(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明に係るプロジェクタ1は、光源ユニット60と、表示素子51と、表示素子51で生成された投影光をスクリーンに投影する投影光学系と、光源ユニット60からの出射光を表示素子51まで導光し、かつ、表示素子51で生成された投影光を投影光学系の光軸に一致させる導光光学系170と、光源ユニット60及び表示素子51等を制御するプロジェクタ制御手段と、を備える。
【0013】
この光源ユニット60は、緑色光源装置としての励起光照射装置70及びこの励起光照射装置70からの出射光を受けて緑色波長帯域の蛍光光を出射する蛍光発光装置100と、赤色波長帯域光を出射する赤色光源装置120と、青色波長帯域光を出射する青色光源装置140と、赤色、緑色及び青色の各波長帯域光を同一方向の光軸に変換して光源ユニット60から出射させる光源光学系150と、を備える。
【0014】
この光源光学系150は、1枚のマイクロレンズアレイ151と、励起光をマイクロレンズアレイ151の一方の面から入射させるように反射する励起光反射ミラーと、マイクロレンズアレイ151を透過した励起光を蛍光発光装置100の方向に反射し、蛍光発光装置100から出射された蛍光光をマイクロレンズアレイ151の他方の面から入射するように反射し、且つ、赤色光源装置120及び青色光源装置140からの出射光を透過させてマイクロレンズアレイ151に入射させるダイクロイックミラー155を有するものである。
【0015】
このマイクロレンズアレイ151は、蛍光発光装置100における蛍光板101の蛍光体層の形状や表示素子51の形状と相似形状の複数のマイクロ凸レンズ151aがマトリクス状に配列され、マイクロ凸レンズ151aを透過した各光線束は、集光レンズ110によって蛍光体層上で中心位置が重なるように該蛍光体層に照射される。
【0016】
更に、蛍光発光装置100や赤色光源装置120及び青色光源装置140からの出射光も、マイクロレンズアレイ151を透過することにより各マイクロ凸レンズ151aの矩形の光線束となり、マイクロ凸レンズ151aを透過した各光線束は、集光レンズ172によって表示素子51上で中心位置が重なるように表示素子51に照射される。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
図1は、プロジェクタ1の外観斜視図である。なお、本実施の形態において、プロジェクタ1における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ1の投影方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0018】
プロジェクタ1は、
図1に示すように、略直方体形状をした小型プロジェクタ1であって、上ケース5と下ケース6により内部を覆うようにして構成されている。そして、プロジェクタ筐体の前方に位置する上ケース5と下ケース6とが嵌合されてなる正面板12には、略中央にレンズ鏡筒225が配置され、右側板15近傍に吸気孔18が形成されている。
【0019】
また、プロジェクタ筐体の上ケース5によって形成される上面板11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。さらに、プロジェクタ筐体の後方や側方に位置する上ケース5と下ケース6とが嵌合されてなる背面板13や右側板15には、USB端子や電源アダプタプラグ、メモリカードの挿入口等の各種端子が設けられている。
【0020】
次に、プロジェクタ1のプロジェクタ制御手段について
図2の機能ブロック図を用いて説明する。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。この制御部38は、プロジェクタ1内の各回路の動作制御を司るものであって、演算装置としてのCPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0021】
そして、このプロジェクタ制御手段により、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0022】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0023】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものである。
【0024】
そして、このプロジェクタ1では、光源ユニット60から出射された光線束、即ち光源ユニット60の光源光学系150により所定の方向に集光された光線束を導光光学系170を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、後述する投影光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0025】
また、画像圧縮伸長部31は、再生時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行なう。
【0026】
そして、筐体の上ケース5に設けられるキー/インジケータ部37からの操作信号は、直接に制御部38に送出される。なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0027】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御している。この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光源光が光源ユニット60から出射されるように、光源ユニット60の励起光照射装置70、赤色光源装置120及び青色光源装置140の発光を個別に制御する。さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。
【0028】
さらに、プロジェクタ制御手段は、光源ユニット60からの出射光の照度を測定する照度測定手段としての照度センサ42を備える。そして、制御部38は、照度センサ42から送出された各波長帯域光の出力に関する情報をもとに、光源ユニット60の各光源に印加する電圧を調整し、輝度バランスを維持するようにしている。
【0029】
次に、このプロジェクタ1の内部構造について述べる。
図3は、プロジェクタ1の内部構造を示す平面模式図である。プロジェクタ1は、
図3に示すように、中央部分に光源ユニット60を備え、光源ユニット60の左側方に投影光学系が内装されたレンズ鏡筒225を備え、レンズ鏡筒225と左側板14との間にバッテリー55を備えている。また、プロジェクタ1は、レンズ鏡筒225と背面板13との間におけるバッテリー55の近傍に、左側板14と平行に配置されたDMD等の表示素子51を備えている。さらに、プロジェクタ1は、光源ユニット60の下方に主制御回路基板241を備え、レンズ鏡筒225とバッテリー55との間に電源制御回路基板242を備えている。
【0030】
また、プロジェクタ1は、光源ユニット60と表示素子51との間に導光光学系170を備え、この導光光学系170により光源ユニット60からの出射光を集光レンズ172により集光してプリズム175を介して表示素子51に照射し、かつ、表示素子51で反射されたオン光の光軸を、プリズム175により投影光学系の光軸に一致させて投影光学系に向かって出射する。
【0031】
また、光源ユニット60と右側板15との間には、背面板13側から順に、電源コネクタ57、後述する赤色光源121用及び青色光源141用のヒートシンク190、後述する励起光源71及び蛍光板101で発生する熱をヒートシンク190へ導くヒートパイプ130、冷却ファン261を備えている。
【0032】
光源ユニット60は、レンズ鏡筒225の近傍であってプロジェクタ1の中央近傍に配置された励起光照射装置70及び冷却ファン261の近傍であってプロジェクタ1の中央近傍に配置された蛍光発光装置100による緑色光源装置と、電源コネクタ57の近傍であって背面板13の近傍に配置された青色光源装置140及び赤色光源装置120と、励起光照射装置70及び蛍光発光装置100の後方であって、且つ、青色光源装置140及び赤色光源装置120と導光光学系170との間の背面板13の近傍に配置される光源光学系150を備えている。
【0033】
励起光照射装置70は、光軸が左側板14と平行とされて背面板13の方向に光を出射する2個の励起光源71と、各励起光源71の光軸上に配置された2個のコリメータレンズ73と、を備える。この励起光源71は、青色レーザ発光器であり、励起光照射装置70の後方に配置される光源光学系150の励起光反射ミラー161に向けて青色波長帯域のレーザ光線を出射する。
【0034】
尚、コリメータレンズ73は、励起光源71からの出射光を略平行な光線束として僅かに拡散させるように照射する。また、励起光源71は、励起光源71用の基板を介してヒートパイプ130と接触しており、このヒートパイプ130を介してヒートシンク190によって冷却される。
【0035】
そして、蛍光発光装置100は、蛍光板101と蛍光板101の後方に配置される集光レンズ110を備える。蛍光板101は、表面が鏡面加工された方形状の平板であって、正面板12と平行に配置され、この鏡面上に方形状の緑色蛍光体層が敷設されている。この緑色蛍光体層は、耐熱性及び透光性の高いシリコン樹脂等のバインダと、このバインダに均一に散りばめられた緑色蛍光体と、から形成されている。
【0036】
この鏡面加工された平板の上に蛍光体層が敷設された蛍光板101は、励起光源71から出射されたレーザ光線を励起光とし、蛍光体層の蛍光体から緑色波長帯域の蛍光光を励起光の入射面と同一の面から出射する。また、この蛍光板101の緑色蛍光体層は、表示素子51と相似形状とされており、緑色蛍光体層から出射される光線束の断面形状は、表示素子51の形状に近似したものとなる。
【0037】
赤色光源装置120は、光軸が背面板13と平行とされた赤色光源121と赤色光源121の光軸上に配置された集光レンズ125を備える。この赤色光源121は、赤色発光ダイオードであり、赤色光源121から出射される光は集光レンズ125により所定の拡散範囲に制限された光束とされて赤色光源装置120から出射されるものであり、赤色光源121はヒートシンク190によって冷却される。
【0038】
青色光源装置140は、光軸が赤色光源装置120と平行とされた青色光源141と青色光源141の光軸上に配置された集光レンズ145を備える。この青色光源141は、青色発光ダイオードであり、青色光源141から出射される光は集光レンズ145により所定の拡散範囲に制限された光束とされて青色光源141から出射されるものであり、青色光源141はヒートシンク190によって冷却される。
【0039】
光源光学系150は、励起光照射装置70からの出射光を背面板13と平行として右側板15の方向に反射する励起光反射ミラー161と、励起光反射ミラー161で反射された励起光を一方の面から透過させるマイクロレンズアレイ151と、マイクロレンズアレイ151を透過した励起光を正面板12の方向、即ち蛍光発光装置100の方向に向けて反射するダイクロイックミラー155と、を有する。
【0040】
この光源光学系150の励起光反射ミラー161は、青色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光や緑色波長帯域光を透過させるものであり、ダイクロイックミラー155は、
図4に示すように、背面板13側の後半部分を上領域とする第1ダイクロイック領域156とし、正面板12側の前半部分を下領域とする第2ダイクロイック領域157としている。
【0041】
この上領域である第1ダイクロイック領域156は、少なくとも青色波長帯域光を透過させ且つ緑色波長帯域光を反射させる領域とし、下領域である第2ダイクロイック領域157は、赤色波長帯域光を透過させ、緑色波長帯域光及び励起光である青色波長帯域光を反射する領域とするものである。
【0042】
そして、青色光源装置140の光軸上に第1ダイクロイック領域156を位置させ、赤色光源装置120の光軸上に第2ダイクロイック領域157を位置させ、青色光源装置140から出射される青色波長帯域光をダイクロイックミラー155及びマイクロレンズアレイ151を透過させて導光光学系170の集光レンズ172に入射させ、
赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光をダイクロイックミラー155、マイクロレンズアレイ151及び励起光反射ミラー161を透過させて導光光学系170の集光レンズ172に入射させる。
【0043】
また、蛍光発光装置100から出射される緑色波長帯域光は、ダイクロイックミラー155で反射させて青色波長帯域光及び赤色波長帯域光の光軸と平行な光軸とし、マイクロレンズアレイ151を透過させ、マイクロレンズアレイ151を透過させた緑色波長帯域光の一部はそのまま集光レンズ172に、マイクロレンズアレイ151を透過させた緑色波長帯域光の他の一部は励起光反射ミラー161を透過させて集光レンズ172に入射させる。
【0044】
このように、励起光の入射面とは逆の面からマイクロレンズアレイ151に入射されてマイクロレンズアレイ151を透過した各原色光は、集光レンズ172に入射され、集光レンズ172によりマイクロレンズアレイ151の各マイクロ凸レンズ151aの像を重ねるように表示素子51の画像形成面に照射され、光密度の均一な光線束として表示素子51に入射されることになる。
【0045】
尚、
図4においては、励起光や各原色光の光軸を表示しているものであり、励起光であるレーザ光はコリメータレンズ73から僅かに拡散する光線束として光軸方向に出射され、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光、及び、青色波長帯域光の各原色光も各集光レンズ125、110、145から出射されるに際して光軸を中心に僅かに拡散する光線束として出射されるものである。
【0046】
そして、
図5は、マイクロレンズアレイ151の正面模式図及び断面模式図である。励起光照射装置70のマイクロレンズアレイ151は、
図5(a)及び(b)に示すように、複数のマイクロ凸レンズ151aがマトリクス状に配列されてなる。また、各マイクロ凸レンズ151aは、蛍光板101の緑色蛍光体層の形状と略相似形状とされている。そして、マイクロレンズアレイ151に入射した光線束は、各マイクロ凸レンズ151aによって複数の光線束に変換され、また、各々のマイクロ凸レンズ151aに入射した光線束は各マイクロ凸レンズ151aによって方形断面の光線束に変換されることとなる。
【0047】
また、マイクロレンズアレイ151によって、複数の方形断面の光線束に変換された励起光は、集光レンズ110によって集光されて蛍光板101の緑色蛍光体層に照射される。そして、各マイクロ凸レンズ151aを透過した各光線束は、集光レンズ110によって緑色蛍光体層上で中心位置が重なるように集光され、緑色蛍光体層上の全体に複数の方形断面の各光線束が重なり合わさって照射されることとなる。
【0048】
そして、各光線束は、マイクロ凸レンズ151aによって緑色蛍光体層102の形状と略相似形状の断面形状であるため、緑色蛍光体層上に均一な強度で励起光が照射されることとなり、蛍光体を均一に発光させることができる。
【0049】
また、この光源光学系150におけるマイクロレンズアレイ151は、励起光とは逆の面から入射される赤色光源121、青色光源141及び蛍光板101から出射された光線束を、表示素子51の形状に合わせた複数の長方形断面の光線束に変換し、かつ、当該マイクロレンズアレイ151によって、又は、集光レンズ172によって、表示素子51上で各光線束の中心位置が重なるように集光することでミキシングし、均一な強度分布の光線束に変換するものである。
【0050】
導光光学系170は、集光レンズ172とプリズム175とで構成している。このプリズム175はR−TIRプリズムであって、表示素子51に光源光を照射するコンデンサレンズとして、及び、表示素子51で生成された投影光をレンズ鏡筒225に内装された投影光学系の光軸と一致させるように光軸を変更する光軸変換装置として機能する。
【0051】
レンズ鏡筒225に内装された投影光学系は、固定レンズ群や可動レンズ群によって構成されており、上述したレンズモータ45を制御することにより可動レンズ群のレンズを光軸方向に稼働させることでズーム機能やフォーカス機能を実現している。
【0052】
また、バッテリー55は、プロジェクタ1の駆動電源であり、商用電源の接続により充電可能な2次電池である。なお、バッテリー55は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの2次電池を適用可能である。そして、本実施例のプロジェクタ1は、電気コード等を接続していなくとも、このバッテリー55の電力によって投影可能とされている。
【0053】
このように、本実施例のプロジェクタ1では、励起光源71からの励起光が一方の面から入射されるマイクロレンズアレイ151を配置することにより、蛍光板101の蛍光体層に均一な強度の励起光を照射できることとなる。よって、蛍光体を均一に発光させることができる。
【0054】
そして、赤色光源装置120からの赤色波長帯域光、蛍光発光装置100からの緑色波長帯域光、及び、青色光源装置140からの青色波長帯域光を、マイクロレンズアレイ151の他方の面から入射し、マイクロレンズアレイ151及び集光レンズ172を介して均一な光源光として表示素子51に照射することができる。従って、輝度ムラの無い高画質の投影が可能なプロジェクタ1を提供できる。
【0055】
更に、マイクロレンズアレイ151の一方の面から励起光を入射するようにマイクロレンズアレイ151の一方の側に励起光反射ミラー161を、マイクロレンズアレイ151の他方の面から各原色光を入射するように他方の面の側にダイクロイックミラー155を配置するものとし、蛍光発光装置100の集光レンズ110によりマイクロレンズアレイ151に形成した各マイクロ凸レンズ151aの像を重ねるように蛍光板101に励起光を集光させ、マイクロレンズアレイ151を介して光源ユニット60から出射される各原色光は導光光学系170の集光レンズ172により各マイクロ凸レンズ151aの像を重ねるように表示素子51に集光させるものであるから、光源ユニット60の構成部品の点数を少なくすると共に、光学系の集光状態の調整を容易とし、光源ユニット60の組立てを容易として効率の高い集光光学系とすることができる。
【0056】
また、光源ユニット60の第2実施例としては、
図6に示すように、修正ガラス板165を追加するものである。
【0057】
この修正ガラス板165は、励起光反射ミラー161の基材と同一の材質にして同一の厚さとしたガラス板であり、励起光反射ミラー161がマイクロレンズアレイ151と重ならない領域を覆うように配置するものである。
【0058】
従って、マイクロレンズアレイ151を透過して集光レンズ172に入射される原色光の内、青色波長帯域光や励起光反射ミラー161を透過しない緑色波長帯域光を修正ガラス板165に入射して透過させることにより、励起光反射ミラー161を透過して集光レンズ172に入射される原色光と同一光路長として集光レンズ172に入射して表示素子51に集光させることができる。
【0059】
このため、集光レンズ172を介してマイクロレンズアレイ151の各マイクロ凸レンズ151aの像を表示素子51に結像させるに際し、励起光反射ミラー161を透過した光と励起光反射ミラー161を透過しない光との光路差を無くして各像の一致をより正確に行うことができる。
【0060】
また、光源ユニット60の第3実施例としては、
図7に示すように、励起光反射ミラー161を省略するものである。
【0061】
この第3実施例は、赤色光源装置120、蛍光発光装置100、及び、青色光源装置140から出射される各原色光と、励起光照射装置70から出射される励起光のマイクロレンズアレイ151への入射範囲を異ならせるものである。
【0062】
また、この光源ユニット60では、ダイクロイックミラー155の第1ダイクロイック領域156として、緑色波長帯域光を反射し、且つ、赤色波長帯域光及び青色波長帯域光を透過させるダイクロイックミラーとし、第2ダイクロイック領域157としては全反射ミラー又は励起光とする青色波長帯域光を少なくとも反射するダイクロイックミラーとするものである。
【0063】
そして、第1ダイクロイック領域156を赤色光源装置120及び青色光源装置140からの出射光の光軸位置に配置すると共に、第2ダイクロイック領域157を赤色光源装置120及び青色光源装置140の位置よりも正面板12の方向に外すようにダイクロイックミラー155を配置するものである。
【0064】
また、蛍光発光装置100において、集光レンズ110の光軸と蛍光板101の中心とをずらせたシフト配置とし、集光レンズ110と蛍光板101との距離や集光レンズ110の合成焦点距離等を調整して各マイクロ凸レンズ151aの像を僅かにずらし、マイクロレンズアレイ151の励起光が透過する部分の像を集光レンズ110の光軸位置からずして蛍光板101に投影照射するものである。
【0065】
このように、蛍光板101がシフト配置とされているため、蛍光板101から出射された緑色波長帯域光は、励起光の入射領域とは異なるマイクロレンズアレイ151の領域に入射されることになる。そして、この励起光の入射領域とは異なるマイクロレンズアレイ151の領域に赤色光源装置120からの赤色波長帯域光や青色光源装置140からの青色波長帯域光を、各光軸を緑色波長帯域光の光軸と平行とするように入射するものである。
【0066】
この実施例では、励起光反射ミラー161を使用することなく、光源ユニット60の部品点数をより少なくし、光源ユニット60の組立て調整をより容易とすることができるものである。
【0067】
更に、光源ユニット60は第8図に示す第4実施例とすることもある。
この光源ユニット60は、マイクロレンズアレイ151の励起光が透過する領域において、原色光が透過する領域のマイクロ凸レンズ151aと比較し、励起光が透過する領域のマイクロ凸レンズ151aを原色光が透過する領域のマイクロ凸レンズ151aより小さな大きさのマイクロ凸レンズ151aとするものである。
【0068】
このように、原色光が透過する領域と励起光が透過する領域とでは、マイクロ凸レンズ151aの形状を異ならせてマイクロレンズアレイ151の特性が異なる励起光用領域152をマイクロレンズアレイ151に形成するものである。
【0069】
従って、コヒーレントな励起光を透過させるマイクロレンズアレイ151の領域において、マイクロレンズアレイ151の特性を原色光が透過する領域の特性と分けることにより、励起光源71からの励起光を蛍光板101に効率よく均一に集光させることができ、且つ、赤色光源装置120からの赤色波長帯域光、蛍光発光装置100からの緑色波長帯域光、及び、青色光源装置140からの青色波長帯域光の各原色光も、表示素子51に効率よく均一に集光させることができる。
【0070】
そして、第5実施例として
図9に示すように、マイクロレンズアレイ151において励起光が透過する領域は原色光が透過する領域とはマイクロレンズアレイ151の特性が異なる領域とする励起光用領域152を形成するとき、マイクロレンズアレイ151の導光光学系170側に励起光反射ミラー161を設け、励起光源71から出射される励起光の出射方向を背面板13の方向として励起光反射ミラー161に照射するものである。
【0071】
このように、励起光反射ミラー161を設けることにより、光源ユニット60における励起光源71を備えた励起光照射装置70の配置に自由度を持たせ、光源ユニット60の各構成部材の組み合わせ配置を容易とすることができる。
【0072】
尚、上記光源ユニット60としての第1実施例乃至第5実施例では、赤色光源装置120及び青色光源装置140をダイクロイックミラー155よりも右側板15側に配置し、蛍光発光装置100をダイクロイックミラー155よりも正面板12側に蛍光発光装置100を配置しているも、ダイクロイックミラー155の透過及び反射特性を反転させ、蛍光発光装置100をダイクロイックミラー155よりも右側板15側に配置し、赤色光源装置120及び青色光源装置140をダイクロイックミラー155よりも正面板12側に蛍光発光装置100を配置することもある。
【0073】
また、上記実施例では、励起光源71からの励起光を青色波長帯域光としているも、紫外光など、他の波長帯域光とすることもあり、励起光反射ミラー161は、少なくとも励起光を反射するものとし、蛍光光などが入射される場合は可視光などを透過させれば足りるものである。
【0074】
このように、本実施の形態は、励起光源71からの励起光をマイクロレンズアレイ151を介して蛍光板101に照射し、蛍光板101からの蛍光光を同一のマイクロレンズアレイ151の逆の面から入射してマイクロレンズアレイ151を介して出射するため、少ない部品構成でマイクロレンズアレイ151によって均一な光を蛍光板101に照射し、且つ、マイクロレンズアレイ151によって均一な光として容易に表示素子51に照射するように出射することのできる光源ユニット60を容易に組み立て及び光学調整をすることができ、この光源ユニット60を使用して、明るく輝度ムラの少ない画像投影が可能な小型のプロジェクタを提供することができる。
【0075】
そして、ダイクロイックミラー155を用いて蛍光光と平行に他の波長帯域光をマイクロレンズアレイ151に入射することにより、マイクロレンズアレイ151介して蛍光光と他の波長帯域光を出射する光源ユニット60は、複数の異なる色の光を発する光源装置とすることができるものであり、蛍光光を緑色波長帯域光とし、他の光を赤色波長帯域光及び青色波長帯域光とすれば、プロジェクタ1等の画像形成装置に適した光源装置とすることができる。
【0076】
また、励起光反射ミラー161を用いて励起光をマイクロレンズアレイ151に入射するものとすれば、励起光反射ミラー161の向きを変更することにより励起光源71の配置に自由度を持たせることができ、励起光反射ミラー161として蛍光光を透過させるミラーとすれば、励起光と蛍光光との緩衝を防止することが容易となり、光源ユニット60の構成部材の配置変更が容易となって光源ユニット60の小型化を一層容易とすることができる。
【0077】
更に、励起光を青色波長帯域光とすれば、緑色発光蛍光体を効率良く発光させることができ、励起光反射ミラー161で青色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を透過させるようにすれば、励起光と蛍光光との緩衝を防止して光源ユニット60の構成部材の配置調整や小型化を容易とすることができる。
【0078】
そして、蛍光光の一部が励起光反射ミラー161を介して光源ユニット60から出射されるとき、励起光反射ミラー161を介さない蛍光光を修正ガラス板165を介して光源ユニット60から出射するものとすれば、表示素子51への面均一性のより高い光源光の照射を可能とし、マイクロレンズアレイ151の励起光入射領域と蛍光光入射領域とでマイクロレンズアレイ151のマイクロレンズ特性を異ならせれば、蛍光板101への均一光の照射と表示素子51への均一光の照射とが一層容易となる。
【0079】
尚、蛍光発光装置100として蛍光板101と集光レンズ110とを組み合わせれば、励起光の蛍光板101への照射や蛍光板101からの蛍光光のマイクロレンズアレイ151への照射を効率よく行うことができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0081】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 励起光源と蛍光体及びマイクロレンズアレイとを有し、
前記励起光源からの励起光を前記マイクロレンズアレイの一方の面から入射して前記マイクロレンズアレイを透過させて前記蛍光体に照射し、
前記蛍光体から出射された蛍光光を前記マイクロレンズアレイの他方の面から入射して前記マイクロレンズアレイを透過させて出射することを特徴とする光源ユニット。
[2] 前記マイクロレンズアレイの励起光出射側にダイクロイックミラーを有し、前記蛍光光と波長帯域の異なる波長帯域光の光束を前記ダイクロイックミラーにより前記蛍光光の光軸と平行な光軸として前記蛍光光と同一側から前記マイクロレンズアレイに入射して前記蛍光光及び前記蛍光光と波長帯域の異なる前記波長帯域光を出射することを特徴とする前記[1]に記載した光源ユニット。
[3] 前記蛍光体が出射する蛍光光は緑色波長帯域光であり、該蛍光光と異なる前記波長帯域光は赤色波長帯域光と青色波長帯域光と、であることを特徴とする前記[2]に記載した光源ユニット。
[4] 前記ダイクロイックミラーは、前記励起光源からの励起光を前記蛍光体に向けて反射させる下領域と、前記励起光と同じ波長帯域光を透過する上領域とから構成されることを特徴とする前記[3]に記載した光源ユニット
[5] 前記マイクロレンズアレイの励起光入射側に励起光反射ミラーを有し、前記励起光源からの励起光を前記励起光反射ミラーを介して前記マイクロレンズアレイに入射することを特徴とする前記[1]乃至前記[4]の何れかに記載した光源ユニット。
[6] 前記励起光反射ミラーは、前記マイクロレンズアレイを透過した前記蛍光光の一部が入射されて透過させることを特徴とする前記[5]に記載した光源ユニット。
[7] 前記励起光は、青色波長帯域の光であることを特徴とする前記[1]乃至前記[6]の何れかに記載した光源ユニット。
[8] 前記励起光反射ミラーは、青色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を透過させることと特徴とする前記[6]に記載した光源ユニット。
[9] 前記励起光反射ミラーの基材と同質及び同一厚さのガラス板とされる修正ガラス板を有し、前記マイクロレンズアレイを透過した前記蛍光光の内、前記励起光反射ミラーに入射されない前記蛍光光を前記修正ガラス板に入射して透過させ、前記励起光反射ミラーを透過した蛍光光と共に出射することを特徴とする前記[6]に記載した光源ユニット。
[10] 前記マイクロレンズアレイは、前記励起光が入射される領域と前記蛍光光が入射される領域とを異ならせ、前記励起光が入射される前記領域と前記蛍光光が入射される前記領域とで、マイクロレンズ特性を異にしていることを特徴とする前記[1]乃至前記[5]の何れかに記載した光源ユニット。
[11] 前記蛍光体は、鏡面加工された平板の上に蛍光体層として敷設され、この平板の蛍光板と集光レンズとを有する蛍光発光装置を備えることを特徴とする前記[1]乃至前記[10]の何れかに記載した光源ユニット。
[12] 前記[1]乃至前記[11]の何れかに記載の光源ユニットと、
投影光を生成する表示素子と、
前記光源ユニットからの出射光を前記表示素子まで導光する導光光学系と、
前記表示素子で生成された投影光を導光する投影光学系と、
前記表示素子や前記光源ユニットの制御を行うプロジェクタ制御手段と、
を備えることを特徴とするプロジェクタ。