特許第6245448号(P6245448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245448
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】エンジンの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20171204BHJP
   F02D 17/00 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 21/00 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 41/02 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 9/04 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 9/06 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F02D29/02 321C
   F02D17/00 B
   F02D17/00 G
   F02D21/00
   F02D23/00 F
   F02D23/00 Z
   F02D41/02 370
   F02D41/02 375
   F02D45/00 310G
   F02D9/02 C
   F02D9/02 325A
   F02D9/04 G
   F02D9/06 G
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-198923(P2014-198923)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-70140(P2016-70140A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】立石 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹
(72)【発明者】
【氏名】菅野 宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 壮太郎
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02317100(EP,A1)
【文献】 特開2009−074390(JP,A)
【文献】 特開2000−240483(JP,A)
【文献】 特開2008−291784(JP,A)
【文献】 特開2013−170564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/00 − 29/06
41/00 − 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの制御装置であって、
エンジン停止要求が発せられたときに、エンジンの吸気通路を通過する吸気の流量を調整する吸気制御バルブを全閉にする制御を行う吸気制御バルブ制御手段と、
上記吸気制御バルブ制御手段によって上記吸気制御バルブが全閉にされた後にエンジン回転数が目標回転数に到達するように、エンジン回転数を上昇させる制御を行うエンジン回転数上昇制御手段と、
上記エンジン回転数上昇制御手段による制御後に、燃料噴射を停止させる燃料噴射停止手段と、
を有し、
上記エンジンには、エンジンの駆動力により発電するオルタネータが設けられ、
上記エンジン停止要求が発せられたときに、上記オルタネータの負荷を増加させる制御を行うオルタネータ制御手段を更に有し、このオルタネータ制御手段は、上記エンジン停止要求が発せられたタイミングで上記オルタネータの作動を停止し、上記エンジン停止要求が発せられたタイミングから所定時間経過後に、上記オルタネータの作動を開始して、上記オルタネータの負荷を増加させる、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項2】
エンジンの制御装置であって、
エンジン停止要求が発せられたときに、エンジンの吸気通路を通過する吸気の流量を調整する吸気制御バルブを全閉にする制御を行う吸気制御バルブ制御手段と、
上記吸気制御バルブ制御手段によって上記吸気制御バルブが全閉にされた後にエンジン回転数が目標回転数に到達するように、エンジン回転数を上昇させる制御を行うエンジン回転数上昇制御手段と、
上記エンジン回転数上昇制御手段による制御後に、燃料噴射を停止させる燃料噴射停止手段と、
を有し、
上記吸気制御バルブ制御手段は、完全な全閉状態ではない制御上の全閉位置に上記吸気制御バルブを設定した後、この制御上の全閉位置から上記吸気制御バルブを更に閉じ込み、完全な全閉状態である機械的な全閉位置に上記吸気制御バルブを設定する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項3】
上記エンジンには、過給圧を調整可能な可動式のフラップを備えるターボ過給機が設けられ、
上記エンジン停止要求が発せられたときに、上記ターボ過給機のフラップを全閉に制御するフラップ制御手段を更に有する請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
【請求項4】
上記エンジン停止要求が発せられたときに、エアコンの負荷を増加させる制御を行うエアコン制御手段を更に有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項5】
上記エンジンには、排気通路を通過する排気ガスの流量を調整する排気シャッター弁が設けられ、
上記エンジン停止要求が発せられたときに、上記排気シャッター弁を閉じる排気シャッター弁制御手段を更に有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項6】
上記エンジンには、排気通路内の排気ガスを吸気通路に還流させるEGR通路と、このEGR通路を通過する排気ガスの流量を調整するEGRバルブとを備えるEGR装置が設けられ、
上記エンジン停止要求が発せられたときに、上記EGR装置のEGRバルブを閉じる制御を行うEGRバルブ制御手段を更に有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項7】
上記エンジン回転数上昇制御手段は、燃料噴射量を増量させる制御を行って、エンジン回転数を上昇させる、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項8】
上記エンジンの制御装置は、吸気を冷却するインタークーラの上流側の吸気通路上に上記吸気制御バルブが設けられたエンジンに適用される、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【請求項9】
上記エンジンの制御装置は、ディーゼルエンジンに適用される、請求項1乃至のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、エンジンの停止制御を実行するエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの停止時においてエンジン回転数が徐々に低下していく際に、エンジンとそのマウントが共振して、車両に振動が発生する場合があることが知られている。具体的には、このような共振が生じる周波数域(以下では「共振周波数域」と呼ぶ。)が低回転数域に存在しており、エンジン回転数の低下時にこの共振周波数域を通過する際に振動が発生する場合がある。
【0003】
このようなエンジン停止時の振動の抑制を図った技術が、例えば特許文献1に提案されている。特許文献1には、エンジン停止条件の成立時に、まずエンジン回転数を上昇させ、その後にスロットルバルブを閉方向に操作して、その後にエンジンを停止させる技術が提案されている。こうすることで、1サイクル当たりの吸入空気量を少なくして、エンジンの圧縮行程及び膨張行程での仕事変化を軽減することにより、エンジンの回転変動を抑えて、エンジン停止時の振動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−240483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された技術では、エンジン回転数を上昇させてからスロットルバルブを閉方向に操作することで吸気通路内に負圧を生成しているが、この手法では、吸気通路内に十分な負圧を生成するのに時間がかかっていた(言い換えると吸気通路内の圧力を速やかに低下させることができなかった)。共振周波数域において生じる振動の振幅は吸気通路内の負圧と相関があるので、具体的には負圧が小さいと振動の振幅が大きくなるので、特許文献1に記載された技術では、エンジン回転数が共振周波数域を通過する際に十分な負圧が生成されずに、振動の振幅を適切に低減することができなかった。また、特許文献1に記載された技術では、十分な負圧の生成に時間がかかるため、エンジン回転数を0まで低下させるのに時間がかかっていた。そのため、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間が長くなり、振動を適切に抑制することができなかった。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、エンジンの停止時に、吸気通路内の負圧を速やかに上昇させて、車両に生じる振動を適切に抑制することができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンの制御装置であって、エンジン停止要求が発せられたときに、エンジンの吸気通路を通過する吸気の流量を調整する吸気制御バルブを全閉にする制御を行う吸気制御バルブ制御手段と、吸気制御バルブ制御手段によって吸気制御バルブが全閉にされた後に、エンジン回転数が目標回転数に到達するように、エンジン回転数を上昇させる制御を行うエンジン回転数上昇制御手段と、エンジン回転数上昇制御手段による制御後に、燃料噴射を停止させる燃料噴射停止手段と、を有し、エンジンには、エンジンの駆動力により発電するオルタネータが設けられ、エンジン停止要求が発せられたときに、オルタネータの負荷を増加させる制御を行うオルタネータ制御手段を更に有し、このオルタネータ制御手段は、エンジン停止要求が発せられたタイミングでオルタネータの作動を停止し、エンジン停止要求が発せられたタイミングから所定時間経過後に、オルタネータの作動を開始して、上記オルタネータの負荷を増加させる、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、エンジン停止要求時に、吸気制御バルブを全閉にする制御を行うと共に、吸気制御バルブが全閉にされた後にエンジン回転数が目標回転数に到達するように、エンジン回転数を上昇させる制御を行うので、エンジン回転数の上昇により吸い込み能力(吸気能力)が高まった状態にあるエンジンによって、全閉となった吸気制御バルブからエンジンまでの吸気通路内のガスが吸い込まれることで、エンジンのインテークマニホールド内の負圧(インマニ負圧)を速やかに上昇させることができる。これにより、共振周波数域において生じる振動の振幅を低減することができる。また、エンジンのピストンが下降動作を行う際(つまり吸気行程及び膨張行程)において働く抵抗が大きくなり、エンジン回転数が速やかに低下するので、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間を短縮することができる。以上より、本発明によれば、エンジン停止時に車両に生じる振動を適切に抑制することが可能となる。
また、本発明においては、エンジン停止要求時にオルタネータの負荷を増加させて、エンジンに付与される負荷を増加させるので、エンジン回転数を効果的に低下させることができる。よって、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間をより短縮することができ、エンジン停止時に車両に生じる振動を効果的に抑制することが可能となる。更に、本発明においては、エンジン停止要求が発せられたタイミングでオルタネータの作動を一旦停止し、このタイミングから所定時間経過後にオルタネータの作動を開始するので、オルタネータの発電電力が供給されるバッテリの電圧が急激に上昇することなどを防止することができる。
他の観点では、本発明は、エンジンの制御装置であって、エンジン停止要求が発せられたときに、エンジンの吸気通路を通過する吸気の流量を調整する吸気制御バルブを全閉にする制御を行う吸気制御バルブ制御手段と、吸気制御バルブ制御手段によって吸気制御バルブが全閉にされた後にエンジン回転数が目標回転数に到達するように、エンジン回転数を上昇させる制御を行うエンジン回転数上昇制御手段と、エンジン回転数上昇制御手段による制御後に、燃料噴射を停止させる燃料噴射停止手段と、を有し、吸気制御バルブ制御手段は、完全な全閉状態ではない制御上の全閉位置に吸気制御バルブを設定した後、この制御上の全閉位置から吸気制御バルブを更に閉じ込み、完全な全閉状態である機械的な全閉位置に吸気制御バルブを設定する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明においては、制御上の全閉位置に吸気制御バルブを一旦設定した後、この制御上の全閉位置から更に吸気制御バルブを閉じ込んで、機械的な全閉位置に吸気制御バルブを設定するので、吸気制御バルブに過剰に負荷がかかることを抑制しつつ、吸気制御バルブを通じたガスの流れを遮断してインマニ負圧を効果的に上昇させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、エンジンには、過給圧を調整可能な可動式のフラップを備えるターボ過給機が設けられ、エンジン停止要求が発せられたときに、ターボ過給機のフラップを全閉に制御するフラップ制御手段を更に有する。
このように構成された本発明においては、エンジン停止要求時にターボ過給機のフラップを全閉にして、排気通路内の排気圧力を上昇させるので、エンジンのピストンが上昇動作を行う際(つまり圧縮行程及び排気行程)において働く抵抗が大きくなり、エンジン回転数を効果的に低下させることができる。よって、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間をより短縮することができ、エンジン停止時に車両に生じる振動を効果的に抑制することが可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、エンジン停止要求が発せられたときに、エアコンの負荷を増加させる制御を行うエアコン制御手段を更に有する。
このように構成された本発明においては、エンジン停止要求時にエアコンの負荷を増加させて、エンジンに付与される負荷を増加させるので、エンジン回転数を効果的に低下させることができ、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間をより短縮することが可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、エンジンには、排気通路を通過する排気ガスの流量を調整する排気シャッター弁が設けられ、エンジン停止要求が発せられたときに、排気シャッター弁を閉じる排気シャッター弁制御手段を更に有する。
このように構成された本発明においては、エンジン停止要求時に排気シャッター弁を全閉にして、排気通路内の排気圧力を上昇させるので、エンジン回転数を効果的に低下させることができ、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間をより短縮することが可能となる。
【0013】
本発明において、好ましくは、エンジンには、排気通路内の排気ガスを吸気通路に還流させるEGR通路と、このEGR通路を通過する排気ガスの流量を調整するEGRバルブとを備えるEGR装置が設けられ、エンジン停止要求が発せられたときに、EGR装置のEGRバルブを閉じる制御を行うEGRバルブ制御手段を更に有する。
このように構成された本発明においては、エンジン停止要求時にEGRバルブを閉じるので、排気通路と吸気通路との間でのガスの流れを遮断して、上述したインマニ負圧や排気圧力などに与える影響(具体的にはインマニ負圧の低下や排気圧力の低下)を抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、エンジン回転数上昇制御手段は、燃料噴射量を増量させる制御を行って、エンジン回転数を上昇させる。
このように構成された本発明においては、燃料噴射量を増量させることで、エンジン回転数を確実に目標回転数にまで到達させることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、エンジンの制御装置は、吸気を冷却するインタークーラの上流側の吸気通路上に吸気制御バルブが設けられたエンジンに適用される。
このように構成された本発明においては、吸気制御バルブがインタークーラの上流側に設けられているため、吸気制御バルブがインタークーラの下流側に設けられた構成と比較して、エンジンと吸気制御バルブとの間の通路の容積が大きいので、吸気制御バルブを閉じるだけではインマニ負圧を速やかに生成することが困難であるが、本発明では、上述したように吸気制御バルブを全閉にすると共にエンジン回転数を上昇させる制御を行うので、インマニ負圧を速やかに上昇させることができる。つまり、本発明によれば、レイアウト上などの理由から、吸気制御バルブをインタークーラの上流側に設けた構成でも、インマニ負圧を適切に上昇させることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、エンジンの制御装置は、ディーゼルエンジンに適用される。
このように構成された本発明においては、エンジンがディーゼルエンジンであるため、吸気制御バルブを全閉にした状態(つまりエンジンに供給される空気量が減らされた状態)で、エンジン回転数を上昇させるべく燃料噴射量を増量しても、エンジンで適切に燃焼を行わせて、エンジン回転数を上昇させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のエンジンの制御装置によれば、エンジンの停止時に、吸気通路内の負圧を速やかに上昇させて、車両に生じる振動を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態によるターボ過給機のタービン室を拡大した縦断面図である。
図3】本発明の実施形態による高圧EGR領域、低圧EGR領域及び非EGR領域の説明図である。
図4】本発明の実施形態による基本制御を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態によるエンジン停止制御におけるタイムチャートである。
図6】本発明の実施形態によるエンジン停止制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置について説明する。
【0021】
<システム構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、エンジンシステム200は、主に、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出する排気系EXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ99〜122と、エンジンシステム200の制御を行うECU(Electronic Control Unit)60と、を有する。
【0023】
まず、吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有しており、この吸気通路1上には、上流側から順に、外部から導入された空気を浄化するエアクリーナ3と、通過する吸気を圧縮して吸気圧を上昇させる、ターボ過給機5のコンプレッサ5aと、通過する吸気流量を調整する吸気シャッター弁7と、例えばインテークマニホールドに内蔵され、通水された冷却水を用いて吸気を冷却する水冷式のインタークーラ8と、インタークーラ8に通水する冷却水の流量を制御する電動ウォータポンプ9と、インタークーラ8と電動ウォータポンプ9とを接続し、これらの間で冷却水を循環させる通路である冷却水通路10と、エンジンEに供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク12と、が設けられている。
また、吸気系INにおいては、エアクリーナ3の直下流側の吸気通路1上には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101と吸気温度を検出する吸気温度センサ102とが設けられ、ターボ過給機5のコンプレッサ5aには、このコンプレッサ5aの回転数(ターボ回転数)を検出するターボ回転数センサ103が設けられ、吸気シャッター弁7には、この吸気シャッター弁7の開度を検出する吸気シャッター弁位置センサ105が設けられ、インタークーラ8の直下流側の吸気通路1上には、吸気温度を検出する吸気温度センサ106と吸気圧を検出する吸気圧センサ107とが設けられ、サージタンク12には、吸気マニホールド温度センサ108が設けられている。これらの、吸気系INに設けられた各種センサ101〜108は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S101〜S108をECU60に出力する。
【0024】
次に、エンジンEは、吸気通路1(詳しくは吸気マニホールド)から供給された吸気を燃焼室17内に導入する吸気バルブ15と、燃焼室17に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁20と、始動時などでの着火を確保するための補助熱源としてのグロープラグ21と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、ピストン23の往復運動により回転されるクランクシャフト25と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41へ排出する排気バルブ27と、を有する。更に、エンジンEには、このエンジンEの出力によって回転されて発電するオルタネータ26が設けられている。オルタネータ26は、発電した電力をバッテリ(図1では図示せず)に充電する。加えて、エンジンEには、このエンジンEの出力によって回転される、エアコンのコンプレッサ(図1では図示せず)が設けられている。
また、エンジンEには、エンジンEなどを冷却する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ109と、クランクシャフト25のクランク角度を検出するクランク角センサ110と、油圧及び/又は油温を検出する油圧/油温センサ111と、オイルレベルを検出する光学式オイルレベルセンサ112と、が設けられている。これらの、エンジンEに設けられた各種センサ109〜112は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S109〜S112をECU60に出力する。
【0025】
次に、燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。また、低圧燃料ポンプ31には燃料ウォーマー32が設けられ、高圧燃料ポンプ33には燃圧レギュレータ34が設けられ、コモンレール35にはコモンレール減圧弁36が設けられている。
また、燃料供給系FSにおいては、高圧燃料ポンプ33には、燃料温度を検出する燃料温度センサ114が設けられ、コモンレール35には、燃圧を検出する燃圧センサ115が設けられている。これらの、燃料供給系FSに設けられた各種センサ114、115は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S114、S115をECU60に出力する。
【0026】
次に、排気系EXは、排気ガスが通過する排気通路41を有しており、この排気通路41上には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記したようにコンプレッサ5aを駆動する、ターボ過給機5のタービン5bと、排気ガスの浄化機能を有するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)45及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel particulate filter)46と、通過する排気流量を調整する排気シャッター弁49と、が設けられている。DOC45は、排出ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させる触媒であり、DPF46は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタである。
また、排気系EXにおいては、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41上には、排気圧を検出する排気圧センサ116と排気温度を検出する排気温度センサ117とが設けられ、DOC45の直上流側及びDOC45とDPF46との間には、それぞれ、排気温度を検出する排気温度センサ118、119が設けられ、DPF46には、このDPF46の上流側と下流側との排気圧の差を検出するDPF差圧センサ120が設けられ、DPF46の直下流側の排気通路41上には、酸素濃度を検出するリニアO2センサ121と排気温度を検出する排気温度センサ122とが設けられている。これらの、排気系EXに設けられた各種センサ116〜122は、それぞれ、検出したパラメータに対応する検出信号S116〜S122をECU60に出力する。
【0027】
更に、本実施形態では、ターボ過給機5は、排気エネルギーが低い低速回転時でも効率良く過給を行えるように小型に構成されていると共に、タービン5bの全周を囲むように複数の可動式のフラップ5cが設けられ、これらのフラップ5cによりタービン5bへの排気の流通断面積(ノズル断面積)を変化させるようにした可変ジオメトリーターボチャージャー(VGT:Variable Geometry Turbocharger)として構成されている。例えば、フラップ5cは、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさが電磁弁により調節され、アクチュエータによって回動される。また、そのようなアクチュエータの位置により、フラップ5cの開度(フラップ開度であり、以下では適宜「VGT開度」と呼ぶ。)を検出するVGT開度センサ104が設けられている。このVGT開度センサ104は、検出したVGT開度に対応する検出信号S104をECU60に出力する。
【0028】
ここで、図2を参照して、本発明の実施形態によるターボ過給機5のフラップ5cについて具体的に説明する。図2は、ターボ過給機5のタービン室を拡大した縦断面の構成を模式的に示す。
図2に示すように、タービンケーシング153内に形成されたタービン室153aには、そのほぼ中央部に配置されたタービン5bの周囲を取り囲むように複数の可動式のフラップ5c、5c、…が配設され、各フラップ5cはタービン室153aの一方の側壁を貫通する支軸131aにより回動可能に支持されている。各フラップ5cは、それぞれ支軸5dの回りに図2の時計回りに回動して、相互に近接するように傾斜すると、各フラップ5cの相互間に形成されるノズル155、155、…の開度(ノズル断面積)が小さく絞られて、排気流量の少ないときでも高い過給効率を得ることができる。一方、各フラップ5cを上記と反対側に回動させて、相互に離反するように傾斜させれば、ノズル断面積が大きくなるので、排気流量の多いときでも通気抵抗を低減して、過給効率を高めることができる。
また、リング部材157は、リンク機構158を介してアクチュエータのロッド163に駆動連結されており、該アクチュエータの作動によりリング部材157を介して各フラップ5cが回動される。すなわち、リンク機構158は、一端部をリング部材157に回動可能に連結された連結ピン158aと、該連結ピン158aの他端部に一端部を回動可能に連結された連結板部材158bと、該連結板部材158bの他端部に連結されると共に、タービンケーシング153の外壁を貫通する柱状部材158cと、該柱状部材158cのタービンケーシング153外へ突出する突出端部に一端部を連結された連結板部材158dとからなり、該連結板部材158dの他端部が連結ピン(図示せず)によりアクチュエータのロッド163に回動可能に連結されている。
【0029】
図1に戻ると、本実施形態によるエンジンシステム200は、更に、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48を有する。高圧EGR装置43は、ターボ過給機5のタービン5bの上流側の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5bの下流側(詳しくはインタークーラ8の下流側)の吸気通路1とを接続する高圧EGR通路43aと、高圧EGR通路43aを通過させる排気ガスの流量を調整する高圧EGRバルブ43bと、を有する。低圧EGR装置48は、ターボ過給機5のタービン5bの下流側(詳しくはDPF46の下流側で且つ排気シャッター弁49の上流側)の排気通路41とターボ過給機5のコンプレッサ5bの上流側の吸気通路1とを接続する低圧EGR通路48aと、低圧EGR通路48aを通過する排気ガスを冷却する低圧EGRクーラ48bと、低圧EGR通路48aを通過させる排気ガスの流量を調整する低圧EGRバルブ48cと、低圧EGRフィルタ48dと、を有する。
【0030】
高圧EGR装置43によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下では「高圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のタービン5b上流側の排気圧と、吸気シャッター弁7の開度によって作り出される吸気圧と、高圧EGRバルブ43bの開度とによって概ね決定される。また、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流される排気ガス量(以下では「低圧EGRガス量」と呼ぶ。)は、ターボ過給機5のコンプレッサ5a上流側の吸気圧と、排気シャッター弁49の開度によって作り出される排気圧と、低圧EGRバルブ48cの開度とによって概ね決定される。
【0031】
ここで、図3を参照して、本発明の実施形態において、高圧EGR装置43が作動されるエンジンEの運転領域(以下では「高圧EGR領域」と呼ぶ。)及び低圧EGR装置48が作動されるエンジンEの運転領域(以下では「低圧EGR領域」と呼ぶ。)について説明する。図3は、横軸にエンジン回転数を示し、縦軸に燃料噴射量(エンジン負荷に相当する)を示しており、高圧EGR領域及び低圧EGR領域を模式的に表している。
図3に示すように、低負荷・低回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R1(第1運転領域に相当する)は、高圧EGR装置43が作動される高圧EGR領域であり、この高圧EGR領域R1よりも高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R2(第2運転領域に相当する)は、低圧EGR装置48が作動される低圧EGR領域である。より詳しくは、低圧EGR領域R2内の一部の領域(高圧EGR領域R1との境界付近の領域)では、低圧EGR装置48だけでなく、高圧EGR装置43も作動される、つまり高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の併用領域となる。また、低圧EGR領域R2よりも更に高負荷・高回転数側に規定されたエンジンEの運転領域R3は、高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動されない領域(以下では適宜「非EGR領域」と呼ぶ。)である。
【0032】
図1に戻ると、本実施形態によるECU60は、上述した各種センサ101〜122の検出信号S101〜S122に加えて、外気温を検出する外気温センサ98、大気圧を検出する大気圧センサ99、及びアクセルペダル95の開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ100のそれぞれが出力した検出信号S98〜S100に基づいて、エンジンシステム200内の構成要素に対する制御を行う。具体的には、ECU60は、ターボ過給機5のタービン5bにおけるフラップ5cの開度(VGT開度)を制御すべく、このフラップ5cを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S130を出力する。また、ECU60は、吸気シャッター弁7の開度を制御すべく、吸気シャッター弁7を駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S131を出力する。また、ECU60は、インタークーラ8に供給する冷却水の流量を制御すべく、電動ウォータポンプ9に対して制御信号S132を出力する。また、ECU60は、エンジンEの燃料噴射量などを制御すべく、燃料噴射弁20に制御信号S133を出力する。また、ECU60は、オルタネータ26、燃料ウォーマー32、燃圧レギュレータ34及びコモンレール減圧弁36を制御すべく、これらのそれぞれに対して制御信号S134、S135、S136、S137を出力する。また、ECU60は、高圧EGRバルブ43bの開度を制御すべく、高圧EGRバルブ43bを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S138を出力する。また、ECU60は、低圧EGRバルブ48cの開度を制御すべく、低圧EGRバルブ48cを駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S139を出力する。また、ECU60は、排気シャッター弁49の開度を制御すべく、排気シャッター弁49を駆動するアクチュエータ(不図示)に対して制御信号S140を出力する。
【0033】
<基本制御>
次に、図4を参照して、本発明の実施形態によるエンジンシステム200において実施される基本制御について説明する。図4は、本発明の実施形態による基本制御を示すフローチャートである。このフローでは、要求噴射量などに応じた目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現するための制御がなされる。また、このフローは、ECU60によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0034】
まず、ステップS11では、ECU60は、上述した各種センサ98〜122が出力した検出信号S98〜S122のうちの少なくとも一以上を取得する。
次いで、ステップS12では、ECU60は、アクセル開度センサ100が検出したアクセル開度(検出信号S100に対応する)に基づいて、エンジンEから出力させるべき目標トルクを設定する。
次いで、ステップS13では、ECU60は、ステップS12で設定した目標トルクと、エンジン回転数とに基づいて、燃料噴射弁20から噴射させるべき要求噴射量を設定する。
次いで、ステップS14では、ECU60は、ステップS13で設定した要求噴射量と、エンジン回転数とに基づいて、燃料の噴射パターンと、燃圧と、目標酸素濃度と、目標吸気温度と、EGR制御モード(高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48の両方又は一方を作動させるモード、或いは高圧EGR装置43及び低圧EGR装置48のいずれも作動させないモード)とを設定する。
次いで、ステップS15では、ECU60は、ステップS14で設定した目標酸素濃度及び目標吸気温度を実現する状態量を設定する。例えば、この状態量には、高圧EGR装置43によって吸気系INに還流させる排気ガス量(高圧EGRガス量)や、低圧EGR装置48によって吸気系INに還流させる排気ガス量(低圧EGRガス量)や、ターボ過給機5による過給圧などが含まれる。
次いで、ステップS16では、ECU60は、ステップS15で設定した状態量に基づいて、エンジンシステム200の各構成要素のそれぞれを駆動する各アクチュエータを制御する。この場合、ECU60は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定して制御を実行する。
【0035】
<エンジン停止制御>
以下では、本発明の実施形態において、ECU60がエンジンEの停止時に行う制御(エンジン停止制御)について説明する。
【0036】
最初に、本発明の実施形態によるエンジン停止制御の概要について説明する。本実施形態では、ECU60は、エンジンEを停止させる要求(エンジン停止要求)が発せられたときに、吸気通路1内の負圧(詳しくはインテークマニホールド内の負圧)を上昇させるべく、言い換えるとインテークマニホールド内の圧力を低下させるべく、吸気シャッター弁7を全閉にする制御を実行すると共に、吸気シャッター弁7の全閉後にエンジン回転数が所定の目標回転数(以下では適宜「到達目標回転数」と呼ぶ。)にまで到達するように、エンジン回転数を上昇させる制御を実行し、この後に燃料噴射弁20からの燃料噴射を停止させる。以下では、このようなインテークマニホールド内の負圧(インマニ負圧)を上昇させるための制御を、適宜「インマニ負圧上昇制御」と呼ぶ。
【0037】
ここで、本実施形態においてインマニ負圧上昇制御を行う理由について説明する。上述したように、エンジンEの停止時において、エンジン回転数が徐々に低下していく過程で共振周波数域(例えば300rpm付近の低回転数域)を通過する際に、車両に振動(マウント振動)が発生する場合がある。共振周波数域において生じる振動の振幅はインマニ負圧と相関があるので、具体的にはインマニ負圧が大きいと振動の振幅が小さくなるので、インマニ負圧を速やかに上昇させれば、振動の振幅を低減することができ、振動を適切に抑制することが可能となる。また、インマニ負圧を速やかに上昇させれば、エンジンEのピストン23が下降動作を行う際(つまり吸気行程及び膨張行程)において働く抵抗が大きくなり、エンジン回転数が速やかに低下するので、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間が短くなり、振動を適切に抑制することが可能となる。
インタークーラの下流側にスロットルバルブ(吸気シャッター弁7に相当する)が設けられた車両では、エンジン停止要求時にスロットルバルブを閉じることで、インマニ負圧を速やかに生成することができる。つまり、スロットルバルブをインタークーラの下流側に設けた構成では、エンジンとスロットルバルブとの間の通路の容積が小さいため、スロットルバルブを閉じることで、振動抑制に十分なインマニ負圧を速やかに生成することができる。しかしながら、本実施形態におけるエンジンシステム200では、インタークーラ8の上流側に吸気シャッター弁7を設けたので(こうしたのは、インタークーラ8をインマニに内蔵したため、インタークーラ8の下流側に吸気シャッター弁7を設けるスペースがないからである)、エンジンEと吸気シャッター弁7との間の通路の容積が大きいため、吸気シャッター弁7を閉じるだけでは、振動抑制に十分なインマニ負圧を速やかに生成することが困難である。
【0038】
したがって、本実施形態では、エンジン停止要求時に吸気シャッター弁7をまず全閉にし、この後にエンジン回転数を上昇させることで、インマニ負圧を速やかに上昇させるようにした。このようにエンジン回転数を上昇させると、エンジンEの吸い込み能力(吸気能力)が向上することで、インマニ負圧を速やかに上昇させることができるのである。この場合、ECU60は、燃料噴射量を増量させることでエンジン回転数を上昇させる。
ディーゼルエンジンとしてのエンジンEにおいては、通常、空気過多で運転しているため、吸気シャッター弁7を閉じて空気量を減らして燃料噴射量を増量しても、エンジンEで適切に燃焼を行わせることができ、エンジン回転数を上昇させることができる。他方で、ガソリンエンジンでは、基本的には理論空燃比で運転しているため、このように空気量を減らして燃料噴射量を増量すると、エンジンEで適切に燃焼を行わせることができず、エンジン回転数を上昇させることができない。
【0039】
また、本実施形態では、ECU60は、エンジン停止時にエンジン回転数を効果的に低下させるべく、上記したインマニ負圧を上昇させるためのインマニ負圧上昇制御に加えて、エンジンEの排気通路41内の圧力である排気圧力を上昇させる制御(以下では「排気圧力上昇制御」と呼ぶ。)を実行する。このように排気圧力を上昇させると、エンジンEのピストン23が上昇動作を行う際(つまり圧縮行程及び排気行程)において働く抵抗が大きくなり、エンジン回転数を速やかに低下させることができるのである。具体的には、ECU60は、排気圧力上昇制御として、エンジン停止要求時にターボ過給機5のフラップ5c(図2参照)を全閉にする制御を行って、排気圧力を上昇させる。特に、上記したインマニ負圧上昇制御によりエンジン回転数を上昇させた状態で、ターボ過給機5のフラップ5cを全閉にすると、排気圧力が効果的に上昇することとなる。
【0040】
また、ECU60は、このようにエンジン停止要求時にインマニ負圧上昇制御及び排気圧力上昇制御を実行する場合に、排気通路41と吸気通路1との間でのガスの流れを遮断すべく、高圧EGR装置43の高圧EGRバルブ43b及び低圧EGR装置48の低圧EGRバルブ48cを閉じる制御を行う。なお、エンジン停止要求が発せられる状況では、エンジンEは高圧EGR領域R1内(図3参照)で運転しており、低圧EGRバルブ48cは既に閉じられ、高圧EGRバルブ43bのみが開いているため、ECU60は、低圧EGRバルブ48cが閉じた状態を維持しつつ、高圧EGRバルブ43bを閉じる制御を行う。
【0041】
更に、本実施形態では、ECU60は、エンジン停止時にエンジン回転数を更に効果的に低下させるべく、上記したインマニ負圧上昇制御及び排気圧力上昇制御に加えて、エンジンEの負荷を増加させる制御(以下では「エンジン負荷増加制御」と呼ぶ。)を実行する。具体的には、ECU60は、エンジン停止要求時に、オルタネータ26の負荷を増加させる制御、及び、エアコン(空調)の負荷を増加させる制御を行うことで、エンジンEに付与される負荷を増加させて、エンジン回転数を速やかに低下させるようにする。
【0042】
以上述べたように、ECU60は、本発明における「エンジンの制御装置」に相当し、本発明における「吸気制御バルブ制御手段」、「エンジン回転数上昇制御手段」、「燃料噴射停止手段」、「フラップ制御手段」、「オルタネータ制御手段」、「エアコン制御手段」及び「EGRバルブ制御手段」として機能する。また、詳細は後述するが、ECU60は、本発明における「排気シャッター弁制御手段」としても機能する。
【0043】
次に、図5を参照して、本発明の実施形態によるエンジン停止制御におけるタイムチャートについて説明する。図5は、本発明の実施形態によるエンジン停止制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示している。
【0044】
図5は、横方向に時間を示しており、上から順に、イグニッション信号と、インテークマニホールド内の圧力(インマニ圧)と、燃料噴射弁20に供給する燃料噴射信号と、エンジン回転数を上昇させるための指令信号(エンジン回転数上昇指令信号)と、エンジン回転数と、吸気シャッター弁7の開度(吸気シャッター弁開度)と、高圧EGRバルブ43b及び低圧EGRバルブ48cのそれぞれの開度と、ターボ過給機5のフラップ5cの開度(VGT開度)と、排気圧力と、オルタネータ26のデューティと、オルタネータ26に供給する制御信号と、オルタネータ26の発電電力を充電し、車両内の各種の補機などに電力を供給するバッテリの電圧と、エアコンの制御信号と、エアコンのコンプレッサの駆動信号と、を示している。
【0045】
まず、時刻t1において、イグニッション信号がオンからオフに切り替わり(グラフG1参照)、エンジン停止要求が発せられる。この時刻t1において、ECU60は、インマニ負圧上昇制御を開始する。具体的には、ECU60は、エンジン回転数上昇指令信号をオンにし(グラフG4参照)、エンジン回転数の目標回転数を緩やかに上昇させる(グラフG51参照)。この場合、ECU60は、目標回転数を、所定の到達目標回転数(例えばアイドル回転数よりも75〜100rpm程度高い回転数)にまで緩やかに上昇させる。ECU60は、このような目標回転数に基づいたフィードバック制御によって上昇された目標トルクに応じて燃料噴射量を増量させるべく、燃料噴射信号を上昇させる(グラフG3参照)。その結果、実際のエンジン回転数が緩やかに上昇していく(グラフG52参照)。なお、車両内における何らかの負荷が減少したときには、目標回転数の上昇に伴って燃料噴射量が増量されない場合もある。
【0046】
また、ECU60は、インマニ負圧上昇制御として、吸気シャッター弁7に対する制御も行う。具体的には、ECU60は、時刻t1において、完全な全閉状態ではない制御上の全閉位置に吸気シャッター弁7を設定すべく、吸気シャッター弁7の目標開度をステップ状に減少させる(グラフG61参照)。その結果、吸気シャッター弁7の実開度が閉じ側に変位し、吸気シャッター弁7が制御上の全閉位置に設定される(グラフG62参照)。この後、ECU60は、制御上の全閉位置から更に吸気シャッター弁7を閉じ込み、完全な全閉状態である機械的な全閉位置に吸気シャッター弁7を設定する(グラフG62参照)。この場合、ECU60は、所定時間の間、吸気シャッター弁7を機械的な全閉位置に押し付けるように、吸気シャッター弁7を駆動するアクチュエータを制御する。
本実施形態では、インマニ負圧を効果的に上昇させるために、通常用いる制御上の全閉位置から更に閉じ込んだ機械的な全閉位置に、吸気シャッター弁7を設定している。また、本実施形態では、開いている状態にある吸気シャッター弁7を機械的な全閉位置にまで一気に移動させると、吸気シャッター弁7に過剰に負荷がかかるため、これを防止すべく、吸気シャッター弁7を制御上の全閉位置に一旦設定した後に機械的な全閉位置に設定している。加えて、吸気シャッター弁7を機械的な全閉位置に設定すると、吸気シャッター弁7を駆動するアクチュエータに負荷がかかるため、吸気シャッター弁7を機械的な全閉位置に設定する時間を所定時間に限定している。
【0047】
このように、インマニ負圧上昇制御によりエンジン回転数及び吸気シャッター弁7を制御すると、インマニ圧が低下していく(グラフG2参照)、言い換えるとインマニ負圧が上昇していく。
【0048】
更に、ECU60は、時刻t1において、低圧EGRバルブ48cを全閉に維持しつつ(グラフG72参照)、高圧EGRバルブ43bを全閉にすると共に(グラフG71参照)、ターボ過給機5のVGT開度を全閉にする排気圧力上昇制御を行う(グラフG8参照)。このようにVGT開度を全閉にすると、排気圧力が上昇していく(グラフG9参照)。
なお、高圧EGRバルブ43b及びターボ過給機5のフラップ5cはボリュームに関係する制御対象であるため、制御応答性の観点から、エンジン停止要求が発せられてから速やかに制御を開始するのがよい。特に、ターボ過給機5のフラップ5cについては、エンジン回転数が到達目標回転数に到達した時点で所望の排気圧力(具体的にはエンジン回転数を効果的に低下させることが可能な圧力)が確保されるように、制御を実行することが望ましい。
【0049】
更に、ECU60は、時刻t1において、エアコンの制御信号をオンにし(グラフG14参照)、エアコンのコンプレッサの駆動を開始することで(グラフG15参照)、エンジン負荷増加制御を実行する。また、ECU60は、時刻t1において、オルタネータ26のデューティを0%に設定すると共に(グラフG10)、オルタネータ26をオフにするための制御信号をオンにする(グラフG11参照)。本実施形態では、バッテリが満充電であったりする場合に、オルタネータ26の発電電力によってバッテリ電圧が急激に上昇することを防止すべく、エンジン停止要求が発せられた際に、オルタネータ26を一旦オフにしてバッテリ電力を消費させることで、バッテリ電圧(バッテリ容量)を低下させるようにしている(グラフG13参照)。
なお、エアコンについては、上述したようなオルタネータ26を即座にオンにした場合の問題点が発生しないため、及びコンプレッサを作動させてから圧力が上がるまでに時間がかかるため、エンジン停止要求が発せられタイミングで速やかにオンにするのがよい。
【0050】
この後、エンジン停止要求が発せられた時刻t1から第1所定時間経過後の時刻t2において、ECU60は、エンジン回転数上昇指令信号をオフにし(グラフG4参照)、エンジン回転数の目標回転数をアイドル回転数にまで緩やかに低下させる(グラフG51参照)。そして、時刻t2の直後に、具体的には時刻t1から第2所定時間経過後の時刻t3において、ECU60は、燃料噴射信号を0に設定して燃料噴射を停止する(グラフG3参照)。その結果、時刻t3以降において、実際のエンジン回転数が低下していく(グラフG52参照)。
なお、第1所定時間は、所定の演算式や実験などにより求められた、実際のエンジン回転数が上述した到達目標回転数に到達するまでに要する時間に設定される。また、第2所定時間は、燃料噴射を停止するまでエンジン回転数を維持すべく、第1所定時間よりも若干長い時間に設定される(第1所定時間と同じ時間に設定しても構わない)。例えば、第2所定時間は、0.5秒に設定される。
【0051】
更に、時刻t1から第3所定時間経過後の時刻t3において、ECU60は、オルタネータ26のデューティを100%付近にまで上昇させると共に(グラフG10)、オルタネータ26をオンにするための制御信号をオンにすることで(グラフG12参照)、エンジン負荷増加制御を実行する。第3所定時間は、バッテリが厳しい状態(例えば満充電)であっても、この第3所定時間が経過した後であれば、オルタネータ26を駆動しても上述したようなバッテリ電圧の急上昇等の問題が発生しないような時間に設定される。加えて、第3所定時間は、エンジン回転数が共振周波数域にまで低下する前の時間に設定される。こうするのは、エンジン回転数が共振周波数域付近にある際や共振周波数域以下にある際にオルタネータ26をオンにしても、オルタネータ26による負荷によってエンジン回転数を低下させることで共振周波数域に滞在する時間を短縮するという効果が小さくなってしまうからである。
【0052】
以上述べた制御(インマニ負圧上昇制御、排気圧力上昇制御及びエンジン負荷増加制御)によれば、インマニ圧の低下(グラフG2参照)、言い換えるとインマニ負圧の上昇、及び排気圧力の上昇(グラフG9参照)、並びにエンジン負荷の増加によって、エンジン回転数が速やかに低下していく(グラフG52参照)。そのため、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間が短縮する。加えて、十分に確保されたインマニ負圧により、振動の振幅が低減される。したがって、本実施形態によれば、車両に生じる振動が効果的に抑制されることとなる。
【0053】
次に、図6を参照して、本発明の実施形態によるエンジン停止制御の全体の流れについて具体的に説明する。図6は、本発明の実施形態によるエンジン停止制御フローを示すフローチャートである。このエンジン停止制御フローは、ECU60によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0054】
まず、ステップS21において、ECU60は、エンジン停止要求を示すフラグ(エンジン停止要求フラグ)を読み込む。このエンジン停止要求フラグは、キーオフ時や、イグニッションオフ時や、アイドリングストップ時などに、オンに設定される。
【0055】
次いで、ステップS22において、ECU60は、ステップS21で読み込んだエンジン停止要求フラグに基づいて、エンジン停止要求が発せられているか否かを判定する。その結果、エンジン停止要求が発せられていると判定されなかった場合(ステップS22:No)、つまりエンジン停止要求フラグがオフである場合、処理は終了する。この場合には、ECU60は、本実施形態におけるエンジン停止制御を実行しない。
【0056】
他方で、エンジン停止要求が発せられていると判定された場合(ステップS22:Yes)、つまりエンジン停止要求フラグがオンである場合、ステップS23に進む。ステップS23において、ECU60は、(1)吸気シャッター弁7を全閉にし、(2)エンジン回転数上昇指令をオンにし、(3)ターボ過給機5のフラップ5cを全閉(VGT開度を全閉)にし、(4)高圧EGRバルブ43bを全閉にし(低圧EGRバルブ48cについては全閉を維持する)、(5)オルタネータ26をオフにし、(6)エアコンをオンにする。つまり、ECU60は、インマニ負圧上昇制御、排気圧力上昇制御及びエンジン負荷増加制御を実行する。
より具体的には、ECU60は、(1)の制御として、完全な全閉状態ではない制御上の全閉位置に吸気シャッター弁7を設定した後、この制御上の全閉位置から更に吸気シャッター弁7を閉じ込み、完全な全閉状態である機械的な全閉位置に吸気シャッター弁7を所定時間設定する。また、ECU60は、(2)の制御として、エンジン回転数上昇指令をオンにして、エンジン回転数を緩やかに到達目標回転数(例えばアイドル回転数よりも75〜100rpm程度高い回転数)にまで到達させるように、燃料噴射弁20から噴射させる燃料噴射量を増量させる。
【0057】
次いで、ステップS24において、ECU60は、エンジン停止要求が発せられてから第1所定時間が経過したか否かを判定する。第1所定時間が経過したと判定された場合(ステップS24:Yes)、ステップS25に進み、ECU60は、エンジン回転数上昇指令をオンからオフに切り替え、エンジン回転数の目標回転数を低下させる(例えば目標回転数をアイドル回転数まで低下させる)。他方で、第1所定時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS24:No)、ステップS24に戻る。つまり、第1所定時間が経過するまで、ステップS24の判定が繰り返される。
【0058】
次いで、ステップS26において、ECU60は、エンジン停止要求が発せられてから第2所定時間が経過したか否かを判定する。第2所定時間が経過したと判定された場合(ステップS26:Yes)、ステップS27に進み、ECU60は、燃料噴射弁20からの燃料噴射を停止する。他方で、第2所定時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS26:No)、ステップS26に戻る。つまり、第2所定時間が経過するまで、ステップS26の判定が繰り返される。
なお、第2所定時間として第1所定時間と同じ時間を適用してもよく、その場合には、エンジン停止要求が発せられてから第1所定時間が経過した時点で、エンジン回転数上昇指令をオフにすると共に、燃料噴射を停止すればよい。
【0059】
次いで、ステップS28において、ECU60は、エンジン停止要求が発せられてから第3所定時間が経過したか否かを判定する。第3所定時間が経過したと判定された場合(ステップS28:Yes)、ステップS29に進み、ECU60は、オルタネータ26をオフからオンに切り替えてエンジン負荷増加制御を実行する。他方で、第3所定時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS28:No)、ステップS28に戻る。つまり、第3所定時間が経過するまで、ステップS28の判定が繰り返される。
なお、第3所定時間として、第1所定時間よりも短い時間、又は第2所定時間よりも短い時間を適用してもよく、その場合には、エンジン回転数上昇指令をオフにする前、又は燃料噴射を停止する前に、オルタネータ26をオンに設定してもよい。
【0060】
<作用効果>
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
【0061】
本実施形態によれば、エンジン停止要求時に、吸気シャッター弁7を全閉にして、エンジン回転数を上昇させるインマニ負圧上昇制御を実行するので、インマニ負圧を速やかに上昇させることができる。これにより、共振周波数域において生じる振動の振幅を低減することができると共に、エンジン回転数を速やかに低下させて、共振周波数域に滞在する時間を短縮することができる。よって、エンジン停止時に車両に生じる振動を適切に抑制することが可能となる。
この場合、本実施形態では、制御上の全閉位置に吸気シャッター弁7を一旦設定した後、この制御上の全閉位置から更に吸気シャッター弁7を閉じ込んで、機械的な全閉位置に吸気シャッター弁7を設定するので、吸気シャッター弁7に過剰に負荷がかかることを抑制しつつ、吸気シャッター弁7を通じたガスの流れを遮断してインマニ負圧を効果的に上昇させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、エンジン停止要求時に、上記したインマニ負圧上昇制御に加えて、ターボ過給機5のフラップ5cを全閉にする排気圧力上昇制御を実行するので、排気通路41内に生成した排気圧力によってエンジン回転数を効果的に低下させることができる。よって、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間をより短縮することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態によれば、エンジン停止要求時に、上記したインマニ負圧上昇制御及び排気圧力上昇制御に加えて、オルタネータ26の負荷を増加させると共に、エアコンの負荷を増加させるエンジン負荷増加制御を実行するので、エンジン回転数をより効果的に低下させることができる。よって、エンジン回転数の低下時に共振周波数域に滞在する時間を大きく短縮することが可能となる。
この場合、本実施形態では、エンジン停止要求が発せられたタイミングでオルタネータ26を一旦オフにし、このタイミングから所定時間経過後にオルタネータ26をオンにするので、オルタネータ26の発電電力によってバッテリ電圧が急激に上昇することなどを防止することができる。
【0064】
<変形例>
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0065】
上述した実施形態では、本発明を吸気シャッター弁7に適用する例を示したが、本発明は、一般的なスロットルバルブにも適用可能である。このような吸気シャッター弁7及びスロットルバルブは、本発明における「吸気制御バルブ」に含まれるものである。
【0066】
また、上述した実施形態では、排気圧力上昇制御として、ターボ過給機5のフラップ5cを全閉にする制御を示したが、当該制御の代わりに、又は当該制御に加えて、排気シャッター弁49を全閉にする制御を排気圧力上昇制御として行ってもよい。エンジン停止要求時に排気シャッター弁49を全閉にした場合にも、排気圧力を上昇させて、エンジン回転数を低下させることができる。但し、排気シャッター弁49からエンジンEまでの距離がターボ過給機5のフラップ5cからエンジンEまでの距離よりも長いこと、及び、排気シャッター弁49から排気ガスが漏れることから、排気シャッター弁49を全閉にする制御は、ターボ過給機5のフラップ5cを全閉にする制御よりも、排気圧力を上昇させる効果は小さい。
【0067】
また、上述した実施形態では、オルタネータ26の発電電力をバッテリに供給するため、バッテリ電圧の急上昇等を防止する観点から、エンジン停止要求時にオルタネータ26を即座にオンにしなかったが(具体的にはエンジン停止要求から第3所定時間経過後にオルタネータ26をオンにしていたが)、オルタネータ26の発電電力をキャパシタに供給するように構成した場合には、このようなバッテリに関する問題が生じないので、エンジン停止要求時にオルタネータ26を即座にオンにしてもよい。但し、オルタネータ26による負荷によってエンジン回転数を低下させることで共振周波数域に滞在する時間を短縮するという効果を得るためには、エンジン回転数が少なくとも共振周波数域の手前にある際にオルタネータ26がオンになっていればよいので、オルタネータ26の発電電力をキャパシタに供給する構成において、エンジン停止要求時にオルタネータ26を即座にオンにしなくてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、エンジン停止要求が発せられてから第1所定時間が経過した際に、エンジン回転数上昇指令をオンからオフに切り替え、エンジン回転数の目標回転数を低下させていたが(図6のステップS24、S25参照)、このような第1所定時間を用いずに、エンジン回転数の目標回転数又は実回転数が到達目標回転数に到達した際に、エンジン回転数上昇指令をオンからオフに切り替え、エンジン回転数の目標回転数を低下させてもよい。そして、この後に、又はこの時点で、燃料噴射を停止してもよい、
【符号の説明】
【0069】
1 吸気通路
5 ターボ過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c フラップ
7 吸気シャッター弁
8 インタークーラ
20 燃料噴射弁
26 オルタネータ
41 排気通路
43 高圧EGR装置
43b 高圧EGRバルブ
48 低圧EGR装置
48c 低圧EGRバルブ
49 排気シャッター弁
60 ECU
200 エンジンシステム
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6