(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シャッタユニットは、前記幕ユニットを形成する複数の幕と、前記複数の幕に連結され、該複数の幕と共にリンク機構を構成する2本のアームと、前記2本のアームの一方に連結されたステッピングモータとを有する、
請求項2に記載の撮像装置。
前記シャッタユニットは、前記複数の幕が前記アパーチャを開放する方向と前記複数の幕が前記アパーチャを遮蔽する方向とに前記リンク機構を付勢するスナップアクション付勢部材をさらに有する、
請求項3に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
《実施形態1》
(1−1:カメラシステムの概要)
図1は、実施形態1に係るカメラシステム100のブロック図である。
図2は、カメラ本体1の正面図である。
図3は、カメラ本体1の平面図である。
図4は、カメラ本体1の内部構造を正面から見た図である。
図5は、カメラ本体1の内部構造を上方から見た図である。
図6は、フラッシュ装置40がポップアップした状態のカメラ本体1の正面図である。
【0014】
カメラシステム100は、レンズ交換式のカメラである。カメラシステム100は、カメラ本体1と、カメラ本体1に着脱可能に取り付けられる交換レンズ5とを備えている。カメラ本体1は、撮像装置の一例である。
【0015】
カメラ本体1は、ミラーボックス装置を有していない、いわゆるミラーレスカメラである。以下、説明の便宜のため、被写体側を前、撮像面側を後、通常姿勢におけるカメラ本体1の鉛直上側を上、通常姿勢におけるカメラ本体1の鉛直下側を下、通常姿勢におけるカメラ本体1を被写体側から見たときの左側を左、通常姿勢におけるカメラ本体1を被写体側から見たときの右側を右と称する。カメラ本体1の通常姿勢とは、撮像面の長手方向が水平方向に一致し且つ、撮像面の短手方向が鉛直方向に一致するときのカメラ本体1の姿勢である。
【0016】
カメラ本体1は、外装カバー11と、電池12と、表示装置13と、ボディマウント14と、本体側接点15と、メイン回路基板20と、メカニカルシャッタ250と、防塵フィルタ260と、光学的ローパスフィルタ16と、CMOSイメージセンサ30と、CMOS回路基板31と、放熱板32と、フラッシュ装置40とを備えている。
【0017】
外装カバー11は、カメラ本体1の外装を構成している。外装カバー11は、略直方体状をしている。外装カバー11の上面には、
図3に示すように、シャッタボタン11aが設けられている。シャッタボタン11aは、2段スイッチである。例えば、シャッタボタン11aを半押しすることによって、オートフォーカスが実行され、シャッタボタン11aを全押しする(完全に押し下げる)ことによって、撮影が行われる。外装カバー11の後面には、表示装置13と、ユーザが各種の操作を行うための操作ボタン11bとが設けられている。
【0018】
外装カバー11の前面には、
図2に示すように、ボディマウント14が設けられている。ボディマウント14の近傍には、本体側接点15が設けられている。ボディマウント14には、交換レンズ5がバヨネット結合により取り付けられる。すなわち、ボディマウント14は、交換レンズ5を着脱可能に保持する。このとき、本体側接点15には、後述するレンズ側接点54が電気的に接続される。本体側接点15及びレンズ側接点54を介して、カメラ本体1と交換レンズ5との間でデータ及び/又は制御信号の送受信が可能である。尚、本体側接点15は、ボディマウント14に設けられていてもよい。
【0019】
外装カバー11は、電池12、光学的ローパスフィルタ16、メイン回路基板20、CMOSイメージセンサ30、CMOS回路基板31、放熱板32及びフラッシュ装置40を収容している。
【0020】
交換レンズ5は、
図1に示すように、レンズ群51と、レンズ群51のうちズーミングに関わるレンズを駆動する電動ズームアクチュエータと、レンズ群51のうちフォーカシングに関わるレンズを駆動するフォーカスアクチュエータと、レンズ群51のうちブレ補正に関わるレンズを駆動するブレ補正ユニットと、絞りユニットと、レンズ制御回路52と、カメラ本体1に連結されるレンズマウント53と、レンズ側接点54とを備えている。電動ズームアクチュエータ、フォーカスアクチュエータ、ブレ補正ユニット及び絞りユニットの図示は省略している。レンズ群51は、光軸Aを有している。レンズ群51は、CMOSイメージセンサ30の撮像面(受光面)に被写体像を結像させる。
【0021】
交換レンズ5は、レンズマウント53を介してカメラ本体1に取り付けられる。詳しくは、レンズマウント53は、カメラ本体1のボディマウント14にバヨネット結合により連結される。このとき、レンズ側接点54は、カメラ本体1の本体側接点15と電気的に接続される。レンズ制御回路52は、電動ズームアクチュエータ、フォーカスアクチュエータ、ブレ補正ユニット及び絞りユニットを制御する。
【0022】
(1−2:カメラ本体の構成要素)
CMOSイメージセンサ30は、撮像面に結像した光学像を電気的な画像信号に変換する。CMOSイメージセンサ30は、撮像素子の一例である。撮像素子は、CCDイメージセンサ等であってもよい。CMOSイメージセンサ30は、電子シャッタ機能を有している。より詳しくは、CMOSイメージセンサ30は、ローリングシャッタとして機能する。CMOSイメージセンサ30は、ローリングシャッタとして機能するときには、1〜数走査ラインを1つのブロックとし、ブロック内では電荷蓄積の開始を同時に行うと共に電荷蓄積の終了を同時に行う。
【0023】
CMOS回路基板31は、CMOSイメージセンサ30を制御する回路基板である。CMOS回路基板31は、CMOSイメージセンサ30からの画像データにAD変換等の所定の処理を施してもよい。CMOS回路基板31には、CMOSイメージセンサ30が取り付けられている。
【0024】
放熱板32は、CMOSイメージセンサ30が発する熱を放熱する役割を果たす。放熱板32は、CMOSイメージセンサ30に密着した状態で固定されている。放熱板32は、外装カバー11に設けられた3本のボス(図示省略)に取り付けられている。放熱板32は、ボスに取り付ける際に、ボディマウント14からの距離を調整可能となっている。これにより、ボディマウント14からCMOSイメージセンサ30の撮像面までの距離、所謂、フランジバックを所定の値に調整することができる。
【0025】
表示装置13は、液晶ディスプレイを有する。表示装置13は、表示用画像データに対応する画像等を表示する。表示用画像データは、画像処理された画像データ並びにカメラ本体1の撮影条件及び操作メニュー等のデータである。表示装置13は、動画像及び静止画像を選択的に表示可能である。表示装置13は、被写体の観察像、いわゆるライブビュー画像を表示可能である。表示装置13は、表示部の一例である。
【0026】
尚、表示部は、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等の画像を表示できる装置であってもよい。また、表示装置13は、外装カバー11の背面でなく、側面や上面等、他の場所に設けられてもよい。
【0027】
メカニカルシャッタ250は、詳しくは後述するが、単一の幕ユニットでアパーチャの開動作及び閉動作を択一的に行うものであり、先幕及び後幕の何れかとして択一的に機能可能に構成されている。
【0028】
光学的ローパスフィルタ16は、入射光から空間周波数の高い部分を取り除く。具体的には、光学的ローパスフィルタ16は、入射光を分離して、被写体像の解像度をCMOSイメージセンサ30の画素のピッチよりも粗くする。一般的にCMOSイメージセンサ等の撮像素子には、ベイヤ配列と呼ばれるRGB色のカラーフィルタやYCM色の補色カラーフィルタが配されている。したがって、被写体像を1画素に解像してしまうと、偽色が発生するばかりでなく、繰り返しパターンの被写体ではモアレ現象が発生する。そこで、光学的ローパスフィルタ16を設けることによって、偽色やモアレ現象の発生を抑制することができる。光学的ローパスフィルタ16は、光学的フィルタの一例である。
【0029】
光学的ローパスフィルタ16は、赤外光を取り除くIRカットフィルタ機能も有している。
【0030】
また、CMOSイメージセンサ30の画素が非常に小さく、偽色やモアレ現象が発生しにくい場合には光学的ローパスフィルタ16を省略してもよい。
【0031】
防塵フィルタ260は、圧電素子261を有する。防塵フィルタ260は、圧電素子261を振動させることによって埃等の撮影画像に影響を与える異物を除去する。尚、防塵フィルタ260を省略し、光学的ローパスフィルタ16に防塵フィルタ260の機能を持たせてもよい。例えば、光学的ローパスフィルタ16のうち撮影に影響の無い部分に圧電素子を取り付け、該圧電素子を振動させる。これにより、光学的ローパスフィルタ16に付着した埃や塵を落とす。
【0032】
メイン回路基板20には、制御IC21と、DC/DCコンバータ22と、記録メディアソケット23と、各種I/Oソケット24とが実装されている。制御IC21は、カメラ本体1全体の制御を司り、例えば、撮影に関わるカメラ本体1の制御を行う。制御IC21は、制御部の一例である。尚、制御部は、カメラシステム100又はカメラ本体1を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。例えば、制御部は、プログラム可能なマイクロコンピュータであってもよい。また、制御部は、ハードロジックで実現してもよい。制御部は、1つの素子で構成してもよいし、物理的に複数の素子で構成してもよい。複数の素子で構成する場合、それらの複数の素子で一つの制御部を構成すると考えることができる。また、制御部と別の機能を有する部材とを1つの素子で構成してもよい。DC/DCコンバータ22は、電池12からの電圧を各デバイスに応じた電圧に変換して出力する。すなわち、電池12は、DC/DCコンバータを介してカメラ本体1及び交換レンズ5に電力を供給する。記録メディアソケット23には、記録メディア23aが挿入可能である。メイン回路基板20は、回路基板の一例である。
【0033】
フラッシュ装置40は、外装カバー11の右端においてポップアップ可能に収容されている。フラッシュ装置40がポップアップすることによって、フラッシュ光の交換レンズ5によるケラレが抑制される。
【0034】
(1−3.メイン回路基板の配置及び構成)
カメラ本体1の光軸A上には、
図1,5に示すように、前から順に、ボディマウント14、本体側接点15(
図5では図示省略)、メイン回路基板20、メカニカルシャッタ250、防塵フィルタ260、光学的ローパスフィルタ16、CMOSイメージセンサ30、CMOS回路基板31及び放熱板32が配置されている。つまり、メイン回路基板20は、ボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置されている。これにより、CMOSイメージセンサ30の前方のスペースを有効に活用して、CMOSイメージセンサ30の後方のスペースを縮小することができる。その結果、カメラ本体1の厚みを低減することができる。より詳しくは、メイン回路基板20は、CMOSイメージセンサ30よりもボディマウント14に近い位置に設けられている。また、メカニカルシャッタ250も、ボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置されている。そのため、メカニカルシャッタ250がカメラ本体201の厚みに与える影響を低減することができる。
【0035】
ここで、
図2,5に示すように、メイン回路基板20は、光軸方向においてボディマウント14側からCMOSイメージセンサ30の方を向いて見たときに、ボディマウント14よりも側方(左側)に延びて設けられている。そして、メイン回路基板20は、交換レンズ5を通過した光が通過できる円形の開口部25が開けられている。開口部25の大きさは、交換レンズ5を通過してCMOSイメージセンサ30の撮像面に入射する光を遮らない程度に設定されている。メイン回路基板20をCMOSイメージセンサ30の前方に配置する構成であっても、メイン回路基板20に開口部25を設けることによって、交換レンズ5を通過してCMOSイメージセンサ30に入射する光を遮らないようにすることができる。
【0036】
尚、開口部25の形状は、円形に限られるものではない。交換レンズ5を通過してCMOSイメージセンサ30の撮像面に入射する光を遮らない限りは、開口部25の形状を任意に設定することができる。
【0037】
さらに、メイン回路基板20は、外装カバー11内において前端部に配置されている。これにより、メイン回路基板20の後方であってCMOSイメージセンサ30等の側方(具体的には、左側)に電池12を配設するスペースを確保することができる。また、外装カバー11内の前端部にメイン回路基板20を配置し、メイン回路基板20よりも後方に電池12を配置することによって、外装カバー11の形状の自由度を向上させることができる。詳しくは、外装カバー11の前面と側面とで形成される陵部を、カメラ本体1の持ち易さ又はデザイン性の観点から、角張った形状ではなく、湾曲させたいという要求がある場合がある。その一方で、電池12は、容量を確保するために、大型化が望まれる。そのため、電池12を外装カバー11内の側部であって且つ前端部に配置する構成においては、電池12の配設スペースを確保するために、外装カバー11の前面と側面とで形成される陵部を角張った形状にせざるを得ない。それに対し、メイン回路基板20は、外装カバー11内において、外装カバー11の側面まで引き延ばさなくてもよい。そのため、外装カバー11内の前端部にメイン回路基板20を配置することによって、外装カバー11の前面と側面とで形成される陵部を湾曲した形状にすることができる。例えば、外装カバー11の前面と左側面とで形成される陵部の曲率を、外装カバー11の後面と左側面とで形成される稜部の曲率よりも小さくすることができる。
【0038】
尚、電池12の背面と放熱板32の背面とが略面一となっている。カメラ本体1の厚みは、ボディマウント14、本体側接点15、メイン回路基板20、光学的ローパスフィルタ16、CMOSイメージセンサ30、CMOS回路基板31、放熱板32及び表示装置13によって決定される。
【0039】
(1−4.フラッシュ装置の詳細構成)
フラッシュ装置40は、
図1,2に示すように、発光部41と、フラッシュ回路基板42と、メインコンデンサ43と、フラッシュ回路基板42とメインコンデンサ43とを電気的に接続する第1電線42a(
図2では図示省略)と、メインコンデンサ43と発光部41とを電気的に接続する第2電線42b(
図2では図示省略)と、ケーシング44とを有している。発光部41は、図示省略のキセノン発光菅及びトリガコイルを有する。フラッシュ回路基板42は、電気回路を有している。フラッシュ回路基板42は、発光部41及びメインコンデンサ43を制御する。詳しくは、フラッシュ回路基板42は、メイン回路基板20から供給される電圧を昇圧して、第1電線42aを介してメインコンデンサ43に供給する。また、フラッシュ回路基板42は、発光部41にトリガ信号を出力する。フラッシュ回路基板42からのトリガ信号によってトリガコイルに電力が供給されると、メインコンデンサ43に蓄えられた電荷が第2電線42bを介して発光部41に供給され、発光部41のキセノン菅の両端子間で放電され、フラッシュ光が発せられる。メインコンデンサ43は、コンデンサの一例である。
【0040】
発光部41、フラッシュ回路基板42及びメインコンデンサ43は、
図2,6に示すように、ケーシング44に収容されている。発光部41は、
図4に示すように、ケーシング44から部分的に露出しており、フラッシュ光を外部に出射可能となっている。ケーシング44は、ファイヤエンクロージャである。すなわち、ケーシング44は、難燃性(UL94規格でV−0以上)の樹脂で形成されている。フラッシュ回路基板42とメインコンデンサ43との間の第1電線42a及びメインコンデンサ43と発光部41との間の第2電線42bは、比較的大きな電圧で電流が流れる高電圧線である。これらの第1電線42a及び第2電線42bもケーシング44に収容されている。
【0041】
ケーシング44は、外装カバー11にガイド(図示省略)を介して上下方向にスライド可能に支持されている。ケーシング44は、外装カバー11に完全に収納された収納位置と、外装カバー11から上方に突出したポップアップ位置との間で移動可能である。ケーシング44は、
図2,6に示すように、付勢バネ45により上方へ、即ち、ポップアップ位置の方へ付勢されている。付勢バネ45の一端は、ケーシング44の下部に連結されている。付勢バネ45の他端は、外装カバー11の上部に連結されている。ケーシング44が収納位置に位置するときには、付勢バネ45は引っ張られた状態となっており、ケーシング44には上方への付勢力が作用している。一方、外装カバー11には、付勢バネ45の付勢力に抗してケーシング44を収納位置に保持するためのフック部材46が設けられている。フック部材46は、外装カバー11の上部に設けられている。フック部材46は、ケーシング44が収納位置に位置するときに該ケーシング44に係合して該ケーシング44を収納位置に保持する係合位置と、ケーシング44との係合が解除される解除位置との間で移動可能に構成されている。フック部材46の操作部は、外装カバー11から露出しており、ユーザが操作可能となっている。つまり、ケーシング44が収納位置に位置するときにフック部材46を係合位置に位置させることによって、ケーシング44は、フック部材46によって付勢バネ45の付勢力に抗して収納位置に保持される。この状態からフック部材46を解除位置へ移動させると、ケーシング44は、付勢バネ45の付勢力によってポップアップ位置へ移動する。
【0042】
このように、発光部41、フラッシュ回路基板42及びメインコンデンサ43は、収納位置とポップアップ位置との間を、ケーシング44に収容された状態で一体的に移動する。このとき、フラッシュ回路基板42とメインコンデンサ43との間の第1電線42a及びメインコンデンサ43と発光部41との間の第2電線42bも、ケーシング44に収容された状態で一体的に移動する。
【0043】
フラッシュ装置40は、フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」という)47を介してメイン回路基板20に接続されている。FPC47の電線は、第3電線の一例である。
【0044】
FPC47は、ケーシング44が収納位置とポップアップ位置との間を移動するときに該ケーシング44の移動に追従して変形可能に構成されている。フラッシュ回路基板42とメイン回路基板20との間を流れる電流は、フラッシュ回路基板42とメインコンデンサ43との間を流れる電流やメインコンデンサ43と発光部41との間を流れる電流に比べて小さい。そのため、FPC47の電線は、低電圧線であり、フラッシュ回路基板42とメインコンデンサ43との間の第1電線42a及びメインコンデンサ43と発光部41との間の第2電線42bに比べて線幅が細い。
【0045】
(1−5.メカニカルシャッタの構成)
図7は、閉状態のメカニカルシャッタ250の正面図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線におけるメカニカルシャッタ250の断面図である。
図9は、開状態のメカニカルシャッタ250の正面図である。
【0046】
メカニカルシャッタ250は、単一の幕ユニットでアパーチャの開動作及び閉動作を択一的に行う。例えば、メカニカルシャッタ250がシャッタ動作を行うときには先幕及び後幕の何れかとして択一的に機能する。すなわち、メカニカルシャッタ250は、先幕及び後幕を有するフォーカルプレーンシャッタのようなスリットを形成することなくアパーチャ251cを開閉する。メカニカルシャッタ250は、カバー251と、幕ユニット252と、駆動アーム254と、従動アーム255と、ステッピングモータ256と、閉検出スイッチ257と、開検出スイッチ258とを有している。幕ユニット252は、第1羽根252aと第2羽根252bとを有している。メカニカルシャッタ250は、シャッタユニットの一例である。駆動アーム254及び従動アーム255は、2本のアームの一例である。
【0047】
カバー251は、前側カバー251aと後側カバー251bとを有し、全体的にプレート状の形状をしている。カバー251は、第1羽根252a、第2羽根252b、駆動アーム254、従動アーム255、閉検出スイッチ257及び開検出スイッチ258を収容している。カバー251には、長方形のアパーチャ251cが形成されている。具体的には、前側カバー251a及び後側カバー251bの両方にアパーチャ251cが形成されている。アパーチャ251cは、交換レンズ5を通過してCMOSイメージセンサ30に入射する光を遮らない程度の大きさを有している。アパーチャ251cは、カバー251の上下方向において、上側の略2/3の領域に形成されている。つまり、カバー251の下側の略1/3の領域には開口部が設けられていない。
【0048】
ステッピングモータ256は、駆動アーム254を回転駆動する。ステッピングモータ256は、後側カバー251bのうち、アパーチャ251cの側方であって且つ下方の部分に取り付けられている。
【0049】
第1羽根252a及び第2羽根252bは、カバー251のアパーチャ251cを開閉する。第1羽根252a及び第2羽根252bは、長方形のプレート状の部材である。第1羽根252a及び第2羽根252bは、両者の間に隙間なく上下に並んだ状態において、アパーチャ251cを遮蔽するのに十分な大きさを有している。第1羽根252a及び第2羽根252bは、互いに重ね合わされた状態においては、アパーチャ251cを開放し、カバー251の下側の略1/3の領域に収容される大きさとなる。
【0050】
駆動アーム254の一端部は、ステッピングモータ256の回転軸に取り付けられている。つまり、駆動アーム254は、ステッピングモータ256により回転駆動される。駆動アーム254の他端部には、第1羽根252aが回転可能に連結されている。また、駆動アーム254の中間部には、第2羽根252bが回転可能に連結されている。
【0051】
従動アーム255の一端部は、後側カバー251bのうちアパーチャ251cの側方であって且つステッピングモータ256の上方の部分に回転可能に連結されている。従動アーム255の他端部には、第1羽根252aが回転可能に連結されている。また、従動アーム255の中間部には、第2羽根252bが回転可能に連結されている。従動アーム255は、駆動アーム254よりも上方の位置において、第1羽根252a及び第2羽根252bに連結されている。また、従動アーム255は、付勢バネ255aにより、下方へ付勢されている。すなわち、付勢バネ255aは、第1羽根252a及び第2羽根252bがアパーチャ251cを開放する方向にリンク機構を付勢している。付勢バネ255aは、付勢部材の一例である。
【0052】
こうして、第1羽根252a、第2羽根252b、駆動アーム254及び従動アーム255は、リンク機構を構成する。駆動アーム254をステッピングモータ256により回転駆動すると、駆動アーム254の回動に連動して、第1羽根252a、第2羽根252b及び従動アーム255が移動する。第1羽根252a及び第2羽根252bは、アパーチャ251cを遮蔽する閉位置と、アパーチャ251cを開放する開位置との間で移動する。閉位置においては、第1羽根252a及び第2羽根252bは、隙間なく上下に並んで、アパーチャ251cを完全に遮蔽する。開位置においては、第1羽根252a及び第2羽根252bは、互いに重なり合ってカバー251に収容され、アパーチャ251cを開放する。開位置は、アパーチャ251cよりも下方に位置するので、第1羽根252a及び第2羽根252bは、アパーチャ251cを下方から上方へ遮蔽していく。
【0053】
尚、前述の如く、従動アーム255が付勢バネ255aにより下方に付勢されているため、前記リンク機構は、第1羽根252a及び第2羽根252bが開位置に位置するように付勢されている。これにより、ステッピングモータ256の非通電時であっても、第1羽根252a及び第2羽根252bが開位置から閉位置の方へ移動することを防止することができる。
【0054】
閉検出スイッチ257は、第1羽根252a及び第2羽根252bが閉位置に位置すること(閉状態)を検出する。具体的には、閉検出スイッチ257は、第1羽根252a及び第2羽根252bが閉位置に位置するときの第1羽根252aを検出する。閉検出スイッチ257は、閉検出部の一例である。
【0055】
開検出スイッチ258は、第1羽根252a及び第2羽根252bが開位置に位置すること(開状態)を検出する。具体的には、開検出スイッチ258は、第1羽根252a及び第2羽根252bが開位置に位置するときの従動アーム255を検出する。開検出スイッチ258は、開検出部の一例である。
【0056】
例えば、閉検出スイッチ257及び開検出スイッチ258は、光センサ(フォトインタラプタ又はフォトリフレクタ)であり、光が遮断又は反射されることによって閉状態又は開状態を検出する。
【0057】
このように、第1羽根252a及び第2羽根252bをリンク機構及びステッピングモータ256により駆動することによって、メカニカルシャッタ250を小型化すると共に簡略化することができる。
【0058】
さらに、前記ステッピングモータ256をメータ、プランジャ若しくはDCモータ等の電磁アクチュエータ又は超音波アクチュエータなどに置き換えてもよい。また、アクチュエータに応じて付勢バネ255aを省略してもよい。
【0059】
(1−6.カメラ本体の撮影制御)
次に、カメラ本体1の撮影制御について図を参照しながら説明する。具体的には、制御IC21が、カメラ本体1の各要素を制御し、以下の撮影制御を行う。
【0060】
図10は、通常感度撮影における撮影制御のタイムチャートを示す。
図11は、暗電流ノイズ補正における撮影制御のタイムチャートである。
図12は、通常フラッシュ撮影における撮影制御のタイムチャートである。
図13は、スローシンクロ撮影における撮影制御のタイムチャートである。
図14は、電子先幕及びメカニカル後幕撮影における撮影制御のタイムチャートである。
図15は、電子先幕及びメカニカル後幕撮影によるフラッシュ撮影のタイムチャートである。
【0061】
図(A)は、信号S1を示し、図(B)は、信号S2を示す。信号S1及びS2は、シャッタボタン11aを操作したときに出力される信号である。シャッタボタン11aが半押しされたときに、信号S1が出力される。シャッタボタン11aが全押しされたときに、信号S2が出力される。信号S2が出力されるときには、信号S1の出力も継続している。図(C)は、フォーカスレンズの位置を示す。図(D)は、電荷リセット及び電荷読出タイミングを示す。縦軸は、撮像素子のラインの上下方向位置を表しており、縦軸の上側が上側のラインを、縦軸の下側が下側のラインを表している。また、図(D)は、メカニカルシャッタの動作も併せて示している。
図12,13,15における図(E)は、フラッシュの発光タイミングを示す。
【0062】
(1−6−1.通常感度撮影)
まず、通常感度撮影について
図10を参照しながら説明する。
【0063】
シャッタボタン11aが半押しされ、信号S1がON状態になると、制御IC21は、既知のコントラスト方式のオートフォーカス(以下、「AF」という)を行う。つまり、制御IC21は、フォーカスレンズを駆動し、CMOSイメージセンサ30で取得される画像のコントラスト評価を行うことによって合焦位置を探し、フォーカスレンズを合焦位置に移動させる。それと同時に、制御IC21は、被写体像の測光を行う。この測光に基づいて露光時間を決定する。
【0064】
制御IC21は、信号S2がON状態となるまでの間は、表示装置13にライブビュー画像を表示させる。
【0065】
シャッタボタン11aが全押しされて、信号S2がON状態になると、制御IC21は、撮影(即ち、本露光)を行う。制御IC21は、CMOS回路基板31を介して、CMOSイメージセンサ30にローリングシャッタ方式の電子シャッタ動作を行わせる。詳しくは、CMOSイメージセンサ30は、下端のラインから上端のラインに向かって順に電荷のリセットを行う。この電荷のリセットは、先幕が開く動作に相当し、露光の開始を意味する。電荷をリセットしてから所定の露光時間が経過すると、CMOSイメージセンサ30は、下端のラインから上端のラインに向かって順に電荷の読み出しを行う。電荷の読出は、後幕が閉じる動作に相当し、露光の終了を意味する。ここで、下端のラインから上端のラインに向かって電荷リセットを行う速度(以下、「リセット速度」という)を、下端のラインから上端のラインに向かって電荷の読み出しを行う速度(以下、「読出速度」という)に一致させている。こうすることによって、各ラインの露光時間を一定にしている。尚、露光時間によっては、上端の電荷のリセットが完了する前に、下端のラインの電荷の読み出しが開始される。
【0066】
露光が完了すると、再び、制御IC21は、表示装置13にライブビュー画像を表示させる。
【0067】
通常感度撮影においては、メカニカルシャッタ250は動作しない。第1羽根252a及び第2羽根252bは、開位置に位置し、アパーチャ251cは、開放されている。
【0068】
尚、ライブビュー表示時も、CMOSイメージセンサ30にローリングシャッタ方式の電子シャッタ動作を行わせている。ただし、表示装置13の画素数は撮影画像の画素数に比べると少ないので、ライブビュー表示時に電荷の読み出しを行う画素数は比較的少ない。つまり、CMOSイメージセンサ30からの電荷の読出時間が短い。そのため、ライブビュー表示のときのリセット速度及び読出速度は、露光時よりも速い。
【0069】
一方、撮影時には、CMOSイメージセンサ30の全ての画素の電荷読み出しが必要になるため、電荷の読み出し時間が長くなる。しかしながら、電荷の読み出し時間が短いCMOSイメージセンサを採用することによって、メカニカルシャッタを用いることなく、ローリングシャッタ現象(電荷蓄積タイミングが異なることに起因して被写体像に歪みが生じる現象)の発生を抑制した画像の撮影が可能となる。
【0070】
(1−6−2.暗電流ノイズ補正)
次に、暗電流ノイズ補正について
図11を参照しながら説明する。
【0071】
暗電流ノイズ補正においては、露光が2回行われる。1回目の露光を行うまでの処理は、通常感度撮影と同じである。
【0072】
1回目の露光が完了すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250を作動させ、第1羽根252a及び第2羽根252bを閉位置へ移動させる。つまり、メカニカルシャッタ250は、アパーチャ251cを遮蔽し、被写体からCMOSイメージセンサ30への光を遮断する。その後、1回目の露光と同じ感度、シャッタスピード(即ち、リセット速度及び読出速度)で2回目の露光を行う。こうして、1回目の露光によりアパーチャ251cを開放した状態での画像を取得し、2回目の露光によりアパーチャ251cを遮蔽した状態での画像、即ち、ダーク画像が取得される。尚、1回目の露光によりダーク画像を取得し、2回目の露光によりアパーチャ251cを開放した状態での画像を取得してもよい。
【0073】
ダーク画像の取得後、制御IC21は、メカニカルシャッタ250を作動させ、第1羽根252a及び第2羽根252bを開位置へ移動させる。その後、制御IC21は、ライブビュー表示を再開する。
【0074】
1回目の露光により取得された画像をダーク画像を用いて補正することによって、暗電流ノイズを除去した撮影画像が取得される。
【0075】
(1−6−3.フラッシュ撮影)
続いて、通常のフラッシュ撮影について
図12を参照しながら説明する。
【0076】
通常のフラッシュ撮影においては、シャッタボタン11aが完全に押し下げられるまでの処理は、通常感度撮影と同じである。
【0077】
シャッタボタン11aが全押しされて、信号S2が出力されると、制御IC21は、フラッシュ装置40にプリ発光を行わせ、露光時の露出が適正となる発光量を求める。プリ発光とは、本発光(すなわち、撮影時の発光)の発光量を求めるために、本発光よりも小さな発光量で発光させることである。
【0078】
続いて、制御IC21は、ライブビュー表示を停止し、CMOSイメージセンサ30の電荷をリセットする。制御IC21は、フラッシュ撮影においては、通常感度撮影と異なり、CMOSイメージセンサ30の全画素の電荷を一斉にリセットする。それと略同時に、制御IC21は、プリ発光により求めた発光量でフラッシュ装置40に本発光を行わせる。本発光後、制御IC21は、メカニカルシャッタ250の第1羽根252a及び第2羽根252bを閉位置へ移動させ、アパーチャ251cを遮蔽する。アパーチャ251cの遮蔽により、露光が終了する。つまり、メカニカルシャッタ250は、後幕として機能し、露光終了タイミングを決定している。
【0079】
こうして被写体からCMOSイメージセンサ30への光を遮断した後、制御IC21は、CMOSイメージセンサ30の電荷の読出を実行する。図の例では、アパーチャ251cが完全に遮蔽される前であって、電荷の読出を開始するラインが第1羽根252a又は第2羽根252bに遮蔽された後に電荷の読出を開始している。ただし、電荷の読出は、アパーチャ251cを完全に遮蔽した後に開始してもよい。
【0080】
電荷の読出が完了すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250のアパーチャ251cを開放し、ライブビュー表示を再開する。
【0081】
こうして、通常のフラッシュ撮影時においては、フラッシュ発光後にメカニカルシャッタ250を閉じることによって、電荷の読出時に余分な被写体光を遮断することができる。これにより、読出中の露光を防止し、適正露出によるフラッシュ撮影を行うことができる。
【0082】
尚、日中にフラッシュ撮影(いわゆる、日中シンクロ撮影)を行う場合にも、以上の通常のフラッシュ撮影と同様の処理が行われる。ただし、日中シンクロ撮影時には、シャッタボタン11aが半押しされたときに雰囲気光による被写体像の測光を行い、CMOSイメージセンサ30の電荷取り込み時間を決定する。
【0083】
(1−6−4.スローシンクロ撮影)
次に、スローシンクロ撮影について
図13を参照しながら説明する。スローシンクロ撮影とは、フラッシュを発光させて、比較的遅いシャッタスピードで行う撮影であり、夜景などフラッシュ光の届かない被写体とフラッシュ光の届く比較的近距離の被写体とを同時に適正露出で捕らえる撮影である。
【0084】
シャッタボタン11aが全押しされて、フラッシュをプリ発光するまでの基本的な処理は、通常のフラッシュ撮影と同じである。ただし、スローシンクロ撮影においては、シャッタボタン11aが半押しされると、雰囲気光による被写体像の測光を行い、CMOSイメージセンサ30の電荷取り込み時間を決定する。
【0085】
制御IC21は、プリ発光時には、比較的近距離の被写体が適正露出となる発光量を求める。その後、制御IC21は、CMOSイメージセンサの全画素の電荷を一斉にリセットする。それと略同時に、制御IC21は、プリ発光により求めた発光量でフラッシュ装置40に本発光を行わせる。電荷の一斉リセットの後、雰囲気光により決定された電荷取り込み時間が経過すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250の第1羽根252a及び第2羽根252bを閉位置へ移動させ、アパーチャ251cを遮蔽する。すなわち、メカニカルシャッタ250は、後幕として機能している。こうして被写体からCMOSイメージセンサ30への光を遮断した後、制御IC21は、CMOSイメージセンサ30の電荷の読出を実行する。
【0086】
電荷の読出が完了すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250のアパーチャ251cを開放し、ライブビュー表示を再開する。
【0087】
つまり、スローシンクロ撮影においては、通常のフラッシュ撮影のときよりも露光時間が長くなる。スローシンクロ撮影においても、フラッシュ発光後にメカニカルシャッタ250を閉じることによって、電荷の読出時に余分な被写体光を遮断することができる。これにより、読出中の露光を防止し、適正露出によるフラッシュ撮影を行うことができる。
【0088】
(1−6−5.電子先幕及びメカニカル後幕撮影)
次に、電子先幕及びメカニカル後幕による撮影について
図14を参照しながら説明する。
【0089】
電子先幕及びメカニカル後幕による撮影においては、シャッタボタン11aが完全に押し下げられるまでの処理は、通常感度撮影と同じである。
【0090】
シャッタボタン11aが全押しされて、信号S2が出力されると、制御IC21は、CMOS回路基板31を介して、CMOSイメージセンサ30にローリングシャッタ方式の電子先幕シャッタ動作を行わせる。詳しくは、CMOSイメージセンサ30は、下端のラインから上端のラインに向かって順に電荷のリセットを行う。電荷のリセットを開始してから所定の露光時間が経過すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250を作動させ、アパーチャ251cを遮蔽させる。すなわち、メカニカルシャッタ250は、後幕として機能している。こうして被写体からCMOSイメージセンサ30への光を遮断した後、制御IC21は、CMOSイメージセンサ30の電荷の読出を実行する。
【0091】
電荷の読出が完了すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250のアパーチャ251cを開放し、ライブビュー表示を再開する。
【0092】
ここで、電荷のリセットを行う方向(すなわち、電荷のリセットをどのラインからどのラインに向かって行うか)とアパーチャ251cを閉じる方向(すなわち、アパーチャ251cをどちら側からどちら側へ閉じていくか)とを一致させている。それと共に、リセット速度とメカニカルシャッタ250の幕速(第1羽根252aが進む速度)とを一致させている。こうすることによって、各ラインの露光時間を一定にしている。
【0093】
この電子先幕及びメカニカル後幕による撮影では、
図10に示す、先幕及び後幕の両方を電子シャッタで実現する撮影と比較して、先幕及び後幕の幕速を速くすることができる。すなわち、
図10の電子シャッタにおいては、リセット速度が先幕の幕速に相当し、読出速度が後幕の幕速に相当する。通常、読出速度をあまり速くすることができないので、リセット速度(先幕)も読出速度に合わさざるを得ない。つまり、先幕及び後幕の幕速は、読出速度により制約を受ける。それに対し、電子先幕及びメカニカル後幕による撮影においては、リセット速度が先幕の幕速に相当し、メカニカルシャッタ250の幕速が後幕の幕速に相当する。メカニカルシャッタ250の幕速は、読出速度に比べて、高速化が容易である。つまり、通常は、メカニカルシャッタ250の幕速は、読出速度よりも速い。そのため、メカニカルシャッタ250を後幕とすることによって、先幕及び後幕の幕速を速くすることができる。こうして、先幕及び後幕の幕速を速くすることによって、ローリングシャッタ現象を抑制することができる。
【0094】
(1−6−6.電子先幕及びメカニカル後幕によるフラッシュ撮影)
続いて、電子先幕及びメカニカル後幕によるフラッシュ撮影について
図15を参照しながら説明する。
【0095】
電子先幕及びメカニカル後幕によるフラッシュ撮影においては、シャッタボタン11aが完全に押し下げられるまでの処理は、通常感度撮影と同じである。
【0096】
シャッタボタン11aが全押しされて、信号S2が出力されると、制御IC21は、フラッシュ装置40にプリ発光を行わせ、露光時の露出が適正となる発光量を求める。続いて、制御IC21は、CMOS回路基板31を介して、CMOSイメージセンサ30にローリングシャッタ方式の電子先幕シャッタ動作を行わせる。すなわち、CMOSイメージセンサ30は、下端のラインから上端のラインに向かって順に電荷のリセットを行う。このとき、電荷のリセットを行う方向をメカニカルシャッタ250がアパーチャ251cを閉じる方向と一致させると共に、リセット速度をメカニカルシャッタ250の幕速と一致させる。
【0097】
全画素の電荷リセットが完了すると、制御IC21は、プリ発光により求めた発光量でフラッシュ装置40に本発光を行わせる。本発光の後、制御IC21は、メカニカルシャッタ250を作動させ、アパーチャ251cを遮蔽させる。アパーチャ251cを遮蔽した後、制御IC21は、CMOSイメージセンサ30の電荷の読出を実行する。
【0098】
電荷の読出が完了すると、制御IC21は、メカニカルシャッタ250のアパーチャ251cを開放し、ライブビュー表示を再開する。
【0099】
電子先幕及びメカニカル後幕によれば、先幕及び後幕の幕速を速くすることができるので、先幕が完全に開放してから本発光を行い、本発光後に後幕の遮蔽を開始したとしても、適正露出によるフラッシュ撮影を行うことができる。
【0100】
(1−7.効果)
したがって、カメラ本体1は、交換レンズ5を装着可能なボディマウント14と、CMOSイメージセンサ30と、メイン回路基板20と、アパーチャ251cが設けられたメカニカルシャッタ250とを備え、前記メイン回路基板20は、前記ボディマウント14と前記CMOSイメージセンサ30との間に配置されており、前記交換レンズ5から前記CMOSイメージセンサ30へ向かう光が通過する開口部25を有し、前記メカニカルシャッタ250は、前記ボディマウント14と前記CMOSイメージセンサ30との間に配置され、前記メイン回路基板20に取り付けられている。
【0101】
前記の構成によれば、メイン回路基板20をボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置することによって、少なくともCMOSイメージセンサ30の後方のスペースを縮小させることができる。そのため、ボディマウント14からCMOSイメージセンサ30までの距離が光学的に決められている場合であっても、カメラ本体1を小型化することができる。このとき、メイン回路基板20に開口部25を設けることによって、交換レンズ5からCMOSイメージセンサ30へ向かう光にメイン回路基板20を通過させることができる。
【0102】
特に、カメラ本体1は、ミラーボックス装置を有していないので、フランジバックを短くすることができ、小型化されている。そのような構成であっても、CMOSイメージセンサ30の後方のスペースを縮小することによって、カメラ本体1のさらなる小型化を実現することができる。
【0103】
さらに、メイン回路基板20をボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置することによって、ボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置されるメカニカルシャッタ250をメイン回路基板20に取り付けることができる。これにより、メイン回路基板20とメカニカルシャッタ250とをコンパクトに配置することができる。さらに、メイン回路基板20とメカニカルシャッタ250との間の配線の引き回しを不要とするか又は簡略化することができる。
【0104】
また、メカニカルシャッタ250は、前記アパーチャ251cを開放する開動作及び前記アパーチャを遮蔽する閉動作を択一的に行う幕ユニット252を1つだけ有する。
【0105】
この構成によれば、メカニカルシャッタ250は、アパーチャ251cを開放する開動作及びアパーチャ251cを遮蔽する閉動作を択一的に行う幕ユニット252を1つだけ有するので、いわゆる先幕及び後幕を有するフォーカルプレーンシャッタに比べて、構成が簡略化されている。そのため、メカニカルシャッタ250をボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置する構成であっても、ボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間の距離が長くなることを防止することができる。つまり、カメラ本体1の小型化を図ることができる。
【0106】
また、前記メカニカルシャッタ250は、幕ユニット252を形成する第1羽根252a及び第2羽根252bと、前記第1羽根252a及び第2羽根252bに連結され、該第1羽根252a及び第2羽根252bと共にリンク機構を構成する駆動アーム254及び従動アーム255と、前記駆動アーム254に連結されたステッピングモータ256とを有する。
【0107】
この構成によれば、ステッピングモータ256により第1羽根252a及び第2羽根252bを駆動することによって、メカニカルシャッタ250をコンパクトに構成することができる。その結果、カメラ本体1の小型化を図ることができる。
【0108】
さらに、前記メカニカルシャッタ250は、前記第1羽根252a及び第2羽根252bが前記アパーチャ251cを開放する方向に前記リンク機構を付勢する付勢バネ255aをさらに有する。
【0109】
この構成によれば、ステッピングモータ256の非通電時であっても、付勢バネ255aにより、第1羽根252a及び第2羽根252bをアパーチャ251cを開放した状態に保持することができる。
【0110】
また、前記メカニカルシャッタ250は、前記第1羽根252a及び第2羽根252bが前記アパーチャ251cを遮蔽したことを検出する閉検出スイッチ257をさらに有する。
【0111】
この構成によれば、第1羽根252a及び第2羽根252bがアパーチャ251cを遮蔽したことを確実に検出することができる。
【0112】
また、前記メカニカルシャッタ250は、前記第1羽根252a及び第2羽根252bが前記アパーチャ251cを開放したことを検出する開検出スイッチ258をさらに有する。
【0113】
この構成によれば、第1羽根252a及び第2羽根252bがアパーチャ251cを開放したことを確実に検出することができる。
【0114】
また、カメラ本体1は、CMOSイメージセンサ30と、前記CMOSイメージセンサ30の前に配置され、アパーチャ251cが設けられたメカニカルシャッタ250と、フラッシュ装置40とを備え、前記メカニカルシャッタ250は、前記アパーチャ251cを開放する開動作及び前記アパーチャを遮蔽する閉動作を択一的に行う幕ユニット252を1つだけ有し、前記フラッシュ装置40を用いた撮影においては、前記CMOSイメージセンサ30の電荷をリセットした後に前記フラッシュ装置40を発光させ、前記メカニカルシャッタ250の前記アパーチャ251cを前記幕ユニット252で遮蔽した後に前記CMOSイメージセンサ30の電荷の読出を行う。
【0115】
この構成によれば、メカニカルシャッタ250は、アパーチャ251cを開放する開動作及びアパーチャ251cを遮蔽する閉動作を択一的に行う幕ユニット252を1つだけ有するので、いわゆる先幕及び後幕を有するフォーカルプレーンシャッタに比べて、構成が簡略化されている。そのため、カメラ本体1の小型化を図ることができる。
【0116】
それに加えて、CMOSイメージセンサ30を電子先幕シャッタとして機能させると共に、メカニカルシャッタ250を後幕として機能させる。こうして、フラッシュ発光後にメカニカルシャッタ250を閉じることによって、電荷の読出時に余分な被写体光を遮断することができる。つまり、先幕及び後幕を有するフォーカルプレーンシャッタを設けなくても、読出中の露光を防止し、適正露出によるフラッシュ撮影を行うことができる。
【0117】
さらに、カメラ本体1は、CMOSイメージセンサ30と、前記CMOSイメージセンサ30の前に配置され、アパーチャ251cが設けられたメカニカルシャッタ250とを備え、前記メカニカルシャッタ250は、前記アパーチャ251cを開放する開動作及び前記アパーチャを遮蔽する閉動作を択一的に行う幕ユニット252を1つだけ有し、前記CMOSイメージセンサ30の電動シャッタ動作による撮影を前記アパーチャ251cを開放した状態と前記アパーチャ251cを前記幕ユニット252で遮蔽した状態とで行い、該アパーチャ251cを開放した状態で取得した画像を該アパーチャ251cを遮蔽した状態で取得した画像で補正する。
【0118】
この構成によれば、メカニカルシャッタ250は、アパーチャ251cを開放する開動作及びアパーチャ251cを遮蔽する閉動作を択一的に行う幕ユニット252を1つだけ有するので、いわゆる先幕及び後幕を有するフォーカルプレーンシャッタに比べて、構成が簡略化されている。そのため、カメラ本体1の小型化を図ることができる。
【0119】
それに加えて、CMOSイメージセンサ30に電子シャッタ動作を行わせることで撮影を行う構成であっても、メカニカルシャッタ250を設けることによってアパーチャ251cを遮蔽した状態での画像、いわゆるダーク画像を取得することができる。これにより、高感度撮影を実現することができる。
【0120】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0121】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0122】
例えば、メイン回路基板20には、開口部25が設けられているが、これに限られるものではない、メイン回路基板20には、開口部25の代わりに、交換レンズ5からCMOSイメージセンサ30へ向かう光が通過する切欠部を設けてもよい。
【0123】
また、メイン回路基板20は、ボディマウント14とCMOSイメージセンサ30との間に配置されるものに限られず、例えば、イメージセンサ30の後方又は側方に配置されていてもよい。
【0124】
また、撮像素子としてCMOSイメージセンサを採用しているが、これに限られるものではない。例えば、撮像素子としてCCDイメージセンサを用いてもよい。
【0125】
前記カメラシステム100は、レンズ交換式カメラであるが、これに限られるものではない。カメラシステム100は、レンズ固定式カメラであってもよい。
【0126】
前記実施形態では、メカニカルシャッタ250を後幕として機能させているが、先幕として機能させてもよい。つまり、第1羽根252a及び第2羽根252bに露光前にアパーチャ251cを遮蔽させておき、アパーチャ251cを開放することによって露光開始タイミングを決めるように動作させてもよい。
【0127】
また、メカニカルシャッタ250の構成は、前記実施形態に限られるものではない。例えば、メカニカルシャッタ250の羽根は、1枚又は3枚以上であってもよい。また、メカニカルシャッタ250の羽根は、ステッピングモータ256以外の駆動源により駆動されてもよい。また、第1羽根252a及び第2羽根252bは、アパーチャ251cを下から上に閉じているが、これに限られるものではない。第1羽根252a及び第2羽根252bは、アパーチャ251cを上から下へ閉じるようにしてもよいし、左から右又は右から左へ閉じるようにしてもよい。
【0128】
メカニカルシャッタ250の変形例を
図16,17に示す。メカニカルシャッタ350は、従動アーム255の付勢の方法と、アパーチャ251cの開状態及び閉状態の検出部の構成がメカニカルシャッタ250と異なる。
【0129】
メカニカルシャッタ350においては、付勢バネ255aの代わりに、スナップアクション付勢バネ355aが設けられている。スナップアクション付勢バネ355aは、第1羽根252a及び第2羽根252bがアパーチャ251cを開放する方向と第1羽根252a及び第2羽根252bがアパーチャ251cを遮蔽する方向とにリンク機構を付勢している。スナップアクション付勢バネ355aは、付勢部材及びスナップアクション付勢部材の一例である。つまり、ステッピングモータ256が第1羽根252a及び第2羽根252bを開位置の近傍まで移動させたときには、第1羽根252a及び第2羽根252bは、スナップアクション付勢バネ355aにより開位置の方へ付勢される。そして、ステッピングモータ256の非通電時であっても、第1羽根252a及び第2羽根252bは、スナップアクション付勢バネ355aにより開位置に保持され、開位置から閉位置の方へ移動することが防止される。一方、ステッピングモータ256が第1羽根252a及び第2羽根252bを閉位置の近傍まで移動させたときには、第1羽根252a及び第2羽根252bは、スナップアクション付勢バネ355aにより閉位置の方へ付勢される。そして、ステッピングモータ256の非通電時であっても、第1羽根252a及び第2羽根252bは、スナップアクション付勢バネ355aにより閉位置に保持され、閉位置から開位置の方へ移動することが防止される。
【0130】
また、駆動アーム254には、突起部254aが設けられている。そして、第1羽根252a及び第2羽根252bが閉位置に位置するときの突起部254aを検出できる位置に閉検出スイッチ257が設けられている。一方、従動アーム255には、突起部255cが設けられている。そして、第1羽根252a及び第2羽根252bが開位置に位置するときの突起部255cを検出できる位置に開検出スイッチ258が設けられている。