特許第6245503号(P6245503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245503
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ピアノハンドル式スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/00 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H01H21/00 320F
   H01H21/00 320D
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-142914(P2013-142914)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-18605(P2015-18605A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】奥野 裕寿
(72)【発明者】
【氏名】今井 克哉
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一哉
(72)【発明者】
【氏名】多田 英人
(72)【発明者】
【氏名】草川 隆司
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−249975(JP,A)
【文献】 特開平02−288030(JP,A)
【文献】 特開2001−135196(JP,A)
【文献】 特開平03−222218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00−21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押操作される押釦ハンドルが前面側に設けられた器体と、該器体の前面側を覆う形で前記器体の前方に配置され一端部が前記器体に枢着されるとともに後面が前記押釦ハンドルに当接するピアノハンドルと、前記器体に収納され前記押釦ハンドルが押操作される方向と反対方向に前記押釦ハンドルを付勢する復帰ばねと、前記器体に収納され前記押釦ハンドルの押操作毎に接点を開閉するスイッチ機構部と、前記復帰ばねの内側において揺動可能な反転ハンドルと、前記押釦ハンドルの押操作毎に前記反転ハンドルを交互に反対向きに揺動させる反転機構部とを備えたピアノハンドル式スイッチであって、
前記反転機構部は、前記押釦ハンドルと前記反転ハンドルとの間に配されて、前記押釦ハンドルが前記反転ハンドルの片側のみを押すことができるように前記押操作される方向と垂直方向に沿ってスライド移動するスライドカムと、該スライドカムの外側に設けられ、前記スライドカムのスライド移動する方向と反対方向に前記スライドカムを付勢する金属製のばね片とを備え
前記ばね片は、先端部がスライド移動する方向における前記スライドカムの側端部に外側から当接する板ばね状の一対の延出部と、前記一対の延出部の前記先端部とは反対側の部分を繋ぐ基部とを有することを特徴とするピアノハンドル式スイッチ。
【請求項2】
前記ばね片の前記基部は、平面視がC字状であり、
前記ばね片は、前記基部の一対の先端と反対の一対の基端部側から立ち上がるように設けられた一対の立設部を更に有し、
前記一対の延出部は、前記一対の立設部それぞれに設けられ互いに近づく向きに延出し、
前記一対の延出部は、前記スライドカムの前記側端部における前記基部から離れた部分に当接していることを特徴とする請求項1記載のピアノハンドル式スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピアノハンドルの押操作によって接点を反転させるピアノハンドル式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ピアノハンドルの押操作によって接点を反転させるピアノハンドル式スイッチが提供されている。
【0003】
この種のピアノハンドル式スイッチは、たとえば、図15に示す、押しボタン式スイッチ装置の構成を利用できることが知られている(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1の押しボタン式スイッチ装置は、器体301および蓋体302を備えている。押しボタン式スイッチ装置は、蓋体302に装着され、押込みおよび復元移動自在な操作体310を備えている。押しボタン式スイッチ装置は、操作体310に押しボタン314を取り付けている。押しボタン式スイッチ装置は、器体301の内部に、端子部材303、解除ボタン304、固定接点部材305、可動接点支持端子306、可動接点支持端子306に揺動自在に支持される可動接点部材307を組み込んでいる。固定接点部材305は、固定接点305aが設けられている。可動接点部材307は、可動接点307aが設けられている。可動接点部材307は、可動接点支持端子306の可動接点支持ばね部306aに揺動自在に支持されている。押しボタン式スイッチ装置は、可動接点部材307の揺動に伴い、可動接点307aが固定接点305aに接触または離間する。
【0005】
押しボタン式スイッチ装置は、転換子313と可動接点部材307とがリンク機構を形成し、転換子313の揺動に連動して可動接点部材307も揺動する。押しボタン式スイッチ装置は、器体301の内底部にコイルばね315を配置してあり、コイルばね315によって可動接点部材307および転換子313を蓋体302側に付勢している。押しボタン式スイッチ装置は、コイルばね315の付勢力により、転換子313と可動接点部材307で形成するリンク機構がトグル機構を構成している。
【0006】
特許文献1の押しボタン式スイッチ装置は、操作体310、スライド駆動体311、付勢部材312および転換子313で構成され、可動接点部材307を揺動させる接点開閉機構を有している。押しボタン式スイッチ装置では、付勢部材312は、基板312aと一体に操作体付勢ばね部312bおよびスライド駆動体付勢ばね部312cを形成した構成としている。付勢部材312は、操作体付勢ばね部312bにより、操作体310を復元移動方向に付勢する。スライド駆動体付勢ばね部312cは、スライド駆動体311の両側端面に係合し、スライド駆動体311を両側からほぼ均等に付勢している。押しボタン式スイッチ装置は、スライド駆動体付勢ばね部312cの付勢力により、スライド駆動体311を中立位置に戻すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−162292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、押しボタン式スイッチ装置では、押しボタン314の押圧操作によるスライド駆動体311の移動に伴って、操作音が生じる場合がある。ピアノハンドル式スイッチでは、より静音性に優れたものが求められており、上述の押しボタン式スイッチ装置の構成を利用したものだけでは十分ではなく、更なる改良が求められている。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、より静音性に優れたピアノハンドル式スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のピアノハンドル式スイッチは、押操作される押釦ハンドルが前面側に設けられた器体と、当該器体の前面側を覆う形で上記器体の前方に配置され一端部が上記器体に枢着されるとともに後面が上記押釦ハンドルに当接するピアノハンドルと、上記器体に収納され上記押釦ハンドルが押操作される方向と反対方向に上記押釦ハンドルを付勢する復帰ばねと、上記器体に収納され上記押釦ハンドルの押操作毎に接点を開閉するスイッチ機構部と、上記復帰ばねの内側において揺動可能な反転ハンドルと、上記押釦ハンドルの押操作毎に上記反転ハンドルを交互に反対向きに揺動させる反転機構部とを備えたピアノハンドル式スイッチであって、上記反転機構部は、上記押釦ハンドルと上記反転ハンドルとの間に配されて、上記押釦ハンドルが上記反転ハンドルの片側のみを押すことができるように上記押操作される方向と垂直方向に沿ってスライド移動するスライドカムと、当該スライドカムの外側に設けられ、上記スライドカムのスライド移動する方向と反対方向に上記スライドカムを付勢する金属製のばね片とを備え、上記ばね片は、先端部がスライド移動する方向における上記スライドカムの側端部に外側から当接する板ばね状の一対の延出部と、上記一対の延出部の上記先端部とは反対側の部分を繋ぐ基部とを有することを特徴とする。
ピアノハンドル式スイッチでは、上記ばね片の上記基部は、平面視がC字状であり、上記ばね片は、上記基部の一対の先端と反対の一対の基端部側から立ち上がるように設けられた一対の立設部を更に有し、上記一対の延出部は、上記一対の立設部それぞれに設けられ互いに近づく向きに延出し、上記一対の延出部は、上記スライドカムの上記側端部における上記基部から離れた部分に当接していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のピアノハンドル式スイッチは、より静音性に優れた構成とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す断面図である。
図3図3は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチの要部を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチの要部を示す底面図である。
図5図5は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチの別の要部を示す底面図である。
図6図6は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す斜視図である。
図7図7は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す平面図である。
図8図8は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す正面図である。
図9図9は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す底面図である。
図10図10は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを示す右側面図である。
図11図11は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチを用いる使用形態での分解斜視図である。
図12図12は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチの要部を示し、(a)はピアノハンドル取付前の断面説明図、(b)はピアノハンドル取付後の断面説明図である。
図13図13は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチの動作を説明する動作説明図である。
図14図14は、本実施形態のピアノハンドル式スイッチの動作を説明する別の動作説明図である。
図15】従来の押しボタン式スイッチ装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10について、図1ないし図11に基づいて説明する。なお、図中において、同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、図1および図2に示すように、押操作される押釦ハンドル32が前面側に設けられた器体5を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、器体5の前面側を覆う形で器体5の前方に配置され一端部が器体5に枢着されるとともに後面が押釦ハンドル32に当接するピアノハンドル43を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、器体5に収納され押釦ハンドル32が押操作される方向と反対方向に押釦ハンドル32を付勢する復帰ばね37を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、器体5に収納され押釦ハンドル32の押操作毎に接点100を開閉するスイッチ機構部40を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、復帰ばね37の内側において揺動可能な反転ハンドル31を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、押釦ハンドル32の押操作毎に反転ハンドル31を交互に反対向きに揺動させる反転機構部41を備えている。
【0015】
反転機構部41は、押釦ハンドル32と反転ハンドル31との間に配されて、押釦ハンドル32が反転ハンドル31の片側のみを押すことが可能となるように押操作される方向と垂直方向に沿ってスライド移動するスライドカム33を備えている。反転機構部41は、スライドカム33の外側に設けられ、スライドカム33のスライド移動する方向と反対方向にスライドカム33を付勢する金属製のばね片33aを備えている。
【0016】
これにより、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、より静音性に優れた構成とすることが可能になるという効果がある。
【0017】
以下、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10のより具体的な構成について説明する。
【0018】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、図11に示すように、建築物の壁面などの施工面(図示していない)に設置された取付枠2に取り付けて用いることが可能なものである。
【0019】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、押釦ハンドル32を備え押操作毎に接点100を反転させるスイッチ本体1を備えている。なお、押釦ハンドル32は、押釦ハンドル32の表面側に設けた凹凸で、スイッチ本体1の設置方向を示唆する図形や文字を好適に表示している。ピアノハンドル式スイッチ10は、スイッチ本体1の前面(図1の紙面の上側)に対向する形で配設され一端部がスイッチ本体1に枢着されるとともに押釦ハンドル32を押し込み可能なピアノハンドル43を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、スイッチ本体1が直方体状の器体5を備えている。器体5は、取付枠2に保持される。取付枠2は、矩形枠状であり器具取付用の窓孔2aを有している。取付枠2は、取付枠2の前面側に、取付枠2の窓孔2aよりも長寸かつ広幅の開口窓120aを備えるプレート枠120と、開口窓130aを備える化粧プレート130とを重ね合わせて配置可能に構成している。取付枠2は、取付枠2の長手方向において、一対の器具取付孔2b,2bを3組備えている。
【0020】
ピアノハンドル式スイッチ10は、器体5の寸法を埋込型配線器具の1個のモジュールの3個分に相当する1連のモジュールの大きさとしている。器体5は、カバー体5aと、ボディ体5bとを備えている。ボディ体5bは、前面が開口した有底角筒状の外形形状に形成している。ボディ体5bは、合成樹脂成形品により形成することができる。カバー体5aは、ボディ体5bの前面側に結合する後面が開口した有底角筒状の外形形状に形成している。カバー体5aは、合成樹脂成形品により形成することができる。カバー体5aは、カバー体5aの短手方向の両側壁の縁から後方に組立片3を延設している。ボディ体5bは、ボディ体5bの短手方向の両側面に、カバー体5aの組立孔4と結合可能な組立突起6を備えている。組立突起6は、ボディ体5bからの突出寸法がカバー体5a側ほど小さい傾斜面6aを備えている。組立突起6は、カバー体5aをボディ体5bに被せることで、組立片3が組立突起6に結合できるように構成してある。器体5は、カバー体5aの組立片3に設けた組立孔4とボディ体5bの組立突起6とを係合することにより、ボディ体5bとカバー体5aとを結合することができる。
【0021】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、器体5の短手方向の寸法を、取付枠2の窓孔2aの長手方向の寸法の略3分の1の寸法としている。また、器体5は、器体5の長手方向の寸法を、取付枠2の窓孔2aの短手方向の寸法に略等しくしている。器体5は、カバー体5aの長手方向の一方の側面に、取付枠2の窓孔2aを囲む部位に設けた一対の器具取付孔2b,2bに係合可能な一対の取付爪11a,11aを突設している(図2図7および図10を参照)。同様に、器体5は、カバー体5aの長手方向の他方の側面に、取付枠2の窓孔2aを囲む部位に設けた一対の器具取付孔2b,2bに係合可能な一対の取付爪11b,11bを突設している(図1図2図7を参照)。ピアノハンドル式スイッチ10は、取付枠2の器具取付孔2bに器体5の取付爪11a,11bを係合することで、スイッチ本体1を取付枠2に取り付けることが可能としている。カバー体5aは、カバー体5aの長手方向の一方の側壁に、一対の切り込み溝11c,11cを備えている(図10を参照)。カバー体5aは、一対の切り込み溝11c,11cの間に、側壁の厚み方向に可撓性を有する撓み片11dを備えている。カバー体5aは、撓み片11dをカバー体5aの内側に撓ませることによって、取付爪11aをカバー体5aの内側に弾性的に変形させることが可能としている。
【0022】
ピアノハンドル式スイッチ10は、取付枠2にスイッチ本体1を取り付ける場合、まず、取付枠2の器具取付孔2bにカバー体5aの取付爪11bを挿入する。次に、ピアノハンドル式スイッチ10は、取付爪11bと反対側の取付爪11aを変形させ、取付枠2の窓孔2aに器体5を挿入すれば、取付枠2にスイッチ本体1を取り付けることができる。また、ピアノハンドル式スイッチ10は、撓み片11dをカバー体5aの内側に押し込むようにすれば、取付爪11aが器具取付孔2bから抜ける。ピアノハンドル式スイッチ10は、器具取付孔2bから取付爪11aが抜けた状態で、取付爪11bを器具取付孔2bから抜かせば、取付枠2からスイッチ本体1を取り外すことができる。スイッチ本体1は、撓み片11dの押し込みを容易にする押突起11eを撓み片11dに突設している。
【0023】
ボディ体5bは、ボディ体5bの長手方向において、ボディ体5bの内部空間を3室に区画している(図1および図2を参照)。ボディ体5bは、ボディ体5bの長手方向における両側の区画が端子収納室13,14を構成している。端子収納室13は、第1の端子板15と、2個の鎖錠ばね16,16と、解除釦17とを有する端子部を収納する。端子収納室14は、第2の端子板18と、第3の端子板22と、2個の鎖錠ばね19,19と、解除釦21とを有する端子部を収納する。ボディ体5bは、ボディ体5bの長手方向における中央部がスイッチ機構部40を収納する中央収納室23を構成している。ボディ体5bは、底面側において、ボディ体5bの端子収納室13に、一対の電線挿入口13a,13aを貫設している(図2および図9を参照)。ボディ体5bは、一対の電線挿入口13a,13aの近傍に解除孔13bを貫設している。同様に、ボディ体5bは、底面側において、ボディ体5bの端子収納室14に、一対の電線挿入口14a,14aを貫設している。ボディ体5bは、一対の電線挿入口14a,14aの近傍に、解除孔14bを貫設している。
【0024】
鎖錠ばね16は、中央片16cと、中央片16cの一方の端部に設けた鎖錠片16aと、中央片16cの他方の端部に設けた接触片16bとを有している。鎖錠片16aは、J字状に曲成しており、中央片16cとの連結部位から先端に向かって中央片16cとの距離が広げるように傾斜している。接触片16bは、S字状に曲成しており、中央片16cの厚み方向に弾性を有している。同様に、鎖錠ばね19は、中央片19cと、中央片19cの一方の端部に設けた鎖錠片19aと、中央片19cの他方の端部に設けた接触片19bとを有している。鎖錠片19aは、J字状に曲成しており、中央片19cとの連結部位から先端に向かって中央片19cとの距離を広げるように傾斜している。接触片19bは、S字状に曲成しており、中央片19cの厚み方向に弾性を有している。鎖錠ばね16,19は、弾性を有する導電性の金属材の折り曲げ加工により形成することができる。鎖錠ばね16,19は、鎖錠ばね16,19の材料として、たとえば、銅や銅合金などの金属材料により構成することができる。
【0025】
第1の端子板15は、連結片15aと、連結片15aに連結した圧接片15bと、連結片15aと連結し圧接片15bに対向する当接片15cとを備えている。鎖錠ばね16は、鎖錠ばね16の中央片16cが平板状であり、第1の端子板15の当接片15cに当接し、鎖錠片16aおよび接触片16bを圧接片15bに対向して配置する。スイッチ本体1は、電線挿入口13aに導入される電線が、鎖錠ばね16の鎖錠片16aおよび接触片16bと、第1の端子板15の圧接片15bとの間で挿入可能なように、第1の端子板15および鎖錠ばね16と、電線挿入口13aとの位置関係を設定している。
【0026】
したがって、スイッチ本体1は、器体5の電線挿入口13bに電線が挿入されると、鎖錠片16aおよび接触片16bと、第1の端子板15の圧接片15bとの間で電線を圧接して挟持する。スイッチ本体1は、鎖錠片16aの先端が電線の芯線に食い込んで抜止を行う。スイッチ本体1は、鎖錠片16aおよび接触片16bによって、電線の芯線と第1の端子板15との電気的接続を行う。スイッチ本体1は、鎖錠ばね16のばね力を利用して端子ねじを用いることなく電線を接続することができる。すなわち、鎖錠ばね16と第1の端子板15とは、絶縁被覆が剥がされた電線の芯線が挿入されることで、電線との電気的接続および機械的接続が行われる速結端子を構成している。
【0027】
第2の端子板18は、連結片18aと、連結片18aに連結した圧接片18bと、連結片18aと連結し圧接片18bに対向する当接片18cとを備えている。第2の端子板18は、弾性を有する導電性の金属材の折り曲げ加工により形成することができる。第2の端子板18は、第2の端子板18の材料として、たとえば、銅や銅合金などの金属材料により構成することができる。
【0028】
鎖錠ばね19は、鎖錠ばね19の中央片19cが平板状であり、第2の端子板18の当接片18cに当接し、鎖錠片19aおよび接触片19bを圧接片18bに対向して配置する。スイッチ本体1は、一方の電線挿入口14aに導入される電線が、鎖錠ばね19の鎖錠片19aおよび接触片19bと、第2の端子板18の圧接片18bとの間に挿入可能なように、第2の端子板18および鎖錠ばね19と、一方の電線挿入口14aとの位置関係を設定している。
【0029】
スイッチ本体1は、器体5の一方の電線挿入口14aに電線が挿入されると、鎖錠片19aおよび接触片19bと、第2の端子板18の圧接片18bとの間で電線を圧接して挟持する。スイッチ本体1は、鎖錠片19aおよび接触片19bによって、電線の芯線と第2の端子板18との電気的接続と機械的接続を行う速結端子を構成している。
【0030】
第3の端子板22は、連結片22aと、連結片22aにより連結された圧接片22bと、連結片22aにより連結され圧接片22bと対向する当接片22cとを備えている。第3の端子板22は、弾性を有する導電性の金属材の折り曲げ加工により形成することができる。第3の端子板22は、第3の端子板22の材料として、たとえば、銅や銅合金などの金属材料により構成することができる。
【0031】
鎖錠ばね26は、鎖錠ばね26の中央片26cが平板状であり、第3の端子板22の当接片22cに当接し、鎖錠片26aおよび接触片26bを圧接片22bに対向して配置する。スイッチ本体1は、他方の電線挿入口14aに導入される電線が、鎖錠ばね26の鎖錠片26aおよび接触片26bと、第3の端子板22の圧接片22bとの間に挿入可能なように、第3の端子板22および鎖錠ばね26と、他方の電線挿入口14aとの位置関係を設定している。
【0032】
スイッチ本体1は、器体5の他方の電線挿入口14aに電線が挿入されると、鎖錠片26aおよび接触片26bと、第3の端子板22の圧接片22bとの間で電線を圧接して挟持する。スイッチ本体1は、鎖錠片26aおよび接触片26bによって、電線の芯線と第3の端子板22との電気的接続と機械的接続を行う速結端子を構成している。
【0033】
解除釦17は、解除孔13bに解除釦17の後部を臨ませる形でボディ体5bの端子収納室13に収納する。解除釦17は、解除釦17の一部を、鎖錠ばね16の鎖錠片16aに接触可能としている。スイッチ本体1は、解除孔13bを通して、解除釦17を押操作した場合、第1の端子板15の圧接片15bから鎖錠片16aを引き離し、電線を引き抜くことが可能に構成している。解除釦17は、第1の端子板15に対応する各一対の鎖錠ばね16にそれぞれ跨るように配置している。解除釦17は、第1の端子板15に対応する2個ずつの鎖錠ばね16,16の各鎖錠片16aを同時に押すことができるように構成している。
【0034】
同様に、解除釦21は、解除孔14bに解除釦21の後部を臨ませる形でボディ体5bの端子収納室14に収納する。解除釦21は、解除釦21の一部を、鎖錠ばね19の鎖錠片19aと鎖錠ばね26の鎖錠片26aに各別に接触可能としている。解除釦21は、解除孔14bを通して、解除釦21を押操作した場合、第2の端子板18の圧接片18bから鎖錠片19aを引き離し、電線を一方の電線挿入口14aから引き抜くことが可能に構成している。また、解除釦21は、解除孔14bを通して、解除釦21を押操作した場合、第3の端子板22の圧接片22bから鎖錠片26aを引き離し、電線を他方の電線挿入口14aから引き抜くことが可能に構成している。解除釦21は、第2の端子板18および第3の端子板22に対応する各鎖錠ばね19,26にそれぞれ跨るように配置している。解除釦21は、第2の端子板18に対応する鎖錠ばね19の鎖錠片19aと、第3の端子板22に対応する鎖錠ばね26の鎖錠片26aとを同時に押すことができるように構成している。解除釦17や解除釦21は、解除釦17や解除釦21の材料として、たとえば、ユリア樹脂のような熱硬化性樹脂を用いて形成することができる。また、解除釦17や解除釦21は、マイナスドライバのような工具の先端部で押操作することができる。
【0035】
スイッチ本体1は、第2の端子板18の連結片18aを端子収納室14に収納し、第2の端子板18と一体的に形成している接点保持片18dを中央収納室23に挿入する。第2の端子板18は、中央収納室23内において、接点保持片18dの先端部に固定接点25(以下、第1固定接点25aともいう)を設けている。また、スイッチ本体1は、第3の端子板22の連結片22aを端子収納室14に収納し、第3の端子板22と一体的に形成している接点保持片22dを中央収納室23に挿入する。第3の端子板22は、中央収納室23内において、接点保持片22dの先端部に固定接点25(以下、第2固定接点25bともいう)を設けている。
【0036】
第1の端子板15は、連絡片15dの先端部に中央収納室23の後壁内周面に沿って配置する支持片15eを備えている。第1の端子板15は、当接片15cよりも圧接片15b側に位置するように連絡片15dを形成している。第1の端子板15は、連絡片15dを当接片15cよりも圧接片15b側にすることで、連絡片15dと、中央収納室23内に配置される接点保持片18dとの絶縁距離を比較的大きくしている。第1の端子板15では、開閉子24の後端縁24bが支持片15eに当接する。開閉子24は、開閉子24の両側縁に突部28を突設している。開閉子24は、中央収納室23内で設けた前端側が広いV字状の位置規制凹部27に突部28を挿入している(図2を参照)。開閉子24は、支持片15eに後端縁24bが接触した状態で後縁を支点として位置規制凹部27の範囲内で回動可能としている。開閉子24は、接点保持片18dに対向するように配置し、接点保持片18dに設けた第1固定接点25aとの対向部位に第1固定接点25aとともに接点100を構成する可動接点29(以下、第1可動接点29aともいう)を設けてある。ピアノハンドル式スイッチ10では、開閉子24が回動することにより、第1可動接点29aが第1固定接点25aに接離し、第1の端子板15と第2の端子板18との間を電気的に閉成する状態と開放する状態とを選択することができる。また、ピアノハンドル式スイッチ10では、開閉子24は、接点保持片22dに対向するように配置し、接点保持片22dに設けた第2固定接点25bとの対向部位に第2固定接点25bとともに接点100を構成する可動接点29(以下、第2可動接点29bともいう)を設けてある。ピアノハンドル式スイッチ10では、開閉子24が回動することにより、第2可動接点29bが第2固定接点25bに接離し、第1の端子板15と第3の端子板22との間を電気的に閉成する状態と開放する状態とを選択することができる。
【0037】
ところで、ピアノハンドル式スイッチ10では、接点100は、開閉子24の回動に用いられる反転ばね30、反転ハンドル31とともにスイッチ機構部40を構成している。反転ばね30は、圧縮コイルばねを構成している。反転ばね30は、反転ばね30の後端部に開閉子24の前縁に突設するばね座片24aを挿入する。反転ばね30は、反転ばね30の前端部が、反転ハンドル31に設けた後面開口した筒部31a内に収められる。反転ハンドル31は、カバー体5aの前面に設けた凹部51の底壁に貫設する貫通孔52を通して、反転ハンドル31の前端部がカバー体5aの前面側に露出する。
【0038】
また、反転ハンドル31は、反転ハンドル31の中間部の両側面に、反転ハンドル31の前端部側が先細りとなる三角柱形状の支点突起31bを突設している。反転ハンドル31は、カバー体5aの貫通孔52の両側縁に形成され後方に開放された軸受部50に支点突起31bが枢支され、カバー体5aに対して揺動自在に取り付けられる。ピアノハンドル式スイッチ10は、カバー体5aの貫通孔52に後方から反転ハンドル31の前端部を挿入し、カバー体5aの軸受部50に支点突起31bを挿入することで、カバー体5aに対し、反転ハンドル31を揺動自在とすることができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、反転ばね30を介して、反転ハンドル31と開閉子24とが連結されている。ピアノハンドル式スイッチ10では、反転ハンドル31の揺動により、揺動範囲の中間で反転ばね30がもっとも圧縮される。ピアノハンドル式スイッチ10は、反転ばね30がもっとも圧縮される位置の前後において、反転ばね30から開閉子24に作用するばね力の向きが反転し、反転ばね30のばね力により開閉子24が移動する。
【0039】
反転ハンドル31は、貫通孔52を通してカバー体5aの前面側に露出する反転ハンドル31の両側部に、スライドカム33に掛合する一対の掛合突起34,34を突設している。ピアノハンドル式スイッチ10は、カバー体5aに設けた押釦ハンドル32の押操作時に、反転ハンドル31の位置に対応し、押釦ハンドル32の裏面に沿ってスライドカム33がスライドするように構成している。
【0040】
押釦ハンドル32は、長手方向の両外側面の後端部に突出するガイド突起36を備えている。ピアノハンドル式スイッチ10は、カバー体5aの凹部51の両側内周面の後部に前後方向(図1の上下方向)に沿って形成された案内溝35に、押釦ハンドル32のガイド突起36を挿入することによって、前後方向に移動自在かつ前方への抜止を行っている。押釦ハンドル32は、押釦ハンドル32の後面に突起32dを突設している。押釦ハンドル32は、板ばねからなる復帰ばね37の平片37bに穿孔した孔37dに突起32dを挿入することで、復帰ばね37を押釦ハンドル32の後面に取り付けている。ピアノハンドル式スイッチ10は、復帰ばね37の復帰ばね片37aの先端が、凹部51の底面に弾接することにより、押釦ハンドル32が前方に向かって付勢される。
【0041】
スライドカム33は、たとえば、ポリアセタールのような弾性に富む熱可塑性樹脂によりO字状に成形することができる。スライドカム33は、反転ハンドル31の掛合突起34に対応する掛合カム体38を、スライドカム33の側辺部に突設している。また、スライドカム33は、スライドカム33の外側に設けられ、スライドカム33のスライド移動する方向と反対方向にスライドカム33を付勢する金属製のばね片33aと、スライドカム33の外側で当接している。ばね片33aは、平面視がC字状の基部33a1と、基部33a1の先端と反対の各基端部側から立設する立設部33a2と、各立設部33a2それぞれに設けられ互いに近づく向きに延出する一対の延出部33a3,33a3とを備えている(図3および図4を参照)。ばね片33aは、ばね片33aの基部33a1から離れたスライドカム33の側端部に、一対の延出部33a3,33a3が当接している。ばね片33aは、各延出部33a3の先端部を半円菅状としている。ばね片33aは、各延出部33a3の先端部を半円菅状としていることにより、スライドカム33がスライド移動しても、各延出部33a3の先端部がスライドカム33の側端部を保持可能に構成している。ばね片33aは、押釦ハンドル32から突出するボス32bを基部33a1に設けた貫通孔33baに挿通し、ボス32bの一部を溶融することで、押釦ハンドル32に固定している。なお、ばね片33aは、押釦ハンドル32から突出するボス32cを挿通可能な貫通孔33bbを基部33a1に設けている。ばね片33aは、金属材の折り曲げ加工によって形成している。ピアノハンドル式スイッチ10は、押釦ハンドル32と、復帰ばね37とで、スライドカム33およびばね片33aを挟持している(図5を参照)。復帰ばね37は、復帰ばね37の貫通孔37bbを挿通する押釦ハンドル32のボス32cの一部を溶融することで、金属製のばね片33aを介して、押釦ハンドル32に固定している。
【0042】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、スライドカム33とばね片33aとを別体に構成している。ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33とばね片33aとを別体に構成しているため、ばね片33aをスライドカム33と比較して低剛性とし、ばね片33aの変形ひずみを小さく抑えた設計とすることが可能となる。ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33とばね片33aとを別体に構成しているため、スライドカム33と別体にばね片33aの変形ひずみを小さく抑える設計とすることができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33と別体にばね片33aの変形ひずみを小さく抑える設計とすることで、ばね片33aとスライドカム33とを一体的に構成するものと比較して、ばね片33aの寿命を延ばすことが可能となる。また、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33と別体にばね片33aの変形ひずみを小さく抑える設計とすることで、ばね片33aの変形で発生する音を低減することが可能となる。さらに、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33と別体にばね片33aの変形ひずみを小さく抑える設計とすることで、ばね片33aの速度に応じて発生する音を抑制することが可能となる。
【0043】
すなわち、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、金属製のばね片33aがスライドカム33の外側にスライドカム33と別体に設けているため、ばね片33aを低応力に構成することができる。本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、ばね片33aがスライドカム33の外側にスライドカム33と別体に設けているため、ピアノハンドル43を低押圧で可動させる設計とすることができる。また、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、ばね片33aがスライドカム33の外側にスライドカム33と別体に設けているため、低ゆがみと、低速化で、異音の発生を低減することができ、長寿命を図ることが可能となる。
【0044】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、ばね片33aがスライドカム33の外側にスライドカム33と別体に設け、ばね片33aを金属材の曲げ加工により形成している。ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33の内側にばね片33aをスライドカム33と一体的に構成する構成と比較して、スライドカム33の構造を簡単にすることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、ばね片33aと復帰ばね37を別体に構成しているため、ばね片33aは、押釦ハンドル32への復帰ばね37の付勢に伴う復帰ばね37の変形に影響されずに、スライドカム33を付勢することができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、ばね片33aと復帰ばね37を別体に構成しているため、ばね片33aは、ばね片33aと復帰ばね37とを一体に構成したものと比較して、復帰ばね37の形状の変形に影響されず、ばね片33aの長さの制限が緩和される。ピアノハンドル式スイッチ10は、ばね片33aと復帰ばね37を別体に構成しているため、ばね片33aと復帰ばね37とを一体に構成したものと比較して、ばね片33aの低ゆがみ化を図ることが容易となる。
【0046】
なお、ピアノハンドル式スイッチ10は、押釦ハンドル32と、ばね片33aとを別体に構成するものだけに限られない。ピアノハンドル式スイッチ10は、図示していないが、押釦ハンドル32と、ばね片33aとを一体的に構成するものでもよい。ピアノハンドル式スイッチ10は、押釦ハンドル32と、ばね片33aとを一体的に構成することで、ピアノハンドル式スイッチ10を構成する部品点数の削減を行うことが可能となる。
【0047】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33の外側にばね片33aを設けているため、スライドカム33の内側にばね片を備える構成のものと比較して、ばね片33aの延出部33a3のばね長さの制限が緩和される。ばね片33aは、スライドカム33のストロークに伴う最大応力を抑制することにより、スライドカム33の長寿命化を図り、異音の発生を抑制することが可能となる。また、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、ばね片33aがスライドカム33の外側にスライドカム33と別体に設けているため、スライドカム33の内側にばね片を設けたものと比較して、スライドカム33を小さくすることが可能となる。そのため、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33全体を小さくして、ピアノハンドル43の操作ストロークを小さくすることが可能となる。また、ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33全体を小さくすると、スライドカム33が軽くなり、スライドカム33の摺動動作がスムーズになる傾向にある。また、ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33全体の小型化に伴い、スライドカム33の材料費を低減し、低コスト化を図ることが可能となる。さらに、ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33全体の小型化に伴い、反転ハンドル31を小さくして、ピアノハンドル43の操作ストロークを小さくすることができる。
【0048】
カバー体5aは、ピアノハンドル43を枢着するために、斜め前方に突出する一対の軸部192,192をカバー体5aの表面側に一体的に設けている。軸部192は、カバー体5aの短手方向に沿った円柱状に形成している。ピアノハンドル43は、図12に示すように、ピアノハンドル43の後面の一端部に、金属製の板ばねにより形成させた軸受用ばね191bを、はめ込み用穴191aに装着する軸受部191を設けている。ピアノハンドル43は、はめ込み用穴191aの内周面の片側に係止穴190を備えている。ピアノハンドル43は、はめ込み用穴191aに収納する軸受用ばね191bの抜け止め爪191cを係止穴190で係止して、軸受用ばね体191bを保持している。軸受用ばね体191bは、先端をはめ込み用穴191a内へ突出させるように曲げ形成しており、突出部191dとはめ込み用穴191aとで軸部192を保持可能としている。
【0049】
ピアノハンドル43は、はめ込み用穴191aの開口付近に軸受用ばね191bの突出部191dを設けて、はめ込み用穴191aの内部よりも開口幅を狭くしている。
【0050】
ピアノハンドル式スイッチ10は、軸受用ばね191bのばね力に抗して、ピアノハンドル43のはめ込み用穴191aに、カバー体5aの軸部192を弾性的にはめ込む構成としている。ピアノハンドル式スイッチ10は、軸部192と軸受部191とが枢着され、カバー体5aからピアノハンドル43が外れ難いように構成している。ピアノハンドル式スイッチ10は、軸部192を軸受部191に対し回動自在に嵌め込むことで、ピアノハンドル43を回動自在に枢着可能としている。なお、ピアノハンドル式スイッチ10は、ピアノハンドル43の他端部において、後方に向かって突出する抜け止め用の抜止片43aをピアノハンドル43に設けている(図11を参照)。ピアノハンドル43は、カバー体5aの前壁に形成した挿入孔54を通して空所12内に抜止片43aを挿入し、抜止片43aの先端部に設けた係止爪43bを挿入孔54の周縁に係止することによって、ピアノハンドル43の回動範囲を規制している。なお、カバー体5aは、図7に示すように、3個並んで挿入孔54を設けている。また、第1の端子板15は、押さえ片15bから前方に挿入孔54に近接して案内片15fを延設しており、第1の端子板15に接続される電線が挿入孔54側に突出して抜止片43aに干渉することを抑制している。
【0051】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、ピアノハンドル43がスイッチ本体1に取り付けられており、ピアノハンドル43の他端部を押操作すると、軸受部191と軸部192の枢着部を軸としてピアノハンドル43が回動する。ピアノハンドル43は、ピアノハンドル43の後面に一対の操作用リブを好適に突設しており、ピアノハンドル43が押操作されると、操作用リブによってスイッチ本体1に設けた押釦ハンドル32が器体5側に押し込まれる。
【0052】
以下、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10の動作を、図13および図14を用いて簡単に説明する。本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、3路スイッチを構成しているが、図13および図14において、第2可動接点29bと第2固定接点25bとの接離に基づいて説明する。
【0053】
ピアノハンドル式スイッチ10では、図13に示すように、可動接点29が固定接点25と接触している状態において、第1の端子板15と第3の端子板26との間の接点100が閉成された状態を示している。ピアノハンドル式スイッチ10は、反転ハンドル31が図13の紙面の右側に倒れている。ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33が、ばね片33aにより移動範囲の中央位置に位置している。ピアノハンドル式スイッチ10は、ピアノハンドル43に押力を作用させると、押釦ハンドル32が復帰ばね37に抗して器体5に押し込まれる。ピアノハンドル式スイッチ10では、押釦ハンドル32とともにスライドカム33が図13の紙面の下向きに移動する。ピアノハンドル式スイッチ10は、図13の紙面の左側のスライドカム33の掛合カム体38が、図13の紙面の左側の反転ハンドル31の掛合突起34と当接して反転ハンドル31の左端部を図13の紙面の下向きに押す。ピアノハンドル式スイッチ10では、スライドカム33の掛合カム体38が反転ハンドル31の左端部を押すことにより、反転ハンドル31が支点突起31bの前端を中心として左回りに回転する。
【0054】
ピアノハンドル式スイッチ10は、左側の掛合カム体38が左側の掛合突起34よりも左側に位置し、反転ハンドル31の回転に伴って、図14中の左側にスライドカム33がスライドする。ピアノハンドル式スイッチ10は、図14に示すように、反転ハンドル31が反時計回りに回動し、反転ばね30が反転して開閉子24も反転する。ピアノハンドル式スイッチ10は、開閉子24の反転により、可動接点29と固定接点25とが離れた状態となり、第1の端子板15と第3の端子板26との間の接点100が開放状態となる。
【0055】
ピアノハンドル式スイッチ10は、ピアノハンドル43に作用させた押力を解除すると、復帰ばね37のばね力により押釦ハンドル32が押し戻される。ピアノハンドル式スイッチ10は、押釦ハンドル32に当接しているピアノハンドル43も元の位置に復帰する。ピアノハンドル式スイッチ10は、ばね片33aのばね力により、スライドカム33がスライドして中央位置に復帰する。
【0056】
ピアノハンドル式スイッチ10は、図示していないが、接点100が開放状態において、ピアノハンドル43に押力を作用させると、反転ハンドル31を回転させることができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、接点100が開放状態の場合、反転ハンドル31の右側の掛合突起34がスライドカム33の右側の掛合カム体38に当接し、反転ハンドル31が時計回りに回転する。ピアノハンドル式スイッチ10は、反転ハンドル31の回動に伴って、反転ばね30を介して、可動接点29を固定接点25に接触させることができる。すなわち、本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10は、ピアノハンドル43の押操作毎に接点100を開閉することができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、スライドカム33とばね片33aと反転ハンドル31の掛合突起34と復帰ばね37とによって、押釦ハンドル32の押操作毎に反転ハンドル31を交互に反対向きに揺動させる反転機構部41を構成している。
【0057】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、図2に示すように、押釦ハンドル32の内側面におけるガイド突起36の両隣の部位に角柱状の規制リブ39を突設している。ピアノハンドル式スイッチ10では、押釦ハンドル32の押操作に伴って、復帰ばね37の復帰ばね片37aが撓んで外側に開く。ピアノハンドル式スイッチ10は、復帰ばね片37aが撓んで外側に開いた場合、各復帰ばね片37aの先端が規制リブ39に当たる。ピアノハンドル式スイッチ10は、各復帰ばね片37aの先端が規制リブ39に当たると、押釦ハンドル32の押操作方向と垂直な方向への復帰ばね37の変位が抑制されるように構成している。
【0058】
ところで、ピアノハンドル式スイッチ10は、図11に示すように、プレート枠120の開口窓120aおよび化粧プレート130の開口窓130aを1個で覆う寸法のピアノハンドル43を設けている。ピアノハンドル43は、ピアノハンドル43の大きさを1個で、プレート枠120の開口窓120aおよび化粧プレート130の開口窓130aを覆うものだけに限られず、ピアノハンドル式スイッチ10の器体5に合わせて適宜の大きさとすることができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、ピアノハンドル43を押釦ハンドル32よりも操作面の面積を大きくすれば、押釦ハンドル32を押操作するよりもピアノハンドル43の操作性を容易に行うことが可能となる。
【0059】
ピアノハンドル式スイッチ10では、ピアノハンドル43の後面の一端部に設けられる軸受部191が、スイッチ本体1に設けた一対の軸部192に対応するように2つ設けられている。ピアノハンドル43は、ピアノハンドル43の2つの軸受部191にスイッチ本体1の2つの軸部192を嵌め込んで取り付けられる。また、ピアノハンドル43は、ピアノハンドル43の後面の他端部に2本の抜止片43aを突設している。ピアノハンドル43は、スイッチ本体1の挿入孔54に各抜止片43aを挿入する。ピアノハンドル43は、ピアノハンドル43の表面における他端部には、押位置指示突起114を好適に設けている。また、ピアノハンドル43は、ピアノハンドル43の表面に、多数本の平行な直線からなるストライプ状の化粧ライン115を好適に形成している。
【0060】
なお、プレート枠120は、取付枠2の前面側に取付ねじ123によって取り付けることができる。プレート枠120は、図11に示すように、外形が矩形枠状であって、上片と下片とにそれぞれ取付ねじ123が挿通されるねじ挿通孔121を設けている。プレート枠120は、プレート枠120の材料として、たとえば、ABS樹脂のような合成樹脂を用いることができる。また、プレート枠120は、プレート枠120の左片および右片それぞれに、化粧プレート130の係止片(図示していない)が挿入係止される係止孔122を設けている。さらに、プレート枠120は、プレート枠120の四隅に金属製の簡易耐火プレート(図示していない)を取り付けるためのプレート保持孔125を備えている。プレート枠120は、プレート枠120の周部の全周に亘って段部124を備えている。プレート枠120と結合する化粧プレート130は、プレート枠120と同様に矩形枠状に形成している。化粧プレート130は、化粧プレート130の材料として、たとえば、ABS樹脂のような合成樹脂を用いることができる。また、化粧プレート130は、化粧プレート130の裏面にプレート枠120に結合するための係止片を突設している。
【0061】
本実施形態のピアノハンドル式スイッチ10では、取付ねじ123により、スイッチ本体1を取り付けた取付枠2にプレート枠120を取り付けている。ピアノハンドル式スイッチ10では、化粧プレート130をプレート枠120に結合している。ピアノハンドル式スイッチ10では、スイッチ本体1にピアノハンドル43を取り付けている。ピアノハンドル式スイッチ10は、プレート枠120の開口窓120aおよび化粧プレート130の開口窓130aを通して、ピアノハンドル43の一部をプレートの前方に突出させることができる。ピアノハンドル式スイッチ10は、ピアノハンドル43の一部をプレートの前方に突出させた状態で、ピアノハンドル43を押操作することができるように構成している。また、化粧プレート130は、プレート枠120に対して係止片によって係合しているだけであり、プレート枠120の下端部に設けた外し溝126に、先端部が尖った工具を挿入して、化粧プレート130をプレート枠120から外すことができる。なお、先端が尖った工具は、種々のものを用いることができるが、たとえば、マイナスドライバを用いることができる。したがって、ピアノハンドル式スイッチ10は、化粧プレート130を取り付けた状態で、表面側に取付ねじ123が露出しないようにして優れた外観に仕上げることができる。また、ピアノハンドル式スイッチ10は、メンテナンス時には化粧プレート130を比較的容易に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0062】
5 器体
10 ピアノハンドル式スイッチ
31 反転ハンドル
32 押釦ハンドル
33 スライドカム
33a ばね片
37 復帰ばね
40 スイッチ機構部
41 反転機構部
43 ピアノハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15