(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記認証距離は、前記割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に前記依頼ユーザーの歩行速度を乗じることにより、算出されることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、前記第2印刷装置における前記印刷物の出力の開始を、遅延させる出力開始遅延部を、さらに有し、
前記遅延の時間は、
前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差する点から、前記第1印刷装置を経由して前記第2印刷装置に到着するまでの前記依頼ユーザーの歩行時間から、
前記第2印刷装置の前記認証距離を前記依頼ユーザーの歩行する場合の所要時間を減じた差分であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷システム。
前記決定部は、前記依頼ユーザーが到着する予定時間より前に前記印刷物の出力が完了することを例外的に許容する健康効果優先モードと、前記ユーザー待ち時間が発生することを例外的に許容するセキュリティ優先モードと、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷システム。
前記認証距離は、前記割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に、前記依頼ユーザーの歩行速度を乗じることにより、算出されることを特徴とする請求項15に記載の印刷プログラム。
前記決定手順は、前記依頼ユーザーが到着する予定時間より前に前記印刷物の出力が完了することを例外的に許容する健康効果優先モードと、前記ユーザー待ち時間が発生することを例外的に許容するセキュリティ優先モードと、を有することを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の印刷プログラム。
前記サーバーは、前記複数の適用印刷装置を含む前記複数の候補印刷装置の一つから構成されることを特徴とする請求項15〜26のいずれか1項に記載の印刷プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、MFPは、ユーザーが設定されたコースを歩行して目標歩数を達成した場合、コースに応じた画像を出力し、また、達成した歩数に応じて、出力可能な画像を変更することにより、ユーザーの歩数増進のモチベーションを高めている。つまり、ユーザーの歩行自体を促してはおらず、また、ユーザーの歩き方の質については考慮されていない。そのため、ユーザーの健康促進(歩数増進)が効率的ではない問題を有している。
【0006】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、効率的にユーザーの健康促進(歩数増進)を図りかつセキュリティ性を確保する印刷システムおよび印刷プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)ネットワークに接続される複数の候補印刷装置と、
前記複数の候補印刷装置の間の距離データを含む位置情報が記憶されている記憶部と、
分散処理される印刷ジョブの依頼ユーザーが、前記複数の候補印刷装置に係る認証距離の範囲内に入ったことを検出する依頼ユーザー検出部と、
前記依頼ユーザーの歩行距離と歩行速度、前記位置情報、前記認証距離、および、印刷速度を含む前記複数の候補印刷装置の仕様に基づいて、前記複数の候補印刷装置から抽出された複数の適用印刷装置を結ぶ経路を選択し、前記複数の適用印刷装置において実行される前記印刷ジョブの割り当てを決定する決定部と、
前記経路の情報を前記依頼ユーザーに通知する経路通知部と、
前記割り当てを含んでいる依頼情報を前記複数の適用印刷装置に通知する依頼情報通知部と、を有し、
前記決定部は、
前記依頼ユーザーが前記経路を移動して前記割り当てに対応する印刷物を順次取得する際、前記依頼ユーザーが到着した適用印刷装置において、前記印刷物の出力が完了するまでのユーザー待ち時間が発生しないように、前記依頼ユーザーが到着する予定時間に基づいて、前記割り当てを決定し、
前記複数の適用印刷装置は、前記依頼ユーザーが前記認証距離の範囲内に入ったことが検出された場合、前記割り当てに対応する前記印刷物の出力を開始するように構成されており、
前記認証距離は、前記割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に対応している、
ことを特徴とする印刷システム。
【0009】
(2)前記認証距離は、前記割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に前記依頼ユーザーの歩行速度を乗じることにより、算出されることを特徴とする前記(1)に記載の印刷システム。
【0010】
(3)前記決定部は、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記第1印刷装置の前記割り当てが増加するように、前記複数の適用印刷装置の前記割り当てを調整することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の印刷システム。
【0011】
(4)前記決定部は、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記複数の適用印刷装置を除いた前記複数の候補印刷装置から追加の第3印刷装置を抽出し、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差しなくなるように、前記第3印刷装置を含む前記複数の適用印刷装置の前記経路および前記割り当てを変更することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の印刷システム。
【0012】
(5)前記決定部は、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記複数の適用印刷装置を除いた前記複数の候補印刷装置から、前記第2印刷装置を代替する第3印刷装置を抽出し、
前記第1印刷装置に向かう経路と前記第3印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差しなくなるように、前記第2印刷装置を除きかつ前記第3印刷装置を含む前記複数の適用印刷装置の前記経路および前記割り当てを決定することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の印刷システム。
【0013】
(6)前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、前記第2印刷装置における前記印刷物の出力の開始を、遅延させる出力開始遅延部を、さらに有し、
前記遅延の時間は、
前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差する点から、前記第1印刷装置を経由して前記第2印刷装置に到着するまでの前記依頼ユーザーの歩行時間から、
前記第2印刷装置の前記認証距離を前記依頼ユーザーの歩行する場合の所要時間を減じた差分であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の印刷システム。
【0014】
(7)前記決定部は、前記依頼ユーザーが到着する予定時間より前に前記印刷物の出力が完了することを例外的に許容する健康効果優先モードと、前記ユーザー待ち時間が発生することを例外的に許容するセキュリティ優先モードと、を有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の印刷システム。
【0015】
(8)前記セキュリティ優先モードにおいては、
前記複数の適用印刷装置中に第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置している場合、
前記第2印刷装置は、前記第1印刷装置における前記印刷物の出力が完了した後において、前記印刷物の出力を開始することを特徴とする前記(7)に記載の印刷システム。
【0016】
(9)前記複数の候補印刷装置は、情報を表示するための表示装置を有し、
前記経路通知部は、前記表示装置に、前記経路の情報を表示させることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の印刷システム。
【0017】
(10)前記複数の候補印刷装置と無線によって通信可能でありかつ前記依頼ユーザーの認証情報を有するモバイル端末を、さらに有し、
前記複数の候補印刷装置は、前記依頼ユーザー検出部を有しており、
前記依頼ユーザー検出部は、前記認証情報によって前記モバイル端末を携帯しているユーザーを前記依頼ユーザーとして認証し、かつ、前記無線の強度に基づいて、前記認証距離の範囲内に入ったことを検出することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の印刷システム。
【0018】
(11)前記モバイル端末は、情報を表示するための表示装置を有し、
前記経路通知部は、前記モバイル端末の前記表示装置に、前記経路の情報を表示させることを特徴とする前記(10)に記載の印刷システム。
【0019】
(12)前記ネットワークに接続され、かつ前記依頼ユーザーによって利用されるコンピューターを、さらに有し、
前記位置情報は、前記コンピューターと前記複数の候補印刷装置との間の距離データを含んでいることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の印刷システム。
【0020】
(13)前記ネットワークに接続されて前記複数の候補印刷装置を管理するサーバーを、さらに有し、
前記サーバーは、前記記憶部、前記決定部、前記経路通知部、前記依頼情報通知部を、少なくとも有することを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれか1項に記載の印刷システム。
【0021】
(14)前記サーバーは、前記複数の適用印刷装置を含む前記複数の候補印刷装置の一つから構成されることを特徴とする前記(13)に記載の印刷システム。
【0022】
(15)ネットワークに接続される複数の候補印刷装置を有する印刷システムを管理するサーバーの印刷プログラムであって、
前記サーバーは、記憶部、決定部、経路通知部および依頼情報通知部を有し、
前記印刷システムは、分散処理される印刷ジョブの依頼ユーザーが、前記複数の候補印刷装置に係る認証距離の範囲内に入ったことを検出する依頼ユーザー検出部を有し、
前記決定部によって、前記依頼ユーザーの歩行距離と歩行速度、前記記憶部に記憶されている前記複数の候補印刷装置の間の距離データを含む位置情報、前記認証距離、および、印刷速度を含む前記複数の候補印刷装置の仕様に基づいて、前記複数の候補印刷装置から抽出された複数の適用印刷装置を結ぶ経路を選択し、前記複数の適用印刷装置において実行される前記印刷ジョブの割り当てを決定する決定手順と、
前記経路通知部によって、前記経路の情報を前記依頼ユーザーに通知する経路通知手順と、
前記依頼情報通知部によって、前記割り当てを含んでいる依頼情報を前記複数の適用印刷装置に通知する依頼情報通知手順と、を有する処理を、前記サーバーに実行させ、
前記決定手順において、
前記依頼ユーザーが前記経路を移動して前記割り当てに対応する印刷物を順次取得する際、前記依頼ユーザーが到着した適用印刷装置において、前記印刷物の出力が完了するまでのユーザー待ち時間が発生しないように、前記依頼ユーザーが到着する予定時間に基づいて、前記割り当てが決定され、
前記複数の適用印刷装置は、前記依頼ユーザーが前記認証距離の範囲内に入ったことが検出された場合、前記割り当てに対応する前記印刷物の出力を開始するように構成されており、
前記認証距離は、前記割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に対応している、
ことを特徴とする印刷プログラム。
【0023】
(16)前記認証距離は、前記割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に、前記依頼ユーザーの歩行速度を乗じることにより、算出されることを特徴とする前記(15)に記載の印刷プログラム。
【0024】
(17)前記決定手順において、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記第1印刷装置の前記割り当てが増加するように、前記複数の適用印刷装置の前記割り当てが調整されることを特徴とする前記(15)又は(16)に記載の印刷プログラム。
【0025】
(18)前記決定手順において、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記複数の適用印刷装置を除いた前記複数の候補印刷装置から追加の第3印刷装置を抽出し、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差しなくなるように、前記第3印刷装置を含む前記複数の適用印刷装置の前記経路および前記割り当てが変更されることを特徴とする前記(15)又は(16)に記載の印刷プログラム。
【0026】
(19)前記決定手順において、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記複数の適用印刷装置を除いた前記複数の候補印刷装置から、前記第2印刷装置を代替する第3印刷装置を抽出し、
前記第1印刷装置に向かう経路と前記第3印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差しなくなるように、前記第2印刷装置を除きかつ前記第3印刷装置を含んでいる前記複数の適用印刷装置の前記経路および前記割り当てが決定されることを特徴とする前記(15)又は(16)に記載の印刷プログラム。
【0027】
(20)前記依頼情報通知手順においては、
前記複数の適用印刷装置中に前記認証距離の範囲が重なっている第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置し、かつ、前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差している場合、
前記交差の情報を含んでいる前記依頼情報が、前記第2印刷装置に通知され、
前記第2印刷装置は、前記交差の情報を受信した場合、前記印刷物の出力の開始を、遅延させる出力開始遅延部を、有し、
前記遅延の時間は、
前記第1印刷装置に向かう経路と前記第2印刷装置の前記認証距離の範囲とが交差する点から、前記第1印刷装置を経由して前記第2印刷装置に到着するまでの前記依頼ユーザーの歩行時間から、前記第2印刷装置の前記認証距離を前記依頼ユーザーの歩行する場合の所要時間を減じた差分であることを特徴とする前記(15)又は(16)に記載の印刷プログラム。
【0028】
(21)前記決定手順は、前記依頼ユーザーが到着する予定時間より前に前記印刷物の出力が完了することを例外的に許容する健康効果優先モードと、前記ユーザー待ち時間が発生することを例外的に許容するセキュリティ優先モードと、を有することを特徴とする前記(15)又は(16)に記載の印刷プログラム。
【0029】
(22)前記依頼情報通知手順においては、
前記セキュリティ優先モードにおいて、前記複数の適用印刷装置中に第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、前記第1印刷装置は、前記経路において前記第2印刷装置より上流側に位置している場合、前記セキュリティ優先モードの設定を含んでいる前記依頼情報が、前記第2印刷装置に通知され、
前記第2印刷装置は、前記第1印刷装置における前記印刷物の出力が完了した後において、前記印刷物の出力を開始することを特徴とする前記(21)に記載の印刷プログラム。
【0030】
(23)前記複数の候補印刷装置は、情報を表示するための表示装置を有し、
前記経路通知手順において、前記表示装置に前記経路の情報を表示させるための指示が、前記複数の候補印刷装置に通知されることを特徴とする前記(15)〜(22)のいずれか1項に記載の印刷プログラム。
【0031】
(24)前記印刷システムは、前記複数の候補印刷装置と無線によって通信可能でありかつ前記依頼ユーザーの認証情報を有するモバイル端末を、さらに有し、
前記複数の候補印刷装置は、前記依頼ユーザー検出部を有しており、
前記依頼ユーザー検出部は、前記認証情報によって前記モバイル端末を携帯しているユーザーを前記依頼ユーザーとして認証し、かつ、前記無線の強度に基づいて、前記認証距離の範囲内に入ったことを検出することを特徴とする前記(15)〜(23)のいずれか1項に記載の印刷プログラム。
【0032】
(25)前記モバイル端末は、情報を表示するための表示装置を有し、
前記経路通知手順において、前記モバイル端末の前記表示装置に前記経路の情報を表示させるための指示が、前記モバイル端末に通知されることを特徴とする前記(24)に記載の印刷プログラム。
【0033】
(26)前記印刷システムは、前記ネットワークに接続され、かつ前記依頼ユーザーによって利用されるコンピューターを、さらに有し、
前記位置情報は、前記コンピューターと前記複数の候補印刷装置との間の距離データを含んでいることを特徴とする前記(15)〜(25)のいずれか1項に記載の印刷プログラム。
【0034】
(27)前記サーバーは、前記複数の適用印刷装置を含む前記複数の候補印刷装置の一つから構成されることを特徴とする前記(15)〜(26)のいずれか1項に記載の印刷プログラム。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ユーザー待ち時間が発生しないように印刷ジョブの割り当てが決定されているため、依頼ユーザーは、印刷物を順次取得する際、インターバルを作らずに継続的に歩き続けることが必要となり、歩行効果が期待でき、効率的にユーザーの健康促進(歩数増進)を図ることが可能である。また、依頼ユーザーが認証範囲に入ったことが検出されると、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の印刷が開始されるため、情報の漏洩が抑制される。したがって、効率的にユーザーの健康促進(歩数増進)を図りかつセキュリティ性を確保する印刷システムおよび印刷プログラムを提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムを説明するための概略図である。
【0039】
図1に示される印刷システム100は、複数の印刷装置200A〜200G、モバイル端末300、ネットワーク900およびアクセスポイント950を有し、ユーザーから依頼された印刷ジョブを分散処理するように構成されている。分散処理は、セキュリティ性を確保しつつ、分散処理される印刷ジョブを依頼したユーザー(依頼ユーザー)が所定の経路を歩行(移動)して印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物を、順次取得するように設定されており、健康促進(歩数増進)を図るために実施される。
【0040】
印刷装置200A〜200Gは、例えば、コピー機能、プリンタ機能およびスキャン機能を有するMFP(Multi−Function Peripheral)から構成されており、無線LAN機能を有し、かつ、ネットワーク900に接続されている。モバイル端末300は、無線LAN機能を有し、依頼ユーザーによって携帯される。アクセスポイント950は、ネットワーク900に配置されている無線の送受信機であり、無線LANクライアントであるモバイル端末300をネットワーク900に接続するために使用される。
【0041】
モバイル端末300は、無線LANのインフラストラクチャーモードを利用して、アクセスポイント950およびネットワーク900を経由して印刷装置200A〜200Gと通信可能である。また、モバイル端末300は、無線LANのアドホックモードを利用することで、アクセスポイント950およびネットワーク900を経由することなく、印刷装置200A〜200Gと直接通信することが可能である。
【0042】
ネットワーク900は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber−Distributed Data Interface)などの規格によりコンピューターやネットワーク機器同士を接続する構内情報通信網(LAN:Local Area Network)、LAN同士を専用線で接続した広域情報通信網(WAN:Wide Area Network)、インターネット、これらの組み合わせなどの各種のネットワークからなる。ネットワークプロトコルは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)である。
【0043】
無線LANの方式は、例えば、IEEE801.11である。モバイル端末300と印刷装置200A〜200Gとの直接通信は、無線LANを利用する形態に限定されず、例えば、2.4GHz帯の電波を利用するBluetooth(登録商標)を適宜利用することも可能である。
【0044】
次に、印刷装置200A〜200Gの構成を詳述する。
【0045】
図2は、
図1に示される印刷装置の構成を説明するためのブロック図である。
【0046】
印刷装置200A〜200Gの各々は、
図2に示されるように、制御部210、記憶部220、給紙部240、画像読取部250、画像形成部260、用紙排出部270、操作パネル280、第1通信インターフェース290および第2通信インターフェース292を有し、これらは、バス295を経由して相互に接続されている。
【0047】
制御部210は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマイクロプロセッサなどから構成される制御回路であり、印刷装置200A〜200Gの各機能は、それに対応するプログラムを制御部210が実行することにより発揮される。
【0048】
記憶部220は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する高速のランダムアクセス記憶装置や、各種処理プログラムや各種データを保存する大容量のランダムアクセス記憶装置などを、適宜組み合わせて構成される。
【0049】
記憶されるデータは、印刷装置200A〜200Gの間の距離データを含む位置情報、設定データ、第1通信インターフェース290からの印刷ジョブデータ、画像読取部250からの読取画像データ(スキャンデータ)などである。設定データは、健康促進(歩数増進)を図る分散処理に利用されるデータであり、例えば、依頼ユーザーの歩行距離、歩行速度、歩行(移動)する経路の情報などである。
【0050】
記憶されるプログラムは、第1印刷プログラム230、第2印刷プログラム235、RIP(ラスタライズ:Raster Image Processing)プログラム、画像読取プログラムなどである。
【0051】
第1印刷プログラム230は、印刷システム100を管理するサーバーとしての機能(サーバーを兼用)を発揮させ、分散処理を実行させるために使用される。第2印刷プログラム235は、分散処理のクライアントとして機能を発揮させ、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物を出力させるために使用される。RIPプログラムは、例えば、印刷ジョブに基づいて生成される画像データを、画像形成部260で用いるラスターイメージデータに変換する処理を実行するために使用される。画像読取プログラムは、画像読取部250において生成された画像データ(スキャンデータ)に対して、画像形成部260に入力される前に、例えば、A/D変換、シェーディング補正、フィルター処理、画像圧縮処理などの画像処理を実行するために使用される。なお、第1印刷プログラム230および第2印刷プログラム235の詳細は、後述する。
【0052】
給紙部240は、複数の給紙トレイを有しており、制御部210から指示された用紙を給紙トレイから取り出し、画像形成部260に向って搬送するために使用される。
【0053】
画像読取部250は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを備えているスキャナーから構成され、原稿台に載置される原稿の画像データ(スキャンデータ)を生成するために使用される。必要に応じ、画像読取部250に、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)を設けることも可能である。
【0054】
画像形成部260は、帯電、露光、現像、転写および定着工程を含む電子写真式プロセスなどの作像プロセスを用いて、記録媒体である用紙上に画像を形成するプリントエンジンを有しており、画像データを印刷するために使用される。印刷(画像形成)は、電子写真式プロセスを利用する形態に限定されず、インパクト方式、熱転写方式、インクジェット方式を適宜適用することが可能である。
【0055】
用紙排出部270は、排紙トレイを有しており、印刷(画像が形成)された用紙を、排紙トレイ(装置外)に排出するために使用される。
【0056】
操作パネル280は、入力部282および表示部284を有する。
【0057】
入力部282は、キーボードを有する。キーボードは、コピー枚数などを設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキーなどからなる複数のキーを有し、文字入力、各種設定、スタート指示などの各種指示(入力)を行うために使用される。例えば、依頼ユーザーは、入力部282のキーボードを利用し、健康促進(歩数増進)を図る分散処理を実行するために使用される設定値を、適宜入力することが可能である。マニュアルで入力される設定値は、例えば、依頼ユーザーの歩行距離や歩行速度、経路などである。
【0058】
表示部284は、分散処理モードの情報、機器構成、印刷ジョブの進行状況、現在変更可能な設定などを、依頼ユーザーに提示するために使用され、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やタッチパネルなどから構成される。分散処理モードの情報は、印刷ジョブを分散処理するモードに関する情報であり、分散処理に係る印刷物を依頼ユーザーが取得する経路の情報を含んでいる。
【0059】
第1通信インターフェース290は、ネットワーク900を介した通信機能を追加する拡張装置からなる通信部(有線LANモジュール)であり、ネットワーク900に所属する他の印刷装置との間で、データを送受信するために使用される。なお、アクセスポイント950を経由することで、モバイル端末300との間で、データを送受信することも可能である。
【0060】
送受信されるデータは、例えば、経路の情報、依頼情報、ステータス情報などである。依頼情報は、分散処理される印刷ジョブの割り当てを含んでいる。
【0061】
ステータス情報は、機器情報、印刷ジョブ情報および機器状態が含まれ、例えば、RFC1213で規定されているネットワーク管理手法SNMP(Simple Network Management Protocol)のMIB((Management Information Base))−IIのプライベートエリアを利用して取得される。
【0062】
機器情報は、例えば、製造者や接続形態である。印刷ジョブ情報は、待機中の印刷ジョブ数、実行中の印刷ジョブの有無、完了した印刷ジョブの情報、印刷ジョブの各々に係るページ数および部数、印刷速度を含んでいる。機器状態は、「印刷可」状態、「印刷不可」状態、「警告あり」状態を含んでいる。
【0063】
ステータス情報は、SNMPプロトコルを利用する形態に限定されず、CMI/CMIP(Common Management Information Services/Common Management Information Protocol)や、独自方式のプロトコルを適用することも可能である。
【0064】
第2通信インターフェース292は、無線による通信機能を追加する拡張装置からなる通信部(無線LANモジュール)であり、アクセスポイント950を経由することなく、モバイル端末300と直接通信し、データを送受信するために使用される。
【0065】
なお、第1印刷プログラム230は、印刷装置200A〜200Gの全てにインストールする形態に限定されない。
【0066】
次に、モバイル端末300の構成を説明する。
【0067】
図3は、
図1に示されるモバイル端末の構成を説明するためのブロック図である。
【0068】
モバイル端末300は、例えば、携帯電話であり、
図3に示されるように、制御部310、記憶部320、入力装置340、表示部350および通信インターフェース390を有し、これらは、バス395を経由して相互に接続されている。なお、モバイル端末300は、携帯電話の形態に限定されず、例えば、専用端末によって構成することも可能である。
【0069】
制御部310は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマイクロプロセッサなどから構成される制御回路であり、モバイル端末300の各機能は、それに対応するプログラムを制御部310が実行することにより発揮される。
【0070】
記憶部320は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する高速のランダムアクセス記憶装置や、各種処理プログラムや各種データを保存する大容量のランダムアクセス記憶装置などを、適宜組み合わせて構成される。
【0071】
記憶されるプログラムは、例えば、OS(オペレーティングシステム)および通信プログラム330である。通信プログラム330は、無線LANのアドホックモードを利用し、印刷装置200A〜200Gと直接通信するために使用される。記憶されるデータは、例えば、モバイル端末300を携帯している依頼ユーザーの認証情報である。依頼ユーザーの認証情報は、通信プログラム330によって印刷装置200A〜200Gに送信され、第2印刷プログラム235によって利用される。
【0072】
入力装置340は、例えば、タッチパネルおよび固定キーを有し、各種の入力を行うために使用される。タッチパネルの方式は、特に限定されず、抵抗膜式、静電容量式、表面弾性波式、赤外線式、電磁誘導式、荷重検出式などを、適宜適用することが可能である。固定キーは、押しボタン式スイッチやキーボードなどから構成される。
【0073】
表示部350は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)や有機ELディスプレイ(Organic ElectroLuminescence Display、OELD)であり、設定、処理結果、警告、メッセージなどの各種情報を表示するために使用される。入力装置340のタッチパネは、表示部350と一体化することも可能である。
【0074】
通信インターフェース590は、無線による通信機能を追加する拡張装置からなる通信部(無線LANモジュール)であり、印刷装置200A〜200Gと、アクセスポイント950およびネットワーク900を経由して、あるいは直接通信し、データを送受信するために使用される。送受信されるデータは、例えば、モバイル端末300を携帯している依頼ユーザーの認証情報である。
【0075】
次に、
図2、
図4および
図5を参照して、第1印刷プログラム230を説明する。
【0076】
図4は、
図2に示される第1印刷プログラムの決定部において選択される経路を説明するための概略図、
図5は、決定部において決定される印刷ジョブの割り当てを説明するための概略図である。
【0077】
第1印刷プログラム230は、決定部231、経路通知部232および依頼情報通知部233を有する(
図2参照)。
【0078】
決定部231は、依頼ユーザーの歩行距離と歩行速度、位置情報、認証距離、および、印刷速度を含む複数の候補印刷装置の仕様に基づいて、複数の候補印刷装置から抽出された複数の適用印刷装置を結ぶ経路を選択し、複数の適用印刷装置において実行される印刷ジョブの割り当てを決定する決定手順を実現する。なお、経路の選択および印刷ジョブの割り当ての決定の詳細については後述する。
【0079】
歩行距離は、歩行速度に歩行時間を乗じて算出される。したがって、歩行距離の代わりとして、歩行速度と歩行時間の積を利用したり、歩行速度の代わりとして、歩行距離を歩行時間で除した商を利用したりすることも可能である。また、歩行距離は、歩数に歩幅を乗じても算出されるため、歩行距離の代わりとして、歩幅と歩数の積を利用することも可能である。
【0080】
認証距離は、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に対応している。本実施の形態においては、認証距離は、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に、依頼ユーザーの歩行速度を乗じることにより算出され、所要時間は、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の部数を印刷速度で除することで、算出される。
【0081】
なお、
図4に示される一例においては、候補印刷装置は、印刷装置200A〜200Gであり、適用印刷装置は、印刷装置200A,200B,200D〜200Gであり、依頼ユーザーが歩行(移動)する経路Rは、印刷装置200A,200B,200D〜200Gを結んでいる。また、サーバーとしての機能する印刷装置は、印刷装置200Aである。
【0082】
決定部231は、経路Rを歩行して印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物を順次取得する際、依頼ユーザーが到着した適用印刷装置において、印刷ジョブの割り当てに係る印刷物の出力が完了するまでのユーザー待ち時間が発生しないように、印刷ジョブの割り当てを決定する。例えば、決定部231は、適用印刷装置に依頼ユーザーが到着する予定時間に基づいて、ユーザー待ち時間が発生しないように、当該予定時間までに処理できる量を、印刷ジョブの割り当てとして決定する。
【0083】
そのため、依頼ユーザーは、印刷物を順次取得する際、インターバルを作らずに継続的に歩き続けることが必要となり、歩行効果が期待できる。つまり、効率的にユーザーの健康促進(歩数増進)を図ることが可能である。
【0084】
なお、依頼ユーザーが歩行する経路Rは、例えば、以下のように選択される。
【0085】
候補印刷装置間の距離(位置情報)に基づき、依頼ユーザーの歩行距離に対応する候補経路が抽出される。そして、候補経路に不適当な印刷装置が含まれていない場合は、経路Rとして選択される。また、候補経路に不適当な印刷装置が含まれている場合は、候補印刷装置から不適当な印刷装置を除外し、候補経路が再度抽出される。
【0086】
不適当な印刷装置は、仕様に問題を有するものであり、例えば、印刷速度が遅すぎて、ユーザー待ち時間が発生しない印刷ジョブの割り当てができない印刷装置や、印刷ジョブによる要求(例えば、カラー印刷や、両面印刷)に応えられない印刷装置である。
【0087】
印刷ジョブの割り当ては、例えば、以下のように決定される。
【0088】
基本的には、スタート位置(分散処理される印刷ジョブが依頼された印刷装置200Aの位置)からの距離が遠い(経路の下流側に位置する)印刷装置ほど、印刷ジョブの割り当てが多くなるように設定する。そして、スタート位置からの距離が遠い印刷装置の印刷速度が大きい場合、印刷ジョブの割り当ての設定を増加させる方向で調整し、また、小さい場合は、印刷ジョブの割り当てを減少させる方向で調整する。これにより、依頼ユーザーの到着と、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力の完了のタイミングを一致させ、依頼ユーザーが到着した印刷装置において、ユーザー待ち時間が発生しないようにする。
【0089】
具体的には、
図5に示されるように、印刷装置200A,200B,200D〜200G間の距離[m]をD
1,D
2,D
3,D
4,D
5で表し、依頼ユーザーの歩行速度[m/s]をVで表し、印刷装置200A,200B,200D〜200G間の予定歩行時間[s]をT
1,T
2,T
3,T
4,T
5で表すと、予定歩行時間T
1,T
2,T
3,T
4,T
5は、距離D
1,D
2,D
3,D
4,D
5をVでそれぞれ除することで算出される。
【0090】
そして、説明の簡略のため、印刷装置200B,200D〜200Gの印刷速度[PPM]を同一とし、Xで表すと、印刷装置200B,200D〜200Gの印刷可能枚数N
B,N
D,N
E,N
F,N
Gは、予定歩行時間の累計に印刷速度Xを乗じた値を60で除することで算出される(N
B=T
1×X/60、N
D=(T
1+T
2)×X/60、N
E=(T
1+T
2+T
3)×X/60、N
F=(T
1+T
2+T
3+T
4)×X/60、N
G=(T
1+T
2+T
3+T
4+T
5)×X/60。つまり、N
B<N
D<N
E<N
F<N
Gとなり、経路Rにおける下流側の印刷装置ほど印刷可能枚数が増加する。つまり、依頼ユーザーの歩行速度および印刷装置200B,200D〜200Gの印刷速度(仕様)に基づいて、印刷装置200B,200D〜200Gにおいて実行される印刷ジョブの割り当てを決定することが可能である。
【0091】
例えば、
図5に示される一例においては、印刷ジョブとして15部のコピーが印刷装置200Aに依頼されて、そして、印刷装置200B、印刷装置200D、印刷装置200E、印刷装置200Fおよび印刷装置200Gに対し、1部、2部、3部、4部および5部が割り当てられる。
【0092】
図6は、第1印刷プログラムの経路通知部および依頼情報通知部を説明するための概略図である。
【0093】
経路通知部232は、依頼ユーザーの歩行をサポートするため、適用印刷装置の操作パネル280の表示部284を利用し、経路の情報(
図6)を依頼ユーザーに通知する経路通知手順を実現する。つまり、表示部284に経路の情報を表示させるための指示が、適用印刷装置に通知される。
【0094】
依頼情報通知部233は、分散処理される印刷ジョブの割り当てを含んでいる依頼情報(
図6)を適用印刷装置に通知する依頼情報通知手順を実現する。
【0095】
本実施の形態においては、依頼ユーザーの歩みを止めないように経路Rを選択している。また、依頼ユーザーの歩行開始からの経過時間に、依頼ユーザーの歩行速度を乗じることで、依頼ユーザーの歩行距離が算出される。したがって、経過時間に応じた経路Rにおける依頼ユーザーの位置を予想することが可能である。そのため、経路の情報および依頼情報は、依頼ユーザーの歩行開始時に、一斉送信される形態に限定されず、経過時間に応じて依頼ユーザーの予想される位置の近傍の印刷装置に、経路の情報および/または依頼情報を、順次送信することも可能である。
【0096】
次に、
図2および
図7を参照して、第2印刷プログラム235を説明する。
【0097】
図7は、
図2に示される依頼ユーザー検出プログラムに係る認証距離および認証範囲を説明するための概略図である。
【0098】
第2印刷プログラム235は、依頼ユーザー検出部236(
図2参照)を有する。依頼ユーザー検出部236は、依頼ユーザーが、
図7に示されるように、適用印刷装置(印刷装置200A〜200G)の認証距離IDの範囲(認証範囲IA)内に入ったことを検出する依頼ユーザー検出手順を実現する。
【0099】
本実施の形態において、依頼ユーザー検出部236は、モバイル端末300の認証情報によってモバイル端末300を携帯しているユーザーを依頼ユーザーとして認証し、かつ、モバイル端末300から出力される無線の強度(距離に基づく電波強度の減衰)に基づいて、モバイル端末300の位置を特定する(認証距離の範囲内に入ったことを検出する)。つまり、依頼ユーザーの位置は、依頼ユーザーが携帯するモバイル端末300の位置によって代用される。また、実施の形態において、認証範囲IAは、印刷装置の位置を中心としかつ認証距離IDを半径とする円形である。
【0100】
なお、印刷装置200A〜200Gは、分散処理のクライアントとして機能する際、依頼ユーザーが認証範囲IA内に入ったことが検出された場合、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力を開始するように構成されている。したがって、情報の漏洩が抑制され、セキュリティ性が確保される。
【0101】
次に、認証範囲が交差する場合における決定部の動作を説明する。
【0102】
図8は、前方交点を説明するための概略図、
図9〜
図11は、前方交点を解消する方法の一例を説明するための概略図である。以下において、上流側に位置する(先行の)印刷装置を第1印刷装置と称し、下流側に位置する(後続の)印刷装置を第2印刷装置と称する。
【0103】
図8を参照し、例えば、印刷装置200Cに対する印刷ジョブの割り当てが大きく、その認証範囲IAが、印刷装置200Bの認証範囲IAと重なっており、かつ、印刷装置200Bに向かう経路Rと交差している場合(印刷装置200Bおよび印刷装置200Cが第1印刷装置および第2印刷装置の場合)を例に挙げて説明する。
【0104】
依頼ユーザーは、第1印刷装置200Bに向かい経路Rに沿って移動する。第1印刷装置200Bは、第2印刷プログラム235によって依頼ユーザー(モバイル端末300)が第1印刷装置200Bの認証範囲IA内に入ったことを検出すると、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力を開始する。そして、依頼ユーザーは、第1印刷装置200Bに到着すると、ユーザー待ち時間が発生することなく、ちょうど出力が完了した印刷物を取得し、次の行先である第2印刷装置200Cに向かい経路Rに沿って移動する。
【0105】
第2印刷装置200Cは、依頼ユーザー(モバイル端末300)が第2印刷装置200Cの認証範囲IA内に入ったことを検出すると、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力を開始する。しかし、依頼ユーザーは、第1印刷装置200Bに向かう経路Rと第2印刷装置200Cの認証範囲IAとが交差する点(前方交点)から、第2印刷装置200Cに向かって移動しない。つまり、前方交点から第1印刷装置200Bを経由して第2印刷装置200Cに到着するまでの依頼ユーザーの歩行時間は、第2印刷装置200Cの認証距離IDを依頼ユーザーの歩行する場合の所要時間より長くなる。
【0106】
認証距離は、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力の開始から完了するまでの所要時間に対応している。したがって、第2印刷装置200Cにおける印刷物の出力は、依頼ユーザー(モバイル端末300)が第2印刷装置200Cに到着する前に完了することとなり、情報の漏洩を抑制することが困難となる虞がある。そのため、決定部231において経路のおよび/または印刷ジョブの割り当てを変更し、前方交点を解消することが好ましい。
【0107】
例えば、決定部231は、第1印刷装置200Bの印刷ジョブの割り当てが増加するように、適用印刷装置の印刷ジョブの割り当てを調整することによって、前方交点を解消することが可能である。つまり、第1印刷装置200Bの印刷ジョブの割り当て(認証距離ID)をできるだけ増加させ、第2印刷装置200Cの印刷ジョブの割り当て(認証距離ID)を減少させることで、前方交点が解消される。なお、
図9に示される一例においては、第1印刷装置200Bおよび第2印刷装置200Cの印刷ジョブの割り当ては、1部および10部であり、そして、前方交点を解消するため、3部および7部に変更される。
【0108】
前方交点の解消は、追加の適用印刷装置を抽出し、経路および/または印刷ジョブの割り当てを変更することによっても可能である。
【0109】
例えば、
図10に示されるように、第2印刷装置200Cを適用印刷装置から除外し、第2印刷装置200Cの代替として、認証範囲IAが重ならない適用印刷装置である第3印刷装置200Dを追加し、経路Rを決定することで、前方交点を解消することが可能である。なお、
図10に示される一例においては、第2印刷装置200Cに対する10部の割り当てが取り消され、その代替として第3印刷装置200Dに対して10部が割り当てられる。
【0110】
また、
図11に示されるように、第2印刷装置200Cを適用印刷装置から除外することなく、第3印刷装置200Dを追加し、経路Rおよび経路および印刷ジョブの割り当てを変更することも可能である。なお、
図11に示される一例においては、第2印刷装置200Cの印刷ジョブの割り当てが、10部から6部に削減される代わりに、第3印刷装置200Dに対して4部の印刷ジョブが割り当てられる。
【0111】
前方交点を解消する方法は、上記形態に限定されない。例えば、経路Rに往復路を設けることによって、印刷ジョブの割り当てを分割し、認証範囲IAを縮小させることで、前方交点が解消されるように調整することも可能である。
【0112】
次に、サーバーとして機能する印刷装置200Aの動作を説明する。
【0113】
図12は、サーバーとして機能する印刷装置の動作を説明するためのフローチャート、
図13は、
図12ステップS12の決定処理を説明するためのフローチャートである。なお、
図12および
図13に示されるフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第1印刷プログラム230として記憶されており、印刷装置200Aの制御部210によって実行される。
【0114】
図12に示されるように、まず、依頼ユーザーからの分散処理モードに係る入力の有無が判断される(ステップS10)。
【0115】
依頼ユーザーからの分散処理モードに係る入力がないと判断される場合(ステップS10:NO)、プロセスは、ステップS12に進む。依頼ユーザーからの分散処理モードに係る入力があると判断される場合(ステップS10:YES)、設定が変更され(ステップS11)、プロセスは、ステップS12に進む。変更される設定は、例えば、歩行距離や歩行速度である。
【0116】
ステップS12においては、決定部231によって決定処理が実施され、経路Rおよび印刷ジョブの割り当てが決定される。
【0117】
その後、経路通知部232によって、分散処理のクライアントとして機能する印刷装置200B,200D〜200Gに対して、依頼ユーザーが歩行する経路Rの情報が通知(送信)される(ステップS13)。そして、依頼情報通知部233によって、印刷装置200B,200D〜200Gに対して、印刷ジョブの割り当ておよび認証距離を含む依頼情報が、通知(送信)され(ステップS14)、プロセスは終了する。
【0118】
これにより、印刷装置200B,200D〜200Gは、操作パネル280の表示部284に経路Rの情報を表示し、また、依頼ユーザーが認証範囲(認証距離の範囲)に入ったことを検出すると、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力を開始する。
【0119】
経路Rの情報は、経路Rに位置する印刷装置を特定する情報、経路Rにおいて隣接する印刷装置間の距離および予定歩行時間、歩行速度などを適宜含むことが可能である。
【0120】
次に、ステップS12の決定処理を説明する。
【0121】
図13に示されるように、まず、経路Rおよび印刷ジョブの割り当てが仮決定される(ステップS100)。
【0122】
仮決定は、依頼ユーザーの歩行距離、位置情報および候補印刷装置である印刷装置200A〜200Gの印刷速度(仕様)に基づいて、印刷装置200A〜200Gから抽出される適用印刷装置である印刷装置200A,200B,200D〜200Gを結ぶ経路Rが選択され、依頼ユーザーの歩行速度および印刷装置200A,200B,200D〜200Gの印刷速度(仕様)に基づいて、印刷装置200A,200B,200D〜200Gにおいて実行される印刷ジョブの割り当てが決定される。この際、依頼ユーザーが経路Rを移動して印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物を順次取得する際、依頼ユーザーが到着した適用印刷装置において、印刷物の出力が完了するまでのユーザー待ち時間が発生しないように、依頼ユーザーが到着する予定時間に基づいて、印刷ジョブの割り当てが決定される。
【0123】
その後、認証距離が算出され(ステップS101)、そして、前方交点の有無が判断される(ステップS102)。
【0124】
前方交点が存在しないと判断される場合(ステップS102:YES)、仮決定された経路Rおよび印刷ジョブの割り当てが、最終的な経路Rおよび印刷ジョブの割り当てとして決定され(ステップS103)、プロセスは、リターンする。
【0125】
前方交点が存在すると判断される場合(ステップS102:NO)、例えば、印刷装置200Cの認証範囲が印刷装置200Bの認証範囲IAと重なっており、かつ、印刷装置200Bに向かう経路Rと交差している場合(印刷装置200Bおよび印刷装置200Cが第1印刷装置および第2印刷装置の場合)、第1印刷装置200Bの印刷ジョブの割り当てを増加させることが可能であるか否かが判断される(ステップS104)。
【0126】
印刷ジョブの割り当てを増加させることが可能であると判断される場合(ステップS104:YES)、前方交点が解消されるように、第1印刷装置200Bの印刷ジョブの割り当てを増加させる一方、適用印刷装置の割り当てを調整し(ステップS105)(
図9参照)、プロセスは、ステップS101に戻る。
【0127】
印刷ジョブの割り当てを増加させることが不可能であると判断される場合(ステップS104:NO)、追加可能な適用印刷装置の有無が判断される(ステップS106)。
【0128】
追加可能な適用印刷装置(第3印刷装置200D)が存在すると判断される場合(ステップS106:YES)、印刷装置200Dを追加し、前方交点が解消されるように、経路Rおよび経路および印刷ジョブの割り当てが変更され、(
図11参照)、プロセスは、ステップS101に戻る。なお、第2印刷装置200Cを適用印刷装置から除外し、その代替として、認証範囲IAが重ならない第3印刷装置200Dを追加し、経路Rを決定するように構成することも可能である(
図10参照)。
【0129】
追加可能な適用印刷装置が存在しないと判断される場合(ステップS106:NO)、経路Rに往復路を設けることによって、印刷ジョブの割り当てを分割し、プロセスは、ステップS101に戻る。
【0130】
したがって、ステップS101、S102、S104〜S108を適宜繰り返すことにより、前方交点が存在しなくなると、変更された経路Rおよび印刷ジョブの割り当てが、最終的な経路Rおよび印刷ジョブの割り当てとして決定される。
【0131】
次に、クライアントとして機能する印刷装置200Aの動作を説明する。
【0132】
図14は、クライアントとして機能する印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。なお、
図14に示されるフローチャートにより示されるアルゴリズムは、第2印刷プログラム235として記憶されており、印刷装置200Aの制御部210によって実行される。
【0133】
図14に示されるように、まず、サーバーとして機能する印刷装置からの経路の情報および依頼情報が受信される(ステップS50およびステップS51)。なお、依頼情報には、印刷ジョブの割り当ておよび認証距離が含まれている。その後、モバイル端末300を利用して、依頼ユーザーが認証範囲(認証距離の範囲)に入ったことを検出したか否かが判断される(ステップS52)。
【0134】
依頼ユーザーが認証範囲に入ったことを検出したと判断される場合(ステップS52:YES)、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力が開始される(ステップS53)。そして、操作パネル280の表示部284に経路の情報が表示され(ステップS54)、プロセスは、終了する。
【0135】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例1〜6を順次説明する。
【0136】
図15および
図16は、本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するためのブロック図およびフローチャートである。
【0137】
前方交点は、経路および/または印刷ジョブの割り当てを変更して対応する形態に限定されず、印刷物の出力の開始タイミングを調整することによって対処することも可能である。
【0138】
例えば、
図15に示される一例においては、分散処理のクライアントとして機能を発揮させる第2印刷プログラムは、出力開始遅延部237をさらに有する。
【0139】
出力開始遅延部237は、前方交点が生じている場合、例えば、印刷装置200Cの認証範囲IAが印刷装置200Bの認証範囲IAと重なっており、かつ、印刷装置200Bに向かう経路Rと交差している場合(印刷装置200Bおよび印刷装置200Cが第1印刷装置および第2印刷装置の場合)、第2印刷装置における印刷物の出力の開始を、遅延させる手順を実現させる。
【0140】
遅延時間は、
図8を参照し、前方交点から第1印刷装置200Bを経由して第2印刷装置200Cに到着するまでの依頼ユーザーの歩行時間から、第2印刷装置200Cの認証距離を依頼ユーザーが歩行する場合の所要時間を減じた差分である。したがって、前方交点が解消された場合と同様に、依頼ユーザーが第2印刷装置200Cに到着する前に、第2印刷装置200Cにおける印刷物の出力が完了することが抑制される。
【0141】
遅延時間は、前方交点から第1印刷装置200Bを経由して第2印刷装置200Cに到るまでの経路Rの長さから、第2印刷装置200Cの認証距離を減じた差分を、依頼ユーザーの歩行速度によって除した値と定義することも可能である。
【0142】
前方交点の位置は、例えば、印刷装置200A〜200Gの間の距離データを含む位置情報、経路の情報および第2印刷装置200Cの認証距離に基づいて算出することが可能である。また、第1印刷装置200Bの認証範囲に入ってから前方交点に到るまでの距離(および時間)は、上記に加えて第1印刷装置200Bの認証距離(および依頼ユーザーの歩行速度)を考慮することによって、算出することが可能である。
【0143】
次に、
図16を参照し、第2印刷装置200Cの動作を説明する。なお、この場合、サーバーとして機能する印刷装置200Aは、経路の情報と前方交点の情報を含んでいる依頼情報を、第2印刷装置200Cに送信する。
【0144】
図16に示されるように、まず、経路の情報と、前方交点の情報を含んでいる依頼情報とが受信されると(ステップS60:YESおよびステップS61:YES)、依頼ユーザーが認証範囲IAに入ったことを検出したか否かが判断される(ステップS62)。
【0145】
依頼ユーザーが認証範囲に入ったことを検出したと判断される場合(ステップS62:YES)、前方交点の有無が判断される(ステップS63)。
【0146】
依頼情報に含まれる前方交点の情報に基づき、前方交点が存在しないと判断される場合(ステップS63:NO)、プロセスは、ステップS66に進む。
【0147】
依頼情報に含まれる前方交点の情報に基づき、前方交点が存在すると判断される場合(ステップS63:YES)、遅延時間が算出される(ステップS64)。遅延時間は、第2印刷装置200Cにおける印刷物の出力の開始を遅延させる期間である。その後、遅延時間が経過すると(ステップS65:YES)、プロセスは、ステップS66に進む。
【0148】
ステップS66においては、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力が開始される。そして、操作パネル280の表示部284に経路の情報が表示され(ステップS67)、プロセスは、終了する。
【0149】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例2を説明する。
【0150】
図17は、本発明の実施の形態に係る変形例2におけるサーバーとして機能する印刷装置の動作を説明するためのフローチャート、
図18は、本発明の実施の形態に係る変形例2におけるクライアントとして機能する印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0151】
分散処理モードの下位モードとして、健康効果優先モードおよびセキュリティ優先モードを設けることも可能である。健康効果優先モードは、依頼ユーザーが到着する予定時間より前に印刷物の出力が完了することを例外的に許容するモードである。セキュリティ優先モードは、ユーザー待ち時間が発生することを例外的に許容するモードである。
【0152】
次に、
図17を参照し、健康効果優先モードにおけるサーバーとして機能する印刷装置200Aの決定処理を説明する。なお、この場合、健康効果優先モードが、印刷装置200Aに設定(入力)されている。
【0153】
図17に示されるように、まず、経路Rおよび印刷ジョブの割り当てが仮決定され(ステップS110)、そして、健康効果優先モードが設定されているか否かが判断される(ステップS111)。
【0154】
健康効果優先モードが設定されていると判断される場合(ステップS111:YES)、認証距離(範囲)が算出され(ステップS112)、仮決定された経路Rおよび印刷ジョブの割り当てが、最終的な経路Rおよび印刷ジョブの割り当てとして決定され(ステップS120)、プロセスは、リターンする。
【0155】
健康効果優先モードが設定されていないと判断される場合(ステップS111:YES)、前方交差の有無を考慮したステップS113〜S119が実行される。ステップS113〜S119は、S101、S102、S104〜S108(
図13参照)と対応しているため、その説明は省略する。
【0156】
健康効果優先モードが設定されている場合、上記のように、前方交差の有無を考慮しないため、依頼ユーザーが到着する予定時間より前に印刷物の出力が完了する虞があるが、ユーザー待ち時間が発生することが抑制される。
【0157】
次に、
図18を参照し、適用印刷装置中に第1印刷装置および第2印刷装置が存在し、第1印刷装置が経路において第2印刷装置より上流側に位置している場合における、第2印刷装置の動作を説明する。本実施の形態においては、第1印刷装置および第2印刷装置は、クライアントとして機能する印刷装置200Bおよび印刷装置200Cであり、サーバーとして機能する印刷装置200Aは、セキュリティ優先モードの情報を含んでいる依頼情報を、印刷装置200Cに通知(送信)する。
【0158】
図18に示されるように、まず、経路の情報とセキュリティ優先モードの情報を含んでいる依頼情報とが受信されると(ステップS70:YESおよびステップS71:YES)、依頼ユーザーが第2印刷装置200Cの認証範囲に入ったことを検出したか否かが判断される(ステップS72)。
【0159】
依頼ユーザーが認証範囲に入ったことを検出したと判断される場合(ステップS72:YES)、セキュリティ優先モードが設定されているか否かが判断される(ステップS73)。
【0160】
セキュリティ優先モードが設定されていないと判断される場合(ステップS73:NO)、プロセスは、ステップS75に進む。
【0161】
セキュリティ優先モードが設定されていると判断される場合(ステップS73:YES)、第1印刷装置200Bにおける印刷物の出力の完了の有無が判断される(ステップS74)。印刷物の出力の完了は、例えば、ネットワーク管理手法SNMPを利用し、第1印刷装置200Bのステータス情報をネットワーク900を介して入手することにより、検出される。
【0162】
第1印刷装置200Bにおける印刷物の出力が完了したと判断される場合(ステップS74:YES)、プロセスは、ステップS75に進む。
【0163】
ステップS75においては、第2印刷装置200Cの印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の出力が開始される。そして、操作パネル280の表示部284に経路Rの情報が表示され(ステップS76)、プロセスは、終了する。
【0164】
セキュリティ優先モードの場合、上記のように、第1印刷装置200Bにおける印刷物の出力が完了した後において、印刷物の出力を開始するため、ユーザー待ち時間が発生する虞があるが、前方交差が存在したとしても、依頼ユーザーが到着する予定時間より前に印刷物の出力が完了することが抑制される。
【0165】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例3を説明する。
【0166】
図19は、本発明の実施の形態に係る変形例3を説明するための概略図、
図20は、
図19に示されるサーバーとして機能する印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0167】
第1印刷プログラム230を実行するサーバーとして機能する印刷装置は、分散処理される印刷ジョブが依頼された印刷装置200Aに限定されず、
図19に示されるように、印刷装置200Aから離間した別の印刷装置200Gをサーバーとして利用することが可能である。
【0168】
この場合、印刷装置200Aは、印刷ジョブの情報および依頼ユーザーの情報を印刷装置200Gに送信する一方、印刷装置200Gは、
図20に示されるように、印刷ジョブの情報および依頼ユーザーの情報を受信すると(ステップS20:YES)、決定処理を実行後、印刷装置200A,200B,200D〜200Fに対して、経路および印刷ジョブの割り当てを適宜送信することとなる(ステップS21〜S23)。ステップS21〜S23は、
図12に示されるステップS12〜S14と略一致するため、その説明は、省略する。
【0169】
依頼ユーザーの情報は、例えば、依頼ユーザーの識別情報や、歩行距離、歩行速度などに係る入力値である。なお、サーバーとして機能する印刷装置は、経路に位置する印刷装置(適用印刷装置)によって構成される形態に限定されない。
【0170】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例4を説明する。
【0171】
図21は、本発明の実施の形態に係る変形例4を説明するための概略図である。
【0172】
印刷システム100は、印刷装置200A〜200Gのみによって構成される形態に限定されず、例えば、
図21に示されるように、依頼ユーザーが利用するコンピューター400を含むことも可能である。この場合、依頼ユーザーのスタート位置は、コンピューター400の設置位置(依頼ユーザーの自席位置)であるため、経路を選択する際に利用される位置情報は、コンピューター400と印刷装置200A〜200Gとの間の距離データを含むこととなる。また、コンピューター400は、印刷ジョブの情報および依頼ユーザーの情報を、サーバーとして機能する印刷装置200Aに送信することとなる。
【0173】
一方、サーバーとして機能する印刷装置200Aは、変形例3の場合と同様に(
図20参照)、印刷ジョブの情報および依頼ユーザーの情報を受信し、そして、印刷装置200B,200D〜200Gに対して、経路および印刷ジョブの割り当てを適宜送信することとなる。
【0174】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例5を説明する。
【0175】
図22は、本発明の実施の形態に係る変形例5を説明するための概略図、
図23は、
図22に示されるサーバーの構成を説明するためのブロック図である。
【0176】
印刷システム100を管理するサーバーは、印刷装置200A〜200Gを利用する(兼用させる)形態に限定されず、例えば、
図22に示されるように、専用のサーバー500を用意することも可能である。
【0177】
サーバー500は、例えば、
図23に示されるように、本体部505、入力装置540および表示部350を有する。本体部505は、制御部510、記憶部520および通信インターフェース590を有し、これらは、バス595を経由して相互に接続されている。
【0178】
制御部510は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマイクロプロセッサなどから構成される制御回路であり、サーバー500の各機能は、それに対応するプログラムを制御部510が実行することにより発揮される。
【0179】
記憶部520は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する高速のランダムアクセス記憶装置や、各種処理プログラムや各種データを保存する大容量のランダムアクセス記憶装置などを、適宜組み合わせて構成される。
【0180】
記憶されるプログラムは、例えば、OS(オペレーティングシステム)、アプリケーションソフトウェア、第1印刷プログラム230である。記憶されるデータは、印刷装置200A〜200Gの間の距離データを含む位置情報(
図3)および経路の情報、設定データ、通信インターフェース590から送信される印刷ジョブデータなどである。
【0181】
入力装置540は、キーボードとマウスなどのポインティングデバイスとを有し、各種の入力を行うために使用される。
【0182】
表示部350は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)あるいはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイであり、各種の情報を表示するために使用される。
【0183】
通信インターフェース590は、ネットワーク900を介した通信機能を追加する拡張装置からなる通信部(LANボード)であり、ネットワーク900に所属する印刷装置200A〜200Gとの間で、データの送受信を実行するために使用される。
【0184】
なお、サーバー500は、変形例3の場合と同様に(
図20参照)、分散処理される印刷ジョブが依頼された印刷装置200Aから、印刷ジョブの情報および依頼ユーザーの情報を受信し、決定処理を実行後、印刷装置200A,200B,200D〜200Fに対して、経路および印刷ジョブの割り当てを適宜送信することとなる。
【0185】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例6を説明する。
【0186】
図24は、本発明の実施の形態に係る変形例6を説明するための概略図である。
【0187】
経路の情報などの通知は、印刷装置200A〜200Gの操作パネル280の表示部284を利用する形態に限定されず、例えば、
図24に示されるように、依頼ユーザーが携帯するモバイル端末300の表示部350を利用することも可能である。この場合、経路通知部232によって、表示部284に経路の情報を表示させるための指示が、モバイル端末300に通知される。
【0188】
以上のように、本実施の形態においては、ユーザー待ち時間が発生しないように印刷ジョブの割り当てが決定されているため、依頼ユーザーは、印刷物を順次取得する際、インターバルを作らずに継続的に歩き続けることが必要となり、歩行効果が期待でき、効率的にユーザーの健康促進(歩数増進)を図ることが可能である。また、依頼ユーザーが認証範囲に入ったことが検出されると、印刷ジョブの割り当てに対応する印刷物の印刷が開始されるため、情報の漏洩が抑制される。したがって、効率的にユーザーの健康促進(歩数増進)を図りかつセキュリティ性を確保する印刷システムおよび印刷プログラムを提供することが可能である。
【0189】
なお、依頼ユーザーの特定は、依頼ユーザーが携帯するモバイル端末300の認証情報を利用する形態に限定されず、例えば、非接触の生体認証を利用することも可能である。非接触の生体認証は、カメラを利用して検出される依頼ユーザーの顔の特徴量(顔形)や虹彩による認証などである。
【0190】
依頼ユーザーの位置は、モバイル端末300から出力される無線の強度(距離に基づく電波強度の減衰)に基づいて検出する形態に限定されず、例えば、超音波やレーザーを利用する距離センサーによって直接検出することも可能である。
【0191】
分散処理モードの下位モードとして簡易設定モードを設けて、経路の決定および経路の変更に利用する設定データの入力を簡易化し、依頼ユーザーの多様な要求に応えることも好ましい。簡易設定モードは、例えば、筋力増進モード、歩数増進モード、健康情報モード、低負荷モード、時間管理モードなどを含むことが可能である。
【0192】
筋力増進モードにおいては、依頼ユーザーが階段を使用するように、別の階に設置されている候補印刷装置を優先的に適用印刷装置として抽出したり、依頼ユーザーの歩行速度の設定値が大きくされる(速められる)。歩数増進モードにおいては、歩行距離が大きくされる(長距離にされる)。健康情報モードにおいては、依頼ユーザーの健康情報(例えば、健康診断結果、活動量(歩数など))に対応する設定値が自動的に入力される。低負荷モードは、例えば、依頼ユーザーが疲れている場合に対応し、依頼ユーザーの歩行距離や歩行速度を減らしたり、同一の階に設置されている候補印刷装置を優先的に適用印刷装置として抽出したりされる。時間管理モードにおいては、希望終了時間が指定される。
【0193】
操作パネル280の表示部284に、次の行先である印刷装置に到着するまでの時間を表示させて注意喚起することで、依頼ユーザーの移動速度をコントロールすることも可能である。
【0194】
経路の情報などの通知は、出力される印刷物(例えば、経路が記載された地図など)を利用することも可能である。
【0195】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。例えば、変形例1および変形例2を、変形例3〜6と適宜組み合わせたりすることが可能である。
【0196】
なお、本発明に係る印刷プログラムは、専用のハードウェア回路によっても実現することも可能である。また、印刷プログラムによって本発明を実現する場合、プログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリやDVD(Digital Versatile Disc)−ROM(Read Only Memory)などのコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供したり、記録媒体によらず、インターネットなどのネットワークを介してオンラインで提供したりすることも可能である。この場合、印刷プログラムは、通常、記憶部を構成する磁気ディスク装置などの記憶装置に送信されて記憶される。また、プログラムは、単独のアプリケーションソフトウェアとして提供したり、一機能として別のソフトウェアに組み込んで提供したりすることも可能である。