(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から23のいずれかの流体供給管に、複数の異なる特性の流体を流入し、所定の流動特性を与えて、この複数の流体を混合したのち吐出させるようにした流体混合装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書においては、主に本発明を研削装置などの工作機械に適用した実施形態について説明するが、本発明の適用分野はこれに限定されない。本発明は、流体を供給する多様なアプリケーションに適用可能であり、例えば、家庭用のシャワーノズルや流体混合装置にも適用可能である。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明が適用された流体供給部を備える研削装置の一実施形態を示す。示されたように、研削装置1は研削刃(砥石)2、被加工物3を2次元平面の上で移動させるテーブル(図示を省略)、被加工物3又は研削刃2を上下に移動させるコラム(図示を省略)、等を備える研削部4と、流体(即ち、冷却液)を研削刃2や被加工物3に供給する流体供給部5とを備える。研削刃2は、図示が省略された駆動源により、
図1の平面において時計周りに回転駆動され、研削箇所Gでの研削刃2の外周面と被加工物3との摩擦によって被加工物3の表面が研削される。また、図示は省略するが、流体供給部5は冷却液(例えば、水)を貯留するタンクと、上記冷却液をタンクから流出させるポンプとを備える。
【0016】
流体供給部5は、タンクに貯留された流体がポンプにより流入する配管6と、流体に所定の流動特性を与える複数の内部構造体を備える流体供給管10と、研削箇所Gに近く配置された吐出口を有するノズル7を含む。流体供給管10と配管6とは、例えば、流体供給管10の流入口8側の接続部材であるナット11の雌ねじと配管6の端部の外周面に、例えば、ねじ加工によって形成された雄ねじ(図示を省略)とが結合することによって連結される。流体供給管10とノズル7とは、例えば、流体供給管10の流出口9側の接続部材であるナット12の雌ねじとノズル7の端部の外周面に、例えば、ねじ加工によって形成された雄ねじ(図示を省略)とが結合することによって連結される。配管6から流体供給管10へ流入される流体は、流体供給管10を通過しながらその内部構造体によって所定の流動特性を持つようになり、流体供給管10の流出口9を経てノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。本発明の多数の実施形態によれば、流体供給管10を通過した流体はマイクロバブルを含む。以下、流体供給管10の複数の内部構造体の多様な実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図2は本発明の第1の実施形態に係る流体供給管10の側面分解図であり、
図3は流体供給管10の側面透視図である。
図4は流体供給管10の第1の内部構造体20の3次元斜視図であり、
図5は流体供給管10の第2の内部構造体30の3次元斜視図であり、
図6は第2の内部構造体30の中空部に、第1の内部構造体20を入れた状態を示す3次元透視図である。
図2及び
図3において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
図2及び
図3に示されたように、流体供給管10は、第1の内部構造体20、第2の内部構造体30と、管本体40とを備える。
【0018】
管本体40は、流入側部材41と、流出側部材44から構成される。流入側部材41と流出側部材44とは、円筒形の中が空いている管の形態を有する。流入側部材41は、一端部に所定の直径の流入口8を有し、他の端部側には流出側部材44との接続のために内周面をねじ加工することによって形成された雌ねじ42を含む。
図1に関して説明したように、流入口8側にはナット11が一体として形成される。
図2に示されたように、流入側部材41は両端部の内径、即ち、流入口8の内径と雌ねじ42との内径とが違い、流入口8の内径が雌ねじ42の内径より小さい。流入口8と雌ねじ42との間にはテーパー部43が形成されている。本実施形態では、ナット11が流入側部材41の一部として形成されるが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、ナット11を流入側部材41とは別個の部品として製造し、流入側部材41の端部に結合する構成も可能である。
【0019】
流出側部材44は、一端部に所定の直径の流出口9を有し、他の端部側には流入側部材41との接続のために外周面をねじ加工することによって形成された雄ねじ45を備える。流出側部材44の雄ねじ45の外周面の直径は流入側部材41の雌ねじ42の内径と同一である。
図1に関連して説明したように、流出口9側にはナット12が一体として形成される。ナット12と雄ねじ45との間には筒形部46及びテーパー部47が形成される。流出側部材44は両端部の内径、即ち、流出口9の内径と雄ねじ45との内径が違い、流出口
9の内径が雄ねじ45の内径より小さい。本実施形態では、ナット12が流出側部材44の一部として形成されるが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、ナット12を流出側部材44とは別個の部品として製造し、流出側部材44の端部に結合する構成も可能である。流入側部材41の内周面の雌ねじ42と流出側部材44の外周面の雄ねじ45とのねじ結合によって流入側部材41と流出側部材44が連結されることで、管本体40が形成される。
【0020】
一方、管本体40の上記構成は一実施形態に過ぎず、本発明は上記構成に限定されない。例えば、流入側部材41と流出側部材44との連結は上記のねじ結合に限定されないし、機械部品の結合方法はどれでも適用可能である。また、流入側部材41と流出側部材44との形態は、
図2及び
図3の形態に限定されないし、設計者が任意に選択したり、流体供給管10の用途によって変更したりすることができる。流入側部材41又は流出側部材44は、例えば、スチールのような金属、又はプラスチックから成る。
【0021】
図3に図示されたように、流体供給管10は、管本体40に収納される中空軸タイプの第2の内部構造体30と、上記第2の内部構造体30の中空部に収納される第1の内部構造体20とを含む。流体供給管10は、第2の内部構造体30の中空部に第1の内部構造体20を入れた後、その状態でこれらを流出側部材44に収納し、第2の内部構造体30の先頭に押え板28を置いた状態で、流出側部材44の外周面の雄ねじ45と流入側部材41の内周面の雌ねじ42とを結合させることによって構成されることが理解される。流入口8を通じて流入される流体は、第2の内部構造体30の中空部と、流出側部材44の内部とに分かれて流れる。
【0022】
第1の内部構造体20は、例えば、スチールのような金属からなった円柱部材を加工する方法又はプラスチックを成形する方法等によって形成される。
図2及び
図4を参照すれば、第1の内部構造体20は、流体拡散部21と、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部24と、第1の誘導部25とを備えることが理解される。この第1の渦巻発生部22が、第1の内部構造体20の「頭部」の一部または全部に対応し、第1のバブル発生部24が、第1の内部構造体20の「ボディー部」の一部又は全部に対応する。円柱部材を加工して第1の内部構造体20を制作する場合、流体拡散部21は上記円柱部材の一端部を円錐の形態に加工(例えば、スピニング)することで形成される。流体拡散部21は流入口8を経て流入側部材41に流入される流体を管の中心部から外側へ、即ち、半径方向へ拡散させる。本実施形態においては、流体拡散部21が円錐の形態を有するが、本発明はこの実施形態に限定されなく、流体拡散部21は他の形態を有することもできる。一実施形態では、流体拡散部をドーム形態に形成する。
【0023】
第1の渦巻発生部22は、上記円柱部材の一部を加工して形成されたものであり、
図4に示されたように、断面が円形である軸部分と、3個の螺旋状に形成された翼とからなる。
図2を参照すれば、本実施形態において、第1の渦巻発生部22の長さa2は流体拡散部21の長さa1よりは長くて、第1のバブル発生部24の長さa4よりは短いことが理解される。また、流体拡散部21の断面積が最大である部分の半径は第1の渦巻発生部22の半径(第1の渦巻発生部22の軸部分の中心から翼の先端までの距離)より小さいのが好ましい。第1の渦巻発生部22の翼の各々は、その先端が軸部分の円周方向に互いに120°ずつずらし、軸部分の一端から他
端まで外周面に所定の間隔をあけて反時計まわりに螺旋状に形成されている。本実施形態では翼の個数を3個にしたが、本発明はこのような実施形態に限定されない。また、第1の渦巻発生部22の翼の形態は、流体拡散部21によって拡散されて第1の渦巻発生部22に進入した流体が、各翼の間を通過する間に渦巻流を起こすことができる形態であれば特に制限されない。一方、本実施形態では、第1の渦巻発生部22は、第1の内部構造体20を第2の内部構造体30の中空部に収納した時に、第2の内部構造体30の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0024】
第1のバブル発生部24は、
図2及び
図4に示されたように、円形の断面を有する軸部分の外周面に多数の菱形の突出部(凸部)が網状に形成されている構造を有する。それぞれの菱形突出部は、軸部分の外周面から外側へ向かって突出するように、例えば、円柱部材を研削加工することによって形成されることができる。より具体的に説明するならば、それぞれの菱形突出部の形成方法は、例えば、
図7に図示されたように、円柱部材の長さ方向に対して90度の方向に一定の間隔を持つ複数のライン51と、上記長さ方向に対して所定の角度(例えば、60度)を持つ一定の間隔のライン52を交差させ、ライン51とライン51との間を一回ずつ飛ばして研削すると共に、傾いたライン52とライン52との間を一回ずつ飛ばして研削する。このようにして、軸部分の外周面から突出する菱形の複数の突出部が上下(円周方向)、左右(軸部分の長さ方向)に一つずつ飛ばして規則的に形成される。また、本実施形態では、第1のバブル発生部24は、第1の内部構造体20を第2の内部構造体30の中空部に収納した時、第2の内部構造体30の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0025】
本実施形態では、
図2に示されたように、第1の渦巻発生部22の軸部分の直径が第1のバブル発生部24の軸部分の直径より小さい。このために、第1の渦巻発生部22と第1のバブル発生部24との間には第1のテーパー部23(長さa3)が存在する。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。換言すれば、第1の渦巻発生部22の直径は第1のバブル発生部24の直径と同一であっても良い。
【0026】
第1の誘導部25は上記円柱部材の下流側の末端の部分をドーム形に加工して形成する。
図2に示されたように、第1のバブル発生部24と、第1の誘導部25との間には、第1のバブル発生部24の軸部分が延びている。本実施形態では、この軸延長部26の長さ(a5)は、
図3に示されたように、第1の内部構造体20が第2の内部構造体30の中空部に収納された時、第1の内部構造体20の第1の誘導部25が第2の内部構造体30外に突出するように決まる。一例では、軸延長部26の長さa5が第2の内部構造体30の第2の誘導部34の長さ(a6)と同一である。本実施形態では、第1の誘導部25がドーム形態を有するが、本発明はこの実施形態に限定されなく、第1の誘導部25は他の形態を有することも可能である。或いは、第1の内部構造体20は第1の誘導部25を備えないこともある。
【0027】
図2及び
図5に示されたように、第2の内部構造体30は中空軸の形態を有し、例えば、スチール等の金属から成った円柱部材を加工する方法、又はプラスチックを成型する方法等によって形成される。第2の内部構造体30は、第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部34とを含む。この第2の渦巻発生部31が、第2の内部構造体30の「頭部」の一部または全部に対応し、第2のバブル発生部33が、第2の内部構造体30の「ボディー部」の一部又は全部に対応する。本実施形態において、第2の内部構造体30の内径(即ち、中空部の直径)は、流入口36側が流出口37側より大きい。
図3に示されたように、第2の内部構造体30の中空部の流入口36を通じて第1の内部構造体20が挿入され、第2の内部構造体30の中空部の流出口37を通じて第1の内部構造体20の第1の誘導部25が突出する。
【0028】
第2の内部構造体30の第2の渦巻発生部31は、
図5に示されたように、断面が円形である軸部分と、3個の螺旋状に形成された翼とを含む。円柱部材を加工して第2の内部構造体30を制作する場合、第2の渦巻発生部31は、上記円柱部材の一端部を加工することで形成される。第2の渦巻発生部31の翼の各々は、その先端が軸部分の円周方向に互いに120°ずつずらし、軸部分の一端から他
端まで外周面に所定の間隔をあけて反時計まわりに螺旋状に形成されている。本実施形態では翼の個数を3個にしたが、本発明はこのような実施形態に限定されない。また、第2の渦巻発生部31の翼の形態は、第1の内部構造体20の流体拡散部21によって拡散されて第2の渦巻発生部31に進入した流体が、各翼の間を通過する間に渦巻流を起こすことができる形態であれば特に制限されない。一方、本実施形態では、第2の渦巻発生部31は、第2の内部構造体30を管本体40に収納した時に、管本体40の流出側部材44の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0029】
第2のバブル発生部33は、
図2及び
図5に示されたように、円形の断面を有する軸部分の外周面に多数の菱形の突出部(凸部)が網状に形成されている構造を有する。それぞれの菱形突出部は、軸部分の外周面から外側へ向かって突出するように、例えば、円柱部材を研削加工することによって形成されることができる。それぞれの菱形突出部は、例えば、上述した
図7の方法によって形成される。また、本実施形態においては、第2のバブル発生部33は、第2の内部構造体30を管本体40に収納した時、管本体40の流出側部材44の内周面に近接する程度の外径を有する。
【0030】
本実施形態では、
図2に示されたように、第2の渦巻発生部31の軸部分の直径が、第2のバブル発生部33の軸部分の直径より小さい。このために、第2の渦巻発生部31と第2のバブル発生部33との間には、第2のテーパー部32が存在する。しかし、本発明はこの形態に限定されない。換言すれば、第2の渦巻発生部31の直径と、第2のバブル発生部33の直径とは同一であっても良い。
【0031】
第2の誘導部34は上記円柱部材の下流側の末端の部分を截頭ドーム(頭部を切りとったドーム)の形に加工することで形成する。
図2に示されたように、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部34との間には、第2のバブル発生部33の軸部分が延びている。この軸延長部35の長さは、例えば、加工の利便性、第2の誘導部34のコアンダ(Coanda)効果、第1の内部構造体20の寸法の中で少なくとも1つに基づいて決まる。一方、第2の誘導部34は截頭ドームの形に限定されなく、他の形態を有することも可能である。例えば、第2の誘導部34を截頭円錐形に形成することもできる。
【0032】
第2の内部構造体30の中空部は、流入口36側の内径が、流出口37側の内径より大きいことが好ましい。本実施形態において、第2の内部構造体30は、
図3に示されたように、流入口36から第2のバブル発生部33の軸部分の延長部35までは同一の内径を有し、第2の誘導部34はそれより小さい内径を有する。従って、軸延長部35と第2の誘導部34の境界には段差38が存在する。これによって、第2の内部構造体30の流入口36を通じて、第1の内部構造体20を第2の内部構造体30の中空部に収納することができるとともに、第1の内部構造体20が流出口37を通じて外部に離脱することを防ぐことができる。第2の誘導部34の内径の大きさは、第1の内部構造体20の第1の誘導部25の外径よりは大きい。
【0033】
図8は本実施形態に係る押え板28を示す。
図8(A)は押え板28の斜視図であり、(B)は押え板28の側面図であり、(C)は押え板28の平面図である。
図8に示されたように、押え板28は、半径の小さいリング28−1と、それより半径の大きいリング28−2とを、3つの支持アーム28−3で連結した構造を有する。リング28−2は、
図2に示されたように、流入側部材41の雌ねじ42の内周面に近接する程度の外径を有する。押え板28は、例えば、スチールのような金属又はプラスチックからなる。
【0034】
本実施形態では、
図2に示されたように、リング28−1の半径が第1の内部構造体20の流体拡散部21の最大半径よりは大きいし、第1の渦巻発生部22の最大半径(第1の渦巻発生部22の軸部分の中心から翼の先端までの距離)よりは小さい。このような寸法関係によって、押え板28は、第1の内部構造体20が管本体40の流入口8を通じて離脱することを防ぐ。具体的に、第2の内部構造体30の中空部に、第1の内部構造体20を入れた後、その状態でこれらを流出側部材44に収納し、第1の内部構造体20の流体拡散部21がリング28−1を通じて突出するように第2の内部構造体30の先頭に押え板28を置いた状態で、流出側部材44の外周面の雄ねじ45と、流入側部材41の内周面の雌ねじ42とのねじ結合によって、流体供給管10が構成される。上記の組み立て状態で、第1の内部構造体20は、押え板28によって管本体40の流入口8外に離脱できないと同時に、第2の内部構造体30の流出口37の半径が流入口36の半径より小さいことによって第2の内部構造体30の流出口37の外に離脱できない。押え板28は、第1の内部構造体20を第2の内部構造体30の中空部に拘束させる役割を行う。
【0035】
以下、
図2乃至
図6、
図8を参照して、流体が流体供給管10を通過する間の流動について説明する。インペラ(羽根車)が右折又は左折する(時計回り又は反時計回りに回転する)電動ポンプによって、流体が配管6(
図1参照)を経て流体供給管10の流入口8を通じて流入される。流体は、流入側部材41のテーパー部43の空間を過ぎる間、リング28−1を通過して突出した第1の内部構造体20の流体拡散部21にぶつかると、流体供給管10の中心から外側に向かって(即ち、半径方向へ)拡散される。そして、流入された流体の一部は、第1の内部構造体20が収納された第2の内部構造体30の中空部に流れ込み、残りは第2の内部構造体30が収納された流出側部材44の内部の空間に流れ込む。
【0036】
第1の内部構造体20が収納された第2の内部構造体30の中空部を通じて流れる流体は、第1の渦巻発生部22の反時計方向に螺旋状に形成された3個の翼の間を通過して行く。流体拡散部21は、配管6を通じて流入された流体が効果的に第1の渦巻発生部22に進入するように、流体を誘導する作用を行う。流体は第1の渦巻発生部22の各翼によって強烈な渦巻流になって、第1のテーパー部23を過ぎて第1のバブル発生部24に送られる。
【0037】
そして、流体は第1のバブル発生部24の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部の間を通る。これらの複数の菱形突出部は複数の狭い流路を形成する。流体が複数の菱形突出部によって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させるフリップフロップ現象(流体の流れる方向が周期的に交互に変換して流れる現象)が起こる。このようなフリップフロップ現象によって、第2の内部構造体30の中空部の内で第1のバブル発生部24の複数の突出部の間を通る流体は規則的に左右に方向を変換して流れ、その結果、流体の混合及び拡散を誘発する。第1のバブル発生部24の上記構造は、異なる性質を有する二つ以上の流体を混合する場合にも有用である。
【0038】
また、第1の内部構造体20は、流体が断面積が大きい上流(第1の渦巻発生部22)から断面積が小さい下流(第1のバブル発生部24の複数の菱形突出部の間に形成された流路)へ流れるようにする構造を有する。この構造は以下に説明するように流体の静圧力(static pressure)を変化させる。流体に外部エネルギーが加えられない状態での圧力、速度、及び位置エネルギーの関係は次のようなベルヌーイ方程式として表される。
ここで、pは流線内の一点での圧力、ρは流体の密度、υはその点での流動の速度、gは重力加速度、hは基準面に対するその点の高さ、kは定数である。上記方程式として表現されるベルヌーイ定理は、エネルギー保存法則を流体に適用したものであり、流れる流体に対して流線上ですべての形態のエネルギーの合計はいつも一定であるということを説明する。ベルヌーイ定理によると、断面積が大きい上流では、流体の速度が遅くて静圧は高い。これに対して、断面積が小さい下流では、流体の速度が速くなり静圧は低くなる。
【0039】
流体が液体である場合、低くなった静圧が液体の飽和蒸気圧に到達すると液体の気化が始まる。このようにほぼ同一の温度において静圧がきわめて短い時間内に飽和蒸気圧より低くなって(水の場合、3000−4000Pa)液体が急激に気化する現象をキャビテーション(cavitation)と称する。本発明の流体供給管10の第1の内部構造体20はこのようなキャビテーション現象を誘発する。キャビテーション現象によって液体のうちに存在する100ミクロン以下の微小な気泡核を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じたりする。即ち、流体が第1のバブル発生部24を通じながら多数のマイクロバブルが発生する。
【0040】
水の場合、1つの水分子が他の4個の水分子と水素結合を形成でき、この水素結合ネットワークを破壊することは容易ではない。そのために、水は水素結合を形成しない他の液体に比べて沸点や融点が非常に高いし、高い粘度を示す。水の沸点が高い性質は優秀な冷却効果をもたらすので、研削等を行う加工装置の冷却水として頻繁に用いられるが、水分子の大きさが大きくて加工箇所への侵透性や潤滑性は良くないという問題がある。そこで、通常は水でない特殊な潤滑油(即ち、切削油)を単独に、または、水と混合して用いる場合も多い。ところで、本発明の供給管を用いれば、上記したキャビテーション現象によって水の気化が起き、その結果、水の水素結合ネットワークが破壊されて粘度が低くなる。また、気化によって発生するマイクロバブルは侵透性及び潤滑性を向上させる。侵透性の向上は結果的に冷却効率を増加させる。従って、本発明によると、特殊な潤滑油を使うこと無しに、水だけを用いても加工品質、即ち、工作機械の性能を向上させることができる。
【0041】
流体は第1のバブル発生部24を過ぎて第1の内部構造体20の端部に向かって流れるが、流体が第1のバブル発生部24の表面に形成された複数の狭い流路から第1の内部構造体20の端部に形成された第1の誘導部25に向かって流れると、流路が急激に広くなることによって第1のバブル発生部24によるフリップフロップ現象はほとんど消え、コアンダ(Coanda)効果が発生する。コアンダ効果は、流体を曲面の周囲で流せば流体と曲面との間の圧力低下によって、流体が曲面に吸い寄せられることによって、流体が曲面に沿って流れる現象を称する。このようなコアンダ効果によって、流体は第1の誘導部25の表面に沿って流れるように誘導される。ドーム形態の第1の誘導部25によって中心に向かって誘導された流体は流出側部材44のテーパー部47を過ぎて流出口9を通じて流出される。
【0042】
第2の内部構造体30が収納された流出側部材44の内部の空間を通じて流れる流体は、第2の渦巻発生部31の反時計方向に螺旋状に形成された3個の翼の間を通過して行く。流体は第2の渦巻発生部31の各翼によって強烈な渦巻流になって、第2のテーパー部32を過ぎて第2のバブル発生部33に送られる。そして、流体は第2のバブル発生部33の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部の間を通る。流体が複数の菱形突出部によって形成された複数の狭い流路を通過することで、多数の微小な渦を発生させるフリップフロップ現象が起こる。フリップフロップ現象によって、流体の混合及び拡散が誘発される。
【0043】
また、第2の内部構造体30は、第1の内部構造体20と同様に、流体が断面積が大きい上流(第2の渦巻発生部31)から断面積が小さい下流(第2のバブル発生部33の複数の菱形突出部の間に形成された流路)へ流れるようにする構造を有する。上記のように、第2の内部構造体30の構造は、キャビテーション現象を誘発し、それによって、液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さい気泡が多数生じる。即ち、流体が第2のバブル発生部33を通過しながら多数のマイクロバブルが発生する。
【0044】
流体は第2のバブル発生部33を過ぎて第2の内部構造体30の端部に向かって流れる。流体が第2のバブル発生部33の表面に形成された複数の狭い流路から第2の内部構造体30の端部に形成された第2の誘導部34に向かって流れると、流路が急激に広くなることによってコアンダ効果が発生する。上記のように、コアンダ効果によって、流体は第2の誘導部34の表面に沿って流れるように誘導される。截頭ドーム形の第2の誘導部34によって中心に向かって誘導された流体は流出側部材44のテーパー部47を過ぎて流出口9を通じて流出される。
【0045】
第2の内部構造体30の中空部を通じて流動した流体と、流出側部材44の内部の空間を通じて流動した流体とは、テーパー部47で合して流出口9を通じて流出され、ノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。流体がノズル7を通じて吐き出される際に、第1のバブル発生部24と第2のバブル発生部33とで発生した多数のマイクロバブルが大気圧に露出され、研削砥石2や被加工物3にぶつかってバブルがこわれたり爆発したりして消滅する。このようにバブルが消滅する過程で発生する振動及び衝撃は、研削箇所Gで発生するスラッジや切りくずを効果的に除去する。換言すれば、マイクロバブルが消滅しながら研削箇所Gの周囲の洗浄効果を向上させる。また、流体供給管10の流出口9から吐き出される流体は、第1の誘導部25と第2の誘導部34とによって増幅されたコアンダ効果によって、刃物や被加工物の表面によく張り付くようになる。これは流体による冷却効果を増加させる。
【0046】
本発明の流体供給管10を工作機械等の流体供給部に設けることによって、研削刃と被加工物とで発生する熱を従来に比べてより効果的に冷却させることができ、侵透性及び潤滑性が良くなって加工精度を向上させることができる。また、被加工物の切りくずを加工箇所から効果的に除去することで、切削刃等の工具の寿命を延長させ、工具の取換えのために消耗する費用を節減することができる。
【0047】
尚、本実施形態では、1つの部材を加工して第1の内部構造体20の流体拡散部21と、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部24と、第1の誘導部25とを形成するので、第1の内部構造体20が一体化した1つの部品として製造される。また、1つの部材を加工して第2の内部構造体30の第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部34とを形成するので、第2の内部構造体30が一体化した1つの部品として製造される。上記の構造及び寸法関係によって、第1の内部構造体20と、第2の内部構造体30と、押え板28とのセルフアライメントが可能である。従って、第1の内部構造体20を第2の内部構造体30の中空部に入れた状態で、第2の内部構造体30を流出側部材44の内部に入れ、押え板28を第1の内部構造体20の先頭に置いた後、流出側部材44の雄ねじ45と流入側部材41の雌ねじ42とを結合する簡単な工程だけで、流体供給管10を製造することができる。即ち、流体供給管10の部品の組み立てが容易であり、流体供給管10の製造にかかる時間が短縮される。
【0048】
本発明の流体供給管は、研削装置、切削装置、ドリル、等の様々な工作機械においての加工液供給部に適用されることができる。また、2つ以上の流体(液体と液体、液体と気体、又は、気体と気体等)を混合する装置にも効果的に利用することができる。例えば、本発明の流体供給管を燃焼エンジンに適用すれば、燃料と空気とが十分に混ざり合うことによって燃焼効率が向上する。また、本発明の流体供給管を洗浄装置に適用すれば、通常の洗浄装置に比べて洗浄効果をより向上させることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、
図9乃至
図14を参照して本発明の第2の実施形態に係る流体供給管100について説明する。第1の実施形態と同一の構成については説明を省略し、第1の実施形態と差のある部分に対して詳細に説明する。第1の実施形態の構成要素と同一の構成要素については同一の図面符号を使う。
図9は第2の実施形態に係る流体供給管100の側面分解図であり、
図10は流体供給管100の側面透視図である。
図11は流体供給管100の第1の内部構造体200の3次元斜視図であり、
図12は流体供給管100の第2の内部構造体300の3次元斜視図であり、
図13は第2の内部構造体300の中空部に、第1の内部構造体200を入れた状態を示す3次元透視図である。
図9及び
図10に示されたように、流体供給管100は、第1の内部構造体200と、第2の内部構造体300と、管本体40とを備える。第2の実施形態の管本体40は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図9及び
図10において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0050】
第2の実施形態の第1の内部構造体200は、例えば、金属から成る円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かって第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部24と、ドーム形の第1の誘導部25とを備える。第1の実施形態と違い、第2の実施形態の第1の内部構造体200は先頭に流体拡散部を含まない。本実施形態では、第1の誘導部25がドームの形態を有するが、本発明はこの実施形態に限定されなく、第1の誘導部25は他の形態を有することも可能である。他の実施形態では、第1の内部構造体200が、第1の誘導部25を含まない。
【0051】
図9及び
図12に示されたように、第2の内部構造体300は中空軸の形態を有し、例えば、スチール等の金属から成った円柱部材を加工する方法によって形成される。第2の内部構造体300は、第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部34とを含む。第2の内部構造体300の構造は、第1の実施形態の第2の内部構造体30の構造と同様であるので、それについては詳細な説明を省略する。一方、本実施形態では、第2の誘導部34が截頭ドームの形態を有するが、実施形態によっては他の形態(例えば、截頭円錐)を有することも可能である。
【0052】
図14は本実施形態に係る押え板29を示す。
図14(A)は押え板29の斜視図であり、(B)は押え板29の側面図であり、(C)は押え板29の平面図である。
図14に示されたように、押え板29は、リング29−1と、3つの支持アーム29−2とを含む。リング29−1は、
図9に示されたように、流入側部材41の雌ねじ42の内周面に近接する程度の外径を有する。押え板29は、例えば、スチールのような金属又はプラスチックからなる。第1の実施形態の押え板28は流体拡散部21を突出させるための小さいリング28−1を含むが、本実施形態では第1の内部構造体200が流体拡散部を含まないので押え板29は一つのリング29−1のみを有する。
【0053】
押え板29は、3つの支持アーム29−2によって、第1の内部構造体200が管本体40の流入口8を通じて離脱するのを防ぐ。具体的に、第2の内部構造体300の中空部に第1の内部構造体200を入れ、その状態でこれらを流出側部材44に収納し、第2の内部構造体300の先頭に押え板29を置いた後、流出側部材44の外周面の雄ねじ45と、流入側部材41の内周面の雌ねじ42を結合することによって、流体供給管100が構成される。上記の組み立て状態で、第1の内部構造体200は、押え板29によって管本体40の流入口8外に離脱できないと同時に、第2の内部構造体300の流出口の半径が、流入口の半径より小さいので、第2の内部構造体300の流出口の外に離脱できない。即ち、押え板29は第1の内部構造体200を第2の内部構造体300の中空部に拘束させる役割を行う。
【0054】
以下、
図9乃至
図14を参照して、流体供給管100の内での流体の流動について説明する。配管6(
図1参照)及び流入口8を通じて流入された流体は、流入側部材41のテーパー部43の空間を過ぎて、押え板29の3つの支持アーム29−2の間の空間を通じて、一部は第1の内部構造体200が収納された第2の内部構造体300の中空部に流れ込み、残りは第2の内部構造体300が収納された流出側部材44の内部の空間に流れ込む。
【0055】
第1の内部構造体200が収納された第2の内部構造体300の中空部を通じて流れる流体は、第1の渦巻発生部22の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら、強烈な渦巻流になって第1のバブル発生部24に送られる。次に、流体は第1のバブル発生部24の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部によって形成される複数の狭い流路を通過し、フリップフロップ現象やキャビテーション現象によって多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。
【0056】
流体は第1のバブル発生部24を過ぎて第1の内部構造体200の端部に向かって流れる。流体が第1のバブル発生部24の表面に形成された複数の狭い流路から第1の内部構造体200の端部に形成された第1の誘導部25に向かって流れると、流路が急激に広くなることによってコアンダ効果が発生する。上記のコアンダ効果によって、流体は第1の誘導部25の表面に沿って流れるように誘導される。ドーム形態の第1の誘導部25によって中心に向かって誘導された流体はテーパー部47を過ぎて流出口9を通じて流出される。
【0057】
第2の内部構造体300が収納された流出側部材44の内部の空間を通じて流れる流体は、第2の渦巻発生部31の反時計方向に螺旋状に形成された3個の翼の間を通過して行く。流体は第2の渦巻発生部31の各翼によって強烈な渦巻流になって、第2のテーパー部32を過ぎて第2のバブル発生部33に送られる。そして、流体が第2のバブル発生部33の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部の間を通過しながら、多数のマイクロバブルが発生する。
【0058】
流体は第2のバブル発生部33を過ぎて第2の内部構造体300の端部に向かって流れる。流体が第2のバブル発生部33の表面に形成された複数の狭い流路から第2の内部構造体300の端部に形成された第2の誘導部34に向かって流れると、流路が急激に広くなることによってコアンダ効果が発生する。上記のように、コアンダ効果によって、流体は第2の誘導部34の表面に沿って流れるように誘導される。截頭ドーム形の第2の誘導部34によって中心に向かって誘導された流体は流出側部材44のテーパー部47を過ぎて流出口9を通じて流出される。第2の内部構造体300の中空部を通じて流動した流体と、流出側部材44の内部の空間を通じて流動した流体とは、テーパー部47で合して流出口9を通じて流出され、ノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。
【0059】
第1の実施形態で説明したように、第1の内部構造体200の第1のバブル発生部24と、第2の内部構造体200の第2のバブル発生部33とによって発生したマイクロバブルによって、研削箇所Gの周囲の洗浄効果が向上される。また、流体供給管100の流出口9から吐き出される流体は、第1の誘導部25と第2の誘導部34とによって増幅されたコアンダ効果によって、刃物や被加工物の表面によく張り付くようになる。これは流体による冷却効果を増加させる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、
図15乃至
図16を参照して本発明の第3の実施形態に係る流体供給管110について説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の構成については説明を省略し、これらと差のある部分について詳細に説明する。第1の実施形態及び第2の実施形態の構成要素と同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図15は第3の実施形態に係る流体供給管110の側面分解図であり、
図16は流体供給管110の側面透視図である。
図15及び
図16に示されたように、流体供給管110は第1の内部構造体210と、第2の内部構造体310と、管本体40とを備える。第3の実施形態の管本体40は、第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図15及び
図16において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0061】
第3の実施形態の第1の内部構造体210は、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かって流体拡散部21と、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部214と、ドーム形態の第1の誘導部215とを備える。第1のバブル発生部214の構造は、第1の実施形態で説明した第1のバブル発生部24と同様であるが、第2の内部構造体310の長さに比べて相対的に短い長さを持つ。第1の実施形態に関連して説明したように、流体拡散部21は円柱部材の一端部を円錐形に加工して形成される。しかし、流体拡散部21の形態は、円錐形に限定されなく、他の実施形態では、流体拡散部21をドーム形に形成する。本実施形態では、第1の誘導部215がドーム形態を有するが、本発明はこの実施形態に限定されなく、第1の誘導部215は他の形態を有することも可能である。或いは、第1の内部構造体210は、第1の誘導部215を含まないことも可能である。
【0062】
第1の実施形態では、第1の内部構造体20を第2の内部構造体30に収納した時に、第1の内部構造体20の第1の誘導部25が第2の内部構造体30の流出口37を通じて突出する。これのために、第1の内部構造体20の全長は第2の内部構造体30の全長より長くて、第2の内部構造体30の流出口37の直径は第1の誘導部25の最大直径より大きい。これと違い、第3の実施形態では、
図15及び
図16に示されたように、第1の内部構造体210の全長が第2の内部構造体310の全長より短くて、第1の内部構造体210を第2の内部構造体310に収納した時に、第1の誘導部215が第2の内部構造体310の流出口317を通じて突出しない。
【0063】
第2の内部構造体310は中空軸の形態を有し、例えば、スチール等の金属から成った円柱部材を加工する方法によって形成される。第2の内部構造体310は、上流側から下流側に向かって、第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、截頭ドーム形態の第2の誘導部314とを含む。
図16に示されたように、第2の内部構造体310の中空部は、半径が徐々に小さくなる傾斜区域319を有する。このような構造は、第1の内部構造体210を第2の内部構造体310に収納する際に、第1の内部構造体210が第2の内部構造体310の流出口317を通じて離脱することを防止するとともに、第2の内部構造体310の中空部を通じて流れる流体の流れを邪魔せずに、流体が自然に第1の誘導部215を経て流出口317に向かうように誘導する。本実施形態では、第2の内部構造体310の流出口317の直径が、第1の誘導部215の最大直径より小さい。しかし、本発明は、この実施形態に限定されない。
【0064】
流体供給管110は、第2の内部構造体310の中空部に第1の内部構造体210を入れた状態で、これらを流出側部材44に収納し、第2の内部構造体310の先頭に押え板28を置いた後、流出側部材44の外周面の雄ねじ45と、流入側部材41の内周面の雌ねじ42を結合することによって構成される。上記の組み立て状態において、第1の内部構造体210は、押え板28によって管本体40の流入口8外に離脱できない。
【0065】
図15乃至
図16を参照して、流体供給管110の内での流体の流動について説明する。配管6(
図1参照)を通じて流入口8に流入された流体は、流入側部材41のテーパー部43の空間を過ぎ、第1の内部構造体210の流体拡散部21にぶつかると、外側に向かって拡散される。そして、流入された流体の一部は第1の内部構造体210が収納された第2の内部構造体310の中空部に流れ込み、残りは第2の内部構造体310が収納された流出側部材44の内部の空間に流れ込む。
【0066】
第1の内部構造体210が収納された第2の内部構造体310の中空部を通じて流れる流体は、第1の渦巻発生部22の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら、強烈な渦巻流になって第1のバブル発生部214に送られる。次に、流体は第1のバブル発生部214の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部によって形成される複数の狭い流路を通過し、フリップフロップ現象やキャビテーション現象によって多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。
【0067】
そして、流体は第1のバブル発生部214を過ぎて第1の内部構造体210の端部に向かって流れ、コアンダ効果によって、流体は第1の誘導部215の表面に沿って流れる。第1の誘導部215によって中心に向かって誘導された流体は、傾斜区域319を過ぎて第2の内部構造体310の流出口317を通じて流出される。
【0068】
第2の内部構造体310が収納された流出側部材44の内部の空間を通じて流れる流体は、第2の渦巻発生部31の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら強烈な渦巻流になって、第2のバブル発生部33に送られる。次に、流体が第2のバブル発生部33の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部によって形成された複数の狭い流路を通過し、フリップフロップ現象やキャビテーション現象によって 多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。
【0069】
流体は第2のバブル発生部33を過ぎて第2の内部構造体310の端部に向かって流れる。流体が第2のバブル発生部33の表面に形成された複数の狭い流路から第2の内部構造体310の端部に形成された截頭ドーム形の第2の誘導部314に向かって流れると、流路が急激に広くなることによってコアンダ効果が発生する。上記のように、コアンダ効果によって、流体は第2の誘導部314の表面に沿って流れるように誘導される。第2の誘導部314によって中心に向かって誘導された流体は流出側部材44のテーパー部47を過ぎて流出口9を通じて流出される。第2の内部構造体310の中空部を通じて流動した流体と、流出側部材44の内部の空間を通じて流動した流体とは、テーパー部47で合して流出口9を通じて流出され、ノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。
【0070】
(第4の実施形態)
次に、
図17乃至
図18を参照して本発明の第4の実施形態に係る流体供給管120について説明する。第1の実施形態及び第3の実施形態と同一の構成については説明を省略し、これらと差のある部分について詳細に説明する。第1の実施形態又は第3の実施形態 の構成要素と同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図17は第4の実施形態に係る流体供給管120の側面分解図であり、
図18は流体供給管120の側面透視図である。
図17及び
図18に示されたように、流体供給管120は、第1の内部構造体220と、第2の内部構造体320と、管本体40とを備える。第4の実施形態の管本体40は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。また、第4の実施形態の第2の内部構造体320は、第3の実施形態の第2の内部構造体310と同一の構成を持つので、それについては説明を省略する。
図17及び
図18において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0071】
第4の実施形態の内部構造体220は、上流側から下流側に向かって、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部214と、第1の誘導部215とを備える。第3の実施形態の第1の内部構造体210は前端部に円錐形態の流体拡散部21が形成されていることに対して、第4の実施形態の内部構造体220は前端部に流体拡散部が形成されていない。従って、第4の実施形態では、一つのリングと、3つの支持アームとから構成される押え板29が用いられる。
【0072】
流入口8を通じて流入された流体は、流入側部材41のテーパー部43の空間を通過して、押え板29の3つの支持アーム29−2の間の空間を通じて、一部は第1の内部構造体220が収納された第2の内部構造体320の中空部に流れ込み、残りは第2の内部構造体320が収納された流出側部材44の内部空間に流れ込む。第2の内部構造体320の中空部内での流動と、流出側部材44の内部空間での流動とは、第3の実施形態で説明したものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0073】
(第5の実施形態)
次に、
図19乃至
図20を参照して本発明の第5の実施形態に係る流体供給管130について説明する。第5の実施形態の流体供給管130において、第1の実施形態及び第3の実施形態と同一の構成については説明を省略し、同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図19は第5の実施形態に係る流体供給管130の側面分解図であり、
図20は流体供給管130の側面透視図である。
図19及び
図20に示されたように、流体供給管130は、第1の内部構造体230と、第2の内部構造体330と、管本体40とを備える。第5の実施形態の管本体40は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。また、第5の実施形態の第1の内部構造体230は第3の実施形態の第1の内部構造体210と同一の構造を有するので、その説明を省略する。
図19及び
図20において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0074】
第3の実施形態及び第4の実施形態と同様に、第5の実施形態では、第1の内部構造体230の全長が、第2の内部構造体330の全長より短く、第1の内部構造体230を第2の内部構造体330に収納した時に、第1の誘導部215が第2の内部構造体330の流出口337を通じて突出しない。第5の実施形態の第2の内部構造体330は、中空軸の形態を有し、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成される。第2の内部構造体330は、上流側から下流側に向かって、第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、截頭円錐形の第2の誘導部334とを備える。
図20に示されたように、第2の内部構造体330の中空部は、半径が徐々に狭くなる傾斜区域339を有する。このような構造は、第1の内部構造体230を第2の内部構造体330に収納する際に、第1の内部構造体230が第2の内部構造体330の流出口337を通じて離脱することを防止するとともに、第2の内部構造体330の中空部を通じて流れる流体の流れを邪魔せずに、流体が自然に第1の誘導部215を経て流出口337に向かうように誘導する。本実施形態では、第2の内部構造体330の流出口337の直径が、第1の誘導部215の最大直径より小さい。しかし、本発明は、この実施形態に限定されない。
【0075】
流体供給管130は、第2の内部構造体330の中空部に第1の内部構造体230を入れた状態で、これらを流出側部材44に収納し、第2の内部構造体330の先頭に押え板28を置いた後、流出側部材44の外周面の雄ねじ45と、流入側部材41の内周面の雌ねじ42を結合することによって構成される。上記の組み立て状態において、第1の内部構造体230は、押え板28によって管本体40の流入口8外に離脱できない。
【0076】
配管6(
図1参照)を通じて流入口8に流入された流体は、流入側部材41のテーパー部43の空間を過ぎ、第1の内部構造体230の流体拡散部21にぶつかると、外側に向かって拡散される。そして、流入された流体の一部は第1の内部構造体230が収納された第2の内部構造体330の中空部に流れ込み、残りは第2の内部構造体330が収納された流出側部材44の内部の空間に流れ込む。
【0077】
第1の内部構造体230が収納された第2の内部構造体330の中空部を通じて流れる流体は、第1の渦巻発生部22の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら、強烈な渦巻流になって第1のバブル発生部214に送られる。次に、流体は第1のバブル発生部214の軸部分の外周面に規則的に形成された複数の菱形突出部によって形成される複数の狭い流路を通過し、フリップフロップ現象やキャビテーション現象によって多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。流体は第1のバブル発生部214を過ぎて第1の内部構造体230の端部に向かって流れ、コアンダ効果によって、流体は第1の誘導部215の表面に沿って流れる。第1の誘導部215によって中心に向かって誘導された流体は、傾斜区域339を過ぎて第2の内部構造体330の流出口337を通じて流出される。
【0078】
第2の内部構造体330が収納された流出側部材44の内部の空間を通じて流れる流体は、第2の渦巻発生部31の螺旋状に形成された3個の翼の間を通過しながら強烈な渦巻流になって、第2のバブル発生部33に送られる。そして、第2のバブル発生部33の構造によって、多数の微小な渦やマイクロバブルが発生する。流体は第2のバブル発生部33を過ぎて、截頭円錐形の第2の誘導部334の表面に沿って流れるように誘導される。第2の誘導部334によって中心に向かって誘導された流体は流出側部材44のテーパー部47を過ぎて流出口9を通じて流出される。第2の内部構造体330の中空部を通じて流動した流体と、流出側部材44の内部の空間を通じて流動した流体とは、テーパー部47で合して流出口9を通じて流出され、ノズル7を通じて研削箇所Gに向かって吐き出される。
【0079】
(第6の実施形態)
次に、
図21乃至
図22を参照して本発明の第6の実施形態に係る流体供給管140について説明する。第6の実施形態の流体供給管140において、第1の実施形態と同一の構成については説明を省略し、同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図21は第6の実施形態に係る流体供給管140の側面分解図であり、
図22は流体供給管140の側面透視図である。
図21及び
図22に示されたように、流体供給管140は、第1の内部構造体240と、第2の内部構造体340と、管本体40とを備える。第6の実施形態の管本体40は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図21及び
図22において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0080】
第6の実施形態の第1の内部構造体240は、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成され、上流側から下流側に向かって流体拡散部21と、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部24と、円錐形態の誘導部245とを備える。流体拡散部21を、他の形態に、例えば、ドーム形に形成することも可能である。
図21に示されたように、第1のバブル発生部24と、第1の誘導部245との間には、第1のバブル発生部24の軸部分が延びている。本実施形態では、この軸延長部246の長さは、
図22に示されたように、第1の内部構造体240が第2の内部構造体340の中空部に収納された時、第1の内部構造体240の第1の誘導部245が第2の内部構造体340の流出口347を通じて突出するように決まる。
【0081】
第2の内部構造体340は、中空軸の形態を有し、例えば、金属からなる円柱形態の部材を加工して形成される。第2の内部構造体340は、上流側から下流側に向かって、第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部344とを備える。第2の誘導部344は、截頭円錐形に形成されている。第2の内部構造体340の内径(即ち、中空部の直径)は、流入口346側が流出口347側より大きい。
【0082】
本実施形態において、第2の内部構造体340の中空部は、流入口346から第1の内部構造体240の第1のバブル発生部24を収容する領域までは同一の内径を有し、その下流領域はそれより小さい内径を有する。従って、内径が変わる境界に段差348が存在する。これによって、第1の内部構造体240は第2の内部構造体340の流入口346を通じて第2の内部構造体340の中空部に収納されるとともに、第2の内部構造体340の流出口347を通じて外部に離脱することは防げる。第2の内部構造体340の流出口347の大きさは、第1の内部構造体240の第1の誘導部245の最大断面(即ち、軸延長部246の断面)より大きい。第2の誘導部344の長さは、第1の内部構造体240の第1の誘導部245の寸法に基づいて決まる。
【0083】
(第7の実施形態)
次に、
図23乃至
図24を参照して本発明の第7の実施形態に係る流体供給管150について説明する。第7の実施形態の流体供給管150において、第1の実施形態と同一の構成については説明を省略し、同一の構成要素に対しては同一の図面符号を使う。
図23は第7の実施形態に係る流体供給管150の側面分解図であり、
図24は流体供給管150の側面透視図である。
図23及び
図24に示されたように、流体供給管150は、第1の内部構造体250と、第2の内部構造体350と、管本体40とを備える。第7の実施形態の管本体40は第1の実施形態のものと同一であるので、その説明を省略する。
図23及び
図24において、流体は流入口8から流出口9側へ流れる。
【0084】
第1の実施形態の第1の内部構造体20と同様に、第7の実施形態の第1の内部構造体250は、流体拡散部21と、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部24と、ドーム形の第1の誘導部25とを備える。第2の内部構造体350は、第1の実施形態の第2の内部構造体30と同様に、中空軸の形態を有し、第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、截頭ドーム形の第2の誘導部34とを含む。これに加えて、
図23に示されたように、第1の内部構造体250はボルト穴151を有し、第2の内部構造体350はボルト穴152を有する。ボルト穴151と152は、第2の内部構造体350の中空部に第1の内部構造体250を入れた時に、一つの固定ボルトによって第1の内部構造体250と第2の内部構造体350とを固定させることができるように、互いにマッチングされる位置に形成される。
【0085】
流体供給管150は、例えば、下記の組み立て過程によって製造される。まず、第2の内部構造体350の中空部に、第1の内部構造体250を入れる。次に、ボルト穴152と151とに、固定ボルトを入れて第1の内部構造体250と第2の内部構造体350とを固定させた状態で、これらを流出側部材44に収納する。そして、流出側部材44の外周面の雄ねじ45と流入側部材41の内周面の雌ねじ42とを結合させる。
【0086】
固定ボルトを用いて第1の内部構造体250を第2の内部構造体350に固定させるので、押え板28又は29を使わずに第1の内部構造体250が管本体40外に離脱することを防止することができる。上記の第2の実施形態乃至第6の実施形態、及び、他の実施形態でも、押え板28又は29を使う代わりに、本実施形態のボルト固定を用いることができる。流体供給管150内での流体の流動は、第1の実施形態で説明したものと同一である。一方、第1の内部構造体250と第2の内部構造体350との固定は、上記のボルト結合に限定されなく、機械部品の結合方法はどれでも適用可能である。
【0087】
(第8の実施形態)
次に、
図25乃至
図26を参照して本発明の第8の実施形態に係る流体供給管1000について説明する。
図25は第8の実施形態に係る流体供給管1000の側面分解図であり、
図26は流体供給管1000の側面透視図である。
図25及び
図26に示されたように、流体供給管1000は、第1の内部構造体1200と、第2の内部構造体1300と、第3の内部構造体1600と、管本体1400とを備える。
図25及び
図26において、流体は流入口1008から流出口1009側へ流れる。
【0088】
管本体1400は、流入側部材1041と、流出側部材1044とによって構成される。流入側部材1041は、第1の実施形態の流入側部材41と同様な構造を有し、流出側部材1044は、第1の実施形態の流出側部材44と同様な構造を有するために、これらについての詳細な説明を省略する。流体供給管1400は、管本体1400に収納される中空軸タイプの第3の内部構造体1600と、第3の内部構造体1600の中空部に収納される中空軸タイプの第2の内部構造体1300と、第2の内部構造体1300の中空部に収納される第1の内部構造体1200とを含む。
【0089】
流体供給管1000は、例えば、下記の組み立て過程によって製造される。まず、第3の内部構造体1600の中空部に、第2の内部構造体1300を入れ、その状態で、第2の内部構造体1300の中空部に、第1の内部構造体1200を入れる。これらを流出側部材1044に収納し、第3の内部構造体1600の先頭に押え板1028を置いた状態で、流出側部材1044の外周面の雄ねじ1045と、流入側部材1041の内周面の雌ねじ1042とを結合させる。 流入側部材1041と流出側部材1044との連結は上記のねじ結合に限定されないし、機械部品の結合方法はどれでも適用可能である。また、流入側部材1041と、流出側部材1044の形態は、
図25及び
図26の形態に限定されないし、設計者が任意に選択したり、流体供給管1000の用途によって変更したりすることができる。流入側部材1041又は流出側部材1044は、例えば、スチールのような金属、又はプラスチックから成る。
【0090】
第1の内部構造体1200は、例えば、スチール等の金属からなる円柱形態の部材を加工する方法、又は、プラスチックを成形する方法等によって形成される。第1の内部構造体1200は、上流側から下流側に向かって、流体拡散部1021と、第1の渦巻発生部1022と、第1のバブル発生部1024と、第1の誘導部1025とを備える。流体拡散部1021と、第1の渦巻発生部1022と、第1のバブル発生部1024と、第1の誘導部1025とのそれぞれは、第1の実施形態の流体拡散部21と、第1の渦巻発生部22と、第1のバブル発生部24と、第1の誘導部25とのそれぞれと同様な構造を有するので、詳細な説明を省略する。また、本実施形態では、流体拡散部1021が円錐の形態を有するが、本発明はこの実施形態に限定されなく、流体拡散部1021は他の形態を有することも可能である。一実施形態では、流体拡散部1021をドーム形に形成する。他の一実施形態では、第1の内部構造体1200が、流体拡散部を含まない。
【0091】
第2の内部構造体1300は中空軸の形態を有し、例えば、スチール等の金属からなる円柱形態の部材を加工する方法、又は、プラスチックを成形する方法等によって形成される。第2の内部構造体1300は、上流側から下流側に向かって、第2の渦巻発生部1031と、第2のバブル発生部1033と、第2の誘導部1034とを備える。第2の渦巻発生部1031と、第2のバブル発生部1033と、第2の誘導部1034とのそれぞれは、第1の実施形態の第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部34とのそれぞれと同様な構造を有するので、詳細な説明を省略する。第2の内部構造体1300の内径(即ち、中空部の直径)は、流入口側が流出口側より大きい。このような内径の差によって、第2の内部構造体1300の中空部において内径の大きい領域と、内径の小さい領域との間には、段差又は傾斜区域が形成される。また、
図26に示されたように、第2の内部構造体1300の中空部の流入口を通じて第1の内部構造体1200が挿入され、第2の内部構造体1300の中空部の流出口を通じて第1の内部構造体1200の第1の誘導部1025が突出する。
【0092】
第3の内部構造体1600は中空軸の形態を有し、例えば、スチール等の金属からなる円柱形態の部材を加工する方法、又は、プラスチックを成形する方法等によって形成される。第3の内部構造体1600は、上流側から下流側に向かって、第3の渦巻発生部1061と、第3のバブル発生部1063と、第3の誘導部1064とを備える。第3の渦巻発生部1061と、第3のバブル発生部1063と、第3の誘導部1064とのそれぞれは、第1の実施形態の第2の渦巻発生部31と、第2のバブル発生部33と、第2の誘導部34とのそれぞれと類似している構造を有するので、詳細な説明を省略する。この第3の渦巻発生部1061が、第3の内部構造体1600の「頭部」の一部または全部に対応し、第3のバブル発生部1063が、第3の内部構造体1600の「ボディー部」の一部又は全部に対応する。第3の内部構造体1600の内径(即ち、中空部の直径)は、流入口側が流出口側より大きい。このような内径の差によって、第3の内部構造体1600の中空部において内径の大きい領域と、内径の小さい領域との間には、段差又は傾斜区域が形成される。また、
図26に示されたように、第3の内部構造体1600の中空部の流入口を通じて第2の内部構造体1300が挿入され、第3の内部構造体1600の中空部の流出口を通じて第2の内部構造体1300の第1の誘導部1034が突出する。
【0093】
押え板1028は、第1の実施形態で説明した押え板28と類似の構造を有し、半径の異なる3つの同心のリングと、各々のリングを連結する支持アームとを含む。一番小さいリングは、半径が第1の内部構造体1200の流体拡散部1021の最大半径よりは大きいし、第1の渦巻発生部1022の最大半径(第1の渦巻発生部1022の軸部分の中心から翼の先端までの距離)よりは小さい。中間サイズのリングは、半径が第1の渦巻発生部1022の最大半径(第1の渦巻発生部1022の軸部分の中心から翼の先端までの距離)よりは大きいし、第2の渦巻発生部1031の最大半径(第2の渦巻発生部1031の軸部分の中心から翼の先端までの距離)よりは小さい。一番大きいリングは、流入側部材1041の雌ねじ1042の内周面に近接する程度の外径を有する。このような寸法関係によって、押え板1028は、第1の内部構造体1200及び第2の内部構造体1300が、管本体1400の流入口1008を通じて離脱することを防ぐ。押え板1028は、例えば、スチールのような金属又はプラスチックからなる。押え板1028の構造は上記のものに限定されない。例えば、他の実施形態では、押え板1028が、2つの同心のリングと、この2つのリングを連結する支持アームとで構成される。
【0094】
流入口1008に流入される流体は、流体拡散部1021にぶつかると、中心から半径の方向に拡散される。流入された流体の一部は第2の内部構造体1300の中空部に、一部は第3の内部構造体1600の中空部に、残りは流出側部材1044の内部の空間に、分かれて流れる。第2の内部構造体1300の中空部を通じて流れる流体が第1のバブル発生部1024を過ぎながら、マイクロバブルが発生する。第3の内部構造体1600の中空部を通じて流れる流体が第2のバブル発生部1033を過ぎながら、マイクロバブルが発生する。また、流出側部材1044の内部の空間を通じて流れる流体が第3のバブル発生部1063を過ぎながら、マイクロバブルが発生する。上述のように、流入される流体が分かれて3つのバブル発生部をすぎるように流体供給管1000を構成することによって、多い量のマイクロバブルが発生する。マイクロバブルは、研削箇所の周囲の洗浄効果を向上させる。
【0095】
第1の内部構造体1200、第2の内部構造体1300、及び第3の内部構造体1600の構造は、上記の実施形態に限定されない。例えば、第2の実施形態乃至第7の実施形態のうち少なくとも一つで説明した第1の内部構造体又は第2の内部構造体の構造を有するように、流体供給管を構成することができる。具体的に、本実施形態では、第1の内部構造体1200が流体拡散部1021を含むが、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、第2の実施形態と同様に、他の実施形態では第1の内部構造体1200が流体拡散部1021を含まない。この場合には、押え板1028の代わりに、押え板29を用いる。或いは、押え板を用いる代わりに、固定ボルトによって第1の内部構造体1200と、第2の内部構造体1300と、第3の内部構造体1600とを、互いに固定させることもできる。
【0096】
また、本実施形態では、第1の内部構造体1200の第1の誘導部1025がドームの形態を有するが、本発明はこの実施形態に限定されなく、第1の誘導部1025は他の形態を有することも可能である。例えば、第1の誘導部1025が円錐の形態を有する実施形態、又は、第1の内部構造体1200が第1の誘導部1025を含まない実施形態も可能である。また、本実施形態では、第1の内部構造体1200の第1の誘導部1025が第2の内部構造体1300の流出口を通じて突出するが、第3の実施形態と同様に、第1の誘導部1025が突出しない構成も可能である。
【0097】
上記のように、本発明は複数の内部構造体が管本体に収納される、まるでマトリョーシカ人形のような多層構造の流体供給管を提供する。それぞれの内部構造体は、バブル発生部を含むことによって、流体供給管に流入する流体に多い量のマイクロバブルを発生させる。本明細書では、内部構造体の個数が2つ又は3つである実施形態を具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されなく、内部構造体の個数には特に制限がない。
【0098】
以上、本発明を実施形態を利用して説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。
【0100】
(例1)
流体供給管であって、
第1の内部構造体と、
第2の内部構造体と、
第1の内部構造体と第2の内部構造体とを収納するための管本体と、
を含み、
管本体は、流入口と流出口とを含み、
第1の内部構造体は、
複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部と、
頭部より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有するボディー部と、を含み、
中空軸形態の第2の内部構造体は、
複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部と、
頭部より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有するボディー部と、を含み、
第1の内部構造体の少なくとも一部は、第2の内部構造体の中空部に収納されることを特徴とする、
流体供給管。
(例2)
第1の内部構造体は、頭部より上流側に、流体を管の中心から半径の方向に拡散させる流体拡散部を更に含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例3)
第1の内部構造体の流体拡散部は、円錐形に形成されている第1の内部構造体の一端部であることを特徴とする例2に記載の流体供給管。
(例4)
第1の内部構造体の流体拡散部は、ドーム形に形成されている第1の内部構造体の一端部であることを特徴とする例2に記載の流体供給管。
(例5)
第1の内部構造体の頭部は、断面が円形である軸部分と、複数の螺旋状に形成されている翼とを含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例6)
第1の内部構造体の頭部は、三つの翼を含み、
翼の各々は、その先端が軸部分の円周方向に互いに120°ずつずらしていることを特徴とする例5に記載の流体供給管。
(例7)
第1の内部構造体のボディー部は、
その外周面に多数の菱形の突出部を含む軸であることを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例8)
多数の菱形の突出部は網状に形成されていることを特徴とする例7に記載の流体供給管。
(例9)
第1の内部構造体は、ボディー部より下流側に、流体を管の中心に向かって誘導する誘導部を更に含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例10)
第1の内部構造体の誘導部は、ドーム形に形成されている第1の内部構造体の一端部であることを特徴とする例9に記載の流体供給管。
(例11)
第1の内部構造体の誘導部は、円錐形に形成されている第1の内部構造体の一端部であることを特徴とする例9に記載の流体供給管。
(例12)
第1の内部構造体の誘導部は、第2の内部構造体外に突出することを特徴とする例9に記載の流体供給管。
(例13)
第2の内部構造体の中空部は、上流側端部に円形の入口を、下流側端部に円形の出口を含み、
中空部の出口の半径は、第1の内部構造体のボディー部の中心から突出部の端までの最大距離より小さいことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例14)
第2の内部構造体の頭部は、断面が円形である軸部分と、複数の螺旋状に形成されている翼とを含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例15)
第2の内部構造体のボディー部は、
その外周面に多数の菱形の突出部を含む軸であることを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例16)
第2の内部構造体は、ボディー部より下流側に、流体を管の中心に向かって誘導する誘導部を更に含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例17)
第2の内部構造体の誘導部は、截頭ドーム形に形成されている第2の内部構造体の一端部であることを特徴とする例16に記載の流体供給管。
(例18)
第2の内部構造体の誘導部は、截頭円錐形に形成されている第2の内部構造体の一端部であることを特徴とする例16に記載の流体供給管。
(例19)
中心から延長される一つ以上の支持アームを備えるリング形態の押え板を更に含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例20)
半径が異なる2つの同心のリングと、2つの同心のリングを連結する一つ以上の支持アームを含む押え板を更に含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例21)
第1の内部構造体と、第2の内部構造体とを固定するボルトを更に含むことを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例22)
管本体は、流入側部材と流出側部材とからなり、
流入側部材と流出側部材とは、ねじ結合することを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例23)
中空軸形態の第3の内部構造体を更に含み、
管本体は、第1から第3の内部構造体を収納するとともに、
第3の内部構造体は、
複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部と、
頭部より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有するボディー部と、
を含み、
第2の内部構造体の少なくとも一部は、第3の内部構造体の中空部に収納されることを特徴とする例1に記載の流体供給管。
(例24)
流体供給管の内部構造体であって、
流入口と流出口とを含む流体供給管の管本体に内部構造体が収納された際、管本体の流入口側に位置し、複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部と、
頭部より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有するボディー部と、
を含み、
中空軸の形態を有することを特徴とする、
内部構造体。
(例25)
例1から23のいずれかの流体供給管に、冷却液を流入し、所定の流動特性を与えてから工具や被加工物に吐出させて、冷却するようにした工作機械。
(例26)
例1から23のいずれかの流体供給管に、水や湯を流入し、所定の流動特性を与えてから吐出させるようにして洗浄効果を高めるようにしたシャワーノズル。
(例27)
例1から23のいずれかの流体供給管に、複数の異なる特性の流体を流入し、所定の流動特性を与えて、この複数の流体を混合したのち吐出させるようにした流体混合装置。
(例28)
流体供給管の内部構造体であって、
流入口と流出口とを含む流体供給管の管本体に内部構造体が収納された際、管本体の流入口側に位置し、流入口を通じて流入される流体に渦巻流を発生させる渦巻発生部分と、
渦巻発生部分より下流側に位置し、渦巻発生部分からの流体に多数のバブルを発生させるバブル発生部分と、
を含み、
中空軸の形態を有することを特徴とする、
内部構造体。
(例29)
バブル発生部分より下流側に位置し、流体を管の中心に向かって誘導する誘導部分を更に有することを特徴とする例28記載の内部構造体。
(例30)
渦巻発生部分と、バブル発生部分とは、共通の
中空軸上に形成されていることを特徴とする例28記載の内部構造体。
(例31)
渦巻発生部分と、バブル発生部分と、誘導部分とは、共通の
中空軸上に形成されていることを特徴とする例29記載の内部構造体。
【解決手段】流体供給管は、第1の内部構造体と、第2の内部構造体と、第1の内部構造体と第2の内部構造体とを収納するための管本体と、を含む。管本体は、流入口と流出口とを含む。第1の内部構造体は、複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部と、頭部より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有するボディー部と、を含む。中空軸形態の第2の内部構造体は、複数の螺旋状に形成された翼を含む頭部と、頭部より下流側に位置し、外周面に複数の突出部を有するボディー部と、を含む。第1の内部構造体の少なくとも一部は、第2の内部構造体の中空部に収納される。