特許第6245486号(P6245486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6245486
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】回転装置、推進装置及び発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/00 20160101AFI20171204BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20171204BHJP
   F03B 3/04 20060101ALI20171204BHJP
   F03B 3/12 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F03D80/00
   F03D1/06 A
   F03B3/04
   F03B3/12
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-72579(P2017-72579)
(22)【出願日】2017年3月14日
【審査請求日】2017年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517115765
【氏名又は名称】中澤 弘幸
(73)【特許権者】
【識別番号】517014697
【氏名又は名称】保江 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】230121452
【弁護士】
【氏名又は名称】十河 陽介
(72)【発明者】
【氏名】坂和 伸一
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/132328(WO,A1)
【文献】 特開平5−60053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/00
F03B 3/04
F03B 3/12
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端を有する回転軸と、
前記回転軸の前記第1端に取り付けられ、複数のブレードから構成される羽根車とを備え、
前記複数のブレードの各々は、前記回転軸の側に位置する第1部分と、前記第1部分に連なる第2部分と、前記第2部分に連なる第3部分と、前記第3部分に連なり、かつ前記回転軸の延在方向と略平行に延在する第4部分とを有し、
前記複数のブレードの各々は、第1エッジと、前記第1エッジの反対側に位置する第2エッジとを有し、
前記複数のブレードの各々は、前記第1エッジの側から前記第2エッジの側に向かうにつれ、前記第1端から遠ざかるように傾斜しており、
前記第1部分と前記回転軸の延在方向とは、前記第1エッジにおいて第1角度をなし、
前記第2部分と前記回転軸の延在方向とは、前記第1エッジにおいて第2角度をなし、
前記第3部分と前記回転軸の延在方向とは、前記第1エッジにおいて第3角度をなし、
前記第1角度は、前記第2角度より小さく、
前記第3角度は、前記第1角度より大きく、前記第2角度より小さい、回転装置。
【請求項2】
平面視における前記第1部分の幅は、平面視における前記第2部分の幅よりも狭い、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記第1角度は、負角である、請求項1に記載の回転装置。
【請求項4】
前記第4部分に位置する前記第2エッジは、前記第3部分に位置する前記第2エッジから突出している、請求項1に記載の回転装置。
【請求項5】
複数の請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記回転装置と、
前記複数の前記回転装置の前記回転軸の回転が伝達されることにより発電を行う発電機とを備え、
前記複数の前記回転装置の各々は、直列に接続される、発電装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記回転装置と、
前記回転軸に接続され、前記回転軸を回転させる動力源とを備える、推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置、推進装置及び発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、風、水等の流体の流れを回転運動に変換することにより発電を行う風力発電、水力発電が知られている。水力発電、風力発電に用いられる回転装置の一般的な構造は、例えば特開2002−295359号公報(特許文献1)及び特開平5−60053号公報(特許文献2)に記載されている。一般的な構造を有する回転装置は、回転軸と、羽根車とを有している。羽根車は、回転軸に取り付けられ、回転軸の延在方向に対して略直交するように延在している複数のブレードを有している。特許文献1及び特許文献2に記載の回転装置においては、回転軸の延在方向に略平行な風、水等の流体の流れがブレードと接触することにより、ブレードは、回転軸を中心軸周りに回転させる。回転軸の中心軸周りの発電により、発電機は発電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−295359号公報
【特許文献2】特開平5−60053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な構造の回転装置においては、流体の流れの下流側に乱流が生じやすい。その結果、例えば風力発電においては、そのような乱流に起因して、ブレードや回転軸が損傷するおそれがある。また、例えば水力発電においては、そのような乱流が羽根車の回転の妨げとならないように、回転装置の下流側に、このような乱流を散逸させるための空間を配置する必要がある。さらに、一般的な構造の回転装置においては、ブレードの端部において、ブレードの回転領域の外側を通過する流体との間で抵抗が生じる。このような抵抗に起因して、乱流の発生、ブレードの損傷、騒音の発生等の問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、効率を向上させることができる回転装置及び発電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る回転装置は、回転軸と、羽根車とを備えている。羽根車は、回転軸に取り付けられている。羽根車は、複数のブレードから構成されている。複数のブレードの各々は、第1部分と、第2部分と、第3部分と、第4部分とを有している。
【0007】
第1部分は、回転軸の側に配置されている。第2部分は、第1部分に連なっている。第3部分は、第2部分に連なっている。第4部分は、第3部分に連なり、かつ第3部分から回転軸の延在方向に略平行に延在している。
【0008】
第1部分と回転軸の延在方向とは、第1角度をなしている。第2部分と回転軸の延在方向とは、第2角度をなしている。第3部分と回転軸の延在方向とは、第3角度をなしている。第1角度は、第2角度よりも小さい。第3角度は、第1角度より大きく、第2角度より小さい。
【0009】
本発明の一態様に係る回転装置によると、回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、回転装置に入力される流体から効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。
【0010】
上記回転装置において、平面視における第1部分の幅は、平面視における第2部分の幅より狭くてもよい。この場合には、さらに回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、回転装置に入力される流体からさらに効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。
【0011】
上記回転装置において、第1角度は、負角をなしていてもよい。この場合には、ブレードの強度を高めながら、回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、回転装置に入力される流体からさらに効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。
【0012】
上記回転装置において、回転軸は、第1端を有していてもよい。複数のブレードの各々は、回転軸の第1端の側に取り付けられていてもよい。複数のブレードの各々は、第1エッジと、第1エッジの反対側に位置する第2エッジとを有していてもよい。複数のブレードは、第1エッジの側から第2のエッジの側に向かうにつれ、第1端から遠ざかるように傾斜していてもよい。第4部分に位置する第2エッジは、第1部分、第2部分及び第3部分に位置する第2エッジから突出していてもよい。
【0013】
この場合には、さらに回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、回転装置に入力される流体からさらに効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。
【0014】
本発明の一態様に係る発電装置は、複数の上記回転装置と、発電機とを備えている。複数の上記回転装置の各々は、直列に接続されている。発電機には、上記回転装置の回転軸の回転が伝達される。本発明の一態様に係る発電装置によると、回転装置を複数直列に接続する場合であっても、効率的な発電を行うことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る推進装置は、上記の回転装置と、動力源とを備える。動力源は、上記の回転装置の回転軸に接続され、かつ当該回転軸を中心軸周りに回転させる。本発明の一態様に係る推進装置によると、回転装置を通過する流体の流れ方向の下流側及び回転装置の外側における乱流の発生を抑制することにより、動力源から効率的に推進力を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る回転装置によると、回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、回転装置に入力される流体から効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。本発明の一態様に係る発電装置によると、回転装置を複数直列に接続する場合であっても、効率的な発電を行うことができる。本発明の一態様に係る推進装置によると、回転装置を通過する流体の流れ方向の下流側及び回転装置の外側における乱流の発生を抑制することにより、動力源から効率的に推進力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る回転装置の平面図である。
図2】実施形態に係る回転装置の側面図である。
図3】実施形態に係る回転装置のブレード21における断面図である。
図4】実施形態に係る発電装置の構成を示す模式図である。
図5】実施形態に係る回転装置における流体の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の詳細について、図を参照して説明する。なお、各図中同一又は相当部分には同一符号を付している。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0019】
(実施形態に係る回転装置の構成)
以下に、実施形態に係る回転装置1の構成について、図1図3を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る回転装置1の平面図である。図2は、実施形態に係る回転装置1の側面図である。図3は、実施形態に係る回転装置のブレード21の断面図である。なお、図3には、例示として、第2部分21bにおける断面図が示されている。図1及び図2に示すように、実施形態に係る回転装置1は、回転軸10と、羽根車20とを有している。
【0020】
回転軸10は、第1端10aと、第2端10bとを有している。第2端10bは、第1端10aの反対側の端である。回転軸10は、実施形態に係る回転装置1に入力する流体(風、水等)の流れ方向と略平行に配置される。第1端10aは、例えば実施形態に係る回転装置1に入力する流体の流れ方向の上流側を向くように配置されている。なお、以下においては、第1端10aから第2端10bに向かう方向を、回転軸10の延在方向という。
【0021】
羽根車20は、回転軸10に取り付けられている。より具体的には、羽根車20は、回転軸10の第1端10a側に取り付けられている。羽根車20は、複数のブレードにより構成されている。羽根車20は、例えばブレード21、ブレード22、ブレード23及びブレード24を有している。
【0022】
なお、羽根車20を構成するブレードの枚数は、4枚に限られるものではない。例えば、羽根車20を構成するブレードの枚数は、2枚又は3枚であってもよいし、5枚以上であってもよい。
【0023】
ブレード21、ブレード22、ブレード23及びブレード24は、平面視において(回転軸10の延在方向に平行な方向からみて)、等間隔に配置されている。ブレード21、ブレード22、ブレード23及びブレード24の構成は、共通している。そのため、以下においては、ブレード21の構成について代表して説明するものとする。
【0024】
ブレード21は、第1部分21aと、第2部分21bと、第3部分21cと、第4部分21dとを有している。第1部分21aは、ブレード21の回転軸10側に配置されている。第2部分21bは、第1部分21aに連なっている。第3部分21cは、第2部分21bに連なっている。
【0025】
このことを別の観点からいえば、第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cのうち、第1部分21aが最も径方向における内側に配置され、第3部分21cが最も径方向における外側に配置されており、第2部分21bが径方向において第1部分21aと第3部分21cとに挟み込まれるように配置されている。
【0026】
第4部分21dは、第3部分21cに連なっている。第4部分21dは、回転軸10の延在方向(第1端10aから第2端10bに向かう方向)に略平行に延在している。より具体的には、第4部分21dは、回転装置1に入力される流体の流れ方向における上流側に向かって延在している。ここで、第4部分21dが回転軸10の延在方向と略平行に延在するとは、第4部分21dの延在方向が、回転軸10の延在方向との間で、0°±10°の角度をなしていることをいう。
【0027】
ブレード21は、第1エッジ21eと、第2エッジ21fとを有している。第2エッジ21fは、第1エッジ21eと反対側に位置するブレード21のエッジである。ブレード21は、第1エッジ21e側から第2エッジ21f側に向かうにつれて、第1端10aから遠ざかるように傾斜している。
【0028】
第4部分21dに位置する第2エッジ21fは、平面視において(回転軸10の延在方向に平行な方向からみて)、第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cに位置する第2エッジ21fよりも突出していることが好ましい。
【0029】
第1部分21aと回転軸10の延在方向とは、第1角度θ1をなしている。第2部分21bと回転軸10の延在方向とは、第2角度θ2をなしている。第3部分21cと回転軸10の延在方向とは、第3角度θ3をなしている。第1角度θ1、第2角度θ2及び第3角度θ3は、例えば、第2エッジ21fにおいて測定される。第1角度θ1は、例えば第1部分21aにおける第1エッジ21eから第2エッジ21fに向かう方向と回転軸10の延在方向とがなす角度としてもよい。第2角度θ2は、例えば第2部分21bにおける第1エッジ21eから第2エッジ21fに向かう方向と回転軸10の延在方向とがなす角度としてもよい。第3角度θ3は、例えば第3部分21cにおける第1エッジ21eから第2エッジ21fに向かう方向と回転軸10の延在方向とがなす角度としてもよい。
【0030】
第1角度θ1は、第2角度θ2よりも小さい。第3角度θ3は、第1角度θ1よりも大きく、第2角度θ2よりも小さい。すなわち、第1角度θ1、第2角度θ2及び第3角度θ3は、第1角度θ1<第3角度θ3<第2角度θ2との関係を充足している。
【0031】
第1角度θ1は、負角であってもよい。すなわち、第1部分21aは、回転軸10の延在方向に対して、第2部分21b及び第3部分21cとは逆方向に傾斜していてもよい。
【0032】
第1角度θ1は、好ましくは、−30°以上30°以下である。第2角度θ2は、好ましくは、20°以上75°以下である。第3角度θ3は、好ましくは、10°以上60°以下である。
【0033】
ブレード21は、平面視において(回転軸10の延在方向に平行な方向からみて)、幅Wを有している。幅Wは、別の観点からいえば、第1エッジ21eを通過し、かつ回転軸10の延在方向に平行な直線と、第2エッジ21fを通過し、かつ回転軸10の延在方向に平行な直線との距離である(図3参照)。なお、第1部分21aにおける部材自体の幅は、第1部分21aにおける幅Wよりも広くなっている。第1部分21aにおける幅Wは、第1角度θ1が正角である場合には、第2部分21bにおける幅Wよりも小さい。なお、第1角度θ1が負角である場合には、第1部分21aにおける幅Wは、第2部分21bにおける幅Wよりも大きくてもよい。
【0034】
図3に示すように、ブレード21は、第1面21gと、第2面21hとを有している。第1面21gは、実施形態に係る回転装置1に入力される流体の上流側を向いている面である。なお、第1角度θ1が負角である場合、第1部分21aに位置する第1面21gは、実施形態に係る回転装置1に入力される流体の下流側を向くことになる。第2面21hは、第1面21gの反対面である。
【0035】
第1面21gは、断面視において、S字形状を有していることが好ましい。すなわち、第1面21gは、第1エッジ21eと第2エッジ21fとの間に変曲点を有していることが好ましい。より具体的には、第1面21gは、断面視において、第1面21gの接線方向と回転軸10の延在方向とがなす角度が第1エッジ21e側から第2エッジ21f側に向かうにしたがって一旦増加した後、さらに第2エッジ21f側に向かうにしたがって減少するような曲線形状を有していることが好ましい。
【0036】
なお、第1角度θ1が負角である場合、第2部分21b及び第3部分21cに位置する第1面21gは第1端10a側(流体の流れ方向における上流側)に向いている一方、第1部分21aに位置する第1面21gは、第2端10b側(流体の流れ方向における下流側)に向くようになるため、第1部分21aに位置する第1面21gは、断面視において、第2部分21b及び第3部分21cに位置する第1面21gとは逆のS字形状となる。
【0037】
この場合には、第1部分21aから第2部分21bにかけて、第1面21gと第2面21hとが、流体の上流側からみた平面視において、反転したような形状となる。その結果、第1部分21aの近傍を通過する流体は、第2部分21bを通過する流体の裏側に入り込むように移動する。その結果、各ブレード間を通過する流体が、より効率的に羽根車20の回転方向とは反対方向の渦巻状の回転に変換される。また、この場合には、第1部分21aに位置する第2エッジ21f近傍の空間が広げられるため、第1部分21aを通過する流体は、第2部分21bを通過する流体を引き込む結果、相乗的な流体の移動エネルギーを得ることになる。
【0038】
このように、各ブレード間を通過する流体の渦巻状の回転が、第1部分21aと第2部分21bとの境界に位置する第2エッジ21fを通過した流体により生じる渦巻状の流れが基軸となり、ブレード21全体によって生じる渦巻状の回転が促され、この渦巻状の回転が羽根車20の回転をさらに付勢する際(後述)に、羽根車20に働く力を第1部分21aに位置する第1面21gがより効率的に受け、羽根車20の回転をより付勢することができる。
【0039】
第1面21gは、断面視において、第1エッジ21eにおける接線方向と回転装置1に流入しようとする流体の流れ方向とが略平行となる(例えば、第1部分21aに位置する第1エッジ21eにおける接線方向と回転軸10の延在方向とがなす角度が0°±10°、第2部分21bに位置する第1エッジ21eにおける接線方向と回転軸10の延在方向とがなす角度が0°から60°、第3部分21cに位置する第1エッジ21eにおける接線方向と回転軸10の延在方向とがなす角度が、0°から30°となる場合)曲線形状を有していることが好ましい。第1面21gは、断面視において、第2エッジ21fにおける接線方向が回転装置1を通過しようとする際の流体の流れ方向に沿うような曲線形状を有していることが好ましい。
【0040】
これにより、流体と各ブレードの接触に伴う抗力を抑制し、乱流の発生をさらに抑制することができる。なお、ブレード21が上記のような断面形状(S字形状)を有することは必須ではなく、ブレード21は、平板をつなぎ合わせたような形状で構成されていてもよい。
【0041】
第1面21gと第2面21hとは、平行であることが好ましい。すなわち、ブレード21は、第1エッジ21eと第2エッジ21fとの間に位置するブレード21の厚みは、第1エッジ21e及び第2エッジ21fに位置するブレード21の厚みよりも大きくなっていないことが好ましい。このことを別の観点からいえば、第2面21hは、断面視において、第1面21gと同様の形状を有してもよい。
【0042】
図2に示すように、ブレード21は、第1部分21a側から第3部分21c側に向かうにしたがって、第2端10bから第1端10aに向かう方向への湾曲が大きくなっていてもよい。
【0043】
(実施形態に係る発電装置の構成)
以下に、実施形態に係る発電装置の構成について図4を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る発電装置の構成を示す模式図である。図4に示すように、実施形態に係る発電装置は、回転装置1と、発電機30とを有している。回転装置1の数は、複数であることが好ましい。複数の回転装置1の各々は、直列に接続されている。すなわち、複数の回転装置1の各々は、流体の流れ方向の上流側から下流側に向かって順次接続されている。このことをさらに別の観点からいえば、複数の回転装置1は、1本の回転軸10を共通して用いている。
【0044】
発電機30には、回転装置1の回転軸10が接続されている。回転軸10は、回転数変換機構(増速機、減速機等)を介して発電機30に接続されていてもよい。回転数変換機構は、例えば歯車機構(ギアボックス)により実現される。発電機30は、回転装置1の回転軸10の中心軸周りの回転が伝達されることにより、発電動作を行う。より具体的には、回転装置1の回転軸10の中心軸周りの回転が発電機30の回転軸に伝達されることにより、発電機30は発電動作を行う。
【0045】
(実施形態に係る回転装置の効果)
以下に、実施形態に係る回転装置1の効果について説明する。
まず、実施形態に係る回転装置1の羽根車20の流体の流れ方向での上流側の面において生じる現象について説明する。図5は、実施形態に係る回転装置1における流体の流れを示す模式図である。図5中において、流体の流れは、実線矢印により示されている。なお、図5中において、羽根車20は、時計回り方向に回転する。
【0046】
上記のとおり、第1角度θ1、第2角度θ2及び第3角度θ3は、第1角度θ1<第3角度θ3<第2角度θ2との関係を充足している。そのため、実施形態に係る回転装置1に入力される流体が第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cの近傍を通過する際に曲げられる程度は、(第1部分21a近傍を通過する際に曲げられる程度)<(第3部分21c近傍を通過する際に曲げられる程度)<(第2部分21bを通過する際に曲げられる程度)との関係を充足することになる。
【0047】
その結果、図5に示すように、実施形態に係る回転装置1に入力される流体は、羽根車20の各ブレードに接触して羽根車20を回転させるとともに、羽根車20の各ブレードの間を通過する際に、当該接触により渦巻状に回転する。なお、この渦巻状の回転方向は、羽根車20の回転方向と逆方向になる。
【0048】
上記のとおり、第4部分21dは、回転軸10の延在方向と略平行に延在しているため、各ブレードの回転軌道により画される領域の内側における流体の流れと、当該領域の外側に位置する領域における流体の流れとを分離することができ(すなわち、各ブレードと回転装置1の外側を流れる流体との間の抵抗を軽減することができ)、当該領域の外側に位置する領域からの影響を低減することができる。
【0049】
また、第4部分21dに位置する第2エッジ21fが第3部分21cに位置する第2エッジ21fよりも突出している場合、流体が羽根車の各ブレードを通過する際に形成される渦巻状の流れが径方向外側に散逸してしまうことを抑制することができる。
【0050】
次に、実施形態に係る回転装置1の羽根車20の流体の流れ方向での下流側の面において生じる現象について説明する。
上記のとおり、各ブレードの間を通過した流体は、羽根車20の回転方向と逆方向に回転するため、回転軸10等との摩擦による抵抗が減少する。また、本発明者らが見出した知見によると、各ブレード間を渦巻状に回転して通過した流体は、圧力が周囲よりも低下する。この渦巻状に回転する流れは、上記のとおり、回転方向が羽根車20と逆であるため、上流側との圧力差に起因して、羽根車20をさらに付勢する。さらに、この渦巻状に回転する流れは、羽根車20の外側を流れる流体との圧力差に起因して、羽根車20の外側(すなわち、各ブレードの回転軌道により画される領域の外側)を流れる流体を引き込む。羽根車20の外側を流れる流体は、等速直線的な流れであるため、各ブレード間を通過した渦巻状の流れは、これと合流することで、再び等速直線的な流れに近づく。
【0051】
このように、実施形態に係る回転装置1によると、入力される流体は、羽根車20の流体の流れ方向での上流側の面のみならず、下流側の面においても、羽根車20を回転させるように作用するため、入力される流体から効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。さらに、実施形態に係る回転装置1によると、入力される流体が羽根車20の流体の流れ方向での下流側の面において羽根車20の外側を通過する流体と合流する際に、渦巻状の回転が解消されるため、回転装置の下流側における乱流を生じさせ難くすることができる。そして、入力される流体の流れ方向の上流側においては、第4部分21dが回転装置1の外側を流れる流体との間の抵抗を減少させる。
【0052】
以上の結果として、実施形態に係る回転装置1によると、回転装置1の下流側及び外側における乱流の発生を抑えつつ、効率を向上させることができる。なお、上記においては、回転装置1を流体の流れの中に配置する場合を例に説明したが、回転装置1を推進装置に組み込む場合や送風装置に組み込む場合においては、上記とは流体の流れの方向が逆となるが、上記と類似した現象が生じることにより、動力源によって生じる回転装置1の回転から効率的かつ安定した流体の流れを取り出すことができる。
【0053】
実施形態に係る回転装置1において、第1部分21aにおける幅Wが第2部分21bにおける幅Wよりも小さい場合、流体は、第1部分21aの近傍をより低い抵抗で通過する。したがって、この場合には、羽根車20の各ブレードを通過する際の渦巻状の回転をさらに生じさせやすくなる。そのため、この場合には、さらに効率的に流体から回転エネルギーを取り出すことが可能となる。
【0054】
実施形態に係る回転装置1において、第4部分21dに位置する第2エッジ21fが、平面視において、第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cに位置する第2エッジ21fよりも突出している場合、上記の通り、流体が羽根車の各ブレードを通過する際に形成される渦巻状の流れが径方向外側に散逸してしまうことを抑制することができる。その結果、より多くの各ブレード間を通過する渦巻状の流体の流れを、羽根車20よりも外側かつ下流側を流れる流体の流れと合流させることができる。そのため、この場合には、さらに効率的に流体から回転エネルギーを取り出すことが可能となる。
【0055】
実施形態に係る回転装置1において、第1角度θ1が負角である場合、第1部分21aにおける部材自体の幅を大きくしても、流体は、第1部分21aの近傍をより低い抵抗で通過する。そのため、この場合には、流体が羽根車20の各ブレードを通過する際の渦巻状の回転を生じさせつつ、各ブレードの強度を向上させることができる。また、実施形態に係る回転装置1において、第1角度θ1が負角である場合、各ブレードの間を渦巻状に回転しながら通過する流体が、羽根車20の回転をさらに付勢しやすくなる。そのため、この場合には、さらに効率的に流体から回転エネルギーを取り出すことが可能となる。
【0056】
実施形態に係る回転装置1においては、原理的に、第1エッジ21eと第2エッジ21fとの間において、ブレード21の厚みが大きくなっている必要がない。そのため、実施形態に係る回転装置1において、ブレード21が第1面21gと、第1面21gの反対面であり、かつ第1面21gに平行な第2面21hとを有する場合には、ブレード21の軽量化、ブレード21の製造工程の簡略化が可能となる。
【0057】
(実施形態に係る発電装置の効果)
上記のとおり、実施形態に係る回転装置1は、回転装置の下流側及び外側における乱流の発生を抑制しつつ、流体から効率的に回転エネルギーを取り出すことができる。そのため、実施形態に係る発電装置によると、効率的な発電を行うことができる。
【0058】
より具体的には、流体の速度及び密度が概ね同一である流体の中に複数の回転装置を配置する場合、回転装置の各々の回転が同期する。そのため、実施形態に係る発電装置によると、各回転装置1間で回転軸10を共通化することができる。また、上記のとおり、実施形態に係る回転装置1においては、回転装置1の下流側かつ外側を流れる流体を、各ブレードの間を通過する流体に合流させることができる。そのため、実施形態に係る発電装置によると、実施形態に係る回転装置1の下流側かつ外側を流れる流体をも発電動作に寄与させることができる。
【0059】
(その他)
上記においては、実施形態に係る回転装置1の回転軸10を発電機30に接続して発電装置として用いる例について説明したが、実施形態に係る回転装置1の具体的な適用例はこれに限られるものではない。例えば、実施形態に係る回転装置1は、推進装置に用いることができる。この推進装置は、実施形態に係る回転装置1と、モータ、エンジン等の動力源とを有している。実施形態に係る回転装置1の回転軸10は、動力源に接続される。動力源は、回転軸10を中心軸周りに回転させる。
【0060】
このような推進装置は、回転装置1を通過する流体の流れ方向の下流側及び回転装置1の外側における乱流の発生及び回転装置1の外側を通過する流体に対する乱流の発生を抑制することにより、効率的に推進力を得ることができる。
【0061】
また、実施形態に係る回転装置1においては、通過する流体の流れ方向の下流側及び回転装置1の外側における乱流の発生を抑制することができるため、実施形態に係る回転装置1は、整流装置にも好適に組み込まれる。
【0062】
さらに、回転装置1は、回転装置1を通過する流体の流れ方向の下流側及び回転装置1の外側における乱流の発生及び回転装置1の外側を通過する流体に対する乱流の発生を抑制することができるため、実施形態に係る回転装置1は、回転軸10がモータ等の動力源に接続されることにより、安定した流体の流れを生じさせることができるため、扇風機、送風ファン等の送風装置としても好適に用いることができる。
【0063】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
上記の実施形態は、例えば風力発電装置、水力発電装置等の発電装置、推進装置、整流装置、送風装置及びそのような装置に用いられる回転装置に特に好適に適用される。
【符号の説明】
【0064】
1 回転装置
10 回転軸
10a 第1端
10b 第2端
20 羽根車
21,22,23,24 ブレード
21a 第1部分
21b 第2部分
21c 第3部分
21d 第4部分
21e 第1エッジ
21f 第2エッジ
21g 第1面
21h 第2面
30 発電機
W 幅
【要約】
【課題】本発明は、乱流の発生を抑制しつつ、効率を向上させることができる回転装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る回転装置は、回転軸と、ブレードとを備えている。ブレードは、回転軸に取り付けられている。ブレードは、第1部分と、第2部分と、第3部分と、第4部分とを有している。第1部分は、回転軸の側に配置されている。第2部分は、第1部分に連なっている。第3部分は、第2部分に連なっている。第4部分は、第3部分に連なり、かつ第3部分から回転軸の延在方向に略平行に延在している。第1部分と回転軸の延在方向とは、第1角度をなしている。第2部分と回転軸の延在方向とは、第2角度をなしている。第3部分と回転軸の延在方向とは、第3角度をなしている。第1角度は、第3角度よりも小さい。第2角度は、第1角度と第3角度との間の角度である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5