特許第6245504号(P6245504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245504
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】点灯装置及びそれを用いた照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H05B37/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-170664(P2013-170664)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-41427(P2015-41427A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】平松 明則
(72)【発明者】
【氏名】井戸 滋
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 純一
(72)【発明者】
【氏名】城戸 大志
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−234415(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0017402(US,A1)
【文献】 特開2010−218969(JP,A)
【文献】 特開2009−123681(JP,A)
【文献】 特開2005−332586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換する直流電源部と、
前記直流電源部の出力端間に接続される発光素子及びスイッチ素子の直列回路と、
前記商用電源の入/切に応じて前記スイッチ素子の制御端子に印加する電圧を段階的に変化させることで前記発光素子に流れる電流を段階的に変化させる電流調整部と、を備えていることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の点灯装置を備えていることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置及びそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、LEDモジュールに給電を行う給電アッセンブリが提供されている(例えば特許文献1参照)。この給電アッセンブリは、直流電源の両端間に接続されるダイオードと制御スイッチの直列回路と、制御スイッチに対してデュアルPWM信号を出力するコントローラとを備え、ダイオードの両端間にはインダクタとLEDモジュールの直列回路が接続されている。
【0003】
コントローラはパルス幅変調器を有し、このパルス幅変調器には、電流源からの電流基準信号、検知電流及び高周波のこぎり波信号が入力される。また、パルス幅変調器は、ANDゲートの一方の入力部に対して高周波PWM信号を出力し、ANDゲートの他方の入力部には低周波PWM信号が入力される。そして、ANDゲートは、高周波PWM信号及び低周波PWM信号を組み合わせたデュアルPWM信号を出力し、このデュアルPWM信号は増幅器を介して制御スイッチのゲートに入力される。
【0004】
この給電アッセンブリでは、コントローラから制御スイッチへ出力されるデュアルPWM信号の低周波成分を変化させることによって、LEDモジュールから出力される光の強度を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−511078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に示した給電アッセンブリでは、LEDモジュールに間欠的に負荷電流が流れるように調光する、所謂バースト調光により低光束まで容易に調光することができるが、負荷電流が間欠的に流れることから負荷電流の流れない休止期間が存在する。そのため、例えばビデオカメラ等の映像機器を通してLEDモジュールを見た場合には、映像機器特有の周波数と干渉したちらつきが目視される場合があった。
【0007】
また、上述のようにパルス幅変調器などを必要とすることから、回路構成が複雑になるという問題もあった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡単な回路構成により映像機器を通して調光時の発光素子を見たときのちらつきを抑えた点灯装置及びそれを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の点灯装置は、商用電源からの交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換する直流電源部と、前記直流電源部の出力端間に接続される発光素子及びスイッチ素子の直列回路と、前記商用電源の入/切に応じて前記スイッチ素子の制御端子に印加する電圧を段階的に変化させることで前記発光素子に流れる電流を段階的に変化させる電流調整部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の照明器具は、上記の点灯装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
外部からの調光信号に従って発光素子に流れる電流を段階的に変化させているので、従来例のように負荷電流に休止期間がなく、映像機器を通して調光時の発光素子を見たときのちらつきを抑えることができるという効果がある。また、従来例のようにパルス幅変調器を用いなくてもいいので、簡単な回路構成によりちらつきを抑えることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1の点灯装置の一例を示す回路図である。
図2】(a)〜(d)は同上に用いられる直流電源部の一部回路図である。
図3】実施形態2の点灯装置の一例を示す回路図である。
図4】実施形態1又は2の点灯装置を用いた照明器具の施工状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、点灯装置及びそれを用いた照明器具の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は本実施形態の点灯装置1の一例を示す回路図であり、この点灯装置1は、直流電源部11と、電流調整部12と、調光制御部13とを備え、調光器2から出力される調光信号S1に応じた調光レベルで発光部3を点灯させる。
【0016】
発光部3は、直列に接続された複数(図1では4個)のLED31(発光素子)からなり、トランジスタQ2(スイッチ素子)及び抵抗R1を介して直流電源部11の出力端間に接続されている。なお、発光部3を構成するLED31の個数は1個でもいいし、2個、3個又は5個以上の複数であってもよい。また、複数のLED31を並列に接続することで発光部3を構成してもよい。
【0017】
直流電源部11は、4つのダイオードにより構成された所謂ダイオードブリッジDB1を有し、ダイオードブリッジDB1の出力端間には平滑コンデンサC1が接続されている。また、ダイオードブリッジDB1の出力端間には、トランスTr1の一次巻線n1とトランジスタQ1の直列回路が接続されている。また、トランスTr1の二次巻線n2の一端にはダイオードD1が接続され、さらに二次巻線n2の両端間には平滑コンデンサC2が接続されている。
【0018】
ここに本実施形態では、トランジスタQ1としてNチャネル型のMOSFETを用いており、トランジスタQ1のゲートには駆動回路111が接続されている。そして、トランジスタQ1は、駆動回路111から出力されるPWM信号によりオン/オフが制御される。この直流電源部11では、平滑コンデンサC2の両端間に生じる直流電圧が直流電源部11の出力電圧となる。
【0019】
電流調整部12は、調光制御部13から出力される制御信号S2に応じて出力電圧が可変する直流電圧源121を有し、直流電圧源121の正極がオペアンプ122の非反転入力端子に接続されている。また、直流電圧源121の負極は、直流電源部11の負極に接続されている。また、トランジスタQ2と抵抗R1の接続点は、オペアンプ122の反転入力端子に接続されている。さらに、オペアンプ122の出力端子は、トランジスタQ2のゲート(制御端子)に接続されている。
【0020】
ここに本実施形態では、トランジスタQ2としてNチャネル型のMOSFETを用いており、オペアンプ122より出力される電圧の大きさに応じてトランジスタQ2のインピーダンスが変化する。これにより、発光部3に流れる電流の大きさを調整することができる。
【0021】
調光制御部13は、調光器2からの調光信号S1が入力されると、この調光信号S1に対応する制御信号S2を生成し、生成した制御信号S2を電流調整部12に出力する。ここに、調光信号S1は、発光部3に流すべき負荷電流の大きさ、すなわち発光部3の明るさを示す信号である。
【0022】
次に、点灯装置1の動作について説明する。なお、直流電源部11の動作については従来周知であるから、ここでは説明を省略する。
【0023】
調光制御部13は、調光器2からの調光信号S1が入力されると、この調光信号S1に基づいて制御信号S2を生成し、生成した制御信号S2を電流調整部12に出力する。電流調整部12は、制御信号S2が入力されると、この制御信号S2に応じて直流電圧源121の出力電圧を段階的に変化させる。
【0024】
これにより、オペアンプ122から出力される電圧も段階的に変化するため、トランジスタQ2のインピーダンスも段階的に変化する。そして、トランジスタQ2のインピーダンスが段階的に変化することで、発光部3に流れる電流も段階的に変化する。このように、発光部3に流れる電流が段階的に変化するため、従来例のように負荷電流が流れない休止期間は存在しない。したがって、映像機器(図示せず)を通して調光時の発光部3を見た場合に発光部3から照射される光がちらつくことがない。
【0025】
上述のように、調光器2からの調光信号S1に従って発光部3に流れる電流を直流のまま段階的に変化させているので、従来例のように負荷電流に休止期間がなく、映像機器を通して調光時の発光部3を見たときの光のちらつきを抑えることができる。また、従来例のようにパルス幅変調器を用いなくてもいいので、簡単な回路構成によりちらつきを抑えることができる。
【0026】
ところで、本実施形態では、ダイオードブリッジDB1の出力電圧を、トランスTr1を用いたフライバックコンバータにより降圧して発光部3に印加したが、フライバックコンバータの代わりに図2(a)に示す昇圧チョッパ回路112を用いてもよい。
【0027】
また、フライバックコンバータの代わりに図2(b)に示す昇降圧チョッパ回路113や、図2(c)に示す降圧チョッパ回路114、図2(d)に示すフォワードコンバータ回路115などを用いてもよい。何れの場合も、発光部3との間に電流調整部12を設けることで同様の効果が得られる。
【0028】
なお本実施形態では、発光素子がLEDの場合を例に説明したが、発光素子はLEDに限定されるものではなく、例えば有機EL素子やレーザーダイオード(LD)などであってもよい。
【0029】
点灯装置1は、直流電源部11と、直流電源部11の出力端間に接続されるLED31及びトランジスタQ2の直列回路と、電流調整部12と、を備える。電流調整部12は、外部からの調光信号S1に従ってトランジスタQ2のゲートに印加する電圧を段階的に変化させることでLED31に流れる電流を段階的に変化させる。
【0030】
(実施形態2)
点灯装置1の実施形態2について図3を参照しながら説明する。実施形態1では、調光器2からの調光信号S1に従って発光部3に流れる電流を段階的に変化させたが、本実施形態では、商用電源10の入/切に応じて発光部3に流れる電流を段階的に変化させている。なお、それ以外の構成については実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図3は本実施形態の点灯装置1の一例を示す回路図であり、この点灯装置1は、直流電源部11と、電流調整部12と、調光制御部13と、電源検出部14とを備える。
【0032】
電源検出部14は、商用電源10の入/切を検出するものであり、例えば本実施形態では、壁に取り付けられたスイッチSW1が「入」の状態から一度切/入されることで商用電源10が一旦「切」にされたことを検出する。そして、電源検出部14は、商用電源10が一旦「切」にされたことを検出すると制御信号S3を出力し、調光制御部13は、電源検出部14から入力される制御信号S3に基づいて制御信号S4を生成する。
【0033】
その後、調光制御部13は、生成した制御信号S4を電流調整部12に出力し、電流調整部12は、この制御信号S4に従って発光部3に流れる電流を段階的に変化させ、発光部3を段階的に調光させる。なお、具体的な動作については実施形態1で説明した点灯装置1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0034】
この点灯装置1は、例えば電球形のLEDランプにおいて調光機能を追加する場合に非常に有効である。
【0035】
上述のように、商用電源10の入/切に応じて発光部3に流れる電流を直流のまま段階的に変化させているので、従来例のように負荷電流に休止期間がなく、映像機器を通して調光時の発光部3を見たときのちらつきを抑えることができる。また、従来例のようにパルス幅変調器を用いなくてもいいので、簡単な回路構成によりちらつきを抑えることができる。
【0036】
なお本実施形態においても、トランスTr1を用いたフライバックコンバータの代わりに、図2(a)〜図2(d)に示すものを用いてもよく、何れの場合も、発光部3との間に電流調整部12を設けることで同様の効果が得られる。また本実施形態においても、発光素子はLEDに限定されるものではなく、例えば有機EL素子やレーザーダイオード(LD)などであってもよい。
【0037】
点灯装置1は、直流電源部11と、直流電源部11の出力端間に接続されるLED31及びトランジスタQ2の直列回路と、電流調整部12と、を備える。直流電源部11は、商用電源10からの交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換する。電流調整部12は、商用電源10の入/切に応じてトランジスタQ2のゲートに印加する電圧を段階的に変化させることでLED31に流れる電流を段階的に変化させる。
【0038】
(実施形態3)
照明器具Aの実施形態について図4を参照しながら説明する。図4は本実施形態の照明器具Aの施工状態を示す断面図であり、この照明器具Aは、上述の実施形態1で説明した点灯装置1と、発光部3と、器具本体4とを備える。本実施形態では、無線式の調光器2を用いており、点灯装置1は、調光器2から出力される調光信号S1の調光レベルで発光部3を点灯させる。
【0039】
器具本体4は、例えばアルミダイカスト製品であって、一面(図4中の下面)が開口する有底円筒状に形成されており、天井材100に設けた埋込孔100aを通して天井に埋込配設される。この器具本体4の筒内には、複数(図4では3個)のLED31が実装された基板32が収納されており、器具本体4の開口端縁には、LED31からの光を拡散させる光拡散板33が取り付けられている。ここに本実施形態では、LED31が実装された基板32と光拡散板33とで発光部3が構成されている。
【0040】
本実施形態の照明器具Aでは、図4に示すように、発光部3を収納する器具本体4と点灯装置1とが間隔を空けて配置されており、発光部3と点灯装置1の間は、コネクタ6を介して電源線5により電気的に接続されている。このように、点灯装置1を器具本体4と別置きにした場合には、器具本体4の内部には発光部3のみを収納すればいいので、器具本体4の高さ寸法を低くすることができ、しかも点灯装置1の設置の自由度が向上するという利点がある。
【0041】
上述のように、実施形態1で説明した点灯装置1を用いることによって、映像機器を通して調光時の発光部3を見たときのちらつきを抑えた照明器具Aを簡単な構成により実現することができる。
【0042】
なお本実施形態では、点灯装置1を器具本体4と別置きにしたが、器具本体4と一体に点灯装置1を設けてもよい。また、実施形態2で説明した点灯装置1を用いてもよく、この場合も、映像機器を通して調光時の発光部3を見たときのちらつきを抑えた照明器具Aを簡単な構成により実現することができる。さらに、調光器2は無線式のものに限らず、有線式のものであってもよい。
【0043】
照明器具Aは、点灯装置1を備えている。
【符号の説明】
【0044】
1 点灯装置
2 調光器
11 直流電源部
12 電流調整部
31 LED(発光素子)
Q2 トランジスタ(スイッチ素子)
S1 調光信号
図1
図2
図3
図4