特許第6245497号(P6245497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245497
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】厨房装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/00 20060101AFI20171204BHJP
   A47B 77/06 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   A47B77/00
   A47B77/06
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-110045(P2013-110045)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-226429(P2014-226429A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】山口 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】番匠 映仁
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−301022(JP,A)
【文献】 特開平01−187235(JP,A)
【文献】 特開平10−005065(JP,A)
【文献】 特開2007−289631(JP,A)
【文献】 特開平09−215533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00−77/18
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
左右の側板と、
前記天板の前端部から垂下される幕板と、
前記幕板の背方に形成される、厨房機器が収納される機器収納空間と、
前記機器収納空間とその下方に形成される空間とを仕切り、前端部が前記幕板の背面に連結されて固定される仕切り板と、
前方に開口する仕切り板後保持溝を備え、前記仕切り板の後端部を保持する保持部材と、を備えることを特徴とする厨房装置。
【請求項2】
前記仕切り板の前後長さが、前記仕切り板後保持溝の奥面から前記幕板の背面までの前後長さよりも短く、且つ、前記仕切り板後保持溝の前端縁から前記幕板の背面までの前後長さよりも長いことを特徴とする請求項1記載の厨房装置。
【請求項3】
板と
方に開口する背板支持溝を備え、前記背板の下端部を支持する背板受けと、
を備え
前記保持部材は、下方に開口する背板保持溝を備え、前記背板の上端部を保持することを特徴とする請求項1または2記載の厨房装置。
【請求項4】
前記背板の上下長さが、前記背板保持溝の奥面から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも短く、且つ、前記背板保持溝の下端縁から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも長いことを特徴とする請求項3記載の厨房装置。
【請求項5】
天板と、
左右の側板と、
背板と、
前記天板の前端部から垂下される幕板と、
前記幕板の背方に形成される、厨房機器が収納される機器収納空間と、
前記機器収納空間とその下方に形成される空間とを仕切り、前端部が前記幕板の背面に連結されて固定される仕切り板と、
上方に開口する背板支持溝を備え、前記背板の下端部を支持する背板受けと、
を備える厨房装置であって、
前方に開口する仕切り板後保持溝および下方に開口する背板保持溝を備え、前記仕切り板の後端部と前記背板の上端部とを保持する保持部材が設けられることを特徴とする厨房装置。
【請求項6】
前記仕切り板の前後長さが、前記仕切り板後保持溝の奥面から前記幕板の背面までの前後長さよりも短く、且つ、前記仕切り板後保持溝の前端縁から前記幕板の背面までの前後長さよりも長く、
前記背板の上下長さが、前記背板保持溝の奥面から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも短く、且つ、前記背板保持溝の下端縁から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも長いことを特徴とする請求項5記載の厨房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、天板2と、左右の側板3と、背板4と、天板2の前端部から垂下される幕板5と、を備えた厨房装置1(図3参照)が利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この従来の厨房装置1は、図5に示すように、天板2と側板3と、この厨房装置1が設置される床面9と、で囲まれる前開口が形成される。この前開口のうち、上端部に幕板5が位置し、幕板5の下方に脚部挿入用開口14が形成される。そして、幕板5の背方が、加熱調理器やシンク10等の厨房機器が収納される機器収納空間13となり、機器収納空間13の下方が、脚部収納空間15となるものである。これにより、車椅子に載った厨房装置1の使用者が、脚部を脚部挿入用開口14より挿入して脚部収納空間15に収納することができるものである。
【0004】
またこの従来の厨房装置1には、図5に示すように、機器収納空間13と脚部収納空間15との間に、仕切り板6が設けられるものである。仕切り板6は、連結固定具7により、幕板5と背板4とに連結される。図5に示す従来例にあっては、連結固定具7は、L字状をしており、その両側の片にそれぞれ固着具挿通孔が形成されている。そして、前側の連結固定具7aの一方の固着具挿通孔を介して、ビスからなる固着具が幕板5の下端部に固着され、他方の固着具挿通孔を介して、同様の固着具が仕切り板6の前端部に固着され、仕切り板6が幕板5に連結される。また、後側の連結固定具7bの一方の固着具挿通孔を介して、同様の固着具が背板4の上端部に固着され、他方の固着具挿通孔を介して、同様の固着具が仕切り板6の後端部に固着され、仕切り板6が背板4に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−283021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の厨房装置1にあっては、施工時や、点検・修理時といったメンテナンス時に、作業者が仕切り板6を着脱するには、前側の連結固定具7aおよび後側の連結固定具7bを着脱しなければならない。このためには、前側の連結固定具7aおよび後側の連結固定具7bに固着されている固着具を着脱する必要があった。また、作業者が背板4を着脱するには、後側の連結固定具7bを着脱しなければならず、このためには、後側の連結固定具7bに固着されている固着具を着脱する必要があった。このように、仕切り板6、背板4の着脱作業が面倒なものであった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、仕切り板、背板の着脱作業が容易な厨房装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の厨房装置にあっては、天板と、左右の側板と、前記天板の前端部から垂下される幕板と、前記幕板の背方に形成される、厨房機器が収納される機器収納空間と、前記機器収納空間とその下方に形成される空間とを仕切り、前端部が前記幕板の背面に連結されて固定される仕切り板と、前方に開口する仕切り板後保持溝を備え、前記仕切り板の後端部を保持する保持部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記仕切り板の前後長さが、前記仕切り板後保持溝の奥面から前記幕板の背面までの前後長さよりも短く、且つ、前記仕切り板後保持溝の前端縁から前記幕板の背面までの前後長さよりも長いことが好ましい。
【0010】
また、背板と、上方に開口する背板支持溝を備え前記背板の下端部を支持する背板受けと、を備え、前記保持部材は、下方に開口する背板保持溝を備え、前記背板の上端部を保持することが好ましい
【0011】
また、前記背板の上下長さが、前記背板保持溝の奥面から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも短く、且つ、前記背板保持溝の下端縁から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも長いことが好ましい。
【0012】
本発明の厨房装置にあっては、天板と、左右の側板と、背板と、前記天板の前端部から垂下される幕板と、前記幕板の背方に形成される、厨房機器が収納される機器収納空間と、前記機器収納空間とその下方に形成される空間とを仕切り、前端部が前記幕板の背面に連結されて固定される仕切り板と、上方に開口する背板支持溝を備え、前記背板の下端部を支持する背板受けと、を備える厨房装置であって、前方に開口する仕切り板後保持溝および下方に開口する背板保持溝を備え、前記仕切り板の後端部と前記背板の上端部とを保持する保持部材が設けられることを特徴とする。
【0013】
また、前記仕切り板の前後長さが、前記仕切り板後保持溝の奥面から前記幕板の背面までの前後長さよりも短く、且つ、前記仕切り板後保持溝の前端縁から前記幕板の背面までの前後長さよりも長く、前記背板の上下長さが、前記背板保持溝の奥面から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも短く、且つ、前記背板保持溝の下端縁から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも長いことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、保持部材が備える前方に開口する仕切り板後保持溝に仕切り板の後端部が保持されるため、仕切り板の着脱にあたり後端部が仕切り板後保持溝への出入りのみとなり、仕切り板の着脱作業が容易となる。
【0015】
また本発明にあっては、保持部材が備える下方に開口する背板保持溝に背板の上端部が保持されるため、背板の着脱にあたり上端部が背板保持溝への出入りのみとなり、背板の着脱作業が容易となる。
【0016】
また本発明にあっては、保持部材が備える前方に開口する仕切り板後保持溝と下方に開口する背板保持溝に、切り板の後端部と背板の上端部が保持される。このため、仕切り板と背板の着脱にあたり、仕切り板の後端部と背板の上端部が溝への出入りのみとなり、仕切り板と背板の着脱作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一の実施形態の厨房装置を示し、(a)は左右方向の中間部で切断した厨房装置を前斜め上方より見た斜視図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
図2】(a)は第一の実施形態において左右方向の中間部で切断した厨房装置の要部側面図であり、(b)は幕板と仕切り板と保持部材の位置・寸法関係を説明する模式図であり、(c)は保持部材と背板と背板受けの位置・寸法関係を説明する模式図である。
図3】厨房装置の前斜め上方より見た全体斜視図である。
図4】第二の実施形態の厨房装置を示し、(a)は左右方向の中間部で切断した厨房装置を前斜め上方より見た斜視図であり、(b)は前保持部材と仕切り板と保持部材の位置・寸法関係を説明する模式図である。
図5】従来例において左右方向の中間部で切断した厨房装置を示し、(a)は前斜め上方より見た斜視図であり、(b)は後斜め上方より見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の厨房装置1にあっては、天板2と、左右の側板3と、天板2の前端部から垂下される幕板5と、幕板5の背方に形成される、厨房機器が収納される機器収納空間13と、を備える。さらに、機器収納空間13とその下方に形成される空間とを仕切り、前端部が幕板5の背面に連結されて固定される仕切り板6と、前方に開口する仕切り板後保持溝81を備える。さらに、仕切り板6の後端部を保持する保持部材8と、を備える。
【0019】
また、仕切り板6の前後長さが、仕切り板後保持溝81の奥面から幕板5の背面までの前後長さよりも短く、且つ、仕切り板後保持溝81の前端縁から幕板5の背面までの前後長さよりも長いことが好ましい。
【0020】
本発明の厨房装置1にあっては、天板2と、左右の側板3と、背板4と、を備える。側板3の後部に、下方に開口する背板保持溝84を備える保持部材8が設けられる。さらに、側板3の保持部材8が設けられた部分の下方に、上方に開口する背板支持溝を備える背板受け12が設けられる。
【0021】
また、背板4の上下長さが、背板保持溝84の奥面から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも短く、且つ、背板保持溝84の下端縁から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも長いことが好ましい。
【0022】
本発明の厨房装置1にあっては、天板2と、左右の側板3と、背板4と、天板2の前端部から垂下される幕板5と、幕板5の背方に形成される、厨房機器が収納される機器収納空間13と、を備える。さらに、機器収納空間13とその下方に形成される空間とを仕切り、前端部が幕板5の背面に連結されて固定される仕切り板6と、上方に開口する背板支持溝を備え、背板4の下端部を支持する背板受け12と、を備える。さらに、前方に開口する仕切り板後保持溝81および下方に開口する背板保持溝84を備え、仕切り板6の後端部と背板4の上端部とを保持する保持部材8が設けられることを特徴とする。
【0023】
また、仕切り板6の前後長さが、仕切り板後保持溝81の奥面から幕板5の背面までの前後長さよりも短く、且つ、仕切り板後保持溝81の前端縁から幕板5の背面までの前後長さよりも長い。さらに、背板4の上下長さが、背板保持溝84の奥面から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも短く、且つ、背板保持溝84の下端縁から前記背板支持溝の奥面までの上下長さよりも長いことが好ましい。
【0024】
以下、本発明の第一の実施形態について添付図面に基いて説明する。
【0025】
厨房装置1は、図3に示すように、天板2と、天板2の左右の側端部に設けられる側板3と、天板2の後端部に設けられる背板4と、天板2の前端部に設けられる幕板5と、を備えるものである。以下の説明においては、背板4が設けられている方を後方(背方)、その反対方向で幕板5が設けられている方を前方とし、左右は使用者が後側を向いた時の左右をいうものとする。
【0026】
天板2は、図1図3に示すように、上面が調理面となるカウンターとなるものである。第一の実施形態では、天板2は、平面視略矩形状をしたもので、平面視における内部に、シンク設置用の開口21と、加熱調理器設置用の開口22と、が形成されている。シンク設置用の開口21に、シンク10が設けられている。また第一の実施形態では、天板2の後端部に、バックガード23が取り付けられている。
【0027】
なお、天板2の形状や開口の有無は限定されないものであり、また、天板2とシンク10とが一体に形成されていてもよいし、別体のシンク10が天板2に取り付けられてもよい。また、バックガード23と天板2とが一体に形成されていてもよいし、バックガード23が無くてもよい。
【0028】
側板3は、図1図3に示すように、その上端部が天板2の左右の側端部に連結され、その下端部が床面9に載置されるものである。第一の実施形態では、側板3は、天板2の前後長さと略同じ(同じまたは天板2の前後長さの1〜2割程度の誤差範囲内)の前後長さを有する、側面視略矩形状をしたものである。側板3と天板2との連結は、釘やビス等による固着、固定部材による固定(固定部材と、側板3および天板2とは、釘やビスにより固定)、接着剤による接着、ダボ・ダボ穴やその他の凹凸嵌合等、特に限定されない。
【0029】
背板4は、図1図3に示すように、左右の両側板3の後部の間に設けられ、所定の上下長さH1(図2(c)参照)を有するものである。第一の実施形態では、左右の両側板3の後端部より前方の位置に設けられており、背板4の背方側の空間に、厨房機器に接続される配管が配置可能となっている。
【0030】
背板4の下端部は、側板3に設けられる背板受け12に受けられて支持される。第一の実施形態では、図1に示すように、側板3に後幅木11が設けられ、この後幅木11に背板受け12が設けられている。後幅木11は、左右の両側板3の後部の間に設けられる。後幅木11と側板3との連結は、釘やビス等による固着、固定部材による固定(固定部材と、後幅木11および側板3とは、釘やビスにより固定)、接着剤による接着、ダボ・ダボ穴やその他の凹凸嵌合等、特に限定されない。背板受け12は、上方に開口する背板支持溝を備えるもので、後幅木11の前面に左右全長に亘って設けられる。背板受け12の後幅木11への固定は、釘やビス等による固着、接着剤による接着等、特に限定されない。
【0031】
背板4は、左右の両側板3には連結されないものであり、背板4の側端部と側板3とが当接してもよいし、背板4の側端部と側板3との間に隙間が形成されてもよい。また、背板4の上端部は、後述する保持部材8により保持される。
【0032】
なお、第一の実施形態では、背板受け12は後幅木11を介して側板3に固定されているが、背板受け12が直接左右の両側板3の後部の間に固定されてもよいし、左右の幅の短い背板受け12が左右の両側板3にそれぞれ固定されてもよい。
【0033】
厨房装置1には、シンク10や加熱調理器等の厨房機器が備えられるものである。第一の実施形態では、天板2に形成されるシンク設置用の開口21と加熱調理器設置用の開口22とを介して、シンク10と加熱調理器(不図示)とが上方に露出するように、天板2と、天板2から所定距離下側の部分との間の空間にシンク10と加熱調理器とが収納される。すなわち、前記空間が、厨房機器が収納される機器収納空間13となる。なお、厨房機器はシンク10や加熱調理器に限定されない。そして、機器収納空間13の前方に、厨房機器が前方から見えないように隠すための幕板5が設けられる。
【0034】
幕板5は、図1図3に示すように、その上端部が天板2の前端部に位置し、左右の両側板3の前部の間に設けられるものである。幕板5と側板3との連結は、釘やビス等による固着、固定部材による固定(固定部材と、側板3および天板2とは、釘やビスにより固定)、接着剤による接着、ダボ・ダボ穴やその他の凹凸嵌合等、特に限定されない。また、幕板5と天板2とが同様に連結されてもよい。なお、幕板5は、左右方向の一部が、開閉自在な開き扉や引出しの前板となり、その背方側の空間が、調理容器や調理具や調味料、その他の物品収納空間となってもよい。
【0035】
そして、図1に示すように、天板2と側板3と床面9とで囲まれる前開口のうち、幕板5の下側の部分が脚部挿入用開口14となり、その背方側の空間、すなわち機器収納空間13の下方が、脚部収納空間15となるものである。これにより、車椅子に載った使用者が、脚部を脚部挿入用開口14より挿入して脚部収納空間15に収納することができ、車椅子に載った状態でも身体を天板2に近づけて、調理作業等が行い易くなるものである。
【0036】
なお、第一の実施形態では、幕板5の下方の側板3間の全長に亘って脚部挿入用開口14が形成されているが、幕板5の下方の側板3間の一部に、開閉自在な開き扉や引出しの前板が設けられ、その背方がその他の物品収納空間となってもよい。
【0037】
厨房装置1には、図1に示すように、機器収納空間13と脚部収納空間15との間に、仕切り板6が設けられるものである。仕切り板6は、空間を上下に仕切るもので、所定の前後長さL1(図2(b)参照)を有し、その前端部が幕板5に固定される。第一の実施形態では、仕切り板6の前端部は、連結固定具7により幕板5に固定される。連結固定具7は、図5に示す従来例と同様のもので、L字状をした両側の片にそれぞれ固着具挿通孔が形成されており、従来例と同様に取り付けられる。そして、仕切り板6の後端部は、保持部材8によって保持されるものである。
【0038】
保持部材8は、図1に示すように、左右の両側板3の後部の間に設けられ、両側板3と連結されるもので、第一の実施形態では、同一断面の長尺部材からなる。保持部材8は、図1(b)に示すように、前方に開口する仕切り板後保持溝81を備えるものである。第一の実施形態では、所定の上下幅を有し、左右を長手方向とする板状をした本体片82と、本体片82から前方に突出する、左右を長手方向とし上下に間隔をあけて設けられる二条の突片83を備え、二条の突片83間が仕切り板後保持溝81となるものである。
【0039】
さらに第一の実施形態では、保持部材8は、下方に開口する背板保持溝84を備えるものである。保持部材8は、図1(b)に示すように、下側の突片83から下方に突出する垂下片85を備え、本体片82の下端部と垂下片85との間が背板保持溝84となるものである。またさらに第一の実施形態では、本体片82から後方に突出し下方に屈曲する、逆L字状をした嵌入片86が形成されており、嵌入片86と本体片82との間に下方に開口する嵌入部87を備えるものである。
【0040】
保持部材8と側板3との連結は、釘やビス等による固着、固定部材による固定(固定部材と、保持部材8および側板3とは、釘やビスにより固定)、接着剤による接着、ダボ・ダボ穴やその他の凹凸嵌合等、特に限定されない。第一の実施形態では、嵌入片86を備えているため、側板3の内側の面に、リベットやボルト頭部等の突起部が形成されている場合、嵌入部87に突起部が嵌入されることで、保持部材8の側板3への連結が容易に行われる。
【0041】
保持部材8は、側板3の所定の位置に固定され、幕板5と仕切り板6との間、背板4と背板受け12との間で所定の位置・寸法関係を満たすもので、以下に説明する。
【0042】
まず、保持部材8と幕板5と仕切り板6との間の位置・寸法関係について説明する。保持部材8は、図2(b)に示すように、仕切り板後保持溝81の奥面から幕板5の背面までの前後長さL2が、仕切り板6の前後長さL1よりも長くなるように側板3に固定される。さらに保持部材8は、仕切り板後保持溝81の前端縁から幕板5の背面までの前後長さL3が、仕切り板6の前後長さL1よりも短くなるように固定される。(すなわちL2>L1>L3を満たす)
仕切り板6の着脱について説明する。仕切り板6を取り付ける場合には、作業者は、まず、仕切り板6を幕板5の下方の前寄りに位置させ、仕切り板6の後端部を前方より後方に向けて仕切り板後保持溝81に挿入し、仕切り板6の前端部を、幕板5の背面よりも後方に位置させる。上述したように、仕切り板後保持溝81の奥面から幕板5の背面までの前後長さL2は、仕切り板6の前後長さL1よりも長いため、仕切り板6が仕切り板後保持溝81に深く挿入されることで、仕切り板6の前端部は幕板5の背面よりも後方に位置する。
【0043】
次に、作業者は、仕切り板6を前方に移動させて、仕切り板6の前端部を幕板5の背面に当接または近接させる。ここで、上述したように、仕切り板後保持溝81の前端縁から幕板5の背面までの前後長さL3は、仕切り板6の前後長さL1よりも短い。このため、仕切り板6の前端部が幕板5の背面に当接または近接している状態においては、仕切り板6の後端部は、仕切り板後保持溝81の前端縁よりも後方に位置することとなり、仕切り板後保持溝81により支持される。そして、作業者は、仕切り板6の前端部を連結固定具7により幕板5に固定し、仕切り板6の取り付けが完了する。
【0044】
仕切り板6を取り外す場合には、作業者は、まず、仕切り板6の前端部と幕板5とを連結している連結固定具7を取り外す。次に、作業者は、仕切り板6を下方に移動させ、次に、仕切り板6の前端部を幕板5よりも下側において前方に移動させていき、仕切り板6を仕切り板後保持溝81から抜くことで、仕切り板6の取り外しが完了する。
【0045】
上記のような構成とすることにより、仕切り板6は、所謂けんどん式に着脱することが可能となる。このため、厨房装置1を施工する時や、厨房機器の点検・修理等のメンテナンスを行う時に、作業者が従来のように仕切り板6の前後に固着具により取り付けられる連結固定具7を着脱する必要がなく、仕切り板6の着脱作業が容易となる。
【0046】
次に、保持部材8と背板4と背板受け12との間の位置・寸法関係について説明する。保持部材8は、図2(c)に示すように、背板保持溝84の奥面から背板支持溝の奥面までの上下長さH2が、背板4の上下長さH1よりも長くなるように側板3に固定される。さらに保持部材8は、背板保持溝84の下端縁から背板支持溝の奥面までの上下長さH3が、背板4の上下長さH1よりも短くなるように固定される。(すなわちH2>H1>H3を満たす)
背板4の着脱について説明する。背板4を取り付ける場合には、作業者は、まず、背板4を背板受け12の前方の下寄りに位置させ、背板4の上端部を下方より上方に向けて背板保持溝84に挿入し、背板4の下端部を、背板受け12よりも上方に位置させる。上述したように、背板保持溝84の奥面から背板受け12の背面までの上下長さH2は、背板4の前上長さL1よりも長いため、背板4が背板保持溝84に深く挿入されることで、背板4の下端部は背板受け12よりも上方に位置する。
【0047】
次に、作業者は、背板4を下方に移動させて、背板4の下端部を背板受け12の背板支持溝の奥面に載置させる。ここで、上述したように、背板保持溝84の下端縁から背板支持溝の奥面までの上下長さH3は、背板4の上下長さH1よりも短い。このため、背板4の下端部が背板支持溝の奥面に載置された状態においては、背板4の上端部は、背板保持溝84の下端縁よりも上方に位置することとなり、背板保持溝84により支持される。これにより、背板4の取り付けが完了する。
【0048】
背板4を取り外す場合には、作業者は、まず、背板4を上方に移動させて、背板4の下端部を背板支持溝から抜く。次に、作業者は、背板4の下端部を前斜め下方に向けて移動させていき、背板4を背板保持溝84から抜くことで、背板4の取り外しが完了する。
【0049】
上記のような構成とすることにより、背板4は、所謂けんどん式に着脱することが可能となる。このため、厨房装置1を施工する時や、厨房機器の点検・修理等のメンテナンスを行う時に、作業者が従来のように背板4の上下に固着具により取り付けられる連結固定具7を着脱する必要がなく、背板4の着脱作業が容易となる。
【0050】
次に、第二の実施形態について図4に基いて説明する。なお、第二の実施形態においては、同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0051】
第二の実施形態では、仕切り板6の前端部は、前保持部材50により固定される。前保持部材50は、図4(a)に示すように、背面から後方に突出する、左右を長手方向とし上下に間隔をあけて設けられる二条の突片51を備え、二条の突片51間に、仕切り板の前端部を保持する仕切り板前保持溝52が形成されるものである。仕切り板6の後端部は、上記第一の実施形態と同様に、保持部材8によって保持される。
【0052】
まず、保持部材8と前保持部材50と仕切り板6との間の位置・寸法関係について説明する。保持部材8は、図4(b)に示すように、仕切り板後保持溝81の奥面から前保持部材50の仕切り板前保持溝52の後端縁(すなわち突片51の後端縁)までの前後長さL4が、仕切り板6の前後長さL1よりも長くなるように側板3に固定される。さらに保持部材8は、仕切り板後保持溝81の前端縁から仕切り板前保持溝52の奥面までの前後長さL3が、仕切り板6の前後長さL1よりも短くなるように固定される。(すなわちL4>L1>L3を満たす)
仕切り板6の着脱について説明する。仕切り板6を取り付ける場合には、作業者は、まず、仕切り板6を幕板5の下方に位置させ、仕切り板6の後端部を前方より仕切り板後保持溝81に挿入し、仕切り板6の前端部を、仕切り板前保持溝52の後端縁よりも後方に位置させる。上述したように、仕切り板後保持溝81の奥面から仕切り板前保持溝52の後端縁までの前後長さL4は、仕切り板6の前後長さL1よりも長いため、仕切り板6が仕切り板後保持溝81に深く挿入されることで、仕切り板6の前端部は仕切り板前保持溝52の後端縁よりも後方に位置する。
【0053】
次に、作業者は、仕切り板6を前方に移動させて、仕切り板6の前端部を仕切り板前保持溝52に挿入して仕切り板前保持溝52の奥面に当接または近接させる。ここで、上述したように、仕切り板後保持溝81の前端縁から仕切り板前保持溝52の奥面までの前後長さL3は、仕切り板6の前後長さL1よりも短い。このため、仕切り板6の前端部が仕切り板前保持溝52の奥面に当接または近接している状態においては、仕切り板6の後端部は、仕切り板後保持溝81の前端縁よりも後方に位置することとなり、仕切り板後保持溝81により支持される。そして、作業者は、仕切り板6の前端部を幕板5に保持させ、仕切り板6の取り付けが完了する。
【0054】
仕切り板6を取り外す場合には、作業者は、まず、仕切り板6を後方に移動させて、仕切り板6の前端部を仕切り板前保持溝52から抜く。次に、作業者は、仕切り板6を下方に移動させ、次に、仕切り板6の前端部を幕板5よりも下側において前方に移動させていき、仕切り板6を仕切り板後保持溝81から抜くことで、仕切り板6の取り外しが完了する。
【0055】
上記のような構成とすることにより、仕切り板6は、所謂けんどん式に着脱することが可能となる。このため、厨房装置1を施工する時や、厨房機器の点検・修理等のメンテナンスを行う時に、仕切り板6の着脱作業が容易となる。
【0056】
なお、上記第一および第二の実施形態においては、保持部材8は、仕切り板後保持溝81と背板保持溝84の両方を備えているが、これらのうちいずれか一方のみを備えるものであってもよい。保持部材8が仕切り板後保持溝81のみを備える場合には、背板4の上端部は、保持部材8によらずに側板3に連結される。背板4の上端部と側板3との連結は、釘やビス等による固着、固定部材による固定、接着剤による接着、凹凸嵌合等、特に限定されない。保持部材8が背板保持溝84のみを備える場合には、仕切り板6の後端部は、保持部材8によらずに側板3に連結される。仕切り板6の後端部と側板3との連結は、釘やビス等による固着、固定部材による固定、接着剤による接着、凹凸嵌合等、特に限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1 厨房装置
10 シンク
11 後幅木
12 背板受け
13 機器収納空間
14 脚部挿入用開口
15 脚部収納空間
2 天板
21 シンク設置用の開口
22 加熱調理器設置用の開口
23 バックガード
3 側板
4 背板
5 幕板
6 仕切り板
7 連結固定具
8 保持部材
81 仕切り板後保持溝
82 本体片
83 突片
84 背板保持溝
85 垂下片
86 嵌入片
87 嵌入部
9 床面
H1 背板の上下長さ
L1 仕切板の前後長さ
図1
図2
図3
図4
図5