、通信管理方法及び管理装置の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の通信管理システム1の一例を示すブロック図である。図1に示す通信管理システム1は、PC(Personal Computer)2と、GW(Gateway)3と、管理サーバ4と、相手先サイト5と、第1のネットワーク(NetWork:NW)6と、第2のNW7とを有する。PC2は、例えば、利用者の端末装置である。GW3は、PC2から第1のNW6又は第2のNW7経由で相手先サイト5に中継する、例えば、モバイルルータや、テザリング可能なスマートフォン等の中継装置である。第1のNW6は、例えば、インターネット等である。第2のNW7は、例えば、VPN(Virtual Private Network)等である。管理サーバ4は、後述するように、各GW3に中継方法を指示するためのものであり、各GW3と通信できるのであれば、例えば、インターネット上や閉域網内等のどこにあってもよい。
【0012】
図2は、GW3及び管理サーバ4の一例を示すブロック図である。図2に示すGW3は、付随情報取得部11と、実績管理部12と、リスト管理部13と、DNS(Domain Name System)処理部14と、ルーティングテーブル記憶部15と、IPスタック16と、制御部17とを有する。付随情報取得部11は、GW3の固有性、例えば、GW3の利用場所等を含む付随情報を取得する。実績管理部12は、相手先サイト5のFQDNや利用場所等の付随情報等の実績を蓄積管理する。リスト管理部13は、PC2から第1のNW6の直接通信を許可する相手先サイト5のFQDNをリストとして蓄積管理する。
【0013】
DNS処理部14は、PC2からのDNS問合せに応じて相手先サイト5のFQDNを図示せぬDNSサーバに問合せし、DNSサーバから相手先サイト5のFQDNに対応するIPアドレスをDNS応答として得る処理部である。更に、DNS処理部14は、DNS応答内に含まれるFQDN及びIPアドレスを制御部17に通知した後、PC2にDNS受信したDNS応答を転送する。IPスタック16は、ルーティングテーブル記憶部15の記憶内容を参照し、その記憶内容に従って受信データを第1のNW6又は第2のNW7に転送する。
【0014】
制御部17は、GW3全体を制御する。制御部17は、例えば、DNS処理部14から受信したDNS問い合せのDNS応答を用いて相手先サイト5のFQDNを取得し、取得したFQDNがリスト管理部13内にあるか否かを判定する。制御部17は、FQDNがリスト管理部13内にあるか否かの判定結果を得た上でルーティングテーブル記憶部15を更新する。更に、制御部17は、ルーティングテーブル記憶部15を更新して経路制御を実行する際に、第1のNW6又は第2のNW7で通信した相手先サイト5の通信履歴である実績41を実績管理部12に蓄積する。制御部17は、その実績41を一定間隔毎に管理サーバ4に通知する。
【0015】
管理サーバ4は、集計部21と、抽出部22と、記憶部23と、制御部24とを有する。集計部21は、集計対象期間内の各GW3からの通知内容である実績41を収集し、後述する図3の(A)に例示した実績41を得る。更に、集計部21は、収集した実績41を後述する方法を用いて集計し、後述するように、2つの表を生成する。1つは図3の(D)に例示した各相手先サイト5へのアクセス量に関する視点別順位表43であり、1つは図3の(C)に例示したGW・固有性対応表44である。また、抽出部22は、後述するように、各視点別順位表43からアクセス量が上位のFQDNを抽出し、該当リストをGW・固有性対応表44を用い、対応するGW3に配備する。記憶部23は、GW3から収集した、例えば、相手先サイト5のFQDN、付随情報やGW3を識別する検出GW等の実績41の他、抽出部22で生成した視点別順位表等を記憶する。
【0016】
制御部24は、管理サーバ4全体を制御する。例えば、一定周期毎に各GW3から実績41を収集して集計部21を用いて視点別順位表43及びGW・固有性対応表44を生成する。更に、制御部24は、抽出部22を用いて抽出したリストについて、即配備要否の判定結果を得た上で、対応するGW3に生成したリストを配備する。尚、抽出部22が各視点別順位表43の上位FQDNを抽出する際は、例えば、所定の固定比率で抽出するものとする。共通性及び固有性の各視点別順位表43の上位からFQDNを抽出するため、アクセス量が全体として多いサイトや固有の特定グループ内に多いサイトのFQDNが抽出されることになる。また、リスト内のFQDNエントリ数は、GW3の能力又は仕様に依存する。
【0017】
FQDNをリストに追加するか否かの判断は、視点別順位表43のFQDNのランクに依存する。そこで、管理サーバ4は、共通性及び個別グループの固有性の両方からリストに追加するFQDNを抽出する。
【0018】
リストに追加するFQDNを抽出する際に使用する視点別順位表43の生成方法について説明する。図3は、視点別順位表43の生成方法の一例を示す説明図である。管理サーバ4の集計部21は、各GW3から図3の(A)に示す実績41を収集する。尚、実績41は、アクセス日時41A、相手先サイト5を識別するFQDN41B、検出GW41C及び付随情報(利用場所)41Dを対応付けしている。尚、付随情報41Dは、例えば、日本や米国等のGW3の利用場所の属性でグループ化するための情報である。集計部21は、この実績41に基づき、図3の(B)に示す視点別の共通性や固有性毎にFQDN毎のアクセス回数を集計して視点別集計表42を生成する。尚、視点別集計表42は、相手先サイト5のFQDN42A毎に、共通性のアクセス回数42B及び固有性(利用場所:日本、米国)のアクセス回数42Cを対応付けて管理している。
【0019】
集計部21は、GW3から収集した図3の(A)に示す実績41内の検出GW41C及び付随情報41Dに対応した、図3の(C)に示すGW・固有性対応表44を生成する。尚、GW・固有性対応表44は、GW44A毎に付随情報(利用場所)44Bを管理している。また、集計部21は、視点別集計表42内のFQDN42Aのアクセス回数42B(42C)の割合を算出し、アクセス回数42B(42C)の割合に基づき、図3の(D)に示すように共通性及び固有性の視点別順位表43を生成する。視点別順位表43は、順位に対し、共通性の順位表43Aと、固有性の順位表43Bとを対応付けて管理している。共通性の順位表43Aは、各FQDN431Aのアクセス量(アクセス回数432Aの割合433A)でランキング化したFQDNの順位表である。固有性の順位表43Bは、固有性でグループ化したFQDN431Bのアクセス量(アクセス回数432Bの割合433B)でランキング化した、例えば、固有性(利用場所:日本、米国)のFQDNの順位表である。
【0020】
集計部21は、実績41の相手先サイト5のFQDN毎に、共通性の順位表43Aのカラム及び、該当する固有性の順位表43Bのカラムにアクセス回数を加算し、図3の(D)に示す視点別順位表43を生成する。尚、図3の(D)の視点別順位表43の視点は、例えば、共通性(全体)、日本及び米国の3種類である。
【0021】
各視点別順位表43の割合433A(433B)は、視点毎の全アクセス回数の合計の割合を100%とし、視点毎に、全アクセス回数に占める各FQDNのアクセス回数の割合を示す。例えば、図3の(D)に示すFQDN“1”に着目した場合、共通性(全体)の視点で見ると、その割合433Aは33.33%、「日本」の視点で見ると、その割合433Bは100%である。視点別順位表43内のアクセス量の割合433A(433B)は、上位≧下位で下位になるほど小さくなる。図4は、視点別順位表43の一例を示す説明図である。集計部21は、実績41の集計が進むに連れて図4に示すような視点別順位表43を生成することになる。
【0022】
次に、抽出部22で抽出されたFQDNのリストをGW3に配備する方法について説明する。図5は、リストの配備方法の一例を示す説明図である。抽出部22は、集計部21が生成したGW・固有性対応表44を参照し、視点別順位表43から抽出した上位のFQDNのリストを利用場所44Bに対応したGW3に一斉配備する。尚、集計部21は、集計対象期間内に、例えば、日米を移動した場合に、同一GW3で複数の固有性を抽出する。この際、抽出部22は、GW・固有性対応表44を参照し、該当GW3から抽出された複数の固有性の値の内、最新の値に対応した固有性でグループ化したGW3にリストを配備する。また、抽出部22は、最新の値に対応した固有性のGW3にリストを配備したが、複数の固有性の値の内、最も頻度の高い最頻値に対応した固有性でグループ化したGW3にリストを配備するようにしても良い。
【0023】
尚、抽出部22は、FQDNのリストを取得すると、取得したリストを固有性でグループ化したGW3に一斉配備した。しかしながら、抽出部22は、各GW3からの要求、例えば、起動時や固有性の付随情報の変化検出時等の要求に応じてリストを個別に配備するようにしても良い。尚、固有性の付随情報の変化検出時とは、例えば、利用場所44Bが米国から日本に変化した場合に相当する。また、抽出部22は、各GW3から付随情報を受信した場合に、付随情報の固有性で得たリストを特定し、特定したリストを付随情報の該当GW3に配備しても良い。
【0024】
次に、視点別順位表43からリストに追加するFQDNを抽出する方法について説明する。図6は、実施例1のFQDNを抽出する方法の一例を示す説明図である。抽出部22は、視点別順位表43から固定抽出比率で割合433A,433Bが上位のFQDNからエントリ数分のFQDNを順次抽出する。例えば、抽出部22は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから、例えば、2:1の抽出比率で割合433A(433B)のFQDNを夫々抽出する。先ず、図6の例では、抽出部22は、共通性の順位表43AからFQDN“1”、“2”、日本の順位表43BからFQDN“15”を抽出する。次に抽出部22は、共通性の順位表43AからFQDN“6”、“15”、日本の順位表43BからFQDN“16”を抽出する。更に、抽出部22は、共通性の順位表43AからFQDN“3”、“16”、日本の順位表43BからFQDN“1”を抽出する。そして、抽出部22は、抽出したFQDNがリストのエントリ数の上限に到達した場合、FQDNの抽出処理を停止する。しかしながら、抽出部22は、抽出したFQDNがエントリ数の上限に到達しなくても、第2のNW7側サーバの負荷が負荷目標値に低下した場合、GW3側の抽出処理に要する負荷を軽減するため、FQDNの抽出処理を停止する。
【0025】
図7は、GW3側の処理動作の一例を示すフローチャートである。図7においてGW3内のDNS処理部14は、PC2から相手先サイト5のDNS要求を受信すると(ステップS11)、DNS要求をDNSサーバに転送する(ステップS12)。GW3内のリスト管理部13は、DNSサーバからDNS要求に対応したDNS応答を取得すると(ステップS13)、DNS応答内の相手先サイト5のFQDNがリスト管理部13内にあるか否かを判定する(ステップS14)。
【0026】
GW3内の制御部17は、相手先サイト5のFQDNがリスト管理部13内にある場合(ステップS14肯定)、相手先サイト5のIPアドレスを抽出する(ステップS15)。制御部17は、抽出した相手先サイト5のIPアドレスをルーティングテーブル記憶部15に記憶更新する(ステップS16)。GW3内の付随情報取得部11は、付随情報を収集し、相手先サイト5のFQDNに対応付けて付随情報を実績管理部12に蓄積する(ステップS17)。そして、GW3内のDNS処理部14は、DNS応答をPC2に転送し(ステップS18)、図7に示す処理動作を終了する。
【0027】
また、制御部17は、DNS応答内の相手先サイト5のFQDNがリスト管理部13内にない場合(ステップS14否定)、付随情報及びFQDNに対応付けて実績管理部12に蓄積すべく、ステップS17に移行する。
【0028】
図8は、管理サーバ4側の処理動作の一例を示すフローチャートである。図8において管理サーバ4内の集計部21は、各GW3から受信した実績41から図3に示すように視点別集計表42を生成し、生成した視点別集計表42から視点別順位表43及びGW・固有性対応表44を生成する(ステップS21)。尚、集計部21は、各GW3から定期的に実績(アクセス先のFQDN、付随情報、検出GW等を含む)41を受信するものとする。尚、各GW3は、実績41を定期的に管理サーバ4に送信するようにしたが、例えば、所定時刻の到来やアクセス回数が所定件数に到達した場合に実績41を管理サーバ4に送信するようにしても良い。
【0029】
管理サーバ4内の抽出部22は、視点別順位表43に基づきリストのFQDNを抽出する(ステップS22)。抽出部22は、抽出したFQDNのリストを該当の固有性でグループ化したGW3に即配備するか否かを判定する(ステップS23)。抽出部22は、リストを該当GW3に即配備する場合(ステップS23肯定)、GW・固有性対応表44を参照し、抽出FQDNを含むリストを該当GW3に配備し(ステップS24)、図8に示す処理動作を終了する。抽出部22は、抽出したFQDNを含むリストを該当GW3に即配備しない場合(ステップS23否定)、図8に示す処理動作を終了する。
【0030】
次に管理サーバ4側の視点別集計表42及び視点別順位表43の生成処理について、図9及び図10を用いて詳細に説明する。図9は、生成処理に関わる管理サーバ4側の処理動作の一例を示すフローチャートである。図10は、視点別順位表の生成方法の一例を示す説明図である。管理サーバ4内の集計部21は、各GW3から受信した実績41から集計対象期間分の実績41を抽出する(ステップS31)。集計部21は、実績41内の付随情報から固有性の値を特定する(ステップS32)。集計部21は、図10の(A)に示す実績41の付随情報41Dが、例えば、利用場所を示すGPS位置情報の場合に、GPS位置情報を国名に変換して「国名」を固有性の値とする。尚、集計部21は、例えば、付随情報41DがGW3を識別するIDとし、外部DBを参照してIDに対応する「所属グループ名」を固有性の値としても良い。
【0031】
集計部21は、固有性の値を特定した後、視点別集計表42の集計を更新する(ステップS33)。つまり、集計部21は、図10の(B)に示す視点別集計表42内のFQDN42A、共通性のアクセス回数42B、固有性のアクセス回数42C及び、その合計を更新する。
【0032】
集計部21は、視点別集計表42を更新した後、実績41からGW3の固有性を特定する、図10の(C)に示すGW・固有性対応表44を更新する(ステップS34)。集計部21は、集計対象期間分の視点別集計表42の集計が完了したか否かを判定する(ステップS35)。
【0033】
集計部21は、視点別集計表42の集計が完了した場合(ステップS35肯定)、視点別集計表42から視点別順位表43を生成し(ステップS36)、図9の処理動作を終了する。集計部21は、図10の(D)に示すようにFQDN431A(431B)毎のアクセス回数432A(432B)及び割合433A(433B)も算出して視点別順位表43を更新する。
【0034】
集計部21は、視点別集計表43の集計が完了しなかった場合(ステップS35否定)、付随情報から固有性用の値を特定すべく、ステップS32に移行する。
【0035】
次に抽出部22を用いて視点別順位表43からFQDNを抽出する方法について説明する。図11は、抽出処理に関わる管理サーバ4側の処理動作の一例を示すフローチャートである。図11において抽出部22は、抽出対象の視点別順位表43を決定し、視点別順位表43の着目順位を第1位に設定する(ステップS41)。尚、視点別順位表43の決定とは、共通性の順位表43Aと抽出対象の固有性の順位表43Bを決定することである。
【0036】
抽出部22は、視点別順位表43の着目順位の抽出対象の固有性の順位表43B及び共通性の順位表43Aから抽出件数を決定し、固定の抽出比率に基づき、抽出件数分のFQDNを抽出する(ステップS42)。抽出部22は、図6に示すように、例えば、抽出対象を「日本」の順位表43Bとし、共通性の順位表43A及び「日本」の順位表43Bから抽出比率2:1で抽出件数9件の割合が上位のFQDNを抽出する。そして、抽出部22は、図6に示すようにFQDN「1」、「2」、「15」、「6」、「15」、「16」、「3」、「16」及び「1」を抽出することになる。
【0037】
抽出部22は、抽出停止条件に到達したか否かを判定する(ステップS43)。尚、抽出停止条件は、例えば、FQDNの抽出件数がGW3のエントリ上限数に到達した場合や、第2のNW7側サーバの負荷量が目標負荷値に低下した場合である。
【0038】
抽出部22は、抽出停止条件に到達した場合(ステップS43肯定)、抽出したFQDNをリストとして決定し(ステップS44)、図11に示す処理動作を終了する。抽出部22は、抽出停止条件に到達していない場合(ステップS43否定)、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43B内で次位の着目順位に設定する(ステップS45)。抽出部22は、抽出対象の視点別順位表43から抽出件数を決定し、抽出件数分のFQDNを固定の抽出比率に基づき抽出すべく、ステップS42に移行する。
【0039】
実施例1の通信管理システム1は、管理サーバ4が集計対象の共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから固定の抽出比率でアクセス量が上位のFQDNを抽出し、抽出FQDNを含むリストを該当GW3に配備する。その結果、通信管理システム1は、利用サイト数が増えたとしても、共通性及び固有性の両方の観点で相手先サイト5のFQDN毎のアクセス量の多さをもとにリストに追加するため、GW3及び管理サーバ4側の処理負担のバランス化を図れる。
【0040】
管理サーバ4は、各GW3の実績41を収集し、相手先サイト5のFQDN毎のアクセス回数を集計した視点別集計表42を生成し、視点別集計表42に基づき共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bを生成する。更に、管理サーバ4は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bからアクセス量が上位のFQDNを抽出し、抽出したFQDNを対応GW3のリストとして配備する。その結果、管理サーバ4は、共通性及び固有性の両方の観点で相手先サイト5のFQDN毎のアクセス量の多さをもとにリストに追加して高ヒット率のリストを対応GW3に配備できる。そして、管理サーバ4自体の処理負担は勿論のこと、GW3側の処理負担も軽減できる。
【0041】
管理サーバ4は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43B夫々から固定の抽出比率でアクセス量が上位の所定件数分のFQDNを抽出したので、視点別順位表43からFQDNを固定の抽出比率で抽出できる。
【0042】
尚、上記実施例1では、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから固定の抽出比率(共通性の順位表:固有性の順位表=2:1)でFQDNを抽出し、抽出したFQDNに重複するFQDNが存在する場合に重複数分のFQDNを再抽出しても良い。
【0043】
また、上記実施例1の管理サーバ4では、視点別順位表43から固定の抽出比率でFQDNを抽出した。しかしながら、管理サーバ4は、視点別順位表43内のFQDNのアクセス回数の割合に応じて抽出比率を反転するようにしても良く、この場合の実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の通信管理システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例2】
【0044】
そもそも、FQDNをリストに追加するか否かの判断は、FQDNのアクセス回数の割合を利用する。FQDNのアクセス回数の割合は、負荷を意味し、第1のNW6で通信させた場合の第2のNW7側サーバの負荷削減量(削減寄与度)と言える。例えば、集計対象期間全体でアクセス回数が多い相手先サイト5でも、あるGW3に着目した場合、そのアクセス回数が中程度若しくは少ないサイトの場合がある。また、集計対象期間全体でアクセス回数が中程度若しくは少ない相手先サイト5でも、あるGW3に着目した場合、そのアクセス回数が多いサイトもある。そこで、管理サーバ4は、全アクセス回数の共通性及び個別グループの固有性の両方からリストに追加するFQDNを、上記割合をもとに、抽出比率を反転させながら抽出する。
【0045】
図12は、実施例2のFQDNを抽出する方法の一例を示す説明図である。図12において各視点別順位表43Xの割合433A(433B)は、視点毎の全アクセス回数の合計の割合を100%とし、視点毎に、全アクセス回数に占める各FQDNのアクセス回数の割合を示す。その割合433A(433B)は、該当視点(共通性、日本、米国)に着目した場合の第2のNW7側サーバの使用率若しくは負荷削減量(削減寄与度)に相当する。例えば、図12に示すFQDN“1”に着目した場合、共通性(全体)の視点で見ると、その割合433Aは17.45%、「日本」の視点で見ると、その割合433Bは11.39%である。従って、各割合433A,433Bは、該当FQDNをリストに追加した場合に削減寄与度、該当FQDNをリストに追加しない場合に第2のNW7側サーバの使用率と言える。
【0046】
視点別順位表43X内のアクセス量の割合433A(433B)は、上位≧下位で下位になるほど小さくなる。また、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bは、同一順位でアクセス回数の割合433A,433Bの大小が入れ替わる場合がある。抽出部22は、アクセス回数の割合433A,433Bが大きい方の順位表から多くのFQDNを抽出するのが効果的であるため、抽出比率の割り当てをアクセス回数の割合(削減寄与度)に応じて決定する。その結果、抽出部22は、固定の抽出比率を用いる場合に比べて効率良くFQDNを抽出できる。
【0047】
次に、視点別順位表43Xからリストに追加する実施例2のFQDNを抽出する方法について説明する。抽出部22は、視点別順位表43から抽出比率で割合433A,433Bが上位のFQDNからエントリ数分のFQDNを順次抽出する。先ず、抽出部22は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから最上位の割合を比較し、割合が大きい方の順位表から多くのFQDNを抽出するように抽出比率を設定する。抽出部22は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから、例えば、2:1の抽出比率で割合433A(433B)のFQDNを夫々抽出する。
【0048】
更に、抽出部22は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43B夫々から最上位の割合を比較する。抽出部22は、比較結果に基づき、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bの割合である削減寄与度の大小が逆転した場合に抽出比率を、例えば、2:1から1:2に反転する。抽出部22は、削減寄与度に応じて抽出比率を2:1とした場合、図12に示すように、順位第1位のアクセス割合をもとに、共通性の順位表43A:固有性の順位表43Bを2:1の抽出比率とする。そして、抽出部22は、2:1の抽出比率で共通性の順位表43AからFQDN“1”及び“2”、固有性の順位表43BからFQDN“15”を抽出する。更に、抽出部22は、共通性の順位表43Aの最上位(第3位)の割合と、固有性の順位表43Bの最上位(第2位)の割合とを比較し、割合の高い固有性の順位表43Bから多くのFQDNを抽出するように抽出比率を反転する。つまり、抽出部22は、共通性の順位表:固有性の順位表の抽出比率を1:2に設定する。そして、抽出部22は、抽出比率を1:2に設定し、共通性の順位表43AからFQDN“16”及び“1”、固有性の順位表43BからFQDN“6”を抽出する。抽出部22は、抽出したFQDNがリストのエントリ数上限に到達した場合、FQDNの抽出処理を停止する。しかしながら、抽出部22は、抽出FQDNがエントリ数の上限に到達しなくても、第2のNW7側サーバの負荷が負荷目標値に低下した場合、GW3側の抽出処理に要する負荷を軽減するため、FQDNの抽出処理を停止する。
【0049】
次に実施例2の抽出部22を用いて視点別順位表43XからFQDNを抽出する方法について説明する。抽出部22は、抽出対象の視点別順位表43Xを決定し、視点別順位表43Xの着目順位を第1位に設定する。抽出部22は、視点別順位表43Xの着目順位の割合(削減寄与度)の比較結果に基づき、視点別順位表43X内の抽出対象の固有性の順位表43B及び共通性の順位表43Aから抽出件数を決定し、抽出件数分のFQDNを抽出する。
【0050】
抽出部22は、図12に示すように、例えば、抽出対象を「日本」の順位表43Bとし、共通性の順位表43A及び「日本」の順位表43Bから抽出比率2:1で抽出件数9件の割合が上位のFQDNを抽出する。そして、抽出部22は、図12に示すようにFQDN「1」、「2」、「15」、「16」、「1」、「6」、「13」、「12」及び「15」を抽出することになる。
【0051】
抽出部22は、図12に示すように共通性の順位表43AからFQDN“1”及び“2”、「日本」の順位表43BからFQDN“15”を抽出する。抽出部22は、FQDN“1”、“2”及び“15”を抽出した後、共通性の順位表43Aの割合が最上位のFQDN“6”の割合と、「日本」の順位表43Bの割合が最上位のFQDN“16”の割合とを比較する。そして、抽出部22は、比較結果に基づき、「日本」の順位表43BのFQDN“16”の割合の方が大きいため、共通性の順位表43A:「日本」の順位表43Bの抽出比率を1:2に反転する。
【0052】
抽出部22は、抽出比率反転後、「日本」の順位表43BからFQDN“16”及び“1”、共通性の順位表43AからFQDN“6”を抽出する。そして、抽出部22は、抽出停止条件に到達したか否かを判定する。抽出部22は、抽出停止条件に到達した場合、抽出したFQDNをリストとして決定する。
【0053】
抽出部22は、抽出停止条件に到達していない場合、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43B内で次位の着目順位に設定する。抽出部22は、設定した着目順位の割合(削減寄与度)の比較結果に基づき、抽出対象の視点別順位表43Xから抽出件数を決定し、抽出件数分のFQDNを抽出する。
【0054】
実施例2の管理サーバ4は、所定件数分のFQDNを抽出する前に、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bの着目順位に対応した割合を比較し、割合が高い方の順位表から多くのFQDNを抽出するように抽出比率を反転する。その結果、割合が高い方の順位表から多くのFQDNを抽出できる。
【0055】
尚、上記実施例2では、着目順位に対応した割合の比較結果に基づき抽出比率を反転し、その抽出比率に基づきFQDNを抽出し、抽出したFQDNに重複するFQDNが存在する場合に重複数分のFQDNを再抽出しても良い。
【0056】
また、上記実施例2では、抽出比率に基づきFQDNを抽出し、抽出比率に基づくFQDNの抽出の都度、FQDNの重複有無を検出するようにしても良く、この場合の実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。尚、実施例2と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例3】
【0057】
抽出部22を用いて視点別順位表43YからFQDNを抽出する方法について説明する。図13は、実施例3のFQDNを抽出する方法の一例を示す説明図である。図13において抽出部22は、抽出対象の視点別順位表43Yを決定し、視点別順位表43Yの着目順位を第1位に設定する。
【0058】
抽出部22は、視点別順位表43Yの着目順位の割合(削減寄与度)の比較結果に基づき、視点別順位表43Y内の抽出対象の固有性の順位表43B及び共通性の順位表43Aから抽出件数を決定し、抽出件数分のFQDNを抽出する。抽出部22は、図13に示すように、例えば、抽出対象を「日本」の順位表43Bとし、共通性の順位表43A及び「日本」の順位表43Bから抽出比率2:1で抽出件数9件の割合が上位のFQDNを抽出する。そして、抽出部22は、図13に示すようにFQDN「1」、「2」、「3」、「6」、「12」、「13」、「14」、「15」及び「16」を抽出することになる。
【0059】
抽出部22は、図13に示すように共通性の順位表43AからFQDN“1”及び“2”、「日本」の順位表43BからFQDN“15”を抽出する。抽出部22は、FQDN“1”、“2”及び“15”を抽出した後、共通性の順位表43Aの割合が最上位のFQDN“6”の割合と、「日本」の順位表43Bの割合が最上位のFQDN“16”の割合とを比較する。そして、抽出部22は、比較結果に基づき、「日本」の順位表43BのFQDN“16”の割合の方が大きいため、共通性の順位表43A:「日本」の順位表43Bの抽出比率を2:1から1:2に反転する。
【0060】
抽出部22は、抽出件数分のFQDN内に同一FQDNが重複する場合、抽出件数分のFQDNから、図13に示すように同一FQDNの一方を削除してシフトする。尚、抽出部22は、図13に示す抽出比率反転後、「日本」の順位表43BからFQDN“16”及び“1”、共通性の順位表43AからFQDN“6”を抽出する。しかしながら、抽出部22は、「日本」の順位表43Bから抽出したFQDN“1”は抽出済みであるため、抽出済みのFQDN“1”を削除して割合が次位のFQDNにシフトしてFQDN“13”を抽出する。
【0061】
そして、抽出部22は、抽出停止条件に到達したか否かを判定する。抽出部22は、抽出停止条件に到達した場合、抽出したFQDNをリストとして決定する。抽出部22は、抽出停止条件に到達していない場合、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43B内で次位の着目順位に設定する。抽出部22は、設定した着目順位の割合(削減寄与度)の比較結果に基づき、抽出対象の視点別順位表43Yから抽出件数を決定し、抽出件数分のFQDNを抽出する。
【0062】
実施例3の管理サーバ4は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから割合が上位のFQDNを所定件数分抽出し、所定件数分のFQDN内に重複FQDNがある場合、重複FQDNを削除して次位のFQDNを抽出する。その結果、管理サーバ4は、重複FQDNの重複登録を防止し、抽出バランスを維持しながら両方の順位表から所定件数分のFQDNを抽出できる。
【0063】
尚、上記実施例3の抽出部22は、抽出件数分のFQDN内に同一FQDNが重複する場合、抽出件数分のFQDNから、図13に示すように同一FQDNの一方を削除してシフトする処理を実施例1の抽出部22に適用しても良い。この場合、抽出部22は、同一FQDNの重複抽出を回避できる。
【0064】
次に、上記実施例1から3の抽出部22でFQDNを抽出する際の同一FQDNの重複抽出を防止する方法について説明する。図14は、FQDNの重複抽出を防止する際の一例を示す説明図である。
【0065】
抽出部22は、視点別順位表43Yの抽出対象のFQDN内に同一のFQDNが存在する場合に、同一FQDNの重複抽出を防止する。例えば、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bの抽出比率を3:2とした場合、共通性の順位表43AのFQDN抽出件数は、例えば“a”,“b”及び“c”の3件、固有性の順位表43BのFQDN抽出件数は、例えば“b”及び“a”の2件とする。抽出したFQDNの内、“a”及び“b”が重複している。
【0066】
そこで、図14の(A)に示すように、共通性の順位表43AのFQDN“a”及び固有性の順位表43BのFQDN“b”を削除することも考えられる。しかしながら、抽出件数が5件から3件に減り、抽出比率(3:2)のバランスが崩れてしまう。そこで、抽出部22は、共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bを交互にシフトして重複FQDNを削除する、例えば、図14の(B)に示すように、共通性の順位表43Aから重複FQDN“a”を削除し、次位のFQDN“b”を抽出する。更に、抽出部22は、固有性の順位表43Bから重複FQDN“b”を削除して次位のFQDN“a”を抽出する。そして、抽出部22は、共通性の順位表43AからFQDN“b”,“c”及び“d”を抽出すると共に、固有性の順位表43BからFQDN“a”及び“f”を抽出する。つまり、抽出部22は、同一FQDNの重複抽出を防止しながら、抽出件数5件及び抽出比率3:2を維持することになる。
【0067】
また、集計対象の実績41の全アクセス回数を固有性で分類しながら集計した場合に、固有性毎のアクセス回数の合計数に大きな差が出る場合がある。複数の固有性のアクセス回数の合計数の内、ある固有性のアクセス回数の合計数が少ない場合は、1回のアクセスが割合433Bに及ぼす影響は高くなる。そこで、このような事態に対処すべく、固有性の順位表43Bの割合433Bの修正方法について説明する。図15は、固有性の順位表43Bの割合433Bの修正方法の一例を示す説明図である。図16は、各順位表の割合の修正の一例を示す説明図である。
【0068】
例えば、集計対象の全アクセス回数が10000回、固有性“日本”のアクセス回数の合計数が6700回、固有性“米国”のアクセス回数の合計数が3000回、固有性“中国”のアクセス回数の合計数が300回とする。この際、固有性毎のアクセス回数の合計数に大きな差があり、1回のアクセス回数がFQDNの割合に及ぼす影響は、固有性“日本”<固有性“米国”<固有性“中国”となる。抽出部22は、例えば、共通性の順位表43A及び固有性“中国”の順位表43BからFQDNを抽出する場合、固有性“中国”のアクセス回数の合計数が少ないため、図16に示すように固有性“中国”の各FQDNの割合433Bを下方修正する。従って、固有性“中国”の順位表43Bから抽出されるFQDNは少なくなる。
【0069】
また、共通性の順位表43A及び固有性“日本”の順位表43BからFQDNを抽出する場合、固有性“日本”のアクセス回数の合計数が多いため、図16に示すように固有性“日本”の各FQDNの割合を上方修正する。従って、固有性“日本”の順位表43Bから抽出されるFQDNは多くなる。
【0070】
次に割合433Bの修正方法について詳細に説明する。図17は、固有性の順位表43Bの割合433Bの修正方法の一例を示す説明図である。図17において集計対象の全アクセス回数及び固有性毎のアクセス回数の合計数から求める理論平均値に対して、固有性のアクセス回数の振れ幅が大きい場合がある。例えば、全アクセス回数が1万回の場合、3個の固有性の合計数比率の最大振れ幅は9998:1:1である。従って、各固有性のアクセス回数をレベル分けする際の判定関数に「スケール」の概念を用い、各固有性のアクセス回数を一次関数又は指数関数に回帰させてレベル分けした場合のアクセス回数の乖離に応じた補正式をFQDN毎の割合に適用する。
【0071】
図17の(A)においてスケールは、アクセス回数N及び平均値mの乖離をレベル分けするための計算式である。平均値mは、集計対象の実績41の合計数と固有性の順位表43Bの個数から求める理論平均回数である。スケールを“x2”(べき乗)にした場合、f=mx2となる。尚、スケールは、“+1000xp”にし、f=m+1000xp等にしても良く、補正式も加減算式±10%としても良い。
【0072】
図17の(B)において、例えば、判定回数f=mx2を用いて平均値mが1万回の場合、各固有性の順位表43Bのアクセス回数の合計数に応じた補正式は、図17の(B)に示す通りである。抽出部22は、固有性の順位表43Bの合計数Xが、例えば、2500≦X<5000の場合、各FQDNの割合を0.8倍にして下方修正する。また、抽出部22は、固有性の順位表43Bの合計数Xが、例えば、20000≦X<40000の場合、各FQDNの割合を1.2倍にして上方修正する。尚、抽出部22は、固有性の順位表43Bの割合が0〜100の範囲を超えた場合、0%又は100%に設定する。
【0073】
そして、集計部21は、視点別順位表43(43X,43Y)を更新した後、視点別順位表43の補正が必要であるか否かを判定する。集計部21は、視点別順位表43の補正が必要な場合、固有性の順位表43Bに対してアクセス回数の合計数及び理論平均値の乖離に応じて割合433Bを修正する、図17に示す補正処理を実行する。
【0074】
管理サーバ4は、視点別順位表43内の固有性の順位表43B毎の合計アクセス回数が理論平均回数から減少方向に乖離した場合、固有性の順位表43BのFQDN毎の割合を減少方向に補正する。その結果、管理サーバ4は、固有性の全体に占める影響の度合を小さくすることで、割合で換算した場合の順位表間のアクセス回数差(母数差)の影響を緩和できる。
【0075】
管理サーバ4は、視点別順位表43内の固有性の順位表43B毎の合計アクセス回数が理論平均回数から増加方向に乖離した場合、固有性の順位表43BのFQDN毎の割合を増加方向に補正する。その結果、管理サーバ4は、固有性の全体に占める影響の度合を大きくすることで、割合で換算した場合の順位表間のアクセス回数差(母数差)の影響を緩和できる。
【0076】
尚、上記実施例では、付随情報として、例えば、GW3の利用場所や所属グループ等を例示したが、これらに限定されるものではなく、GW3をグループ化できる情報であれば良い。
【0077】
また、上記実施例では、アクセス量としてアクセス回数を例示したが、アクセス回数に限定されるものではなく、例えば、GW3と相手先サイト5との間の通信に要するデータ量であっても良い。
【0078】
上記実施例では、例えば、国別の利用場所の付随情報を用いて国別の固有性の順位表43B及び共通性の順位表43Aからアクセス回数の割合が上位のFQDNをリストとして抽出した。しかしながら、例えば、国別の利用場所及び所属グループ等の2種類以上の付随情報を用いて国別の固有性の順位表43B、所属グループの固有性の順位表43B及び共通性の順位表43Aから割合が上位のFQDNをリストとして抽出しても良い。この場合、共通性の順位表X、利用場所の順位表Y及び所属グループの順位表Z、抽出比率をX:Y:Zに設定するようにしても良い。
【0079】
上記実施例の抽出部22は、集計対象の共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから抽出比率で割合が上位のFQDNをリストとして抽出するようにした。しかしながら、抽出部22は、集計対象の共通性の順位表43A及び固有性の順位表43Bから割合が上位のFQDNを固定の抽出比率でリストとして抽出するようにしても良い。
【0080】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0081】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【0082】
ところで、本実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータに組み込むことで実現できる。そこで、以下では、上記実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。図18は、通信管理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す説明図である。
【0083】
図18において通信管理プログラムを実行するコンピュータ200では、通信インタフェース201と、ROM202と、RAM203と、CPU204とを有する。
【0084】
そして、ROM202には、上記実施例と同様の機能を発揮する通信管理プログラムが予め記憶されている。尚、ROM202ではなく、図示せぬドライブで読取可能な記録媒体に通信管理プログラムが記録されていても良い。また、記録媒体としては、例えば、CD−ROM、DVDディスク、USBメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等でも良い。また、通信管理プログラムは、ネットワークを介して通信可能な記憶装置から取得されても良い。通信管理プログラムとしては、図18に示すように、集計プログラム202A及び抽出プログラム202Bである。尚、各プログラム202A及び202Bについては、適宜統合又は分散しても良い。
【0085】
そして、CPU204は、これらのプログラム202A及び202BをROM202から読み出し、これらの読み出された各プログラムを実行する。そして、CPU204は、集計プロセス204A及び抽出プロセス204Bとして機能する。
【0086】
CPU204は、通信要求内に含まれる通信相手先がリスト内にある場合に特定経路で当該通信相手先との通信を中継する中継装置の当該通信の通信相手先、当該中継装置の識別情報及び属性を含む通信履歴を取得する。更に、CPU204は、取得した通信履歴をもとに通信相手先毎のアクセス量を集計し、属性に着目した属性別順位表及び全中継装置に関わる共通性順位表を生成する。更に、CPU204は、共通性順位表及び着目した属性の属性別順位表夫々から通信相手先を抽出する割合を示す所定の抽出比率に基づき、共通性順位表及び属性別順位表夫々からアクセス量が上位の所定件数分の通信相手先を、着目した属性に対応した中継装置のリストとして抽出する。そして、CPU204は、通信相手先をリストとして抽出し、着目した属性に対応した中継装置に配備する。その結果、CPU204は、通信相手先の利用サイト数が増えたとしても、中継装置及びコンピュータ側の処理負担のバランス化を図れる。
【符号の説明】
【0087】
1 通信管理システム
3 GW
4 管理サーバ
5 相手先サイト
6 第1のNW
7 第2のNW
21 集計部
22 抽出部
43 視点別順位表
43A 共通性の順位表
43B 固有性の順位表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18