特許第6245506号(P6245506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6245506-点灯装置 図000002
  • 特許6245506-点灯装置 図000003
  • 特許6245506-点灯装置 図000004
  • 特許6245506-点灯装置 図000005
  • 特許6245506-点灯装置 図000006
  • 特許6245506-点灯装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6245506
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】点灯装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20171204BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-174245(P2013-174245)
(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-43273(P2015-43273A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
(72)【発明者】
【氏名】熊田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】吉本 裕司
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−204026(JP,A)
【文献】 特開2009−16104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子を光源とする光源部を負荷とし、入力電力を前記光源部に必要な直流電力に変換する電力変換手段と、
前記電力変換手段を所定のバースト周期毎に前記バースト周期よりも長くない動作期間だけ動作させ、且つ調光信号で指示される調光レベルに応じて前記バースト周期に対する前記動作期間の割合を伸縮する制御手段と
を備え、
前記電力変換手段は、
前記光源部と直列に接続されるインダクタと、
前記インダクタに直列接続されるスイッチング素子と、
駆動信号を出力して前記スイッチング素子をオンする駆動部と
を有するスイッチング電源回路からなり、
前記制御手段は、
前記駆動部が前記駆動信号を出力するオンタイミングを制御するオンタイミング制御部と、
前記駆動部が前記駆動信号の出力を停止するオフタイミングを制御するオフタイミング制御部と、
前記オンタイミング制御部のタイミング制御を許可する動作期間と前記タイミング制御を禁止する停止期間を切り換え、且つ前記調光レベルに応じて前記動作期間を増減するバースト制御部と、
前記調光レベルに応じて前記オフタイミング制御部が制御する前記オフタイミングを調整する調整部と
を有し、
前記バースト制御部は、前記動作期間と前記停止期間を合わせたバースト周期を、前記駆動部から前記駆動信号が出力される一定周期をN(Nは2以上の整数)倍した時間に設定し、かつ、前記動作期間においては前記一定周期で前記駆動部に前記駆動信号を出力させるように前記オンタイミング制御部を制御し、
前記オンタイミング制御部は、前記一定周期の矩形波信号からなるオントリガ信号を前記駆動部に出力し、
前記駆動部は、前記オントリガ信号がハイレベルからローレベルに立ち下がったときに前記駆動信号を出力し、
前記オフタイミング制御部は、前記インダクタに流れる電流を計測し、前記電流の計測値が所定のしきい値に達すれば、矩形波信号からなるオフトリガ信号を前記駆動部に出力し、
前記調整部は、前記調光レベルに応じて前記しきい値を増減することで前記動作期間における前記オフタイミングを変化させ、
前記バースト制御部は、前記動作期間においては前記一定周期で前記オントリガ信号を出力し、前記停止期間においては前記オントリガ信号の出力を停止するように前記オンタイミング制御部を制御し、
前記バースト制御部は、更に、定格点灯から調光下限までの調光範囲を前記整数NでN等分した値で前記調光信号のオンデューティ比を除したときの余りに応じて、前記しきい値を変化させるように前記調整部を制御する
ことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記オフタイミング制御部は、前記駆動部が前記駆動信号を出力した後、前記インダクタに流れる電流が所定のしきい値に達したときに前記駆動部に前記駆動信号の出力を停止させるように構成される
ことを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
前記オンタイミング制御部は、前記駆動部に前記駆動信号の出力を停止させた後、前記インダクタに電流が流れなくなった時点で前記駆動部に前記駆動信号を出力させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の点灯装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を点灯する点灯装置に関し、特に発光ダイオードなどの固体発光素子からなる光源の点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱ランプや蛍光ランプに代えて、発光ダイオードや有機エレクトロルミネセンス(EL)素子などの固体発光素子が照明用の光源として普及してきている。例えば、特許文献1には、発光ダイオード(LED)からなる光源を点灯する点灯装置として、調光器から与えられる調光信号に応じてLEDの光量を調整(調光)する点灯装置(固体光源点灯装置)が開示されている。
【0003】
ところで、LEDの調光方式には、LEDに連続して流れる電流の大きさを変化させる調光方式(以下、DC調光方式と呼ぶ。)や、LEDへの通電を周期的にオン・オフし、通電期間の比率(オンデューティ比)を変化させる方式(以下、バースト調光方式と呼ぶ。)などがある。また、特許文献1記載の従来例のように、DC調光方式とバースト調光方式を組み合わせる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−204026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LEDを点灯する点灯回路には、通常、スイッチング電源回路が用いられる。そして、バースト調光方式においては、調光レベルが低くなるにつれてスイッチング電源回路がスイッチング動作を行う通電期間が短く(スイッチング動作を行う回数が少なく)なる。つまり、調光レベルの変化に対して、LEDの光出力は段階的(離散的)にしか変化しない。なお、同一の光出力となる調光レベルの範囲(調光レベルの分解能)は、スイッチング電源回路のスイッチング周期とバースト周期(通電期間と非通電期間の和)との比率によって制約される。通電期間が比較的に長い場合、すなわち、調光レベルで指示される明るさが比較的に高い場合、調光レベルに応じて光量が段階的に変動しても人に認識されることはなく、殆ど問題にならない。
【0006】
しかしながら、通電期間が比較的に短い場合、すなわち、調光レベルで指示される明るさが比較的に低い場合、光量の段階的な変動が人に認識され易くなる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、低い調光レベルまで滑らかに光量を変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の点灯装置は、固体発光素子を光源とする光源部を負荷とし、入力電力を前記光源部に必要な直流電力に変換する電力変換手段と、前記電力変換手段を所定のバースト周期毎に前記バースト周期よりも長くない動作期間だけ動作させ、且つ調光信号で指示される調光レベルに応じて前記バースト周期に対する前記動作期間の割合を伸縮する制御手段とを備え、前記電力変換手段は、前記光源部と直列に接続されるインダクタと、前記インダクタに直列接続されるスイッチング素子と、駆動信号を出力して前記スイッチング素子をオンする駆動部とを有するスイッチング電源回路からなり、前記制御手段は、前記駆動部が前記駆動信号を出力するオンタイミングを制御するオンタイミング制御部と、前記駆動部が前記駆動信号の出力を停止するオフタイミングを制御するオフタイミング制御部と、前記オンタイミング制御部のタイミング制御を許可する動作期間と前記タイミング制御を禁止する停止期間を切り換え、且つ前記調光レベルに応じて前記動作期間を増減するバースト制御部と、前記調光レベルに応じて前記オフタイミング制御部が制御する前記オフタイミングを調整する調整部とを有し、前記バースト制御部は、前記動作期間と前記停止期間を合わせたバースト周期を、前記駆動部から前記駆動信号が出力される一定周期をN(Nは2以上の整数)倍した時間に設定し、かつ、前記動作期間においては前記一定周期で前記駆動部に前記駆動信号を出力させるように前記オンタイミング制御部を制御し、前記オンタイミング制御部は、前記一定周期の矩形波信号からなるオントリガ信号を前記駆動部に出力し、前記駆動部は、前記オントリガ信号がハイレベルからローレベルに立ち下がったときに前記駆動信号を出力し、前記オフタイミング制御部は、前記インダクタに流れる電流を計測し、前記電流の計測値が所定のしきい値に達すれば、矩形波信号からなるオフトリガ信号を前記駆動部に出力し、前記調整部は、前記調光レベルに応じて前記しきい値を増減することで前記動作期間における前記オフタイミングを変化させ、前記バースト制御部は、前記動作期間においては前記一定周期で前記オントリガ信号を出力し、前記停止期間においては前記オントリガ信号の出力を停止するように前記オンタイミング制御部を制御し、前記バースト制御部は、更に、定格点灯から調光下限までの調光範囲を前記整数NでN等分した値で前記調光信号のオンデューティ比を除したときの余りに応じて、前記しきい値を変化させるように前記調整部を制御することを特徴とする
【0009】
この点灯装置において、前記オフタイミング制御部は、前記駆動部が前記駆動信号を出力した後、前記インダクタに流れる電流が所定のしきい値に達したときに前記駆動部に前記駆動信号の出力を停止させるように構成されことが好ましい。
【0010】
この点灯装置において、前記オンタイミング制御部は、前記駆動部に前記駆動信号の出力を停止させた後、前記インダクタに電流が流れなくなった時点で前記駆動部に前記駆動信号を出力させることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の点灯装置は、調整部が調光レベルに応じてスイッチング素子のオフタイミングを調整するので、低い調光レベルまで滑らかに光量を変化させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る点灯装置の実施形態を示す回路構成図である。
図2】(a)〜(d)は同上におけるオントリガ信号とインダクタ電流の波形図である。
図3】同上における動作回数と調光レベルの関係を説明するための説明図である。
図4】従来例における動作回数と調光レベルの関係を説明するための説明図である。
図5】同上の別の構成を示す回路構成図である。
図6】同上のさらに別の構成を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発光ダイオードを光源とする点灯装置に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明に係る点灯装置によって点灯可能な固体発光素子は発光ダイオードに限定されず、例えば、有機EL素子などの他の固体発光素子であっても構わない。
【0014】
本実施形態の点灯装置は、図1に示すように直流電源5から入力される入力電圧Vinを光源部3に印加可能な電圧Voに変換(例えば、降圧)する電力変換部1と、電力変換部1を制御する制御部2とを備える。なお、直流電源5は、例えば、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路(AC/DCコンバータ)で構成される。
【0015】
光源部3は、複数個の発光ダイオード(図示せず)の直列回路、あるいは複数個の発光ダイオードの直列回路が並列に接続されて構成される。なお、光源部3の定格電圧は、発光ダイオードの順方向電圧に、直列接続される発光ダイオードの個数を乗じた電圧となる。
【0016】
電力変換部1は、従来周知である非絶縁型のバックコンバータで構成され、電界効果トランジスタからなるスイッチング素子Q1、インダクタL1、ダイオードD1、平滑コンデンサC1、検出抵抗R1、駆動部10などを具備する。
【0017】
スイッチング素子Q1のドレインが直流電源5の正極に接続され、スイッチング素子Q1のソースにダイオードD1のカソードとインダクタL1の一端が接続されている。また、インダクタL1の他端が平滑コンデンサC1の高電位側の一端と光源部3の一端(発光ダイオードのアノード)に接続されている。さらに、ダイオードD1のアノードは、直流電源5の負極に接続されるとともに、検出抵抗R1を介して平滑コンデンサC1の低電位側の一端と光源部3の他端(発光ダイオードのカソード)に接続されている。駆動部10は、制御部2に制御されて、矩形波信号からなる駆動信号を出力してスイッチング素子Q1のゲートに印加する。そして、スイッチング素子Q1は、駆動信号が出力される(ハイレベルになる)とオンし、駆動信号が停止する(ローレベルになる)とオフする。ただし、電力変換部1の回路構成は一例であって、入力電圧Vinを光源部3の定格電圧程度に変換(降圧又は昇圧)可能なスイッチング電源回路であれば、他の回路構成であっても構わない。
【0018】
制御部2は、オンタイミング制御部20、オフタイミング制御部21、バースト制御部22、調整部23、調光信号入力部24などを有する。
【0019】
オンタイミング制御部20は、一定周期(スイッチング周期)T1の矩形波信号からなるオントリガ信号を駆動部10に出力する(図2(a)〜(d)参照)。駆動部10は、オントリガ信号がハイレベルからローレベルに立ち下がったときに駆動信号を出力する。スイッチング素子Q1は、駆動信号がゲートに印加されることでオンする。そして、スイッチング素子Q1がオンすると、直流電源5→スイッチング素子Q1→インダクタL1→平滑コンデンサC1及び光源部3→直流電源5の経路で電流(インダクタ電流)が流れる。なお、インダクタ電流は、図2(a)〜(d)に示すようにスイッチング素子Q1がオンした時点から直線的に増加する。
【0020】
調整部23は、オペアンプ230、入力抵抗R2、帰還抵抗R3、コンデンサC2で構成される積分器と、バイアス電源VRとを有する。オペアンプ230の反転入力端子に入力抵抗R2が接続され、オペアンプ230の反転入力端子と出力端子の間に帰還抵抗R3とコンデンサC2の並列回路が接続される。また、バイアス電源VRは、オペアンプ230の非反転入力端子にバイアス電圧を印加する。而して、オペアンプ230は、スイッチング素子Q1のオン時点からインダクタ電流を時間積分した値(電圧値)と、バイアス電源VRの電圧値(バイアス電圧値)とを一致させるように出力電圧が変化する。
【0021】
オフタイミング制御部21は、検出抵抗R1の両端電圧からインダクタ電流を計測し、インダクタ電流の計測値が所定のしきい値Ifに達すれば、矩形波信号からなるオフトリガ信号を駆動部10に出力する。ただし、しきい値Ifは、調整部23の出力(オペアンプ230の出力電圧)に応じて変化する。
【0022】
駆動部10は、オフタイミング制御部21からオフトリガ信号が入力されると、駆動信号を停止することでスイッチング素子Q1をオフする。そして、スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1に蓄積されたエネルギーが全て放出されるまでの間、インダクタL1→平滑コンデンサC1及び光源部3→検出抵抗R1→ダイオードD1→インダクタL1の経路で回生電流(インダクタ電流)が流れ続ける。なお、回生電流(インダクタ電流)は、図2(a)〜(d)に示すようにスイッチング素子Q1がオフした時点から直線的に減少する。
【0023】
調光信号入力部24は、外部の調光器(図示せず)から調光信号が入力され、入力された調光信号から調光レベルを読み取り、読み取った調光レベルをバースト制御部22に渡す。なお、調光信号は、一定周波数(例えば、1kHz)の矩形波信号からなり、そのオンデューティ比で調光レベルを表している。例えば、定格点灯のとき、調光信号のオンデューティ比が0%となり、調光下限のとき、調光信号のオンデューティ比が90%となる。つまり、調光信号入力部24は、調光信号のオンデューティ比を計測することで調光レベルを読み取る。
【0024】
バースト制御部22は、動作期間Tonと停止期間Toffを合わせたバースト周期T(=Ton+Toff)を、スイッチング周期T1をN倍(Nは2以上の整数)した時間に設定している。例えば、図2ではN=8の場合を例示している。そして、バースト制御部22は、動作期間Tonにおいてはスイッチング周期T1でオントリガ信号を出力し、停止期間Toffにおいてはオントリガ信号の出力を停止するようにオンタイミング制御部20を制御する(図2参照)。
【0025】
バースト制御部22は、調光信号のオンデューティ比X(0≦X≦90)を計測し、調光範囲(0%〜90%)をN等分した値(90/N)でオンデューティ比Xを除した商(整数の商)をNから引いた値M(=N−X÷(90/N))を演算する。
【0026】
例えば、N=8の場合、オンデューティ比Xが7×(90/8)≦X<8×(90/8)の範囲ではM=1となり、オンデューティ比Xが6×(90/8)≦X<7×(90/8)の範囲ではM=2となる。また、オンデューティ比Xが5×(90/8)≦X<6×(90/8)の範囲ではM=3となり、オンデューティ比Xが4×(90/8)≦X<5×(90/8)の範囲ではM=4となる。さらに、オンデューティ比Xが3×(90/8)≦X<4×(90/8)の範囲ではM=5となり、オンデューティ比Xが2×(90/8)≦X<3×(90/8)の範囲ではM=6となる。そして、オンデューティ比Xが90/8≦X<2×(90/8)の範囲ではM=7となり、オンデューティ比Xが0≦X<90/8の範囲ではM=8となる。
【0027】
ここで、整数Mの値は、バースト周期Tの動作期間Tonにおけるスイッチング素子Q1の動作回数(オントリガ信号の出力回数)に対応している。つまり、定格点灯のときにM=Nとなって停止期間Toffがゼロとなり(図2(a)参照)、調光レベルが低下(オンデューティ比Xが増大)するにつれて、動作回数(出力回数)Mの値が段階的に減少する(図2参照)。例えば、調光信号のオンデューティ比Xが50%であった場合、90/8=11.25であるから、50÷11.25=4余り5となり、M=8−4=4となる。
【0028】
而して、バースト制御部22は、動作期間Tonには動作回数Mに等しい回数だけオンタイミング制御部20にオントリガ信号を出力させ、停止期間Toffにはオントリガ信号をハイレベルに維持するようにオンタイミング制御部20を制御する。
【0029】
ここで、上述のように調光レベル(オンデューティ比X)に対応して動作回数Mを増減するだけでは、図4に示すように光源部3の光出力を段階的(離散的)に変化させる、いわゆる段調光しか実現できない。
【0030】
そこで、バースト制御部22は、調光範囲をN等分した値でオンデューティ比Xを除したときの余り(剰余)に応じて、調整部23のバイアス電源VRのバイアス電圧を上昇又は下降させる。バイアス電圧が上昇又は下降すると、オフタイミング制御部21のしきい値が増加又は減少し、スイッチング素子Q1のオフタイミングが遅く又は早くなる。そして、スイッチング素子Q1のオフタイミングが遅くなれば、バースト周期Tの1周期における負荷電流(光源部3に流れる電流)の平均値Imが増加する。一方、スイッチング素子Q1のオフタイミングが早くなれば、バースト周期Tの1周期における負荷電流の平均値Imが減少する。つまり、バースト周期T毎の動作回数M(動作期間Ton)が同じであっても、スイッチング素子Q1のオフタイミングを調整することで負荷電流の平均値Imを可変とし、光源部3の光出力を微調整することができる(図3参照)。
【0031】
故に、本実施形態では、図3に実線αで示すように調光レベルに対して光源部3の光出力をほぼ直線的(連続的)に変化させる、いわゆる連続調光が実現できる。なお、図3における長方形は、各動作回数M毎にスイッチング素子Q1のオフタイミング調整によって調整可能な調光レベルの範囲を示している。
【0032】
上述のように本実施形態の点灯装置は、固体発光素子を光源とする光源部3を負荷とし、入力電力を光源部3に必要な直流電力に変換する電力変換手段(電力変換部)1を備える。また、点灯装置は、電力変換手段1を所定のバースト周期T毎にバースト周期Tよりも長くない動作期間Tonだけ動作させ、且つ調光信号で指示される調光レベルに応じてバースト周期Tに対する動作期間Tonの割合を伸縮する制御手段(制御部)2とを備える。電力変換手段1は、光源部3と直列に接続されるインダクタL1と、インダクタL1に直列接続されるスイッチング素子Q1と、駆動信号を出力してスイッチング素子Q1をオンする駆動部10とを有するスイッチング電源回路からなる。制御手段2は、駆動部10が駆動信号を出力するオンタイミングを制御するオンタイミング制御部20と、駆動部10が駆動信号の出力を停止するオフタイミングを制御するオフタイミング制御部21とを有する。また、制御手段2は、オンタイミング制御部20のタイミング制御を許可する動作期間Tonとタイミング制御を禁止する停止期間Toffを切り換え、且つ調光レベルに応じて動作期間Tonを増減するバースト制御部22を有する。さらに、制御手段2は、調光レベルに応じてオフタイミング制御部22が制御するオフタイミングを調整する調整部23を有する。
【0033】
而して本実施形態によれば、調光レベルに応じてスイッチング素子Q1のオフタイミングを調整しているので、低い調光レベルまで滑らかに光量を変化させることができる。つまり、従来例では、バースト周期Tの1周期当たりの動作回数Mが1回のときが調光下限となるが、本実施形態では、動作回数Mが1回のときにスイッチング素子Q1のオフタイミングを早めることでさらに深い調光が可能になる。
【0034】
しかも、オフタイミングの調整(しきい値の調整)がアナログ値で制御でき、負荷電流をバイアス電源VRのバイアス電圧の分解能に応じて制御できる。例えば、バースト制御部22がマイクロコンピュータで構成される場合、マイクロコンピュータのPWM出力を用いて、N≧1000のオーダーでほぼ連続的に光源部3の光出力を変化(調光)することができる。
【0035】
また、本実施形態のように、オフタイミング制御部22は、駆動部10が駆動信号を出力した後、インダクタL1に流れる電流Ifが所定のしきい値に達したときに駆動部10に駆動信号の出力を停止させるように構成されることが好ましい。さらに、調整部23は、調光レベルに応じてしきい値を増減することで動作期間Tonにおけるオフタイミングを変化させることが好ましい。
【0036】
なお、本実施形態では、調光範囲の全域でバースト調光を行っているが、定格点灯から所定の調光レベルまでの調光範囲ではオフタイミング調整による調光のみを行い、所定の調光レベルから調光下限までの範囲でバースト調光を行うようにしても構わない。
【0037】
また、本実施形態における電力変換部1は、直流電源5に対してスイッチング素子Q1が高電位側(ハイサイド)に接続されているが、図5に示すように直流電源5に対してスイッチング素子Q1が低電位側(ローサイド)に接続される回路構成であっても構わない。
【0038】
ところで、図1図5に示した実施形態においては、オンタイミング制御部20が一定周期T1でスイッチング素子Q1をスイッチングする、いわゆる不連続制御が行われている。しかしながら、オンタイミング制御部20は、駆動部10に駆動信号の出力を停止させた後、インダクタL1に電流が流れなくなった時点(ゼロクロス)で駆動部10に駆動信号を出力させる、いわゆる臨界制御を行っても構わない。
【0039】
図6は、オンタイミング制御部20が臨界制御を行う場合の回路構成を示しており、図1に示した回路構成に対して、インダクタ電流のゼロクロスを検出するために電力変換部1に検出巻線L2が設けられる。検出巻線L2はインダクタL1に磁気結合され、一端が直流電源5の負極に接続され、他端がダイオードD2を介してオンタイミング制御部20に接続されている。そして、オンタイミング制御部20は、インダクタ電流によって検出巻線L2に誘起される電圧の向きが反転することでゼロクロスを検出し、ゼロクロスを検出したときにオントリガ信号を出力する。
【0040】
而して、オンタイミング制御部20が臨界制御を行う場合においても、不連続制御の場合と同様に、調整部23が調光レベルに応じてしきい値を増減して動作期間Tonにおけるオフタイミングを変化させれば、低い調光レベルまで滑らかに光量を変化させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 電力変換部(電力変換手段)
2 制御部(制御手段)
3 光源部
10 駆動部
20 オンタイミング制御部
21 オフタイミング制御部
22 バースト制御部
23 調整部
L1 インダクタ
Q1 スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6