特許第6245404号(P6245404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6245404-燃焼装置および発電設備 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6245404
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】燃焼装置および発電設備
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/224 20060101AFI20171204BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20171204BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20171204BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20171204BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20171204BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20171204BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F02C7/224
   F02C3/22
   F02C6/18 Z
   F23R3/30
   F01K23/10 T
   F02G5/02 C
   F02G5/04 Q
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-501333(P2017-501333)
(86)(22)【出願日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】JP2016063437
【審査請求日】2017年1月10日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】谷川 博昭
(72)【発明者】
【氏名】大内 優
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/082360(WO,A1)
【文献】 特開平02−241912(JP,A)
【文献】 特開2013−257125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/224
F01K 23/10
F02C 3/22
F02C 6/18
F02G 5/02
F02G 5/04
F23R 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを燃料として燃焼させる燃焼器と、
内部で流通する温水中に沈められた状態で配設される前記アンモニア流通用の配管を有し、前記流通する温水の流量制御による前記配管の外壁における熱伝達率制御によって前記配管加熱熱量が制御され、当該配管を介して前記燃焼器に供給される前記アンモニアを気化させるアンモニア気化器と、
前記アンモニア気化器に前記配管を介して前記アンモニアを液体状態で供給するアンモニア供給部と、
前記燃焼器の排気ガスから排熱を回収する排熱回収部と、
前記排熱回収部と前記アンモニア気化器との間に設けられ、前記アンモニア気化器へ前記温水を送るための温水系統と、
前記温水系統に設けられ、前記アンモニア気化器へ送る前記温水の前記量制を行う流量制御部と、
を備え、
前記温水系統は、前記排熱回収部と前記アンモニア気化器との間で前記温水を循環する循環流路であり、
前記流量制御部は、前記排熱回収部の流量制御による前記排熱回収部の配管内壁における熱伝導率制御によって前記アンモニア気化器内の前記温水温度目標温度とす
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記流量制御部は、予め推定計算された前記アンモニアの必要量に基づき算出される当該必要量を気化する際に必要となる熱量に応じて、前記温水系統により前記アンモニア気化器へ送られる前記温水流量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記温水系統に設けられ、前記排熱回収部と前記アンモニア気化器との間で前記温水を循環させるための循環ポンプを更に備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記流量制御部は、
前記排熱回収部を流れる前記排気ガスの温度と、当該排気ガスの流量と、前記排熱回収部内の前記温水系統を流れる前記温水温度と、に基づき計算される前記排熱回収部へ送られる前記温水流量と、前記アンモニア気化器内の前記温水温度と、前記目標温度との偏差と、を考慮して、前記温水系統により前記アンモニア気化器へ送られる前記温水流量を制御する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記温水系統は、前記排熱回収部の下流側において前記排熱の所定温度以下の低温域を利用して加熱される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃焼装置を備えるガスタービンによって発電機を駆動することを特徴とする発電設備。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃焼装置を備え、アンモニアを燃料として使用することを特徴とするボイラ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼装置および発電設備に関し、特にアンモニアを燃料とするボイラやガスタービン等の各種燃焼装置およびそれを用いた発電設備に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボイラやガスタービン等の燃焼装置を備える発電設備としての火力発電所等において、アンモニア(NH3)は、ボイラ給水の水質調整用として、また脱硝装置において窒素酸化物を低減させる排煙脱硝用として、気体(ガス)の状態で用いられることが多い薬品である。一般に、アンモニアはガスの状態で貯留すると嵩張ることから、液体の状態でタンクに貯留され、必要量を調節弁でタンクから払出し、気化器において気化されて用いられる。このとき、一般的にタンクの圧力は、0.5〜1MPa程度であることが好ましいが、加圧しないタンクに貯留される場合もある。
【0003】
具体的に、気化器内には40〜50℃程度の一定温度に調整された温水が張ってあり、液体アンモニアは、その温水中に設置されたコイル状の金属管内を通る際に気化されてアンモニアガスとなる。このとき、温水の加熱源としては低圧の補助蒸気が用いられ、この補助蒸気が気化器へ供給されることによって気化器内の温水の温度が一定に保たれている。一般的に、液体アンモニアの蒸発潜熱は1.268kJ/g(0℃),アンモニア燃焼熱は22.5kJ/gであり、アンモニアの燃焼熱のごく一部で且つ低温域のエネルギーを使うことで液体アンモニアを気化させることができる。
【0004】
そして、近年、アンモニアは燃焼の際に二酸化炭素(CO2)を排出することのないことから、この種の燃焼装置における燃料として着目され、これを燃料とするボイラやガスタービン等の開発が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。この場合、ガスタービンの燃焼器における燃焼効率を向上するべく、アンモニアはガス化して供給されることが好ましい。なお、アンモニアは窒素(N)を含むことから、燃焼によって窒素酸化物(NOX)が生成されるため、大気汚染防止の観点から、排気ガス系統にアンモニア等の薬品を用いる脱硝装置の設置が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−190466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の火力発電所においては、低圧の補助蒸気を利用して気化器で液体アンモニアを気化させており、補助蒸気としては、蒸気タービンで一定のエネルギーを回収した後の蒸気または主蒸気を減温減圧して利用するが、このような蒸気を利用する気化器にて気化されたアンモニアを燃料として用いる場合、ボイラ給水の水質調整や脱硝用の薬品として利用する量より大量のアンモニアを気化する必要があるが、いずれの蒸気も必要とされる温水より相当高温であるため、蒸気の製造に多大なコストがかかる問題があった。
【0007】
また、このような気化器内の温水には自然対流以外の流れが発生しないので、金属管外表面の熱伝達率が低く、温水の熱を金属管内の液体アンモニアへ十分に伝達するために金属管の伝熱面積が必要となり、設備費が嵩む問題があった。このように、従来では、アンモニアを燃料として利用するに際し、様々な課題があった。
【0008】
そこで、特許文献1の燃焼装置では、気化器が排ガスの熱、つまり排熱(廃熱)を用いて液体アンモニアを気化させて燃焼器に供給するようになっている。このため、液体アンモニアを気化させるための装置および動力を別途用意することなく、液体アンモニアを確実に気化させることができると共に、余計なアンモニアを燃焼器に供給する必要がないため、燃焼装置のトータル的な効率の低下を従来よりも抑制できる。
【0009】
しかしながら、この特許文献1の燃焼装置においても、燃料として用いるアンモニアの必要量を予め推定することができないため、当該必要量のアンモニアを気化するために必要となる熱量を算出することができない問題があり、ランニングコストを効果的に低減するに至らなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、アンモニア気化器内の温水温度が目標温度となるようにアンモニア気化器へ送られる温水流量を制御することで、アンモニア燃焼排熱をより有効活用でき、ランニングコストを効率的に低減することができる燃焼装置および発電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明では、燃焼装置に係る第1の解決手段は、
アンモニアを燃料として燃焼させる燃焼器と、
内部で流通する温水中に沈められた状態で配設される前記アンモニア流通用の配管を有し、前記流通する温水の流量制御による前記アンモニア流通用の配管の外壁における熱伝達率制御によって前記配管加熱熱量が制御され、当該配管を介して前記燃焼器に供給される前記アンモニアを気化させるアンモニア気化器と、
前記アンモニア気化器に前記配管を介して前記アンモニアを液体状態で供給するアンモニア供給部と、
前記燃焼器の排気ガスから排熱を回収する排熱回収部と、
前記排熱回収部と前記アンモニア気化器との間に設けられ、前記アンモニア気化器へ前記温水を送るための温水系統と、
前記温水系統に設けられ、前記アンモニア気化器へ送る前記温水の前記量制を行う流量制御部と、
を備え、
前記温水系統は、前記排熱回収部と前記アンモニア気化器との間で前記温水を循環する循環流路であり、
前記流量制御部は、前記排熱回収部の流量制御による前記排熱回収部の配管内壁における熱伝導率制御によって前記アンモニア気化器内の前記温水温度目標温度とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の燃焼装置に係る第2の解決手段として、
前記流量制御部は、予め推定計算された前記アンモニアの必要量に基づき算出される当該必要量を気化する際に必要となる熱量に応じて、前記温水系統により前記アンモニア気化器へ送られる前記温水流量を制御することを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の燃焼装置に係る第3の解決手段は、
前記温水系統に設けられ、前記排熱回収と前記アンモニア気化器との間で前記温水を循環させるための循環ポンプを更に備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の燃焼装置に係る第4の解決手段として、
前記流量制御部は、
前記排熱回収部を流れる前記排気ガスの温度と、当該排気ガスの流量と、前記排熱回収部内の前記温水系統を流れる前記温水温度と、に基づき計算される前記排熱回収部へ送られる前記温水流量と、前記アンモニア気化器内の前記温水温度と、前記目標温度との偏差と、を考慮して、前記温水系統により前記アンモニア気化器へ送られる前記温水流量を制御することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の燃焼装置に係る第5の解決手段として、
前記温水系統は、前記排熱回収部の下流側において前記排熱の所定温度以下の低温域を利用して加熱されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明では、発電設備に係る解決手段として、上記第1〜第5のいずれかの解決手段に係る燃焼装置を備えるガスタービンによって発電機を駆動することを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明では、ボイラ設備に係る解決手段として、上記第1〜第5のいずれかの解決手段に係る燃焼装置を備え、アンモニアを燃料として使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アンモニア気化器内の温水温度が目標温度となるようにアンモニア気化器へ送られる温水流量を制御することで、アンモニア燃焼排熱をより有効活用でき、ランニングコストを効率的に低減することが可能な燃焼装置および発電設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の燃焼装置を採用した発電設備の一実施形態として説明するガスタービンのコンバインドサイクルを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び図面等は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0021】
図1は、本発明の燃焼装置を採用した一実施形態として、ガスタービンコンバインドサイクルからなる発電設備を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る発電設備1は、ガスタービンコンバインドサイクルとして構成され、ガスタービン10、排熱回収ボイラ(HRSG)20、蒸気タービン30、発電機40、復水器50、アンモニア気化器60、アンモニアタンク70などを備えている。また、ガスタービン10と排熱回収ボイラ20の間、排熱回収ボイラ20と蒸気タービン30の間、蒸気タービン30と復水器50の間、復水器50と排熱回収ボイラ20の間、排熱回収ボイラ20とアンモニア気化器60の間および、アンモニア気化器60とアンモニアタンク70の間は、それぞれ配管によって接続されている。
【0022】
また、本実施形態の場合、発電設備1は、排熱回収部としての排熱回収ボイラ20とアンモニア気化器60との間が、温水系統としての循環流路80によって連結されている。かかる循環流路80は、アンモニア気化器60内に貯留された温水を、循環ポンプ81によって排熱回収ボイラ20との間で循環流路80により循環させる循環ポンプ81と、アンモニア気化器60へ送る温水の流量を制御する流量制御部としての流量調整弁82等を備えている。
【0023】
アンモニア気化器60内に貯留された温水は、循環ポンプ81によって排熱回収ボイラ20との間で循環流路80により循環されることで、排熱回収ボイラ20内の下流側において排熱の所定温度以下の低温域(例えば、40℃〜120℃)を利用して加熱される。そして、流量調整弁82は、アンモニア気化器60内の温水温度が目標温度となるよう、循環流路80によりアンモニア気化器60へ送られる温水流量を制御する。これにより、アンモニア気化器60内の温水を一定の温度(例えば、40℃〜50℃程度)に保つことができるようになっている。
【0024】
なお、循環流路80における排熱回収ボイラ20の出口側に温度計(図示省略)を設けることで、排熱回収ボイラ20内における温水の温度を計測するようにしても良い。
【0025】
本実施形態の場合、アンモニア気化器60は、内部にアンモニア流通用の金属製の配管(金属管)61が温水中に沈められた状態で配設されている。この金属管61は、例えばコイル状に成形されており、一方がアンモニア供給部としてのアンモニアタンク70と接続され、他方がガスタービン10に設けられた燃焼器11と接続されている。そして、アンモニアタンク70から供給される液体アンモニアが、アンモニア気化器60内の温水によって加熱された金属管61を通過する際に気化され、燃料として利用されるアンモニアガスの状態で燃焼器11へと供給される。
【0026】
このとき、アンモニア気化器60内に貯留された温水が循環ポンプ81によって排熱回収ボイラ20との間で循環されるため、アンモニア気化器60内において温水の流れが生成される。そして、この流れによりアンモニアを通す金属管61表面の熱伝達率が向上して温水の熱交換が盛んとなるので、気化量を増加する場合においても金属管61におけるコイル形状の大型化を最小限に抑えることができる。また、気化量が同程度ならアンモニア気化器60の小型化を図ることができる。なお、前述した循環流路80の構成は、一例であってこれに限ることはない。
【0027】
ガスタービン10は、燃焼器11と空気圧縮機12とタービン13とを備えて構成されている。このとき、空気圧縮機12は軸流圧縮機からなり、タービン13は軸流タービンからなり、互いに軸結合されている。なお、一般的な事業用発電所では、ガスタービン10と発電機40とを直結することで、ガスタービン10の動力を発電機40で電力へ変換する。
【0028】
空気圧縮機12は、大気から取り込んだ周囲空気を圧縮して燃焼器11に供給する。燃焼器11は、空気圧縮機12から供給された圧縮空気を酸化剤としてアンモニア気化器60から供給された燃料としてのアンモニアガスを燃焼させる。また、この燃焼器11は、燃焼によって発生した排気ガスをタービン13に排気する。
【0029】
タービン13は、燃焼器11から供給された排気ガスに基づいて回転動力を発生すると共に、当該回転動力によって発電機40を駆動する。また、このタービン13は、動力回収後の排気ガスを排気系統2を介して排熱回収ボイラ20に供給する。ここで、タービン13は、図示省略するが空気圧縮機12と軸結合することに加えて発電機40とも軸結合しているので、空気圧縮機12に加えて発電機40をも駆動する。
【0030】
タービン13から排気系統2を介して供給された排気ガスは、排熱回収ボイラ20において外部から給水された水と熱交換されることによって当該水を気化させて水蒸気を生成し、当該水蒸気がプロセス蒸気として蒸気タービン30に供給されると共に、循環流路80において当該循環流路80を流通する温水との熱交換に用いられ、加熱した温水がアンモニア気化器60へ供給される。
【0031】
ここで、本発電設備1におけるガスタービンコンバインドサイクルでは、蒸気タービン30の対応する高圧(HP)、中圧(IP)および低圧(LP)段への蒸気供給として、種々の圧力および温度の蒸気を発生するための手段を備えた3つの異なる動作圧力(高、中および低)による高圧蒸発器21、中圧蒸発器22および低圧蒸発器23を有する排熱回収ボイラ20を用いている。なお、図示省略するが、アンモニア気化器60にて気化されたアンモニアガスの一部は、高圧蒸発器21周辺の250℃〜450℃程度の温度となる位置に配置された脱硝装置へ供給され、脱硝用の還元剤として利用される。
【0032】
この排熱回収ボイラ20において、蒸気が各段に亘って膨張するときに蒸気タービン30が駆動(回転)され、この蒸気タービン30と同軸(不図示)に接続される発電機40が稼動されることで発電する。蒸気タービン30を回転させた後の使用済み蒸気は水冷式の復水器50で冷却されて凝縮し、復水として再循環される。このとき、復水器50には、海水などの冷却水が循環ポンプ(不図示)を介して供給されている。また、必要に応じて復水器50に付属するホットウエルへ追加の補給水が復水として加えられる。復水は水系統3および4を介して2つの入口箇所で排熱回収ボイラ20の低圧蒸発器23に帰還する。
【0033】
タービン13から排気系統2を介して供給された高温排気ガスは排熱回収ボイラ20に供給される。排熱回収ボイラ20は、3つの異なる圧力からなる蒸発器(高圧蒸発器21、中圧蒸発器22および低圧蒸発器23)を使用して蒸気タービン30で使用する蒸気を生成する。なお、この場合は、高圧蒸気タービンHPからの使用済み蒸気が排熱回収ボイラ20で再加熱され、中圧蒸気タービンIPへ供給される(ライン5)。これと共に、排熱回収ボイラ20は、下流側の低温域の排気ガスによって循環流路80を流通する温水を加熱し、この加熱した温水がアンモニア気化器60へ供給される。
【0034】
排熱回収ボイラ20の低圧蒸発器23は、復水器50から復水ポンプ51およびグランド蒸気復水器52を介して供給される復水を加熱して蒸発させる。典型的には、低圧蒸発器23からの蒸気は更に加熱するためにライン7へ送られて、中圧蒸気タービンIPへ供給される。同様に、排熱回収ボイラ20の低圧蒸発器23における流体の一部がライン8を介して中圧蒸発器22へ送られて加熱されると共に、低圧蒸発器23における流体の一部がライン9を介して高圧蒸発器21へ送られて加熱された後、ライン6を介して高圧蒸気タービンHPへ送られる。
【0035】
ガスタービン10と蒸気タービン30とを動力として発電機40で発電された電力は、不図示の主変圧器等を介し、送電線によって需要家に供給(送電)される。また、排熱回収ボイラ20を通った排熱回収後の排気ガスは、排煙処理設備を経てNOx等の低減処理が施され、煙突から排気される。
【0036】
以上、説明したように、本実施形態の発電設備1では、アンモニアを燃料として燃焼させる燃焼器11と、内部に貯留する温水中に沈められた状態で配設されるアンモニア流通用の金属管61を有し、温水によって金属管61が加熱され、当該金属管61を介して燃焼器11に供給されるアンモニアを気化させるアンモニア気化器60と、アンモニア気化器60に金属管61を介して液体アンモニアを供給するアンモニア供給部70と、燃焼器11の排気ガスから排熱を回収する排熱回収ボイラ20と、排熱回収ボイラ20とアンモニア気化器60との間に設けられ、アンモニア気化器60へ温水を送るための循環流路80と、循環流路80に設けられ、アンモニア気化器60へ送る温水の流量を制御する流量調整弁82と、を備え、循環流路80は、排熱回収ボイラ20の下流側において排熱の所定温度以下の低温域を利用して加熱され、流量調整弁82は、アンモニア気化器60内の温水温度が目標温度となるよう、循環流路80によりアンモニア気化器60へ送られる温水流量を制御するようにした。これによれば、アンモニア気化器60内の温水温度が目標温度となるようにアンモニア気化器60へ送られる温水流量を制御することで、アンモニア燃焼排熱をより有効活用でき、アンモニアを燃料として使用するため大量に液化アンモニアを気化させる必要がある設備において、ランニングコストを効率的に低減することができる。
【0037】
このように、本実施形態の発電設備1では、アンモニアを燃料として燃焼するガスタービン10と、当該ガスタービン10の排熱の高温域を用いて生成される蒸気によって駆動される蒸気タービン30とによって発電機40を稼働して発電を行うことで電力を得られると共に、ガスタービン10の排熱の低温域を用いて液体アンモニアを気化することで燃料としてのアンモニアガスを生成することができるので、利用価値の低い排熱の低温域を有効活用して燃料の省資源化を図ると共に、発電設備のトータル効率をより効果的に向上させることができる。
【0038】
なお、前述の実施形態では、流量調整弁82は、アンモニア気化器60内の温水温度が目標温度となるよう、循環流路80によりアンモニア気化器60へ送られる温水流量を制御するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限ることはない。例えば、流量調整弁82は、予め推定計算されたアンモニアの必要量に基づき算出される当該必要量を気化する際に必要となる熱量に応じて、循環流路80によりアンモニア気化器60へ送られる温水流量を制御するようにしてもよい。
【0039】
また、流量調整弁82は、排熱回収ボイラ20を流れる排気ガスの温度と、当該排気ガスの流量と、排熱回収ボイラ20内の循環流路80を流れる温水温度と、に基づき計算される排熱回収ボイラ20へ送られる温水流量と、アンモニア気化器60内の温水温度と、目標温度との偏差と、を考慮して、循環流路80によりアンモニア気化器60へ送られる温水流量を制御するようにしてもよい。
【0040】
このようにして、排熱回収ボイラ20の排気ガス温度と排気ガス流量によって、どの程度の熱量が排気ガスから得られるかが推定できるので、排気ガスのコンディションの変化を排気ガスの温度および流量と、結果としてアンモニア気化器60へ送る温水の温度との両方から鑑みて、アンモニア気化器60に注水する温水の流量を決定することができ、燃焼装置全体としてのランニングコストを、より効率的に低減することができる。
【0041】
なお、本発明がガスタービン以外の燃焼器を持つ燃焼設備(例えば、火力発電用ボイラ設備)において、アンモニアを補助的な燃料として使用する場合、または、アンモニアを主たる燃料として使用する場合にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 発電設備 2 排気系統
3,4 水系統 10 ガスタービン
11 燃焼器 12 空気圧縮機
13 タービン 20 排熱回収ボイラ(排熱回収部)
30 蒸気タービン 40 発電機
50 復水器 60 アンモニア気化器
61 金属管(アンモニア流通用の配管) 70 アンモニアタンク
80 循環流路(温水系統) 81 循環ポンプ
82 流量調整弁(流量制御部)
【要約】
本発明では、アンモニアを燃料として燃焼させる燃焼器と、アンモニアを気化させるアンモニア気化器と、アンモニアを液体状態で供給するアンモニア供給部と、排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラとアンモニア気化器との間に設けられ、アンモニア気化器へ温水を送るための温水系統と、温水系統に設けられ、アンモニア気化器へ送る温水の流量を制御する流量制御部と、を備え、温水系統は、排熱回収ボイラの下流側において排熱の低温域を利用して加熱されると共に、流量制御部によってアンモニア気化器内の温水温度が目標温度となるようアンモニア気化器へ送る温水流量を制御される。よって、アンモニア気化器内の温水温度が目標温度となるようにアンモニア気化器へ送られる温水流量を制御することで、アンモニア燃焼排熱をより有効活用でき、ランニングコストを効率的に低減することができる。
図1