(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記注出部材は、前記注出口を有する注出口本体と、前記注出口を前記袋本体に取付ける取付部とを有し、前記取付部に形成され前記親和性材料を含む接合層をさらに有し、前記接合層に前記第2接合部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の液体収納用包装袋。
前記取付部には、前記袋本体の外部における水分と前記接合層との接触を抑制する防湿部が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の液体収納用包装袋。
前記液体収納用包装袋は、前記袋本体と、前記袋本体の外側に配置され、外層フィルムで構成された外袋と、を有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の液体収納用包 装袋。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の液体収納用包装袋(以下、単に包装袋と称する場合がある。)の詳細を説明する。なお、本明細書において、「フィルムの表面(ひょうめん)」とは、特段の断りが無い限り、フィルムの一方の面を表わし、フィルムの表裏における表面(おもてめん)を表わさないものとする。
【0014】
本出願人は、薬液への不純物の溶出を抑制可能な包装袋として、低融点の含フッ素樹脂材料を含むフィルムを用いた包装袋の開発を進めている。開発を進める中で、今回、本開示の発明者は、上記フィルムから構成された袋本体と、注出部材とを十分に接合させることが困難であるとの新たな課題を見出した。
この課題を解決するため、本開示の液体収納用包装袋、注出部材および物品は下記の構成を有する。
【0015】
A.液体収納用包装袋
本開示の液体収納用包装袋は、フィルムで構成され液体を収納する袋本体と、注出口を有する注出部材とを備える液体収納用包装袋であって、上記袋本体は、上記フィルムに設けられ、上記注出部材と接合された第1接合部と、上記袋本体の外周部に配置され、上記フィルムが重ね合わされて接合された外周部接合部とを有し、上記第1接合部は、含フッ素接合性材料を含み、上記含フッ素接合性材料は、融点が230℃以下の含フッ素樹脂材料であり、上記注出部材は、上記袋本体の上記第1接合部と接合された第2接合部を有し、上記第1接合部と上記第2接合部との接合部分には、上記含フッ素接合性材料と親和性を有する親和性材料を含み、上記親和性材料は、アミド結合、ハロゲノ基、水酸基、環状無水物基、およびシアノ基の少なくとも一つの極性官能基を含む樹脂材料であることを特徴とする。なお、説明の容易のため、以下、袋本体に用いられるフィルムを「液体用フィルム」と称して説明する場合がある。
【0016】
本明細書において、「液体」とは、通常、薬液をいう。
【0017】
ここで、「接合された」とは、樹脂フィルム同士、または樹脂フィルムおよび樹脂部材に含まれる樹脂が分子レベルで結合されて密着されている状態をいう。「接合された」とは、より具体的には、樹脂フィルム同士、または樹脂フィルムおよび樹脂部材に含まれる樹脂が溶着された状態をいう。本開示においては、好ましくは、熱溶着(ヒートシール)された状態をいう。
【0018】
本開示の包装袋について図を用いて説明する。
図1は本開示の包装袋の一例を示す模式図であり、
図2は
図1の包装袋における第1接合部、第2接合部および外周部接合部を説明する説明図である。
図2(a)は
図1の各接合部を説明する図であり、
図2(b)は
図2(a)のX部分の拡大図、
図2(c)は
図1のX−X線断面図である。
図1および
図2に示す包装袋1は、液体用フィルム21で構成され液体を収納する袋本体2と、注出口Rを有する注出部材3とを備える。袋本体2は、液体用フィルム21に設けられ、注出部材3と接合された第1接合部22と、袋本体2の外周部に配置され、液体用フィルム21同士が重ね合わされて接合された外周部接合部23を有する。本開示においては、第1接合部22が含フッ素接合性材料を含む。
図1においては、液体用フィルム21は、含フッ素接合性材料を含む含フッ素接合性材料フィルムである場合を示している。
また、注出部材3は、袋本体2の第1接合部22と接合された第2接合部32を有し、第1接合部22と第2接合部32との接合部分は、特定の極性官能基を有する樹脂材料である親和性材料を含む。
【0019】
本開示によれば、上記第1接合部と上記第2接合部との接合部分が親和性材料を含むことにより、含フッ素接合性材料を含む袋本体の第1接合部と上記第2接合部との密着性を良好にすることができる。よって、袋本体および注出部材を良好に接合させることができる。
【0020】
本開示の発明者は、低融点の含フッ素樹脂材料を含む液体用フィルムを用いた包装袋の開発を進める中で、上記液体用フィルムを用いた袋本体と、注出部材とを十分に接合させることが困難であるとの新たな課題を見出した。具体的には、液体用フィルムに用いられる含フッ素樹脂材料は、例えば、従来の包装袋に用いられる注出部材の樹脂材料と接合させることが困難である。より具体的には、液体用フィルムを含フッ素樹脂材料で形成し、注出部材をポリエチレンのような汎用樹脂材料で形成した場合、液体用フィルムと注出部材とを接合することができない。また、含フッ素樹脂材料を用いて注出部材を作製した場合、袋本体と注出部材とを接合させるに際しては、通常、液体用フィルム側から熱、圧力が加わる。また、接合時には、通常、含フッ素樹脂材料の融点以上の熱を加える必要がある。そのため、液体用フィルムが劣化することが懸念される。さらに、袋本体と注出部材との両者を含フッ素樹脂材料で形成した場合であっても、袋本体と注出部材との両者をそれぞれ異なる含フッ素樹脂材料で形成した場合には袋本体と注出部材とを接合することができない。
本開示の発明者は、含フッ素樹脂材料の中でも、接合性が良好な含フッ素接合性材料を用いた場合についても検討したが、含フッ素接合性材料および一般的な樹脂材料、ならびに異なる含フッ素接合性材料の接合性を十分に高くすることが困難であることを見出した。
また、袋本体と注出部材との接合部分は、液体の重量による負荷が加わりやすいため、密着性をより高くすることが望まれる。
【0021】
本開示の発明者は、上記実情に鑑みて鋭意研究を行なった結果、特定の極性官能基を含む樹脂材料(親和性材料)が、含フッ素接合性材料に対して親和性を有し、両者を接合させた場合に密着性を良好にすることが可能であることを見出した。
この理由は、以下のように推測される。すなわち、親和性材料に含まれる極性官能基と、含フッ素接合性材料に含まれる官能基とが相互作用することにより、両者の密着性が良好になる。また、相互作用としては、例えば、ファンデルワールス結合、水素結合を形成することが推測される。
【0022】
本開示によれば、第1接合部と第2接合部との接合部分が親和性材料を含むことにより、注出部材の材料として種々の樹脂材料を用いることができる。より具体的には、注出部材自体を親和性材料を用いて形成することができる。また、注出部材の基体に、親和性材料を含む接合層を形成することにより第2接合部を設け、注出部材の基体を他の樹脂材料を用いて形成することができる。また、袋本体に、親和性材料を含ませることにより、注出部材を他の樹脂材料を用いて形成することができる。さらにまた、袋本体に第2の接合層を形成することによっても、注出部材を他の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0023】
また、本開示によれば、注出部材と袋本体とを、例えば、熱溶着により接合できる。そのため、注出部材と袋本体とを固定するために、両者の間に、表面処理剤、プライマーおよび接着剤等の少なくともいずれかの材料を配置しなくても良い。よって、液体への不純物の溶出を低く保つことができる。
【0024】
以下、本開示の液体収納用包装袋の各構成について説明する。
【0025】
I.第1接合部と第2接合部との接合部分
本開示における第1接合部と第2接合部との接合部分は、特定の極性官能基を含む樹脂材料である親和性材料を含む。「第1接合部と第2接合部との接合部分が親和性材料を含む」とは、本開示の液体収納用包装袋において第1接合部と第2接合部とが接合された部分において親和性材料が含まれていることをいう。上記接合部分においては、例えば、袋本体の第1接合部側および注出部材の第2接合部側の少なくとも一方の接合面に親和性材料を含んでいても良い。また、上記接合部分においては、接合面を有さず、第1接合部の材料および第2接合部の材料が互いに混ざり合っていても良い。
以下、上記接合部分の詳細について説明する。
【0026】
1.親和性材料
本開示に用いられる親和性材料は、含フッ素接合性材料と親和性を有し、アミド結合、ハロゲノ基、水酸基、環状無水物基、およびシアノ基の少なくとも一つの極性官能基を含む樹脂材料である。
【0027】
親和性材料は、含フッ素接合性材料と親和性を有する。含フッ素接合性材料に対する親和性は、例えば、SP値(Solubility Parameter;溶解パラメーター)を用いて表わすことができる。親和性材料のSP値としては、例えば、19MPa
1/2以上であることが好ましく、21MPa
1/2以上であることがより好ましい。また、親和性材料のSP値としては、例えば、26MPa
1/2以下であり、22MPa
1/2以下であることが好ましい。含フッ素接合性材料との密着性を良好にすることができるからである。また、親和性材料のSP値が小さすぎると、親和性材料および含フッ素接合性材料の親和性を十分に確保することができず、袋本体の第1接合部および注出部材の第2接合部の密着性を十分に確保することが困難となる可能性があるからである。
なお、SP値は、凝集エネルギー密度の平方根で表わされる値である。SP値の測定方法もしくは算出方法は、非特許文献1もしくは非特許文献2で示されている非直接的測定法(Indirect Measurement)、相関法(Correlation Method)、グループ寄与法(Group Contribution Method)などの既知な方法を用いることができ、簡便には非特許文献1に記載されている値を参照することができる。今回の発明ではグループ寄与法などを採用する。
【0028】
ここで、一般に、樹脂材料が極性の強い官能基を含んでいると、樹脂材料の凝集エネルギー密度が大きくなることが知られている。また、凝集エネルギー密度の大きさは、樹脂材料に含まれる極性の強い官能基の種類および官能基数と相関する。そのため、本開示における親和性材料は、通常、上述のSP値を有する程度に、極性官能基を含む。
【0029】
また、親和性材料における含フッ素接合性材料との親和性は、例えば、酸素透過度を用いても表わすことができる。親和性材料の酸素透過度としては、1.6×10
−13以下、中でも0.3×10
−13以下であることが好ましい。なお、上記酸素透過度の単位は、cm
3(273.15K;1.013×10
5Pa)・cm/(cm
2・s・Pa)である。
酸素透過度の測定方法としては、気体透過度とし、JIS K 7126に準拠した方法にて測定する。
【0030】
ここで、樹脂材料の凝集エネルギー密度と酸素透過度との間には強い相関関係があり、凝集エネルギー密度の対数と酸素透過度とが負の傾きで比例することが知られている(非特許文献3)。そのため、本開示における親和性材料は、通常、上述した酸素透過度を示す凝集エネルギーを有する程度に、極性官能基を含む。
【0031】
親和性材料は、特定の極性官能基を含む樹脂材料である。極性官能基としては、例えば、アミド結合、ハロゲノ基、水酸基、環状無水物基、およびシアノ基を挙げることができる。ハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基を挙げることができる。環状無水物基としては、例えば、無水マレイン酸による変性の残基である無水コハク酸基を挙げることができる。
親和性材料は、上述した極性官能基の少なくとも一つを有していれば特に限定されないが、中でも、水酸基およびアミド基の少なくとも一つを有することが好ましい。親和性材料中に多数の極性官能基を導入することができるからである。また、多数の極性官能基を導入することができることにより、高いSP値を得ることができるからである。
【0032】
親和性材料に含まれる極性官能基の数については、所望の親和性を付与することができれば特に限定されず、例えば、親和性材料が、上述のSP値、酸素透過度を示すように適宜調整される。
【0033】
親和性材料は、含フッ素接合性材料と熱溶着により接合可能な材料であることが好ましい。具体的には、親和性材料の融点が、150℃以上、270℃以下、中でも170℃以上、250℃以下、特に170℃以上、230℃以下であることが好ましい。なお、親和性材料の融点の測定方法については、後述する含フッ素接合性材料の融点の測定方法と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
【0034】
親和性材料の具体例としては、例えば、ポリアミド(PA)を挙げることができる。ポリアミドとしては、例えば、ε-カプロラクタムの重合体であるナイロン6(PA6)(SP値:21.5MPa
1/2)、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重合体であるナイロン66(PA66)(SP値:22.87MPa
1/2)、ラウリルラクタムの重合体であるナイロン12(PA12)(SP値:19MPa
1/2)、ウンデカンラクタムの重合体であるナイロン11(PA11)(SP値:19.2MPa
1/2)、PA6とPA66の共重合体であるナイロン6/66(PA6/66)(SP値:21.5MPa
1/2以上、22.87MPa
1/2以下の程度)などが挙げられる。また、親和性材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)(SP値:19.19MPa
1/2)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)(SP値:25MPa
1/2)、ポリビニルアルコール(PVA)(SP値:25.78MPa
1/2)、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)(SP値:25.17MPa
1/2)、無水マレイン酸変性ポリエチレン、ポリアクリロニトリル(SP値:25.27MPa
1/2)、これらの材料の単量体を成分とした共重合体、それらの官能基の一部が修飾された重合体等を挙げることができる。無水マレイン酸変性ポリエチレンは、例えば、無水コハク酸基(SP値:31.5MPa
1/2)を含んでおり、例えば、19MPa
1/2以上であるため、親和性材料として用いることができる。
【0035】
2.その他
本開示における親和性材料は、第1接合部と第2接合部との接合部分に含まれていれば良く、袋本体にさらに含まれていても良く、注出部材にさらに含まれていても良い。本開示においては、中でも、注出部材が親和性材料を含むことが好ましい。
【0036】
II.注出部材
本開示における注出部材は、注出口を有する。注出部材は、袋本体の第1接合部と接合された第2接合部を有する。本開示においては、注出部材の第2接合部が、特定の極性官能基を含む樹脂材料である親和性材料を含むことが好ましい。
【0037】
1.第2接合部
第2接合部は、通常、注出部材に設けられ、上記袋本体の上記第1接合部と接合されたものである。また、第2接合部は、上述した親和性材料を含むことが好ましい。
【0038】
本開示において、「第2接合部が注出部材に設けられる」とは、通常、第2接合部が注出部材の表面に設けられていることをいう。また、注出部材の表面上に直に第2接合部が設けられている場合だけでなく、注出部材の表面上に形成され、上記親和性材料を含む接合層の表面に、第2接合部が設けられている場合を含む。また、「第2接合部が親和性材料を含む」とは、典型的には、袋本体の第1接合部との接合面に親和性材料を含むことをいう。本開示においては、親和性材料から構成される注出部材の表面に、直に袋本体の第1接合部を接合させることにより、第2接合部が設けられていても良い。また、注出部材に形成された上記接合層の表面に袋本体の第1接合部を接合させることにより、第2接合部が設けられていても良い。
【0039】
注出部材における具体的な第2接合部の位置としては、注出部材の形状に応じて適宜選択されるが、通常、注出部材における取付部の表面に設けられる。
【0040】
袋本体の第1接合部および注出部材の第2接合部の接合方法としては、例えば、溶着法により接合することができる。中でも、熱溶着法により接合することが好ましい。具体的な溶着法については、袋本体における第1接合部の位置および注出部材における第2接合部の位置に応じて適宜選択される。なお、袋本体の第1接合部が外周部接合部の一部に設けられている場合は、後述する外周部接合部の形成に用いられる溶着法と同様の方法を用いて、第1接合部および第2接合部を接合させることが好ましい。
【0041】
2.注出部材
本開示における注出部材は、注出口を有する部材である。注出口は、袋本体の内部から袋本体の外部に通じる開口である。
【0042】
注出部材は、通常、注出口を有する筒状の注出口本体と、袋本体に注出口本体を取付けるための取付部とを有する。第2接合部は、通常、取付部の表面に設けられる。
【0043】
注出部材の形状は、特に限定されず、一般的な包装袋に用いられる注出部材の形状を採用することができる。
注出部材の具体例について、図を挙げて説明する。
図3(a)〜
図3(c)は、本開示に用いられる注出部材の一例を示す模式図である。
図3(a)は注出部材の概略斜視図、
図3(b)は
図3(a)のX方向上面図、
図3(c)は
図3(a)のY−Y線断面図である。
注出部材3の形状としては、例えば、
図3(a)〜
図3(c)に示すように、注出口Rを有する筒状の注出口本体3Aと、注出口本体3Aの側面に設けられた取付部3Bと、を有する形状であっても良い。この場合、取付部3Bは、例えば、板状リブ3B1であることが好ましい。またこの場合、注出部材3は、さらに、注出口本体3Aを外部容器に取付けるための外部係合部3Cを有していてもよい。また、外部係合部3Cにおける外部側の端部には、フランジ3Dが設けられていても良い。また、取付部3Bは、必要に応じて溝部3Eを有していても良い。溝部の深さについては、特に限定されないが、例えば、後述する接合層の厚さと同程度の深さを有していても良い。溝部は、例えば、注出口の端面に対し、水平方向の溝部とすることが好ましい。袋本体の第1接合部と注出部材の第2接合部とを良好に接合させることができるからである。また、外部係合部3Cは連通孔3Fを有していても良い。
【0044】
注出部材が、注出口本体の側面に設けられた取付部を有する場合、通常、袋本体の外周部接合部の一部に配置された第1接合部と、注出部材の取付部に配置された第2接合部とが接合される(
図1、2参照)。
【0045】
図4(a)〜
図4(c)は、本開示に用いられる注出部材の他の例を示す模式図である。
図4(a)は注出部材の概略斜視図、
図4(b)は
図4(a)のX方向上面図、
図4(c)は
図4(a)のY−Y線断面図である。
注出部材3の形状としては、例えば、注出口Rを有する筒状の注出口本体3Aと、注出口本体3Aの袋本体側の端部(底部)に設けられた取付部3Bと、を有する形状であっても良い。この場合、取付部3Bは、例えば、注出口本体3Aと連続して設けられた底部装着リング3B2であることが好ましい。底部装着リング3B2には、通常、開口が設けられる。底部装着リング3B2の開口は、例えば、
図4(b)、(c)に示すように、注出口よりも小さい開口径を有していても良く、図示はしないが同程度の開口径を有していても良い。また、注出口本体3Aの外部側の端部には、フランジ3Gが設けられていても良い。図示はしないが、取付部は、必要に応じて溝部を有していても良い。溝部の深さについては特に限定されないが、例えば、後述する接合層の厚さと同程度の深さを有していても良い。溝部は、例えば、注出口に対し、同心円状に設けることが好ましい。袋本体の第1接合部と注出部材の第2接合部とを良好に接合させることができるからである。
【0046】
注出部材が、注出口本体の底部に設けられた取付部を有する場合、通常、
図5(a)に示すように、袋本体2の側面に配置された第1接合部と、取付部に配置された第2接合部とが接合される。この場合、
図5(b)に示すように、袋本体の液体側に配置された第1接合部22と接合するように、第2接合部32が、取付部3Bに配置されても良い。また、
図5(c)に示すように、袋本体の外部側に配置された第1接合部22と接合するように、第2接合部32が、取付部3Bに配置されても良い。
【0047】
注出部材は、親和性材料から構成されていても良く、他の樹脂材料から構成されていても良い。注出部材が親和性材料から構成される場合は、通常、注出部材の表面に第2接合部が直接設けられる。注出部材が他の樹脂材料から構成される場合は、通常、注出部材の表面上に、親和性材料から構成される接合層が形成される。なお、接合層について後述する。
【0048】
注出部材が他の材料から構成される場合、他の樹脂材料としては、親和性材料と接合可能な材料であれば特に限定されず、例えば、含フッ素接合性材料、含フッ素樹脂材料を用いることができる。含フッ素接合性材料、含フッ素樹脂材料を用いた場合は、注出部材からの液体への不純物の溶出を抑制することができる。含フッ素接合性材料については、後述する「III.包装袋の構成 1.袋本体」の項で説明する材料から適宜選択して用いることができる。本開示においては、中でも、袋本体に用いられる含フッ素接合性材料と同じ含フッ素接合性材料であっても良く、異なる含フッ素接合性材料であっても良い。接合層が無い場合は、同じ含フッ素接合性材料同士でなければ熱溶着できないが、本開示では、親和性材料を介することで異なる含フッ素接合性材料同士を接合可能である。
含フッ素接合性材料としては、例えば、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、低融点エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(LM−ETFE)、エチレン・四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(EFEP)等を挙げることができる。
注出部材が、含フッ素樹脂材料と含フッ素接合性材料とから構成されていても良い。具体的には、注出部材の注出口本体が含フッ素樹脂材料から構成され、取付部が含フッ素接合性材料から構成されていても良い。
【0049】
また、他の樹脂材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリエステルを挙げることができる。また、例えば、極性官能基である水酸基が導入されたEVOHを挙げることができる。注出部材は、袋本体に比べて、液体と接触する面積が小さい。また、注出部材は、例えば、液体用包装容器の上面に配置されて用いられる。この場合、注出部材と液体とは、接触しにくい。そのため、液体の種類、用途によっては、注出部材から液体への不純物の溶出が許容される程度である場合がある。この場合、注出部材を上述したPA等で形成することにより、安価な包装袋とすることができる。
【0050】
また、注出部材としては、例えば、取付部が親和性材料から構成され、注出口本体が他の樹脂材料から構成されたものであっても良い。一例としては、取付部が親和性材料である無水マレイン酸変性ポリエチレンから構成され、注出口本体が親和性材料でない未変性なポリエチレンから構成されても良い。この場合、無水マレイン酸変性ポリエチレンと未変性なポリエチレンとは同種の高分子であるため、良好に接合させることができる。また、この場合、注出口本体を安価な一般的な樹脂材料で構成することにより製造費用を抑えることができる。
【0051】
3.接合層
本開示における注出部材は、上述したように、上記注出口を有する注出口本体と、上記注出口を上記袋本体に取付ける取付部とを有する。本開示においては、上記取付部に形成され上記親和性材料を含む接合層をさらに有し、上記接合層に上記第2接合部が設けられていても良い。接合層は、通常、注出部材の注出口側とは反対側に配置される。例えば、接合層を介することで、異なる含フッ素接合性材料を袋本体および注出部材に用いることができる。また、注出口本体を安価な材料で形成することができる。
具体的には、注出部材3は、
図6(a)〜(c)に示すように、注出部材3(注出部材の基体31)の表面上に形成され、親和性材料を含む接合層33をさらに有していてもよい。接合層33を有することにより、注出部材の基体31を親和性材料以外を用いて製造することができる。通常、
図6(a)〜(c)に示すように、接合層33は、注出部材3の取付部3B(3B1または3B2)の表面上に形成される。接合層33を有する場合、第2接合部32は接合層33の表面に設けられる。
【0052】
また、接合層を有する場合、本開示においては、上記取付部には、上記液体と上記接合層との接触を抑制する防汚部が設けられていることが好ましい。接合層からの不純物が液体へ溶出することを抑制することができるからである。
また、接合層を有する場合、本開示においては、上記取付部には、上記袋本体の外部における水分と上記接合層との接触を抑制する防湿部が設けられていることが好ましい。袋本体の外部から液体への水分の浸入を抑制することができるからである。
【0053】
具体的には、
図6(b)、(c)に示すように、接合層33を有する場合、取付部3(3B1また3B2)には、液体と接合層33との接触を防止する防汚部3Hが設けられていても良い。接合層から液体への不純物の溶出を抑制することができるからである。また、
図6(b)に示すように、取付部3B1には、袋本体2の外部における水分と接合層33との接触を防止する防湿部3Iが設けられていても良い。袋本体の外部における水分が液体中に浸入することを抑制することができるからである。
図6(b)に示すように、取付部3B1においては、防汚部3Hおよび防湿部3Iの両方が設けられていても良く、図示はしないが、防汚部または防湿部の一方が設けられていても良い。
防汚部を有する場合、注出部材は、通常、含フッ素接合性材料または含フッ素樹脂材料から構成される。一方、防湿部を有する場合、注出部材は、通常、接合層に含まれる親和性材料よりも吸湿性の低い樹脂材料から構成される。
【0054】
防汚部は、液体および接合層の接触を抑制することができるよう取付部に設けることができれば特に限定されず、取付部における液体側端部において、接合層を覆うように設けられていることが好ましい。この場合、防汚部の厚さは、均一であっても良く、防汚部の注出口側から外側にかけて厚さが薄くなるように厚さの傾斜を設けても良い。防汚部の厚さに傾斜を設けた場合、第1接合部および第2接合部の接合面積を大きくすることができる。防汚部の具体的な厚さについては、取付部の大きさ等に応じて適宜選択される。防汚部の厚さは、取付部における液体側端部において接合層を覆う部分の厚さをいい、例えば、
図6(b)においてy1で示される厚さをいう。
【0055】
防湿部は、袋本体の外部における水分および接合層の接触を抑制することができるよう取付部に設けることができれば特に限定されず、取付部における外側端部において、接合層を覆うように設けられていることが好ましい。この場合、防湿部の厚さは、均一であっても良く、防湿部の注出口側から外側にかけて厚さが薄くなるように厚さの傾斜を設けても良い。防湿部の厚さに傾斜を設けた場合、第1接合部および第2接合部の接合面積を大きくすることができる。防湿部の具体的な厚さについては、取付部の大きさ等に応じて適宜選択される。防湿部の厚さは、取付部における外側端部において、接合層を覆う部分の厚さをいい、例えば、
図6(b)においてy2で示される厚さをいう。
【0056】
接合層の厚さとしては、第2接合部を設けることができればよい。言い換えれば、注出部材と袋本体とを接合層を介して接合させることができれば特に限定されない。接合層の厚さとしては、例えば、10μm以上であることが好ましい。また、接合層の厚さとしては、例えば、100μm以下であることが好ましい。接合層の厚さが薄いと、第1接合部および第2接合部に十分な密着性を付与することが困難となる可能性があるからである。
【0057】
接合層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、積層射出成形法等により、注出部材の基体と積層させて成形する方法が挙げられる。また、含フッ素接合性材料で注出部材を成形し、その注出部材の上に接合層を重ねて熱溶着で接合することで接合層を形成してもよい。さらに、含フッ素接合性材料で注出部材を成形し、その注出部材と袋本体とを接合させる際にそれらの間へ接合層を挿入することで同時に形成してもよい。さらに、袋本体の第1接合部と接合層のみの第2接合部とをあらかじめ熱溶着で接合した後、その接合層と注出部材の基体とを袋本体ごと熱溶着で接合してもよい。
【0058】
4.防汚層
本開示における注出部材は、注出口側の表面上に形成された防汚層をさらに有していても良い。防汚層は、通常、注出部材の注出口側に配置される。注出部材から液体への不純物の溶出を抑制することができる。
具体的に、注出部材3は、
図7に示すように、注出口R側の表面上に形成された防汚層34をさらに有していても良い。防汚層34を有することにより、注出部材の基体31から液体への不純物の溶出を抑制することができる。
【0059】
防汚層は、注出口側の表面上に形成されていれば特に限定されないが、注出部材における液体との接触面に形成されていることが好ましい。言い換えれば、親和性材料から構成される注出部材の基体または接合層と液体とが接触しないように、防汚層が形成されていることが好ましい。親水性材料の成分が液体へ溶出することを抑制することができるからである。
【0060】
防汚層の材料としては、注出部材の表面上に防汚層を形成することができ、液体への不純物の溶出を抑制することができれば限定されない。防汚層としては、例えば、後述する含フッ素接合性材料、ETFE、LM−ETFE、EFEP等の含フッ素樹脂材料を挙げることができる。
【0061】
防汚層の厚さとしては、注出部材に所望の防汚性を付与することができれば特に限定されないが、100μm以上であることが好ましい。防汚層の厚さが薄いと、注出部材に十分な防汚性を付与することが困難となる可能性があるからである。なお、防汚層の厚さの上限は、特に限定されず、液体収納用包装袋の用途に応じて適宜選択される。
なお、防汚層の「厚さ」は、防汚層の平均厚さをいい、例えば、SEM画像を用いて測定することができる。また、例えば、
図7に示すように、防汚層が部分的に薄く形成されている場合、または厚く形成されている場合は、その部分を除いた防汚層の平均膜厚をいう。他の層、部材の厚さについても同様とする。
【0062】
防汚層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、積層射出成形法等により、注出部材の基体と積層させて成形する方法が挙げられる。
【0063】
III.包装袋の構成
本開示の包装袋は、液体用フィルムで構成され液体を収納する袋本体を有する。包装袋は、少なくとも袋本体を有していれば良く、袋本体のみを有する一重袋であっても良く、袋本体および袋本体の外側に配置された外袋を有する二重袋であっても良く、袋本体および外袋の間に配置された中間袋を有する多重袋であっても良い。本開示においては、中でも、包装袋が、二重袋または多重袋であることがより好ましい。包装袋の強度を高くすることができるからである。
また、包装袋の形態としては、特に限定されず、一般的な包装袋の形態と同様とすることができる。例えば、
図1等に示す平面袋であっても良く、図示はしないが、ガセット袋であっても良い。
【0064】
1.袋本体
本開示における袋本体は、液体用フィルムで構成され、液体を収納するものである。
また、上記袋本体は、上記フィルムに設けられ、上記注出部材と接合された第1接合部と、上記袋本体の外周部に配置され、上記フィルムが重ね合わされて接合された外周部接合部とを有する。本開示においては、第1接合部が含フッ素接合性材料を含むことを特徴とする。本開示においては、少なくとも第1接合部が含フッ素接合性材料を含んでいれば良く、例えば、液体用フィルムにおける第1接合部のみが含フッ素接合性材料を含み、他の部分が含フッ素接合性材料以外の材料を含んでいても良い。また、例えば、液体用フィルムにおける第1接合部を含む全ての部分が含フッ素接合性材料を含んでいても良い。本開示においては、中でも、後者が好ましい。以下、液体用フィルムが、含フッ素接合性材料を含む含フッ素接合性材料フィルムである場合を例示して説明する。
【0065】
(1)液体用フィルム
本開示に用いられる液体用フィルムは、少なくとも一つの構成として、含フッ素接合性材料を含む含フッ素接合性材料フィルムを有する。すなわち、液体用フィルムは、含フッ素接合性材料フィルム層を有する。液体用フィルムは、含フッ素接合性材料フィルム層を有していれば良く、より具体的には、液体側の最内層に含フッ素接合性材料フィルム層を有していれば良い。液体用フィルムとしては、例えば、含フッ素接合性材料フィルム層のみから構成される単層フィルムであっても良く、含フッ素接合性材料フィルム層である第1液体用フィルム層、および含フッ素接合性材料以外の樹脂材料を含む第2液体用フィルム層から構成される積層フィルムであっても良い。また、液体用フィルムは、例えば、含フッ素接合性材料フィルム層および機能層から構成される機能性フィルムであっても良い。
【0066】
(a)単層フィルムの場合
液体用フィルムが、含フッ素接合性材料フィルム層のみから構成される単層フィルムである場合について説明する。
【0067】
ここで、「フィルムが、含フッ素接合性材料を含む」とは、フィルムの融点を、含フッ素接合性材料の融点と同等とすることができ、液体への不純物の溶出を抑制することができる程度であれば特に限定されない。含フッ素接合性材料の含有量は、液体収納用包装袋の用途に応じて適宜選択される。フィルム中の含フッ素接合性材料の含有量としては、例えば、70質量%以上、中でも80質量%以上、特に90質量%以上であることが好ましい。液体への不純物の溶出を抑制する効果が高いことから、含フッ素接合性材料の含有量は高いほど好ましい。
なお、フィルムの融点は、後述する含フッ素接合性材料の融点の測定方法と同様の方法により測定することができる。
【0068】
含フッ素接合性材料フィルム層は、含フッ素接合性材料のみを含有していてもよく、含フッ素接合性材料ではない樹脂をさらに含有していてもよい。液体への不純物の溶出を抑制する観点からは、含フッ素接合性材料のみを含有することがより好ましい。
【0069】
液体用フィルムは、含フッ素接合性材料フィルム層のみからなるものであればよく、通常、単層の含フッ素接合性材料フィルムが用いられる。
【0070】
(i)含フッ素接合性材料
含フッ素接合性材料は、融点が230℃以下の含フッ素樹脂材料である。
ここで、「含フッ素接合性材料」とは、融点が230℃以下であって、官能基を導入することで異なる材料との接合性を持たせた含フッ素樹脂材料である。ここで、「含フッ素樹脂材料」とは、フッ素を含むオレフィン(エチレン系炭化水素あるいは不飽和炭化水素)を重合して得られる合成樹脂材料である。含フッ素接合性材料においては、上述のフッ素を含むオレフィンとは異なる化合物によって樹脂の一部が変性されている。この変性はグラフト変性によるものでもよく、樹脂の高分子鎖末端に官能基を導入する方法によるものでもよく、共重合によるものでもよい。この共重合はランダム共重合でもよく、交互共重合でもよく、ブロック共重合でもよく、グラフト共重合でもよい。含フッ素接合性材料における変性量は0.01質量%以上、1質量%以下の程度が好ましい。
【0071】
含フッ素接合性材料は、融点が230℃以下であれば特に限定されない。すなわち、含フッ素接合性材料の融点としては、230℃以下であれば特に限定されず、中でも150℃以上、230℃以下、特に150℃以上、220℃以下であることが好ましい。含フッ素接合性材料の融点が上記値を超える場合は、加熱による負荷が大きくなることから、包装袋自体を製造することが困難となる可能性があるからである。また、包装袋を製造する際にかかる製造装置への負荷が大きくなることや、含フッ素接合性材料の熱分解ガスが生じやすくなることが懸念される。
含フッ素接合性材料の融点は、示差走査熱量測定(DSC)の吸熱ピークとし、JIS
K 6935に準拠した方法にて測定する。
【0072】
含フッ素接合性材料は、親和性材料の極性官能基と相互作用可能な官能基を有する。含フッ素接合性材料に含まれる官能基としては、例えば、無水コハク酸基などの酸無水物基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基などが挙げられる。カーボネート基としては、例えば、−OC(=O)OCH
3、−OC(=O)OC
3H
7、−OC(=O)OC
8H
17、−OC(=O)OCH
2CH
2OCH
2CH
3等を挙げることができる。
また、カルボン酸ハライド基としては、例えば、−COF、−COCl等を挙げることができる。
また、上記官能基としては、例えば、酸無水物残基を挙げることができる。酸無水物残基とは、酸無水物に基づく構造を有する官能基である。酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0073】
液体用フィルムに含まれる含フッ素接合性材料としては、より具体的には、エチレン・四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(EFEP)、低融点ETFE(LM−ETFE)等を挙げることができる。また、市販製品の例として旭硝子株式会社製のFluon(登録商標)LM−ETFE、ダイキン工業株式会社製のネオフロン(登録商標)EFEP等を挙げることができる。含フッ素接合性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。
【0074】
(ii)含フッ素接合性材料ではない樹脂
含フッ素接合性材料フィルム層においては、必要に応じて、含フッ素接合性材料ではない樹脂(他の樹脂)をさらに含有していてもよい。
【0075】
他の樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、EVOH、エチレン・メタアクリル酸共重合樹脂(EMAA)、変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
これらの含フッ素接合性材料ではない樹脂の具体例の中で、含フッ素接合性材料との接着性が高いことから、好ましくはポリアミド、EVOH、変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0076】
ポリアミドとしては、PA6、PA66、PA11、PA12、PA6/66等が挙げられる。これらのポリアミドの具体例の中で、含フッ素接合性材料と融点が近いことから、好ましくはPA6が挙げられる。なお、PA6の融点は例えば225℃である。
【0077】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などが挙げられる。
これらのポリエステルの具体例の中で、含フッ素接合性材料と融点が近いことから、好ましくはPBTが挙げられる。PBTの融点は例えば232℃以上、267℃以下である。
【0078】
市販製品としては、例えば、ポリアミドとしてデュポン社製のナイロン、EVOHとしてクラレ社製のエバール(登録商標)、変性ポリオレフィンとして、三井化学株式会社製のアドマー(登録商標)、三菱化学株式会社製のモディック(登録商標)、東ソー株式会社製のメルセンG(登録商標)、東洋紡株式会社製のハードレン(登録商標)等を挙げることができる。
【0079】
含フッ素接合性材料フィルム層中の他の樹脂の含有量としては、液体用フィルムの融点を含フッ素接合性材料の融点と同等とすることができ、液体への不純物の溶出を抑制することができれば特に限定されない。上述した含フッ素接合性材料の含有量に応じて適宜調整される。
【0080】
(iii)その他
液体用フィルムの厚さとしては、袋本体に由来する不純物の液体への溶出を抑制することが可能な程度の厚さであれば特に限定されず、包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
液体用フィルムの厚さとしては、例えば、5μm以上、120μm以下、中でも5μm以上、110μm以下、特に5μm以上、100μm以下であることが好ましい。液体用フィルムの厚さが薄すぎると、袋本体が破れ易くなる可能性があるからである。また、外周部接合部において液体用フィルム同士を十分に接合させることが困難となる可能性があるからである。また、液体用フィルムを良好に形成することが困難となる可能性があるからである。また、液体用フィルムの厚さが厚すぎると、包装袋の製造時において、液体用フィルムの積層部分における厚さ方向へ熱が伝わりにくくなることから、液体用フィルム同士を十分に接合させることが困難となる可能性や、時間が多くかかる可能性があるからである。また、液体用フィルムの厚さが厚すぎると、包装袋のフレキシブル性が低下する可能性があるからであり、液体収納用容器に用いた場合に外側容器に追従しにくくなる可能性があるからである。
【0081】
液体用フィルムの形成方法としては、一般的な樹脂フィルムの形成方法と同様とすることができ、例えば、溶融押出法を挙げることができる。液体用フィルムを複数の樹脂を用いて形成する方法としては、複数の樹脂を溶融混練して均一化した後に溶融した樹脂を押出機のヘッドから押し出してフィルムを形成する溶融混練押出法が挙げられる。溶融押出法および溶融混練押出法としては、具体的には、ヘッドとしてTダイを用いるTダイ法あるいはヘッドとして円形のダイを用い内部に空気を入れることで膨張させるインフレーション法が挙げられる。本開示においては、中でも、インフレーション法であることが好ましい。インフレーション法に用いる空気として清浄空気を用いることで液体用フィルムの内面に付着する粒子数を少なくすることができるからである。また、製造工程で液体用フィルムの内面が金属製ガイドロールなどに触れないために金属イオンによる汚染を防ぐことができるからである。
【0082】
(b)積層フィルムの場合
液体用フィルムが、含フッ素接合性材料フィルムである第1液体用フィルム、および含フッ素接合性材料以外の樹脂材料を含む第2液体用フィルムから構成される積層フィルムである場合について説明する。すなわち、液体用フィルムが、第1液体用フィルム層および第2液体用フィルム層を有する積層フィルムである場合について説明する。なお、
図8は、液体用フィルム21が、第1液体用フィルム211、および第2液体用フィルム212を有する袋本体2の例を示す。液体用フィルムが積層フィルムである場合、通常、第1液体用フィルムが液体側に配置され、第2液体用フィルムが液体側とは反対側に配置される。
【0083】
第1液体用フィルム層、すなわち第1液体用フィルムである含フッ素接合性材料フィルムについては、上述した単層の液体用フィルムの項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0084】
第2液体用フィルム層、すなわち第2液体用フィルムに用いられる樹脂材料フィルムとしては、第1液体用フィルムの一方の表面上に形成することができれば特に限定されないが、例えば、含フッ素接合性材料の融点と同等またはそれ以上の融点を有する樹脂を含む耐熱性樹脂材料フィルムが挙げられる。また、含フッ素接合性材料の融点と同等またはそれ以下の温度で接合可能(熱溶着可能)な樹脂を含む接合性樹脂材料フィルムが挙げられる。
なお、「含フッ素接合性材料の融点と同等の温度」とは、含フッ素接合性材料の融点に対して0.9倍以上、1.1倍以下の温度をいい、好ましくは、0.93倍以上、1.07倍以下の温度をいう。
【0085】
第2液体用フィルムが、耐熱性樹脂材料フィルムである場合、液体用フィルムの接合時における加熱に対する耐熱性を良好にすることができる。特に、袋本体が一重袋である場合は、第2液体用フィルムが耐熱性樹脂材料フィルムであることが好ましい。
耐熱性樹脂材料フィルムに用いられる樹脂材料の融点としては、例えば、230℃以上であり、中でも230℃以上、500℃以下であることが好ましい。耐熱用フィルムに含まれる樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)にて吸熱ピークとし、JIS K 6935に準拠した方法にて測定した値とする。
耐熱性樹脂材料フィルムに含まれる樹脂材料としては、より具体的には、PA66、PA11、PA12、PA6/66、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリイミド等を挙げることができる。
【0086】
一方、第2液体用フィルムが、接合性樹脂材料フィルムである場合は、例えば、袋本体が二重袋または多重袋である場合において、外層フィルムおよび中間フィルムとして汎用の樹脂フィルムを用いやすい。接合性樹脂材料フィルムに用いられる樹脂材料の熱溶着温度としては、例えば、230℃以下であることが好ましく、中でも80℃以上、230℃以下、特に80℃以上、220℃以下であることが好ましい。なお、熱溶着温度とは、接合性樹脂材料フィルムを接合させる際に加える加熱温度をいう。
【0087】
接合性樹脂材料フィルムに用いられる樹脂材料としては、上記含フッ素接合性材料の融点と同等またはそれ以下の温度で接合可能なものであれば特に限定されない。このような樹脂材料としては、例えば、PA6、PA11、PA12、PA6/66、PVDC、EVOH、変性ポリエチレン等を用いることができる。
【0088】
第2液体用フィルムの厚さとしては、第1液体用フィルムと積層させて液体用フィルムを構成することができ、袋本体を形成することが可能な程度の厚さであれば特に限定されず、本開示の包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
第2液体用フィルムの厚さとしては、例えば、10μm以上、100μm以下、中でも15μm以上、90μm以下、特に20μm以上、80μm以下であることが好ましい。第2液体用フィルムの厚さが薄すぎると、第1液体用フィルムと積層させて良好なフィルム状とすることが困難となる可能性があるからである。また、袋本体に十分な強度を付与することが困難となる可能性があるからである。また、第2液体用フィルムの厚さが厚すぎると、熱溶着法を用いて、袋本体を形成することが困難となる可能性があるからである。
【0089】
液体用フィルムが積層フィルムである場合、積層フィルムの厚さとしては、例えば、15μm以上、150μm以下、中でも20μm以上、〜130μm以下、特に20μm以上、〜100μm以下であることが好ましい。
【0090】
液体用フィルムが積層フィルムである場合、その形成方法としては、第1液体用フィルムおよび第2液体用フィルムを積層させて形成することができる方法であれば特に限定されず、一般的な積層フィルムの形成方法と同様とすることができる。液体用フィルムの形成方法としては、例えば、インフレーション法による共押出法、Tダイ法による共押出法等の共押出法等の押出機のヘッドとして多層ダイを用い異なる樹脂を同時に供給する共押出積層成形法、樹脂を溶融してTダイヘッドからフィルム状に押し出したものを異なる樹脂からなるフィルム基材にラミネートする押出コートラミネート法、接着剤を用いて張り合わせるドライラミネート法等を挙げることができる。また、例えば、第1液体用フィルムおよび第2液体用フィルムを別々に形成し、両者を対向させて熱プレス機により熱圧着させることによっても液体用フィルムを形成することができる。中でもインフレーション法による共押出法であることが好ましい。上述したように、液体用フィルムの内面に付着する粒子数を少なくすることができるからである。また、金属イオンによる汚染を防ぐことができるからである。さらにまた、液体用フィルムをチューブ状に形成することができるため、第1液体用フィルムおよび第2液体用フィルムをチューブ状に形成し、チューブの両端に外周部接合部を形成することで、接合部分を少なくして包装袋とすることができる。
【0091】
なお、液体用フィルムが積層フィルムである場合は、例えば、複数の含フッ素接合性材料フィルム層が積層された積層フィルムであってもよい。
【0092】
(c)機能性フィルムである場合
液体用フィルムが、例えば、含フッ素接合性材料フィルム層および機能層から構成される機能性フィルムである場合について説明する。液体用フィルムが機能性フィルムである場合、通常、含フッ素接合性材料フィルム層が液体側の最内層に配置され、機能層が液体側とは反対側に配置される。本開示において、液体用フィルムが、上記液体側とは反対側に配置された機能層をさらに有している場合、例えば、ガス、水分等に対するバリア機能等の機能を付与することができる。
【0093】
機能層の機能としては、例えば、紫外光等の特定波長を吸収する光吸収機能、ガス、水分等に対するバリア機能、耐衝撃機能、帯電防止機能を挙げることができる。
【0094】
機能層に用いられる材料としては、樹脂材料であっても良く、無機材料であっても良い。
無機材料としては、例えば、アルミニウム、アルミナ、シリカ(透明蒸着)等を挙げることができる。
一方、樹脂材料としては、例えば、PET、PBT、PA6、PA11、PA12、PA66、PA6/66、PE、PVA、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVOH等を挙げることができる。
【0095】
機能層の厚さとしては、例えば、10μm以上、100μm以下、中でも10μm以上、80μm以下、特に10μm以上、60μm以下であることが好ましい。
【0096】
なお、液体用フィルムが、上述した積層フィルムである場合は、例えば、第1液体用フィルムおよび第2液体用フィルムの間に機能層が形成されていても良い。
【0097】
機能層の形成方法としては、例えば、機能層が樹脂材料から構成される場合は、上述した積層フィルムの形成方法を用いて形成することができる。一方、機能層が無機材料から構成される場合は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法等の蒸着法を用いることができる。
【0098】
(2)第1接合部
本開示における第1接合部は、注出部材の第2接合部と接合されたものである。第1接合部は、液体用フィルムの表面に配置されるものである。
【0099】
袋本体における具体的な第1接合部の配置としては、注出部材の形状に応じて適宜選択することができる。例えば、
図2(b)、
図5(b)に示すように、第1接合部22は液体用フィルム21の液体側の表面に配置されていても良く、
図5(c)に示すように、第1接合部22は液体用フィルム21の液体側とは反対側の表面に配置されていても良い。なお、第1接合部が液体側とは反対側の表面に配置される場合、液体用フィルム21としては上述した単層フィルムが用いられる。また、
図2に示すように、第1接合部22は外周部接合部23の一部に配置されていても良い。
【0100】
(3)外周部接合部
外部接合部は、上記袋本体の外周部に配置され、上記液体用フィルムが重ね合わされて接合されたものである。外周部接合部においては、通常、液体用フィルム同士が重ね合わされて接合されている。
【0101】
外周部接合部の形成位置としては、液体用フィルムの形態および袋本体の形態に応じて適宜選択することができる。例えば、液体用フィルムがシート状である場合において、シート状の液体用フィルムを2枚準備し、液体用フィルム同士が対向するように2枚重ね合わせた場合は、
図1に示すように、袋本体1の外周部を囲むように4辺に外周部接合部23を形成することができる。また、シート状の液体用フィルムを1枚準備し、液体用フィルムを折り曲げて重ね合わせた場合は、3辺に外周部接合部を形成することができる。
また、液体用フィルムがチューブ状である場合は、後述する
図9(a)に示すように、チューブの端部である2辺に外周部接合部23を形成することができる。
さらに、液体用フィルムがチューブ状でありガセット形状に折り畳まれている場合には、側面にマチを設けたガセット袋を形成するようチューブの端部である2辺に外周部接合部を形成してもよい。
【0102】
また、外周部接合部において、袋本体の内縁角部に設けられる部分については、
図1等に示すように直線状に設けられていてもよく、
図9(a)に示すように弧状に設けられていてもよい。外周部接合部における上記内縁角部は弧状に設けられている場合は、液体が上記内縁角部に残存しにくいものとすることができる。
【0103】
また、注出部材が外周部接合部の一部に接合される場合、
図1に示すように、外周部接合部23としては、その注出部材3との接合部分における幅x1と、両端の幅x2とが等幅に設けられていても良い。また、
図9に示すように、外周部接合部23としては、その注出部材3との接合部分における幅x1に対して、両端の幅x2が大きくなるようにテーパー状に設けられていても良い。また、図示はしないが、接合部部分の幅と両端の幅との間における外周部接合部の幅が、接合部部分の幅および両端の幅よりも広く設けられていても良い。
【0104】
外周部接合部の幅としては、液体用フィルム同士を接合させることができれば特に限定されず、包装袋の用途等に応じて適宜選択することができる。
外周部接合部の幅としては、具体的には、5mm以上、40mm以下、中でも5mm以上、35mm以下、特に5mm以上、30mm以下であることが好ましい。外周部接合部の幅が小さすぎる場合は、十分なシール強度を得ることが困難となる可能性があるからであり、外周部接合部の幅が大きすぎる場合は、袋内部の容積を確保するために袋全体をサイズアップする必要があることから、ハンドリング性が低下する可能性があるからである。外周部接合部の幅とは、外周部接合部における最小の幅をいう。
【0105】
外周部接合部における液体用フィルム同士の接着強度としては、袋本体の内部に液体を収納して保持することが可能な程度であれば特に限定されない。
外周部接合部における液体用フィルム同士の接合部の接着強度としては、例えば、15N/15mm以上、中でも20N/15mm以上、特に30N/15mm以上であることが好ましい。接着強度が小さすぎる場合は、本開示の包装袋の内部に収納する液体の重さで破袋してしまう可能性があるからである。また、上記接着強度としては、例えば、80N/15mm以下であることが好ましい。包装袋の製造における熱溶着時間、熱溶着温度を調整しやすいからである。
上記接着強度は、移動速度を300mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJISZ0238に準拠して実施するT形はく離接着強さ試験で測定することができる。
【0106】
外周部接合部の形成方法としては、液体用フィルム同士を接合させることができれば特に限定されず、一般的な溶着法を用いることができる。溶着法としては、例えば、超音波溶着法;振動溶着法;誘導溶着法;高周波溶着法;半導体レーザー溶着法;スピン溶着法;熱板溶着法、インパルス溶着法、コテ式溶着法等の熱溶着法を挙げることができる。
超音波溶着法は、例えば、15キロヘルツ以上、50キロヘルツ以下の程度の超音波振動を圧力とともにフィルム(部材)に加えることで、フィルムに生じる摩擦熱によりフィルムを加熱し接合する方法である。振動溶着法は、100ヘルツ以上、300ヘルツ以下の程度の低い周波数を用い、振幅の大きい横振動をフィルムに伝えることでフィルムに生じる摩擦熱によりフィルムを加熱し接合する方法である。誘導溶着法は電磁誘導コイルを利用して物理的に離れている被誘導体に電流が流れる電磁誘導を用いフィルムに生じる誘導加熱によりフィルムを加熱し接合する方法である。半導体レーザー溶着法は、光を通す透過性樹脂と光を吸収する吸収性樹脂とを適度な圧力で重ね合わせレーザーを照射することで、吸収性樹脂が発熱する光加熱によりフィルムを加熱し接合する方法である。スピン溶着法は、接触面で発生する摩擦熱によりフィルムを加熱し接合する方法である。
また、熱溶着法のうち、熱板溶着法は、ヒーターを使用して加熱した熱板をフィルムに直接押し当てることで、熱伝導の作用によりフィルムを加熱し接合する方法である。インパルス溶着法は、フィルムにヒーター線を加圧して瞬間的に大電流を流して発熱させることでフィルムを加熱し接合する方法である。コテ式溶着法は、対向するフィルムの間にコテと呼ばれる加熱板を挿入することでフィルムを加熱しローラーの加圧により接合する方法である。
本開示に用いられる溶着法としては、中でも、熱溶着法であることが好ましい。液体用フィルムを形成し易いからである。なお、熱溶着法は、ヒートシールともいう。
【0107】
ヒートシールに用いられるヒートシール機については公知の方法とすることができる。
【0108】
2.外袋
本開示においては、上記液体収納用包装袋は、上記袋本体と、上記袋本体の外側に配置され、外層フィルムで構成された外袋と、を有することが好ましい。本開示の液体収納用包装袋の強度を高くすることができるからである。
【0109】
本開示の包装袋は、例えば、
図9(a)、(b)に示すように、袋本体2と、袋本体2の外側に配置され外層フィルム41で構成された外袋4を有していても良い。外袋を有することにより、本開示の包装袋の強度を高くすることができる。なお、
図9(a)、(b)は本開示の包装袋の他の例を示す模式図およびX−X線断面図である。
【0110】
袋本体が外袋を有する場合、袋本体の液体用フィルムと外袋の外装フィルムとが、上述した外周部接合部で重ね合わされて接合されていることが好ましい。この場合、外周部接合部では、袋本体と外袋とが一体で構成される。
【0111】
外袋に用いられる外層フィルムについて説明する。
本開示に用いられる外層フィルムとしては、袋本体の外側に外袋を形成することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、液体用フィルムと接合可能な樹脂材料を含むフィルムを有することが好ましい。液体用フィルムと外層フィルムとを重ね合わせて接合することにより、袋本体と外袋とを同時に形成することができるからである。
例えば、
図9(a)、(b)に示すように、外層フィルム41としては、液体用フィルムと接合可能な樹脂材料を含むフィルムである第1外層フィルム411と、耐熱性樹脂材料フィルムである第2外層フィルム412とから構成される積層フィルムであることが好ましい。すなわち、第1外層フィルム層および第2外層フィルム層を有する積層フィルムであることが好ましい。用途に応じては第1外層フィルムのみとすることもできる。
【0112】
第1外層フィルム層、すなわち第1外層フィルムに含まれる樹脂材料は、液体用フィルムの構成により適宜選択される。第1外層フィルムに含まれる樹脂材料としては、上述した含フッ素接合性材料、親和性材料を挙げることができる。また、第1外層フィルムとしては、接合性樹脂材料フィルムを用いることができる。例えば、液体用フィルムが単層フィルムである場合は、第1外層フィルムに含まれる樹脂材料は、含フッ素接合性材料であることが好ましい。一方、液体用フィルムが、接合性樹脂フィルムである第2液体用フィルムを有する場合は、第1外層フィルムは、接合性樹脂材料フィルムであることが好ましい。
【0113】
第2外層フィルム層、すなわち第2外層フィルムについては、「1.袋本体」の項で説明した耐熱性樹脂材料フィルムの内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0114】
外層フィルムは、第1外層フィルムおよび第2外層フィルムの間に、外層用機能層を有していても良い。外層用機能層については、「1.袋本体」の項で説明した機能層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0115】
外層フィルムの厚さとしては、例えば、15μm以上、150μm以下、中でも20μm以上、130μm以下、特に20μm以上、100μm以下であることが好ましい。
外層フィルムの厚さが薄すぎる場合は、本開示の包装袋に液体を充填した場合に、液体の重量によって外袋が破れる可能性があるからである。また、外層フィルムの厚さが厚すぎる場合は、本開示の包装袋を製造しにくくなる可能性があるからである。また、包装袋のフレキシブル性が低下し、液体収納用容器に追従しにくくなる可能性があるからである。
【0116】
3.中間袋
本開示の包装袋は、袋本体と、外袋と、袋本体および外袋の間に配置された中間袋とを有していても良い。本開示においては、中間袋を有することにより、包装袋の強度をより高くすることができる。中間フィルムの層構成については、液体用フィルムおよび外層フィルムの構成に応じて適宜選択される。
【0117】
また、本開示における中間袋は、袋本体と外袋との間に1つ配置されていてもよく、2つ以上配置されていてもよい。すなわち、本開示の包装袋は、3重構造を有していてもよく、それ以上の多重構造を有していてもよい。
【0118】
IV.その他の構成
本開示の包装袋は、上述した袋本体と、注出部材とを有するものであれば特に限定されず、必要に応じて他の構成を適宜選択して追加することができる。
例えば、注出部材を覆う蓋等を挙げることができる。
【0119】
V.包装袋
本開示の包装袋の製造方法としては、上述した構成を有する包装袋を製造することができれば特に限定されず、通常、袋本体と注出部材とを熱溶着法を用いて接合させる接合工程を有する方法を挙げることができる。
【0120】
本開示の包装袋は、通常、液体収納用容器における外側容器内に配置されて用いられる。液体収納用容器については、一般的なものを用いることができ、外側容器としては、一般的な液体収納用容器に用いられるものと同様とすることができ、金属製、合成樹脂製、紙製等の外側容器を挙げることができる。より具体的には、外側容器としては、キャニスター缶、ポリボトル、段ボールの筐体等の挙げることができる。
【0121】
本開示の包装袋は、通常、薬液の収納に用いられる。本開示の包装袋を用いることが可能な薬液としては、例えば、フォトレジスト、エッチング液、化学蒸着試薬、溶剤、ウェハ等の洗浄液、リチウムイオン電池等に用いられる電解液等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0122】
B.注出部材
本開示の注出部材は、フィルムで構成され液体を収納する袋本体と、注出口を有する注出部材とを備える液体収納用包装袋に用いられる注出部材であって、上記注出部材は、上記袋本体と接合される接合部位を有し、上記接合部位は、含フッ素接合性材料と親和性を有する親和性材料を含み、上記含フッ素接合性材料は、融点が230℃以下の含フッ素樹脂材料であり、上記親和性材料は、アミド結合、ハロゲノ基、水酸基、環状無水物基、およびシアノ基の少なくとも一つの極性官能基を含む樹脂材料であることを特徴とする。
【0123】
本開示によれば、注出部材が上述した親和性材料を含むことにより、袋本体のフィルムとして、上述した含フッ素接合性材料を含む袋本体との密着性を良好にすることができる。よって、袋本体および注出部材を良好に接合させることができる。
なお、注出部材の詳細については、上述した「A.薬液収納用包装袋 II.注出部材」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0124】
C.物品
本開示の物品は、上述した「A.薬液収納用包装袋」の液体収納用包装袋と、上記袋本体に充填された液体とを有することを特徴とする。
【0125】
本開示によれば、液体が上述した液体収納用包装袋に充填されていることにより、良好に液体が保持された物品とすることができる。
なお、液体の詳細については、上述した「A.薬液収納用包装袋 V.包装袋」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0126】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0127】
以下、実施例および比較例を挙げて、本開示の包装袋の詳細について説明する。
【0128】
[実施例1−1〜実施例1−6]
EFEPフィルム(厚さ15μm)を準備し、
図2に示す袋本体を作製した。また、
図3に示す注出部材を硬質PA(PA12)で作製した。袋本体および注出部材を熱板溶着法によるヒートシール装置を用いて熱溶着温度230℃で熱溶着した。以上の工程により、液体収納用包装袋を作製した。
また、袋本体のフィルムに含まれる樹脂(袋本体の材料)、および注出部材に含まれる樹脂(注出部材の材料)を表1の組み合わせとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして液体収納用包装袋を作製した。
なお、EFEPフィルムはダイキン工業株式会社製のネオフロン(登録商標)EFEPによるEFEPフィルム、LM−ETFEフィルムは旭硝子株式会社製のFluon(登録商標)LM−ETFE、PA12はアルケマ株式会社のRilsan(登録商標)A、PA11はアルケマ株式会社のRilsan(登録商標)B、硬質EVOHは日本合成化学株式会社のソアライト(登録商標)とした。
【0129】
【表1】
【0130】
[実施例1−7〜実施例1−18]
図6(a)に示すように、注出部材の取付部に接合層(厚さ:50μm)が形成された注出部材を形成し、袋本体の材料、接合層の材料および注出部材の材料を表2の組み合わせとしたこと以外は実施例1−1と同様にして、液体収納用包装袋を作製した。
なお、EVOHはクラレ株式会社によるEF−F、PAは東レ株式会社のPA6であるレイファン(登録商標)ナイロンフィルムを用いた。
【0131】
【表2】
【0132】
[実施例1−19〜実施例1−30]
図6(b)に示すように、注出部材の取付部に防汚部および防湿部が形成された注出部材を形成し、袋本体の材料、接合層の材料および注出部材の材料を表3の組み合わせとしたこと以外は実施例1−1と同様にして、液体収納用包装袋を作製した。
【0133】
【表3】
【0134】
実施例1−1〜実施例1−30において用いられた親和性材料のSP値を表4に示す。
【0135】
【表4】
【0136】
[実施例2−1〜実施例2−6]
図5(b)に示す注出部材を形成したこと、袋本体の材料および注出部材の材料を表5の組み合わせとしたこと以外は実施例1と同様にして液体収納用包装袋を作製した。注出部材および袋本体の位置関係は、
図5(b)のように、袋本体の液体側に注出部材を配置した。
【0137】
【表5】
【0138】
[実施例2−7〜実施例2−18]
図5(b)に示す注出部材を形成したこと、袋本体および注出部材の間に接合層を設けたこと、ならびに袋本体の材料、接合層の材料、および注出部材の材料を表6の組み合わせとしたこと以外は実施例2−1と同様にして液体収納用包装袋を作製した。
【0139】
【表6】
【0140】
[実施例2−19〜実施例2−30]
図6(c)に示すように、注出部材の取付部に防汚部および防湿部が形成された注出部材を形成し、袋本体の材料、接合層の材料および注出部材の材料を表7の組み合わせとしたこと以外は実施例2−1と同様にして、液体収納用包装袋を作製した。
【0141】
【表7】
【0142】
[実施例3−1〜実施例3−6]
図5(c)に示す注出部材を形成したこと、袋本体の材料および注出部材の材料を表4の組み合わせとしたこと以外は実施例1−1と同様にして液体収納用包装袋を作製した。注出部材および袋本体の位置関係は、
図5(c)のように、袋本体の液体側に注出部材を配置した。
【0143】
【表8】
【0144】
[実施例3−7〜実施例3−18]
注出部材および袋本体の間に接合層を設けたこと以外は、実施例3−1と同様にして、液体収納用包装袋を作製した。
【0145】
【表9】
【0146】
各実施例で得られた液体収納用包装袋においては、いずれも袋本体および注出部材を良好に接合できることが確認された。
【0147】
[比較例1〜6]
袋本体の材料、および注出部材の材料を表10の組み合わせとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして液体収納用包装袋を作製した。比較例1から比較例6の場合、袋本体と注出部材とは熱溶着できなかった。比較例7と比較例8との場合、袋本体と注出部材との熱溶着は可能であった。しかしそれらの間の熱溶着強度が低く、熱溶着として不良であった。なお、PEのSP値は15.76MPa
1/2、PPのSP値は18.8MPa
1/2である。
【0148】
【表10】