(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る無線通信装置及び無線基地局切替方法の実施形態について、無線通信装置の一例として無線端末を用いて、図面を参照して説明する。以下説明する本実施形態の移動体通信システムは、移動体としての本実施形態の無線端末と、無線通信ネットワークを介して無線端末と通信する複数の無線基地局とを含む。
【0018】
なお、本発明は、装置カテゴリの発明以外に、無線通信装置が接続先の無線基地局を切り替える動作としての無線基地局切替方法の方法カテゴリの発明として表現することも可能である。
【0019】
無線端末は、通信方式が異なる複数の無線基地局に接続可能な無線通信装置であり、例えば携帯電話機、スマートフォン又はタブレット端末等のデータ通信端末である。
【0020】
無線基地局は、無線端末と無線通信し、例えば通信方式がLTEであればE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network) Node B:eNBであり、例えば通信方式が3GであればNode B:NBである。また、無線基地局は、張り出し基地局(Remote Radio Head:RRH)、中継装置(例えばリピータ又はリレーノード)、フェムト基地局又はピコ基地局でも良い。
【0021】
以下説明する本実施形態の移動体通信システムは、3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)において規格化されているLTE方式、W−CDMA方式若しくはCDMA2000方式等の3G方式、GSM(登録商標)等の2Gの各移動体通信技術を用いた2個以上のネットワークを用いたシステムでも良いし、全て同一の通信方式に対応したシステムでも良い。
【0022】
(本実施形態の動作概要)
先ず、
図1を参照して、本実施形態の無線端末の動作概要について、従来技術と本実施形態とを比較して説明する。
図1(A)は、従来技術の無線端末と無線基地局との間のハンドオーバの手続きの一例を示す動作概要図である。
図1(B)は、本実施形態の無線端末UEと無線基地局との間のハンドオーバの手続きの一例を示す動作概要図である。
【0023】
図1(A)及び
図1(B)では、乗用車CRを運転しているユーザが無線端末を所持し、即ち、無線端末は高速で移動しており、無線端末は現在、無線基地局BS1との間で無線通信を開始する状況を想定して説明する。なお、
図1(A)及び
図1(B)では、説明を簡単にするために、3つの無線基地局を例示しているが、3つに限定されない。
【0024】
図1(A)において、無線端末は、無線基地局BS1との接続を開始した時、ハンドオーバを実行するための条件(HO条件、HO:handover)の指示を受ける(ステップ[1])。HO条件には、ハンドオーバを実行するための無線品質情報(例えば受信電界レベル又はSN:Signal to Noise ratio)の閾値(例えば下限値)が指定されている。無線端末は、無線基地局BS1〜BS3との間における現時点の無線品質情報を周期的に測定し、測定結果を現在の接続先の無線基地局BS1に送信する。
【0025】
ここで、無線端末と無線基地局BS1との間の無線品質情報がHO条件において指定された所定の閾値を下回ると、無線端末は、新たなハンドオーバ先の無線基地局としての候補無線基地局をサーチする(ステップ[2])。具体的には、無線端末は、無線基地局BS1〜BS3との間の無線品質情報を測定し、測定結果を現在の接続先の無線基地局BS1に送信する(ステップ[2])。
【0026】
無線基地局BS1は、無線端末からの測定結果を基に、新たなハンドオーバ先の無線基地局としての無線品質の良い候補無線基地局を無線基地局BS2と決定し、無線基地局BS2との間でハンドオーバの手続きを行うように無線端末に指示する(ステップ[2])。
【0027】
無線端末は、無線基地局BS1からの指示に応じて、新たなハンドオーバ先の無線基地局BS2との間でハンドオーバの手続きを開始する(ステップ[3])。無線端末と無線基地局BS2との間のハンドオーバの手続きが完了すると、無線端末は、接続先の無線基地局を無線基地局BS1から無線基地局BS2に切り替えて、無線基地局BS2との間で無線通信を開始する(ステップ[4])。また、無線端末は、無線基地局BS2との接続を開始した時、ハンドオーバを実行するための条件(HO条件)の指示を無線基地局BS2から受ける。
【0028】
無線端末は、無線基地局BS2との間で無線通信を開始した後、一定時間が経過すると、無線端末と無線基地局BS2との間の無線品質情報がHO条件において指定された所定の閾値を下回ると、新たなハンドオーバ先の無線基地局としての候補無線基地局のサーチを繰り返す(ステップ[5])。
【0029】
従って、
図1(A)に示す従来技術では、無線端末が高速で移動している場合、無線通信の接続先の無線基地局が無線基地局BS1から無線基地局BS2に切り替わってから、次のハンドオーバの手続きを実行するためのHO条件を満たすまでの時間が短くなるので、ハンドオーバの回数が多くなってしまう。このため、無線端末はデータ通信を安定して行うことが困難であった。
【0030】
次に、
図1(B)において、無線端末は、無線基地局BS1との接続を開始した時、ハンドオーバを実行するためのHO条件の指示を受ける(ステップ[1])。無線端末は、無線基地局BS1〜BS3との間における現時点の無線品質情報を周期的に測定し、測定結果を現在の接続先の無線基地局BS1に送信する。
【0031】
無線端末は、無線品質情報の測定結果を基に、一定時間(例えば1.5秒)後に現在の接続先の無線基地局BS1との間の無線品質情報がHO条件において指定された所定の閾値を下回ることを予測する(ステップ[2])。更に、無線端末は、一定時間後のハンドオーバの実行の予測後に、無線基地局BS1〜BS3との間における無線品質情報を測定する(ステップ[2])。
【0032】
ここで、無線端末と無線基地局BS1との間の無線品質情報がHO条件において指定された所定の閾値を下回ると、無線端末は、新たなハンドオーバ先の無線基地局としての候補無線基地局をサーチする(ステップ[3])。具体的には、無線端末は、無線基地局BS1〜BS3との間の無線品質情報を測定し、
図1(B)に示すステップ[2]及び[3]において測定された各測定結果を基に、乗用車CRの進行方法、即ち無線端末の移動方向に存在する無線基地局BS3に関する情報を、新たなハンドオーバ先の候補無線基地局に関する情報として、現在の接続先の無線基地局BS1に送信する(ステップ[3])。
【0033】
無線基地局BS1は、無線端末から送信された候補無線基地局に関する情報を基に、新たなハンドオーバ先の無線基地局としての候補無線基地局を無線基地局BS3と決定し、無線基地局BS3との間でハンドオーバの手続きを行うように無線端末に指示する(ステップ[3])。
【0034】
無線端末は、無線基地局BS1からの指示に応じて、新たなハンドオーバ先の無線基地局BS3との間でハンドオーバの手続きを開始する(ステップ[4])。無線端末と無線基地局BS3との間のハンドオーバの手続きが完了すると、無線端末は、接続先の無線基地局を無線基地局BS1から無線基地局BS3に切り替えて、無線基地局BS3との間で無線通信を開始する(ステップ[5])。また、無線端末は、無線基地局BS3との接続を開始した時、ハンドオーバを実行するための条件(HO条件)の指示を無線基地局BS3から受ける。
【0035】
無線端末は、無線基地局BS3との間で無線通信を開始した後、一定時間が経過すると、無線端末と無線基地局BS3との間の無線品質情報がHO条件において指定された所定の閾値を下回ると、新たなハンドオーバ先の無線基地局としての候補無線基地局のサーチを繰り返す(ステップ[6])。
【0036】
従って、
図1(B)に示す本実施形態では、無線端末は、ハンドオーバの実行タイミングの一定時間前にハンドオーバの実行を予測するので、無線端末が高速で移動している場合でも、予測後とHO条件が満たされた後とにおいて測定された各無線品質情報の変化量を基に、新たなハンドオーバ先の無線基地局を、例えば無線端末に近い無線基地局BS2ではなく、無線端末の移動方向(例えば進行方向)に存在する無線基地局BS3と推測する。これにより、無線端末は、ハンドオーバの回数の増加を抑制でき、データ通信を安定して実現することができる。
【0037】
(無線端末の構成)
図2は、本実施形態の無線端末UEの内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す無線端末UEは、送信アンテナATX及び受信アンテナARXが接続された無線部11と、無線制御部13と、ハンドオーバ予測部15と、移動推測部17と、候補無線基地局推測部19と、端末制御部21と、スピーカSP1が接続されたトーン制御部23と、スピーカSP2及びマイクMICが接続された音声制御部25と、表示部27と、UI(User Interface)部29とを含む。尚、送信アンテナと受信アンテナは同一アンテナでも構わない。
【0038】
無線部11は、無線基地局BS1〜BS3のうちいずれかの無線基地局との間の通信方式に応じて、無線制御部13から出力された送信データ信号を変調し、変調された送信データ信号を所定の高周波信号に変換して送信アンテナATXから送信する。また、無線部11は、無線基地局BS1〜BS3のうちいずれかの無線基地局から送信された高周波信号を受信アンテナARXにおいて受信し、いずれかの無線基地局との間の通信方式に応じて、受信した高周波信号をベースバンドの受信データ信号に変換し、受信データ信号を復調して無線制御部13に出力する。
【0039】
無線部11は、例えば無線基地局BS1から送信された無線品質情報測定用設定メッセージ(Measurement Configuration)と、無線品質情報を測定するための情報とを受信して無線制御部13に出力する。無線品質測定用設定メッセージには、ハンドオーバを実行するための条件(HO条件)の一例として、無線端末UEが無線品質情報の測定結果報告(Measurement Report)を現在の接続先の無線基地局に送信するためのMR送信条件が記載されている。
【0040】
なお、MR送信条件には、例えばハンドオーバを実行するために必要となる無線品質情報の指標に関する情報(例えば指標として受信電界レベル又はSNを用いる旨の情報)と、ハンドオーバを実行するための受信電界レベルの所定の閾値(下限値)とが指定されている。また、例えば無線端末UEがLTEの通信網を用いたデータ通信中にMR送信条件が満たされた場合には、MR送信条件が満たされた時から一定時間の経過後にハンドオーバが実行される可能性が高いと考えられる。
【0041】
無線品質情報を測定するための情報は、例えば参照信号(Reference Signal)を含むパイロットチャネル(Pilot Channel)の情報である。また、無線部11は、GPS(Global Positioning System)における無線端末UEの位置情報、無線基地局からの制御信号、ユーザデータ又はハンドオーバの指示信号を受信する。
【0042】
無線制御部13は、無線品質管理部13aと、スキャン管理部13bとを含み、呼び出し接続、認証、位置登録、ハンドオーバ、ローミング等の無線接続に必要な動作を制御する。
【0043】
無線品質管理部13aは、スキャン管理部13bによって測定された、ハンドオーバ又はローミングを実行するために必要となる無線品質情報(例えば受信電界レベル、ノイズレベル)を監視して管理する。無線品質管理部13aは、スキャン管理部13bにより測定された無線品質情報を含む測定結果報告、又はハンドオーバ若しくはローミングを実行するための手続きに関する情報の送信データ信号を生成して無線部11に出力する。また、無線品質管理部13aは、無線部11から出力された無線品質情報測定用設定メッセージからMR送信条件を抽出し、MR送信条件と、スキャン管理部13bにより周期的に測定された無線品質情報とをハンドオーバ予測部15に通知(出力)する。
【0044】
スキャン管理部13bは、無線基地局を選択するための搬送波周波数及びキャリアの各情報を無線基地局BS1〜BS3毎に有し、無線端末UEが接続可能な無線基地局BS1〜BS3との間の無線品質情報を周期的に測定し、接続可能な無線基地局をサーチする。スキャン管理部13bは、サーチ結果(測定結果)としての無線品質情報を無線品質管理部13aに出力する。
【0045】
スキャン管理部13bは、例えば無線部11により受信された参照信号を含むパイロットチャネルから無線品質情報(例えば受信電界レベル)を周期的に測定する。無線品質情報には、無線端末UEが現在の接続先の無線基地局(例えば無線基地局BS1)からの信号の無線品質情報と、現在の接続先の無線基地局の周囲に存在する各無線基地局からの信号の無線品質情報とが含まれる。
【0046】
なお、無線品質情報の測定値は、無線端末UEが無線通信時に用いる通信方式がLTEであればRSRP(Reference Signal Received Power)又はRSRQ(Reference Signal Received Quality)、通信方式がUTRA(UMTS Terrestrial Radio Access)であればRSCP(Received Signal Code Power)又はEc/N0、通信方式がGERANであればRSSI(Received Signal Strength Indicator)、通信方式がCDMA2000であればパイロット信号の電力である。
【0047】
また、スキャン管理部13bは、現在の接続先の無線基地局(例えば無線基地局BS1)から送信された無線品質測定用設定メッセージに記載されているMR送信条件が満たされたか否か、即ち、無線端末UEが現在の接続先の無線基地局に無線品質情報の測定結果報告を送信するか否かを判定する。
【0048】
ハンドオーバ予測部15は、MR送信条件が実際に満たされる可能性が高いタイミングから、どのくらいの時間前に後述するHO予測完了通知を移動推測部17に出力すれば良いかを示す予測時間情報(例えば1.5秒)を設定値として予め保持している。予測時間情報は、ハンドオーバ予測部15がハンドオーバの実行を予測したタイミングから、MR送信条件が実際に満たされる可能性が高いタイミングまでの時間を示す。なお、予測時間情報は、ハンドオーバ予測部15の動作において予め規定された値であるが、ハンドオーバ予測部15の動作を規定するプログラムの内容を書き換えることによって適宜変更されても良い。
【0049】
ハンドオーバ予測部15は、無線品質管理部13aからのMR送信条件の通知に応じて、スキャン管理部13bにより周期的に測定された無線品質情報の変化量(例えば所定の単位毎の無線品質情報の傾き)を基に、MR送信条件がいつ満たされるかを予測する。
【0050】
より具体的には、ハンドオーバ予測部15は、無線基地局BS1〜BS3との間の各無線品質情報の変化量を基に、予測時間情報に対応した一定時間(例えば1.5秒)の経過後に、MR送信条件において指定された受信電界レベルが所定の閾値(下限値)を下回る可能性が高いこと、即ちハンドオーバを実行する可能性が高いことを予測する。ハンドオーバ予測部15は、予測時間情報に対応した一定時間(例えば1.5秒)の経過後にハンドオーバを実行する可能性が高いことを予測した場合には、ハンドオーバの予測を完了した旨のHO予測完了通知を移動推測部17に出力する。
【0051】
従って、ハンドオーバ予測部15からHO予測完了通知が移動推測部17に出力されたタイミングから、予測時間情報に対応した一定時間(例えば1.5秒)の経過後に、MR送信条件が実際に満たされる可能性が高くなると考えられる。
【0052】
なお、ハンドオーバ予測部15は、無線端末UEが無線基地局のマップ情報と道路情報とを保持し、更にGPS受信器を有する場合には、GPS受信器により受信された無線端末UEの位置情報と、各無線基地局が提供するセル上の位置情報とを比較することで、一定時間の経過後にハンドオーバを実行することを予測しても良い。
【0053】
移動推測部17は、スキャン管理部13bにより周期的に測定された無線品質情報の変化量を基に、無線端末UEの移動速度及び移動方向を推測する。移動推測部17は、推測された無線端末UEの移動速度が所定値以上である、即ち高速で移動していると推測した場合には、無線端末UEの次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局を推測する旨の指示を、無線端末UEの移動速度及び移動方向も含めて候補無線基地局推測部19に出力する。
【0054】
なお、移動推測部17は、検出された無線端末UEの移動速度が所定値未満である、即ち高速で移動していないと判定した場合には、HO予測完了通知に応じたハンドオーバの予測をキャンセルし、ハンドオーバ予測部15にハンドオーバの予測を再び継続させる。
【0055】
なお、移動推測部17は、例えばGPS受信器を用いて、無線端末UEの単位時間あたりの移動距離を算出して無線端末UEの移動速度と移動方向とを求めて良いし、又は、例えばジャイロセンサを用いて、無線端末UEの傾き又は加速度から無線端末UEの移動速度と移動方向とを求めても良い。
【0056】
候補無線基地局推測部19は、移動推測部17から出力された指示を受けると、HO予測完了通知に応じた移動推測部17からの指示の出力タイミングにおける無線端末UEの周囲に存在する無線基地局と無線品質情報との各情報を取得するために、無線基地局のサーチ(スキャン)を無線制御部13に指示する。候補無線基地局推測部19は、ハンドオーバの実行が予測された後に無線制御部13により測定された無線基地局と無線品質情報との各情報(第1スキャンデータ)を取得する。また、候補無線基地局推測部19は、MR送信条件が満たされた後においても同様に無線制御部13により測定された無線基地局と無線品質情報との各情報(第2スキャンデータ)を取得する。
【0057】
候補無線基地局推測部19は、移動推測部17から出力された無線端末UEの移動速度及び移動方向と、無線制御部13から得られた第1スキャンデータと第2スキャンデータとを基に、無線端末UEの次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局を推測する。即ち、候補無線基地局推測部19は、移動推測部17から出力された無線端末UEの移動速度及び移動方向と、無線制御部13から得られた第1スキャンデータと第2スキャンデータとを用いて、ハンドオーバの手続きが完了したタイミングにおける各無線基地局との間の無線品質情報を算出する。
【0058】
具体的には、候補無線基地局推測部19は、無線端末UEの移動方向(進行方向)に存在する無線基地局(例えば無線基地局BS3)との間の無線品質情報を増加し、更に、その周囲に存在する無線基地局(例えば無線基地局BS2)との間の無線品質情報を減少するように無線品質情報を調整することで、ハンドオーバの手続きが完了したタイミングにおける各無線基地局との間の無線品質情報を算出する。なお、候補無線基地局推測部19は、無線制御部13から得られた第1スキャンデータ及び第2スキャンデータの各無線品質情報をそのまま用いて候補無線基地局を推測しても良い。
【0059】
例えば、ハンドオーバの実行が開始されるタイミングの1.5秒前における無線基地局BS3と無線端末UEとの間の無線品質情報の第1スキャンデータが−80dBであり、ハンドオーバの実行が開始されるタイミングにおける無線基地局BS3と無線端末UEとの間の無線品質情報の第2スキャンデータが−76dBであるとする。
【0060】
この場合、候補無線基地局推測部19は、ハンドオーバの手続きが開始してから完了するまでに1秒かかると想定して、ハンドオーバの手続きが完了した時の無線端末UEの移動方向(進行方向)に存在する無線基地局BS3と無線端末UEとの間の無線品質情報を、第2スキャンデータの無線品質情報を増加するように調整して、例えば−74dB(=−76+({|−80|−|(−76)|}/2)と算出する。
【0061】
また、ハンドオーバの実行が開始されるタイミングの1.5秒前における無線基地局BS2と無線端末UEとの間の無線品質情報の第1スキャンデータが−73dBであり、ハンドオーバの実行が開始されるタイミングにおける無線基地局BS2と無線端末UEとの間の無線品質情報の第2スキャンデータが−77dBであるとする。
【0062】
この場合、候補無線基地局推測部19は、ハンドオーバの手続きが開始してから完了するまでに1秒かかると想定して、ハンドオーバの手続きが完了した時の無線端末UEの移動方向(進行方向)に存在する無線基地局BS3の周囲に存在する無線基地局BS2と無線端末UEとの間の無線品質情報を、第2スキャンデータの無線品質情報を減少するように調整して、例えば−79dB(=−77+({|−73|−|(−77)|}/2)と算出する。
【0063】
これにより、候補無線基地局推測部19は、無線品質情報の算出結果を基に、無線端末UEの移動方向に存在する無線基地局BS3を、次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局と推測し、推測結果に関する情報を無線制御部13に出力する。なお、候補無線基地局推測部19は、次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局の推測結果に関する情報を、端末制御部21を介して表示部27に表示させても良い。
【0064】
端末制御部21は、例えばプロセッサを用いて構成され、無線端末UEの各部の動作を制御するための制御信号を該当する各部に出力する。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)である。
【0065】
トーン制御部23は、端末制御部21からの制御信号に応じてスピーカSP1における音声出力を制御し、無線基地局BS1〜BS3のうちいずれかの無線基地局からの着信信号があると、所定の着信音をスピーカSP1において出力させる。また、トーン制御部23は、端末制御部21からの制御信号に応じて、ブザー音又はアラーム音をスピーカSP1において出力させる。
【0066】
音声制御部25は、端末制御部21からの制御信号に応じてスピーカSP2における音声出力及びマイクMICにおける音声収音を制御し、無線基地局BS1〜BS3のうちいずれかの無線基地局からの着信信号があると、マイクMICにおいてユーザの音声を収音させ、通話相手からの音声をスピーカSP2において出力させる。
【0067】
表示部27は、端末制御部21からの制御信号に応じて、表示対象のデータを画面に表示させる。例えば、表示部27は、候補無線基地局推測部19により推測された次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局の推測結果に関する情報を表示する。
【0068】
UI部29は、ユーザが無線端末UEに対する操作を入力するためのユーザインターフェースであり、ユーザの操作内容に応じた操作コマンド信号を端末制御部21に出力する。UI部29は、例えば無線端末UEがスマートフォン又はタブレット端末である場合には、表示部27の上に配置され、ユーザの指又はスタイラスペンによる入力操作を受け付け可能なタッチパネルを用いて構成される。また、UI部29は、例えば無線端末UEが携帯電話機である場合には、電話番号等を入力するテンキー、オンフック又はオフフックを行う通話器キー及びファンクションキー等の各種キーを用いて構成可能である。
【0069】
(無線端末の動作)
次に、本実施形態の無線端末UEと、現在の接続先である無線基地局(ソース無線基地局)BS1と、次のハンドオーバ先の無線基地局BS3との間の時系列的なシグナリングについて、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の無線端末UEとソース無線基地局BS1とターゲット無線基地局BS3との間の時系列的なシグナリングの手順の一例を示すシーケンス図である。
【0070】
例えばソース無線基地局BS1はLTEの通信方式に対応した無線基地局であり、ターゲット無線基地局BS3は3Gの通信方式に対応した無線基地局である。また、
図3の説明では、無線端末UEの現在の接続先である無線基地局を「ソース無線基地局」と記載し、無線端末UEの新たなハンドオーバ先の接続先である無線基地局を「ターゲット無線基地局」と記載する。
【0071】
また、
図3の説明を簡単にするために、無線端末UEはステップS18及びステップS21においてスキャン処理、即ち無線基地局と無線端末UEとの間の無線品質情報を測定する処理を行うように図示しているが、無線制御部13のスキャン管理部13bは、実際にはステップS18及びステップS21に示すスキャン処理を、ステップS18及びステップS21の時点に限定せずに周期的に行っても良い。
【0072】
更に、
図3の説明では、ステップS20の時点においてMR送信条件が満たされ、即ち、無線端末UEとソース無線基地局BS1との間の無線品質情報が所定の閾値(下限値)を下回るとする。従って、ステップS20の時点まではMR送信条件は満たされない、即ち、無線端末UEとソース無線基地局BS1との間の無線品質情報が所定の閾値(下限値)を下回らないとする。
【0073】
図3において、ソース無線基地局BS1は、MR送信条件を含む無線品質情報測定用設定メッセージ(Measurement Configuration)を無線端末UEに送信する(S11)。無線端末UEが無線品質情報測定用設定メッセージを受信すると、無線制御部13の無線品質管理部13aは、無線品質情報測定用設定メッセージに記載されているMR送信条件を抽出してハンドオーバ予測部15に通知(出力)する(S12)。
【0074】
ハンドオーバ予測部15は、ステップS12における無線品質管理部13aからのMR送信条件の通知に応じて、スキャン管理部13bにより周期的に測定された無線品質情報の変化量(例えば所定の単位毎の無線品質情報の傾き)を基に、MR送信条件がいつ満たされるかを予測する(S13)。
【0075】
より具体的には、ハンドオーバ予測部15は、無線基地局BS1〜BS3との間の各無線品質情報の変化量を基に、予測時間情報に対応した一定時間(例えば1.5秒)の経過後に、MR送信条件において指定された受信電界レベルが所定の閾値(下限値)を下回る可能性が高いこと、即ちハンドオーバを実行する可能性が高いことを予測する(S13)。ハンドオーバ予測部15は、予測時間情報に対応した一定時間(例えば1.5秒)の経過後にハンドオーバを実行する可能性が高いことを予測した場合には、ハンドオーバの予測を完了した旨のHO予測完了通知を移動推測部17に出力する(S14)。
【0076】
移動推測部17は、スキャン管理部13bにより周期的に測定された無線品質情報の変化量を基に、無線端末UEの移動速度及び移動方向を推測する(S15)。移動推測部17は、無線端末UEの移動速度が所定値以上である、即ち高速で移動していると推測した場合には、無線端末UEの次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局を推測する旨の指示を、無線端末UEの移動速度及び移動方向も含めて候補無線基地局推測部19に出力する(S16)。
【0077】
候補無線基地局推測部19は、ステップS16における移動推測部17からの指示を受けると、HO予測完了通知に応じた移動推測部17からの指示の出力タイミングにおける無線端末UEの周囲に存在する無線基地局と無線品質情報との各情報を取得するために、無線基地局のサーチ(スキャン)を無線制御部13に指示する(S17)。
【0078】
無線制御部13のスキャン管理部13bは、ステップS17における候補無線基地局推測部19からの指示を受けると、ソース無線基地局BS1と無線端末UEとの間の無線品質情報と、ソース無線基地局BS1の周囲に存在する他の無線基地局と無線端末UEとの間の各無線品質情報とを測定する(S18)。スキャン管理部13bは、測定された各無線品質情報を第1スキャンデータとして候補無線基地局推測部19に通知(出力)する(S19)。
【0079】
ここで、MR送信条件が満たされ、即ち、無線端末UEとソース無線基地局BS1との間の無線品質情報が所定の閾値(下限値)を下回ったとする(S20)。無線制御部13のスキャン管理部13bは、MR送信条件が満たされた後、ソース無線基地局BS1と無線端末UEとの間の無線品質情報と、ソース無線基地局BS1の周囲に存在する他の無線基地局と無線端末UEとの間の各無線品質情報とを測定する(S21)。スキャン管理部13bは、測定された各無線品質情報を第2スキャンデータとして候補無線基地局推測部19に通知(出力)する(S22)。
【0080】
候補無線基地局推測部19は、ステップS16において移動推測部17から得られた無線端末UEの移動速度及び移動方向と、ステップS19において無線制御部13から得られた第1スキャンデータと、ステップS22において無線制御部13から得られた第2スキャンデータとを基に、無線端末UEの次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局を推測する(S23)。即ち、候補無線基地局推測部19は、移動推測部17から出力された無線端末UEの移動速度及び移動方向と、無線制御部13から得られた第1スキャンデータと第2スキャンデータとを用いて、ハンドオーバの手続きが完了したタイミングにおける各無線基地局との間の無線品質情報を算出する。
【0081】
具体的には、候補無線基地局推測部19は、無線端末UEの移動方向(進行方向)に存在する無線基地局(例えば無線基地局BS3)との間の無線品質情報を増加し、更に、その周囲に存在する無線基地局(例えば無線基地局BS2)との間の無線品質情報を減少するように無線品質情報を調整することで、ハンドオーバの手続きが完了したタイミングにおける各無線基地局との間の無線品質情報を算出する。
【0082】
候補無線基地局推測部19は、無線品質情報の算出結果を基に、無線端末UEの移動方向に存在する無線基地局BS3(ターゲット無線基地局BS3)を、次のハンドオーバ先の無線基地局である候補無線基地局と推測し、推測結果に関する情報を無線制御部13に通知(出力)する(S24)。
【0083】
無線制御部13の無線品質管理部13aは、ステップS24における候補無線基地局推測部19からの通知に応じて、ソース無線基地局BS1と無線端末UEとの間の無線品質情報と、新たなハンドオーバ先のターゲット無線基地局BS3と無線端末UEとの間の無線品質情報とを含む測定結果報告(Measurement Report)を生成する(S25)。無線端末UEは、ステップS25において生成された測定結果報告(Measurement Report)をソース無線基地局BS1に送信する(S26)。
【0084】
ソース無線基地局BS1は、ステップS26において送信された測定結果報告を受信すると、ソース無線基地局BS1と、測定結果報告において指定された新たなハンドオーバ先のターゲット無線基地局BS3との間で、無線端末UEの接続先を切り替えるためのハンドオーバの手続きの準備を開始する(S27)。
【0085】
具体的には、ソース無線基地局BS1は、新たなハンドオーバ先のターゲット無線基地局BS3との間でハンドオーバを実行させるためのハンドオーバの指示(HO command)を無線端末UEに送信し(S28)、無線端末UEから送信されていた上りリンクデータ(UL:Uplink)と無線端末UEに送信しようとしていた下りリンクデータ(DL:Downlink)とをターゲット無線基地局BS3に転送する(S29)。
【0086】
無線端末UEは、ステップS28においてハンドオーバの指示をソース無線基地局BS1から受けると、先ず、ランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access Channel)を用いて、例えば短いプリアンブル(preamble)をターゲット無線基地局BS3に送信する(S30)。
【0087】
ターゲット無線基地局BS3は、ステップS30において送信されたプリアンブルを受信すると、無線端末UEからの上りリンク(UP:Uplink)に関する無線リソースと通信タイミングとを割り当てる処理を行い、割り当て処理を行った旨のメッセージを、ステップS30において送信されたプリアンブルに対する応答として無線端末UEに送信する(S31)。
【0088】
無線端末UEは、ステップS31において送信された応答を受信すると、無線端末UEとターゲット無線基地局BS3との間のハンドオーバの手続きが完了し、無線端末UEの接続先がソース無線基地局BS1からターゲット無線基地局BS3に切り替わるように通信経路(パス)が変更された後、RRC(Radio Resource Control、無線リソース制御)の接続状態が再構成された旨の通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)をターゲット無線基地局BS3に送信する(S32)。これにより、無線端末UEは、ソース無線基地局BS1との間のデータ通信を、ハンドオーバによって切り替えられた新しいターゲット無線基地局BS3との間において安定して継続することができる。
【0089】
以上により、本実施形態の無線端末UEは、複数の無線基地局に接続可能であり、各々の無線基地局BS1〜BS3との間の無線品質情報(例えば受信電界レベル)を周期的に測定し、受信電界レベルの変化量を基に、ハンドオーバの実行を予測する。即ち、無線端末UEは、受信電界レベルの変化量を基に、予め規定された所定時間後に、所定のハンドオーバの実行条件が満たされることを予測する。
【0090】
無線端末UEは、ハンドオーバの実行が予測された直後に測定された第1無線品質情報(例えば第1受信電界レベル)と、所定のハンドオーバの実行条件が満たされた直後に測定された第2無線品質情報(例えば第2受信電界レベル)とを基に、新たなハンドオーバ先となる候補無線基地局を推測する。無線端末UEは、推測された候補無線基地局との間のハンドオーバに関する情報を含む無線品質測定報告(measurement report)を、現在の無線通信先の無線基地局BS1に送信する。
【0091】
従って、無線端末UEは、所定のハンドオーバの実行条件が満たされるタイミングの所定時間前にハンドオーバの実行を予測し、測定された受信電界レベルの変化量を基にして新たなハンドオーバ先の候補無線基地局を推測する。これにより、無線端末UEは、例えば複数の無線基地局が提供するセル間を高速で移動している場合でも、ハンドオーバの手続きの回数の増加を抑制し、現在の無線通信先の無線基地局との間のデータ通信を次の無線通信先の無線基地局に移行できるので、データ通信を安定して実現することができる。
【0092】
以下、上述した本発明に係る無線通信装置及び無線基地局切替方法の構成、作用及び効果を説明する。
【0093】
本発明の一実施形態は、複数の無線基地局に接続可能な無線通信装置であって、各々の前記無線基地局との間の無線品質情報を周期的に測定する測定部と、測定された前記無線品質情報を基に、前記無線通信装置の無線通信先の無線基地局を切り替えるハンドオーバの実行を予測する予測部と、前記ハンドオーバの実行が予測された後に測定された第1無線品質情報と、所定の前記ハンドオーバの実行条件が満たされた後に測定された第2無線品質情報とを基に、前記無線通信装置の新たな無線通信先の候補無線基地局を推測する推測部と、推測された前記候補無線基地局との間のハンドオーバに関する情報を含む無線品質測定報告を、現在の無線通信先の無線基地局に送信する無線部と、を備える無線通信装置である。
【0094】
上述した構成では、無線端末UEは、移動体通信システムが異なる複数の無線基地局に接続可能であり、各々の無線基地局BS1〜BS3との間の無線品質情報(例えば受信電界レベル)を周期的に測定し、受信電界レベルの変化量を基に、ハンドオーバの実行を予測する。即ち、無線端末UEは、受信電界レベルの変化量を基に、予め規定された所定時間後に、所定のハンドオーバの実行条件が満たされることを予測する。
【0095】
無線端末UEは、ハンドオーバの実行が予測された直後に測定された第1無線品質情報(例えば第1受信電界レベル)と、所定のハンドオーバの実行条件が満たされた直後に測定された第2無線品質情報(例えば第2受信電界レベル)とを基に、新たなハンドオーバ先となる候補無線基地局を推測する。無線端末UEは、推測された候補無線基地局との間のハンドオーバに関する情報を含む無線品質測定報告(measurement report)を、現在の無線通信先の無線基地局BS1に送信する。
【0096】
従って、無線端末UEは、所定のハンドオーバの実行条件が満たされるタイミングの所定時間前にハンドオーバの実行を予測し、測定された受信電界レベルの変化量を基にして新たなハンドオーバ先の候補無線基地局を推測する。これにより、無線端末UEは、例えば複数の無線基地局が提供するセル間を高速で移動している場合でも、ハンドオーバの手続きの回数の増加を抑制し、現在の無線通信先の無線基地局との間のデータ通信を次の無線通信先の無線基地局に移行できるので、データ通信を安定して実現することができる。
【0097】
また、本発明の一実施形態は、前記ハンドオーバの実行の予測完了に応じて、周期的に測定された前記無線品質情報の変化量を基に、前記無線通信装置の移動速度を推測する移動推測部、を更に備える無線通信装置である。
【0098】
上述した構成では、無線端末UEは、ハンドオーバの実行が予測されると、周期的に測定された受信電界レベルの変化量を基に、無線端末UEの移動速度を推測する。例えば移動速度が高速でない場合、即ち無線端末UEの移動速度が所定の閾値未満である場合には、無線端末UEは、頻繁にハンドオーバ先の無線基地局を切り替える必要がないと考えられる。
【0099】
これにより、無線端末UEは、高速で移動していない場合、即ち無線端末UEの移動速度が所定の閾値未満である場合には、新たなハンドオーバ先となる候補無線基地局を推測せず、無線端末UEの消費電力を低減することができる。
【0100】
また、本発明の一実施形態は、前記推測部が、前記第1無線品質情報及び第2無線品質情報の各変化量と前記無線通信装置の移動方向とを基に、前記無線通信装置の移動方向に存在する無線基地局との間の前記第2無線品質情報を所定量増加させ、前記無線通信装置の移動方向に存在する無線基地局の周囲に存在する無線基地局との間の前記第2無線品質情報を所定量減少させる無線通信装置である。
【0101】
上述した構成では、無線端末UEは、移動方向に存在する無線基地局との間の第2無線品質情報(第2受信電界レベル)を所定量増加させ、その無線基地局の周囲に存在する無線基地局との間の第2無線品質情報(第2受信電界レベル)を所定量減少させる。
【0102】
これにより、無線端末UEは、所定のハンドオーバの実行条件が満たされた場合に、新たなハンドオーバ先となる候補無線基地局を高精度に推測することができる。
【0103】
また、本発明の一実施形態は、推測された前記候補無線基地局に関する情報を表示する表示部を更に備える無線通信装置である。
【0104】
これにより、無線端末UEは、新しいハンドオーバ先となる候補無線基地局に関する情報をユーザに対して視覚的に認知させることができる。
【0105】
また、本発明の一実施形態は、複数の無線基地局に接続可能な無線通信装置における無線基地局切替方法であって、各々の前記無線基地局との間の無線品質情報を周期的に測定するステップと、測定された前記無線品質情報を基に、前記無線通信装置の無線通信先の無線基地局を切り替えるハンドオーバの実行を予測するステップと、前記ハンドオーバの実行が予測された後に測定された第1無線品質情報と、所定の前記ハンドオーバの実行条件が満たされた後に測定された第2無線品質情報とを基に、前記無線通信装置の新たな無線通信先の候補無線基地局を推測するステップと、推測された前記候補無線基地局との間のハンドオーバに関する情報を含む無線品質測定報告を、現在の無線通信先の無線基地局に送信するステップと、を有する無線基地局切替方法である。
【0106】
上述した方法では、無線端末UEは、移動体通信システムが異なる複数の無線基地局に接続可能であり、各々の無線基地局BS1〜BS3との間の無線品質情報(例えば受信電界レベル)を周期的に測定し、受信電界レベルの変化量を基に、ハンドオーバの実行を予測する。即ち、無線端末UEは、受信電界レベルの変化量を基に、予め規定された所定時間後に、所定のハンドオーバの実行条件が満たされることを予測する。
【0107】
無線端末UEは、ハンドオーバの実行が予測された直後に測定された第1無線品質情報(例えば第1受信電界レベル)と、所定のハンドオーバの実行条件が満たされた直後に測定された第2無線品質情報(例えば第2受信電界レベル)とを基に、新たなハンドオーバ先となる候補無線基地局を推測する。無線端末UEは、推測された候補無線基地局との間のハンドオーバに関する情報を含む無線品質測定報告(measurement report)を、現在の無線通信先の無線基地局BS1に送信する。
【0108】
従って、無線端末UEは、所定のハンドオーバの実行条件が満たされるタイミングの所定時間前にハンドオーバの実行を予測し、測定された受信電界レベルの変化量を基にして新たなハンドオーバ先の候補無線基地局を推測する。これにより、無線端末UEは、例えば複数の無線基地局が提供するセル間を高速で移動している場合でも、ハンドオーバの手続きの回数の増加を抑制し、現在の無線通信先の無線基地局との間のデータ通信を次の無線通信先の無線基地局に移行できるので、データ通信を安定して実現することができる。
【0109】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。